日本の近未来図のよう。フランス「強まる仏の軍事介入姿勢、反発抱く移民系住民も」(朝日新聞報道より)
朝日新聞の報道。フランスは近年、出口の見えない対テロ戦争に深入り。国内的には景気低迷に伴って経済格差が拡大。人種差別も顕在化。日本の近未来図のようだ。
http://digital.asahi.com/articles/ASHCG5GBJHCGUHBI02C.html?rm=665
パリ同時多発テロは、フランスが近年、中東やアフリカで軍事介入姿勢を強める中で起こった。欧米によるイスラム諸国への介入を「不正義」ととらえる思想に染まったイスラム教徒の若者も仏国内におり、深刻な社会問題となっている。
タイムライン:パリ同時多発テロ
フランスは過激派組織「イスラム国」(IS)の対策として、昨年9月にイラクでの空爆を開始。ISは、パリの週刊新聞「シャルリー・エブド」襲撃事件の翌月の今年2月、仏国内でのさらなる攻撃を呼びかける仏語の声明を出すなど報復を宣言していた。
今年9月下旬、かつての委任統治領であるシリアでの空爆に踏み切ると発表。空母を派遣する方針を示すなど関与を強める姿勢を鮮明にしていた。
フランスが近年、出口の見えない対テロ戦争に深入りするきっかけが、2011年にリビアのカダフィ政権崩壊につながった軍事介入だった。リビアは国内の治安が崩壊。当時の反政府勢力が軍閥化して割拠し、混乱を極める状態がいまだに続く。IS系の武装組織も勢力を伸ばし、テロを繰り返している。
カダフィ政権崩壊でリビアから大量の武器が流出し、混乱は周辺国へと広がった。フランスの植民地だった西アフリカのマリではリビアから流入した高性能の武器を使って反政府勢力が北部全域を占領。イスラム武装組織が入り込んで無法地帯になり、仏軍は13年1月に軍事介入した。
その直後、同じく旧植民地のアルジェリアで、天然ガス関連施設がイスラム武装組織に襲われ、日本人を含む人質事件が発生。武装組織は、マリに軍事介入したフランスへの報復が襲撃の目的だとする声明を発表した。
ログイン前の続きフランスの介入姿勢に反発するこうした組織は、社会不満を抱えた仏国内の移民系の若者をネットなどを介して巧みに勧誘し、同調者を増やしている。
フランスは元々、1950年代半ば~70年代半ばの高度成長を支える安い労働力としてアルジェリアをはじめ旧植民地から大量の移民労働者を受け入れ、多くの移民やその子孫が定住した。「自由、平等、博愛」の理念を推進力とし、同化政策を推し進めた。
だが、80年の景気低迷に伴って経済格差が拡大。人種差別も顕在化し、移民系住民は不満を募らせた。2005年には、移民が多く住むパリ郊外で大規模な暴動が起きた。
今回の同時テロの標的となった「スタッド・ド・フランス」は、98年のサッカーワールドカップ(W杯)のために建設された。移民の社会統合の象徴にもなり得たサッカー場の周辺が皮肉なことに、惨劇の現場となった。(杉山正、高橋友佳理)
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