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2014年12月26日 (金)

マタニティハラスメントに関する最高裁判例

今年もいよいよ暮れようとしています。法曹界でもいろんなことがありましたが、10月23日に女性たちにとっては画期的な最高裁判例が出ましたので、ご紹介します。
そう、マタハラ裁判です。
「マタハラ」という言葉が世間で話題になってから一年ほど、この問題に関する社会的意識は高まりましたね。

10月23日、最高裁第一小法廷は、いわゆるマタハラ裁判について、原審を破棄し、女性労働者の主張を認める画期的な判断をしました。
平成26年10月23日 第一小法廷判決判決
平成24年(受)第2231号 地位確認等請求事件
 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84577

この事件は、病院の副主任の職位にあった理学療法士である女性労働者が,労働基準法65条3項に基づく妊娠中の軽易な業務への転換に際して副主任を免ぜられ,育児休業の終了後も副主任に任ぜられなかったことが、均等法9条3項に違反する無効なものだとして、損害賠償を求めた事案です。

ちなみに、
均等法9条3項は、
「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 65条1項の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第2項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」としています。


最高裁は、女性労働者につき労働基準法65条3項に基づく妊娠中の軽易な業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は,原則として均等法9条3項の禁止する取扱いに当たるとしました。
そして、例外が認められるのは、
①当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、または、
②降格の措置を執ることなく軽易な業務への転換をさせることに、業務運営・人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障があり、降格措置が、均等法9条3項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在する場合
に限定されると判断しました。

そして、裁判で問題となった事案についていえば、①の事情が認められないとし、
②について審理を尽くされていないので、今一度、原裁判所である広島の高等裁判所できちんと審理をすべき、
ということで、
広島高等裁判所に事案を差し戻す、という判断をしたのです。

最高裁が初めてマタニティ・ハラスメントに関するフレームワークをつくり、妊娠中の降格について特段の事情がない限り均等法違反、という厳しい基準をつくったのは大きな前進ということができます。

本件は初のマタハラ訴訟として注目され、その判断は女性たちを励ます結果となりました。
今後判決の枠組みに基づいて、実際の労働現場で、このようなルールが定着していくかが問われます。

私も以下のような投稿をして、マタハラについては一石を投じてきました。
 
・ 「出産したらお辞めなさい」労基法違反推奨の曽野綾子論文を週刊現代が掲載した件はなぜ問題にならない?  http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20130903-00027794/
・ 安藤美姫選手に対する常軌を逸した集団マタニティ・ハラスメントについて
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20130707-00026249/

今後も社会的な認識がどんどん高まっていくことを期待したいと思います。


「女性が輝く社会」などと、唱えてみても、現実の職場で、女性が働きやすく、子どもを持っても働き続け、子育てを理由に不利益に扱われることのない社会を実現しない限り、絵に描いた餅です。
是非各職場では、この最高裁判例について肝に銘じて、ルールを守っていくように期待いたします。
特に大企業から、誤った慣行は直ちに改めていってほしいと思います。

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