書籍・雑誌

2014年8月28日 (木)

やっと新刊・福島原発事故について考えてほしい・グローバー勧告

ヒューマンライツ・ナウ編集の、新しい書籍が発刊いたしました!

『国連グローバー勧告
 ─福島第一原発事故後の住民がもつ「健康に対する権利」の保障と課題』

編集)ヒューマンライツ・ナウ

発行)合同出版株式会社

福島第一原発事故による、放射能汚染と健康被害への影響について、
国連特別報告者が日本政府に勧告した報告文全文と解説の書。

今後の放射能問題についてのガイドラインです。

一年がかりで完成しました。翻訳や脚注、とても細かくて、大変でしたが、ようやく世に送り出すことが出来、満足です。
3月にグローバーさん招聘イベントに集まっていただいたみなさまにも是非活用していただきたいし、訴訟にも活用してほしいです。

子どもの甲状腺がんはどんどん増えて100人超。これ以上真実から目を背けるわけにはいかないのではないでしょうか。
是非政府には、一日も早く、グローバー勧告に従って、抜本的に政策を転換してほしいと思います。

是非皆様、広めていただき、1人でも多くの方に読んでいただきたいです!!
よろしくお願いします。

アマゾンでも既に販売されています。 
http://www.amazon.co.jp/dp/4772612122

ご関心の皆様にもお勧めいただけますと幸いです。

 またカスタマー・レビューで応援してくださいね。

2012年9月13日 (木)

ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」を読んで。

ナオミ・クラインのショック・ドクトリンをようやく読み終えた。
アーレント、サイード、チョムスキー、ソンタグ、
などをこれまで読んできたけれど、
最近読み応えるある、混迷する世界をどう考えればよいか、
という問いに応えて鋭い分析を提示してくれる書籍が
本当に少なくなったように思う。
そんななかで本書、久しぶりに傑作を読んだ気がする。

本書は東日本大震災後の日本を警告する書籍として
話題になったが、惨事便乗という枠を超えて、
ミルトン・フリードマンに始まる新自由主義のイデオロギーと
その貫徹、国際金融機関と米国支配層(企業および
政府要人とその癒着構造)によるこの作戦遂行への
共犯関係を見事に喝破している。

私がこれまで、政治、体制移行、さらにいえば人権侵害
という視点からのみ、自分なりに相当の注意を払って
観察してきた歴史的事象について、抜けていた観点が
明らかにされた。
私が見ていたのは歴史の縦糸に過ぎず、横糸は完全に
看過してきたことに気付く。
まさにパズルのMissing Pieceがはまり、全体像が明らか
になった感がある。
表面的な事象に心奪われて、世界の裏側で進行していた
ことについて、私は適確に見抜けてこなかったんだな、
と思う。そのことを痛切に反省した。

本書に批判されているとおり、このような傾向、ショックの表面的
事象に心を奪われるという現象は、人々が陥りやすい傾向で
あり、特に人道家や人権活動家もその傾向に陥りやすいので
要注意である。

表面的なショックに心を奪われ、表面的で衝撃的な物事の
事象のみを取り上げて糾弾し、あるいは心を痛め、あるいは
心が折れてしまい、あるいは人道的・人権に即した解決を見出そうとする。

しかし、そのような表面に心を奪われている間に、肝心の支配は進行しているのだ。

例えば私はラテンアメリカの米国主導による軍事独裁政
権の卑劣な政権転覆やその後の拷問・強制失踪という
事態について研究してきた。
そして「正義」という観点から、その後の民主化と人権の
回復について論評したりしてきた。

例えば、イラクにおける米軍の軍事行動がいかに国際人道
法に違反するのか、ひとつひとつの戦争犯罪行為について
告発をしたり、グアンタナモ基地における収容者への拷問を
告発し、釈放を勝ち取るための弁護活動に携わったりした。

南アフリカやその他の「移行期」の国々を見る視点は、
Transitional Justice(移行期正義)という人権侵害を再発
させず不処罰を放置しないための取り組みだった。

しかし、その影で実は、多くの国で、あの南アフリカでも、
新自由主義が跋扈し、国の貴重な財産を民営化して
海外の資本の半ば略奪に近い買収が実現していくの
を、IMF等が恫喝的に強要し、軍産複合体が経済的侵略
を果たしてその国の人々を全面的に搾取していたのだ。

なぜ南アフリカが、アパルトヘイト後も貧富の格差が
拡大し、犯罪と貧困に満ちているのか、ようやくわかった。

「移行期」をめぐる裁きが、過去の人権侵害について詳細な
報告書のかたちとなり、自由を保障する制度が確立する
背景では、ワシントン・コンセンサスの押し付けにより、
経済的主権が投げ出され、妥協の対象となり、
将来にわたる人々の貧困化と国有財産の売却が
進行しているのかもしれない、にもかかわらず、
人権活動家は「裁判」にのみ心を奪われ、目の前の
深刻な事態の進展を見過ごしてしまうのだ。

人権侵害や意図的に作り出されたショックに
目を奪われていては、そのために誰がどのような利益
を得ようとしているのか、という真の戦略は見抜けない。

ナオミは、人権侵害の意図の背後にあるねらいを一切
捨象した人権団体の報告や活動に対して、鋭い批判の
矛先を向けていて、私にとっては大変耳が痛い思いが
した。しかしそのとおりなのである。

特に、欧米の人権団体は伝統的に政治と意図的に
距離を置こうとするため、各論の行為を列挙する点
では優れていても、事象の全体像の一面しか強調
せず、ミスリーディングな役割をしばしば果たすこと
になったり、最悪の、またはせいぜい
中途半端な解決をもたらす共犯にすらなりうる。

(なお、人権についてはチョムスキーもその一面化に対して
警戒心を隠さなかった。
アーレントは経済とは異なる角度ではあるが、アイヒマン
法廷が、収容所に人々を運ぶ個々の行為の立証に
血道をあげて、民族を皆殺しにするというホロコーストの
全体像を見失っていることに警鐘を鳴らした。)

個々の拷問の残虐さを訴え、一つ一つの戦争犯罪行為を
糾弾するだけでは、人権侵害をつくりだした大きな勢力を
免罪することになりかねない。

人権侵害行為が生まれるにあたってどのような力が働き、
誰が究極の利益を得たのか、そのことを特定し、告発して
行かない限り、世界から、一貫した経済的意図に基づく
人権侵害を根絶することはできないのだ。

本書は、IMFと決別したラテンアメリカ諸国について最終章
で述べる。
新自由主義の実験場であったラテンアメリカの現在のあり方
はナオミが表現する通り感動的で、未来のあるべき姿
を示している。
確かにワシントンコンセンサスにノーをつきつけたラテンアメリカの
闘いは鮮やかな「大きな物語」である。

しかし、私たちは70年代に抗した実験場とはならず、
苦い薬を飲まず、そのため新自由主義に対する免疫が
きかないまま、いまや新自由主義の最先端を行こうとするアジア地域にいる。

そして、欧州危機、これをどうとらえればよいのか。

ラテンアメリカと同様なかたちでの道程を歩まない悩める
大陸に対するナオミの鋭い分析を、是非読んでみたい。

ナオミのこれからの書籍を楽しみにしつつ、ナオミから受けた
視座を自分のなかに確立していかなくては、と思う。


2010年3月21日 (日)

新刊 「裁判員と死刑制度」

私がアムネスティの寺中誠さんと共著で出した新刊「裁判員と死刑制度」が刊行された模様です(カンボジアにいるので詳しくはわからないのですが、周辺情報によるとそうらしい)。

書籍の紹介はこんな感じ。

http://www.shinsensha.com/detail_html/04shakai/1006-2.html

タイトルからはいろんなことを想像しますけれど、最先端の高度な話というよりは、どちらかというと学生さん向けの入門書、というところでしょうか。

私のパートでは、間違って死刑判決とか出さないで、人の命はとても尊いので、冤罪の被害を生まないでほしい、ということを個人体験から語っています。私の司法改革(刑事裁判への市民参加)への執念の原体験などもご紹介しています。本当は裁判官にこそ読んでいただきたい、ということかもしれません。

一方、寺中さんは冤罪であろうとなかろうと、死刑執行はどうなのか、を問う、死刑廃止論を貫く議論を展開されています。

ゆえに、私たちの議論はちょっと視点が違い、かみあっているようなかみあっていないようなところがあり面白いですが、研究者の先生方がうまくまとめていただきましたので、ご興味ありましたらご一読いただけると嬉しいです。

2009年6月12日 (金)

新刊のご紹介 こんなときどうする? 女性のための法律相談

「こんなときどうする? 女性のための法律相談」という本を東京弁護士会の両性の平等に関する委員会で出版しました。

昨年その委員会の委員長だった私は、委員の皆さんと一緒にとてもつらい思いをしながらまとめたのをよーく覚えてます。

年末の12月23日も寒い中、ある弁護士の事務所に休日出かけて編集会議、年明けも早々にこの編集会議だったこと、風邪ひきながら青くなりながら書いたり直したりしたことが思い出されます。

そんな産みの苦しみのせいもあり、、、というわけでもありませんが、

この間DV法改正、均等法改正、パート労働法改正、派遣をめぐる動きなど、

女性をめぐるさまざまな法改正に対応して、使いやすい、

よい本に仕上がっていると思います。

離婚やリストラ・退職勧奨、仕事と子育ての両立、セクハラ、ストーカーなど、女性が人生の岐路に迷うさまざまな場面で、法律と権利、その使い方をコンパクトのまとめましたので、ぜひ手にとって役立てていただけると嬉しいです。

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%A8%E3%81%8D%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%99%E3%82%8B-%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%BE%8B%E7%9B%B8%E8%AB%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-%E6%96%B0%E7%89%88-%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E4%BC%9A%E4%B8%A1%E6%80%A7%E3%81%AE%E5%B9%B3%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A/dp/4324085234

2009年3月23日 (月)

新刊「なぜ無実の人が自白するのか」好評発売中です!

最近、私が翻訳をさせていだたきました、

日本評論社「なぜ無実の人が自白するのか」の

アマゾンの書評をおそるおそる読みましたところ、とても好評なコメントをいただいていることがわかりました。

翻訳者冥利につきるとはこのこと。

日本の事例として出しました、名張事件についても、虚偽自白の事例として理解いただけたようで何よりです。

拙著である2006年に出した「誤判を生まない裁判員制度の課題」のほうが、メディアの方々からよくお問い合わせを受けるので、「なぜ無実の」は大丈夫かな、と最近心配していましたので、少しほっとしています♪

まだお買い上げでない方もぜひ、お買い求めいただけると嬉しいです。

なぜ無実の人が自白するのか―DNA鑑定は告発する (単行本)

2100円です。

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%84%A1%E5%AE%9F%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%8C%E8%87%AA%E7%99%BD%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B%E2%80%95DNA%E9%91%91%E5%AE%9A%E3%81%AF%E5%91%8A%E7%99%BA%E3%81%99%E3%82%8B-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%B3%E3%83%BB-%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%82%A3%E3%83%B3/dp/4535516642

2009年1月28日 (水)

近ごろ、出張TIMEは勝間さんの本。

今日は国内出張でした。こういうとき、新幹線で最近手にするのが

勝間和代さんの本。

11月くらいから出張の機会を利用して、ぱらぱらと読んでいます。

(特に人権をやってる)弁護士はビジネス書は軽視する傾向が強いし、

効率化は眉唾だと思っているし、自信があるため自己啓発本は

読まない、というのが大体のところ。

ゆえに、同僚から「何であなた、そんな本読むの?」と言われたりするんですが、

(読んでるだけで新自由主義扱いされたりして。変な業界かも)

なかなかためになり、頭を活性化させる刺激にもなる。

そもそも、勝間さんの本を読んだのは、林真理子さんとの対談で

「本を出したら売れないとおもしろくないでしょう。せっかく書いたんだから」と

勝間さんがさらって答えたのを見て、はっとしたから。(当時私は、

少なくともベストセラーにはならなさそうな専門書を根をつめて

執筆している時期だったので。それは自分では蜜のような時なのだが)、

「おー、私と違う価値観!」と何か新鮮な興味を持った。

それで、未知との遭遇の好奇心に引かれて勝間本を手にとってみたわけ。

ビジネス書ということで、想像してたのと違って、内容は決して

厭味じゃない、必死さも狡猾さもない、

そして、儲け第一主義じゃない、、社会のために貢献したい、という

あたりをみて、もちろん価値観が違うところはいっぱいあるけれど、

共感できたりしたのでした。

男女共同参画を推進したい、正規・非正規の格差をなくそうと考えている、

アフリカやアジアのことをみんなに伝えていきたい、などと繰り替えし

言われているのですが、

それは私がアジア、アフリカの人権をNGOとして取り組んだり、

弁護士会で男女共同参画、非正規雇用の問題を弁護士として

まさに取り組んでいるところと、期せずしてとっても重なるので、

ちょっと驚きもしました。

(スーダンでは、勝間さんはトイレや学校をつくるというので、

スーダンの和平・人権状況改善のために国連を動かそうっていう私の活動とは

分野が違ってますが、いろいろ聞いてみたいものです。)

とはいえ、自分とまったく似通った人の話は面白くないわけですが、

やはり全然違うところがあるからこそ、面白いし、勉強になる。

たとえばそれは方法論。

自分でも無意識のうちに我流で実践していたことが、

フレームワークで整理されて説明されたりすると、

「ふふふ」と納得したりするわけだが、一方全く新しい発想も思考方法もある。

いろんなビジネス書を読んで体得された方法論プラス自分の努力と

経験を凝縮して示してくれるので情報としての価値も高い。

というわけで、ときどき読んでは、頭と心の筋肉を鍛えてみるのです。

 

2008年10月23日 (木)

雑誌エココロ・今月号のDonate Now!

地球環境保護を中心に、様々な市民のイニシアティブやライフスタイルを応援している、雑誌のエココロ。  

今月は、滝川クリステルさんがとてもナチュラルな感じで、表紙を飾っています(インタビューもとてもいい)。  

この雑誌は、最初の見開きに、Donate Now! というコーナーで、NPO・市民活動を紹介・応援してくれていますが、今月号は、私が活動している、ヒューマンライツ・ナウを、2ページも使って大きく取り上げていだたきました!  

とても素敵なレイアウトで、私たちの活動を紹介してくださり(カンボジア、ビルマ、フィリピン、インドの各プロジェクトを写真入りで紹介していただいています)、編集局のみなさまにとても感謝しています。 

売上の一部をヒューマンライツ・ナウのキャンペーンに寄付していだたくことになっています。  

私も定期ではないですが、ときどきエココロを読んでいて、まずつくりがとてもきれい。

そして、環境分野のNPOや社会企業家の方たちのアクティブさや素敵な発想、ネットワーキングは、いつも勉強になります。ポジティブに、自分たちが率先してカルチャーを変えようとしているところが素敵だな、と思います。  

たとえば、「グローバル大企業に支配された消費"文化"に対抗し、世界をチャーミングに変える、草の根メディアならではのCC情報にアンテナを張ろう!」 というコーナーでは、環境NGOや企業家のネットワーキングの場として、エコでつながる飲み会[Green Drinks]の紹介や、スローな船旅などが紹介されてます。  

エコ、ピース、そしてまずしさの問題のキャンペーンに続いて、グローバルな人権についても新しい市民活動の流れをつくっていきたいと思っています。  

よろしければ、ぜひエココロのヒューマンライツ・ナウのページと、とても有益なさまざまな記事を読んでいただければ嬉しいです。  

2008年10月15日 (水)

日本の民法は時代遅れ?

 最近のパル・システムのニュースレターPOCO21に私のインタビューが掲載されています。 パル・システムに参加されている方、よろしかったら読んでみてください。

 テーマは「日本の戸籍は女の自由を束縛してきた」。

 ばりばりフェミっぽいタイトルですけれど、実はそうでもなく、地に足をつけて、実際に女性たちが直面している不都合をいろいろと取材されています。

  「離婚後300日問題」を解決するために、私は民法改正の動きを応援しています。

 離婚後300日に限らず、民法は時代遅れになっていて、女性が自分らしい生き方を選択するために改正すべきところがいろいろあります。

  ところが、民法が時代遅れなら、社会はその先を行っているかというとそうではない、そんな現状も変わるといいな、と思っています。

 たとえば、夫婦別姓。働いている女性の場合、ある程度信用を確立した自分の名前を変えるのはものすごい不利です。

 で、私の場合、結婚しても姓を変えたくなかったので、婚姻届を出していない事実婚なんですけれど、それが気に入らず、結婚パーティーに来なかった夫の知り合いもいましたね。実に驚きましたが(^^;)

  その後、夫婦共有名義で家を購入しようとしたら「籍が入っていないので、共有名義では銀行の決済がおりません。不動産購入を機に籍を入れたらどうです」とか不動産屋に言われ、頭にきたので、自分の単独所有で購入してしまったことも(@@;)

 女性たちのこうした不便・不満を声にあげて、風通しのよい生き方のできるような法律に変えるよう、今後の政治に期待したいですね。(弁護士会は90年代から民法改正を求めています)。

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