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2015年9月

2015年9月23日 (水)

安保法制 無関心を乗り越え、市民が平和と安全保障にもっと関与を

安全保障法案・戦争法案が可決成立されたと報じられている。
参議員委員会採決をみれば、果たして議決は存在するのか著しく疑問であるうえ、明らかな憲法違反との声があるにも関わらず、政権・与党が確信犯的に強行した今回の安全保障法案、立憲主義に深い汚点を残した。
しかし、事は日本一国で済む問題ではなく、他国の武力紛争に日本が参加し、殺戮の当事者になる、という重大なリスクをはらんでいる。そして、日本の国際貢献の在り方やその信頼が180度転換するという点で極めて重大な問題をはらんでいる。

私たち国境を越えて世界の現場で活動する日本のNGOは、こうした事態に深い危機感を抱いて、NGO非戦ネットを起ち上げて活動している。http://ngo-nowar.net/

私たちの危機感、安全保障法案に反対する趣旨はこちらの声明に尽くされているので是非読んでほしい。
http://ngo-nowar.net/2015/07/15/102/

このNGO非戦ネットの立ち上げを受けて、あるところでインタビューを受けたので、
私の問題意識を「無関心を抜け出し市民が平和構築にもっと関与を」ということでまとめてお話しした。

今、私たちは、奪われた「平和主義」「立憲主義」を自ら取り戻す、民主主義の力で取り戻す、そういうフェーズの時期を迎え、チャレンジに直面している。
当面は、選挙、違憲訴訟などが重要な課題となるだろう。

同時に、現在国際的に起きていることと日本の人々が向き合い、安全保障をめぐるオールタナティブの議論を進化させることを期待したい。
この間しばしば、安保法案には対案がないと言われてきた。憲法違反に対し「対案」というのは間違っている。しかし、いまの国際的な安全保障環境に関して、日本の市民は「日本人が巻き込まれない」という狭い視野だけでいてよいのだろうか。

国際社会の武力紛争に対して、悪いことを少なくともしない、いわゆる DO NO Harm は最低限の原則である。
しかし、9条にはこれを超えたポテンシャルがあるし、これまでも実は地道に機能してきた。

安倍首相流「積極的平和主義」に対置するオールタナティブの議論の参考になればと思い、紹介する。
下記は比較的NGOへの支援・参加という視点に収斂しているが、最近のシリア難民の受け入れ問題であったり、日本のヘイトスピーチの問題であったり、民間の人と人との交流であったり、様々なことにかかわる。もちろん選挙にも。そして、軍需・兵器産業に傾く企業への不買運動のようなかたちもありうだろう。

暴力的でない、そして政府任せにしないオールタナティブの選択肢を太くしていくこと、そうした議論や思考を積みかさねていくことが、非軍事・非戦を達成するためにますます必要になっていると思う。


● 安保法制で変わる、国際社会の中の日本

安保法制の見直しで、海外での武力行使に道が開けるようになると、どうなるでしょうか。日本は殺りくや空爆をする当事者の側になり、日本の「中立的な国」というイメージは失われるでしょう。

 その影響は私たちのような国際NGOにも及びます。たとえ政府とNGOは、異なる組織といっても、私たちの活動拠点が日本にある以上、日本政府のパフォーマンスを横に置いて、NGOの活動だけを評価してもらうのは難しくなります。紛争地域で支援活動を展開する場合であれば、日本はアメリカに味方する国として、中立的な国ではないというイメージがより鮮明になるでしょう。

 イラクに自衛隊が派遣されたとき、日本人人質事件が発生しました。自衛隊の海外派遣が広がれば、日本の民間人がスパイ視される事例の増加が懸念されます。最近では、日本政府が紛争地域への立ち入りを認めていないので、そうなると、日本の団体に協力している現地スタッフに、スパイ疑惑の目が向けられ、危険性が高まることになるでしょう。その結果、現地協力者が得られにくくなり、民間ベースの平和構築活動が難しくなることを心配しています。

●財産を食いつぶす安倍政権

 概して、外国からいいイメージを持たれている日本とはいえ、人権の分野では、グローバルスタンダードから立ち遅れています。死刑制度が存続し、刑事裁判や女性の権利に関しても大きな問題が指摘されているからです。

 また、従軍慰安婦問題をはじめとした戦後補償の問題に、日本がきちんと向き合っていないことに対する国際社会の懸念は、とても深いものがあります。これも人権問題であり、過去の人権侵害を解決するプロセスを日本が踏んでいないことに起因しています。

 特に安倍政権になってから、これらの問題に対する国際社会の憂慮が深まっています。国連高等弁務官が日本政府に意見を述べても、それを意に介さないばかりか、国連を敵視するような対応すら見られるからです。

 2000年代に入ってからの対テロ戦争で日本は、インド洋で兵たんを支援したり、イラクに自衛隊を派遣したりして、中立的な立場という信頼感を徐々に失いつつあります。

 このように、歴史認識をはじめとした人権問題や、対テロ戦争への協力という両面から、日本はそれまで築き上げてきた国際社会からの信頼という財産をどんどん食いつぶしている段階にいます。

●憲法9条のポテンシャル

 9・11同時多発テロ以降の世界情勢で明らかになったことは、武力で平和を構築できないということです。アフガニスタンやイラクの泥沼化した現状を生み出してしまった国々は今、武力行使の大きな代償を払うはめになり、多くの国が反省を強いられています。

 ところが日本は武力行使に参加していなかったからなのか、今頃になってそれに参加したいと言っています。これは非常に稚拙で幼稚な考え方だと思います。日本が持っている独自のポジションを活かそうとしないのは、とても残念なことです。

 世界地図を見てください。世界にさまざまな対立構造がある中で、海外での武力行使を禁じた憲法9条を持つ日本の存在は、非常に貴重だと言えます。その日本が力の強いアメリカ側に加担してしまえば、世界を平和にするための有効な資源が一つ失われるようなものです。「普通の国」が一つ増えても、その価値は高まらないのです。

 「日本ブランド」は、憲法9条の枠内で可能な貢献を考え抜いてきたからこそ、生まれました。日本は平和外交の強化によって世界に貢献すべきです。憲法9条はそうしたポテンシャルを持っているのです。

●日本人の無関心

 日本が世界にどのように貢献すべきか、市民の側ももっと考えなければなりません。そうした議論の蓄積がないと、軍事分野での貢献しかないという短絡的な思考に陥ってしまうからです。

 日本人は一般的に外交に対する関心が低く、世界平和に貢献するという視点が欠落してきたのは事実です。例えば、イラクに自衛隊が派遣されている間は関心が集中しますが、撤退した後は興味を持たなくなる。安保法制への批判が高まる一方、シリアの現状に対して関心を示す市民は多くはありません。

 こうした無関心の背景には、国際情勢に関する情報の少なさがあると思います。日本は情報鎖国なのです。

 地道な努力の積み重ねに比べて、より衝撃的な映像や事件が求められる傾向にも問題を感じます。平和構築に必要なのは、民間の相互交流促進などの粘り強い長期的な支援です。むしろ短期的な成果を追い求めるという意味では、武力を行使し、政治体制を転換させた方が劇的なのかもしれません。しかしそれでは平和は構築できないのです。

●政府とNGOの関係

 市民の皆さんには、身近な行動が平和の構築につながることを知ってほしいです。NGOを支援したり、報告会を聞きにいったりするのもその一つです。外務省の政策にかかわることは難しいですが、NGOの活動なら身近にかかわることができます。

 NGOの活動は、市民社会の寄付やボランティア活動によって支えられることが大切です。NGOの活動が国からの税金だけで運営されるようならば、国とNGOの活動に違いがなくなってしまうからです。NGOが助成金を得るために、政府批判を控えたり、政府の顔色をうかがうようになったりしては、公平な活動はできません。

 そうなってしまえば、NGOは、戦争の「スクラップ&ビルド」という構造に組み込まれてしまい、大国が武力行使で地域を破壊した後の、ビジネスにならない復興支援を担うだけの存在になってしまいます。これでは、戦争自体を止める仕組みをつくれないのです。

●市民が支える力強い運動に

戦争の根本的な要因を根絶するためには、政府から独立したNGOが積極的に活動できる環境が必要です。そのために、市民社会の協力が求められるのです。

 残念ながら、欧米の市民社会が社会運動に大きな役割を果たしているのに比べて、日本のNGOが市民社会に強く支えられているという実感はあまりありません。「一国平和主義」との批判も問題だと認識しています。しかし、今回の一連の動きを機に、より多くの人がNGOなどの社会運動に参加し、長期的な平和構築にかかわってほしいと思います。

 寄付をしたり、関連記事をSNSでシェアしたり、一つひとつの行為が平和の構築につながっていきます。こうした身近な活動の積み重ねが、軍事分野による貢献しかないという短絡的な考え方にとらわれない、市民社会に支えられた力強い社会運動につながっていくのです。

(情報労連REPORT2015年8・9月号掲載インタビューから転載)

2015年9月20日 (日)

「あんな暴力的な採決が可決になったら我が国の民主主義は死にます」今起きてる憲法クーデターを許さない。

安保法案の参議院での採決。
審議を尽くすことを放棄した、あまりに暴力的な採決は、立法府の歴史に汚点を残すどころか、日本の議会制民主主義の深刻な危機を示すものである。

この事態に、愕然とするほかない。

■ 採決は有効とは到底考え難い。

NHKは、安保法案の採決について、以下のように報道する。

安保法案 参院特別委で可決


民主党などが抗議するなか、法案の採決が行われ、自民・公明両党と、次世代の党、日本を元気にする会、新党改革の賛成多数で可決されました。

しかし、こんなことで本当に採決があったといえるのか。

● 現場の状況と報道

【参・安保法案】特別委員会での強行採決の瞬間とYoutube検索をしてみてほしい。

そのタイトルの昨日の強行採決の国会中継映像が見られる。是非見てほしい。

https://www.youtube.com/watch?v=eR6xYuoonpg&feature=youtu.be

これをみれば明らかであるが、ただ混乱しているだけであり、有効な採決があったとは到底認められない。

明らかに無効ではないか。

毎日新聞は、

何が起きたか分かっていたのは、その場にいた与党議員だけかもしれない。安全保障関連法案は17日夕、参院特別委員会で可決されたが、予定されていた締めくくりの質疑もなく、突然起きた大混乱の中、いつの間にか可決されていた。

午後4時半ごろ、野党による鴻池祥肇委員長の不信任動議が否決され、鴻池氏が委員長席に戻ってきた。座った瞬間、自民党議員がバラバラと委員長席に駆け寄る。つられるように野党議員も動き、あっという間に委員長を囲む人垣ができた。怒号とやじが渦巻き、散会するまでの約8分間、傍聴席の記者にも何がどうなっているのか分からなかった。

散会後の鴻池氏の説明では、まず自民党議員の質疑打ち切りの動議、次に安保関連法案を採決したという。だが、どの時点で何の採決が行われたのか、議場にいた野党議員すら分からなかった。生中継するNHKすら「何らかの採決が行われたものとみられます」などと実況し、散会するまで「可決」を伝えられなかった。

出典:毎日新聞
と報道している。

NHKは散会するまで「可決」と伝えられなかったのに、最終的に何を根拠に「採決」と判断したのだろうか。与党の言うがままに、「採決」と報じたNHKも、報道機関として極めて重大な責任がある。戦争協力加担への報道機関の犯した過去の歴史がいま、繰り返されているといえるのではないか。

● 議事録には何ら記載なし。

そんな折、ある裁判官が(裁判官!)、小池晃参議院議員の以下のTwitter教えてくれた。 

本日の参議院特別委の速記録が出ました。まったく聴取不能で、何をやったのかわかりません。自民党の説明では、採決動議、法案二本、付帯決議、委員会報告の5回採決したと言うのですが、そのような記録なし。まったく無法、無効です。

出典:https://twitter.com/koike_akira
画像
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この速記をみると、該当部分は、ただ、


速記中止

委員長 発言する者多く、議場騒然、聴取不能

となっている。

「採決」という記載は一切、議事録にすらないのだ。これからこれも改ざんされていくのだろうか。到底信じられないことである。

● 「あんな暴力的な採決が可決になったら我が国の民主主義は死にます。」

その場にいた人からも、議事録からも、映像からも、採決があったとは到底認められないのだ。こんなことで有効な採決としてしまつたら、議会多数派の暴力的な横暴で、国会は民主主義のルールを無視してどんなことでもまかり通る場になってしまう。言論の府としての自殺行為ではないのか。

福山哲郎参議院議員は、NHKで

「可決は認められません。あんな暴力的な採決が可決になったら我が国の民主主義は死にます。」と述べた。まさに同感である。このような採決を有効としては、将来にわたり禍根を残す。

■ 憲法クーデター

今回、審議されている安全保障法案は、日本の将来に極めて重大な変容をもたらすものである。

11本もある法律はそれぞれ憲法9条のもとでこれまで抑制されてきた自衛隊の海外での武力行使、武器使用等について大幅な緩和をもたらす重大な問題が含まれている。

集団的自衛権行使容認が違憲であることは圧倒的多数の憲法学者や元最高裁長官、元最高裁判事までが明確に主張している。

違憲な法律はそもそも無効であり、制定することは許されない。ところが、こうした声がすべてシャットアウトされ、無視されたまま採決に至った。しかもかくも暴力的なやり方で。

山口繁元最高裁長官は、朝日新聞のインタビューで以下のとおり語っている。

――安全保障関連法案についてどう考えますか。

少なくとも集団的自衛権の行使を認める立法は、違憲と言わねばならない。我が国は集団的自衛権を有しているが行使はせず、専守防衛に徹する。これが憲法9条の解釈です。その解釈に基づき、60余年間、様々な立法や予算編成がなされてきたし、その解釈をとる政権与党が選挙の洗礼を受け、国民の支持を得てきた。この事実は非常に重い。

長年の慣習が人々の行動規範になり、それに反したら制裁を受けるという法的確信を持つようになると、これは慣習法になる。それと同じように、憲法9条についての従来の政府解釈は単なる解釈ではなく、規範へと昇格しているのではないか。9条の骨肉と化している解釈を変えて、集団的自衛権を行使したいのなら、9条を改正するのが筋であり、正攻法でしょう。

――「法案は違憲」との指摘に対して、政府は1972年の政府見解と論理的整合性が保たれていると反論しています。

何を言っているのか理解できない。「憲法上許されない」と「許される」。こんなプラスとマイナスが両方成り立てば、憲法解釈とは言えない。論理的整合性があるというのなら、72年の政府見解は間違いであったと言うべきです。

(出典:「9条解釈、変更するなら改憲が筋」 元最高裁長官語る)


元最高裁長官の意見は、法律家の常識を代弁するものである。極めて当たり前のことであるが、彼のような人が公に語らざるを得ないという状況は、現代の憲法的危機の深刻さを象徴している。

こうした意見を何ら真摯に受け止めず、耳を傾けないというのは、政権・与党が、憲法違反の確信犯であり、憲法違反を知りつつ暴走していることを意味する。

憲法99条に定められた、国会議員・公務員の憲法尊重擁護義務を無視する、憲法クーデターに他ならない。

このようなことがまかり通れば、これからも、このようなかたちで日本の戦争参加が決められ、憲法違反の人権侵害立法が決められ、若者たちが戦争に動員される法律が決められてしまうであろう。

今、目の前で繰り広げられている憲法破壊、このようなことを到底許してはならない。

今国会で、今日、野党には本当に憲法価値、立憲主義の価値、議会制民主主義を守るために奮闘してもらいたいと願う。

そして・・・「ねじれ解消」のスローガンのもとで与党が圧倒的多数を握る国会が、かくもブレーキを失い、与党の独裁的手法がかくも暴走することを、今国会はこれ以上ありえない明確なかたちで私たちの目の前に提示した。

憲法が保障した民主主義、平和主義、そして基本的人権尊重という価値が本当に停止されてしまわないうちに、このような国会の構成をこれから私たち主権者の力で変えていかなくてはならないと痛感する。

2015年9月13日 (日)

本日はこちら♪伊勢崎賢治さんと語る 安保法制、そして日本のあるべき貢献

大雨で大変な被害が出ていますね。。。
被害にあわれたみなさまの復旧をお祈りいたします。
さて、焦点の安全保障法案、こちらのブログでも私たちが反対している事、その理由などについてお話してきました。
強行採決を絶対させないため、とても大切な一週間が始まろうとしています。
ヒューマンライツ・ナウでは、以下の勉強会を本日開催します。
たくさん学んで、明日への活力に変えていただきたいと思います。
私自身も企画スタッフもとても楽しみにしています。
よろしかったら是非ご参加下さい。

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~Human Rights Cafe~
「紛争解決請負人 伊勢崎賢治さんと語る 安保法制、そして日本のあるべき貢献」
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現在、国会では、集団的自衛権行使の容認を始め、日本の自衛隊が海外で武力行使や武力行使と一体となった後方支援等の活動ができるようにする「安全保障法制」(戦争法案)が議論されています。
国民多数の反対や憲法違反との声にも関わらず7月に衆院を通過、9月13日からは「60日ルールの適用を視野に」との声も出て、国会は大変緊迫した状況にあります。
こうしたなか、ヒューマンライツ・ナウでは、世界各地での紛争処理、武装解除など携わってこられた伊勢崎賢治さんを講師に、世界の紛争現場の真実から見た安全保障法制と日本の果たすべき平和への貢献について語っていただく機会を設けることにしました。世界の紛争地で今起きていることは何か、海外での自衛隊の活動の拡大はいかなるリスクをもたらすのか、真に平和に貢献すべき道とは何か、いまこそ、多くの人に知っていただき、日本の未来を左右するこの問題を真剣に考え直す機会となればと思います。
皆様のご参加お待ちしております。

<イベント概要>
日  時:2015年9月13日(日)17:00~19:30 (開場 16:30)
場  所:JICA 地球ひろば セミナールーム 201AB (2階)
      〒162-8433東京都新宿区市谷本村町10-5 JICA 市ヶ谷ビル 
 【アクセス】
 JR中央線・総武線 「市ヶ谷」 徒歩約10分
 東京メトロ有楽町線・都営地下鉄新宿線 「市ヶ谷」A1番/4番出口 徒歩約10分
 東京メトロ有楽町線・南北線 「市ヶ谷」6番出口 徒歩約8分
 http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html

参 加 費:1,000円 (事前申込制。申込方法は下記ご参考ください。)

~"Human Rights Cafe"~
国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、第一線で活躍する著名人・専門家をゲストに迎え、今、話題の社会問題をテーマに語り合う企画としてHuman Rights Cafe を開催しております。
今回は、国連PKO幹部としてシエラレオネ、東チモールなど世界各地での紛争処理、武装解除など携わってこられ、現在も東京外国語大学で、紛争予防や平和構築に関し教鞭をとっておられる伊勢崎賢治さんをお呼びし、「紛争解決請負人」の視点から、日本の安保法制と日本の国際貢献についてお話し頂きます。伊勢崎さんからは、コンゴPKOによる女性に対する人権侵害など、衝撃的な最前線の現実などもご報告いただきます。

◆スピーカー◆

伊勢崎 賢治氏  
東京外国語大学大学院 教授。
内戦初期のシエラレオエネを皮切りにアフリカ三カ国で10年間、開発援助に従事し、その後、東チモールで国連PKO暫定行政府の県知事を務め、再びシエラレオネへ。同じく国連PKOの幹部として武装解除を担当し内戦の終結に貢献する。その後、アフガニスタンにおける武装解除を担当する日本政府特別代表を務める。

◆お話の相手◆

伊藤 和子氏
ヒューマンライツ・ナウ事務局長。1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。

<申込方法>
●Peatix(ピーティックス)でのお申込みの場合
 下記URLから申込み・チケット購入をお願い致します。
 http://ptix.co/1hqPPkN

●メールでのお申込みの場合
HRN事務局(info@hrn.or.jp)へ、件名を「9/13伊勢崎賢治氏イベント参加希望」として、お名前、ご連絡先をご送信下さい。メール申込みの場合、参加費は当日会場でのお支払いとなります。

※当日参加も受け付けておりますが、できる限り事前のお申込みにご協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。

<主催・お問い合わせ先>
認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウ(HRN)事務局 (担当:関根)
Email:info@hrn.or.jp  Tel:03-3835-2110


2015年9月 7日 (月)

ユニクロ中国過酷労働・潜入調査報告書公表から半年、労働環境は改善したのか。


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■  ユニクロ中国下請け工場潜入調査

2015年1月、東京を拠点とする国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、香港を拠点とするNGO・Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour(略称 SACOM)およびLabour Action China (LAC)と共同で、ユニクロの中国下請け工場での労働環境に関する調査報告書、「中国国内ユニクロ下請け工場における労働環境調査報告書」を発表した。

調査報告書及びその後東京で行われた記者会見の内容は広く報道され、衝撃を与えた。

初めて知る方もいると思うので、要約すると、私たちはユニクロ中国下請け工場のうち、2工場に潜入調査を含む調査を行い、その結果、Pacific社工場とTomwell社工場(Luenthai)の2工場において、

● 長時間残業と低賃金~ 残業時間は100時間をはるかに超え、Pacificで月平均134時間、Luenthai(Tomwell社)で月平均112時間の時間外労働が確認された。

● 高温な環境での危険な労働、あまりの高温に上半身裸のまま作業をする労働者が多く、「まるで地獄」「失神する者もいた」との訴え、
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● 排水が床にあふれ、感電して死亡する者もいた(ユニクロは病死と主張)

● 有害な化学薬品が使われ、工場にはひどい異臭がするが、労働者の健康を守る対策が欠如している。マスクは支給されるが、あまりに高温で誰も着用することができない。

● 製品の出来が悪いなどの理由で罰金を科され、賃金・手当から控除される。

● 労働者の利益を代弁する労働組合がないため、苦情を言うことすらなかなかできない。

という内容で、まさに「過酷」というものであった。

こちらのヤフー個人でも、「ユニクロ: 潜入調査で明らかになった中国・下請け工場の過酷な労働環境」として、概要を記事配信させていただいたところ、一日で300万以上のPVとなり、大きな話題となった。当時読んで下さった方に心より感謝します。

あの報道から半年以上が経過した。果たして過酷労働は改善したのだろうか。

■ 改善のプロセスが透明性と対話を欠いたまま

調査報告書の発表の直後、株式会社ファーストリテイリング(以後、FR社)は、「誠に遺憾ながら、指摘された長時間労働などいくつかの問題点について事実であることが確認されました。」として、報告書で指摘された過酷な労働環境の一部につき事実を認め、状況改善のためのアクションプランを発表し、関係するNGOとのダイアログを進めると発表。

「CSRアクション」というニュースリリースを1月11日と1月15日に出して、施策の改善を打ち出した。

例えば1月15日のCSRアクションには、以下のような労働環境モニタリング強化・改善策が並べられている。


2015年1月~

・ 生産部による工場訪問を通して、工場における記録外の残業に対するモニタリングを強化。定められた労働時間に対して適切な内容(発注量、納期)で発注が行われているかを検証

・ 工場内での事故やストライキなど労務トラブル情報がCSR部に即時共有される体制を強化

2015年2月~

・ 現在は労働環境モニタリングの対象に含まれない素材工場に対しモニタリングを順次導入

・ 外部監査機関およびNGOなどの第三者機関と協働し以下の改善策を実施

・抜き打ち監査および工場外で行う従業員聞き取り調査の頻度を増やす

・従業員による団体交渉権行使を支援

・従業員代表者の民主的な選出、定期的な労使間交渉の実施を監査基準に含む

・工場経営者および工場従業員に対し、労働者の権利に関する研修を提供

2015年3月~

・ NGOや他の第三者機関との連携により、工場従業員がファーストリテイリングに対し、工場の労働環境に関する問題を直接告発できるホットラインや、緊急時に工場従業員を保護する制度を順次導入


FR社による労働環境の改善措置に関するアクションプランの公表の後、ヒューマンライツ・ナウとSACOMは1月19日、3月3日の2回にわたり、FR社と対話を行った。ヒューマンライツ・ナウでは、対話の内容について市民社会にも公表したいと考え、議事録を公開し、一回目の対話の後は記者会見も開催した。

しかし議事録を見ていただけるとわかるが、話はかみ合っていない。項目が掲げられているが、事実関係、原因究明、原因究明を踏まえた効果的な改善策の策定・実施というプロセスが対外的に公表されず、透明性が低いことに問題があるのだ。

ヒューマンライツ・ナウとSACOMでは、2015年2月には、共同声明「ユニクロ製造請負工場・短期的改善を超えた抜本的解決を」を発表し、FR社に対し、国際的な労働基準に基づき、以下の施策をとるよう要請した。


1.工場に対する調査結果の公表を含め、アクションプランの進捗結果に関する情報の詳細を公表することを通じて、透明性を確保すること。

2.ユニクロのサプライヤーに対する低い発注額を是正すること

3.2015年6月までに、少なくともユニクロのサプライヤー5社において、非営利の労働者の権利擁護団体の参加を確保したうえで、民主的な工場単位の労働組合の結成の促進および、労働者のトレーニングを実施すること

4.ユニクロのサプライヤーにおける労働環境モニタリング体制を再検討し、改善すること

5.ユニクロのすべてのサプライヤーのリストを公表すること

6.建設的で誠実な対話を市民団体と進めていくこと

しかし、2015年3月3日以降、FR社はSACOM・ヒューマンライツ・ナウからの要請にも関わらず両団体との実質的な対話を実施せずに今日に至っている。「労働者のトレーニングを実施するなら、SACOMとしてもそれが適切なものか、現場に立ち会って確認し、感想や気づいた点をアドバイスしたい」とSACOMが申し出たにもかかわらず、FRはこれを認めなかった。

NGOと対話をしながら改善を進めていくという当初の姿勢はどうなったのだろうか?

特にヒューマンライツ・ナウでは、企業のリスク管理やコンプライアンス、第三者委員会等の実務を担うプロフェッショナルな弁護士たちが、対応窓口につき、建設的な交渉をしようとしてきただけに、私たちは大変残念に思っている。

■ 今年7月に公表した経過報告  二工場について

こうして、私たちが対話を求めても応じない代わりに、FR社は2015年6月下旬、進捗状況に関する報告を7月中に公表すると連絡してきた。その7月も押し迫った7月31日、FR社は、再び「CSRアクション」と題するリリースを発表し、私たちが調査した中国下請け工場(Pacific社工場及びTomwell社工場)おける労働環境モニタリングの強化、及び労働環境の改善のためにFR社が取った措置を報告した。

この「CSRアクション」において、FR社が、調査報告書で過酷労働を指摘された2つの下請け工場において、労働環境改善のための措置を取ったとしている。しかし、進捗状況や改善を裏付けるような詳細な情報は公開されていなかった。改善がわかるような写真なども特にないので、関係者以外には、「本当に改善したのか? 」わかるすべもない。

そこでSACOMは、CSRアクション公表後にフォローアップ調査を実施、SACOMはFR社が取ったと報告する措置が、現場では実際には実施されていないことを示唆するいくつかの情報を得た。SACOMが入手した情報は下記の通りだった。

●違法時間外労働

労働者の賃金と労働時間に関して、「CSRアクション」では、両工場は法令に従い時間外労働の賃金を支払い、毎週1日の休日を提供しているとされている。しかし2工場の基本賃金と出来高賃金は非常に低いままである。結果的に、時間外労働による給料はそれまでと同様、労働者にとって月給の重大な部分を占めており、労働者は適正な賃金を得るために時間外労働をしなればならない。

Pacific社工場とTomwell社工場の労働者によると、生活するためには毎月Pacific社工場では約80時間、Tomwell社工場では約100時間の時間外労働が必要であるという。1月の調査では、Pacific工場で月平均134時間、Tomwell社工場(Luenthai)で月平均112時間の時間外労働であったが、結局少ししか短縮・改善されておらず(特にTomwell社)、いずれにしても、法定労働時間を大幅に超えている。

●労働者の健康と労働環境

現在では、Pacific社工場においては、ホコリにさらされる労働者に対し無料の健康診断が定期的に提供されている。

また、CSR Actionによると、Tomwell社工場においては、規定以上の粉塵が確認された工程で働く労働者に対して8月末までに健康診断を提供するとされている。

高温で、化学物質による健康影響が懸念される2工場の労働環境について、私たちの報告書公表後に、Pacific社工場は、窓の工事と修復を始め、通気性を改善し、工場内の気温を下げ、排水溝を増やした。また、Tomwell社工場は、気温を下げるためのエアコンを設置し、労働者に配布するマスクを防塵性のものに変更した。これらは確かに一定程度の改善ではある。

しかし、Tomwell社工場の裁断部門の労働者によると、監査が来る時だけ防塵マスクが配布されるという。これはFR社の公表と矛盾している。

何より、どのような化学物資が2工場で使われていたかはまだ明らかになっていない。私たちは1月の調査報告書で、使用されている化学物質がなんであるかを特定・公表し、それに応じた適切な健康対策を打つように勧告したが、労働者にも未だにどんな化学物質を使用しているかを明確にしていないということでは、いまだ健康影響への重大な懸念がある。

FR社の2/18付けCSRアクションには、「安全性と防護服・防護具の必要性について工場労働者への研修を導入済み」とあるが、健康リスクを十分に明らかにしたうえで労働者に対する健康被害を防ぐための措置が講じられているのでなければ、十分な措置が講じられたとは評価しえない。

●労働組合の選挙は名ばかり

2工場の労働者によると、労働組合代表の選任は形式的・名ばかりのものであった。

Tomwell社工場の労働者によると、労働者代表は労働者によって直接選挙されるのではなく、経営陣側に都合のよい人間が経営陣によって選ばれ、他の労働者が立候補できない状況で、経営陣が労働者全員に対して、その人物に投票するよう求めたという。

また、Pacific社工場の労働者によると、経営陣と労働代表との間で委員会会合が開催されたものの、労働者自身は労働代表選出の投票プロセスに関与する権利を与えられなかったという。

●FR社への要請

私たちはFR社に対し、NGOに対する労働者の訴えを重く受け止め、事実調査のために再度2工場を訪問して、改善状況を確認することを求めている。FR社は、結果を明確にわかるように公表して説明責任を果たすべきである。

私たちは特に、

1) 労働者が違法な時間外労働をしなくても適切な賃金を得られるよう、2工場の基本賃金と出来高賃金を増額させるためにあらゆる努力を尽くすこと

2) 労働者の環境改善のための施設面での改善や防護措置をとること

3) 2工場で使用されている全ての化学物質を一般市民及び労働者に対して公開し、労働者の健康のために必要な措置をとること

4) 労働者の意思に基づき、公正な選挙によって組合代表が選ばれるようにすること

を求めた(8月21日付け共同ステートメント)。

残念ながら、この要請に関するFR社からの回答は今のところない。

私たちの労働者の権利侵害や過酷労働への懸念は今も払しょくされていない。

FR社には私たちが提起した問題に目をつぶったり無視することなく、誠実に対応し、改善を進めてほしい。

■ 2工場を超えた下請け工場すべてにおける改善

過酷労働は、たまたま私たちが潜入調査した工場に限らず、発生しうるのであり、グローバル企業は、サプライチェーン全体を通じて、人権侵害・過酷労働がないように努める責務がある。

私たちは、2工場の枠を超え、すべての生産現場で労働環境を改善するための施策として、

・監査体制の改善、・施策の公表と透明性の確保、・サプライヤー・リストの公開、・低い発注額の見直し

を求めてきた。

●監査体制

このうち、下請け工場において労働環境に問題がないかをチェックする監査体制について、FR社では、これまでになかった、事前予告のない抜き打ち監査、ホットラインなどの施策を打ち出したことはある程度評価できるであろう。

ただし、これが実際実施されているかといえば、SACOMが労働者たちに聞いた情報によれば、

抜き打ちであるはずの監査があることが前日に労働者に知らされていた工場もあるといい、今後も検証していく必要がありそうである。

FR社は7月、今後の監査に関して、国際NGOであるFair Labor Association(FLA)と提携する決定をしたとアナウンスしている。このNGOは企業の委託を受けて工場の人権状況や労働環境を監査しているが、企業寄りでなく公正に、特に仮借なく問題を指摘することで知られており、監査結果も詳細にオープンにしている。

アディダス、アップル、ネスレ、アパレルではH&Mなどが、FLAの監査を受け入れ、説明責任を果たそうとしており、ヒューマンライツ・ナウで行う企業研修等の機会でも、サプライチェーンにおける人権侵害是正のために、ひとつの方策として推奨している施策である。

FR社が現実にこれを進めていくのであれば、監査結果を透明性の高い方法で公表する意思を示すものとして、私たちは評価する。

しかし、FLAのウェブサイトには本日(2015年9月5日)時点で、参加企業としてFR社はまだ掲載されていない。

ただ、いずれにしても、監査CSRに関わる取り組みの透明性と説明責任の確保はFLAへの委託だけで終わるものではない。私たちもFR社の内部及び外部の監査結果を引き続き注視していきたい。

●サプライヤー・リスト

一方、私たちが要求したサプライヤーリストの公開については何ら回答していないことも残念である。全てのサプライヤー(下請け工場や素材・原材料工場など)を公表することを通じて、産業としての透明性を高めることは、下請け工場における人権侵害がブラックボックス化しないための重要な施策であり、企業の説明責任・透明性を示す重要な指標である。

アパレル産業の国際的大手では、H&Mなど、著名ブランドが責任あるサプライヤー管理のために、サプライヤー・リストの公表を次々と進めている。参照・H&Mサプライヤー・リスト

また、アップル、アディダス、ナイキなど、過去に過酷労働などが社会問題となったグローバル企業も同様である。

FR社には、是非サプライヤー・リストの公表を進めてほしい。

●生活賃金・発注価格

今回発表されたCSRアクションにおいては、発注価格の見直しや生活できる賃金への改善については触れられていない。

FR社からは、今年4月にメールにて、「発注額は原料価格や労働市場の動向など様々な要因を踏まえ、FRと工場との交渉によって決められております。賃金の決定権は工場にあり、他ブランドの発注もあるため、当社の発注価格と賃金の明確な相関関係は見出せておりません」との回答をヒューマンライツ・ナウが受け取っている(FRウェブサイトには未公表)。

しかし、残業時間だけ減らし、低賃金のままでは、生活できないため、違法な長時間残業が横行する原因を根絶することができない。

「他ブランド」などというが、国際的なアパレル・ブランドのうち、H&M、GAP、INDITEXなどは下請け工場労働者の生活賃金保障のためのアクションプランを定めていることからみれば、ユニクロも同様の施策を打つべきではないか。

■ 今後に向けて
FR社が、Pacific社工場とTomwell社工場を含めた下請け企業の管理を、国連「ビジネスと人権」指導原則に基づいて、責任もって実施するよう、ヒューマンライツ・ナウは、パートナー団体である、SACOMおよびLabour Action Chinaとともに、引き続きFR社の行動を監視し、建設的な提案を行っていく予定である。

また、ヒューマンライツ・ナウは4月にはユニクロ・GUのカンボジアのサプライヤーでの過酷労働に関し、労働者へのインタビュー結果を公表したが、FR社が事実を否定しており、この件は別途報告したい。

FR社には、より包括的な対策に向けた議論をするため、私たちNGOとの協議を再開することを改めて求めたい。

また、こうした問題を改善に導くには、人々の関心、そしてメディアの報道などによる社会的なモニタリングが欠かせない。1月には、報告書公表直後に確認したものだけでも、非常に多くのメディアに取り上げていただいたが、改善をさらに進めるには継続的な人々の関心や報道が鍵を握る。日頃よりユニクロ等の服を買っている人、買おうかなと思っている人たちにも、是非関心を持って、話題にしてほしいと思う。

■ 他企業にとっても決して他人事ではない。

ところで、私たちのゴールは、ユニクロだけでなく、すべてのブランド・すべてのグローバル企業が人権を遵守することである。

2011年に国連人権理事会が決議した、国連「ビジネスと人権」指導原則は、ビジネスのすべてのプロセスで人権を尊重するための「人権デューディリジェンス」の責任を企業に課している。

今年6月に開催されたG7エルマウ・サミットの首脳宣言は、

責任あるサプライチェーンという項目を掲げ


我々は,国連ビジネスと人権に関する指導原則を強く支持し,実質的な国別行動計画を策定する努力を歓迎する。我々は,国連の指導原則に沿って,民間部門が人権に関するデュー・ディリジェンスを履行することを要請する。

など長文にわたる首脳の総意を表明しており、この問題に関する国際社会の今後の取り組みが強化されていく方向となっている。

特に、日本を拠点に置く企業は、2020年の東京オリンピックに向けて、国際社会からその人権に関する取り組みが厳しく問われていくことになるだろう。ユニクロの過酷労働問題は決して他人事ではない。

今後、私たちヒューマンライツ・ナウだけでなく、様々な国際NGOが日本企業のサプライヤーにおける人権問題を指摘していくことが予測される。過酷労働が第三者機関によって発覚するのを待つ前に、自ら国際水準に基づく対策を講じてほしい。

日本企業の多くが、単に人権指針を採択するなどの施策にとどまっている状況であるが、抜本的な対策が求められている。

そのためのヒントの一部は、この本文でお伝えしたつもりである。

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