法律

2009年9月21日 (月)

法務大臣に期待

千葉景子法務大臣の会見。

私はリアルタイムで見られていませんけれど、とても受け答えに好感を持ちました。

法務大臣が、人権尊重、というとてもまっとうなことを言ってくれる、そして議論しながらそれを具体化しようとしている、そんなことに日本もなるのだ、というのが嬉しいです。

死刑についても、これからの国民的議論をどうつくっていくのか、に期待したいと思います。

(9/16)千葉景子法相、死刑執行のサイン「職責踏まえて慎重に考える」

【冒頭発言】

 このたび法相を拝命した千葉景子です。このたびの新しい政権は多くの国民の皆さんがつくられた政権だろうと思っている。それに込められた国民の皆さんの思いをしっかりと法相という立場で実現をさせていただきたい思いだ。

 具体的に言うと、やはり国民の皆さんと約束をしたマニフェスト(政権公約)を1つずつしっかりと実現していくことに尽きるのではないかと思っている。特に首相からは、国民に身近な充実した司法の確立、そして人権が尊重される、安心して暮らせる社会、こういう大きな理念のもとにマニフェストの具体化を、という指示を頂いた。その実現に向けて取り組んでいきたい。

 1つは人権侵害救済機関の設置の問題だ。これは国際的にみても当たり前の機関ということにもなっている。ぜひ、これの実現に向けて早急に取り組んでいきたい。ただ、これは常々私も考えてきたが、内閣府の外局に設置をするということを考えているので、いずれ設置法の改正や内閣府との協議等々も含めて進めていきたいと思う。

 個人通報制度を含めた選択議定書の批准も進めていきたい課題だ。人権条約、あるいは女子差別撤廃条約に選択議定書、個人通報制度が盛り込まれている。これはいろいろな司法との関連等々が指摘されているが、これも国際的な基準に基づいて、ぜひ、国際的にも日本がたいへん積極的だという発信をしていけたらと思う。条約なので、外相と様々な連携を図り実現に向けていきたい。

 これまでマニフェストでたいへん大きなテーマになっている取り調べの可視化についても、マニフェストの実現ということできちんと進めていく。ぜひ、皆さんにご理解をいただきたい。その他のさまざまな諸課題があるが、マニフェストで約束したことを早急に取り組んでいくのがまず最優先課題だろうと思うので、そこからさまざまな課題を1つ1つ取り組みを進めていきたい。

【質疑応答】

 ――法相は死刑廃止議連のメンバーか。死刑執行の命令書にサインするか。

 「私は議連のメンバーだ。死刑の問題はやはり人の命ということになるので慎重に取り扱っていきたいと思う。法相という職責を踏まえながら、慎重に考えていきたい。ただ、死刑の存置、廃止等については議論がある。それに代わる終身刑導入はどうかという議論もある。そういう意味では、裁判員制度も導入され多くの皆さんが死刑という問題にたいへん深い関心と、いろいろな意味での思いを抱いていると思うので、ぜひこれはできれば広い国民的な議論を踏まえて、これから私たちが行く道を見いだしていきたい」

 ――冤罪(えんざい)の可能性が全くなければやむを得ないか。

 「慎重に考えていく」

 ――小沢一郎幹事長の秘書が絡む西松献金事件の捜査や鳩山由紀夫首相の「故人献金」問題にどう対応していくか。

 「これは特別なことではない。適正な判断をしていきたい」

 ――指揮権の発動についてはどのような見解を持っているか。

 「検察というのも行政の1つだから、それに対して法相が一般的に指揮権を持っているということは認識している。ただ、個別の事件についてどのような権限があるかと言えば、1つは恣意(しい)的な、党派的なそういうものを排除する(権限だ)。しかし、国民の視点に立って検察の暴走をチェックするという点からきちんと指揮権というのを踏まえて対処していくべきだと考えている」

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2009年5月13日 (水)

働く女性の法律相談所- 敷金

今日は、ある女性誌の誌上法律相談の取材を受けていました。

若いOLの方に好評と聞いて嬉しく思っています。

さて、よく聞かれる質問にこのブログでも回答したほうがよいかしら、と思い、今日も聞かれたあのテーマを取り上げます。

賃貸アパート・マンションの引っ越しのときにクリーニング代を敷金からひかれてしまい、戻ってこない、というものです。

これに対しては、  
平成17年12月16日 最高裁判所第二小法廷 判決(平成16(受)1573 敷金返還請求事件、原審 大阪高等裁判所)が、

通常の損耗に関する補修・クリーニング代は賃料によって支払済みなので、特別な合意がない限り、敷金からクリーニング代などを引くことはできない、という判断をしています。

「賃借人は,賃貸借契約が終了した場合には,賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ,賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ,建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は,通常,減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると,建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは,賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから,賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。

---というわけで、そういうきっちりした特約にサインしたのでない限り、敷金は全部返してもらえる、ということになります。

 事務所に相談にに来た方には、この最高裁判例をコピーして、「これで大家さん、管理会社と交渉して」とアドバイスしていますが、こちらにアップしておくことにします。ぜひ活用してみてください。

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主    文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         
理    由
 上告代理人岡本英子ほかの上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について
 1 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
 (1) 被上告人は,地方住宅供給公社法に基づき設立された法人である。
 (2) 第1審判決別紙物件目録記載の物件(以下「本件住宅」という。)が属する共同住宅旭エルフ団地1棟(以下「本件共同住宅」という。)は,特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(以下「法」という。)2条の認定を受けた供給計画に基づき建設された特定優良賃貸住宅であり,被上告人がこれを一括して借り上げ,各住宅部分を賃貸している。
 (3) 被上告人は,平成9年12月8日,本件共同住宅の入居説明会を開催した。同説明会においては,参加者に対し,本件共同住宅の各住宅部分についての賃貸借契約書,補修費用の負担基準等についての説明が記載された「すまいのしおり」と題する書面等が配布され,約1時間半の時間をかけて,被上告人の担当者から,特定優良賃貸住宅や賃貸借契約書の条項のうち重要なものについての説明等がされたほか,退去時の補修費用について,賃貸借契約書の別紙「大阪府特定優良賃貸住宅and・youシステム住宅修繕費負担区分表(一)」の「5.退去跡補修費等負担基準」(以下「本件負担区分表」という。)に基づいて負担することになる旨の説明がされたが,本件負担区分表の個々の項目についての説明はされなかった。
 上告人は,自分の代わりに妻の母親を上記説明会に出席させた。同人は,被上告人の担当者の説明等を最後まで聞き,配布された書類を全部持ち帰り,上告人に交付した。
 (4) 上告人は,平成10年2月1日,被上告人との間で,本件住宅を賃料月額11万7900円で賃借する旨の賃貸借契約を締結し(以下,この契約を「本件契約」,これに係る契約書を「本件契約書」という。),その引渡しを受ける一方,同日,被上告人に対し,本件契約における敷金約定に基づき,敷金35万3700円(以下「本件敷金」という。)を交付した。
 なお,上告人は,本件契約を締結した際,本件負担区分表の内容を理解している旨を記載した書面を提出している。
 (5) 本件契約書22条2項は,賃借人が住宅を明け渡すときは,住宅内外に存する賃借人又は同居者の所有するすべての物件を撤去してこれを原状に復するものとし,本件負担区分表に基づき補修費用を被上告人の指示により負担しなければならない旨を定めている(以下,この約定を「本件補修約定」という。)。
 (6) 本件負担区分表は,補修の対象物を記載する「項目」欄,当該対象物についての補修を要する状況等(以下「要補修状況」という。)を記載する「基準になる状況」欄,補修方法等を記載する「施工方法」欄及び補修費用の負担者を記載する「負担基準」欄から成る一覧表によって補修費用の負担基準を定めている。このうち,「襖紙・障子紙」の項目についての要補修状況は「汚損(手垢の汚れ,タバコの煤けなど生活することに
よる変色を含む)・汚れ」,「各種床仕上材」の項目についての要補修状況は「生活することによる変色・汚損・破損と認められるもの」,「各種壁・天井等仕上材」の項目についての要補修状況は「生活することによる変色・汚損・破損」というものであり,いずれも退去者が補修費用を負担するものとしている。また,本件負担区分表には,「破損」とは「こわれていたむこと。また,こわしていためること。」,「汚損」とは「よごれていること。または,よごして傷つけること。」であるとの説明がされている。
 (7) 上告人は,平成13年4月30日,本件契約を解約し,被上告人に対し,本件住宅を明け渡した。被上告人は,上告人に対し,本件敷金から本件住宅の補修費用として通常の使用に伴う損耗(以下「通常損耗」という。)についての補修費用を含む30万2547円を差し引いた残額5万1153円を返還した。
 2 本件は,上告人が,被上告人に対し,被上告人に差し入れていた本件敷金のうち未返還分30万2547円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案であり,争点となったのは,① 本件契約における本件補修約定は,上告人が本件住宅の通常損耗に係る補修費用を負担する内容のものか,② ①が肯定される場合,本件補修約定のうち通常損耗に係る補修費用を上告人が負担することを定める部分は,法3条6号,
特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律施行規則13条等の趣旨に反して賃借人に不当な負担となる賃貸条件を定めるものとして公序良俗に反する無効なものか,③ 本件補修約定に基づき上告人が負担すべき本件住宅の補修箇所及びその補修費用の額の諸点である。
 3 原審は,前記事実関係の下において,上記2の①の点については,これを肯定し,同②の点については,これを否定し,同③の点については,上告人が負担すべきものとして本件敷金から控除された補修費用に係る補修箇所は本件負担区分表に定める基準に合致し,その補修費用の額も相当であるとして,上告人の請求を棄却すべきものとした。以上の原審の判断のうち,同①の点に関する判断の概要は,次のとおりである。
 (1) 賃借人が賃貸借契約終了により負担する賃借物件の原状回復義務には,特約のない限り,通常損耗に係るものは含まれず,その補修費用は,賃貸人が負担すべきであるが,これと異なる特約を設けることは,契約自由の原則から認められる。
 (2) 本件負担区分表は,本件契約書の一部を成すものであり,その内容は明確であること,本件負担区分表は,上記1(6)記載の補修の対象物について,通常損耗ということができる損耗に係る補修費用も退去者が負担するものとしていること,上告人は,本件負担区分表の内容を理解した旨の書面を提出して本件契約を締結していることなどからすると,本件補修約定は,本件住宅の通常損耗に係る補修費用の一部について,本件負担区分表に従って上告人が負担することを定めたものであり,上告人と被上告人との間には,これを内容とする本件契約が成立している。
4 しかしながら,上記2の①の点に関する原審の上記判断のうち(2)は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 (1) 賃借人は,賃貸借契約が終了した場合には,賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ,賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ,建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は,通常,減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると,建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは,賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから,賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,仮に賃貸借契約書では明
らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。
 (2) これを本件についてみると,本件契約における原状回復に関する約定を定めているのは本件契約書22条2項であるが,その内容は上記1(5)に記載のとおりであるというのであり,同項自体において通常損耗補修特約の内容が具体的に明記されているということはできない。また,同項において引用されている本件負担区分表についても,その内容は上記1(6)に記載のとおりであるというのであり,要補修状況を記載した「基準になる状況」欄の文言自体からは,通常損耗を含む趣旨であることが一義的に明白であるとはいえない。
したがって,本件契約書には,通常損耗補修特約の成立が認められるために必要なその内容を具体的に明記した条項はないといわざるを得ない。被上告人は,本件契約を締結する前に,本件共同住宅の入居説明会を行っているが,その際の原状回復に関する説明内容は上記1(3)に記載のとおりであったというのであるから,上記説明会においても,通常損耗補修特約の内容を明らかにする説明はなかったといわざるを得な
い。そうすると,上告人は,本件契約を締結するに当たり,通常損耗補修特約を認識し,これを合意の内容としたものということはできないから,本件契約において通常損耗補修特約の合意が成立しているということはできないというべきである。
 (3) 以上によれば,原審の上記3(2)の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
論旨は,この趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,通常損耗に係るものを除く本件補修約定に基づく補修費用の額について更に審理をさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 中川了滋 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修 裁判官 今井 功 裁判官 古田佑紀)

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2009年3月 1日 (日)

ヨーロッパ出張

しばらく所用で、雪深いスイス、ジュネーブに行って参ります。

国連・人権理事会に出席いたします。

そのあとパレスチナ問題の関係でロンドンに移動し、

3月中旬、14日には帰国予定です。

出発前の追い込みで、本日も仕事です。

依頼者の皆様にはおおむねご挨拶いたしておりますが、

ご相談者の皆様にも、よろしくご理解のほどお願い申し上げます。

(特活)ヒューマンライツ・ナウに御用の方は、スタッフ一同対応いたしますので、

ご心配なくお願いいたします。

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2008年12月23日 (火)

ブログ、ミクシーからの法律相談のご希望について

 おかげさまで、当プログをみたり、または、このプログにつないでいるMixiからメールで、法律のご相談をしたいというご連絡をしばしばいただき、ありがとうございます。

 しかしながら、Mixiは完全プライベート、プログも主にプロボノ活動に関連して情報発信をしておりますので、Mixi等を通したメールでのご相談には残念ながら応じることができません。

 法律問題の相談は、直接お話をさせていだたくかたちで、オリーブの樹法律事務所にて受け付けておりますので、よろしくお願いいたします。

 http://olivetreelawoffice.com/index.html

 ところで、事務所のドアを叩いていただいたとしても、私には原則としてお引受けできない事件がいくつかあります。たとえば、

1  DV事件の夫側の離婚・親権・面接交渉などの事案(DVを認めないケースについても原則として、お引受けしておりません)

2  レイプなど性暴力事件の刑事弁護(えん罪だと主張される事件についても、きわめて強い無罪の確信がない限り、お引受けしていません)

3  労働事件の会社側(これも労働側がきわめて非常識だったり、という場合があるかもしれませんが、労働者の生活を脅かす解雇事件については、会社側でお引受けすることは原則としてできません)。

 というようなことがあります。あとは推して知るべし、というところかと思います。

  1,2については事実無根のケースだってあるんだ、という主張もあると思いますし、十分な弁護活動を受ける権利があることはよく理解していますが、そうした事件を引き受けられる先生方は私以外にいらっしゃるわけであり、私としては女性に対する暴力事案では、被害者側に徹したいと思っています。

  これは私のポリシーに関わることなので、よろしくご理解いただきますよう。

  その種事件以外でしたら、できるだけお力になりたいと思っています。

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2008年12月18日 (木)

黙ってられない、派遣切り捨て

派遣切りがとっても深刻になっている。

東京弁護士会で私が委員長をしている「両性の平等委員会」では今年、派遣をテーマに活動をして、11月21にシンポジウムを開催したりしたけれど、あのときは、「切られる」前の悲惨な実態告発だった。そのあと、私は個人的に女性誌の「非正規法律相談」の回答をしたりして、ちらほら「派遣切りにどう対処したらよい?」という女性たちの質問に答えたりしていた。

それから一か月もたたないのに、今や雪崩を打ったような派遣切り。どんどん事態が深刻化していて驚くばかりである。事件の依頼どころか、友人からも「解雇通告を受けた」と電話がくる今日この頃。

私のデジカメはキャノンだが、キャノンのカメラを実際につくって下さっている製造現場の人たちを切るなんて、なんと人を大切にしないやり方であろうか。などと怒っているとほかにも名の知れた大企業もひどいやりようである。

この寒空に寮から追い出して住居まで奪うなんて本当に非人道的である。

以前は非正規が少なかったのでここまでひどい大リストラはできなかったのに、いまでは簡単に生首を飛ばす。非正規雇用の増大が切り捨て簡単な安価な労働者の創出であることがハッキリした。

ご承知の方も多いと思うけれど、厚生労働省は以下のような通達を出している。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1210-3.html

派遣切りに法律を武器に対抗して、労働組合も入って、ぜひぜひ生存と生活を守ってください、と思っています。

(通達・抜粋)

派遣会社の事業所の皆様へ
~派遣契約の中途解除に伴い派遣労働者を安易に解雇しないでください~

1 労働者派遣契約が中途解除された場合には
○ 派遣契約と労働契約は別であり、派遣契約が解除されたからといって、即座
に派遣労働者を解雇できるものではありません。
○ 派遣会社は、派遣先と連携して、派遣先の関連会社での就業のあっせんを受
けるなど、派遣労働者の新たな就業機会を確保するようにしてください。

2 賃金又は休業手当の支払いが必要です

○ 派遣契約が中途解除されても、派遣労働者と派遣会社とは雇用期間満了まで
労働契約は継続しており、派遣会社は賃金を支払う必要があります。
○ 仮に、次の派遣先がなく、派遣労働者を休業させる場合は、休業期間中につ
いて、労働基準法に基づき、平均賃金の6割以上を休業手当として支払わなけ
ればなりません。
厚生労働省・都道府県労働局
(別添1)
【参考】派遣先の講ずべき措置について
○ 派遣先が派遣契約の中途解除を行う場合について、「派遣先が講ずべき措置
に関する指針」に、派遣先が行うべき措置が次のとおり規定されています。
① 派遣会社の合意を得るとともに、予め相当の猶予をもって申し入れること
② 派遣先の関連会社での就業をあっせんする等派遣労働者の新たな就業機会
を確保すること
③ ②ができないときは、遅くとも30日前に予告し、予告しない場合は、派
遣会社に派遣労働者の賃金相当分の損害賠償を行うこと

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2008年11月 3日 (月)

一万円で引き受けた事件のゆくえ

  今年の夏、法律相談センターで、あるご夫婦の相談にのった。サラ金の取り立てに追われ、税金も督促され、そして家賃も払えなくなったため、家主からまさに追い出されようとしているどん詰まりの状況だった。

  聞けば家賃の滞納はそれほど多くない。敷金だって預けている。家主からは契約解除の通告もないというのに、「三日後には鍵を変えるというんです。あてもないからどこにも行けない」という。夏の暑い盛りに一家全員をいくあてもなく追い出すなんて、ひどい話である。あまりにも困り果てた様子だったので、引き受けることにした。手持ちのお金で支払える弁護士費用は一万円がやっとだ、というので、すごい例外ではあるが、「この人たちを路上に放り出してはいけない。ホームレスにしてはならない」と考え、とりあえず初回着手金一万円で、明渡しと債務整理二件を受任したのだ(つまり一件5000円。とほほ)。

  まず、家主に明渡しを勝手に強制しないよう、警告。本来、明渡しには、確定判決が必要であり、家主であろうと債務名義もないのに強制的な明け渡しをするのは刑法にも抵触する。

  次に、サラ金業者に受任を通知。すると、こちらが請求を受けるどころか、二百万円以上も利息を払いすぎていることが判明した。いま返済を求めて交渉中である。

  家主はその後賃貸借契約の解除をしてきたが、やり方が拙速すぎた。「解除は無効。いつでも裁判を受けて立つ」と内容証明を送ると、突然態度が変わる。

 明渡し期限をこちらが納得できる新しい物件に引っ越すまで延長し、未払い賃料を免除し、立ち退き料まで支払うという合意ができ、最近、転居・明渡しがやっと終了した。

 というわけで、このご夫妻の事態は劇的に好転し、当然税金も支払えるわけだし、家の問題も借金もほぼ解決したわけだが(弁護士費用もいまや払えるわけだし)、痛感するのは、法律上、請求する根拠もなく、請求が正義に反するのに、人を極限まで追い詰める過酷な請求をする人々が日本には多すぎる、ということである。そして、弁護士が介入すると一転して、手のひらを返したように対応が変わるケースが多すぎるのである。

 特に昨今、不況、格差が広がる中で血も涙もない話が横行している。

 こちらが訴える側の場合もそうで、交通事故の被害者が保険会社と交渉していたら200万円しか提案されず困り果てていた事案で、私が受任してしばらくして約3000万円で和解したことがあるが、この不条理を相手方の弁護士にぶつけてみると、「やはり権利があっても行使しない人には、それなりの対応になるんですよ」という答えがかえってきたので唖然としたことがある。

  嘆かわしいことだ。

 そこで、こうした問題で困った方は、ぜひ一人で悩んだり凹んだりする前に、弁護士に相談にきていただきたいと思う。

 それに、その相手方となっている方々!  たとえ弁護士が介入しなくても、法律を知っているなら、良心があるなら、不当な請求、請求の濫用などはやめなさい、と声を大にして言いたい。

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