女性の生き方・女性の権利

2018年6月 3日 (日)

6月8日シンポジウム『メディアで起き始めた#Me Too 声をあげられる社会をつくるために』

こんにちは。

早くも6月になりましたね。皆様いかがお過ごしですか。68日にイベント開催します。4月に起きた財務省のセクハラ問題、このまま終わらせていいのでしょうか。

 せっかく勇気を出した女性がいるので、社会を変えたい。そこでみんなを応援するイベントを開催したいと思います。

素晴らしいゲストをお呼びします! 早めにお申し込みくださいね。お待ちしております。

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201868日(金)開催 <http://hrn.or.jp/news/13928/>

シンポジウム『メディアで起き始めた#Me Too

 声をあげられる社会をつくるために』

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 【日 時】201868() 18時~21時(開場 18時半)

【会 場】専修大学 神田キャンパス5号館 7 571教室

・水道橋駅(JR)西口より徒歩10

・九段下駅(地下鉄/東西線、都営新宿線、半蔵門線) 出口5より徒歩5

・神保町駅(地下鉄/都営三田線、都営新宿線、半蔵門線)

出口A2より徒歩5

:交通案内 https://www.senshu-u.ac.jp/access.html#anchor01

:施設案内 https://www.senshu-u.ac.jp/about/campus/

 

【スピーカー】

小島 慶子 氏(エッセイスト・東京大学大学院情報学環客員研究員)

浜田 敬子 氏(ビジネスインサイダー統括編集長)

古田 大輔 氏(BuzzFeed Japan 編集長)

伊藤 詩織 氏(フォトジャーナリスト)

【参加費】一般 2000円/学生 1000

今年4月に財務省のセクハラ問題が発覚。財務省はセクハラを認めて謝罪したものの、その対応は極めて問題をはらむものであり、改めて日本が政治・省庁のトップからセクハラに寛容な社会であることを浮き彫りにしました。

同時にメディア内では、セクハラが横行してきた現実について、ようやく女性たちが沈黙を破りはじめました。声をあげる被害者への二次被害が深刻ななか、声をあげた女性たちを孤立させず、どう現実を変え、セクハラ・性暴力を許さない社会をつくっていけるかが今、問われています。

テレビ局や日本社会のセクシズムについて問題提起を続けてこられた小島慶子さん、4月の財務省問題直後にメディアの女性対象アンケートを実施されたビジネスインサイダー統括編集長の浜田敬子さん、BuzzFeed Japan #Metoo キャンペーンを展開されてきた古田大輔さん、日本で #Metoo の先駆けとなった伊藤詩織さんと一緒に、財務省はじめ省庁と政治はどう変わるべきか、メディアはどう変わるべきか、そして広くセクハラや性暴力をなくす社会をつくるために私たちにできることを考える機会としたいと思います。

当日は、メディアの現場の女性、セクハラ問題に声をあげた若い世代の方のご報告も予定しています。是非、皆様のご参加をお待ちしております。

ヒューマンライツ・ナウは女性に対する深刻な 人権侵害である性暴力をなくすために政策提言・キャンペーン等の活動を進めていきます。


 【参加申込方法】

参加申込ご希望の方は、以下のフォームよりお申込みください。 <https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfj35dssNSzWBD7eg7ETDtQsNBkpyZ94jFbmtZTL2B34cORIQ/viewform?c=0&w=1>

※フォームへのご入力が難しい場合には、参加受付アドレス

event@hrn.or.jp)宛にメールにてお申込みください

件名を「6/8 #MeTooシンポジウム参加希望」として、


お名前(ふりがな)、ご所属(任意)、連絡先(メールアドレス等)、参加費種別[一般、学生]、

どちらで当イベントをお知りになられたかをご記載ください。


【スピーカー プロフィール】

◆小島 慶子 氏

エッセイスト、東京大学大学院情報学環客員研究員。

1995年から2010年まで、TBSにアナウンス職として勤務。その後は執筆、講演、メディア出演などの活動を行っている。メディア表現と多様性に関するシンポジウムの開催など、メディアのあり方についてえる活動や、#WeTooJapanサポーターとして、ハラスメントのない社会を目指す活動も行っている。

 ◆浜田 敬子 氏


BUSINESS INSIDER JAPAN 統括編集長/AERA前編集長。1989年に朝日新聞社に入社。前橋支局、仙台支局、週刊朝日編集部を経て、99年からAERA編集部。記者として女性の生き方や働く職場の問題、また国際ニュースなどを中心に取材。米同時多発テロやイラク戦争などは現地にて取材をする。2004年からはAERA副編集長。その後、編集長代理を経て編集長に就任。編集長時代は、オンラインメディアとのコラボや、外部のプロデューサーによる「特別編集長号」など新機軸に次々挑戦した。20165月より朝日新聞社総合プロデュース室プロデューサーとして、「働く×子育てのこれからを考える」プロジェクト「WORKO!」や「働き方を考える」シンポジウムなどをプロデュースする。20173月末で朝日新聞社退社。

20174月より世界17カ国に展開するオンライン経済メディアの日本版統括編集長に就任。「羽鳥慎一モーニングショー」や「サンデーモーニング」などのコメンテーター、ダイバーシティや働き方改革についての講演なども行う。


◆古田 大輔 氏

BuzzFeed Japan編集長。

1977年福岡生まれ、早稲田大卒。2002年朝日新聞入社。社会部、アジア総局、シンガポール支局長、デジタル編集部などを経て、201510月に退社。同月、アメリカ発祥のメディア BuzzFeed の日本版創刊編集長に就任。ニュースからエンターテイメントまで幅広いコンテンツを配信し、ダイバーシティや #Metoo などのテーマにも力を入れている。

◆伊藤 詩織 氏

1989年生まれ。ジャーナリスト、ドキュメンタリーフィルムメーカー。フリーランスとして、エコノミスト、アルジャジーラ、ロイターなど、主に海外メディアで映像ニュースやドキュメンタリーを発信している。国際的メディアコンクール「New York Festivals 2018」では、Social Issue部門とSportsDocumentary部門の2部門で銀賞を受賞。著者『Black Box』(文藝春秋社)が第7回自由報道協会賞大賞を受賞した。

 

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認定・特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ

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2018年5月 6日 (日)

#Metooのインパクト セクシュアルハラスメントが投資(ESG)リスクに急浮上 他人事ではない

ヤフー個人にも書いた記事、こちらでもご紹介します! 皆様の会社でも是非参考にしてください。

セクハラは世界中、どこでも起きるリスクがあります。

■ 財務省の信用失墜

 福田財務事務次官(当時)によるセクハラが週刊誌で報道されて以来、財務省の対応は法令に基づくセクシュアルハラスメント対応ができず、その権威は著しく失墜しました。

 ようやく、セクハラを認めて被害者に謝罪したものの、

 ・セクハラという人権問題への無理解

 ・不祥事が起きた際の調査体制の不備

 ・ガバナンス、説明責任の欠如

 ということが一気に表面化してしまったのです。

 財務省はこれまでの対応を謝罪し、

 セクハラやパワハラは決してあってはならず、そういうことへの認識が軽い組織だと言われることがないよう、今後、先進的な組織になったと言われるように生まれ変わらなければならない

 と会見で表明しましたが、国際的にも広く報道され、国際的な信用失墜は明らかです。度重なるトップの不適切発言や反省の欠如、調査の打ち切り等、大きな禍根を残したまま、このままの幕引きは到底納得がいかないと多くの人が感じ、政治不信を増幅しました。

 考えてみれば、これまで政府や企業トップの多くがセクハラ被害を深刻に考えず、女性たちは長い間我慢を重ね、それが限界に達してこうした事態に至ったのです。財務省の対応は明らかに時代遅れでした。事態が発覚した後は、セクハラ被害の訴えに備えてこなかったことが明らかな混乱ぶりでした。

■ 民間も他人事ではない。セクハラ問題で企業トップが次々辞任する米国 

 さて、これは全く政府以外の民間では他人事でしょうか。あなたの企業のセクハラ対策はどうなっているでしょう。

 残念ながら、財務省と同様なことが自社で発生したら? と心配になった会社も少なくないのではないでしょうか。 もし民間でこのようなことが発生したら、どうなるのでしょうか。

 米国では既に、昨年秋からの#Metooの動きが民間に広くいきわたり、民間企業におけるセクハラの告発が増え続けています。

 ●ワインスタイン・カンパニー

 まずは女優たちからセクハラの被害の訴えが続々と出されたワインスタイン氏の映画会社ワインスタイン・カンパニーは立ち行かなくなり、破産申請を行いました。

 ●Uber

これに先立ち、急成長を続ける会社Uberでも、2016年12月にを退職した女性エンジニアが、上司によるセクハラをUberマネジメントが放置し、適切に扱わなかったことを2017年2月にブログで告発、トラビス・カラニックCEOは謝罪し、対策を講じると誓ったものの、6月には辞任を余儀なくされました。 

 本件はCEOがセクハラをしたのではなく、セクハラの根絶が不徹底であったことが問われた事案です。

 ●米アマゾン

 アマゾンでもテレビ番組や映画の制作・配信を中心とする部門であるアマゾン・スタジオのトップであるプライス氏がセクハラの告発を受けて辞任に追い込まれました。

 ●ナイキ

 さらにあのナイキでも、つい最近、2018年3月に以下のような事態が展開したのです。 

米最大のスポーツメーカー、ナイキの2人の経営陣、「ナイキ」ブランド(売り上げの90%以上)のトリーバー・エドワーズ社長とジェイ・マーティンゼネラルマネジャーが、「職場での不適切な行為」という内部からの告発により退任した。セクハラか不正行為を意味する「不適切な行為」による退任は、エドワーズ氏がナイキの次期CEO(最高経営責任者)と目されていただけに波紋は大きい。

出典:繊研新聞

 

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 皆さんはどう思われますでしょうか。米国の名だたる著名企業の役員自らがセクハラをしていた、という訴え、またはセクハラの対応が不適切であることを理由に次々に会社を追われ、破産に至った企業もあるのです。

■ セクハラ問題が投資リスク・トップのESG課題に浮上

 こうしたなか、世界の投資家はセクハラ問題に注目をはじめ、セクハラの訴えのある会社への投資を控える傾向が生まれています。

 セクハラは深刻な投資リスクだという記事が昨年秋以降次々と掲載され始めています。

 ■Nasdac:Sexual Harassment is a Major New Investment Risk

 ■Wall Street Journal:Why Sexual Harassment Matters to Investors

  また、ポジティブな側面からも、ESG投資の2018年の主要な指標にセクハラやハラスメント、女性に対する対応を指標として重視していく、という動きが出てきています。

 ところでESGとはなんでしょう?

投資・企業関係者の方はよくご承知のことと思いますが、E(Environmental 環境)、S(Social 社会)、G(Governance・ガバナンス)のことです。企業が社会的責任を果たし、しっかりとしたガバナンスを確保することを投資家は求めるようになり、短期的な利益だけでなく、長期的な持続可能性と社会的責任への対応に注目するようになってきたのです。このESG投資の傾向は国際的な潮流となっています。

日経新聞 企業、ESG対策手探り

  株式市場を席巻する新たな潮流に企業が戸惑っている。欧米で広がる「ESG投資」は環境や社会への配慮、企業統治が優れた企業を選んで投資する手法だ。

出典:日経新聞2018年4月6日

 最近では日本生命がこの方針を鮮明にしていますが、持続可能でない分野への投資をやめていく、という側面も伴っています。

 日生、ESG投資を急拡大 石炭火力は停止検討

 これまでESGのなかで、S=Socialは軽視されてきました。Socialの中核をなすものが人権・労働ですが、最近では、海外のサプライチェーンで起きる児童労働、奴隷労働、人身取引、紛争鉱物等がESGリスクとして強く意識されるようになってきたのです。

産業、投資の分野で人権や環境配慮が進んでいくのは大変歓迎すべき流れです。

 ただ、それでもこれまではおひざ元で起きるセクハラや女性差別等は、たいしたことではない、としてリスクとみなされてこなかったのです。あくまで人権上のリスクは途上国や紛争地での問題、そうした認識でした。

 しかし、#Metooの影響を受けてこうした状況が変わりつつあります。

■ ESG・労働・人権・セクハラの課題を企業はより意識すべき

 

 興味深いのは、ナイキがセクハラ問題の対応に追われていることです。

 ナイキは1990年代以来、いわゆるスウェットショップ問題で国際的に非難を浴びてきました。途上国で児童に大変低い賃金を支払って働かせて、靴を作らせている、という問題です。ナイキはNGOのこうした告発を無視しましたが、米国では不買運動に発展し、株価が下がり、ナイキは対応を余儀なくされ、サプライチェーンで発生する児童労働や過酷な低賃金労働を根絶すると宣言しました。

 その後、ナイキのCSR(企業の社会的責任)は進化を遂げ、国際ブランドの最先端のCSRを自認して先端的な方針を発表してきました。

  NIKE、2020年サステナビリティ目標を発表。

 この目標のラインアップをみると、「日本企業の数段先を進んでいるし明確なコミットメントだ」という感想を持つ人も多いのではないでしょうか。しかし、そのナイキも、自社でのセクハラ対策がおろそかであれば、足元をすくわれ、巨大なガバナンスリスク、投資リスクにさらされるのです。ナイキ等のリーディング・カンパニーが今後この軽視され続けてた問題に対して、どのような対策を打ち出していくか注目されます。

■ ESG課題がまだまだな日本の課題

 国際的なESG投資の潮流に日本も無縁ではいられないはずです。環境、そして人権に関する企業の姿勢は国際的な注目を集め、ESGにおいて十分でない会社、リスクの高い会社は下手をすると投資引上げをされるリスクにさらされる時代が来ています。他人事ではありません。

 東京証券取引所がコーポレートガバナンスコードの改定に乗り出していますが、EU並みに厳しいESG情報の開示を求めるルールづくりが必要であり、企業も人権や環境に関するポリシーを明確にし、説明責任を果たしていくことか求められるでしょう。

 セクハラについては、日本社会の認識はこれまで著しく低く、裁判所でもセクハラの賠償額は極めて少額なままでした。そのため、企業にとっては重大なリスクと認識されてこなかったのですが、今後はガバナンス、投資上のリスクになりうるのです。

 セクハラ対策については、厚労省がせっかく雇用機会均等法に基づいて、詳細なマニュアルを作成しているのであり、これに即した対応を急ぐ必要があります。

 厚労省 セクシュアルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ  

 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000088194.html

「何がセクハラかわからなくて怖い」「不安」という声も少なくありませんが、何より女性たちの生の声を聴くことから始めることが大切ではないでしょうか

 こちらは、4月28日に新宿で若い女性たちがセクハラに我慢できないということで企画した街頭でのスピーキングの様子です。

 

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 何を言われて傷つき、苦しんできたかが多く語られました。たとえばこのようなことです。

 「私は黙らない。セクハラや性差別に声を上げたときに言われた7つのこと」

 こうした若い女性が声をあげる様子を見ると多くの企業管理職の方々は、生意気な若い女性だと言ってバカにしたり軽視したり、苦手だと嫌悪感を示したり、話が論理的でないから等と聞く耳を持たなかったり、とにかく面倒くさい、怖いから関わりたくないと言って遠ざかる、それが標準リアクションだったのではないでしょうか。

 しかし、このようにして女性の声を大切にせず、差別やハラスメントに寛容でいては済まされない時代になりつつあります。

 是非女性の声を聴き抜本的な対応に乗り出してほしいと思います。

※ 5月22日夜にヒューマンライツ・ナウが開催するESG投資・ESG開示セミナー。ESGについて知りたい方にお勧めです。ここでもセクハラに関連する議論もできればと思っています。

  「ESG開示・ESG投資をめぐる国際的動向と日本の課題」 http://hrn.or.jp/news/13852/

2018年4月29日 (日)

「どこが女性が輝く社会?」セクハラ問題の説明責任を果たすため、政府・財務省がただちに取り組むべきこと

最近、女性の権利をめぐる事態はめまぐるしく動いています。

財務省セクハラ問題について一週間前にYahooに書いた記事をご紹介します。その後、財務省が責任を認めて謝罪しましたが、課題は残されています。引き続き責任ある対応を求め、声をあげ始めたジャーナリストの女性たちと連携していきたいと考えています。

2018



■ 居直り続ける財務省

 福田財務省事務次官が女性記者に対して取材中にセクハラ発言をしていたことを週刊誌が報道、それ以来、騒動はやむ気配がありません。

 週刊誌報道直後に、財務省はHPにセクハラを否定する次官の言い分のみを一方的に掲載、調査を行う等として自らの顧問弁護士を指定し、「調査への協力のお願い」等として被害にあった女性に名乗り出るように求めています。傷ついた被害者に名乗り出ろ、というのは被害者心情への配慮に著しく欠けており、恫喝的です。

 さらに、麻生大臣は、女性が名乗り出ない限りセクハラを事実と認定できないという見解を示し、官房長は、「(名乗り出るのが)そんなに苦痛なのか」と発言しました。

  こうしたやり方がセクハラ被害者の心情への配慮に欠け、調査の方法も不適切なものであったとして大きな批判を浴び、財務省はその信用を大きく失墜しています。新聞各社、識者、法律家からも財務省の対応への非難、異論が相次ぎました。

 ところが、テレビ朝日が記者会見をし、正式な抗議を行った後も、財務省の対応は適切さを欠いたままです。

 今の財務省の姿勢はまとめると以下の通り、

 ・福田事務次官をセクハラについて否定したまま、処分もせずに辞任させる

 ・音源がテープが福田事務次官の発言であること認めつつも、財務省として何らの不適切性も認めない

 ・「被害者は名乗り出るように」との調査方法や、その後の「名乗り出るのがそんなに苦痛なのか」との国会での発言について正式な謝罪・反省がない

 ・未だに顧問弁護士に調査を依頼するという利益相反に該当する調査を見直そうとしない

  セクハラの訴えを敵対視し、居直りとしか言いようがない態度を続けているのです。

  セクハラの訴えをした被害者は、セクハラの真偽が明確に認定される前から、手続的に配慮され、保護されるべきであり、訴えを受けた者は適切に対応、調査をしなければならないのは当たり前のルールですが、そうしたことが無視され、配慮に欠ける対応が続いていることはとりわけ問題でしょう。

  セクハラ問題は、財務省のガバナンスのなさと説明責任の欠如、女性の権利に対する無理解が最悪レベルであることを露呈してしまいました。

■ セクハラ被害への理解を著しく欠く不適切な麻生発言

 さらに多くの女性の怒りを買ったのは、報じられる以下の麻生大臣の発言ではないでしょうか。

だったらすぐに男の番(記者)に替えればいいだけじゃないか。なあそうだろ? だってさ、(週刊新潮に話した担当女性記者は)ネタをもらえるかもってそれでついていったんだろ。触られてもいないんじゃないの

出典:週刊新潮

 この発言の意味するところは一体なんでしょうか。

 (麻生氏から見てたとえ)女性の訴えが事実であったとしても

・それがどうしたというのか。たいした話じゃない、触られていないのにセクハラとは大げさだ。

・自分でついていった以上セクハラされても自己責任だ。

・セクハラに文句があるなら男性記者に変えて、女性記者など締め出してしまえばいい

 というあきれたものです。

 セクハラは、職場における性的言動により就業環境が悪化し、女性が安心して尊厳をもって働けなくなることを防止するために男女雇用機会均等法人事院規則等で禁止されています。

 身体接触を伴わない言動もセクハラに含まれますし、セクハラはされるほう(被害者)でなくするほう(加害者)が100%悪いのであって、被害者の対応を問題にすべきではないこと、そしてセクハラ相談があったことを理由に、女性を職場から締め出す等の不利益を課すことがあってはならない、ということはセクハラ対応のイロハのイ。ちなみに相談者のプライバシー保護もイロハのイです。

 参照 厚労省の民間事業者向けパンフ 

  事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!

    (※ちなみに国家公務員のセクハラに対応する人事院規則は最近の改定で、職員が職員以外に行ったセクハラも許されないし対応しなければならないと明記しています。)

 ところが、麻生大臣がこれをことごとく理解していないことは、発言から明らかです。

 こんな意識の政治家が、財務省のトップ、そしてナンバーツーであるということに愕然とします。

 政治家としての資質が厳しく問われなければなりません。

 そして、安倍首相は麻生首相の対応や福田事務次官の言動について明確に非難することもないのです。

 

■ 被害者バッシングが放置されている。

 こうして政府が居直る中、被害者の女性記者が置かれた状況はどうでしょうか。

 深刻なことに、ネットには被害者を特定して顔を晒そうとする現象が続いています。

 そして、麻生大臣の発言に触発されたのか、会いに行った方が悪い、ハニートラップ、等と、被害者を誹謗中傷する心無い「セカンドレイプ」が横行しています。

 勇気を出した被害者のプライバシーを尊重する、そしてセカンドレイプをして傷つけるようなことは決してあってはならない、当たり前のことです。この国のモラルは一体どこへ行ったのでしょうか。

 一部メディアには、被害者がセクハラの音声を週刊誌に提供したことが報道倫理に反するという筋違いの非難が広がっています。

 さらに自民党下村元文科大臣は、被害者の行動を「犯罪」等として責める講演を行ったことが明らかになっています。''推測するにこれは氷山の一角、政権に近い政治家、政権幹部のこうした水面下の言動、コメントがメディアの論調に投影していることは想像に難くありません'''。

 しかし、録音もないままセクハラの主張をしたら、彼女の言い分は否定され、彼女自身も潰されていたでしょう。私もセクハラでそのようなケースをたくさん見てきました。

 セクハラをした権力者のほとんどが強硬かつ威嚇的姿勢でセクハラ行為を否定し、訴えた女性を潰そうとする、これは残念ながら経験則です。だからこそ録音するしか身を守る方法はないのです。

 今、ようやくメディアで働く女性たちが声をあげ、セクハラについて語り始めています。新潮の報道が出なかったら、今のような事態はありません。非難している人たちは、つまり、彼女は権力者のセクハラに沈黙し、耐え、泣き寝入りをしていればよかったというのでしょうか。

 今の状況そのものが、メディアで働く女性に泣き寝入りと沈黙を強いています。だから、他の被害者も名乗り出ないし、非難を恐れて名乗り出る報道機関もないままなのです。

 政府・官僚のセクハラ行為を勇気をもって告発した被害者が洪水のようなセカンドレイプをあび、政府がその状況を放置している、ということ自体が極めて問題です。一罰百戒のようになり、もう二度と誰も声をあげることはできない、というレッスンにしようとしているのでしょうか。

 この間、複数の女性ジャーナリストにお会いしましたが、「ずっといえなかった被害がようやく明るみに出たというのに、このまま被害者だけがバッシングを受け続け、財務省が事態がうやむやにしてまともな調査を行わなければ、女性ジャーナリストが安心して活動できる環境に改善することは絶望的になる。メディアに女性の居場所はなくなる。」との強い危機感を口々に語っていました。

 こうした状況を見せつけられる、声をあげていないセクハラ被害者の方々、女性ジャーナリスト、そしてこれから社会に出ていくであろう若い女性や少女たちがどんな絶望的な思いになるのか、想像してみてもらいたいと思います。

 

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 セクハラの声をあげたらこういうことになるんだな、と思ったら、声をあげないほうがいいとなる、しかし声をあげずにセクハラにあい続けるしかない、というのが日本社会なのだとしたら、それはどんなに女性にとって暗澹たる社会でしょうか。

 これが果たして安倍政権の掲げる「女性が輝く社会」なのでしょうか。

■ 連休前に政府がどうしてもなすべきこと

 このままずるずると政府はだんまりを決め、セクハラ問題の真相を曖昧にしたまま、女性だけが二次被害にあい続けること、そんなことは到底許されないと思います。

 政府・財務省は以下のことを連休前に行うべきでしょう。

 

 ・麻生大臣が一連の発言を撤回して不適切な対応を謝罪すること

 ・「被害者は名乗り出るように」との調査方法や、その後の「名乗り出るのがそんなに苦痛なのか」との発言等、対応について反省し、謝罪すること

 ・音源テープの内容が事務次官の発言として不適切であるとの財務省の見解を少なくとも発表すること

 ・福田氏の処分を行うこと(処分なしの辞任で終わらせないこと)

 ・顧問弁護士による調査をやめ、第三者からなる外部調査委員会を立ち上げて、徹底した調査を実施すること

  外部調査委員会は、企業不祥事等の第三者委員会に関して日弁連が公表しているガイドラインに少なくとも準拠し、財務省と利害関係を有する者を委員に任命せず、完全に独立した立場の外部調査を行う機関とし、あらゆる資料、情報、職員、関係者へのアクセスも可能とすること

 ・国家公務員のセクハラ対応に適用される人事院規則がすべての省庁で徹底しているかを検証調査し、改善を実施すること

・安倍首相は、財務省の一連の対応を明確かつ具体的に批判し、官公庁においてあらゆるセクハラがあってはならないことを明確にすること

 ・政府は被害者へのセカンドレイプを非難し、被害者に対する二次被害を行わないよう広く社会に求め、被害者のプライバシーと心情への配慮を最大限に行うこと

  以上の点に着目して、今後の政府・財務省の動きが女性の想いに即したものなのか、女性を含む有権者を愚弄するものなのか、みなさんとともに厳しくチェックしていきたいと思います。(了)

2018年4月 9日 (月)

女性を土俵から排除するルールは明らかな女性差別。相撲協会は今すぐ見直すべき。


「女性の方は土俵から下りてください」
 44日、大相撲春巡業の舞鶴場所で土俵上で倒れた市長の救助をした女性に、行司が土俵から降りるようアナウンスをしたことが波紋を呼んでいます。

京都府舞鶴市で4日に開催された大相撲舞鶴場所で、土俵上で多々見良三市長(67)があいさつ中に倒れ、心臓マッサージなど救命処置をしていた女性たちに、女性は土俵から下りるようにとの場内アナウンスが数回行われたことが複数の観客の証言などで同日分かった()

出典:京都新聞

 これに対しては、「人命より伝統を優先するのか? 」等と、厳しい批判が相次ぎました。海外の報道はさらに踏み込んで、土俵から女性を排除する差別を厳しく批判する内容でした。

米紙ニューヨーク・タイムズは、相撲の「差別的な慣習が世間の厳しい目にさらされている」と解説した。スイスの「世界経済フォーラム」の2017年版「男女格差報告」で日本は144カ国中114位。これを踏まえ、今回の出来事が「日本でどのように女性が扱われているかを物語った」とした。ワシントン・ポスト紙は、土俵から下りるよう指示されたのは「このスポーツのしきたりで、女性が不浄と見なされているからだ」と指摘。

出典:日本経済新聞

女性を土俵から排除することは明らかな差別 
こうした非難を受けて日本相撲協会の八角理事長は談話を発表し、

「行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くおわび申し上げます」と謝罪した (出典:CNN)

といいます。しかし、相撲協会は何を反省しているのでしょうか。

 相撲協会の芝田山広報部長は、「(土俵に女性が上がれない)大相撲の伝統を守る協会のスタンスは変わらない」という姿勢を明確にし、

こういった緊急事態が、またいつ起こるかもしれないので、場内アナウンスの指導もしていかないといけない。緊急時のマニュアルも作らないといけない (出典:日刊スポーツ)

 などと述べたそうです。つまり、人命尊重のために緊急対応には女人禁制の例外を認める、ということしか念頭にないのです。

 そして、女性が土俵に上がれないことへの批判には、「差別のかけらもない」と否定したとされています。

 このような議論は、事の本質を曖昧にして収束を図ろうとしているだけで、方向性がおかしいことは明らかです。

 ある属性のみを理由に、正当な理由なく立ち入りを排除するというのは、差別以外の何物でもありません。差別の意図がない、といくら言おうと、女性を排除している以上、それは、女性差別にあたります。     
女性が土俵から排除されていることについて、「緊急事態にはどうするか」という議論に矮小化されてよいはずがないと思います。

 普段は土俵に上がれない人間であっても、緊急事態であれば例外的に容認して土俵に上がることを認める、 その議論そのものが差別にあたります。  

  このような議論は、戦前、無能力とされていた女性が戦争末期の本土決戦という切羽詰まった状況になって、竹やり訓練に参加させられたことをありがたがれ、というような、二級市民扱いではないでしょうか。女性をバカにした議論だと思います。

排除の理由は明らかに不合理
  日本には、憲法14条で、男女平等が定められています。これは民間でも適用され、ゆえに職場での男女差別は許されていません。

  男女間での差別的取扱いが許されるのは、合理的な区別と認められる場合だけであり、異なる取り扱いをする側が合理性を証明しなければなりません。ところが、相撲協会は女性を排除する合理性、正当性を全く説明せず、伝統、というだけです。

  その伝統、というのは何でしょうか。

  専門家の文献によれば、室町時代、江戸時代、明治にも、女性の相撲というのは行われ、女人禁制ということはなかったそうです。 
  それが、女人禁制になったのは、明治以降、神道に基づく、女性が穢れている、という考え方に基づくものだとされています。女性は月経がある=血を出す=穢れているという考えだというのです。

  このような考え方で女性を差別し、排除するというのは、女性蔑視の考え方に基づくものであり、合理性のかけらもない差別であることは明らかです。例えば、同じ理由で、女性を職場や政治から排除したり、選挙権を認めない、という結論が許されるはずもありません。

  一般社会では到底容認できない慣行なのに、「相撲は神事だから、伝統のわからない者が余計なことを言うな」等と、女性が論評することさえ許されないような議論があります。しかし、「伝統」「神事」を理由に、女性蔑視が正当化されて、女性差別が容認されて何もいえない、というのは論外です。

  たとえば、伝統・神事を理由に、外国人力士が排除されたり、差別されたら、すぐに人種差別、という問題になり、国際問題にすら発展するのが昨今です。ところが、女性差別については、まるでお約束のように、話題にすることすら適切でない、という空気感があります。女性差別であることすら気づかないような、話してはいけないような議論状況を見ると、日本の男尊女卑は深刻だ、とつくづく感じます。これでいいのでしょうか。

もっと深刻な女性差別があるから?

  女性の論者の中には「もっと深刻な女性差別にこそ目を向けるべき」という議論があるようです。「わざわざ騒ぎ立てるほどのことではない」という議論はこういう時、おうおうにして出てきます。

 実は私も過去に何度か、官房長官や知事の女性が「土俵に上がれなくて悔しい」ということを繰り返し述べていたのを記憶しています。

 確かにその時は、「相撲の土俵になど、あがる人はほとんどいない」「功成り名を遂げた、一握りのエリート女性が騒いでいるだけ。若い女性はもっと苦しんでいるのに」と冷ややかに感じていたのです。

 しかし、今回、宝塚市の市長が「悔しい」と述べたことには共感しました。

 ここまでかたくなに女性を排除して平気でいる相撲協会の姿勢や、その背後にある、穢れ、という伝統の起源を知るにつけ、これは女性みんなの問題であり、スルーすべきではない、と痛感しました。

 女性が土俵に上がれない、ということ=女性にはその属性ゆえに行ってはならないこと、控えなければならないことがある、ということが、「伝統」の名のもとに存在し、正当化され、そうしたスポーツが「国技」として優遇されていることが、人々の意識に大きく影響することは軽視できません。

 そうした事実を子どもの頃から記憶に植え付けられれば自然と、女性は男性よりも劣った存在だと認識させられ、男性は女性を見下すようになる、そのことが性暴力やDV、セクハラ、AV出演強要、職場での男女差別などといった、「より深刻な」と評される問題に直接的につながっていきます。これは私がこうしたケースに多く接してきた経験から実感することです。

 すべてはつながっています。みんなの目につく女性差別は「小さなこと」「表層的なこと」「取るに足らないこと」として軽視されるべきでは決してないと思います。

今すぐにやめるべき
  21世紀、スポーツの世界でも、性別・人種等に基づく差別や暴力は、決して許されないという考えは趨勢になっています。合理性のない「伝統」の名のもとに女性を蔑視し、排除するような相撲の在り方は、今こそ変わらなければならないでしょう。

  東京オリンピックを控え、国際的にも日本のスポーツ界の差別や暴力に対する視線は厳しくなっています。

  相撲協会は、このまま合理性も説明できない女性差別をやめるべきです。

  このまま、一般社会では決して通用しない差別的慣行を維持し続けるなら、公益財団法人としての適格性が真剣に検討されるべきでしょう。 
  主務官庁である文科省も女性差別をやめるべく指導監督をすべきでしょう。

  そして、NHKも公共放送として、大相撲中継を継続するのが果たして適切なのか、再検討すべきだと考えます。()

 

 

2018年3月14日 (水)

3月15日、16日 UN・NYで詩織さんとともにイベントを開催します。

みなさま

ニューヨークに来ています。国連女性の地位委員会に出席するためです。
こちらがオープニング!
Csw62


毎年私たち、この時期に開かれるこの国際会議でイベントを開催していますが、今年は伊藤詩織さんをお迎えし、また日系人会のビジネスウーマンの会にもご協力いただき、とてもわくわくの企画を予定しています。

日本で#Metoo運動をリードする伊藤詩織さん
実名で被害を告発する勇気ある姿勢は多くの女性に勇気を与えました。
私も彼女の会見での様子や、ブラックボックスという書籍に書かれた言葉に心を揺さぶられた一人です。

Metoo3

みんなで応援していくことが必要ですね。ということで詩織さんの声を国連に届けるお手伝いをすることになり、日本でも2月23日のイベントに御参加いただきました。

3月16日のイベントはこちら 国連パラレルイベントです。

Photo

詳細はこちら。是非ご参加下さいね。
http://hrn.or.jp/news/13000/
3/16(金) 午後4時半~#MeTooからの新たな挑戦~ 声をあげた人たちを守り、意識を変えよう!

また、日系人会でも前日にイベントを開催して下さります。
こちらはもう閉めきってしまったそうですが、100人越えで大盛況とのこと。

Jaa

こちらは私がメイン講師、詩織さんをゲストにお迎えし、ジャーナリストの津山恵子さんが仕切ってくださいます。
http://hrn.or.jp/activity/12670/

そしてこれを支えてくださる、ニューヨークで活躍するパワフルなビジネスウーマンの皆様とランチ

本当に素敵な、やさしい方々です。みなさんなくしてこの活動は実現しませんでした。
心より感謝。
Jaa_2

そしてさらに、国連内での記者会見も決まりました。
私も国連会合で発言することはしばしばありましたが、国連で記者会見するのは初めて。緊張しています。
日本の#Metooの現状についてお話しすることにします。

Dear colleagues,

UNCA will hold a press conference on Friday, March 16th at 2:00 pm in the UNCA Meeting Room with Ms. Kazuko Ito, Founder of Human Rights Now and journalist Ms. Shiori Ito, on Protecting and Encouraging Silence Breakers in Japan, particularly in reference to victims of rape, sexual harassment and sexual violence.

Please see the media advisory below for details.

The press briefing is open to all UN correspondents.

Sherwin Bryce-Pease
President, United Nations Correspondents Association

Protecting and Encouraging Silence Breakers in Japan
Press Briefing Friday, March 16th at 2:00 pm

WHAT: During the week of March 12 Ms. Kazuko Ito, Founder of Human Rights Now, will be in New York City to join the CSW 62 along with Ms. Shiori Ito, a journalist who broke Japan’s silence about rape victims for the first time through her experience. They will brief UN reporters about the situation in Japan which still has a male dominated society in spite of being the world’s No. 3 economic power.
Speakers will discuss:
• Ms. Shiori Ito will discuss her experience as a sexual violence victim and will describe the massive challenge women victims in Japan face. After she disclosed her assault by a politically influential journalist, neither the social nor the legal system sufficiently helped her. She experienced media silence and a massive backlash from society, and most surprisingly from women.
• What is happening in Japan to silence rape victims in the midst of the #MeToo movement outside Japan.
• What the difficulties are in breaking the social, cultural and legal barriers in Japan where the society discourages women from speaking out about rape, sexual harassment and sexual violence.
Links to Shiori’s story:
https://www.politico.eu/article/metoo-sexual-assault-women-rights-japan/
http://www.bbc.co.uk/programmes/p05r58zm
https://www.nytimes.com/2017/12/29/world/asia/japan-rape.html
https://www.huffingtonpost.com/entry/why-a-japanese-journalist-went-public-with-her-rape-allegation_us_59f9f89ae4b0d1cf6e921ec1

WHEN: Friday, March 16, 2018
2:00-3:00pm, including Q&A

WHERE: United Nations Correspondents Association (UNCA) Room S-310
United Nations Secretariat Building, Third Floor

WHO: The speakers include:
Ms. Kazuko Ito, Founder of Human Rights Now
Ms. Shiori Ito, journalist

CONTACT: Maromi Martinez martinez9653@sbcglobal.net
Yoko Kobayashi ohayoko0505@gmail.com
rnnyinfo@gmail.com

今回の一連の企画に関しては、多くの方からの心あるカンパと応援で支えていただいています。
心より御礼申し上げます。
是非お近くの方はご参加いただき、メディアにもお声掛けください。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
     


2018年2月24日 (土)

アスマ、インディラ、ナンディー二、詩織さん。#Metooと女性たちの勇気について

■ インドから、旧友が来日
おとといからインドの旧友・女性活動家のナンディー二・ラオが来日している。
昨日は東京、今日は大阪でシンポを開催。昨日の東京では250人近い方々が集まってくれ、伊藤詩織さん、山本潤さんも迎えて本当に感動的なイベントになった。
既に報道もされている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/20180224-00081957/

https://www.bengo4.com/internet/n_7488/

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201802230000885.html?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=nikkansports_ogp


Metoo_2


私も、ナンディー二がもたらした貴重な情報をどこかで丁寧に振り返りたいと思う。

ところで、ナンディー二とはこんな会話を交わした。
「まだ聞きたいことはたくさんある。モディ政権はどうなの」
モディ政権になってからの市民社会への弾圧・抑圧が続いている。

ナンディー二はちょっと話を変える。
「私はビザを申請するときにアクティピスト、フェミニストと書いたので日本政府には入国できないんじゃないかと心配してたのよ。」と彼女は言う。最近の日本の評判に危機感を感じたからだろうか。
「いいえ、大丈夫。日本政府は人権活動家をリスペクトしている。例えばネルソン・マンデラやアウンサン・スーチー。その人権活動家が日本で活動していない限りはね」というと、「インドも同じ」と彼女は笑った。

■モディ政権の弾圧とインディラ

インドでは、NGOへの弾圧が厳しくなり、政権批判をするNGOは露骨な嫌がらせを受けている。
特に驚いたのは以下の件だ。
インドの前司法長官は女性で、インディラ・ジェイシンという強いキャラクターの女性弁護士だ。
夫は、アナンド・グローバー。国連「健康に対する特別報告者」として来日し、福島原発事故後の人権状況の調査報告書をまとめたことで日本では知られる。
しかし、インディラのキャリアはさらに知れ渡っており、国連女性差別撤廃委員会の委員も務めた。
彼女はLawyers Collectiveという、首都デリーに本拠を置くインドの代表的な人権NGOの代表者を務めている。アナンドはその一部のプロジェクトを担ってきた。

しかし、モディ政権になって、まもなくして、このインドを代表する人権NGOであるLawyers Collectiveの資産が凍結されたのだ。しかも前司法長官が代表を務めるNGOだ。
ほとんど何の違反もないし、横領や不正等もない。
これは一罰百戒となり、インドのNGOで政権にチャレンジしようという団体は極めて少なくなってしまったようだ。そのことはインドから来日する様々な団体から聞こえてくることだ。
インディラの世界的なネットワークで、こうした事態に抗議するNGOレターが公表され、ヒューマンライツ・ナウも賛同した。

あれからしばらくたつ。この件はどうなったのだろうか。
ナンディー二に聞くと、まだ口座は凍結されたまま、戦いが続いているという。
困難な闘いをインディラは勇猛果敢に戦っているという。財産が凍結されても人権活動を続け、NGOを運営することが、いかに困難なことだろうか。

■不屈な女性アスマ・ジャハンギルの死

日本ではあまり知られていないが、最近、パキスタンを代表する伝説的な人権活動家、アスマ・ジャハンギルがか亡くなった。とってもかっこいい人だった。

Asma


Prominent Pakistani rights activist Asma Jahangir dies aged 66

https://www.theguardian.com/world/2018/feb/11/asma-jahangir-pakistan-human-rights-activist-lawyer-dies-aged-66

女性の人権活動家としてとても偉大であり、原理主義と闘い自由と公正、女性の権利を求め、不屈なその戦いは、南アジアで多くの人々の心をつかんでいた。多くの人が彼女を敬愛していたのだ。
突然の心臓発作による死。イランの人権状況に関する国連特別報告者として現職で活動していた最中である。
前国連事務総長のコフィアナンも哀悼の意を表明したし、バングラデシュのハシナ大統領もその死にショックを受けたとコメントを出した。そういう女性だ。
パキスタンでは国葬並みの追悼行事が行われたが、ナンディー二によれば、インドのデリーでもアスマの死を悼む集会が行われ、多くの女性たちが集ったという。
そこで、インディラが登壇し、力強く演説したという。
アスマは、人権を守るために意志を貫き、そのために拘束され、投獄され、拷問もされた。それでも彼女は一切屈することなく意志を貫き、活動も発言もやめなかった、とインディラはその生を振り返った。
そして、私たちもアスマの志を引き継いで何があっても戦い続けようとインディラは自らに、そして聴衆に訴え、多くの女性たち、市民たちがそれに感銘を受けたという。
ナンディー二はその場にいて、そこで受けた感動を私に話してくれた。

■ナンディー二 私たちは黙らない。

昨日のイベントでナンディー二は聴衆に語りかけた。
女性たちを苦しめていることのひとつは沈黙である。沈黙を余儀なくされ、不当なこと、例えば差別や暴力の対象となっても、不合理な経験をしても、それについて語れないこと、それは女性たちを窒息させ、自分たちがとるにたらないもの、力のないものだと思わせ、自分がいけないのだという気持ちにさせる、とてもつらいことなのだと。
だからこそ、沈黙を破る#metooには意味がある。
まず語ること、そのことが女性たちを解き放ち、自由にし、女性たちが尊厳を取り戻すことにつながるという。
そのなかで、加害者処罰を求める者もいるし賠償を追求する者もいるだろう、しかし、それを求めないけれども、あったことを声に出したい、その根源的な人間としての要求から声を上げる人たちがいるのだ、と。

沈黙をやぶり、声をあげること、そのこと自体が女性たちの人間性を取り戻し、自由とパワーを回復させるのだ。声をあげることそのものに大きな意義がある、それが#Metoo運動の大切なところなのだ。

声を上げれば攻撃される、しかし、黙り続けていたら女性たちはもっと危ないひどい立場に置かれてしまうことを私たちは知っている、だから私たちは黙らない、とナンディー二はスピーチした。

そこには、困難に直面しながら顔をあげ、声をあげてきたインドの女性たちの伝統が受け継がれ、凝縮されていた。

■私たちも黙らない。

昨日は、#Metooと声をあげることでバッシングされる日本社会が、若い女性たちにいかに過酷なのか、以下に不当な沈黙を強いているかを改めて感じさせるシンポだった。
250人もの会場の参加者たちはみな、詩織さんを応援したいという思いに溢れた人たちだった。
そんなに多くのサポーターをはじめて目の当りにしたからだろうか。詩織さんの涙が印象的だった。その涙をみて私たちも心を動かされた。一人だけでずっとどれだけ頑張ってきたことか。
どれだけ心ない誹謗中傷に苦しみながら、勇気を出して、声をあげ続けてきたことだろう。

詩織さんはmetooでなくてWetoo、みんなに声をあげてほしい、と訴えた。

Photo

そうだ。
私たちはもっともっと声をあげる人たちをサポートしていかなくてはならないと思う。
声を上げた人を一人にしない、応援する、それが昨日のイベントのコアなメッセージだった。


私事だが、今度国連の会議に参加する。
詳細は不明だが、政府批判をしたこと等を理由に、迫害されている人権活動家たちが集まる会議のようだ。
多分、来日した何人かの特別報告者との関連で私に起きた一連の出来事について国連が懸念を持っているからだろう。デイビッド・ケイ氏に関連して私の身辺が尾行されていたのではないか、という報道があることについては、国連事務総長あての報告書にまとめられているのだ。
しかし、考えてみると私が受けたことは尾行・盗聴されたかもしれないという報道のみ。
インディラは資金を凍結され、アスマは投獄され拷問され、詩織さんは心無い誹謗中傷に苦しんでいる。
人権活動をすることは、もちろん困難を伴うものであり、私も楽ではない。しかし、彼らに比べたら私の困難など、本当に大したことはない。
戦前、小林多喜二は拷問されて殺されたのだ。
そのころに比べれば、少なくとも私を取り巻くことなど微々たる問題である。
私が「人権活動家」として国連の会議に参加し、迫害について語るなど、場違いな気さえする。
もちろん、自分に起きていることについて「たいしたことない」と自分の感受性を鈍麻させてしまうと、他の人の心の痛みにもセンシティブでなくなってしまうから、そうあってはならないという思いがある。
自分の身に起きたことが仮に誰かに起きてしまい、萎縮が進んでしまうことがないようにと思う。

女性たちの勇気、そして声をあげること、それは世代を超えて、国境を越えて、脈々と絶望的な中で、絶望を乗り越えて営まれてきた。
インディラが、アスマが、ナンディー二が、そして日本では、山本潤さんが、詩織さんが困難な中でも勇気を出して声を上げ続けてきたように、私も決して黙らない。
みんなが声をあげられる社会、そして声を上げた人をひとりにしない社会をつくっていかなくてはと思う。

2018年2月10日 (土)

AV出演強要問題 最近の動き

今年もAV出演強要問題について取り組んでいます。

2016年3月に私たちが報告書を出したときには、業界から「そんな被害はありえない」という大バッシングを受けたのですが、ひとつひとつ、事実が積み重ねられ、被害者の方々が声を上げて下さり、政府その他の調査や取り組みも進みました。

本当に素晴らしい展開です。今、政府は、女性に対する重大な人権侵害として、AV出演強要問題に取り組んでいます。

その結果、氷山の一角ではあるけれども、被害が可視化されています。

AV強要など日本人の人身取引が最悪 小中学生被害も(2018/02/08 11:58)

アダルトビデオへの出演を強要される被害が相次いで表面化したことを受け、去年、人身取引事件に巻き込まれた日本人被害者の数が過去最悪を更新しました。

 警察庁によりますと、去年、全国で売春を強要されるなどの人身取引事件の被害者は、タイ国籍の女性など46人でした。このうち日本人の被害者は28人となり、3年連続で過去最悪を更新しました。28人のうち14人はアダルトビデオへの出演を強要されていた、いずれも当時18歳の女性で、モデルに応募したところ、身分証を取り上げられるなどしていました。他に小学6年の女の子がマッサージ店で働かされたり、わいせつな画像を親に撮影された中学生の少女もいました。警察庁はさらに被害情報の収集に努めるとしています。


テレビ朝日 http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000120529.html

氷山の一角とはいえ、本当にとんでもない事実です。しかし、こうした被害はこれまでずっと闇に葬られ、みんな泣き寝入りだったのです。苦い現実ですが、一歩前進です。

昨年は強要罪での有罪判決、今年に入り淫行勧誘罪での初の摘発が続いています。
淫行勧誘についてはこちらに書きました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20180120-00080653/

朝日新聞も詳しく報じ、私のコメントも掲載されています。

https://www.asahi.com/articles/ASL1L6KSWL1LUTIL045.html

しかし、あまり重い罪ではないこともあり、私としては危機感を有しています。
そのことを弁護士ドットコムに書いていただいているので、是非読んでいただければ幸いです。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180208-00007395-bengocom-soci

かなり全文引用に近いのですが、大事なので、ご紹介します。

AV出演強要では、労働者派遣法違反など、比較的処罰が軽い罪での立件にとどまっている。伊藤弁護士は「本当に断れない、意に反するかたちの性行為を強要されて、ビデオになっていく状況でも、これらの罪で処罰されない」「乗り越えられない壁がある」として、「刑法改正をすすめていくべきだ」と訴えた。(編集部注:2020年までに見直されることになっている)

また、売春防止法には「人を欺き、もしくは困惑させて売春をさせた者」を処罰する規定がある。(同7条1項)。伊藤弁護士は「仮に、暴行または脅迫がなくても、これまでの類型が、欺罔(人を欺くこと)・困惑という手段で性行為させたといえる」として、こうした処罰規定を参考に「AV出演強要に即したかたちで立法化していく必要がある」と指摘した。

●「販売・配信停止」を求めてもなかなか応じてもらえない

もう一つ、被害にあった女性側が、出演作品の販売・配信停止を求めたとしても、なかなか応じてもらえない問題がある。

伊藤弁護士によると、「販売・配信を停止してほしい」と求めても、タダで応じてくれる業者は少なく、業界団体に入っているメーカーでさえも、高額のお金を払わないと販売・配信停止しないというところもあるという。

これまでの裁判例では、「AV出演を拒んだ女性に対して、違約金をとることは認められない」という判決が言い渡されている。だが、「結局、違約金と同じような高額のお金をつまないといけない状況は変わってない」(伊藤弁護士)

●監督官庁がなく、会社名をかえた場合に打つ手がない

AV業界には現在、監督官庁がない。そこでHRNなど被害者支援団体は、監督官庁の設置を訴えている。さらに、AV出演の契約を「消費者契約」の一種とみなして保護を強めて、違法行為をおこなった業者に対しては、業務停止命令を出せるようにすべきだとしている。

「消費者契約においては、いろいろな詐欺まがいの商法(ビジネス)がある。消費者庁から業務停止されても、会社名をかえて同じような仕事をする人がいる。そういう人には制裁金を課す制度がある。(AV業界についても)こうした制度がないと、同じことが繰り返されてしまう」(伊藤弁護士)

また、弁護士ドットコムにはやはり今週こちらの記事もだしていただきました。
https://www.bengo4.com/internet/n_7390/

成人年齢引き下げにより18歳で成人になり、何も手当がない場合、これまでより一層出演強要をはじめとした性搾取被害は深刻化することになります。これは本当に深刻な問題。
このまま安易に成人年齢を引き下げることには強く反対します。

引き続き、AV出演強要を根絶するための法整備を求めて取り組んでいきますので、是非皆様のご支援をよろしくお願いいたします。


2017年12月31日 (日)

薬物使用の性犯罪 被害者の証拠保全を指示 警察庁

こちら、とても重要な動きです。
最近、レイプドラッグがらみと思われる性犯罪の不起訴が相次ぎ、泣き寝入り社会ということを若い女性たちに植え付ける現実に心が痛みます。
そして、伊藤詩織さんのブラックボックスは、日本の性犯罪被害に対する処遇があまりにもひどいということをあらためて日本社会がかみしめる契機となりました。少しずつですが、何かが進んでいるようです。

これが全国に浸透するのか、それが今後の課題です。

薬物使用の性犯罪 被害者の証拠保全を指示 警察庁
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171229/k10011274871000.html

警察庁は、性的な暴行を受けた事件で薬物の使用が疑われる場合には、被害者の同意を得たうえですみやかに血液や尿を採取して鑑定し、証拠を保全するとともに、睡眠薬などは早ければ数時間で体から排出されるため、正式な被害届が出される前でも適切な捜査を行うよう、全国の警察に指示しました。 また、夜間や休日に被害を訴えるケースも多いとして、性犯罪を担当する部署だけでなくすべての警察官がきちんと対応できるよう、指導や教育を充実させることを求めています。 性的な暴行を受けた人は、警察より前に医療機関や支援団体などに相談することも多く、警察庁は関係する機関との連携についても強化していくことにしています。


#Metoo 声をあげられる社会に。

先日、明治大学のTEDでお話をする機会がありました。
その内容をご紹介させていただきます。
今年は#Metooのムーブメントが起きた記念すべき一年でした。社会で押さえつけられてきた声が沈黙を破って外に出てきた。声をあげた人が取り残されたり、傷ついたりしない社会、一緒に社会を生きやすくするように共に歩める社会をつくっていきたい。そう思います。

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こんにちは。弁護士の伊藤和子です。
私は2006年に日本から国境を超えて活動する国際人権NGOヒューマンライツ・ナウを立ち上げて10年以上活動をしています。
人権とは何だと思いますか。私は、人が自分らしく尊厳を持って生きられる権利だと理解しています。ところが、多くの人が人権を踏みにじられています。
私たちの活動の中核は、深刻な人権侵害にあいながら、声をあげられない人たちに代わって声をあげること、そして解決を求めることにあります。
なぜそうした活動が必要になるのでしょう。人権侵害は多くの場合、力の強い人、権力のある人から、力の弱い人、抵抗できなさそうな人に向けられます。被害にあった人は被害によっていっそう無力にさせられ、声をあげられない状況に置かれるのです。こうして人権侵害の多くはなかったことにされ、闇のなかで続いていく、だから声をあげることを助ける必要があるのです。

みなさんは#Me too のムーブメントをご存知ですか。

今年10月、アメリカのセレブ女優達が次々と、ハリウッドの大物プロデューサーから受けた性的暴行やセクハラを受けた体験を告発したのです。1990年代から隠されていた性被害の数々が一気に白日の下にさらされたのです。
そして10月15日頃、被害者のひとりである女優のアリッサ・ミラノさんがTwitterで女性たちに、性暴力の深刻さを示すために”MeTooのハッシュタグをつけて性的な被害の経験を語ろうと呼びかけました。すると、全米で、翌日には50万回以上のツイートがこれら呼応し、全米、そして世界中でも、私も被害にあった、という”MeTooのムーブメントが広がりました。ヨーロッパでは、政治家たちまで被害をカミングアウト、性暴力をもうこれ以上許さない、という声が高まっています。
では日本はどうでしょう。まだそれほど盛り上がっていません。
その原因のひとつが、声をあげた人を責める、非難する社会環境にあります。
勇気を出して告発した女性がきれいでないと判断すると、「でっちあげ」と叩き、美人だと判断すると「ハニートラップ」と叩く。
そして、加害者ではなく、被害者の落ち度を探します。
男性と一緒に飲みに行ったあなたが悪い、そんな恰好をしていたあなたが悪い、そんなあらさがしばかりして、加害者を責めない、そしてより大きな、性暴力に寛容な社会のシステムを問題視しない。
そんな言説を子どもの頃か見ながら育った若い女性たちは、被害にあっても「自分が悪い」「仕方がない」と思いこみ、声をあげることは難しいのです。

その結果、男性たちの勘違いが進んでしまいました。
今年7月、NHKの朝イチが行った「性行為の同意があったと思われても仕方がないと思うもの」というアンケート調査結果は驚くべきものでした。
二人きりで飲酒した場合27%の男性が、露出の多い服装をしている場合、23%の男性が、女性が泥酔している場合、なんと35%の男性が、同意があったと思われても仕方がない、と回答しています。
女性から見ればとんでもありません。こんなことではうっかり男性と飲酒もできません。そして泥酔しているのに、性行為をするだなんてとんでもないことです。
ところが、こうした非常識が信じられている、そして、裁判の世界ですら、こうした非常識が常識になっています。

伊藤詩織さんは、年輩の男性ジャーナリストから意に反する性的暴行を受けたとして、男性をレイプで告訴をしましたが、結果は不起訴でした。
しかし、彼女だけではありません。女性が同意することが到底考えられない性的暴行のケースで、男性が何の処罰もされずに終わるケースは後を絶ちません。私は多くの女性が悔し涙を流しているのを弁護士としてみてきました。

しかし、そんな性暴力に寛容な社会は変わる必要があります。

明確な同意がない限り、性行為に進むことは許されません。
刑法は、意に反するすべての性行為を処罰するように改正されるべきです。
悲しい思いをする人を減らしていくために、社会の意識も変わっていく必要があります。
私は特に、若い人たちから意識を変えてほしい、と願っています。性について、新しいカルチャーをつくってほしい。
こらちのスライドは、人事院が定めたセクハラの留意点です。これが守られていれば、セクハラに苦しむ人も減ることでしょう。

伊藤詩織さんは「自分と同じ被害に苦しむ人が増えないように」と考え、実名で性暴力被害を告発する活動を続けています。ところが彼女に対して応援の声もある一方、バッシングもあると聞きとても残念です。

しかし、声をあげた人が叩かれるなら、声をあげられない無数の人たちも含めて、泣き寝入りは将来にわたり続きます。
私たちに求められているのは、声をあげる人たちを一人にしないこと、勇気を出して声をあげた人の声を受け止めて、出来ることなら応援することではないでしょうか。

私たちヒューマンライツ・ナウが最近取り組んだキャンペーンにアダルトビデオの出演強要被害という問題があります。「モデルになりませんか」「タレントになりませんか」と女性を騙して契約書にサインさせたとたん、態度を豹変させ、AVの仕事を強要し、従わなければ違約金を要求する、そんな被害に多くの女性が苦しんできました。
2016年3月に被害者の方のお話をもとに調査報告書を公表したとき、私たちや被害者を待っていたのは、「そんな被害はでっちあげでは? 」というバッシングでした。ところが、その時、「私たちも被害にあいました」と勇気を出して告発する女性たちが次々と現れてくれました。告発の声があがるたびにメディアが報道し、大きな社会問題となり、今年5月に政府は本格的な対策を講じることを決定したのです。あの時、バッシングの中でも、「私も被害にあいました」と勇気を出して告発した方々がいなかったらどうなっていたことだろうと思います。そしてその勇気をずっと励まし続けてくれた心ある男性たち、女性たちの応援もとても貴重なものでした。
声をあげる人たちの声に社会が、多くの人が耳を傾けてくれることは、声が大きくなり、たす、からかけるになっていくことは、人権問題を解決させ社会を前進させる大きな原動力になるのです。

ところで最近、性暴力の問題に限らず、「声をあげた人、権利主張をした人、目立っている人をみれば叩く」「バッシングする」という風潮があるのではないでしょうか。

今年だけでも、航空会社バニラエアでの待遇の問題を訴えた障害者の男性、熊本市議会で、子ども同伴で議場に入ろうとした市議が、みんなに迷惑をかけたという理由でバッシングの対象になりました。最近の風潮は、権利を主張した人の側の調整不足や既存のルールに従わなかったこと、さらに過去の言動まであら捜しして、非難するというやり方です。そして声をあげた人は「トラブルメーカー」と責められます。
どうして、彼らの話をまずじっくり聞こうとしないのでしょう。彼らが提起した、もっと大きな問題提起、障害者がもっとアクセス可能な社会をつくること、子育て中の人が政治参加しやすい社会や議会をつくることに議論が集中すれば、よりよい社会をつくれるきっかけになるはずなのに、と思うと残念です。
声をあげる人の足をひっぱる現象が続くと、怖くて誰も声をあげられなくなります。それはみんなの首を絞めて、ひたすら我慢する窮屈な社会をつくってしまうのではないでしょうか。

アメリカでは、1960年代、人種差別を撤廃しようという公民権運動が起きました。一人の黒人女性がバスで白人だけが座れるはずの席に座り続けた、つまり、既存の秩序に身をもって挑戦したことが理由で高揚し、ついに黒人差別を撤廃する公民権法ができました。人種差別に基づくおかしな秩序に従わないという声をあげ、多くの共感を呼んで社会が変わったのです。日本でも実は、同じころ、女性だけ30歳で定年するという差別的な定年制度を持つ企業慣行が横行していました。ある女性がこの企業慣行は憲法違反だと訴えて戦いました。みんな我慢して従っていたのに彼女はこれは差別だ、おかしいと声をあげた。
憲法は男女平等を保障しています。憲法に違反する社内ルールは無効です。
そこで、最高裁の判例が彼女の訴えを認めました。そして全国の会社で、女子差別定年制は撤廃されたのです。女性でもずっと働き続けたい、という当たり前の願いも、企業慣行に意を唱えた、一人の勇気から実現したのです。その恩恵を私たちは受けているのです。

私たちは社会にはびこるおかしなルールや慣習を変えてより生きやすい社会に進歩させることができます。そしてそれはひとりひとりが声をあげることから始まります。
声をあげる人はトラブルメーカーではなく、チェンジ・メーカーなのです。

私たちひとりひとりが生きやすい社会をつくっていくために、声をあげる人をサポートしませんか。

私は人権侵害の構図はいつも同じだと考えています。ひとつは、加害者が圧倒的に強いこと、ふたつめは被害者は弱い立場に置かれて孤立させられていること、最後に三つ目が社会の無関心です。
その無関心がさらにバッシングになることすらあるのです。
私たちの力で、この3つの要因のうち、最初の二つを変えることは難しいかもしれません。しかし、無関心、さらにバッシングというような要素を私たちは変えることができます。そして多くの人が関心を寄せ、ノイズをあげると、事態は変わるのです。
私たちも、声をあげた人に寄り添い、応援することによって、日本をよりよい、誰にもいきやすい社会に変えていくことができる、それを私は信じています。

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AV強要被害問題は今、どうなっているのか。今も苦しみの中にいる被害者たち

みなさま、今年も大変お世話になりました。
AV出演強要被害問題、今年当初から全開で取り組んでまいり、今年5月に政府が対策を決定、という成果をあげました。本当にお礼申し上げます。
でも、まだまだ課題が多いです!!
そこで、ヤフーに11月に掲載した記事を転載いたします。是非新年、被害救済がさらに進む年になりますように。願っています。

■ AV出演強要問題は今どうなっているのか
  若い女性が「タレント」「モデル」などにならないかとスカウトされ、契約を締結した途端、契約をたてにAV出演を強要される「AV出演強要問題」。

  2016年にヒューマンライツ・ナウが調査報告書を公表して以降社会問題となり、今年3月に日本政府は緊急対策を決定、5月に本格的な対策を発表しました。

  これを受けて、政府でも様々な取り組みを進めており、今年9月の内閣府・専門調査会にも各省庁の今後の取り組みが詳細に報告され、予算要求をされています。

  今日まで続いている政府の女性に対する暴力をなくす運動のなかでも、西原理恵子さんのポスターにAV出演強要問題が取り入れられるなど、啓発も進められ、昨年とは格段に違う政府の取り組みにまずは心から感謝したいと思います。 

  こうした取り組みを受けて、事態は改善していると言えるか、といえば、従前に比べて政府一丸となった取り組みが開始されたため、社会全体として「気をつけよう」「ゆるさない」という意識が芽生えた点で、大変良かったと思います。

 しかし、現場の実情をみるとまだまだ深刻。未だに被害者は苦しみの中にいるのが現実です。

 そこでヒューマンライツ・ナウは被害者支援団体と一緒に、11月30日に院内集会を開催し、さらなる対策としての立法を求める院内集会を開催し、実情を訴えることにしました。

11月30日開催の院内集会告知 50人限定、要申し込み
11月30日開催の院内集会告知 50人限定、要申し込み
 こうした機会に先立ち、この場を借りて、被害に関する現状を被害の各ステップごとにご紹介していきたいと思います。

 (以下の内容は、守秘義務を前提として、支援団体、弁護士等と情報交換をして得られた情報に基づくもの、プラス私自身の確認している被害事例に基づくものです。守秘義務がとても大切な事例ですので、一部に具体性に欠く点があることをご理解いただきたいと思います)。

■その1 勧誘段階  スカウトや虚偽勧誘広告は今も野放し。
 若い女性が勧誘されて騙される入口になるのはスカウトです。

 いま、スカウト側も、路上でAVへの出演を勧誘することは法律に触れると判断して、さすがに路上で「AVに出ないか」などと言うスカウト行為を公然と行うことは少なくなっています。

 その代わりに、目的を偽った「モデル」「コスプレモデル」「デッサンモデル」等の勧誘を行い、そののちにAVだと告げるケースが後を絶ちません。その後の執拗な勧誘に逃れられない若い女性は未だに多いのが現状です。

 高額報酬という文字とともにネットで「コスプレモデル」「デッサンモデル」中には「東京コレクションモデル募集」などと大々的に宣伝し、応募した女性をAVに執拗に勧誘し強要する、という事例が報告されています。

 また、未成年の頃から『アイドル』になれる等と長い時間をかけて関係性をつくり、幻想を持たせて、着エロに出演させ、18歳になるとAVに出演させるというケースもあり、児童ポルノ被害とAV強要被害は地続きの関係にあります。

  厚生労働省は、今年9月15日付で出した「依頼」文書で、AV出演の勧誘、AV制作会社への女優の派遣がそれぞれ職業安定法、労働者派遣法に違反することを明記し、法令順守を依頼していますが、業界がこれをどう受け止めるのか、まだまだ不明です。

  法令順守をするならば、すべてのAVプロダクションは、派遣事業者として許可を得なければならないし、許可基準を満たすために業務を適正化しなければならないはずですが、そのような話は聞いてことがありません。

  さらに、今後は一切スカウトを使用しない、虚偽広告で応募をさせる勧誘方法を用いる業者は使用しない、という取扱いとされる必要があります。果たしてそのような形でしっかりと規制されていくのか、問われています。

■その2 契約段階
 スカウトされた女性の多くは若くて法的知識に乏しく、プロダクションから提示される極めて不平等な契約書にも十分な説明も受けないまま署名捺印してしまいます。そして、後になって契約書をたてに「義務をはたせ」「出演しないなら違約金を支払え」と言われるケースが多く、多くの場合契約書を渡してもらえません。さらに、メーカーとの契約書(出演同意書)についても極めて女性に不利な内容であるにもかかわらず、プロダクションから強要され、メーカーが提示した書類にサインする以外の選択肢を与えられていません。

 これが私たちが2016年3月の調査報告書に書いた内容でした。

 今もこうした実情は、大きく変わっていません。

 最近、相談に来られる被害者も、今なお、契約書のコピーを手渡してもらっていない、と訴えています。

 そして、メーカーに連れて行かれた際、契約書の内容を説明されることもないまま、「全員退席するからカメラの前で契約書を読み上げてほしい」と言われ、読み上げさせられた、というケースがありました。

 既にプロダクションから「絶対断らないでくれ」と厳しくコントロールされ、NOという選択肢を奪われている被害者の方は、渡された紙を読み上げるしかありません。

 十分な説明もないまま承諾させ、カメラの前で読み上げさせる、という運用が事実とすれば、それは、単に業界関係者を守るための有利な証拠づくりにほかならないのではないでしょうか。

■その3 撮影段階
 AVの撮影がいやでも、「バラし代がかかる」等と言われ、撮影から逃れられない状況は今も続いています。

 SOSを受けて、弁護士などが「契約解除ができるよ」「未成年だから契約を取り消せます」等と法律的なアドバイスをしても、「どこまでも追いかけてきます」「逃げるところがない」などと追い詰められた心境になる被害者は少なくありません。

 そうした被害に対し、タイムリーに対応する支援体制もまだ十分に整備されておらず、民間の力では限界があります。

 撮影段階では最近の事例でも、ひどい暴行、人権侵害があった、聞いていない撮影内容だけれども従うしかなかった、と訴える被害者の方がいます。

 そして、複数男性との本番の性交渉を避妊具もつけずに行う、場合によっては射精をされてしまう、ということもいまだに続いています。女性たちは性感染症に脅え、妊娠のリスクにも脅えています。

 撮影の後には、医師の処方もないモーニングアフターピルを渡され、飲むように指示されますが、それも人体にどのような影響があるかわからず怖い、という訴えがいくつも寄せられています。

 さらに、撮影段階でのトラブルを防止するために監視カメラのようなものが常時設定されている、というクレームもあります。そのこと自体が怖いし、のちに悪用されてネットに公開されるのではないか、と強く怖れる女性も少なくありません。

■ その4 販売・配信段階
 相談事例でしばしばあるのが、モデルや露出のない高額バイトだと思って応募したところ、AVだと言われ、怖くなったけれどしつこいし断れない、「絶対に見バレしない」と約束されて断れずに「見バレしない」という約束を信じて嫌だけれど仕方なく撮影を一回だけした、というようなケースです。

 トラブルにあってもなかなか権利行使できない、大事にできない若い女性がしばしば陥りがちな被害のパターンです。

 ところが、見バレしない、パッケージの顔を変えてわからないようにする、ネット配信はしない、等の口約束は単なる口約束であり、全く守られず、顔もそのまま、大々的に販売・配信、という約束違反が多いのが実情です。

 そして、そうした事情は「口約束」ですので、後で訴えても、「契約書には一言も書かれていない」等と言われ、販売・配信もなかなか停止してもらえません。

 そのために、婚約が破談になる、結婚相手に知られ険悪な関係となる、地元の友人知人に知られてしまい、居場所を奪われる、という被害が寄せられています。

■ その5 支援機関・弁護士に相談した後の販売停止について
 こうしたトラブルが支援機関に寄せられ、第三者が介入した後も、簡単に販売・配信停止が実現しないのが現状です。

 最近、DMM、アマゾン等では、支援団体等から強要被害、意に反する販売であるとして販売・配信停止を求められた場合、比較的迅速に販売・配信を停止する動きが始まりましたが、まだ業界全体に浸透しているとはいえません。   

 大手といわれるメーカーの中には、販売、配信をすぐに認めるメーカーもありますが、基本的には

主張されている強要のような事実は一切ありませんが、お気持ちを察しして自主的判断として停止します

 と連絡してくる社がほとんどです。

 またとある最大手メーカーは、配信・販売停止を求める被害者の訴えに対して、  

私たちは出演強要は一切許されないと考えています。しかし、プロダクションに確認したところ、そちらの主張する強要の事実を否定しました。そこで、そちらから強要を示す明確な証拠を提出いただければ、販売・配信停止を進めます。

 と通知してきます。

 AV出演強要被害は、メーカーには見えないところで、多くは密室などで脅される被害です。被害者の多くは若い女性で、強要を明確に立証する物的な証拠などあることはほとんどありません。そうした被害の実情を知りながら、こうしたことを言ってくるのは極めて問題と言わざるを得ません。こうしたメーカーは、証拠が出されなければ販売を続ける、または再開する、としています。

 また、同じ最大手メーカーは、未成年の行為として民法により契約の取り消しを通告した場合、「支払った出演料を全額返還してください」と求めてきます。出演料を返還するのであれば、出演により得た売上利益も返還するのがフェアですが、出演料のみ返還せよ、と言ってくるため、未成年の女性たちはおびえてしまうのです。

 さらに、大手でも販売・配信停止に一切協力しないメーカーも今でも少なくありません。さらに大手でない無数のメーカーや海外の無修正サイトは、いまだに被害者の訴えに非協力的です。

 そもそも被害者は現場に行って出演同意書にサインし、そのコピーももらえませんので、どのメーカーの作品に出演するのか認識すらしていません。販売されたDVDのパッケージにもメーカーの住所、氏名、連絡先は明記されていないので、苦情を言うこともできないのです。

 さらに、撮影された映像は、転売されたり、二次利用されたり、総集編がつくられたり、違う女優の名前でまったく違う内容のものとして発売されたり、やりたい放題使われてしまいます。

 出演時にメーカーは被害者に、

今回出演した作品をあらゆるメディアで発売・上映・放送することに異議ありません。パブリシティに全面的に協力します
などという同意書にサインするよう求めます。そして被害者の方はこうした書類にサインする以外の選択肢がほとんど与えられていません。

 しかしひとたびサインすれば、映像データはどこまでも転売、拡散され、海外の無修正にまで拡散され、消すことが不可能というケースも多いのが実情です。

 各種配信事業者は、削除要求に対し、本人確認のための戸籍謄本等の書類の提出を求めてきます。しかし、周囲にばれてしまうこと(身バレ)を何よりも怖れている被害者の方が、削除してもらえるかもわからないネット事業者にプライバシーの根幹にかかわる情報を提供することは極めてリスクが高く、多くがこれ以上のプライバシー拡散を恐れて、削除要求にすら踏み切れない状況なのです。

  私が個人的に扱っている案件では、販売停止を求めてとある大手メーカーと交渉している最中に、被害者の無修正動画が拡散するという事例がありました。

メーカーは無修正の流出は自分たちの責任ではない、そもそも自分たちは仕入れて販売しているだけであり、制作者、著作権保有主体が誰なのかは教えられない、と拒否回答、審査団体も著作権主体が誰なのか回答を拒絶しています。

 このようなことが現在もまかり通っているのです。

■ 処罰
 AV出演強要を巡って、最近、強要等でDVD販売サイト運営者が有罪判決を得た事例があります。

AV出演の承諾強要で有罪判決、大阪地裁

「悪質な常習的犯行」

 モデルとして募集した少女らにアダルトビデオ(AV)への出演を勧誘し、強制的に承諾書を書かせたとして、強要などの罪に問われた元DVD販売サイト運営の金沢新一被告(48)に大阪地裁(松田道別裁判長)は21日までに、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年、罰金30万円の判決(求刑懲役3年、罰金30万円)を言い渡した。

 松田裁判長は判決理由で「若い女性の思慮の浅さに乗じ、出演せざるを得ない状況に追い込んだ悪質で常習的な犯行だ」と指摘。

 一方、被告が起訴内容を認め、被害者の1人に慰謝料として20万円を支払ったことなどを理由に保護観察付きの執行猶予としたが、期間は「再犯の恐れも否定できない」と最長の5年を付けた。

 判決によると、2014~16年、インターネット上でコスプレモデルの募集を装って少女らを集め、東京・渋谷や大阪の撮影スタジオでAV出演に勧誘。うち当時18歳だった少女を脅し、承諾書に「わいせつ行為は私の意思です」と書かせた。〔共同〕

出典:日経 10月21日


 この事例については、以下の報道にあるように、女子高生ら約200人が被害にあったとみられていました。 

19都府県の女子高校生ら約200人が被害に遭ったとみられ、同課は出演を強要した疑いも視野に実態解明を進めている。

出典:時事通信


 ところが、被害者の多くが自分のプライバシーが晒されることを恐れ、捜査に協力できず、これだけの被害にもかかわらず、起訴できた事例は一部にとどまり、加害者は執行猶予判決を受けたにとどまったのです。

 本件はAV出演強要被害について強要罪で有罪判決が下されたケースとしては意義があり、警察も熱心に動いてくれたと思うのですが、今後に多くの課題を残したケースだったということができるでしょう。

 今後、年若い女子学生や若い女性に一生の心の傷を負わせる被害を与えた加害者・事業者に対し、もっと厳しい処罰で臨むことができないのか、被害者が救済される道があるのか、しっかりとした検証が求められていると言えるでしょう。

■ 有識者委員会の提言について
AV業界は、この間の流れを受けて、AV業界改革推進有識者委員会を発足、10月4日に提言をまとめています。

資料によると、以下のようなことが提案されているようです。

 

・女優の人権に配慮した適正AVを実現するために、ルール、システムを整備する。

 ・メーカー、プロダクション、女優の統一契約書を使用する。

 ・プロダクション契約(登録)時に、女優が再検討できる期間を明確化する。

 ・プロダクション登録時の第三者による意思確認と、重要事項説明の制度化

 ・面接、契約、撮影時の現場録画による可視化

 ・出演料等、金銭面の女優への開示

 ・二次使用にあたっての使用料の女優への支払い

 ・作品使用期間の定め(最長5年)

・通報窓口・ホットラインの開設

 ・仲裁機関の設置

 これが実現すれば一歩前進といえるかもしれません。

 しかし、このルールに従わない業者は広範に存在すると考えられ、従わない業者が野放しになり、被害者が放置されることがないようにするためにはまず、しっかりした法整備が必要でしょう。  

 そして、この提案では、悪質なスカウトへの対応や、労働者派遣法、職業安定法の順守については一言も述べられていません。

 また、意に反する作品に出演を余儀なくされた場合に削除をしてほしいという切実な要望にどこまでこたえられるのか、大きな疑問があります。

 作品の流通期間を制限することは重要ですが、最長5年ではあまりにも長く、被害者の実情に寄り添ったものとは到底言えませんし、その5年間、どこまでも拡散された画像・動画をきちんと業界が責任をもって全部削除してくれるのか、という問題も残ります。

 また、契約時のみ録画をしたとしても、カメラの回っていないところで脅されたり、騙されたりして完全にコントロールされ、ノーと言えない状況に置かれてしまった被害者たちがいることを考えれば、契約書のところで完全に同意しているからいいのか、というと、かえって被害者を追い詰める結果になってしまうことを私は懸念します。

■ 立法による抜本的解決が今こそ必要
 私たちヒューマンライツ・ナウは、問題解決のために2016年3月に発表した報告書で、以下の内容を含む律法を求めています。

1) 監督官庁の設置

2) 真実を告げない勧誘、不当なAVへの誘因・説得勧誘の禁止

3) 意に反して出演させることの禁止

4)  違約金を定めることの禁止

5) 禁止事項に違反する場合の刑事罰

6) 契約の解除をいつでも認めること

7 ) 生命・身体を危険にさらし、人体に著しく有害な内容を含むビデオの販売・流布の禁止

8) 意に反する出演にかかるビデオの販売差し止め

9) 悪質な事業者の企業名公表、指示、命令、業務停止などの措置

10) 相談および被害救済窓口の設置


  

 実際にしっかりと監督官庁を設置し、プロダクションやメーカーを登録制にする等して、適正な運営をしていない場合は業務停止等の強力な措置を講ずることができることが必要でしょう。

 このほか、

 ・人身取引罪の構成要件の拡大、

 ・労働者派遣法有害業務派遣については、派遣先も処罰対象とする法改正、

 ・労働者派遣法・職業安定法の厳罰化、  

 ・さらに新たなAV出演強要罪の新設   

  など、刑法上の対応も必要と考えられます。

 リベンジポルノ罪の構成要件の拡大により、意に反する動画をアップすることをすべて禁止し厳しい罰則を科すことも求められます。

 さらに、「出演を承諾し、どんな利用にも異議ありません」という定型文書にサインさえすれば、二次利用、三次利用、無修正の海外サイトへの転売等もやり放題という事態を解決するために、

 ・著作権法について改正し、性的な画像に関してはいわゆる「ワンチャンス主義」を修正することが必要となるでしょう。

 こうしたいくつかにわたる法律を修正し、AV出演強要被害をなくすための法整備を国会議員の皆さんの力を借りて実現していくことが今求められています。

 是非、議員の先生、省庁の方には、この問題の解決に向けて取り組みを一層強化していただくよう呼びかけたいと思います。

 そして、多くの女性たちがいまも苦しみの中にいることを多くの方に知っていただき、声をあげられない人たちのために声をあげ、話題にしていただきたいと思います。

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