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2014年12月

2014年12月30日 (火)

歴史の曲がり角か。

今年はイラク、シリア、パレスチナ、本当に悲惨極まりない戦闘により、たくさんの人たちが殺された、その意味で大変悲しい年でした。
そして日本でもヘイトスピーチや歴史修正の問題、憲法に反して集団的自衛権行使容認の閣議決定をするなど、ゆゆしき事態が続いた年だったということができるでしょう。
厳粛にその事実を私たちは見つめる必要があります。
日本は今や全体主義に近づきつつあり、洪水のようなプロパガンダのなかで人間らしさ、まともな理性をどこまで声を大にして叫んでいくかが、かなり私たちに問われている時代といえるでしょう。

一年間私たちも頑張ってはきたけれど、政府はさらに先に行こうとしている。

ひとつはこのニュース。

他国軍の後方支援に恒久法 自衛隊派遣容易に 政権検討

朝日新聞デジタル 12月29日(月)5時2分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141229-00000002-asahi-pol

 安倍政権は、来年の通常国会に、自衛隊による米軍など他国軍への後方支援をいつでも可能にする新法(恒久法)を提出する検討に入った。首相周辺や政府関係者が明らかにした。これまで自衛隊を海外派遣するたびに特別措置法を作ってきたが、新法を作ることで、自衛隊を素早く派遣できるようにする狙いがある。自衛隊の海外活動が拡大するため、活動内容や国会承認のあり方でどこまで制約をかけるかが焦点になる。

 政権は7月の閣議決定で、集団的自衛権の行使を認めるとともに、海外で自衛隊が米軍などを後方支援する活動範囲の拡大も決めた。派遣期間中に戦闘が起きないと見込まれる「非戦闘地域」以外でも、派遣時に戦闘がなければ、自衛隊を派遣できる内容だ。これに沿って、他国軍への物資の補給や輸送など直接の武力行使を行わない後方支援活動を随時できるようにする新法を整備する。

 新法では、自衛隊を派遣する対象として、侵略行為をした国などに制裁を加える国連安保理決議に基づく活動や、米国を中心とする対テロ作戦のような有志連合の活動などを想定している。派遣に際しては、活動内容や区域を定めた基本計画を閣議決定し、国会の承認を必要とする方向で調整している。

 愕然としてしまいます。

もうひとつはこの記事。

Photo

武器輸出三原則を放棄し、何が起きるのか。
私は米国に暮らしていたので、戦争依存経済がどんなに米国を毒しているのか、本当によく知っています。
日本も、戦争の生血を吸って経済を成り立たせる国になってしまってはならない、と強く思います。

今が本当に歴史の分岐点ではないか、と痛感します。
戦争がどれだけ悲惨なものであり、それを放棄した日本の選択がどれだけ尊いものかわかっていない政治家たち。戦争はゲームではありません。戦争こそは最大の人権侵害です。
鋭気を養って新年に備えましょう。


2014年12月26日 (金)

女性と遺言(ゆいごん)・大切な財産と思い出を守り、受け継ぐこと

2015年から、相続税の制度が変わり、控除額が少なくなり、結果的に「増税」ということになります。
詳しくはこちらのウェブサイトをご参照ください。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/144.htm

要注意なのは、これまで「相続税なんて関係ない」と思っていた人たちでも、相続税を支払わないといけなくなるということ。うっかりしていられないんですね。

世間はいろいろと浮きだっているようです。

朝日新聞記事: 相続税増税が2015年1月に迫り、新たに課税される可能性がある人たちが対策に走っている。無縁だった中流層でも、都市部に家を持つ世帯を中心に対象が広がるためだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11523613.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11523613

私たちの事務所でも、年が明けたら、クライアントの皆様にわかりやすいご説明やセミナーをご用意しようかな、と考えております。

これを機会に、是非相続や遺言について、そして大切な財産と思い出を守り、受け継いでいくことについて考えていただけるといいですね。
・どんなお葬式にしたいのか、遺骨はどうしたいのか。
・遺産をどんなことに使いたいのか、誰に譲りたいのか。
・大切な人に伝えたいメッセージはなにか。
・生きている間に、財産をどんなふうに安全に管理していくのか。

などといったこと。

財産をきちんと子どもたちに残すために、早めに専門家と話し合って、対策をとることが大切になってきます。そこでは遺言が鍵になります。
遺言を残すことで、子どもたちの醜い相続争いも防ぐことが出来ます(本当に相続の争いってとても神経をすり減らし、人間不信に陥りそうな手続なんですよ!)
遺産の一部を日頃「素晴らしいな」と思っている民間団体などの活動に寄付することも素敵だと思います。
認定NPO法人や公益財団法人への寄附は、課税対象額からの控除が可能になるというメリットもあります。

そして何より、あなたらしい遺言を書いたり、ビデオメッセージを残したりすることで、あなたの想いを後の残すことができます。

遺言書は、「公正証書遺言」という、公証人の前で作成するものをお勧めしています。これは後で、有効だ、無効だ、という消耗な争いを避けるためにも、素人考えで無効な遺言になってしまうのを防ぐためにも、とても確かな方法です。

でもそれだけではちょっと無味乾燥。もう少し想いを伝えたいのではないでしょうか。

私は昨年こちらの「嫌な女」という小説を読んでみたのですけれど、
http://www.amazon.co.jp/%E5%AB%8C%E3%81%AA%E5%A5%B3-%E5%85%89%E6%96%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%A1%82-%E6%9C%9B%E5%AE%9F/dp/4334765769
主人公の一人は女性弁護士なんですね。
特に嫌な女というわけではないけれど、いまひとつ魅力に乏しい人だなあ、なんて思いながら読み進めていったのですけれど、だんだん味わい深い弁護士になっていくんですね。
その仕事として、遺言書の作成と同時につくるビデオメッセージがあります。
遺言書に付随して、想いを伝えるメッセージなのです。

私はこれは素晴らしい、と思い、私たちの事務所でも取り入れています。

遺言と同時に作成するビデオメッセージがあれば、遺言の内容は嘘じゃないか? という後の憶測や争いを残すことなく、あなたの真意を残された人たちに伝えることが出来ます。
日頃言うことが出来なかった、愛する人たち、少し疎遠になってしまったけれど、大切に思っている人たちへの想いなども、伝えることが出来ます。
亡くなってしまってから公開されるので恥ずかしくなく、思い切って伝えることもできます。

遺言が、最後にあなたの生き方が現れるようなものだといいですね。この世界に残すあなたの最後のメッセージ。

また、墓場まで持っていきたい秘密を守るためにどうするか、というようなこともありますよね、
例えば、マディソン郡の橋みたいなあなただけの秘密があり、遺族でない人を通じて秘密に伝えたいとき、どうする?? というような場合、信頼できる遺言執行者を指定して、対応をお願いすることもできます。


財産を残し、相続争いを防ぐための相続対策とあわせて、大切な思いを家族や愛する人たち、もっと多くの人たちが受け継いでいけるような遺言やメッセージのあり方を、これを機会に考えてみていただけるといいなと思います。

マタニティハラスメントに関する最高裁判例

今年もいよいよ暮れようとしています。法曹界でもいろんなことがありましたが、10月23日に女性たちにとっては画期的な最高裁判例が出ましたので、ご紹介します。
そう、マタハラ裁判です。
「マタハラ」という言葉が世間で話題になってから一年ほど、この問題に関する社会的意識は高まりましたね。

10月23日、最高裁第一小法廷は、いわゆるマタハラ裁判について、原審を破棄し、女性労働者の主張を認める画期的な判断をしました。
平成26年10月23日 第一小法廷判決判決
平成24年(受)第2231号 地位確認等請求事件
 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84577

この事件は、病院の副主任の職位にあった理学療法士である女性労働者が,労働基準法65条3項に基づく妊娠中の軽易な業務への転換に際して副主任を免ぜられ,育児休業の終了後も副主任に任ぜられなかったことが、均等法9条3項に違反する無効なものだとして、損害賠償を求めた事案です。

ちなみに、
均等法9条3項は、
「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 65条1項の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第2項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」としています。


最高裁は、女性労働者につき労働基準法65条3項に基づく妊娠中の軽易な業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は,原則として均等法9条3項の禁止する取扱いに当たるとしました。
そして、例外が認められるのは、
①当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、または、
②降格の措置を執ることなく軽易な業務への転換をさせることに、業務運営・人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障があり、降格措置が、均等法9条3項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在する場合
に限定されると判断しました。

そして、裁判で問題となった事案についていえば、①の事情が認められないとし、
②について審理を尽くされていないので、今一度、原裁判所である広島の高等裁判所できちんと審理をすべき、
ということで、
広島高等裁判所に事案を差し戻す、という判断をしたのです。

最高裁が初めてマタニティ・ハラスメントに関するフレームワークをつくり、妊娠中の降格について特段の事情がない限り均等法違反、という厳しい基準をつくったのは大きな前進ということができます。

本件は初のマタハラ訴訟として注目され、その判断は女性たちを励ます結果となりました。
今後判決の枠組みに基づいて、実際の労働現場で、このようなルールが定着していくかが問われます。

私も以下のような投稿をして、マタハラについては一石を投じてきました。
 
・ 「出産したらお辞めなさい」労基法違反推奨の曽野綾子論文を週刊現代が掲載した件はなぜ問題にならない?  http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20130903-00027794/
・ 安藤美姫選手に対する常軌を逸した集団マタニティ・ハラスメントについて
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20130707-00026249/

今後も社会的な認識がどんどん高まっていくことを期待したいと思います。


「女性が輝く社会」などと、唱えてみても、現実の職場で、女性が働きやすく、子どもを持っても働き続け、子育てを理由に不利益に扱われることのない社会を実現しない限り、絵に描いた餅です。
是非各職場では、この最高裁判例について肝に銘じて、ルールを守っていくように期待いたします。
特に大企業から、誤った慣行は直ちに改めていってほしいと思います。

2014年12月23日 (火)

ゆるせないヘイトスピーチ・フォトアクション


12月の人権ウィーク、ヒューマンライツ・ナウでは、許さないヘイトスピーチ・フォトアクション・キャンペーンを展開しました。
ヘイトスピーチに反対するプラカードを書いていただいて写真をとっていただき、
# ゆるさないヘイトスピーチ

というハッシュタグ
でFBなどにアップするというものです。
ジャーナリストの志葉玲さんが協力してくださり、大学生インターンががんばって素敵な写真がたくさん撮影できたので、コラージュにしました。
みてください!!

http://hrn.or.jp/activity/nomore%20hate%20speech1.jpg

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とても素敵なので、これをポスターにしたいな。

こうやってひとりひとりが差別を許さない意思を示していけるととてもいいと思います。

今回、学生インターンたちががんばってくれました。
タイや香港を見ても思うことだけれど、これからの時代を担う若い人たちががんばって社会を変えようとしている。
日本でも若い世代に人権の文化が育ってくれることを私としては強く期待したいのです。


ヨガとの出会い

今年、感謝したいことの一つはヨガとの出会い。
なかなかぴったりくるスポーツとかに出会えなかったのですが、本格的に始めてみてわかったのは、
ヨガが私と相性がぴったりで、とてもしっくりくるということ。
本当に感激しました。

そしていろいろあっても続けています。今では私の生活になくてはならない大切なもの。

これまで、夢中で走り続けて、突然ぱたりと体が疲れてしまうと、心底疲れてしまい、大変だったのですが、
ヨガでそんなこともなくなりました。

疲れてもヨガに行くと心身や頭脳がリフレッシュされて、免疫力も高まり、体のめぐりがよくなり、本当に感動的なのです。

呼吸法とか、姿勢とか、日々の暮らしの中で健やかに生きるヒントがたくさんあるのです。

年齢を重ねるにつれて大病とか、女性はとても体調が悪くなるとか、、そんな心配をする時期がひたひたと近づいている・・病気になったらどうしよう!! ということについて、ずっと恐怖に感じていました。
ヨガがあるからもう怖くない! というのは言い過ぎで、もちろん、いまでも病気になることとかとても怖いですが、
自分を少しでも健康でベストに近い状態にキープするため、自分なりに行動しているんだ、ということが、自分を落ち着かせてくれます。

自分の体を大切にする習慣をつけて、病気やストレス、疲れを少しでも減らしていければ、と思うのです。

そうやって一日一日大切に生きていくことが大事なんじゃないかな、と思うのです。

というわけで心からヨガに感謝。

2014年12月19日 (金)

年末は第九合唱団に参加します。

毎年そうですが、今年もまたやり残したことが多すぎて、気が遠くなりそう、無事に年末をなんとか迎えたいものです。
しかし、そんななか、今年は新しい試みで、なんと、年末に第九の合唱に参加することになりました。
21日の日曜日に東京芸大奏楽堂、そして、29日に年末恒例の日本橋三越での第九合唱に参加します。
私はもともとピアニスト志望、クラシック、ベートーベンを大変愛しておりましたが、第九もとても好きで、
第九第九を聞かない年はないのですが、本格的に歌うのは今年が初めて。
以前、一万人の第九に参加したのですが、その時はアルトで、練習不足でしたので、
今回は、きちんととは言わないまでも、遅れたり欠席したりしながらも練習に行っていたのです(^^)
本番が近付いて、電車の中でも楽譜を見て練習してます。
当日は譜面を見ないで歌うということですが、果たしてちゃんとできるか。。
がんばりたいと思います♪ 
でも第九の合唱って本当に感動的です。

実は、私の次なる目標は、二年後にはジャズ・ヴォーカルを本格的に勉強しよう、ということがあるのですが、まだ片鱗も見られません。まずはブログに書いてみて、実現に近づこうかな、と。


2014年12月 8日 (月)

フィリピンの元「慰安婦」ロラたち。

フィリピンの最終日の昨日、元「従軍慰安婦」の方々をサポートするロラの家を訪ねました。

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ロラとはおばあちゃんのこと。高齢化された被害者の方々のための医療費もかさんでしまい、政府からも十分なサポートがなく、とても大変な状況のようでした。

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「慰安婦」問題に関する国内での血道をあげた歴史の書き換えや関連した国内政治の動きをよそに、まったく光が当たっていないロラたちの現状に本当に心が痛みました。
もっとサポートが必要です!! 
ケソンの中心にありますので、是非多くの人に訪れて歴史を学び、カンパもしていただきたいと思いました。

ロラの家は小さなミュージアムになっていて、「慰安婦」とされた人々の被害や事実が語られています。
明らかに強制されたという証言がここにはいくつも残されているというのに、
私たちの国の政府はなぜこれを否定できるのでしょう。。。

彼女たちの状況についてはこちらのウェブが参考になります。

http://kokoronokaihuku.blog.fc2.com/blog-entry-87.html

フィリピンの人権に関する動き

先週のフィリピン報告最終日、以前一緒に活動していた人権団体カラパタンの事務所に訪問し、ミンダナオ島の人権状況についてお聞きしました。

一緒に写真撮影したのはミンダナオ島の人権活動家、Hanumay Suazoさん

2007年に軍による子どもの殺害の件で一緒にキャンペーンをしたことがある方です。
ミンダナオ島ではまだ内戦が続く。モロイスラム解放戦線との和平交渉が暗礁に乗り上げ、政府は先住民地域を空爆して人を殺害していると訴えられました。
停戦で武器を捨てると先住民の土地や資源の強奪が待っている状況

ミンダナオは金などの鉱山資源がたくさんとれる地域なので、中国、韓国等、海外からの鉱山運営会社180社が既に入り込み、先住民の土地を奪おうとしているようです。

また、フィリピン軍があちこちに駐屯し、子どもたちの通う学校も軍の武器庫として接収してしまったなど、
軍事主義が横行してしまったといいます。

いったん進みかけた停戦合意ですが、先住民の人びとが先祖代々の土地を奪われるということで怒り、再び武器をとったところ、停戦が白紙になったとのこと。

他方、新人民軍側との停戦は進まず、犠牲は拡大している様子。

世界人権デーを前に300名を超すミンダナオの人たちが、首都マニラに集まって、この事態をなんとかしてほしいと座り込みを続けているとのことでした。台風に負けずにがんばって!!
アジア地域で今も続く紛争。。。今後この問題も注視して、必要なサポートをしていきたいと思います。


そのあと、
フィリピンの元アムネスティ事務局長オーロラ・バロンさんに連れられて、彼女の同僚とご飯を食べに行きました。バロンさんは現在、マルコス時代の人権侵害の犠牲者に補償をするために政府から独立して公的に設置された、フィリピンの人権救済委員会で活動されています。
若い人たちがたくさんスタッフとして全国的に活動、この日は、つかの間・金曜日にカラオケで楽しんでいるところ。
元気な若者たちが人権機関にたくさん雇われて、経験を積む。素晴らしいことです。

この委員会の活動はアジアの独裁政権による人権侵害への補償を担う初めての公的な委員会として歴史的役割もあり、大きく注目されています。

アジア人権活動家フォーラム

12月3日から5日まで開催されていた、第六回アジア人権活動家フォーラムに参加してきました。

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これは、2~3年に一度開催される、アジアの人権活動家の多くが一堂に会する恒例のイベント。
新しく任命された、国連Human Rights Defenderに関する特別報告者(演説しているおじさま)を呼んでのアジア地域初の公式コンサルテーションでもありました。Sr_defender


総勢150人くらいの会議で、各国からたくさん参加していましたが、日本からは私一人だけ招待されて参加。もう少しアジアの人と連帯して何か前向きに進めていくという健全な動きが日本で進むと嬉しいです。

これからは、資金を募って若い人たちにも参加してもらい、いろいろ経験できるようにしたいと思います。


ビルマ民主化活動家、キン・オマーさんと一緒に。

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こちらは、私の左が、モルディブの人権活動家、次が、フィリピンの人権団体カラパタンのスタッフ
右側がバングラデシュの女性労働者のために活動する人権活動家。
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バングラでは私たちが調査に行った後、労働者のために行動する女性活動家がどんどん逮捕されているらしい。
彼女たちの団体のウェブサイトをみると、ひどい人権侵害ばかりで、がっくりします。

http://www.askbd.org/ask/

バングラデシュで一番有名な人権団体 ODHICARのカーン弁護士は、昨年拘束されて、現在海外渡航ができないので代わりに奥様で同じ団体に所属する女性活動家がスピーチ。
しかし、日本大使館から私たちの置かれた事情を聴きに来てくれたと喜んでいました。

モンゴルの人権活動家からは、ウラン鉱山の採掘を日本企業が狙っている。それを採掘して原発に使い、さらに核のゴミを日本は捨てにくるのだ、それでどれだけ私たちの自然環境や健康が害されることか、と言っていました。
連携したいですね。

この会議は本来バンコクで開催される予定でしたが、軍事クーデター後のタイではこうした集会は困難な状況になっているので、急遽フィリピンで開催。
そのことが物語るように、人権や民主主義を求める活動は政府の独裁強化や、軍事主義の進行によってどんどん狭められているというアジア共通の状況があります。

会議では、一日中、人権活動家が殺される、脅される、誘拐される、政府は全然やる気がないどころか、陰に陽に人権活動家を迫害してる、という話が次から次へと報告されました。
もちろん日本もひどいが、さらに希望のない国も多く、そんな八方塞がりのなか、みんなどうしてるのか? と周囲を見渡すと、長年活動して尊敬されているアクティビストにはおおらかで楽天的な人が多いのです。

悪や悪意と言うのは人の心をとらえて、悲観や絶望、怒り、悲観などに引きずりこむ魔力があります。政府であれ一般であれ、一貫した悪意がすごい力をもっていることだけ見てしまうと、メンタルヘルス上もよくありません。

しかし、ネルソン・マンデラを始め、偉大な人権活動家・社会変革者は、とんでもない不正義の犠牲になりつつも、悪よりも人々のなかにある善を見て、人間に対するゆるぎない信頼を置き、希望を見出して、自分の内面をも高めたことで、偉大なことをなしとげているんですよね。

一緒の会議室にもそんな偉大な人権活動家がたくさん集まっていました。

たとえば人権弁護士である夫を10年前に強制失踪で失ったタイのアンカナさん。この10年間タイはよくなるどころかいまや軍事政権。でも「私たち自身を絶望の淵に葬ってはいけません。仮に政府が絶望的だとしても。」と言うのです。人間の善きものと進歩を信じ、連帯することによってのみ、私たちは前に進める、と改めて思いました。

とても興味深かったのは、タイと香港の話。どちらも学生世代が事態を変えようと動き出している。
タイは、赤と黄色の対立が続いてきたけれど、その和解は難しい。新しい世代が旧世代を乗り越えて連帯と変化を国に作り出すことが一番の希望だ、と言っていました。
台湾も学生ががんばっています。やはり希望は若い人たちにある、ということを再確認させられ、それは大きな収穫でした。そして、女性たち、素晴らしい女性の人権活動家たちが活躍しています。

2014年12月 7日 (日)

明日(東京)・13日(大阪) ヘイトスピーチイベント開催します。

明日は、ジョンレノンの命日。そして12月10日は世界人権デーです。
ヒューマンライツ・ナウでは、世界人権デーを記念して、先ほどのブログ記事で
ご案内したヘイトスピーチ調査報告書のご報告を兼ねたシンポを東京(12月8日)、大阪(12月13日)で開催します。

東京では、ヒューマンライツ・ナウからの報告と併せて、在日コリアン青年連盟の大規模なヘイトスピーチ被害調査結果も説明していただく。東京では、安田浩一さん、師岡康子さんにも登壇いただきます。

東京⇒http://hrn.or.jp/activity/event/128hrn/

大阪⇒http://hrn.or.jp/activity/event/1213hrn/

是非、みなさまお気軽に参加してください。
この企画は学生が中心に運営を担ってきまして、あまり日頃人権やヘイトスピーチ問題に関わってこなかったアウェイの方でも、気軽に参加できます(ヒューマンライツ・ナウのイベントはいつもそうですが)。
イベントは事前申し込みお願いします。
そして、イベントは静かに議論する場所ですので、妨害はくれぐれもご遠慮くださいね~~

また、急きょ決定したこのキャンペーンにはイベント開催、ゲスト招聘、
報告書普及などのお金がかかり、資金が20万円ほど、足りません!!
是非皆様のお力をお貸しいただき、イベントを成功させてください!
ご協力よろしくお願い致します。
http://www.imagene.jp/npo/hrn/2014_event.html


以下、東京イベントのご案内文です。

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ヒューマンライツ・ナウ 人権デーイベント
       2014年12月8日(月)19時~
このままで良いのか ヘイト・スピーチ  「明らかになった被害の実態」
               ~聴き取り調査から見えてきたもの~

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■被害実態調査報告&在日コリアン若者の声
 (※ヒューマンライツ・ナウ関西グループの聴き取り調査より)

○ デモを見て自分たちの存在が否定されたと思い、身体が震えてドキドキした。
○ 面と向かって憎悪感情を投げかけてくることに対し恐怖を感じた。
○ 「殺せ、殺せ、朝鮮人」と言われ、殺されるんじゃないかという恐怖が襲ってきた。
○ 自分でどうしようもできないことを理由に、「死ね、殺せ」と言われることの不条理。

■「穏健な表現」なら良いのか? 国連の要請する規制とは?

日本には差別を禁止する法律も、在日コリアンや被差別部落の人々といった
不特定多数の人々に対する差別、侮辱、憎悪の表明やその煽動を規制する法律も
ありません。「対象が多数なら、一人ひとりのこうむる被害は少ない」というのが
その理由の一つとして挙げられていますが、ヒューマンライツ・ナウ関西グループが
行った在日コリアンへの聴き取り調査は、それが事実でないことを明らかにしました。
国連は、ヘイト・スピーチが野放しになっている日本の現状を憂慮し、法律による
規制を含め、「毅然として対処すること」を強く勧告しています。

今回のイベントでは、ヒューマンライツ・ナウ関西グループの調査結果を報告し、
日本社会に生きる在日コリアンの若者たちが受けてきた差別やそれに関する
思いなどについて、在日コリアン青年連合(KEY)のメンバーにもお話しいただきます。

日 時/2014年12月8日(月) 19時~21時 (開場:18時30分)
会 場/青山学院大学 青山キャンパス2号館 2階221号室 (150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25)
       
        JR山手線、東急線、京王井の頭線「渋谷駅」宮益坂方面出口より徒歩約10分
        地下鉄各線「表参道駅」B1出口より徒歩5分
資料代/1000円

<ヘイト・スピーチ被害調査報告>
   三輪 晃義(みわ・あきよし)さん (弁護士)
<在日コリアン青年差別実態調査報告>
    梁 英聖(りゃん・よんそん)さん (在日コリアン青年連合)
<国際人権条約が義務付けるヘイト・スピーチ規制>
    師岡 康子 さん (弁護士)
<ヘイトスピーチの本質とは何か>
    安田浩一さん(ジャーナリスト)

主催:認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ
    青山学院大学人権研究会

【スピーカー紹介】
三輪 晃義 さん (弁護士)
2012年1月大阪弁護士会登録。HRNヘイト・スピーチ調査プロジェクトチーム。

梁 英聖(りゃん・よんそん)さん (在日コリアン青年連合)
在日コリアン青年連合(KEY)常勤スタッフ。KEYで行ったヘイトスピーチなどに
関する、在日コリアン青年の差別実態アンケート調査報告書のとりまとめを担当。

師岡 康子 さん (弁護士)
2003~07年日本弁護士連合会人権擁護委員会委嘱委員、
枝川朝鮮学校取壊し裁判弁護団、大阪経済法科大学アジア太平洋研究
センター客員研究員、外国人人権法連絡会運営委員等。
共著書に『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』(前田朗編著、三一書房)、
『外国人・民族的マイノリティ人権白書2010』(外国人人権法連絡会編、明石書店)ほか。

安田 浩一 さん (ジャーナリスト)
1964年、静岡県生まれ。『ネットと愛国ー在特会の「闇」を追いかけて』
(講談社)でJCJ賞および第34回講談社ノンフィクション賞受賞。
他の著書に、『外国人研修生殺人事件』(七つ森書館)など。

参加申込≫ Eメールにて、ヒューマンライツ・ナウ事務局(info@hrn.or.jp)まで
         件名を「12/8参加希望」としてお名前、連絡先を明記しお申込みください。

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ
110-0005 東京都台東区上野5-3-4クリエイティブOne秋葉原ビル7F
電話 03-3835-2110 Fax 03-3834-1025 http://hrn.or.jp/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ヘイトスピーチはそれを受けた人々にいかに恐怖を与え、心の傷を残すのか。ヒューマンライツ・ナウが調査報告書を公表 


日本においてはいわゆるヘイト・スピーチが社会問題化し、とりわけ、在日コリアンに対する民族的敵意、差別、憎悪を表明する表現行動や街宣などが相次いでいる。

こうしたなか、東京を本拠とする国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ は、不特定多数の者に向けられたヘイト・スピーチの法規制をめぐる議論の前提となるべき立法事実の調査を行い、調査報告書を完成させた。調査の内容は、ヘイト・スピーチの名宛人となっている在日コリアンの人びとが被った被害状況、今年春から夏にかけて、被害事実や被害感情について聞き取り調査を実施、まだ量的に十分な調査とはいえないものの、限られた範囲でも、在日コリアンの方々がヘイトスピーチによって深刻な影響・被害を受けていることが明らかになった。

報告書全文はこちらから読める。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-306/

■ 聴き取りの内容

少し長くなるが、被害のリアルな実態を知っていただくため、聴き取りの内容を一部紹介していきたい。

20代男性:  5年ほど前、広島で在特会4名(中年)のヘイト街宣に遭遇した。目の前に立ち止まって堂々と見てやろうと思ったが、正直、怖かった。どれほど相手が弱そうでも恐怖を感じ、身体が動かなかった。実際の危害を恐れたのではない。自分のことを言われていると感じた。一番言われたくないこと、思っていても自重して、口に出すべきではないこと(そう、国際的にも認識されていること)を堂々と一般人がやっていることに恐ろしさを感じた。

・ 自分でどうしようもできないことを理由に、「死ね」「殺せ」と言われることの不条理、痛みを感じる。単なる罵詈雑言ではない。

・ ぬぐい去れない属性を非難されることは、正体不明の追い打ちを掛けられること。

・ 深く考えていない在日コリアンが大部分だが、どこかで深く傷ついている。積極的反応や意見が出ないことは、意見が無いことや、傷ついていないことを意味しない。それを表現する場面や機会がない。


20代男性:

・ 2002年からネット上で在日コリアンとして発信してきたが、最近は返信が炎上している。2010年から、在特会批判を含むツイッターに対して、毎日、ヘイト・スピーチが届く。

・ ヘイト街宣に対する抗議行動が起きるまでは、鬱状態になり、精神科に相談し、カウンセリングを受けた。しばらくネットを離れるようにアドバイスされた。

・ 在日の友人たちには、不安を与える懸念から、相談したり、誘ったりできなかった。多少親しくても、日本人の友人に相談したり、話したりすることは今も不安でできない。

・ 1年間、すべてがそうしたことでつぶれた。他にやりたいことがあるが、できない。


10代女性:

・ 京都朝校襲撃事件の動画を中学生の時に見たときは、別世界で起きたことのように(非現実的に)感じられたが、その後、初めてヘイト街宣を目の当たりにして、ショックを受けた。子ども達もいたのに…。

・ ヘイト街宣参加者の一人と一対一で話し合ってみたが、最後に「あなたは、この国に必要ない。(自国に)帰ってください」と言われて辛かった。


50代男性:

・ 2013年2月24日に鶴橋で行われた排外デモを見た。

・ デモを見て、自分たちの存在が否定されたと思い、身体が震えて心臓がドキドキした。在日韓国・朝鮮人に対するメッセージだったが、まさに自分に投げかけられていると感じた。

・ 訴えられているメッセージは、在日韓国・朝鮮人が実際には受けていない特権を受けているというデマばかりだった。デマがデマを生んでジェノサイドに繋がった関東大震災が頭をよぎり、強い恐怖を感じた。

・ デモの直後、本名を名乗っている子どもたちは家から出るのを怖がったり、日本人に名前を伝えるのを怖がるようになった。


50代女性:

・ 私のことを特定しているわけではないが、直接、私に襲い掛かってくるのではないか、仲間が一緒にいても私が標的になっているのではないか、と感じてしまう。

・ 在日が多く居住し、朝鮮学校もある地域に来てやっていることに強い怒りを感じる。とくに子ども達がどれだけ傷つくかと腹立つ。息子が中学のときに、コンビニに買い物に行き、ヘイト・スピーチを見かけたらしく、帰宅後「早く大人になって帰化する」と言われた。

・ 一番腹が立つのは警察に対してである。警察は彼らの言動に対して、黙って見ているだけで、何も言わないし、何もしない。中学生が「何でとめないの?」と質問したら、「表現の自由だから」と答えたと言う話を聞いた。


40代女性:

・2012年2月、新大久保における在特会デモをみた。ニコニコしながら、「朝鮮人、死ね、ゴキブリ」というプラカードを写真に写る

ように見せているのを見て、絶句した。白昼堂々と正当性を訴える団体に出会ったときは衝撃であった。

警察40~50人は在特会を誘導しているように見えた。警官は交番で談笑していた。デモが通り過ぎて思わず泣き出した。

・ 民族のことを言われているのは、自分のことを言われているような意識を持つようになった。「殺せ、殺せ、朝鮮人」と言われ、殺されるんじゃないかという恐怖が襲ってきた。一見普通の人が、ヘイト・スピーチに参加している状況が恐ろしい。

・ネットに記事を書いている関係で、ネット上で数々の脅迫を受けている。


50代男性:

この国で学んで働いてきた人間が、なぜ出て行けと言われなければならないのか。悔しい


■ 人権や尊厳に対する深刻な侵害

以上に紹介したのは特に象徴的な声であるが、聴き取り調査の結果、不特定多数の在日コリアンを対象としたヘイト・スピーチが、個々の在日コリアンの人権や尊厳を侵害しており、また、在日コリアンの社会生活やその行動に影響を及ぼしている実態が明らかになった。

・ 恐怖

聞取りに応じてくれた人たちは、共通して、不特定多数に向けられたヘイト・スピーチを、まさに自分に向けられているものと感じ、強い恐怖を抱いたと述べている。ヘイト・スピーチを前にして、恐怖から何もできなかった、身体が動かなかった、身体が震えて心臓がドキドキした、「殺せ、殺せ、朝鮮人」と言われ殺されるんじゃないかという恐怖が襲ってきた、罵詈雑言を平気で投げかけていることへの恐怖などが語られている。

・ 自尊心の傷つき

特定の個人が攻撃の対象とされる場合と変わりなく、皆が一様に心の傷を負っている。

不快感や痛み、悔しさを感じたり、吐き気が生じたり、気分が悪くなるほどに、自尊心が傷ついた。自分ではどうすることもできない属性を理由に、「死ね」「殺せ」と言われることに不条理を感じる。言い表せない怒りを感じる。自分たちの存在が否定されたという思い。デモが通り過ぎて思わず泣き出したなど、人間としての尊厳や自分の存在そのものを否定されたという思いからくる、自尊心の傷つきが共通して語られた。

・ 社会生活への影響

日常生活の些細な場面で、ヘイト的な言動を聞くと「ビクッとする」ことが増えている。あるいは、日本人の友人に相談したり、話したりすることができない、日本人の仲間とは共有できない苦しさがあるなど、ヘイト・スピーチによる被害が、日常の社会生活や日本人の友人との関係にまで及んでいる。

また、ツイッター上で在特会批判をしたことがきっかけで、毎日、ヘイト・スピーチが届くようになり、うつ状態となって精神科に受診し、カウンセリングを受けていたという被害体験もみられた。

・ 子どもへの影響

子どもには見せられないなど、子どもへの影響を心配する声も多い。実際に、ヘイト・スピーチを知った子どもがショックを受けて、出自を周囲にあきらかにしてはいけないと思うようになった事例、本名を名乗っている子どもが家から外に出るのを嫌がり、日本人に名前を伝えるのを怖がるようになった事例、大人になったら帰化すると言い出した事例など、少なくない子どもが自分の出自を否定的に捉えるようになっている。

・ 日本社会に対する恐怖

ヘイト・スピーチを生み出し、規制せずに容認している日本社会や、普通の人がヘイト・スピーチに参加していることへの恐怖も語られている。また、ヘイト側に対して寛容な態度を取っている警察への疑問や、公人によるヘイト・スピーチを放置してきた日本社会の問題も指摘された。

このようなひとりひとりへの聞き取り調査により、ひとりひとりのパーソナル・ストーリーが浮かび上がり、被害の深刻さが明らかになった。是非、生身の人間が、このようなヘイトスピーチを受けた時の心の動き、心の傷、恐怖などを是非想像し、理解していただきたいと思う。自分にこのようなことがおきたらどんな絶望感、不安感、恐怖を感じるだろうか、それが何年も続いたなら、、と考えていただきたい。

■ 法規制の必要性

解散総選挙により、ヘイトスピーチに関する法案の審議は見送られたが、事態は待ったなし、これ以上放置することは許されない。

今年8月、国連人種差別撤廃委員会も、日本のヘイトスピーチに対する対処を政府に求め、

(a)集会における憎悪及び人種主義の表明並びに人種主義的暴力と憎悪の煽動に断固として取り組むこと、

(b)インターネットを含むメディアにおけるヘイト・スピーチと戦うための適切な手段をとること、

(c)そうした行動に責任のある民間の個人及び団体を捜査し、適切な場合には起訴すること、

(d)ヘイト・スピーチ及び憎悪煽動を流布する公人及び政治家に対する適切な制裁を追求すること、

(e)人種差別につながる偏見と闘い、異なる国籍、人種もしくは民族の諸集団の間での理解、寛容及び友好を促進するために、人種主義的ヘイト・スピーチの根本的原因に取組み、教育、文化及び情報の方策を強化すること

などを日本政府に勧告している。

何より被害者の深刻な状況に照らし、一刻も早い法規制が必要である。

日本には諸外国で定められているような人種差別禁止法が存在しない。まず、日本では包括的な人種差別禁止法を制定し、そのなかで、差別とヘイトスピーチについて禁止する旨を明確にし、被害者が迅速に救済される人権救済の仕組みをつくるべきだ。それと同時に、悪質なヘイトスピーチについては、濫用や拡大解釈のないように注意しつつ、刑事処罰に課す刑事規制を真剣に検討すべきである。

今回公表した報告書には、ヒューマンライツ・ナウとしての法規制の提言も詳細に書いているので是非参照していただけると嬉しい。

■ ヘイトスピーチを許さないキャンベーン

報告書公表後、大きな反響をいただいたがその反面、驚いたことに、私たちの事務所にはいやがらせ電話が続いている。

また報告書を受けてさらなる心無いヘイトスピーチをネットに掲載する例が見られた。どうしてそんな心無いことが出来る人たちがいるのか、と暗澹たる思いがする。

しかし激しい差別と排外の放任・横行は物言えぬ社会への入り口である。激しいヘイトスピーチ、人格否定の発言の次の標的になるのは私やあなたかもしれない。そしてみんなが萎縮していく社会となりかねない。 

ヘイトスピーチを問い、それと戦うことは、私たちの社会に人間性を取り戻すための、とても大切な課題だ。

現在私たちは、誰でもできる「ゆるさないヘイトスピーチ」フォトアクションキャンペーンを展開している。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-305/

戦場ジャーナリストの志葉玲氏が、写真撮影に協力してくれることにもなった(以下参照)

https://www.facebook.com/HumanRightsNow

どなたでも簡単に参加できる方法なので、是非、協力いただけると嬉しい。

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