アジア人権活動家フォーラム
12月3日から5日まで開催されていた、第六回アジア人権活動家フォーラムに参加してきました。
これは、2~3年に一度開催される、アジアの人権活動家の多くが一堂に会する恒例のイベント。
新しく任命された、国連Human Rights Defenderに関する特別報告者(演説しているおじさま)を呼んでのアジア地域初の公式コンサルテーションでもありました。
総勢150人くらいの会議で、各国からたくさん参加していましたが、日本からは私一人だけ招待されて参加。もう少しアジアの人と連帯して何か前向きに進めていくという健全な動きが日本で進むと嬉しいです。
これからは、資金を募って若い人たちにも参加してもらい、いろいろ経験できるようにしたいと思います。
ビルマ民主化活動家、キン・オマーさんと一緒に。
こちらは、私の左が、モルディブの人権活動家、次が、フィリピンの人権団体カラパタンのスタッフ
右側がバングラデシュの女性労働者のために活動する人権活動家。
バングラでは私たちが調査に行った後、労働者のために行動する女性活動家がどんどん逮捕されているらしい。
彼女たちの団体のウェブサイトをみると、ひどい人権侵害ばかりで、がっくりします。
http://www.askbd.org/ask/
バングラデシュで一番有名な人権団体 ODHICARのカーン弁護士は、昨年拘束されて、現在海外渡航ができないので代わりに奥様で同じ団体に所属する女性活動家がスピーチ。
しかし、日本大使館から私たちの置かれた事情を聴きに来てくれたと喜んでいました。
モンゴルの人権活動家からは、ウラン鉱山の採掘を日本企業が狙っている。それを採掘して原発に使い、さらに核のゴミを日本は捨てにくるのだ、それでどれだけ私たちの自然環境や健康が害されることか、と言っていました。
連携したいですね。
この会議は本来バンコクで開催される予定でしたが、軍事クーデター後のタイではこうした集会は困難な状況になっているので、急遽フィリピンで開催。
そのことが物語るように、人権や民主主義を求める活動は政府の独裁強化や、軍事主義の進行によってどんどん狭められているというアジア共通の状況があります。
会議では、一日中、人権活動家が殺される、脅される、誘拐される、政府は全然やる気がないどころか、陰に陽に人権活動家を迫害してる、という話が次から次へと報告されました。
もちろん日本もひどいが、さらに希望のない国も多く、そんな八方塞がりのなか、みんなどうしてるのか? と周囲を見渡すと、長年活動して尊敬されているアクティビストにはおおらかで楽天的な人が多いのです。
悪や悪意と言うのは人の心をとらえて、悲観や絶望、怒り、悲観などに引きずりこむ魔力があります。政府であれ一般であれ、一貫した悪意がすごい力をもっていることだけ見てしまうと、メンタルヘルス上もよくありません。
しかし、ネルソン・マンデラを始め、偉大な人権活動家・社会変革者は、とんでもない不正義の犠牲になりつつも、悪よりも人々のなかにある善を見て、人間に対するゆるぎない信頼を置き、希望を見出して、自分の内面をも高めたことで、偉大なことをなしとげているんですよね。
一緒の会議室にもそんな偉大な人権活動家がたくさん集まっていました。
たとえば人権弁護士である夫を10年前に強制失踪で失ったタイのアンカナさん。この10年間タイはよくなるどころかいまや軍事政権。でも「私たち自身を絶望の淵に葬ってはいけません。仮に政府が絶望的だとしても。」と言うのです。人間の善きものと進歩を信じ、連帯することによってのみ、私たちは前に進める、と改めて思いました。
とても興味深かったのは、タイと香港の話。どちらも学生世代が事態を変えようと動き出している。
タイは、赤と黄色の対立が続いてきたけれど、その和解は難しい。新しい世代が旧世代を乗り越えて連帯と変化を国に作り出すことが一番の希望だ、と言っていました。
台湾も学生ががんばっています。やはり希望は若い人たちにある、ということを再確認させられ、それは大きな収穫でした。そして、女性たち、素晴らしい女性の人権活動家たちが活躍しています。
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