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2016年3月16日 (水)

AV強要被害をなくし、救済するために


3月3日、ひな祭りに、ずっと取り組んできた調査報告書

日本:強要されるアダルトビデオ撮影 ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、 女性・少女に対する人権侵害 調査報告書 
を無事リリースすることができました。

報告書はこちらです。
http://hrn.or.jp/news/6600/

Av

開催した調査報告書発表記者会見が大きな話題になり、反響の大きさに驚くとともに、この深刻な問題を社会に送り届けることができたこと、深刻な光の当たらない人権侵害に光を当てる活動ができたことを嬉しく思っています。

このなかでたくさん水を飲まされたという 被害にあわれた方と先日お話し、「そんなひどいことがあるなんて、と多くの人があなたのケースに衝撃を受けていましたよ」と伝えると、、、
「あの頃はそういうものだと思っていたので」と言いながら目が涙でいっぱいになり、
「本当に、取り上げて下さってありがとうございました」と何度も言われました。
これまで、誰にもこの不条理、悔しさ、屈辱をわかちあうことができず、どんなに悔しかっただろう、と改めて思います。
被害にあわれた方にとってもひとつの大切なステップだったのだと思います。

その後、業界の重要な人物から内部告発も出ました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160313-00000501-san-soci

この一回限りなのかわからないのですが、注目していきたいと思います。

また、この問題でさっそく
池内さおり衆議院議員が先週金曜日に国会で質問をしてくれました。
質問とてもよかったです。しかも、省庁、各担当大臣も大変真面目に答えていて、少し希望がもてそうです。
池内議員に感謝です。これからも池内議員はじめもっとたくさんの議員に取り上げてもらい、流れを作っていければと思います。
(2016.3.11 衆議院内閣委員会 池内さおり(日本共産党)質問 https://youtu.be/tMNw4Cd9nj8 )

そんなわけで、Change.orgの署名をヒューマンライツ・ナウで取り組んでいます。

初めての署名で不慣れなんですが、是非ご協力くださいね。
詳細を知らなった! という方も含めて下記を是非ご覧ください。


署名サイト: https://goo.gl/KfE6Hf

まるで奴隷。 アダルトビデオ強要被害で苦しんでいる 若い女性や少女たちを救うた
めに 必要な法整備を一刻も早く実現してください。

あなたのメッセージもぜひ一言書き込んでください。また、是非、拡散しお友達等に
も伝えてください。

こちらからクリックしてウェブサイトに是非飛んでみてください。
 
http://hrn.or.jp/news/6652/

■AVに出演強要される女性の被害が相次いでいます。

「タレントにならない?」「モデルにならない?」などとスカウトされ、タレントやモ
デルになる夢を膨らませて誘いに応じる若い女性たちが、アダルトビデオの出演を強
要されるという被害が相次いで報告されています。日本を本拠とする国際人権NGO
ヒューマンライツ・ナウは支援者・被害者から聞き取りを行い、被害の実態を調査し
ました。その結果、若い女性たちが、AVに出演するという意識がないままプロダク
ションと契約を締結した途端、「契約だから仕事を拒絶できない」「仕事を断れば違
約金」「親にばらす」等と脅され、AV出演を余儀なくされる事例が後を絶たないこと
が判明しました。

若い女性の無知や困窮に乗じて、衆人環視のもとでの意に反する性行為を強要し、そ
の一部始終が半永久的に公にさらされる被害は著しい人権侵害であり、違約金の脅し
によりこうした奴隷的な立場に置かれる「債務奴隷」ともいえる深刻な事態であり、
女性に対する深刻な暴力です。

AV強要の結果、深刻なPTSDに苦しめられる人、いつまでもビデオが販売され、
インターネットに一番知られたくない映像が公開され続けることを苦に自殺をする
人、整形手術を繰り返す人など、被害は本当に深刻です。

詳しくは、私たちが2016年3月3日に発表した、以下の調査報告書を読んでください。

http://hrn.or.jp/news/6600/

■こうした被害に対応する法律は存在せず、監督官庁もありません。

AVプロダクションやメーカーには監督官庁もなく、風適法の適用もないため、違法
行為は野放しで、女性は救済を求めることができません。関連する法律のうち、「児
童ポルノ禁止法」は18歳未満の少女のみを対象としており、18歳を過ぎるとこの法
律では保護されません。

AV出演は、職業安定法、労働者派遣法上の「有害業務」とされ、プロダクションが雇
用する女優を勧誘することは職業安定法上の処罰対象となり、プロダクションが雇用
する女優をメーカーに派遣して撮影に応じさせることは派遣法違反として処罰対象に
なります。

しかし、業者は、巧みに女性との契約を労働契約でなく「委任」「委託」などの契約
にしてしまい、実際には指揮命令関係があるのに、あくまでそれがないかのように装
い、法の適用を免れています。

そして、撮影中にどんなひどいことを強要されても、「同意」「演技」だとして、強
姦、強要、傷害、暴行罪等が立件されるケースはほとんどありません。

さらに、今の法律では「消費者」の定義にあてはまらないため、消費者の保護も受け
られません。

AVというだけで、消費者としても保護をされず、労働者としても保護されない、リ
ベンジポルノや性暴力の被害者よりもひどい二次被害に苦しんでも何らの救済もな
い、それでよいのでしょうか。

■被害を防止し、被害者を救う法制度とは。

こうした状況を改善するために、ヒューマンライツ・ナウは立法による解決と政
府、国会による一日も早い対応を求めます。私たちが考える必要な法改正は以下の通
りです。

●  消費者庁に対して

消費者被害本通常国会に提出予定の「特定商取引法」の改正にあわせて、アダルトビ
デオの性搾取被害を加える改正案を提案すること。

また、消費者安全法の範囲も同様に拡大して、悪質業者への命令、指示や業務停止が
できるようにすること。

● 内閣府に対して

AV強要被害に関する必要な調査を行い、AV強要被害の被害者を保護・救済できるよ
う、必要な法改正案を検討準備すること

法律には以下の内容を盛り込んでください。
1. 監督官庁の設置
2. 不当・違法な勧誘の禁止
3. 違約金を定めることの禁止
4. 意に反して出演させることの禁止
5. 女性を指揮監督下において、メーカーでの撮影に派遣する行為は違法であること
を確認する。
6. 禁止事項に違反する場合の刑事罰。
7. 契約の解除をいつでも認めること
8. 意に反する出演にかかるビデオの販売差し止め
9. 悪質な事業者の企業名公表、指示、命令、業務停止などの措置
10. 相談および被害救済窓口の設置

同時、警察・検察には違法行為を積極的に捜査・起訴し、悪質な被害から女性た
ちを救済するよう求めます。

私たちの発表記者会見はメディアで大きく取り上げていただきました(以下はそ
の一部です)。

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6193325

http://www.asahi.com/articles/ASJ335QB8J33UTIL02H.html

http://hrn.or.jp/news/6618/

しかし、法律を実現するには多くの人の賛同が必要です。ぜひ皆様、ご協力くださ
い!!

再度署名サイトはこちらです。
     https://goo.gl/KfE6Hf
 リンクはこちらからも。
   http://hrn.or.jp/news/6652/

私たちは同時に、業界に自主的な取り組みも求めたいと思います。とくに一番有力な立場にいる、ユーザーに一番近いところにいる企業に、末端の製造現場で人権侵害を生み出さない仕組みをつくるためにその影響力を用いてほしいと思います。
サプライチェーンで児童労働が発生していた、というケースと同じように企業の人権尊重の責任を果たしてほしいと思います。

署名以外にもできることはたくさんあります。
たくさんお問い合わせもいただいています。娘がスカウトにあっているけれどどうしよう、というご相談など。
まずは周囲の一番大切な人が被害にあわないように、是非いろんなところで話題にして話し合って、注意をして見守ってあげてほしいと思います。学校でも是非このことをいろんな機会に教育してほしいと願っています。
若くて芸能界などに普通にあこがれる女の子たちが、「世間は甘くない」と知らされるには、あまりにも高すぎる、過酷すぎる代償・被害です。誰も強要被害にあってほしくない、と思います。


■ この件での様々なご意見について


この件では関係者、女優さんからも、「そんなことない」という批判のご意見をいただいています。
その方たちが自発的に出演していることはおそらく事実なのでしょう。
しかし一方で、実際に被害にあわれている方がいるのも事実です。
私は被害にあわれた方々におあいしてきましたし、自殺された方もいます。
報告書にも書いた通り、本当の意思とは違う経緯でAVに出演し、もうやめたいのに、ときどき死にたいと思いながらも、広告塔のような役割で発信を続けている女優さんがいるのも知っています。

なかなか声をあげられない、そして最も苦しんでいる人の声に寄り添って活動していきたいと思います。
どんな人権問題でも共通することですが、
社会のあるコミュニティにおいて、いじめや差別、労働搾取などがある場合、全員がひどい目にあっている超ブラックな企業などもあるかもしれませんが、実はコミュニティにおいて差別や人権侵害、いじめにあっているのは少数者であるケースが多いです。

・加害者が強大な力をもっていること
・被害者が少数で、声をあげられない弱い立場に状態に置かれていること
・人々の無関心

この3つはおよそすべての人権侵害に共通するファクターだと私は思います。

だから、小さい声に寄り添うことこそが必要だと思います。

例えば、いじめなどの少数者が犠牲になっている場合、「ごくごく一部の話」と否定しないで、その小さな声に寄り添い、真摯に受け止め、その社会、コミュニティの問題として受け止めることが必要だと思います。
例えば、学校への風当たりや評判低下を恐れて、いじめ自殺を隠ぺいする、ごくごく一部の人の話だと片づける、ということはあってはならない、それと同じでしょう。

AVという業界においては、どの程度の人が被害にあっているのか、多数なのか少数なのか、わかりません。
この辺りは内部告発もあるなか、解明が待たれるところではあります。
しかし、いずれにしても、被害事実があることを真摯に受け止めて改善に向けて対策を考えることが必要だと思います。
事実、すべてではないけれども私たちの改善提案の多くを歓迎するという声も関係者の方からいただいていますので、業界内でも是非改善を進めてほしいと思います。

なお、私たちが問題にしているのは強制・強要であり、自発的な演技や業界そのものを否定するつもりはありません。しかし、現状は、消費者や労働者であれば当然あるような保護や権利もない、という状況。
せめて消費者並み、労働者並みの保護と権利の確認がされるべきだと思います。
もしもそれが強制・強要されたものだとすれば、AV強要の被害は、普通の消費者被害よりも、レイプよりも、リベンジポルノよりも、取り返しのつかないあまりにもひどい女性に対する暴力、重大な人権侵害です。
そうである以上、その被害の深刻さに応じた対応が必要です。

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