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2018年5月23日 (水)

「高プロ制度」は 日本全体をブラック化。労働者を追い詰める制度に強く反対します。

政府の進める「働き方改革」法案の進め方に怒りを感じ得ません。
とんでもないことになる危険性大です。
NTT労組に連載中のコラムを許可を得て転載させていただきます。
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政府が進めようとしている『働き方改革関連一括法案』。
働き過ぎの日本社会に、人間らしい働き方を導入するのかと思いきや、むしろ大きく逆行する方向に議論が進んでいます。
 まず、残業時間の上限規制の導入は、「過労死ライン」超えの課題を残しています。
これと併せて問題なのが「高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)」の導入です。
 「残業代ゼロ」とも言われるこの制度は、高度の専門的知識を有する業務をする、年収が一定程度の人について残業時間の上限規制がなくなり、残業代の支払いもしなくてよいという制度です。
  政府は、ディーラーやアナリスト等といった業務に限定してこれを導入するとしています。一部の例外だから大丈夫と言えるでしょうか。
 これで思い出すのは、一九八六年に制定された『労働者派遣法』です。それまでは労働者の権利を弱める危険性が高いとしてすべて禁止されていた派遣業務が、経済界の強い要求を受けて、業務を限定して解禁されました。
  それが、この三〇年余の間に、『労働者派遣法』は何度も改正されて適用範囲は拡大し、若者や女性を中心として不安定な非正規雇用による貧困、将来不安を生み出してしまったのです。 
  今回も、一度許せば、広く拡大する危険性は高いと言わなければなりません。
創造的な働き方を実現すると言われていますが、そうであれば残業代をゼロにしなくてもよいはずです。
  経済界がこの制度に強く固執していることを考えれば、労働者を心置きなく長時間働かせるメリットが多い、つまり労働者に不利益に機能する危険性が高いと言わざるを得ません。
  労働者に解除権を与える等の修正案についても、「やりがい搾取」に遭って心身を壊す傾
向が強い、若い真面目な労働者の保護という視点が足りません。むしろ解除しなかった本人が悪いと、自己責任を押し付ける結果にすらなりかねません。
 電通の高橋まつりさん、NHKの若手女性記者。夢を抱いた正義感にあふれる若者が、長時間労働で追い詰められ、心身をむしばみ、過労自殺、過労死する痛ましい事件が続いています。ブラック企業による被害も後を絶ちません。
 やりがいに燃えて働かされた人たちが心身を患って療養を続けているという訴えもよく耳にします。過酷な長時間残業は本当に多くの人の命と未来を奪ってきました。少子化の日本で、若い人たちは大切にされるべき存在です。
  人を燃料のように酷使して使い捨てにする、そんな人権侵害を見直すことが急務です。
 今、必要なのは、誰もが人間らしく健康に働ける、ワーク・ライフ・バランス
を重視したワークルール、残業規制の導入です。「高プロ制度」案は、これを根絶するどころか、労働者を肉体的・精神的にいっそう追い詰め、過労死社会を加速させる可能性があります。
  働く人たちと、私も一緒に声を大にして異議を申し立てたいと思います。

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