曽野綾子化する林真理子さん?
武田砂鉄さん、時々同じアングルから発言されているので嬉しくなるライターさんです。
12月にパーティーで名刺交換したのですが、あとで名刺を整理してて「あれ、どの方だったかな?」
と思ってしまう控えめな感じの方、でも書くことが鋭い。
で、
「川崎リンチ殺人、被害者の母を責め立てた林真理子氏のエッセイの暴力性」
週刊文春の林さんのコラムで被害者の母を責めているという。
私も日本にいなかったからかな、読んでなくて驚きました。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takedasatetsu/20150313-00043794/
林さんは曽野綾子化してる、という論調もありますね。
http://blogos.com/article/107780/
私のSNSには、「林さんってもともとそういう人よ」というご意見をいただいていますが、
ちょっと曽野さんと一緒にしてしまうのは残念。
林さんを私は超タカ派文化人とは思っていません。
エッセイには時々とてもいいことが書かれていますよね。最近の日本の物が言いにくい状況を嘆かれたり、2004年の人質事件の時もバッシングに彼女なりの苦言を呈されたり、世論が暴力的にひとつの方向に流れそうなときは、彼女流のやり方で違う視点を提起されたりする。
朝日新聞バッシングの時のコラムもとてもよかったです(朝日バッシングにくみしないものの、メディアの人間の特権意識をあそこまで痛烈に切り取れるってすごいな、と思った)。
私自身、林真理子さんの小説や生き方にインスパイアされた一人ですし、
「トーキョー国盗り物語」なんて、ある時期バイブルのように読んでいましたよ。
確かに、階級的な物の見方を上からすることがあったけれど、ミーハーなだけかなと思ってました。
だから、そんな影響力のある彼女だからこそ、今回みたいな差別的な言動はやめてほしいと切に願います。
言葉が本当に暴力的。
女性には階級、格差があり、シングルマザーなどはその最低カーストとでもいうような発言。
日常的な差別意識がふと表面化してしまった、露骨な発言。
自分の生き方にとても自信をお持ちなのでしょうけれど、林さんの生き方だって幸運の上に成り立っているのかも。
おうおうにして、女性は名や地位を得ると、自分の生き方を絶対視して、自分の認める生き方の範疇を外れる者にとても厳しくなる。
でも、林さんは若いころに就職に苦労したり恋愛に苦労したりということも赤裸々に語ってこられ、いろんな苦労を知っている人だからこそ、そんなことはないのでは、と思っていたのですが、残念ですね。
私も今回の件では、武田さんの論旨に全面的に賛成です。林さんがこんなことをおっしゃっているようでは、世間の女性たち、主婦層などの偏見は増すばかり。そうした偏見は本当に暴力的なものがあります。
是非撤回してもらいたいです。
特に、当事者でないし、事実について何も知らない人が、警察情報などから断片的に表れてくる情報をもとに、人の生き方、特に今一番、窮地に立たされ心傷ついている、事件の渦中にある人間、意に反して世間の矢面に立たされてしまった人のプライバシーを詮索し、憶測し、断定し、その人の生き方をジャッジする、否定する、そのことが私は許せません。
以前は東電OL事件の被害者の方など、最近では木嶋佳苗氏などが恰好のメディアの餌食になっていましたが、
自分の子を失ったお母さんにまでそのような糾弾が突き付けられるとは。
何も知りもしないのに、人の人生を切り刻むような論調が私はとても容認できません。
井戸端会議での口汚い会話レベルの余談と偏見に満ちた暴力的言説がそのまま公的に横行しているのが現在。
その意味、すべてのワイドショー的な番組やワイドショー的なこの社会そのものにも、罪があります。
パブリックなメディア・そして公的な論者は最低限の公正性、品格と人権感覚を備えてほしい。
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