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2013年11月

2013年11月30日 (土)

デモや国会・官邸前抗議はテロと同じ? 自民党・石破氏の発言の危険性

あまりにもおそまつな拙速審議で、憲政に汚点を残した秘密保護法案の衆院採決。

言いたいことが山ほどあるが、野党には今度こそ結束して徹底審議を求め続け、廃案に追い込んでほしいと思う。

臨時国会は越年できないのだから、徹底審議を求めて行けば廃案にすることは不可能ではない。

学者や知識人の方々が次々声明を出されているが、私はこの寒空の中、果敢に国会・官邸前で抗議を続ける人たち、特に若い人たちの行動が素晴らしいと思っている。

ところが、そんななか、

自民党石破幹事長は自身のブログで以下のように記した。


今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。  主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。
出典:石破氏ブログ
個人のブログとはいえ自民党幹事長のブログであり、独り言ではすまされないと思う。

官邸前抗議行動やデモはテロとあまり変わらない、というのだ。

こんな理解の人に国を委ねるのは本当に問題があると心底情けなく、恐ろしくなった。

まるで天安門事件で学生たちを虐殺・鎮圧した、当時の中国政府と変わらないその考え方、民主主義国家のリーダーとしてあまりにも低レベルで危険な見識。

テロは無差別に罪のない人を巻き込む暴力的行為であるからこそ、国際犯罪として許されないのだが、平和的なデモや抗議行動はそれとは全く異なものだ。

デモや抗議行動は、憲法21条に「集会・結社・表現の自由」として保障され、世界人権宣言にも保障されている重要な人権である。

デモや抗議行動は、メディアのような強大な表現手段を持たない市民、ふつうの市民が、一緒になり、人数を集めて、大きな声をあげることを通じて、自らの意見を発信し、人々に届けることのできる数少ない手段である。

自分たちの実感と政治がかけ離れていると思ったとき、それを政府も聞き届けないし、メディアでもきちんと報道されない、大きな力を持つ者たちが何もしてくれないとき、市民はどうすればよいか、自分一人だけの発言では多くの人を振り向かせることができないとき、

同じ思いを持つ人々で集まって、行動し、みんなで大きな声を出すことによって表現し、抗議し、アピールする、それはひとりひとりの市民が持つ数少ない表現手段として、最大限に保障されなければならない。

各国の民主化運動の多くは、市民が街頭に出て、デモや広場での集会によって、強い怒りが示して、政権を追い詰めたことで、成功し、民主化を実現した。

民主主義国であっても、ひとたび選んだ議員がどんなとんでもないこと、公約にない政策を強行してもただ黙っているというのは民主主義ではない。多数決の横暴を牽制するチェックアンドバランスのために、欧米等では日本の規模をはるかに上回るデモがどんどん行われ、有効に機能している。

国連でもいまさらながら「平和的な集会」の人権としての重要性について認識が高まり、2010年以来決議が採択され(強力な提唱者はアメリカとEU)、専門の特別報告者も任命されている。

そうした市民の重要な表現行為・基本的人権を「テロと同じ」と敵視するのは政権党トップとしてあるまじきことである。

憲法・国際人権法で明確に保障された人権への理解を著しく欠いている。

石破氏は「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべき」だというが、むしろ世論は、官邸前にいる人たちと同じだ。


共同通信社が(10月)26、27両日に実施した全国電話世論調査によると、政府が今国会に提出した特定秘密保護法案に反対が50・6%と半数を超えた。賛成は35・9%だった。今国会にこだわらず、慎重審議を求める意見は82・7%に達し、今国会で成立させるべきだの12・9%を上回った。
出典:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131027/stt13102718490002-n1.htm
パブコメでも9万件のコメントのうち、8割は反対だった。福島公聴会でも全員が反対・ないし懸念を表明している。

政府や自民党こそ、秘密保護法に関する支持の輪を広げていないのであり、この瞬間、支持の輪は官邸前の人たちのほうに広がっているのだ。

石破氏は、自分たちのやり方を「民主主義に従って」いると思っているのだろうが、それはまさに数の横暴以外の何物でもない。ひとたび選挙で多数をとれば(しかも違憲・無効- 最高裁すら「違憲状態」と断じる選挙で) 、選挙で争点としなかったどんな問題でも、数の力で強行し、メディアや報道陣の懸念にも耳を貸さず、パブコメや世論調査も無視し、官邸・国会前の抗議行動も、デモも「テロと同じ」とむしろ敵視する、このような発想で、多くの人が懸念する法律を強行してよいのか。国民の意見を聞く耳というものを持っているとは到底思えない。

こうしたやり方に異議がある、ということを、出来る限り声を大にして、言い続けていくことが必要だと思う。

諦めてしまって、何もしないと、この国の民度なんてこんなもの、と政府から甘くみられ、これから起こりうるどんな問題についても、反対の声が無視される、そして気が付いたら反対の声すらあげられなくなっていた、なんてことになりかねない。

2013年11月29日 (金)

12月9日私の出版記念パーティーを開催いたします♪

寒くなり&国会が大変な今日この頃ですが、私の新刊書「人権は国境を越えて」の出版記念パーティーを12月9日に開催することになりました。
憂鬱なことも多い今日この頃ですが、明るいネットワークの機会にして、鋭気を養えればと思います。
是非、書籍を読んで初めて興味を持った、という方も含めて、どなたもご参加いただけますので、よろしければご参加ください。
事前申し込みをよろしくお願いします。お待ちしております♪

新刊 「人権は国境を越えて」 
伊藤和子・著 出版記念パーティーのご案内

拝啓 皆様におかれましては、ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
今年10月、ヒューマンライツ・ナウ(HRN)事務局長 伊藤和子弁護士が、新書「人権は国境を越えて」を岩波ジュニア新書から出版いたしました。
つきましては、出版のご報告と、残り僅かとなった2013年を皆さまと共に振り返る会として、12月9日に出版記念パーティーを開く運びとなりました。
DJが奏でる音楽とともに、パネルトーク等の多彩な企画をご用意し、にぎやかな会にする予定です。会場では、新刊「人権は国境を越えて」の販売も行う予定です。
本企画は、本年のヒューマンライツ・ナウ人権デー企画も兼ねて行います。
ぜひ皆さま、お誘い合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げます。
敬 具

主 催/特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ

~ 呼びかけ人 ~
阿部浩己(HRN理事長) 伊藤茂昭(弁護士 HRN運営顧問) 伊藤 真(伊藤塾塾長) 
上柳敏郎(弁護士 HRN理事) 大橋宏一郎(弁護士 HRN運営顧問)岡田和樹(弁護士 HRN運営顧問)、
久保利英明(弁護士HRN運営顧問) 小池振一郎(弁護士) 後藤弘子(HRN副理事長) 
志葉 玲(ジャーナリスト) 鈴木重子(ヴォーカリスト) 高遠菜穂子(イラク支援ボランティア)
 土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表) 新倉 修(青山学院大学教授) 
濱田邦夫(弁護士 元最高裁判事 HRN運営顧問) 濱田広道(弁護士) 林 陽子(弁護士 女性差別撤廃委員会委員) 
東澤 靖(弁護士 HRN理事) 三浦まり(上智大学教授) 道あゆみ(弁護士) 米良彰子( オックスファム・ジャパン事務局長) (敬称略)

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日 時/2013年12月9日(月)18時55分開場 19時30分スタート
会 場/FIAT THE SPACE  港区北青山1-4-5 ロジェ青山 B1(03-5771-7660)
  http://fiatcaffe.jp  交通:東京メトロ半蔵門線・銀座線 青山一丁目駅1番出口徒歩3分
会 費/一般:5000円  社会人・弁護士3年目までの方:3500円  学生:2500円
        (各種フード、ワンドリンク、プチ・ギフト付き)

* ご挨拶 *
    伊藤和子(HRN事務局長、著者)  阿部浩己(HRN理事長、神奈川大学教授)
* 呼びかけ人・NGO関係の方々などからのトーク *
    サプライズ・ゲストも予定しています。
* パネルトーク *
 伊藤和子(HRN事務局長、著者)×志葉玲氏(ジャーナリスト) 
× 土井香苗氏(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表/HRN理事)
* 音楽などパフォーマンス*
         鈴木重子さん(ヴォーカリスト) ほか
    ぜひネットワーキングの機会にしていただければ幸いです。
* 総合司会 *
    道あゆみ(HRN、弁護士)  川井浩平(HRN、弁護士)

主 催/特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ
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~ 参加申込 ~
参加申し込みは裏面のFAXまたは、Emailで info@hrn.or.jpにお願いします。
件名を「12/9出版記念パーティー参加希望」として、お名前、ご連絡先、ご同伴の方の人数等をお書き添えの上、お申込みください。 
申込・問合せ先 ヒューマンライツ・ナウ事務局 info@hrn.or.jp

特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ
110-0005 東京都台東区上野5-3-4クリエイティブOne 秋葉原7F 電話:03-3835-2110 FAX:03-3834-1025


諦めて沈黙したりしないこと

秘密保護法が衆議院であんなに乱暴に採択されて、多くの方が
怒り、胸がつぶれるような思いをされたことでしょう。
私も本当に愕然としました。
しかし、沈黙していてはいけない。
負ける可能性がものすごい高いことをそれでもあえてするなんて、カッコ悪いと思うかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。私は違うと思うのです。
結果を予測して、諦めてしまって、何もしないと、この国の市民とか民主主義なんてこんなもの、と甘くみられるでしょう。
真剣に怒るべきだと思います。
一度乱暴なことをして、人を怯えさせ、屈服させ、沈黙させ、従えた者は、味をしめるのです。
時々は笑顔で、親切そうに人気をとり、でも肝心な時は暴挙で乗り切ればいいのだ、という教訓を得るのです。
ショック・ドクトリンと同じです。
市民が、むきだしの暴力・暴挙に愕然として、行動の足がすくんでしまったら、
そして何もしなければ、ずっとずっとこんな横暴が続いていくのです。
私たちは抵抗する力すら失ってしまうでしょう。

最大の悲劇は、
悪人の暴力ではなく、
善人の沈黙である。
沈黙は、
暴力の陰に隠れた
同罪者である。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

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2013年11月23日 (土)

ワードローブを変えてみた。

今週末は、実は、理事を務めている学会があったのですが、行かない選択をして、鋭気を養っています。

ところで、今年の秋から、秋も冬もワンピース路線にしてみました。
これまでは5月から9月くらいまで夏物ワンピ―ス、10月から4月くらいまでは黒い上下の人(主にZara スーツ)だったのですけれど、ふと購入したジャージーワンピースが気に入り、これで冬も行こう! と思っているところです。

皆様からは、
エミリオ・プッチですか?
ダイアン・フォン・ファステンバーグですか?
と聞いていただくのですけれど、実は! そんなではなく、通販などでかなりお安く購入しています。

で、しわになりにくく、洗濯機でじゃぶじゃぶ洗えて、旅行にもかさばらず、収納も簡単、
大変便利でよいです♪
それに、毎朝、黒い上下に何を盛るか? と悩むこともなく、朝の時短にもつながっています。

しばらくはこのラインで行きたいと思います。
冬はフリースとともに。

国連専門家:「特定秘密保護法案は透明性を脅かすものである」ジュネーブ(2013年11月21日)

「特定秘密保護法案は透明性を脅かすものである」

国連人権理事会が選任した二人の特別報告者が、日本国政府が国会に提出した特定秘密保護法案に関し、強い懸念を表明した。

深刻な懸念を表明したのは、国連「表現の自由に関する特別報告者」フランク・ラ・ルー氏と「健康への権利に関する特別報告者」アナンド・グローバー氏。

彼らは日本も理事国を務める国連の人権に関する機関・国連人権理事会から選任された強い権限を有する独立専門家だ。


透明性は民主主義ガバナンスの基本である。情報を秘密と特定する根拠として、法案は極めて広範囲で曖昧のようである。その上、内部告発者、そして秘密を報道するジャーナリストにさえ重大な脅威をはらんでいる

と、表現の自由に関する特別報告者のフランク・ラ・ルー氏は指摘した。

さらに


公共問題に関する情報を秘密にすることが正当であるのは、その情報が公開すされることで重大かつ実証可能な危険性があり、なおかつ、その危険性が情報を公開することによる公益性を上回る場合だけである。例外的に、情報が機密にされる必要があると当局が認めた場合でも、独立機関の審査が不可欠である。

という。フランク・ラ・ルー氏は公益目的で内部告発する公務員、公益のために活動するジャーナリストが法的な処罰や制裁を受けてはならないとさらに強調した。

グローバー氏は福島原発事故の経験から、


特に災害においては、市民が継続的かつ迅速に情報を提供されることは必要不可欠だ。それによって、市民が健康に関して正確な判断が下せるからだ

と指摘した。グローバー氏は、2012年11月に福島原発事故後の対応に関連して日本に事実調査ミッションを実施しており、スピーディ情報がいち早く、必要としている住民に届けられず、何週間も秘匿されたことをよく知っている。この出来事は、日本政府、特に官僚が、都合の悪い情報を秘匿するためには、国民の命や健康などこれっぽっちの痛みも感じずに犠牲にするのだ、という教訓を私たちに残した。そしてその反省もないまま、秘密保護法案を政府は通そうとしているのだ。

国連特別報告者の正式文書は国連のウェブサイトに掲載されている。

http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=14017&LangID=E

既に藤田さん&高橋さんという、世界的に活躍する人権分野のエキスパートの方々の訳で日本語になっている。

http://freedexjapan.wordpress.com/

国連専門家が日本が審議している法案についてこのようなかたちで意見表明をするのは極めて異例だ。

国際的な基準から見て、日本の秘密保護法制がいかに問題か、クリアされていない問題が多いか、是非知ってほしい。

こうした人権の専門家の声を一切無視して、法案の制定に突き進むなら、世界が日本の人権状況について懸念を深めていくだろう。軍国主義が台頭した、第二次大戦前の日本に戻っていくのか、と憂慮する海外の識者も少なくない。

政治家、メディア、そして市民が、このまま人権上大きな問題をはらむ法案を、深刻な懸念に目をつぶったまま通してしまうのか、改めて私たちの姿勢が問われていると思う。

特定秘密保護法案、「首相が第三者機関」というとんでもない「妥協」を許してはいけない。

自民党、公明党、みんなの党が、秘密保護法案について、

修正協議で妥協した、という報道に接したので、どこかすこしでもまともになったところがあったのか確認してみた。

すると、あまりにも珍妙な妥協案なので、驚いてしまった。


秘密指定、首相が第三者機関的に関与 自公み、修正妥協          2013年11月19日07時02分  朝日新聞   特定秘密保護法案で、自民、公明両党は18日、みんなの党との修正協議で大筋合意した。閣僚らによる秘密指定に「首相の同意」を求めるみんなの要求に一部応じ、首相が、秘密指定の統一基準を作成し閣議決定する▽有識者に実施状況を毎年報告する▽閣僚に指定などの改善を指示できる――との修正案を新たに提示。みんなも受け入れた。  ただ、与党は法案の根幹部分を譲っておらず、秘密が恣意(しい)的に指定され、国民の「知る権利」が制約される可能性をはらむ法案の問題点は、修正案でも解消していない。  与党は18日、みんなに対し「首相の第三者機関的観点からの関与を明確にする」と修正の趣旨を説明。首相が17日の記者会見で「第三者的仕組みによる適切な運用の確保、政府における一体的な管理運用」に言及したのを受けたとみられる。
出典:朝日新聞
日本の政治家ってみんなこんなに頭が悪いのだろうか。あまりの低レベルに暗澹たる思いだ。これは右とか左とかそういうレベルではない。法律や憲法に関する高校生レベルの理解力もないのではないだろうか。

首相は行政の長であり、行政の責任者である。行政に対する第三者ではあり得ない。

そもそも第三者機関が必要なのは、行政権力の暴走・濫用を防ぐためである。

その歯止めの役割を行政のトップである首相が果たす、というのは内部統制に過ぎず、第三者機関によるコントロールでないことは明確である。

もし企業が大きな不祥事をしたとしよう。そこで第三者機関を設置して、不祥事の検証・再発防止をしようというときに、その第三者機関のトップが企業の社長だったとしたら、みんな呆れてしまい、一斉に非難されることであろう。それと同じような手打ちを、大真面目に、日本の政権与党を含む公党が三党そろってするというのはあまりにも深刻である。

これほど重要な法案をこんな愚かしい議論で通してしまってはならないし、私たちはこんな政治を「仕方ない」と許してしまってはならないと思う。

一方、日本維新の会との修正協議は、もう少しまともなのだろうか。

「第三者機関の設置検討を法案の附則に盛り込むことで合意」したとある。これもあくまで「第三者機関の設置を検討する」と一文書き込むだけであり、将来の検討事項に過ぎず、法案の骨格を変えるものでは全くない。子どもだましだ。与党も与党だが、こんな子どもだましの修正で受け入れてしまう野党もあまりにも腰が引けており、野党としての誠実さ、真剣さに著しく欠けている。

人権や民主主義を危険に晒すことになるこの法案、このようなレベルの低い議論で安易に話しを通してよいはずはない。

小手先の修正では到底この法案の本質を変えることはできない。

国会でも、報道も、また社会も、もっと真剣で実のある議論をしていくべきだと思う。

与野党の修正に茶番・妥協・ごまかしがないか、それを伝えるメディアも物事の本質をきちんと伝えているのかどうか、有権者としては厳しくチェックしていきたい。

2013年11月19日 (火)

知る権利・民主主義を損なう「特定秘密保護法案」をもっと知ってほしい。

いま議論になっている「特定秘密保護法案」(正式名称・特定秘密の保護に関する法律案)。忙しいビジネスパーソンが、世間で話題になっているからと言って、法律案を読む時間等なかなかないと思います。

しかし、この法案、万一でも法律になってしまったら、知る権利にとっても、報道・言論の自由や市民の様々な活動にとっても、ひいては民主主義にとっても、非常に危険です。今後の日本社会のあり方に関わる重大な問題を含んでいるので、是非良く知っていただきたいと思います。

法案の条文は、こちらから、「閣法の一覧」というところの表を見ると法案全部が読めます。

http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm

私自身、あまりにひどい条文に絶句しました。

そこで、まだあまりこの問題をフォローされていない方にも知っていただきたく、問題となるポイントのうち、特に危険な点をあげて解説してみたいと思います。

1 秘密の範囲が広すぎ、濫用の危険大。

「秘密」として指定される情報は、防衛、外交、特定有害活動、テロという四分野の情報。「別表」というところに、事細かに該当する情報が列挙されているが、その対象範囲は実に広範で曖昧である。この四分野にあてはまりうる、極めて幅広い情報が「秘密」にされかねない。

例えば、「防衛」に関しては、「自衛隊の運用」「防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究」「武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類又は数量」は全部秘密にできる。

極端な話、政府が極秘に核開発・核配備をしても、これでは公開されない。自衛隊が憲法違反の活動を海外でしていても、そうした監視もできなくなる。イラク戦争の際には、人道支援の名目で派遣された自衛隊機が、武装米兵を輸送していたことが判明し、憲法違反との判決が出された。しかし、今後はそのような情報も「秘密」指定され、市民のモニタリングや情報収集が処罰対象になりかねない。

また、今回の秘密保護法制定の裏には、日米の武器共同開発に関連して武器に関するすべての事項を秘密にしておきたい、という思惑があるという指摘がある。日米が非人道的な兵器を共同開発し、日本がこれを輸出するような事態になっても、何らチェックが出来ないことになりかねない。

「外交」については、外交交渉のうち、「安全保障上重要なもの」はなんでも秘密指定されうる。政府答弁によれば、TPP交渉もここに含まれることは否定できないそうだ。政府答弁によれば、「安全保障の概念は時代によって変わる」そうで、明確に定義できないそうだ。何が秘密に指定されるか全然わからない。

また、「テロ」はテロ防止のための措置やその計画はすべて含まれる。「対テロ戦争」の名目に戦争や盗聴あらゆる対策が、時に違法に行われ、人権侵害を拡大させているのが世界の現状だが、こうしたテロ対策はなんでも秘密となりうる。また、原発関連も「テロ」に含まれるというのであり、原発の設計・構造・安全性なども「テロ対策」ということで、秘密に指定されてしまう危険性が高いのだ。

要するに、軍事・外交・テロ対策という、国の最も重要な問題に関するほとんどの情報が「秘密」となりかねない。これでは、公益に関わる多くの情報から国民が遠ざけられ、「知る権利」が侵害される危険性が極めて高い。

2 秘密指定に何らのチェック機能も民主的コントロールも働いていないこと。

特定秘密の指定は「行政機関の長」の独断で行うことができる(3条)とされ、第三者機関や国会による民主的コントロールやチェック機能は皆無だ。

そして、「必要があると認めたとき」には「行政機関の長」が他の行政機関や外国に提供できることになっている(6条、9条)。秘密と指定する期間は5年以内とされるが、延長もできる。延長についてもまともなチェック機能はない。

法案の18条は、秘密指定についての統一基準を定めるとしている。しかし、仮に基準が出来ても、それが現実にあてはめられて適正に運用されているか、第三者機関がチェックできないので、あまり意味がない。基準を決めるには、有識者の意見を聞くというが、国民の代表者でなく政府が選ぶ有識者ということでよいのか。また御用学者のオンパレードになる危険性は高い。

秘密について第三者機関がきちんとチェックする仕組みがないのは極めて危険である。

3 内部告発者を保護するセーフガードになり得ない。

私が特に問題だと思うのは、国の不正行為を公にする、「内部告発者」の活動も処罰対象となることだ。公務員などが、役所で不正行為が行われていることについて義憤に駆られ、リークをする内部告発はこれまでもあったが、これからは許されないことになる。

例えば、米国政府が違法な盗聴をしていたことを世界に伝えるという行動をとったエドワード・スノーデン氏のような人が日本に出現したら、秘密保護法のもとでは処罰対象になってしまう。

日本には、公益通報者保護法(http://www.caa.go.jp/seikatsu/koueki/gaiyo/jobun.html)という法律があり、通報者を解雇等の不利益処分から守るという規定を置いている。しかし、犯罪行為に該当する場合の刑事訴追を想定して通報者を保護するものではない。また、この法律では、保護すべき通報対象事実については、法令違反が列挙されているが、現行法が想定・明示的に規制しない権力犯罪や政府の不正、人権侵害行為等に関する公益通報は対象外なのだ。政府や官僚がいくら国益に反すること、市民の権利を害することたくらみ、実行しても、私たちは知ることが出来ないし、内部告発も抑圧される、ということになる。

4 非常に危険な「共謀、教唆、扇動」罪

秘密保護法案で、非常に危険だ、と思うのは、秘密漏えいを「共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する」(24条)という規定である。これは、仮に秘密が漏れていなくても、秘密漏えいを誘発するような行為は処罰する、というもので、相当危険である。

これは報道機関から、報道の自由を脅かすものだ、ということで厳しい反発が生まれている。それだけではない。情報提供を呼びかけること、政府の行為をモニタリングしたり、情報取得について市民団体の仲間内で打合せしただけで、実際に何の情報漏れがなくても逮捕・処罰されてしまう。

法案には、「この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。」「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。」(21条)という規定がある。しかし「雑則」という項目におかれていて、訓示規定に過ぎない。「出版又は報道の業務に従事する者」とは誰かも不明確であり、捜査権限の濫用への明確な歯止め・セーフガードには、まったくなり得ない。それに、フリージャーナリストや、私たちのように政策提言・モニタリングを行うNGOの活動、市民による監視活動やオンブズマンは、この規定では保護されない。

5 メディアへの影響は深刻

今回のことで、一番危機感を抱くべきはまず報道機関であろう。夜討ち朝駆けで政府関係者から情報を取ろうとする行為も、すこしでも行き過ぎがあれば、処罰の対象となりかねない。

また、極秘情報が政府関係者からもたらされた場合にそれを報道した場合、何が起きるかわからない。例えばある記者が公務員からのリーク情報を受け取ってそれを新聞に掲載したとする。リークした公務員は、秘密保護法に違反するわけであるから、誰から情報が来たか調べるため、記者のパソコンを押収するなど新聞社に捜索が入りかねない。記者も誰からの情報提供か事情聴取を受けるであろう。新聞社への捜索は、言論弾圧の口実として使われる可能性もあり、相当な委縮効果をメディアに与えるだろう。メディアが最も守るべき、「取材源秘匿」もできなくなろう(ちなみに森担当大臣は報道機関に強制捜査はないと答弁したが、谷垣法相、古屋国家公安委員長はその可能性を否定していない。http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000015864.html)。

また、こうしたリーク情報について、記者が「教唆・共謀・煽動」したという疑いをかけて逮捕・訴追することもできることになるのだ。現在、ニューヨークタイムズやイギリス・ガーディアン紙は、スノーデン氏のリークした情報やウィキリークスが流す情報を頻繁に紙面で報道しており、何らかの提携関係があると考えられている。秘密保護法案がもしこのような場合に適用されるとすれば、提携を疑われる新聞社に強制捜査がおよび、記者が「教唆・共謀・煽動」容疑で訴追・処罰されかねない。これではスクープなどとれなくなる。メディアはもっともっと危機感を持つべきだ。21条のようなあいまいな規定で誤魔化されてはいけないと思う。

6 国会や裁判所にも開示されない証拠

国会議員も、もっと危機感を持つべきであろう。

法案は、ひとたび秘密と指定された情報について、裁判所や国会に対してほとんど開示しないと定めている。裁判所や国会には、「我が国の安全保障に著しい支障を及すおそれがないと認めたとき」でない限り提供できないとされる(10条)。

そもそも法案によれば、ある情報が「秘密」と指定されるのは、公開することによって安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある場合だ、とされているのであり、裁判所や国会にどんなかたちなら提供できるのか、はなはだ疑問だ。

国会については、衆参各議院又は各議院の委員会もしくは参議院の調査会が行う審査又は調査で、議院及び委員会が秘密会とされる場合でないと秘密は開示されないとされ、個々の議員の国政調査権に基づいて秘密が開示されることはない。

与党議員であっても、政務三役でなければ重要な事実から蚊帳の外となる。

裁判所では、「裁判官限りで秘密を見る」という「インカメラ」という手続きしか想定されていない。

このようなあり方では、国会・裁判所も知らないまま、政府や官僚が独走し、特に軍事・外交部門で国にとって重要な決定が、国民や国会議員の知らない間になされてしまう可能性が高いのである。

その一方、おかしなことに、外国には、行政の長の判断で緩やかに情報提供ができるという。外国とはもちろん同盟国・アメリカということになるだろう。

福島第一原発事故後、SPEEDIに関する放射性物質拡散予測の情報は、市民には全く知らされず、官邸トップにすら知らされず、その一方で米軍には速やかに提供されていた。その間、周辺住民の多くが、危険性や、放射能の拡散方向を知らされることなく、高い線量に晒された。これからも同じようなことが恒常的に発生し、市民の生存や健康が危機に晒される可能性がある。

7 適格性審査

法案では、秘密を取り扱う人間について、適正を審査するとして、その前提として、配偶者、父母、兄弟、同居人のプライバシーを綿密に調査すると規定している。秘密に関連する公務員や民間業者は深刻なプライバシー侵害を甘受しなければ仕事を奪われることになる。

8 民主主義が危ない。

「秘密」が増えてそこにアクセスすると市民も処罰される、という法制のもとでは、国・特に官僚が勝手なことをやりかねない。

国が勝手に秘密を指定する。そして政府首脳と官僚だけで独走して、秘密裏にいろんなことを進める。

その秘密に近づこうとすると、処罰される。「みなさんには秘密にします、だけど信じてください」と言われて、私たち主権者はただ国を信じてついていくほかにないのか。それでは主権者による民主的なコントロールはできなくなる。

行政を市民がモニタリングし、チェックをし、暴走を抑えるのは民主主義の基本である。この法案が通ってしまえば、民主主義は本当に危うい。

9 ひとりひとりが危機感を

このように、この法案には、生半可な修正協議では到底済まされない問題があまりにも多すぎる。

そもそも、現在も、日本には秘密保護の法制度は存在する。国家公務員法、地方公務員法、自衛隊法には秘密漏えいに関する罰則があるのだ。これを越えて、処罰範囲を拡大し、厳罰化をする必要性や、現行法では十分でないという立法事実を政府は明確に示していない。

本法案は、国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(ツワネ原則)という国際基準から見ても、著しく問題がある法律である。

(同原則については、こちらのウェブサイトが今のところ詳しい。http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/09/global-principles-on-national-security.html)

ニューヨーク・タイムズ紙や日本の外国特派員協会はじめ、諸外国の報道機関も一斉に懸念を示しているのは、当然と言える。

まずは、根本的に考え直すべきであり、廃案にすべきだと考える。

国民の知る権利や言論の自由、民主主義の根幹に関わる問題なのであるから、もっと私たち一人一人の主権者が危機感を持って意見表明をしていく必要があると思う。

※ 本法案に対しては、日本のNGO約100団体が共同して「制定しないことを求める」要請書を安倍首相に送りました。

http://www.janic.org/news/ngo_81.php

本投稿の1~9は、この共同行動の記者会見での私の報告をもとに書いたものです。

2013年11月 5日 (火)

第八次再審請求申立

奥西勝さんの第八次再審請求、本日申し立てました。
このまま負けるわけにはどうしてもいかないのです。
不当な決定には絶対に屈しません。
がんばります。

NHKの報道です。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131105/k10015818101000.html

52年前に起きた名張毒ぶどう酒事件で87歳の死刑囚が求めた再審・裁判のやり直しを先月、最高裁判所が認めなかったことから、弁護団は5日、専門家が行った、犯行に使われたとされる農薬に関する鑑定結果などを新たな証拠として、8度目となる再審の申し立てを行いました。

「名張毒ぶどう酒事件」は昭和36年に三重県名張市の地域の懇親会でぶどう酒に農薬が入れられ、女性5人が殺害されたもので、1審で無罪、2審で死刑となった奥西勝死刑囚(87)が無実を訴えて再審・裁判のやり直しを求めてきました。
平成14年に行われた7度目の申し立てでは、名古屋高等裁判所が一度、再審の開始を認める決定を出しましたが、先月、最高裁判所が再審を認めない決定をしました。
これを受けて弁護団は、ことし9月に提出した、「犯行に使われた毒物は奥西死刑囚が持っていた農薬ではない」とする専門家による鑑定結果などが新たな証拠として検討されておらず、裁判所の認定は誤りだとして、5日、名古屋高裁に8度目となる再審の申し立てを行いました。
弁護団の鈴木泉弁護士は「奥西死刑囚は人工呼吸器でかろうじて命の炎を燃やしている状況だ。裁判官には新たな証拠を慎重に判断したうえで、一日も早く再審の開始を認めてもらいたい」と話しています。

やっぱり憧れるのは

最近、ミイのキャラクター・グッズをよくみかけるんですけれど、やっぱり憧れますよね。
率直であるがままで、こびないし、嘘つかない。
偽善者ぶらないし。媚売らないし。

自分に自信がないとこうはいきません。好かれようともしていません。
私は私、あるがまま。

で、なんかかわいいし。


Chara_my

女性はみんなミイに憧れてるんじゃないですかね。
憧れないにしても、内心は羨ましいと思ってるはずです。

ちなみに私の座右の銘は「汝の道を進め、人をして言うに任せよ」なんですけれど、
ミイはそんな座右の銘を持つ必要すらない。

私も社会人として、四六時中ミイみたいに生きるわけにいきませんし、
日本社会にそれなりにAdjustしてふるまうことにしていますが(これでも)、
家にいる時は、表情とか、開き直っているところとか、がんこなところとか、相当ミイっぽいかも。

2013年11月 1日 (金)

私の新著「人権は国境を越えて」 本屋さんでみつけました。

先週末、私の新著「人権は国境を越えて」(岩波ジュニア新書)が書店にも並んでいるのを発見して思わず撮影。結構大きめの本屋さんにはおいていただけていて、新書コーナーにおいてあります。

これまでは専門書を書いてたので、法律書分野に置いてあったのですけれど、ふつうの大き目の本屋さんにもあというのはいいですね。

是非ご購入いただけますと嬉しいです。子どもにもわかりやすい、というコメントをいただいてますので、中学生以上のお子さんに読んでいただくのもいいかな、と思います。

1


こちら、刷り上がりをいただいた際に、編集者さんと、HRNインターンさんと。

岩波ジュニア新書が人権を取り上げるのは鎌田 慧さんの「人権読本」以来らしく、わが子ながら健闘を祈っています。

Hrn1

アマゾンでも売ってます。
是非ブックレビューも寄せてくれると嬉しいです。

http://www.amazon.co.jp/人権は国境を越えて-岩波ジュニア新書-伊藤-和子/dp/4005007562/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1381992220&sr=1-1

(改めまして、直球メッセージです♪)

国境を越えて世界で最も深刻な人権侵害に苦しむ人たちを助ける一助になりたいとの思いをカタチにした、ヒューマンライツ・ナウ誕生までの道のりと、ヒューマンライツ・ナウのビルマ、カンボジア、イラク、フィリピン、日本、そして国連を舞台にした活動等を紹介し、平和と人権への願い・思いを綴っています。
難しくなりがちな「人権」問題ですが、中高生の皆さんから広く一般の皆様にもわかりやすいものに心がけました。
平和も人権も本当にかけがえのないものです。
日本からの平和や人権への国際貢献のあり方に一石を投じることができればと思います。
一冊で、ヒューマンライツ・ナウの活動もわかっていただける内容ですので、
是非ご購入いただき、周囲の方、特に若い方たちに広めていただけると幸いです。


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