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2020年1月16日 (木)

安田純平さんのパスポート問題で実感するこの社会の異様。


 

内戦下のシリアで約3年4カ月拘束され、2018年10月に解放されたフリージャーナリストの安田純平さん(45)が、外務省から旅券(パスポート)の発給を拒否されたのは「外国への移動の自由を保障する憲法に違反する」として、国に発給などを求めて東京地裁に提訴したことが12日、分かった。安田さんの代理人弁護士が明らかにした。提訴は9日付。安田さんはシリアでの拘束中にパスポートを奪われ、帰国後の19年1月に再発行を申請。外務省は19年7月10日付でパスポートを発給しないと通知していた。

安田さんから聞いていて、ようやく提訴なんだ、と思った。当然でしょう。
このニュースがヤフトピに入ったらしく、コメントが多く書かれていたが、

志葉玲さんが


感情論で安田さんを罵倒するのはやめましょう。

で始まるコメントを書いていたので、本当に愕然とした。私も急ぎ、コメント書いた。


伊藤和子 - 『「旅券発給拒否は憲法違反」 安田純平さんが国を提訴(共同通信)』へのコメント

憲法22条は居住、移転、職業選択の自由の保障を明記し、海外渡航の自由も保障しています。武装勢力に拘束された被害者である安田純平さんに対し、海外渡航の権利を無期限かつ包括的に剥奪するのは、憲法が保障する基本的人権に対する著しく過度な制約ではないでしょうか。いかなる海外旅行も禁止する人権制約の合理性は示されていません。本件では海外をフィールドとするジャーナリストとして生きてきた安田さんの職業選択・職業の自由、活動の自由を奪い、アイデンティティの根幹を侵す結果となっています。合憲性が争われるのは当然であり、憲法判断が期待されます。しかし、訴訟を待つまでもなく、自由の剥奪への速やかな対応が求められるところで、国会でも取り上げられるべきです。報道の自由を奪う事態へのメディアの意識が低いのはなぜでしょうか。海外メディアにお株を奪われる前に、日本の報道機関はもっとしっかり取り上げるべきでしょう。

 


 しかし、自分で言うのもどうかとは思うが、これは私でなくても、法学部大学二年生くらいが言える話。憲法は高校で勉強するから、高校生でも十分言える話のはずだ。


 Yahooでオーサーを始めてずっと思っていることは、難しい話はなかなか記事にできないこと。

  受け入れられるように、わかりやすい話にまとめる必要があり、誰も言わないなら書くようにしている。このような作業を続けていると、自分自身が迎合的になっていないか、知的に退廃、低下していないかなど、心配になることもあるが、そのようにして書いても、残念ながら普通の人権の議論が受け入れられない場合もある。

まっとうな議論が日本で通用しなくなったのはいつからだろう?

 ゴーンの件や伊藤詩織さんの件で、日本の人権の異常さが世界に知れ渡っている。安田さんの件はその上をいく異常さだと思う。これが国際ニュースになればゴーン事件どころじゃなく、みんな開いた口がふさがらないだろう。
 これでは日本から逃げ出したくなるが、パスポートがなければ逃げ出すことすらできない。


 文化革命当時、「大きな監獄」と言われた(ワイルドスワンより。今も変わってませんが)中国のようだ。


志葉さんはこう解説している。

国側は発給拒否の理由として「安田さんがトルコから入国制限を受けた」こと、つまり旅券法13条の1を根拠にしていますが、これについて明確な事実を国は示していません。また、仮に事実だとしても、トルコ一国への入国制限ならば、その旨をパスポートに記載すればよいこと(実際の事例アリ。それが適切かは別の話ですが)。それにもかかわらず、パスポート自体を発給しないということは、「居住移転の自由」(憲法22条)、「報道/取材の自由」(憲法21条が根拠)の保護という観点から、法の運用として、あまりに乱暴すぎます。

 


 アンチのコメントには、「楽器箱に入って日本から出れば?」というのもあったが、もし安田さんがこのようなかたちで日本から逃げて国際メディアが取り上げたら、日本の名誉は本当に確実に失墜する。このことの異常性に気づけない人が増えてしまったのか?



#沖縄タイムス社  #阿部岳 記者は安田さんをめぐってこういう。

 シリアの人々はかつて、秘密警察の監視下で一見平和に暮らしていた。民主化運動が泥沼の内戦に拡大した後、ジャーナリストの安田純平さん(45)は昔の方が良かったのでは、と尋ねてこう返されたという。「飯が食えて安全だったけど、俺たちは家畜じゃない」▼シリアで3年4カ月間拘束された安田さんが無事解放され、もうすぐ1年になる。「拘束は自己責任。なのに助けてくれた政府を批判している」などと今も中傷がやまない
▼事実は違う。全ての証拠は政府が救出を放棄し、無策だったことを示している。当事者である安田さんはそのことを批判しないし、自己責任も否定していない▼自己責任を突き詰めれば、戦地取材も自由ということになる。ところが、被害を受けるわけでもない人が「迷惑だ」と止める。「俺も空気を読んでおとなしくしている。お前も」と言うようなもので、まさに家畜の論理である。自己も責任もない▼家畜同士が忠誠を競い、足を引っ張り合い、足元を掘り崩していくのはご主人様には好都合だ。放っておいても統制され、厳罰を受け入れるようになる

まさに家畜の論理「俺も空気を読んでおとなしくしている。お前も」自己も責任もない


 気が付けば、声を上げているのはフリーと沖縄のメディアだとわかる。在京の主要メディアの反応は驚くほど弱い。自分たちのこととして、もっと怒るべきではないのか?問題提起すべきではないのか?


 戦地に誰も派遣せず、国際情勢分析は海外メディア頼み、戦場ジャーナリストが危機にさらされ、批判にさらされ、パスポートを取り上げられるという異常な状態になっても、何ら行動しないのだろうか。


 この社会のこうした状況は、異様で危うい。

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