足利事件・DNA鑑定

2009年6月26日 (金)

やっぱり取調べの全面可視化しかないです

日帰りで名古屋から帰ってきました。

昨日、菅家さんのインタビューをさせていただいたと書きましたけれど、いろいろ報道していただいたので、最後に紹介します。

24日の院内集会では、菅家さんに直接インタビューさせていただいて、改めて教えられました。

13時間の逮捕前の取り調べで完全に屈服させられてしまって、その後はずーっと自白を維持していたということ、

その取調べは髪をひっぱる、足をけるということがあったけれど、中心的には「やっていない」ということを否定して「やったのだ」と決めつける、それが13時間続いて心理的に追い詰められたということ、

そしてその日のうちに「やった」と言ってしまったあと、一晩考えて、「やった」ことを前提とするストーリーを自分で考えたということ、

「そうしたらこうやって殺したことにしよう」などと、留置所のなかで必死に考えて、一生懸命ストーリーを自分でつくって説明するわけです。そうしないで、「やっぱりやっていません」というのはとても怖くてできなかったということ。

その13時間に味わった恐怖がとにかく尾をひいて、検察官の前でも弁護人の前でも、裁判官の前でも「やった」と言っていたということ

これでは、逮捕されて一日開けたところから、自白している部分だけ、ビデオを回して撮影してもだめなんですね。なんだか自発的に話をしているかのように思えてしまう。

法律家はだれも見抜けなかったのです、その自白が嘘だということを。

 最初の取調べの段階からテープを回して、どうやって屈服させられたのかをじっくり見ない限り、真相が究明できないということなのです。

 やはり冤罪を防ぐために、取調べの全面可視化、最初から最後までビデオに撮らないと意味がないわけです。

私は理論的にはずっとそう思っていましたし、現実にもそうだと思ってきましたけれど、菅家さんの生々しい、リアルなお話を聞いて改めて学びました。

虚偽自白というものについてもあらためて勉強になりました。

人はかくも弱く、苦しい取調べを逃れるためにやってもいない罪について自分から必死にストーリーを組み立てるようなことまでするのか、ということ。

菅家さんが無実を主張しはじめたのは、「あなたはやっていない」という、自分のことを信じてくれる人と出会ったのがきっかけだそうです。自分を信じてくれる人がいる、ということが彼に力を与えたのだそうです。

逆をいえば、それまでだれも彼を信じなかった、信じてもらえず、自分の真実を否定されるということがどんなに人を精神的に追い込むのか、そしてやってもいない罪を認めさせてしまうことにもなるのか、ということなのです。

取調べのテクニックとして、単に「相手の言い分を否定する」「犯人と決め付ける」ということが虚偽自白に結びつく絶大なる危険な効果があることを過小評価すべきではない。

頭ごなしに否定されるという取調べが13時間はおろか、23日間も可能だという日本の取調べ、その根本を変える必要があるのだと痛感しました。

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菅家さん、取り調べ全面可視化を訴え

http://news.tbs.co.jp/20090624/newseye/tbs_newseye4166439.html

 足利事件で再審開始が決まった菅家利和さんが、取り調べの全過程を可視化するよう求める、日本弁護士連合会が主催した集会に出席し、「取り調べは最初から録画し、第三者が見られるようにすべき」と訴えました。

 「その時は刑事のことが怖くて、『やっていない』とは言えなかった」(菅家利和さん)

 17年半前、どのように虚偽の自白に追い込まれたのかを話す菅家利和さん(62)。24日、日弁連が主催した取り調べの全過程の可視化を求める院内集会で、国会議員達に当時の取り調べの状況を語りました。

 菅家さんは、最終的に起訴されなかった別の2件の事件でも虚偽の自白をしたことを明らかにしたほか、裁判中も傍聴席に警察官がいて、どなられるかもしれないという恐怖感から、「やっていない」とは、なかなか言えなかったと述べ、取り調べ全面可視化の重要性を訴えました。

 集会に参加した国会議員が、「一日も早く取り調べの全過程を可視化して、2度と自白の強要による冤罪を生み出さない仕組みづくりが必要だ」と述べると、会場から拍手がわき起こりました。

2009年6月19日 (金)

DNA鑑定に関する昨日の米連邦最高裁判例

昨日、米国の連邦最高裁判例で、無実を求める人のDNA鑑定申請に対し、これを認めない決定がされました。

http://www.nytimes.com/2009/06/19/us/19scotus.html?pagewanted=1&hp

驚いていると、さっそく「これはどうみたらよいでしょう」といろいろ問い合わせをいただきました。

まだ判決全文は見ていないのですが、事案はこんなところ。

米国で、無実を求める被告人のDNA鑑定を受ける権利を州法で認めていない州は4つだけ。

その4つの州のひとつからの申し立てです。

そして、今回の被告人はすでに釈放されていて(別件で刑務所にいるけれども)、釈放後に

DNA証拠へのアクセスを求めた、というものでした。

DNA証拠へのアクセスが認められない事情としては、釈放済みだったこととあわせ、

この被告は、釈放されるにあたってのインタビューでは、自分がやったと犯行を認めて釈放をされている。

陪審公判で、弁護側には、捜査側の鑑定よりも進歩したDNA鑑定を受ける権利があったのにこれを行使しなかった。

などの個別事情があるようで、

被告人がこのような場合にまで刑事司法をもてあそぶことは認めなくてもよい、との考慮が働いたようです。

ですので、これは一般化できるものではないと私は思います。

この裁判を担当したイノセンス・プロジェクトのノイエフェルド弁護士は、事案が異なれば、勝てる可能性、つまり、DNA鑑定証拠へのアクセスを認めない州の措置が憲法違反と認定される可能性があるだろう、というコメントを出しています。

今後とも要注目です。

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