東日本大震災

2017年3月 2日 (木)

3月3日・3.11を忘れない イベントを開催します。安田菜津紀さんらを迎えて。


311


ヒューマンライツ・ナウでは、3月3日(金)に、
『3.11を忘れない~被災地の課題を考える~』
と題して、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏、
みやぎ女性復興支援ネットワークの草野祐子氏、
福島県郡山市から関東地域に避難されている中学3年の
富塚悠吏君を迎えてのトーク企画を開催致します。

被災地それぞれが抱える課題を忘れないで私たちができることを考えていく
イベントにできればと思います。皆さまのご参加をお待ちしております。

< http://hrn.or.jp/news/10003/ >
      ヒューマンライツ・ナウ事務局長 伊藤和子


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『3.11を忘れない~被災地の課題を考える~』

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東日本大震災から6年が経過しようとしていますが、
被災地に対する関心が薄れつつあります。
しかし、復興は進んでいるのでしょうか。

仮設住宅から災害公営住宅への移行が進む中、新たな課題、
長引く避難生活等、まだまだ問題が山積しています。
福島では、避難指示の解除や「自主」避難者とされる
方々への住宅支援の打ち切りなど、
深刻な問題になかなか関心が集まっていません。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウの震災プロジェクトは、
震災直後より今日に至るまで被災地での法律相談活動を
継続し、被災者の皆様の声に身近に接してきました。

震災から6年の節目に改めて、3.11の影響を受け続けている
方々の願いが生かされる施策を考えたいと思い、
イベントを企画しました。
この企画では、3.11を風化させないという想いを込めて、
震災後、被災地で様々な活動をされている方々や実際に
現地で被災した方をお呼びして、様々な視点から被災地の
現状や課題について話し合います。
皆様のご参加を心よりお待ちしています


日時/2017年3月3日(金)19:00~21:00(開場18:30)
会場/文京区男女平等センター 研修室A
   (113-0003東京都文京区本郷4-8-3本郷真砂アーバンハイツ1F)
都営大江戸線・地下鉄丸の内線 本郷3丁目駅より約5分
都営三田線 春日駅より約7分
地下鉄南北線 後楽園駅より約10分
JR水道橋駅 東口より約15分
https://www.bunkyo-danjo.jp/access.aspx

【スピーカー】
◇安田菜津紀氏
1987年神奈川県生まれ。studio AFTERMODE所属フォトジャーナリスト。
16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとして
カンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。
現在、カンボジアを中心に、東南アジア、中東、アフリカ、
日本国内で貧困や災害の取材を進める。東日本大震災以降は
陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。
2012年「HIVと共に生まれる -ウガンダのエイズ孤児たち-」で
第8回名取洋之助写真賞受賞。写真絵本に『それでも、海へ 
陸前高田に生きる』(ポプラ社)、著書に『君とまた、あの場所へ 
シリア難民の明日』(新潮社)。上智大学卒。

◇草野祐子氏
発災直後の平成23年3月に発足した、みやぎジョネット
(みやぎ女性復興支援ネットワーク)代表。被災女性の支援のたけ、
全国の支援者と被災地の女性の支援ニーズをマッチングすることで、
物心両面で確実に支え、女性たちのエンパワメントにつなげたほか、
サロンの開催、起業支援等、被災地における女性たちの心身のケア
や自立支援に大きく貢献した。支援活動は仙台市内のほか南三陸町
など市外の被災自治体でも展開され、活動を通じて、地域の復興の
担い手となる女性リーダーの育成につながっている。
平成24年度には、これらの取り組みが評価され、内閣府男女共同
参画局の「女性のチャレンジ賞特別部門賞(防災・復興)」を受賞。

◇富塚悠吏君
福島県郡山市から母とともに原発事故後に関東地域に避難。
2012年1月、脱原発世界会議でスピーチ。2012年3月、
ニューヨークで原発事故の体験を語る。現在、中学3年生。

◇吉田悌一郎氏
弁護士(東京弁護士会所属)。ヒューマンライツ・ナウ会員。
ヒューマンライツ・ナウ震災プロジェクトメンバーとして、
被災地法律相談活動に長年携わる。福島原発被害首都圏弁護団。

◆コーディネーター:後藤弘子氏(ヒューマンライツ・ナウ副理事長)

<参加申込>
参加申込フォーム に必要事項記入の上、お申込みください。

上記からお申込みができない場合は、HRN事務局(info@hrn.or.jp)宛に、
件名を「3/3開催「3.11を考える」参加希望」として、
お名前、ご連絡先を明記の上、お申し込みください。

※当日参加も可能ですが、人数確認の為できるだけ
事前のお申込みにご協力いただけますと助かります。

<主催>
認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウ(HRN)


認定NPO法人 特定非営利活動法人
ヒューマンライツ・ナウ
110-0005 東京都台東区上野5-3-4クリエイティブOne秋葉原ビル7F
Fax 03-3834-1025 http://hrn.or.jp

2012年2月23日 (木)

気仙沼の深刻な事態に緊急対応を求めます! HRNステートメントを出しました。

東日本大震災からまもなく1年、

今も「生存」が脅かされる仮設住民たち

~緊急に行政による支援を~

東日本大震災からまもなく1年が経過しようとしている。 各自治体が復興計画を策定する陰で、支援が遅れ、存在すら十分に知られていない孤立した仮設住宅があり、被災者は未だに「生存」が脅かされている。そして、こうした事態は冬の寒さとともに深刻さを増している。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、2012218日、19日の二日間にわたり、宮城県気仙沼市の仮設住宅、なかでも地元住民が「特に深刻だ」と訴える仮設住宅を訪問した。

ヒューマンライツ・ナウ調査チームが訪れた「赤岩牧沢テニスコート仮設住宅」は、傾斜の厳しい山間に位置し、車がないと市街地への移動は困難である。しかし、最寄りのバス停までは1kmほどで、街灯も十分に設置されていない。住民は「夜は真っ暗だし、周辺には熊、鹿、まむしがいて外出するのが本当に怖い」と、実情を訴える。

この仮設住宅に入っている56世帯中、36世帯が独居でそのうち多くが老人というが、行政からは食糧支援や医師・看護師の訪問支援は全くないと住民は言う。集会場に顔を出す住民は80名中10名くらいに過ぎないが、引きこもった住民への心のケアや、孤独死対策も行政はほとんど講じていない。

車等の移動手段のない高齢者・障がい者への移動支援も全くなく、こうした人々は、通院のために有料・高額の介護タクシーを利用せざるを得ず、所持金を使い果たしていく状況という。

この仮設住宅は山間に位置するため、周辺地域に比べて気温は5度くらい低い。ところが、暖房器具が入ったのは、昨年1220日であったという。

仮設住宅の水道設備の凍結防止が十分なされないまま、水道管は長らく凍結していた。

10

こうした事態に見かねた、地元や県外からの個人ボランティアの連日・無償の活動により食糧・物資供給等がなされ、人々の生存がなんとか支えられている状況であるが、今後どこまでそうした支援が続くのか懸念される。独居老人の孤独死等、あってはならない事態をどうやって防ぐことができるのであろうか。

気仙沼市の西八幡前仮設住宅、小原木小学校住宅、旧月立小学校住宅の合計3箇所がハザードマップ上、土砂災害の危険地域と指定された場所に建設されている。

西八幡前仮設住宅住民によれば、入居から2か月ほど経過した頃に市の職員が訪れ、ハザードマップであることを告知した文書を手渡され、その場面を写真撮影され、市職員はそのまま説明せずに帰ったが、その後によく読んで初めてそのような危険地帯の仮設住宅であるとわかり衝撃を受けたという。危険に脅えながら暮らしている住民は、「津波の被害を受けたのに今度は山津波の危険と隣り合わせ」と嘆いている。

山の斜面に接した同仮設住宅は日当たりが悪く、「土台はべニアにタイル張りで、畳も敷かれずカーペットを敷いているが、布団で寝て起きると布団が著しく濡れている」「結露やカビも生じやすい。扉が凍って外出から帰ってきても扉があかないこともある」と住民は訴える。工事の手抜きのために部屋に隙間があいていて、家の中から外が見える状態で、市民団体が見かねて応急措置を講じたという。水道管が破裂して流れた水で、仮設住宅の前の道路面は長らく凍結していた。この仮設住宅にも食糧支援や医師・看護師の訪問支援もなく、仮設住宅のかくも劣悪な状況にあるにも関わらず、行政による対応はなされていない。

政府は、仮設住宅に対する寒さ対策として、畳の設置、断熱材の追加、水道管等の凍結防止(水抜き、断熱材追加、凍結防止ヒーター整備)を災害救助法上の国家補助の対象となるとするが(厚生労働社会・援護局 社援総発09281号等)、気仙沼市ではこうした寒さ対策は実現しないまま水道管凍結・破裂等の事態を迎え、未だに対策は不十分である。

4 こうした過酷な環境のもと、住民は、義捐金・生活再建支援金等の給付金をしだいに使い果たしつつある。ところが、被災者が、津波で流され、建築制限がかけられたまま利用できる見通しもない土地を有していたり、仮設住宅からの移動手段を確保するために自動車を保有していること等を理由として、生活保護の道が閉ざされることが懸念される。

ヒューマンライツ・ナウが、気仙沼市に生問い合わせたところ、「津波で流された土地に建築制限があるとしても、建物建築をせずとも土地の有効利用ができる以上、生活保護は受けることは難しい」との回答であった。

被災地では支援格差が深刻化している。被災地のなかには、行政の対応やボランティア組織の対応により、比較的支援が届いている仮設住宅も存在する。同じ宮城県でも石巻市では気仙沼では一切認められていない畳が敷かれており、移動が困難な仮設住民への移動支援もきめ細かい。

しかし、その一方で、人の目の届きにくい仮設住宅においては、支援が届かず、生存の危機・新たな災害の危機に晒され、過酷な日々を生きる被災者がいる。

「赤岩牧沢テニスコート仮設住宅」「西八幡前仮設住宅」の住民はヒューマンライツ・ナウ調査チームに対し「ここは姥捨て山だ」と訴えたが、仮設住宅のあまりにも過酷な条件、そして行政の対応の欠如が、被災者にそのような感想を抱かせている。

声を挙げにくい立場に置かれた被災者にひたすら我慢と犠牲を強いたままでは、真の復興はありえない。

 国、宮城県、気仙沼市はこうした住民放置の実態を速やかに調査し、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」が実現するよう、緊急の対策を講じるべきである。

2012年2月22日 (水)

仮設格差~「生存」すら脅かされる気仙沼の被災者の方々

先週末、気仙沼に行き、その後石巻、仙台と戻ってきて、被災地格差、支援の格差についてつくづく思い知り、心底切なくなった。
気仙沼は今も「生存」が脅かされている孤立した仮設があり、冬の寒さとともに深刻になっている。
「赤岩牧村テニスコート仮設」というところは56世帯中36世帯が独居老人、バス停も近くになく市内からは遠く、足のないお年寄りへの移動支援も全くないという。
行政からは食糧や医師・看護師等の訪問の支援もなく、水道は凍結、集会所に顔を出す住人は80人中10人くらいということで、心のケアも孤独死対策もほとんどない。

地元の個人の方の無償の善意で生存線をかろうじて保っている模様だが、、、

さらに驚いたのは、土砂災害の危険地帯に仮設が立っていて、危険におびえながら暮らしている仮設が三か所もあるということ。「せっかく津波から助かったのに今度は山津波か」とやりきれない人達。

この土砂災害の危険のある仮設では、畳かひかれず、べニアにタイル張りなので、布団で寝て朝起きるとふとんがひしょびしょに濡れている、という話、結露やカビ、そして扉が凍って外出から帰ってきても扉があかないという話、欠陥建設で隙間があいていて中から外が見えるという話、たくさん聞いたけれど、行政はほとんど動いてくれないという。

震災からまもなく1年というのに、本当にショックを受けた。
光の当たらないところで、声を挙げられないひとたちが犠牲になっている。
気仙沼市はとても立派な復興計画をたてたそうだが、被災者が置き去りにされたままで、復興を語る事はとても空虚だと思う。

生存自体が厳しいひとたち、もっと支援と注目を!

2012年1月21日 (土)

大船渡で被災者法律相談継続中

冬に入り、被災地の状況がどうなっているか、益々心配な今日この頃。
東京も金曜日から雪と雨で寒くて閉口していましたが、雪深い被災地の仮設住宅ではどんなに大変な生活をされているだろう、と思います。
私たちヒューマンライツ・ナウは岩手県「遠野まごころネット」の構成メンバーとして岩手県で活動しています。
すべての被災地の仮設住宅を回ることはできませんが、現在は試行錯誤を経て、大船渡で法律相談を展開しています。
ここには近隣の住田町からも゜相談したい」というお話があり、住田町からも相談の方が来られ、新年早々の先週末は15件も相談があったとのこと。被災地での相談のニーズはとても多いのです。

東京周辺や岩手から、弁護士さんに手弁当で法律相談に行っていただいているのですが、
地元の弁護士さんは話を聞いてくれない、などという話もときどき聞こえてきて、複雑な気持ちもするのですが、「ここでは丁寧に話をきいてもらい、とてもありがたい」などと言っていただき、親しみやすい相談活動を展開することができています。
被災地で声をあげにくい、声が聞けない、と言われていた、女性の方々の相談が多いのも、嬉しいです。

今後の事業継続については、弁護士に交通費を支給するための財団からの資金提供の延長にかかっているのですが、是非資金を確保して、被災者の皆様の親身なご相談に乗れるよう、頑張っていきたいな、と思っています。
(相談に行かれた吉田弁護士より)
Photo


2011年7月14日 (木)

仮設住宅で食糧供給を打ち切らないで。

なかなか仮設住宅への移行が進まない被災地。それには理由があります。食糧などの打ち切りはとても深刻。HRNでは、以下のステートメントを出しました。

仮設住宅移行後の被災者支援に関する要請

2011.7.11

特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ震災プロジェクト

1 要請の趣旨

(1)厚生労働省に対し、

仮設住宅に移行し、自立が困難な被災者に対し、当面、災害救助法上の食糧供給等の支援を継続することを積極的に推進するよう、通達を出すこと

(2)各被災県・自治体に対し、

・仮設住宅に移行し、自立が困難な被災者に対し、当面、災害救助法上の食糧供給等の支援を継続されること

・特に移動が困難な障がい者、高齢者の移動を確保するため、巡回バス、医療施設への送迎サービスなどを提供すること

・仮設住宅の集会所を迅速に建設し、福祉・医療等各種支援の拠点とすること

を求めます。

2 要請の理由

1)   「仮設後」の支援打ち切り

災からか月が経過する中、仮設住宅に移行する被災者が増え始めています(厚労省によれば77日時点で岩手7403戸、宮城9619戸、福島553戸が入居)。しかし、被災地では、仮設住宅移行後の食糧供給等の被災者支援が十分に行われず、被災者保護と復興までの支援に新たな懸念が生まれています。

2) 食糧物資支援について
 仮設住宅入居者に対する食糧物資供給を打ち切る自治体は続出しています。例えば、報道によれば、陸前高田市は、仮設の食糧供給は6月10日までで終了するとされ、「岩手県復興局生活再建課によると、県内の仮設住宅入居者への対応は自治体で異なる。釜石市は仮設入居者に食料物資は支給せず、大船渡市も入居時に米を配給するのみ。一方、大槌町は入居後も支援を継続している。」[1]とされています。宮城県気仙沼市の仮設住宅居住者への食糧供給は7月10日までとされています。[2]

こうしたなか、実際「仮設住宅入居後の被災者には、食料や物資の供給は原則的に行われない。このため、抽選で入居が決まっても経済的な理由で、避難所にとどまり続ける例などがあるという」と報道されています。[3]

(特活)ヒューマンライツ・ナウが、避難所で聴き取りをした被災者の方々のなかにも、同様に、仮設住宅への申し込みを躊躇し、抽選に当たっても将来への不安から入居せず、劣悪な環境の避難所での生活を余儀なくされている被災者が少なくありません。[4]

報道によれば、「厚生労働省災害救助・救援対策室は『仮設住宅は自立に向けた施設なので、入居後の支援継続は想定していない。それでも支援を続けるかは、自治体が地域の実態を見て判断すること』とコメントしている」とされ、深刻な事態に対応したものではありません。[5]

3)病院等への送迎などのサービスについて

仮設住宅の用地確保の困難さもあり、仮設住宅が町の中心部から離れた不便な場所や山間部などに建設されています。こうした仮設住宅に入居した被災者の方は、移動のための十分な手段がなく、移動が困難な状況に置かれています。

最もこうした影響を受けるのは高齢者・障がい者であり、被災地では、「定期的に病院に行きたいのに行く手段がない、いざという時に病院に行けない恐怖がある」として巡回バスや送迎サービスの実現を求める切実な声があがっています。しかし、(特活)ヒューマンライツ・ナウの被災地での調査によれば、こうしたサービスも多くの被災地で実現していません。

「宮城県大崎市の鳴子温泉の宿泊施設に避難している南三陸町の佐々木とし江さん(79)は、4月29日に南三陸町内の仮設住宅に当選した。しかし、当選後の説明会で、仮設住宅からは病院への無料送迎車が出ないことや食事の配布がないことを知り、今も鳴子温泉に残っている」[6]などと報道されています。
4)集会施設

厚生労働省社会援護局は、本年4月15日付の通達で、「応急仮設住宅を同一敷地内または近接する地域内におおむね50戸以上設置した場合は、居住者の集会等に利用するための施設を設置できる」とし、「行政、その他に夜生活支援情報や保険・福祉サービス等を提供する場所としても活用できる」としています(社援総発0415第1号)。

しかし、仮設住宅に集会場の設置は遅れ、生活情報や保険・福祉サービス等を提供する場所として必ずしも機能しておらず、民間による支援の拠点として各種支援が行える体制にも必ずしもなっていません。[7]

5) 支援の必要性

(特活)ヒューマンライツ・ナウは、既に2011年5月に、仮設住宅移転後の災害救助について以下のとおり提言し、早期の対応を促しました。

今後、仮設住宅に移行する人々に対しても、住み慣れたコミュニティから切り離され、孤立して十分な支援も情報提供も受けられないという事態は避けなければなりません。避難所では「仮設住宅に移りたいけれど、食べるものにも困るので、避難所にいるしかない」という声や仮設住宅申し込みへの不安が聞かれます。私たちは、仮設住宅建設と移行にあたって、国と自治体に対し、以下のことを求めます。

●仮設住宅に入居した被災者に対しても災害救助法上の衣食、医療支援等の支援を継続するよう、通達を出すこと 
●行政サービス、支援制度へのアクセスと情報提供、医療ケアをはじめとするサービスが行き届く環境を十分に提供できる体制を確立すること

しかし、その後も、仮設住宅移行後の支援体制について十分な対策が講じられないまま、事態は深刻化しています。

今回の未曾有の震災の復興が遅れ、がれきの撤去すら進まず、原発事故の終息の展望すらないまま、多くの被災者が生活・生計手段を回復する道を絶たれています。のみならず、義捐金、生活再建支援金、補償金等の支払は著しく遅延したままです。さらに二重ローンなどの問題も解決していません。

被災者に求められる復旧・復興、補償という国・自治体の責務を果たさないまま、被災者に「自立」を求めて突き放すのは被災者の人権保障に照らして重大な問題です。

災害救助法は、「当該災害にかかり、現に救助を必要とする者に対して」食糧等の供給をするとされ、仮設住宅に移行した場合を除外していません。

災害救助事務取扱要領は、原則災害から7日を食糧などの給与の期間としつつ、必要がある場合は、厚生労働大臣と協議ののうえ、給与期間を延長できるとされ、これまで延長が続いてきました。今回の被災の深刻さ、復興の遅延という事情に照らし、国の責任として、仮設住宅入居後も当面、食糧等の期間の延長を認める方針を明らかにするよう求めます。そして自治体には、仮設住宅に移行した被災者に食糧等、必要な援助を継続することを求めます。

また、障がい者、高齢者に対する医療へのアクセスを確保するため切実な願いである医療機関への送迎サービスや巡回サービスを実施すること、仮設住宅の集会場を可及的速やかに設置し、生活情報や保険・福祉サービス等を提供する場所として活用できるようにすること、民NGO支援団体による支援の拠点として各種支援が行えるようにすることを求めます。

阪神淡路大震災では仮設住宅における孤独死が仮設住宅が存続した1999までの間、233人に上ったとされ、今回の震災後も災害関連が後を絶たず、自殺も増加しています。

仮設住宅において必要な援助を絶たれた被災者、なかでも最も脆弱な高齢者・障がい者が命を失うなどの人権侵害はこれ以上繰り返されてはなりません。

政府、各自治体において、十分な対応をされるよう求めるものです。

                               以 上


[1]東日本大震災:仮設の食料支給6月10日まで 陸前高田(毎日新聞 2011526
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110527k0000m040083000c.html

[2]仮設住宅 新たな苦悩」(東京新聞・2011710日)

[3] 「理由ないなら鍵返却を」抽選で入居決まるも避難所に(20110608日 河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/06/20110608t13020.htm

[4] (特活)ヒューマンライツ・ナウ・岩手、宮城、福島における被災地調査2011,4,5,7月調査)

[5] 前掲、毎日新聞 2011526

[6] 仮設住宅当選も避難所居残り(20110605日 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110605/dst11060511560005-n1.htm

[7] 朝日新聞によれば、岩手県内50戸以上の仮設住宅の建設地域87か所のうち、設置済み、設置予定は36か所にとどまる、宮城県では109か所のうち102か所で集会所が設置されたが、十分に機能していない2011.7.6 朝日新聞「仮設の孤独死防げ-自治会・集会所の整備急務」

2011年6月 4日 (土)

政治は、なにより困窮した被災地のことを考えなさい。

日本の政治は本当に病的だ。

被災地のことを考えたらこんな政治混乱を引きおこすなど、とんでもない話である。

世界も飽きれ果てている。

http://news.nifty.com/cs/world/worldalldetail/sech-20110604-20110604_00006/1.htm(首相の辞意表明に国際社会から「日本の政治マヒ」懸念)

党利党略個利個略で、不信任案をしかけたすべての国会議員とそれにのっかって騒ぎ立てた一部メディアに猛省をうながしたい。こんなことで政治をもてあそんでそれを政治だと勘違いしている議員には税金を返してもらいたい。「国民が主人公」って言っていたのは誰でしたっけ?

今の政府の震災対応は大変遅れていて抜本的な改善が必要なことは間違いないが、政治空白を作ったりこれ以上混乱したりするのは最悪であり、被災者・国民に何の利益ももたらさない。

餓死者も出て、生存権が脅かされ、毎日が待ったなしの危機的状況において、百害あって一利なしだと思う。

だって梅雨に入ってから、被災者の方に出るお弁当が腐っているっていうんですよ。困窮して売春をさせられた被災女性だっているんですよ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110603-00000040-mai-soci

義捐金も配られない、二重ローンも解決しない、復興プランもはっきりしない、仮設住宅だって立たない、そして何より、放射能問題は極めて深刻。

もうこの事態に政局などこりごり。当面このままの政権で震災対応に取り組んで、被災者の方々が人間らしい生活を取り戻せるように、心を入れ替えて取り組んでもらいたい。

2011年5月28日 (土)

【ご案内】 5/31開催「東日本大震災:人権の視点から見た被災地」HRN現地調査報告会開催

HRNによる被災地現地調査報告会を来週火曜日に開催します。

それともうひとつ注目は、いわきからお子さんを持つ女性弁護士に来ていただき、福島における子どもの人権についてお話ししていただくことです!

是非ご参加ください。

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   東日本大震災 : 人権の視点から見た被災地

       HRN現地調査報告会開催

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2011311日に起きた未曾有の地震、津波、そして原子力

発電所の事故。2ヶ月を経た今も、被災地では様々な問題を抱え、

不安定な日々が続いています。

HRNでは、被災者の人権の観点から政策提言・意見書の発表を

行う「震災問題プロジェクト」を立ち上げて活動をしています。

42930日に福島県郡山市、南相馬市、568日に宮城県

仙台市、石巻市等へ現地調査に入り、その結果をもとに意見

表明を続けています。このたび“人権”の視点から見た被災地

の現状を報告いたします。ぜひご参加ください!

日 時:2011531日(火)19:0021:00(開場1830~)

場 所:青山学院大学 9号館2階 921教室

    http://www.aoyama.ac.jp/other/access/aoyama.html

    (各線渋谷駅徒歩12分、地下鉄表参道駅徒歩5分)

◆ゲスト・スピーカー

菅波 香織氏(弁護士)

東京大学工学部化学システム工学科卒業。専攻は、クリーン

エネルギー(燃料電池)の研究。卒業後、化学系会社で研究員

として稼働。二女出産後、司法試験を目指して退職。2007

年弁護士登録。家事事件、DV事件、刑事事件、民事事件を

担当。離婚事件、子ども問題などが専門。福島県弁護士会犯罪

被害者委員会及び子どもの権利委員会委員。いわき市高齢者

虐待防止ネットワーク委員。日本知的財産仲裁センター調停人

・仲裁人・判定人。

※報告内容(菅波香織氏より)

福島県は3月11日の東日本大震災により、未曾有の原発問題

を抱えることとなりました。一時は、福島県民の多くが県外へ

避難し、ゴーストタウン化した地域もありました。その後、国

や県、市町村によるいわゆる「安全宣言」により、避難区域

以外の町には人が戻り、生活は、一見すると震災前の平和を

取り戻したかに見えます。しかし、放射能による汚染は、チェ

ルノブイリ事故のレベルに匹敵し、県民は、放射線による健康

被害の危険と隣り合わせの生活を強いられています。更に、

4月19日の文科省通知により、福島県の子どもたちは、従来

の被ばく基準である1mSv毎年を遙かに超える、年間20mSv

という被ばくを強要されました。政府の安全宣言のもと、教員

たちは子どもたち、保護者らに「国を信じろ」と言い続け、

被ばくを少しでも減らしたいと考える親と子どもが、避難という

選択も難しい中、まるで非国民のような扱いを受け続けています。

【進行予定】

1 司会挨拶

2 HRNからの現地調査報告

 (1) 避難所における人権 (後藤弘子)

 (2) 女性の人権 (米川正子)

 (3) 食糧供給問題 (浅井美絵)

 (4)  HRNの政策提言 (伊藤和子)

3 法律相談から見た人権

 (1) 主に岩手県 (宮内博史)

 (2) 宮城県・石巻の状況 (田部知江子)

 (3) 主に東京・埼玉の福島県からの

       避難者の抱えている不安、問題点(久保田祐佳)

 (4) 外国人の人権 (安孫子理良)

4 福島県の状況

  被災地における子どもの人権~福島から(菅波香織氏)                    

5 質疑応答

資料代:500円    

事前予約:人数把握のため、事前にEメールにて、

     info@hrn.or.jp までご連絡いただけますと幸いです。

     (当日参加もお席のある限り受け付けます)

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特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ

110-0015 東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル3F

電話 03-3835-2110 Fax 03-3834-2406

連絡先 info@hrn.or.jp

ウェブサイト http://hrn.or.jp/

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2011年5月11日 (水)

【提言】被災者の住居、生活支援、女性など多様なニーズ配慮について‏

ヒューマンライツ・ナウでは、震災後の被災者保護に関する政策提言を行っています。連休中に見た被災者保護の対応にはとても格差があり、多くの被災者の方々が苦境の中に置かれていました。今後とも実情をモニタリングし、状況が改善するよう働き掛けていきたいと思います。以下、メールマガジンから。

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    ヒューマンライツ・ナウ(HRN) メールマガジン

       2011年5月11日(水)発行

~地球上のすべてのひとたちのかけがえのない人権が守られるように~
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HRN震災問題プロジェクトでは、4月29~30日に福島県
郡山市、南相馬市、5月6~8日に宮城県仙台市、石巻市等へ
現地調査に入りました。
この間の調査の結果も踏まえ、東日本大震災に関する意見書
を発表しました。今後とも調査結果の報告・提言を行って
いきます。是非みなさまの周囲でも広めていただきますよう
お願いいたします。
                  ヒューマンライツ・ナウ事務局


【要請書】被災者の住居の権利と十分な生活支援のために
ヒューマンライツ・ナウでは、東日本大震災に関して、要請書【被災者の住居の権利と十分な生活支援のために】を発表し、仮設住宅の早期建設・避難所の改
善・義捐金等の早期給付などを求める要請を行いました。
http://hrn.or.jp/activity/topic/post-100/
【要請書】女性など、多様なニーズに配慮した避難所の設置について
ヒューマンライツ・ナウでは、避難所で過酷な状況に置かれている女性の状況を改善することを求めて、要請書【女性など、多様なニーズに配慮した避難所の
設置について】を発表、内閣府男女共同参画局などに送付しました。http://hrn.or.jp/activity/topic/
post-101/
今後、要請書に基づき関係部局への申し入れを行っていく予定です。

また、連休前にヒューマンライツ・ナウが発表した、
【自然災害発生時の被災者保護に関する運用ガイドライン】
【親と別離状態の上に法的な保護者もいない子どもたちの保護に関する指針】
が、大震災の被災者への支援活動を行う全国の組織・団体の民間ネットワークである「東日本大震災支援全国ネットワーク」のウェブサイトに紹介され、活用
していただいております。
http://www.jpn-civil.net/for_disasters/post_2.html

ヒューマンライツ・ナウの政策提言が被災者の方々の状況改善に役立つよう、今後ともできる限り多くの場所で普及につとめていくつもりです。

また、ヒューマンライツ・ナウの政策提言は、順次英訳してウェブサイトに掲載するとともに、国連人権高等弁務官事務所と協議の上、国連に情報提供をして
おり、必要に応じて国連のモニタリングをも促しています。
英文ウェブサイトも是非ご注目ください。http://hrn.or.jp/eng/

是非みなさまの周囲でもひろめていただければ幸いです。
今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。

   -----ヒューマンライツ・ナウ事務局-----



【要請書】被災者の住居の権利と十分な生活支援のために、について、参考まで、全文ご紹介させていただきます(長文失礼いたします)。

1 仮設住宅の促進
東日本大震災から約二か月がたつ今日、長期にわたる避難生活により人々の疲労は深刻化しています。プライバシーのない集団生活によるストレスで健康を害
し、精神的な苦痛を抱える人々は増えているのが現状です。すみやかに、被災者の方々に対し、仮設住宅などの住居で居住する権利を確保する必要がありま
す。
ところが、5月9日の国土交通省住宅局の発表によれば、震災から一か月以上が経過した現在、建設が完了した仮設住宅は6,982戸、着工中のものを含め
ても29,244戸に過ぎないとされています(http://www.mlit.go.jp/common/000140307.pdf)。
これでは、数十万人に及ぶ避難中の被災者の希望に到底応えることはできません。
災害救助法上も、国際人権法上も、被災者に対する居住権の確保の責任は第一に国にあります。私たちは、国に対し、
●希望する全ての被災者がすみやかに仮設住宅に移行できるよう、すべての必要な措置を取ること、
●仮設住宅建設の遅れの原因を明らかにし、その障害を取り除くことを求めます。
また、国・県に対し、
●自治体自体が被災の影響を強く受け、災害救助・仮設住宅建設のために求められるニーズに十分に応えられないという現実を踏まえ、被災の影響を受けて仮
設住宅建設が進まない自治体に人員を応援派遣して体制を抜本的に拡充するなど、居住権確保のための実効的な対策を講じるよう求めます。
2 民間住宅の利用の促進
上記のような実情のもと、国は、県・市町村が、民間賃貸住宅を借り上げて提供した場合や被災以降に被災者名義で契約した場合も、災害救助法の適用となっ
て同法の国庫負担が行われる、と被災三県に通知を出しています(4月30日付「厚労省通知110430:応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取
扱いについて」など)。
こうした国の通知を受けて、被災三県では一定の範囲で、被災者が自力でみつけた民間住宅について、仮設住宅同等と認定すれば、2年間仮設住宅と同様家賃
補助ができる仕組みがつくられたと報道されています。 こうした措置を多くの被災者が利用することが期待されますが、現実には、市町村における被災者へ
の広報が行き届いていません。多くの被災者が、確定的な情報や申請方法がわからず、利用できずにいます。
私たちは、被災各県に対し、災害救助法に基づき、
●すべての被災者に対して、民間住宅入居の際の家賃・敷金・礼金補助を認めること
●民間住宅入居の家賃補助についての広報をすべての被災者に届くよう徹底すること
●この支援を受けるため、被災者にわかりやすく明確な手続きを整備すること
●民間住宅借り上げを積極的に活用し、住居を必要とするすべての被災者の要望に速やかに応えること
を求め、また、国に対し、徹底されていない上記通達の周知徹底をはかることを求めます。
3 遠隔地避難者への支援
被災者の中には、居住地から遠く離れた宿泊施設に滞在している被災者も少なくありません。しかし、こうした宿泊施設に滞在する被災者は、コミュニティか
ら孤立させられたうえ、食料以外の支援物資、医療等のサービスを受けられず、さらに支援制度などに関する情報提供もなされない状況に置かれています。特
に高齢者、障がい者の方々が住み慣れたコミュニティから切り離され、孤立して支援を得られない事態に置かれることは極めて深刻です。こうした被災者に対
し、医療サービスその他、災害救助法上の支援が十分に届くこと、情報提供が十分になされることは極めて重要です。
私たちは、国、県、市町村に対し、以下の対応を求めます。
●居住地から離れた宿泊施設に居住する被災者への物資・医療等の災害救助法上の必要な支援および被災者支援情報などのあらゆる適切な情報提供を行うこ

4 仮設住宅移転後の災害救助
今後、仮設住宅に移行する人々に対しても、住み慣れたコミュニティから切り離され、孤立して十分な支援も情報提供も受けられないという事態は避けなけれ
ばなりません。
避難所では「仮設住宅に移りたいけれど、食べるものにも困るので、避難所にいるしかない」という声や仮設住宅申し込みへの不安が聞かれます。
私たちは、仮設住宅建設と移行にあたって、国と自治体に対し、以下のことを求めます。
●できる限り被災者の元のコミュニティを尊重したかたちでの入居を促進すること
●仮設住宅に入居した被災者に対しても災害救助法上の衣食、医療支援等の支援を継続するよう、通達を出すこと
●行政サービス、支援制度へのアクセスと情報提供、医療ケアをはじめとするサービスが行き届く環境を十分に提供できる体制を確立すること
5  避難所の立ち退きは最後の手段とすること
避難生活が長期化する中、避難所の閉鎖を宣告され、退去を求められている被災者は少なくありません。被災者が避難所を転々とすることは、心身の安定を阻
害するものであり、最後の手段とされるべきです。避難所の閉鎖が真にやむを得ない場合であること、被災者に対し、事前に十分な時間と協議の機会を保障す
るとともに、次に移動できる安定的な居住場所を確保することが必要不可欠です。そうした保障のない、一方的な退去は、国際人権条約(社会権規約)に保障
された「居住権」を侵害するものです。
私たちは各自治体に対して、避難者の立ち退きは極力避けること、
そのために施設の本来の利用目的については代替手段を取るなどの調整を図ること、子どもの教育を受ける権利については別の施設を活用するなどして補償す
ることを求めます。
6 災害救助法の徹底・義捐金の早期給付
避難生活が二か月に及ぶなか、避難所の住環境や食糧・物資の供給について避難所、避難所・自治体の対応によって著しい格差が生まれています。例えば私た
ちが1都3県11か所の避難所をモニタリングした結果、以下のことが判明しています。
・ 食糧供給に関する自治体の対応に格差が著しく、十分な栄養が保障されていない避難所・自治体があり、今後炊き出しが減少すれば深刻な事態となりかね
ないこと。
・ 宿泊施設仕様の個室に居住する避難所がある一方、教室や文化施設にふとんのスペースしかない避難所、さらには室内でなく廊下などにパーテーションも
ないまま寝起きする避難所もあり、格差が著しい状況があること。
被災者に等しく、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」そして社会権規約上の食糧、健康、居住に関する権利を保障することは国の責務
です。避難生活が長期化する中、被災者間のこうした著しい格差と権利が保障されない状況は一刻も早く解消されることが求められます。
私たちは、国・県に対して以下の対応を求めます。
●避難所の実情を調査して避難所ごとの災害救助法適用状況をモニタリングし、
●必要に応じて基礎自治体に対する応援・支援を行って格差を解消して必要な措置を講じ
被災者の食糧、健康、居住に関する権利を適切に保障すること
●単に通達を出すだけでなく、通達の実施状況を確認し、実施を確保する措置をとること
また、相続手続が難航するなど現金引き出しが困難かつ、仕事の見通しが立たない中、現金給付がいつまでもないことは被災者の生活と自立を著しく困難にし
ています。
私たちは国、県等、関係するすべての機関に、以下の対応を求めます。
●災害救助法上の現金給付を積極的に行うこと
●義捐金支給の著しい遅延について抜本的な見直しを行い、一日も早く被災者の手に届くように必要なすべての対策を講じること


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2011年5月 1日 (日)

陸前高田・大槌・釜石の状況

23日と24日に、難民支援協会のお手伝いで、

陸前高田、大槌、釜石の方々の法律相談にのりました。

支援制度などに関する情報提供が十分にないまま取り残されている方々が圧倒的で、法的支援のニーズが高いことを痛感しました。

もっとも、法的支援以前に、支援制度に関する情報が本当に行き渡っていません。

権利行使の前提となる罹災証明自体が行政の機能が崩壊していて発行が遅れているという状況ですので、自治体から現金給付も受けられない、という話を聞きました。

これは行政の責任ですが、自治体自体が被災して建物も壊れていたり担当者が死亡した、などで自治体が機能しないのでこうしたことになってしまっています。

災害救助法上、市町村は県から委託を受け、県は国から委託を受けているわけですから、国や県が被災した市町村任せにしてこうした事態に手をこまねいているのはおかしい。国が責任を果たすべきです。

また、土地が使えなくなってしまった人々は、国が買い取ってくれるのか、どうなのか、復興プランが決まらないと、将来設計がまったく立たず、とてもつらいようでした。早く方針を示してほしいとのこと。

土地が使えなくなってしまった人々は、国が買い取ってくれるのか、どうなのか、復興プランが決まらないと、将来設計がまったく立たず、とてもつらいようでした。早く方針を示してほしいとのこと。

政治の責任が問われています。以下、二日間の活動で伝えられた声の概要と私の感想です。

1      とにかくすべての人が何らかの法律問題を抱えていて、ニーズは莫大である。

親類が亡くなった場合、まずもれなく相続問題が発生するのでその対応だけでも大変。

それに加えて事業をやっていた人のローンの問題なども多々あり、

本当は全員に弁護士がついて丁寧に対応しなければならないくらいニーズがある。

 陸前高田、大槌は、まだ罹災証明がとれない。罹災証明が取れなければ多くの支援が受けられない。大槌では役所が被災して受付すらしていない。被災がひどい自治体ほど、被災住民が救済されず、他の自治体と格差が生じてしまう。国や県は機能不全の自治体丸投げでよいのか(先週始まったとの報道にその後接しましたが)。

3   現行の支援の枠組みでは救われない人が少なくない。生活再建支援の300万円では少なすぎるとの声。

経営基盤を失った人にはローンだけが残されて、融資以外に何らの支援も具体化されてない。事業を再開しようとすれば二重ローンに苦しむことになる。 立法救済に期待している。ローン免除についても立法救済に期待の声多。

仮にローン免除の立法措置が取られないことになると、事業者のほとんどは破産などの道をたどらざるを得ないだろう。それで東北の経済はよいのか。

4   支援策に関する説明がない。情報提供がない。情報不足は極めて深刻であり、行政からの通知も小さな避難所にはいきわたらない。また、ペーパーが積み上げられてもつかれた被災者は頭に入らないという問題もある。電気がまだつながっていない避難所ではメディアからの情報もなく取り残されている。役所に電話しても役所の人になかなかつながらないという。

支援制度を申請する際の、細かい手続き・申請書類になると窓口業務になるので、本来は行政の窓口が巡回でもして避難所に情報提供するべきではないか。臨時職員を雇ってでも。

役所の手が回らず、被災認定が遅れている。義捐金も配布されない。一時金もこない。

情報が飛び交っているが本当のところはどうなのか誰も知らない。「あちらの市ではお金が出たらしい」などという話を耳にして、役所ごとに不公平があると不満を募らせている。

土地がもう使い物にならないという話だが、がれき撤去が終わったら家を直してでも住みたい、事業を再開したという人がいる。しかし、政府が土地を買うのか、どうなのか具体的な方針が早く示されないと自分の土地をどうしてよいかわからない。早く支援・復興のスキームを示してもらわないと人生設計がたてられず不安なまま。

すべての支援金が「世帯主」に支給されることになっているため、別居して夫が名ばかりの「世帯主」として住民票に記載されている女性や子どもに支援金がわたらない。改善が必要。

避難所にプライバシーがない。パーテーションなし。トイレは老人ホームのため、入り口にドアがない。便器はポータブル。女性は特にはいりにくい。そこで外に仮設トイレが設置されたが夜間は怖い。洗濯機がなく川で洗濯をしていたが、ようやく自衛隊が洗濯機を供給してくれた。避難生活の疲労・ストレスがかなりこうじている。

民間住宅を仮設住宅扱いにする措置について知らない人が多くためになったとの話。

10 仮設は75歳以上、シングルマザー、障がい者を優先募集するとあり、68歳の単身女性が申し込んだものの「どれも自分にあてはまらない」と嘆いていたが、仮設が少なすぎるのを反映して基準が厳しすぎる。

11 単身高齢者にとって厳しい。 生活再建支援法で家を建てれば300万円というが、年寄りはローンをくめないので家を建てるのは無理であり、そういうプランが組めないので200万円の加算金がもらえないのはどうにかならないかというつぶやきの声あり。

転載歓迎 被災者保護の国際ガイドライン

こんにちは。ここのところ、被災地をめぐり、陸前高田、大槌、南相馬、郡山、飯館村などで、ヒューマンライツ・ナウとして、被災者の皆様の人権状況の調査に当たったり、被災者の方々の法律相談に乗ったりしていました。

本日は仙台からようやく帰宅しました。その様子、Facebookなどに単発でいろいろと情報提供させていただいています。

今日は、被災者保護の国際ガイドラインなどのお知らせです。

私たちヒューマンライツ・ナウでは、これまでアジア地域の深刻な人権問題の調査や提言をしてきましたけれど、東日本大震災そしてその後の被災者の方々の苦悩、というこれまでの活動地域と同じくらい、いえそれ以上に深刻な人権問題が起きている今、ヒューマンライツ・ナウとして、被災者の方々を取り巻く問題について、人権の視点から提言したり、活動をしていこう、ということになりました。

特に、この分野では、国際的な被災者保護の基準・ガイドラインが確立していますので、そうしたことを踏まえて日本でいま必要なことをぜひお伝えしていこうと、思っています。

現在市民社会がたくさん被災者支援に入っていらっしゃいますが、政策提言分野はとても手薄なように思います。特に、国際的に確立された人権の基準を日本やアジア地域で実現しよう、というのはそもそもヒューマンライツ・ナウのミッションですので、それをこの被災という分野でやっていこう、人権の視点から政策提言をしていこう、と思っています。

そこで、国際的なガイドラインを多くの支援関係者の方々に知っていただければと思っています。転載も是非! よろしくお願いします。また、ヒューマンライツ・ナウとしてのこうした国際基準を踏まえた政策提言もしています。

以下、メールマガジンからのご紹介です。

【1】緊急支援にあたる国際機関からなるIASC20111月に発表した、

「自然災害発生時の被災者保護に関する運用ガイドライン」

を急きょ仮訳し、発表いたしました。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-99/

東日本大震災から1か月以上経過していますが、被災者の人権・

保護という点で課題が多くあります。

ヒューマンライツ・ナウでは、このたび、緊急支援にあたる

国際機関からなるIASC20111月に発表した、被災者保護、

脆弱な人々への配慮に関する運用ガイドラインの仮訳を行いました。

政府、自治体・NGOなど被災者支援にあたるすべての方々にご考慮

いただければと思います。

(仮訳に当たっては、ホワイト&ケース法律事務所に多大なご協力

をいただきました。)

なお、このガイドライン等を参照して、ヒューマンライツ・ナウ

としての意見表明を以下の通り行っておりますので、ご参照くだ

さい。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-93/

http://hrn.or.jp/activity/project/cat11/post-95/

【2】「福島原発周辺住民に対する不当な差別に関するステートメント」

を発表しました。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-97/

【3】「【緊急声明と要請】子どもに「年20ミリシーベルト」を強要する

日本政府の非人道的な決定に抗議し、撤回を要求する」

に賛同し、団体として署名しました。

http://hrn.or.jp/activity/topic/20/

4】「親と別離状態の上に法的な保護者もいない

子どもたちの保護に関する指針」の暫定仮訳を公表しました。

 http://hrn.or.jp/activity/Child%20Guideline%20_jp.pdf

 をご確認ください。

今回の震災で多くの子どもたちの親が死亡したり行方不明になっており、

子どもたちの将来についてどのような支援をしていくかが問われています。

今回HRNが緊急に、暫定版の仮訳を公表したのは、過去の国際的災害

の経験を踏まえて、国際赤十字等の団体が発表した、

保護者を失ったり別離状態にある子どもへの保護・対応の指針です。

日本で現在発生している事態に対しても、こうした指針を尊重・

参照した解決がなされることを期待します。

この指針に基づき、ヒューマンライツ・ナウは以下の見解を

公表しています。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-96/

HRNでは今後とも、人権の観点から被災者への支援・救助、そして

復興政策について政策提言を続けていきますので、是非よろしく

お願いいたします。

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