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2018年8月 5日 (日)

個人としてのご報告とお詫び  児童虐待の署名に関して

【ご報告とお詫び】 

現在、問題となっている署名活動「もう、一人も虐待で死なせたくない。総力をあげた児童虐待対策を求めます!」に、私も共同発起人として名前を連ねていました。
 この問題では、署名の際に掲げられていた政策提言が、署名後に改変される、という驚くべき事態になりました。
 その間、少なくとも私に対する相談は一言もなく、気づいた時には改変がされる、という事態が進展しておりました。発起人、共同発起人に対してどれくらい事前に相談があったのか、全容はわかりません。発起人のおひとりの小澤様によりますと、小澤様のような方にも事前の相談がなかったということに驚いています。
 私は、目黒の事件が発生し、そうしたことを二度と繰り返したくないという思いがあり、一日でも早く、一人でも多くの声をひとつにできればと思い、この共同の動きに賛同しましたが、結果的に多くの方の信頼を裏切る結果となりました。人権擁護活動において、不誠実、ごまかし、ということはあってはならないことです。
 私自身にも勉強不足の点が多々あったこと、また、自らがコントロール不能なキャンペーンの一翼を担った無責任さに対し、深く反省しています。
 署名に賛同された皆様、この問題に懸念や影響を受けてこられた皆様に心よりお詫びいたします。
 本件は、NPO、市民社会のキャンペーンに対する信頼を根底から揺るがす重大な問題をはらんでおり、主催者からこの点での公式的な謝罪や経緯説明がない点も重大だと感じています。今後、私からも主催者に働きかけを行いたいと思います。
 私自身今回のようなメンバー構成の方々との共同のキャンペーンに関わった経験がなかったため、あまりの展開に驚愕した一人ですが、NPOの善意のキャンペーンでこのような事態が起きうるということを肝に銘じて行動してまいりたいと思います。
 児童虐待は深刻な人権侵害であり、多くの人々の力を結集して一歩でも前に進めたいとの思いは変わりませんが、今後、現場の方々のご意見に耳を傾けて、ひとつひとつ丁寧に、拙速にならずに行動してまいりたいと思います。
 この件では、6月下旬以降の体調不良と業務過多が続いたせいもあり、情報収集と情報分析が遅れ、皆様への発信が遅くなりましたことをお詫びいたします。

なお、この件では公開質問をいただいており、「3)当初の「児童虐待八策」の文面について、「児相の虐待情報を警察と全件共有すること」を求めたものと解釈されていましたでしょうか。もし、そのように解釈していなかった場合、その理由もご教示ください。」という質問をいただきました。
 当初の署名の文案は
  「通告窓口一本化、児相の虐待情報を警察と全件共有をすること、警察に虐待専門部署(日本版CAT)を設置することを含め、適切な連携を検討する会議を創ってください」
 となっていたと認識しています。
 署名は全件共有そのものを求めたものではなく、全件共有等の案も含めて、どう連携するかを検討する会議をつくることを要請するものと認識しており、まずは様々な案を議論の俎上にのせるという理解をしていました。
  当時の記憶を辿りますと、「全件共有」がストレートな要望事項でなかったこと等を確認したうえで賛同したと記憶しています。

 しかしながら、 「適切な連携」の例示として「全件共有」の文言が挿入されたことの重みや、それが様々な意味で一人歩きするリスクを十分認識していなかったということは間違いなく、反省しているところです。

 最後に、私にとっても学びの機会となりました、この問題に関する日弁連声明をご紹介いたします。

児童虐待死を受けての会長声明

 

東京都目黒区で5歳の女児が虐待により死亡したとされる事件の報道に接し、これまで児童虐待問題に取り組んできた当連合会としても、この痛ましい事態を深刻に受け止めている。本件の事実関係については、今後適切に検証される必要があり、本件を踏まえた対応等は慎重に論ずべきところ、個別事件の検証を待たずしてできる法律の運用改善や体制整備などの対策は、これまでに厚生労働省や各自治体が行っている虐待死亡事例の検証結果等も参考にしつつ、早急に検討を始めるべきである。

例えば、虐待事案への対応に当たっては、児童相談所と関係機関との間において、適時適切な情報共有と連携が必要不可欠であり、関係機関との情報共有には要保護児童対策地域協議会等を活用することが求められているが、法の趣旨に則った運用ができていない事例も少なくない。さらに、市区町村と児童相談所間との連携、児童相談所相互間の連携も不十分である。特に、児童が自治体をまたいで転居した場合の児童相談所間の連携は喫緊の課題である。そこで、政府は全国的に情報共有や連携の運用実態を調査し、改善のための方策を打ち出すべきである。 

そして、適切な運用を困難とする根本的な原因は、児童相談所も市区町村の児童福祉担当部署も、児童虐待通告の増加に呼応して人的・物的対応体制の整備が進められてはいるものの、予算措置も含め、いまだ十分ではないことにある。さらに、児童福祉の専門家に加え、心理・医療の専門家や弁護士など、専門性の高い人材の拡充も必要であろう。

当連合会は、会内周知を徹底するとともに研修等を整備するなど、児童福祉法の定める児童相談所への弁護士配置の拡大に向けた取組を行ってきたところであるが、今後も、人材育成を含め一層の努力を尽くす所存であり、政府・自治体に対し、児童相談所への弁護士配置をより一層拡大することを望むものである。

なお、本件を受けて、児童相談所が警察に対して「虐待事案全件」の情報提供をすることを求める声が上がっている。事案によっては、児童相談所と警察が情報共有して対応することが必要な場面もあるが、児童相談所が育児に悩む親から任意の相談を受ける機能も担っていることに鑑みれば、全てのケースにつき児童相談所と警察が情報を共有することとなれば、かえって警察の介入により逮捕等に至る事態となることを懸念する親からの相談がされにくくなり、その結果、虐待の発生防止・早期発見の妨げとなる可能性がある。したがって、安易に警察を頼るべきではなく、真に子どもの権利保護の観点から慎重な対応が必要である。 

当連合会は、各地における児童虐待対応のための協議会などを通じて、児童相談所と関係機関との連携の在り方等について更に議論を深めるとともに、体罰禁止を法律上明文化することなどを含め、児童虐待の発生防止・早期発見の更なる実質化のための活動に取り組んでいくことを、ここに表明するものである。

2018年(平成30年)6月28日

日本弁護士連合会      

 会長 菊地 裕太郎

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