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2013年4月

2013年4月28日 (日)

ミャンマー・アウンサンスーチーさん一人では民主化は実現しない。

4月13日からミャンマー(長らく国際的にはビルマ、と言われ、民主化勢力がビルマ、という言い方をしてきた経緯もありますので、以下ではビルマ、とも呼びます)の民主化活動家、アウンサンスーチーさんが来日し、帰国されるまで、さながらスーチー・フィーバーでした。

私が日ごろお付き合いしている、在日ビルマ人のみなさん(多くは民主化運動に参加して迫害され、日本に難民としてきた方々)は、一貫して軍政に対決して、自宅軟禁にも屈しなかったスーチーさんを心から尊敬していて、来日に本当に興奮していました。

私も、ご縁があって、在日ビルマ人とスーチーさんの対話討論集会に参加させていただきましたが、「本当に苦労してきたけれど、そしてまだまだ課題は大きいけれど、軍政が少し緩んでスーチーさんと日本で会える日が来るなんて、みんな、よかったよね」と胸が熱くなりました。はるか日本まで来て長年苦労されてきたビルマ人の皆さんが「今日は人生で一番うれしい日だ」と感動に包まれている様子を見て、とても感動しました。
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スーチーさんの話を聞いて、日本やアメリカ等の政治家と全く違うと思ったのは、自国の人々に対して、政策や政治を語らないことです。「どこの国にいてもビルマ人として誇りをもって生きるように」「日本人に見習って人生の計画を立てなさい」「環境問題を語るなら、まず、きちんとごみを捨てることから、自分から始めてください」と、人としての道を説き、それが人々に感銘を与えているようでしたし、私もそのような政治家は日本にいないわけですので、新鮮な驚きを感じました。

民主化を進めるには、国に文句を言うのではなく、まず、一人一人がきちんと生きて、国の民主化にどう貢献できるかを考えてほしい、あなたたちに民主化はかかっている、というメッセージですので、

ケネディ大統領の「国があなたたちに何をしてくれるかではなく、あなたたちが国のために何ができるかをこれからは問うていこうではないか」

My fellow Americans, ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country. My fellow citizens of the world; ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.

という演説を思いおこしますが、人の道を説き、みんながそれに心酔し頼ってしまっている様子に「国の母」「個人崇拝の対象」という印象を強く持ち、アジア型・途上国型のリーダーだ、という印象を強くしました。

みんなが崇拝できるリーダーがいる、ということは、その国の人々にとって幸福なことであるといえるでしょうけれど、同時に大変に危ういものです。

2015年に予定される総選挙で、スーチーさん率いる国民民主連盟(NLD)が多数を取れるか、スーチーさんか大統領になれるかが注目されていますし、それはもちろん重要なことですが、長期的にみるとこのような旧社会主義国型(?) 個人崇拝でよいのか、という気もします。

ビルマの民主化勢力と話をすると、よく出てくるフレーズが「アウンサンスーチー氏だけが正しい判断をすることができる」「彼女の判断に従う」というのです。「それではあなたたちは正しい判断が出来ないの?」と突っ込みたくなることしばしばです。

ところで、今や抵抗運動の象徴ではなく現実的な政治家となったスーチーさんは軍部と接近し、少数民族の弾圧については発言を控え、大きな反対運動が起きている銅山開発にもこれを認める、という決断をするなど、その判断に大きな疑問がつきまといます。

私の言う、国軍による少数民族の弾圧、というのは本当に戦争犯罪レベルの残虐なもので、

例えば2012年に現地民族団体からいただいた写真報告書はこちらから見ることが出来ますはこんな感じです(残虐な写真が多々含まれています)http://hrn.or.jp/activity/topic/post-152/

女性、子ども、乳児、老人も含む人々の虐殺、非人道な拷問、授乳中の母親がレイプされ殺害される、など、残虐な戦争犯罪行為が繰り広げられてきました。このような非人道的な弾圧に対し、毅然とした態度を取らないまま、国軍と接近するスーチーさんに対し、少数民族の人たちは本当に複雑な感情を抱いています。

最近ミャンマー(ビルマ)では、中国等外国資本が関わる乱開発の強行に伴う人権侵害、環境汚染に対する反対運動が起き、人権団体は警告を発してきました( 詳しくは http://hrn.or.jp/activity/topic/post-185/)。

2011年には中国国営企業が関わったカチン州のミッソン・ダムの開発が地元の強い反対を受け(スーチーさんも反対し)、大統領によって中止される事態がありました。

ところが、中国民間企業が関わったビルマ北部にあるザガイン管区のレッパダウン銅山問題はこれと異なる経過をたどっています。強制移住、環境汚染などの問題があり、昨年から反対運動が拡大し、大統領によってスーチーさんが調査委員会の委員長に任命されましたが、彼女が率いる調査委員会は、なんと開発を認めるという結論を出したのです。

http://mainichi.jp/select/news/20130314k0000m030029000c.html

その理由は、「国の発展には開発が必要」という極めてアバウトなもので、反対派に自制を求めるというものでした。

ミャンマー(ビルマ)ではこれまでも開発に伴う人権侵害、環境汚染が深刻な事案が後を絶たず、多くの人々が犠牲になってきましたが、スーチーさんの論理では、そうしたあらゆる事案においても「国の発展のために」開発が認められる危険性があります。

軍政にスーチーさんが丸め込まれているのではないか、私たち国際人権団体の多くが懸念を強めているのが実情です。

スーチーさんといえど人間、判断を誤ることもあるでしょう。

問題は、スーチーさんに対するよくいえば崇拝、悪く言えば集団的な依存(他力本願)によって、スーチーさんが語れば、おかしいと思っても疑問を呑み込んで、スーチーさんについていこうとみんなが思ってしまう、という状況です。それでは多様な意見による民主主義とはいえないでしょう。

スーチーさんの献身や国を思う想いはよく伝わりますし、皆さん長年尊敬してきたのですから、「信じていこう」と思ってしまうわけです。

しかし、スーチーさんが軍に接近する中、ビルマ情勢は複雑になってきました。

一人に頼る民主化、というものの危うさが露呈されてしまっています。

私の持論ですが、スーチーさんに代わる若い民主化のリーダーを草の根の中から生み出していくことがこれからのビルマの課題です。

中にはスーチーさんの十分でない対応や現実路線を厳しく批判し、乗り越えていくようなリーダーも必要となるでしょう。

そうでなければ健全な民主主義とはいえないでしょう。

実はスーチーさん自身が、そのことは一番実感しているのではないかと思います。

「あとに続く人がいない」と思っているでしょう。

NLDの幹部は皆さん大変高齢です。

1988年にヤンゴン大学を拠点にして始まった学生運動には多くの学生たちが参加し「88世代」と言われ、彼らがスーチーさんの後に続くことが期待されるわけですが、多くの人たちは難民として他国に逃れたり、政治犯収容所に長期間勾留されてきました。ようやく釈放された人たちも長期拘禁の影響から、まだ、本格的に活動を開始してスーチーさんと並ぶリーダーシップをとる状況にないようです。

その後の世代、といえば、さらに難しい状況です。90年の総選挙結果が否定された後の軍事独裁政権によって、ビルマでは、自由な大学教育の機会が奪われてしまっており、ヤンゴン大学は閉鎖され、「教育の空白」と言われる時代が続きました。2005年頃には、学術団体を結成しようという動きをしていた少数民族のインテリの人たちが、そのようなことを企図したこと自体が国家に対する反逆であるとして逮捕され、懲役100年の刑に処せられる事件もあったほどです。

こうしたなかで、民主化を担う人材、次世代を担う人材の育成が進んでいない状況なのです。

特に「人権」「民主主義」は禁句で、外国の政治や法制度について学ぶこともほとんど許されていなかったため、自由で独立した、国際感覚を備えた将来を担う人材が育成されていない状況です。

人権NGOヒューマンライツ・ナウは、ここ数年間、ビルマ国内ではできない人材育成・人権教育・民主主義教育のプログラムを実施するため、タイのビルマ国境沿いに「ピースローアカデミー」という学校を運営し、ビルマの法律家やアメリカの財団と連携して、将来世代を育てる活動を展開してきました(関心をもっていただける方は、こちらをご覧ください。http://hrn.or.jp/pj/pla/)。

既にこの間、75名くらい卒業生を輩出することが出来、20代後半の若者たちがこれからの民主化を担ってくれると思いますので、引き続き、資金ギャップを乗り越えて、きめ細かく支援をしていきたいと考えています。

でも、これくらいの規模では全然足らないだろうな、というのが実感です。今後は、各国政府や民間ファンドがもっとこの分野に支援を強化していく必要があると思います。ヤンゴン大学の正式再開も含め、国内での自由な教育・人材育成が必要となってくるでしょう。

これまで禁止されていた人権NGOや社会問題に取り組むグループ、法律家ネットワークがこれから結成されていくでしょうから、こうした市民社会への支援も求められてくるでしょう。

いずれにしても、20代~30代の若い世代が中心になって、アウンサンスーチーさん一人ではない、ボトムアップの民主主義を担っていくことが、今後のミャンマー(ビルマ)民主化の行方を決めることになるでしょう。願わくは、日本にもこうした分野の支援で貢献してほしいと思います。

2013年4月21日 (日)

この仕事をしていてよかったと思う瞬間&イラク調査報告書の反応

先日のブログで御紹介した、ヒューマンライツ・ナウが公表した、イラク・ファルージャ事実調査報告書。
(まだフォローされていない方、こちらをご覧ください)
http://hrn.or.jp/activity/project/cat83/cat35/-10-2013/
子どもたちが今も兵器の影響で苦しんでいる、死につつある、という深刻な実態をお伝えしました。
昨年11月くらいから準備を始め、ずっと注意深く進めてきましたが、ようやく世に送り出すことができて、とてもほっとして、感慨無量の気持ちでいます。こういうときこそ、この仕事をしてよかった、と思います。
誰も知らないところで、苦しんでいく罪のない人たち、途方もない深刻な人権侵害や犯罪行為が放置され、強いもの勝ち、犠牲者は泣き寝入り、という世界の現状にメスを入れ、光をあてることができるのですから。
この問題は、ベトナム戦争の枯葉剤問題と同様、またはそれ以上に深刻な問題。
もっともっと、問題にしていかなくてはいけないと思います。
以下の国内メディアにたくさん報道いただきました。ありがとうございます!!
今後、是非もっと特集番組も組んでいただけると嬉しいです。
また、国際メディアに取り上げてもらえるよう、現在働きかけています。そして国際団体に呼び掛けて問題に関するネットワークを構築して、責任ある国々の対応を迫っていきたいと思っています。
是非ご支援・ご協力をお願いします。


TBS    http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5310822.html

共同通信  http://news.infoseek.co.jp/article/19kyodo2013041901001032

中日新聞  http://www.chunichi.co.jp/s/article/2013041901001031.html

東京新聞  http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013041901001031.html

沖縄タイムス http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-04-19_48226

河北新報  http://www.kahoku.co.jp/news/2013/04/2013041901001031.htm

山陽新聞 http://www.sanyo.oni.co.jp/news_k/news/d/2013041901001031/

大分合同新聞 http://www.oita-press.co.jp/worldInternational/2013/04/2013041901001031.html

山梨日日新聞 http://www.sannichi.co.jp/kyodo/news2.php?genre=World&newsitemid=2013041901001031

北海道新聞  http://www.hokkaido-np.co.jp/news/international/459291.html

茨城新聞 http://ibarakinews.jp/zenkoku/detaile.php?f_page=top&f_file=CO2013041901001031.1.N.20130419T083305.xml

福井新聞  http://www.fukuishimbun.co.jp/nationalnews/CO/world/696690.html

上毛新聞  http://www.jomo-news.co.jp/ns/2013041901001031/news_zenkoku.html

下野新聞  http://www.shimotsuke.co.jp/news/domestic/world/news/20130419/1026019

47 News  http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013041901001031.html

@niftynews http://news.nifty.com/cs/world/worldalldetail/kyodo-2013041901001032/1.htm

2013年4月19日 (金)

2013年イラク・ファルージャにおける先天性障がいに関する事実調査報告書を公表しました。

みなさまへ

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、イラク・ファルージャにおける子どもたちの先天性障がいに関する事実調査報告書を完成・公表しました。
今回は、高遠菜穂子さんら事実調査チームがイラク・ファルージャに1カ月以上滞在、病院の許可を得て知られていない深刻な先天性障がいについて調査をしていただきました。
数名のチーム(アメリカ人、イギリス人も関わってくれています)により検討を重ね、調査報告書の公表に至りました!
以下にプレスリリースと調査報告書本文をご紹介していますので、是非(英文のみですが)、広めていただけると幸いです。

イラク戦争から 10周年、イラクでは罪もない新しい命が今も奪われ、苦しんでいる。

人権団体ヒューマンライツ・ナウが、2013年イラク・ファルージャにおける先天性障がいに関する事実調査報告書を公表。

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今年はイラク戦争開戦から10周年目にあたる。開戦以来、特にこの数年間、イラクの医者らは先天的障がいの例の著しい増加を訴え、戦争による環境汚染が地元住民、特に乳児や子どもの健康に非常に大きな悪影響を及ぼしたことが疑われている。

例えば、2004年にアメリカ軍により2回に渡り激しく攻撃されたファルージャでは、ファルージャ中央病院の記録上、2003年以来ファルージャで生まれた15%の乳幼児に先天性障がいがあるという。

東京を本拠とする国連特別協議資格を持つ国際人権NGOであるヒューマンライツ・ナウ(Human Rights Now)は2013年初期、イラクでの先天的障がいの増加の実態を調査するため、イラクのファルージャで1カ月にわたり、ファルージャ総合病院の協力を得て事実調査を行った。今日、ヒューマンライツ・ナウはこの調査について"Innocent New Lives are Still Dying and Suffering in Iraq"という50ページ以上の報告書を公表した。

報告書本文: http://hrn.or.jp/eng/activity/Iraq%20Report%20April%202013.pdf
添付資料  http://hrn.or.jp/eng/activity/Iraq%20Report%20April%202013%20Appendix-1.pdf
http://hrn.or.jp/eng/activity/Iraq%20Report%20April%202013%20Appendix-2.pdf


これは、国際人権団体が行った、2003年以降イラクでの先天的障がいについて調査した初めての報告書である。イラクに事態が深刻であるにも関わらず、アメリカやイギリスによる、または国連などの独立国際機関による、イラクにおける毒性兵器の健康影響に関する十分な調査は行われてこなかった。

一ヶ月に及ぶ広範囲にわたる調査を行った結果、事実調査チームは先天的障がいの性質と蔓延が異常な事態になっていることを確認した。調査結果は、イラク戦争後にこうした健康被害が著しく増加したことを示すものである。ヒューマンライツ・ナウはファルージャで健康に関する権利と子どもの命が深刻に侵害され、イラクでの先天性障がいについて直ちに国際社会の関心が寄せられるべきであると考える。

報告書には、70以上もの最近の先天性障がいの乳児の症例と写真が、ファルージャ総合病院と父母の了解のもと公開されている。「このような写真の公開はセンシティブな問題であるが、家族、特に母親たちはイラクにおける先天性障がいの蔓延を強く訴えたいという意向を示していた。深刻な事態を世界の人々、とりわけ責任を負うべき国・国際機関に是非とも知ってほしい」と事務局長伊藤和子はコメントした。

2003年のイラク戦争中および占領下で使われたウランや兵器用の重金属に含まれている環境汚染物質が、先天的障がいの結果に起因する強い可能性があることは様々な科学文献が指摘している。しかし使用された毒性兵器に関する詳細情報が十分に公開されていないため、問題の原因は未だ明らかになっていない。

無実の子どもたちの犠牲をこれ以上拡大しないため、イラクにおける先天性障がいや、有害物質に関係する病気の蔓延について、イラク戦争で残された軍需品の部品や破片との因果関係も含め、包括的な調査を早急に行うことが重要である。先天性障がいを引き起こす物質と蔓延の状況を調査し、原因を突き止め、有効な公衆衛生政策および医療を確立し、被害者への適切な補償の提供をしなければならない。

また、ヒューマンライツ・ナウはイラク政府に対し、戦後の健康被害状況に関する調査を行う独立調査委員会を設置するよう要請している。さらに、国連人権理事会に対し、イラク戦争の非人道的、毒性兵器の使用を含めたすべての人権侵害、および健康に対する権利を取り巻く現在の状況について調査する措置をとることを要請する。

WHOは、イラクにおける先天性障がいを調査しているが、その結果は未だ公表されていない。ヒューマンライツ・ナウは、WHOに対し、公衆の健康に関する問題が明らかになった場合には、これに対処する政策策定に必要な技術援助とガイダンスを提供すること、現象の疫学性質を明確にするため更なる調査を行うことを要請した。  


以上


2013年4月14日 (日)

スーチーさんの来日・未来を育てる活動を続けていこう。

昨日、来日したアウンサンスーチーさん対話集会に参加しました。
スーチーさんの演説で新鮮だったのは、まず政治的主張よりも、まず人間としての道をビルマ人に対して語りかけていたこと。「どこにいてもビルマ人としての誇りをもって生活してほしい。」と、まるでお母さんのように語りかけていたのが印象的でした。みんながそんなスーチーさんを人間として尊敬している様子。
そしてとてもエレガントなのにびっくりしました。
ビルマの民主化にかけた彼女の生き方、犠牲、勇気をみんなが尊敬しています。
彼女が政治家という存在を超えて、精神的支柱であることがわかりました。

今日はビルマ人の人たち、中には懐かしい顔にもたくさん再開しました。一番前のほうの席に案内していただき、みんなと写真を撮ったり。いろいろ課題はあるけれど、スーチーさんが軟禁から解放され、来日する程度までに民主化の兆しが見えて、よかったよね、、、と思いました。

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ただ、民主化の課題は山積しているようです。
特に軍政下で教育が放置されていたため、次世代を担う、民主化を含めた国の再建を支える人たちが不足していること。
NLDのリーダーも育っていないとのこと。
その意味で、私たちがみらいの法律家たちに対して行っている人権・民主主義の教育活動、ピースローアカデミーの活動も、今後さらに重要になってくると痛感しました。
私たちはヒューマンライツ・ナウで、2009年から未来の法律家を育成する活動を続けてきましたが、これからも続けていかなくては、と思いを新たにしました。

ピースローアカデミーの活動はこちらを是非ご覧ください。

http://hrn.or.jp/activity/project/cat47/peacelaw/

Dressを読んでみた。

女性ファッション誌冬の時代に創刊された、話題のDress。
なんと500円と言う価格で、分厚かったので、「お得」と思い、購入してみた。
私は三浦りさ子さんのVeryを読み始め、今は富岡よし子さんのStoryを購入しているが、Dressは同世代の独身ワーキング・キャリアをターゲットにしているということで、興味があった。
編集長は確かStoryの編集長では?
(ちなみに私は既婚でフルタイムの仕事をしているが、そういうセグメントの有力雑誌はないようであるが、なぜかな?)

まず驚いたのは編集長の熱いメッセージ。
女性誌の創刊に「メディアが社会に対して何ができるのか」などと書き綴る女性雑誌ってこれまであっただろうか。
だいたい女性を甘やかし、おだて、実は馬鹿にしているんじゃないかな、というのが女性ファッション誌の基本路線だったように思うが、それがちょっと違う。
また読者に「覚悟」を求めているのが驚きである。
読者を大人の一人の人間、独立した人間とみて真剣に語りかけているように思われる。

随所に挿入されているコピーも随所にメッセージ性があり、ぎっしりと書かれているなあ。
女性誌は「見るもの」だが、読むことを求めている様子である。
美輪明宏さんのインタビュー記事もある。
自立して、責任を負い、自分の面倒を自分で見ている女たち、シングルであること、40代という年代であること、さらに現在の雇用・経済情勢に伴う足元の不安定さを抱えながら(サバンナで狩りをするチーターのようなイメージで、ターゲット層の女性をとらえているのであろうか)、日々戦っている女たちを応援したい、覚悟をもって華やかに生きてほしい、戦い続けてほしい、ということとみた。
結婚にこだわらないで恋愛を謳歌、というメッセージが語られていますけれど、政府の少子化対策の方向性に完全に挑戦し、昨今の40代婚活ブームにもダメ出しをしているわけで、かっこいい少数派といえましょう。

読んでいてまず抱いたのは「やっぱり痩せなきゃ」みたいな感想。
Storyは「私は幸せ」を前提にあるがままの自分を現状肯定っていう緩い雰囲気があり、体型はそのまま服を工夫しましょう、みたいな感じだが、Dressは自分に厳しく、向上心を持ち続ける、戦い続ける女性を想定している。
「服にあわない体型の女性は相手にしてないんです」と公然と書いてるページも発見。
それが、
、"DRESSをまとわなくても輝く自信がある女性たちを増やしていきたい"
ということなのでしょう。

作成側の心意気には好感が持てますが、それに応えられる女性たちが果たして日本にどれくらいいるかな、というのが焦点かと。
そうした女性たちを増やしていく、という方向性で、社会にポジティブな変化をもたらせるとよいな、と思いますが、可能性はまだ未知数かもしれません。
以前Exective Women(?)とかいう雑誌が創刊され、バリキャリ、管理職で活躍する女性、を対象としていて、支持を得ずにすぐに廃刊になった。
あれは上から目線で、出てくる女性たちにも全然共感できず、なんか反発を感じたのを記憶しています。そもそもそうしたキャリア層が層としていなかったので、支持が広がらなかったのでしょう。
その点、今回の展開は好感がもてるものの、どうなるかな。
ただ、創刊に加わった人々がそもそも「覚悟」を持っているよう
ですので、そう簡単にはへたらないでしょう、ということで期待しておきます。

中身についていえば、ワンランク上を目指し過ぎているせいか、実用的ではない、みんなの悩みの応えられるお役立ち情報としていまいちという感がする。
例えば、
・キャリア・ファッションでみんなが困っていることに対応して、有効な役立ち情報を提供してほしい、
・健康、ダイエット、旅行、スポーツなどの記事が薄い
・映画評、書評
・時事コーナーが薄い(冒頭にAeraの人が書いてるけど、全然エッジが効いてない。Storyのほうが充実している、Storyではそういえば男性が担当した記憶だがDressは女性の専門家を登用する方針なのかな?)
・占いがあるのは不思議。大人の女性は占いなどに頼るべきではないので編集方針との矛盾を感じる

など感じた。
私的にはただちにStoryからは乗り換えられない。
Storyと同じものを求めても仕方ないが、今後充実させてほしいものです。

Dressがイメージする女性たちと等身大の現実の女性たちの間にはギャップがあり、そのギャップや本音にまで下りてきて、記事を展開する必要があるでしょう。

まず、心意気は買いました。
また、自立した大人の女性たちが増えていくのはとても大切なこと。
一流の業界人たちが読者層をどうひっぱっていくことができるのか、期待してみていきましょう。

http://www.fashionsnap.com/news/2012-10-29/dress-gift/

ギフトは「DRESS」の創刊にあたり、40〜45歳の独身率が約26パーセントを占めるという現状に着目。年々増え続けているという「シングルアラフォー女性」たちをターゲットに、ファッション、ビューティー、コンフェッションの3本柱で構成された「大人の恋愛雑誌」として発行する。創刊キャッチフレーズは「LOVE 40」。雑誌名には、"DRESSをまとわなくても輝く自信がある女性たちを増やしていきたい"という思いが込められている。編集長は、「ストーリィ」や「美ストーリィ」で編集長を務めギフトを設立した山本由樹、副編集長は「VERY」、「STORY」など女性誌でファッションページを中心にライターとして活躍してきた渋澤しょうこが担当。また、ファッションディレクターとして大草直子を迎える。

 雑誌の創刊に先駆けて、2012年末にはWEB版をオープン。WEBではSNSを活用したコミュニティや、雑誌と連動したECを開設。一休.comと連携してラグジュアリーな宿泊施設、レストラン、スパの予約を可能にする他、オリジナル商品やコラボ商品を揃える雑誌連動型通販「DRESS CLOSET」を展開。さらに、読者同士の共感を熟成するシークレットSNSサービスを提供する。またサイト内では、各界の"DRESSな女たち"を大臣として、"女のための女の内閣"を組織。恋愛担当相には北川悦吏子、美容担当相には藤原美智子などが就任し、日替わりで大臣からの提言をコラム形式で発信していく。


2013年4月 9日 (火)

砂川事件最高裁判決への米国関与・最高裁はうやむやにせず、検証を

砂川事件最高裁判決をめぐり、司法権の独立に反する動きが最高裁内部にあったと報道されている。

砂川事件は、昭和32年7月、東京の米軍軍・旧立川基地の拡張計画に反対したデモ隊が基地に立ち入り、学生ら7人が起訴された事件。

1審の東京地方裁判所は、7人全員に無罪を言い渡したが、その理由は「アメリカ軍の駐留は戦力の保持を禁じた憲法9条に違反する」という思いきったもの。

ところが、この9か月後に、最高裁判所大法廷は、憲法判断を回避する「統治行為論」を採用し、「日米安全保障条約はわが国の存立に関わる高度の政治性を有し、司法審査の対象外だ」として1審判決を取り消した。15人の最高裁判事全員一致の結論だったという。

ところが、この最高裁での審理が始まる前に、当時の田中耕太郎最高裁長官がアメリカの駐日主席公使と非公式に会談したという。

そして、「裁判官の意見が全員一致になるようにまとめ、世論を不安定にする少数意見を回避する」などと話したそうだ。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130408/k10013746941000.html

このニュースには私も驚いた。日本の裁判所は対米追従だ、とか、司法に政治の圧力がある、という話は、聞き飽きるくらい聞いてきた。

事実、最高裁は、憲法違反といえる事態があっても、そのことに目をつぶり憲法判断を回避する「司法消極主義」を採用してきた。

しかし、それは、保守的で波風を立てたくない日本の司法が政治の動きを「忖度」して、憲法違反と判断するのを回避してきたのであろう、と思ってきた。

まさか、最高裁での審理が始まる前に米国とあって、「こういう方向に判決をとりまとめます」などと約束していたとまでは思わなかった。

察するに、わざわざ最高裁からアメリカに自発的に出向く、というのは考えにくく、アメリカから呼び出されたのではないか。

「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」(憲法76条)と定められているとおり、司法権の独立は憲法の要請であり、憲法の番人たる司法にとって命ともいうべきものである。それが外国政府の圧力を直接に受けていた、というのは、到底見過ごせないことだ。

この判決で示された「統治行為論」は、この判決で初めて日本で採用された有名な法理論であり、私も真面目に勉強したことを覚えているが、このような外国政府の圧力のもとで結論に至った法理だったとは唖然とした。

さて、最高裁は、「事実関係を確認できないのでコメントすることはできない」というコメントを出したそうである。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130408/k10013747161000.html

しかし、それで終わりにするつもりだろうか。

随分昔の話とはいえ、日本の司法にとって由々しき事態である。

資料を取り寄せて、関係者から事情聴取をして、検証をすべきである。

第三者機関による検証が必要であろう。

これが事実でないなら調査して事実ではない、と調査結果を公表すべきだし、重要な最高裁判決を出す前に外国政府や日本政府の関係者と会って判決について相談をする慣習があったのだとすれば、それはいつまで続いて、いつ終わったのか(終わっていないのか--そうだとすれば恐ろしい)明らかにすべきであろう。

最高裁は、私の知る限り、そのあり方を反省・検証したことがない。

足利事件など、相次ぐ冤罪事件が発覚し、最高裁が誤判を見抜けず冤罪を救済しなかったという事実があるのに、検察のあり方などについては法務省のもとに検討委員会が出来たものの、最高裁のあり方については検証されなかった。冤罪事件に対する対応については、昨年末に最高裁司法研修所がDNA鑑定に関する研究報告書を公表してお茶を濁した。

今回も、検証もせず、うやむやにするつもりだろうか。

もし最高裁が検証をせず、世論も特に検証を求めず、国会の法務委員会等でも追及されないとすれば、それ自体深刻なことである。

なぜなら、最高裁としても、米国や政府の圧力を受けてきた、日本の司法はそんなものだ、と思っていることになる。世論も国会も、日本の司法はおそらくそんなものだろう、と考え、司法の独立性についてさしたる信頼を置いてこなかった、ということを示すことになってしまう。

憲法違反・司法の独立違反を最高裁自らおかしていたことは深刻であり、是非とも真摯な検証を望みたい。

2013年4月 7日 (日)

4月8日・「一票の格差」違憲無効判決を受けて・升永英俊弁護士×久保利英明弁護士が語る!

一票の格差違憲判決が相次いでいます。司法消極主義を嘆き続けて20年くらいになる私としても、違憲無効判決にはとても感激しました。さて、明日の勉強会です。
かなり席が埋まっていますけれど、参加を希望される方は予約されて是非。

◆第7回 ヒューマンライツ・ナウ運営顧問 主催勉強会◆
    升永英俊弁護士×久保利英明弁護士が語る!
          ~ 主権者は国民だ。 ~
「主権者の多数決」が「国会の多数決」でなければ国民主権国家とはいえない

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ヒューマンライツ・ナウの運営顧問会では、国際人権活動に関心のある
若手弁護士の方々が気軽に集まり、語り、学び、交流できる場の提供として

運営顧問主催勉強会を開催しております。

毎回沢山の来場者にお越しいただき、意見交換や交流を行って
ご好評いただいております。

第7回目の開催となる今回は、TMI総合法律事務所の升永英俊弁護士と、
日比谷パーク法律事務所の久保利英明弁護士が対談形式で講演いたします。
お二人が取り組む「一人一票」の実現に向けた熱い想いと、
注目を集める最新の状況を語っていただきます。

是非お誘い合わせの上、ご参加ください。皆様のご参加をお待ちしております。


◆日時:2013年4月8日(月)18:00~20:00

◆場所:TMI総合法律事務所

      東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー23階
      http://www.tmi.gr.jp/about/access.html
※入館方法は、ご予約をいただいた方のみにご案内させていただきます。

◆テーマ:~ 主権者は国民だ。 ~
      「主権者の多数決」が「国会の多数決」でなければ国民主権国家とはいえない

◆升永英俊弁護士プロフィール:
弁護士・弁理士。TMI総合法律事務所パートナー。
1965年東京大学法学部卒業、1973年東京大学工学部卒業、弁護士登録。
1979年米国コロンビア大学ロースクール修士号(LLM)取得。米国ワシントンDC、
ニューヨーク州に弁護士登録。
「青色LED訴訟」を始め、数多くの特許権・税務訴訟を手掛ける。

◆久保利英明弁護士プロフィール:
弁護士。日比谷パーク法律事務所代表。大宮法科大学院大学教授。

1968年東京大学法学部卒業。在学中に司法試験に合格し、アフリカやインドを

放浪後、弁護士登録。ビジネス弁護士の草分けとして株主総会運営やコーポレート

ガバナンスなどの分野で活躍。M&Aや知的財産法務の第一人者でもある。


◆参加費:無料

※事前にご予約が必要です。お申し込みの無い場合には

ご入場いただけない場合がございます。予めご了承下さい。


◆参加申込方法:ヒューマンライツ・ナウ事務局のE-mail: info@hrn.or.jp まで

件名を「4/8 運営顧問勉強会 参加希望」として、

お名前、ご連絡先、ご所属(とくになければ結構です)をお知らせください。

※こちらの勉強会はHRNの会員の皆さま向けの企画となりますが、
今回はHRNにご関心のある方であれば、ご予約のうえ、参加いただくことが可能です。
なお、予約多数の場合には、HRN会員が優先されますのでご了承ください。


※ご予約はできるだけ、4/4(木)夜までにいただけますと、こちらからのご返信に
余裕がございますので、ご協力お願いいたします。


皆さまのご参加をお待ちしております。


人権・民主主義外交~モンゴル外務省からの招待状に考えこむ。

モンゴル外務省から国際会議の招待が来た。

人権・民主主義の促進のために活動する市民社会のアクターを世界から招待して国際会議を大々的に開催するそうである。

遠くはチュニジア等のアラブ諸国から、アラブの春後の民主化の動きについて話を聞き、ミャンマーの民主化を担う人々も招聘、中央アジアからも市民社会を招聘し、様々なテーマでディスカッションをするという。

かなり大がかりな国際会議になりそうであり、私も日程を調整中である。

こうした会議、国連が主催したり、市民団体が主催する、というのはよくあるが、政府が主催し、かつ市民社会・NGOを招待する、というところが注目すべきところである。

私の記憶では、現大統領が人権擁護に熱心であり、モンゴルのNGOは政府との実質的かつ定期的な人権対話を求めていたところ、実現するようになってきた、という話であり、モンゴルの国内人権課題の進展のためにも、政府とNGOが定期的に意見交換をしているようだ。そういったことをグローバルレベルでやろう、というのが、この会合の目的なのではないだろうか。

モンゴルも中国、ロシア等の挟まれて、それらの国とは違った国の歩みを進めていこうとしているのであろう。そのひとつの特色として、まだまだ発展途上のモンゴルではあるけれども、人権・民主主義、市民社会との対話、という価値観を大切にしていこう、という考えもありそうである。 私の経験では、台湾もそういう傾向があるように思う。

しかし、よく考えると(考えなくても)こういうことは、経済力にふさわしいアジアでの役割を考えるなら、日本こそが先にやっているべきなのに、すっかりモンゴルに先を越されてしまっているのはどういうことだろうか。

実は、日本も一時期人権外交やアジア地域の市民社会の支援を比較的純粋に考えていた時期があったらしく、アジア地域の市民社会・NGO・人権活動家を東京に招聘してネットワーク構築のための国際会議を開催したことがあるそうだが、今となってはにわかに信じられない話である。

しかし、思い出すまでもなく、今の安倍政権も人権・民主主義を支援する「価値の外交」を標榜しているはずだ。 そのような話、今年の1月頃に少し話題になったものの、その後安倍政権が「価値の外交」に本腰を入れて、本格的に推進している気配はほとんど感じられない。

唯一、ODAは価値観を同じくする「お友達」の国に重点的に配分する、というようなODA方針が公表されたようだが、私としては手放しに評価できない。価値観を同じくする国は例えばミャンマーだそうであるが、ミャンマーはつい最近まで軍事独裁政権だった国である。そんなにオセロゲームのように黒から白に、独裁から民主主義に移行するはずがない。

民主化とは、人権とは、そんなに単純には進まない長い道のりであり、アラブの春の後の中東も、ミャンマーも未だ五里霧中の状態なのだ。だからこそそんな不確実ななかでも、民主化や人権の担い手となって活動する市民社会を地道に支援していく必要があると私は思う。

例えば中国は日本にとってオセロゲームの黒かもしれないが、そこでも人権を守るために命がけで活動する人がいる。

そうした人を支援するこそが人権・民主主義外交のはずである。 国の支援ばかり考えないで市民社会の支援に取り組んでほしいものだ。

確かに、単に大々的に国際会議を開催するばかりがよいとは思わない。

とはいえ、価値の外交という日本政府が推進しているはずの分野でも、日本がかなり遅れをとっているのが残念である。

外務省の個々の役人の方と話すと、なかにはたいそう熱心に人権についても心を砕いている方々はいるし、その努力には多とすべきものもある。 ただ、全体として日本が人権・民主主義外交になっているのか、というと、そうした政治的意思は、掛け声にも関わらず、どうも見えない。

それに、甚だ残念なことに今日本では、レイシズムのデモが首都や大阪で盛んに行われ、現政権もこれに対してひとつのステートメントも出さずに黙認しているという人権感覚・国際感覚なのである。そもそもそんなことで、人権に関する国際会議のホストをできる状態ではない、というのが率直なところであろう。

日本が人権・民主主義外交を進めるには、克服すべき課題があまりに多いな、と考え込んでしまうが、自ら人権・民主主義と言い始めた以上、それを突き詰めて誠実に考えるのにいい機会だといえる。正面から考えてほしいものである。

2013年4月 6日 (土)

炎上なんて恐れない。

国際人権NGOで活動していることから「人権派弁護士」と言われることがある。
しかし、実はあまり好きな言われ方ではない。
まず、私は人権感覚に人よりも鋭敏なのか、と言われると「どうかな」と思う。
私は弁護士になった時から、重箱の隅をつつくような日本の人権の議論(弁護士会等で分野別で
活発に展開されている)が嫌いだったのだ。
いわゆる「人権派弁護士」と言われる人たちには、ごくごく少数の者の人権を守ることばかりに全精力を傾け、もっと多くの人たちの深刻な問題に目を向けない、という対する批判があるが、一理あると思う部分もあったりする。
何より、国際人権NGOをやっていると、世界各国のあまりに深刻な人権侵害の現場を渡り歩くわけで、目にするのは問答無用の残虐極まりない虐殺や拷問、レイプといった人権侵害ばかりである。
いつもこうした最も許しがたい人権侵害にアンテナをはり、行動している者として、私は日本の人権問題については相対化して見ているところがあるのが事実だ。
事実調査から日本に帰国するたびに、ほっとするのも事実で、「日本ほど人権を軽視する身の毛のよだつ国はない」なんて言っている人たちとはかなり違う感想を持っている。

どちらかというと「もっと世界にある深刻な人権侵害に目を向けよう、圧倒的な不正義をなんとかしよう」というのが私の活動スタイルであり、心情なのだ。
(ゆえに、人権派と言われる方々から「ずれてる」と言われることもままあったりする。でも特段気にしないのだ)

しかし、そうは言うものの、自分の暮らす国、日本の人権状況が心配に思うことも多い。最近は特に心配なのだ。私が日本の人権について言及するとすれば、こんな私でも違和感を感じて「あまりにもどうかな」という時だったりすることが多い。
そのひとつが、先日ブログで紹介した新大久保の嫌韓デモであった。
ところが、そんな人権感覚の鋭いわけでもない私がする、別にエキセントリックでもない、ごく普通の発言(と私は思っている)ですら、非難にさらされることがあり、驚いてしまう。
このブログはコメント機能がないのだが、昨年秋に始めたYahooのブログはコメントがあり、それを見ると、
新大久保の嫌韓デモの記述やAKB48の記事に対して、結構ひどい、心無いコメントが書いてあったりする。
そういうのを見るのは大変心外なことで、「なんで私が?」と思ったりするものだ。
「反日弁護士」とか書かれると、何を根拠にそんなこと言ってるの?と怒りがふつふつと沸く。。。
そんなことに直面して思ったのだが、リベラルな著名人が批判を恐れて、日に日に無難なこと、一般受けする毒にも薬にもならないことしか言わなくなり、発言に鋭さを失っていくプロセスというのは「こういうことなのかなあ」というのがよくわかる。そんな批判されたくないし、特に、論述でご飯を食べている人は世間に迎合して支持をとりつけたくなるでしょうからね。

では、ほかの例をみてみよう。私の周囲には、勇ましいジェンダー・女性の権利活動家とか弁護士が結構いて、
私より舌鋒鋭く激しくやっていらっしゃったりする。
ところが、ネットで攻撃されたりするのを驚くほど嫌がっており、あまり公式の場で発言しなかったりするようだ。ネットは怖い、とみんなが言うのだ。これには驚いた。

しかし、、、、それはよくないね。
ネット上の攻撃や炎上を恐れて、誰もが公然と公の場で発言しなくなったら、言論の自由は死ぬ。
攻撃されても、発言を続ける限り、少数意見でも人々の目に触れ、人々は考えるようになる。
批判を恐れて、重要だと思う視点を誰もが提供しなくなったら、みんながあたりさわりのないこと
しか言わなくなったら、ひどい差別を受けている人たちのことを知ってるのに知らない顔をして通り過ぎる
ようになったら、言論の自由はおしまいである。最低である。それは魂への裏切りである。
誰も何も異議申立しなくなったら、社会は声の大きい乱暴な者の声で埋め尽くされてしまう。
炎上しようが何しようが、声を上げればそれを読む人、認識する人、支持・共感する人も出てくる。
世論とはそうやって形成されるのだ。
であるから、おかしいと思ったことがあれば、「ネットで攻撃される」なんて関係なく、発言することにしている。
炎上なんて恐れるべきではない。
まあ、わざわざ書くまでもない、当たり前のことだけれど、最近そうじゃなく委縮したりしてる人をしばしば見かけ、残念に思ったので、あえて書いてみました。

2013年4月 4日 (木)

北京の夜

ただいま、北京に短期出張中です。
北京にくるのは、1995年の「北京女性会議」以来実に、17年ぶりで、あら17年もたったの?と驚愕してしまいます。
あのころは、中国の人権侵害国ぶりに驚愕しました。ホテルに公安がいて会議参加者を監視していましたし。
今回はなんといっても大気汚染、それに今回の目的はやはり人権ですが、人権の面でも本当に大変です。
FacebookもTwitterもできません。最初「なんで?」と何度もトライしましたが、「ああ、ここが中国だからか」と実感。
ためしに人権団体アムネスティ、ヒューマンライツ・ウォッチのウェブサイトも見てみましたけれど、こちらも見られません。

今回、分刻みのスケジュールで、中国の人権派弁護士の方々とお会いし、懇談しました。
迫害をものともせずに果敢に活動されている人権派弁護士は時代の最先端、理想に燃えていて、誠実で実直で信念にあふれていました。
日本では、人権状況はパッとしないものの苛烈な弾圧もない状態が続く中で、失った輝きのようなものを中国の人権派弁護士たちに見た思いで、本当に感銘を受けました。
そして、「日中関係が悪化しているこんな時期に日本から弁護士さんたちがたくさん来てくれてうれしい」ととても喜んでくれたことにも感動しました。
ある人権派弁護士は、弾圧がひどい時、例えば拘束されて拷問されている時(弁護士が拘束され拷問されるのです)、自分は「自分がやってきたことは間違っていなかった」とむしろ確信し、「絶対これをやめてはいけない」と思う、言っていました。こんなことをする国のままでは絶対にいけない、自分のためにも、自分の子どもたちのためにも、こんな人権のない国のままにしていてはいけない、とむしろ決意が強くなるのだ、というのです。
本当な困難な中で、社会をよい方向に変えようと活動している人権派弁護士にサポートしたい、と思います。
彼らをサポートし、交流を深めることは、長い目で見て、今後の日中関係にとってもプラスになるに違いない、と思うのです。

2013年4月 1日 (月)

4月11日、イラク・ファルージャ調査報告会

4月11日、高遠菜穂子さんを呼んで以下の報告会を開催します。ヒューマンライツ・ナウは、高遠さんとタッグを組んで、あまりにも深刻なイラクの人権侵害について、光りをあて、取り組んでいきます!

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 イラク戦争から10年、今も子どもたちの未来が奪われている。
      イラク・ファルージャ調査報告会 
          ~報告・高遠菜穂子氏~
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イラク戦争から10年が経過しましたが、今も戦争の傷跡は
深刻に残っています。
イラク・ファルージャなどでは、新生児の先天性異常が急増し、
大変深刻な状況のまま命を落とす子どもたちが後をたちません。
戦争が終わってから10年経過しても、子どもたちの命と未来は
奪われ、苦しみが続いています。
その原因は、ファルージャ攻撃で使用された劣化ウラン弾、その他
有毒兵器の影響と見られていますが、使用兵器に関する情報開示が
ないまま、原因も予防対策も特定されていません。

このたびヒューマンライツ・ナウは、ファルージャ総合病院と
高遠菜穂子さんの全面的な協力を得て、この問題に光りをあて、
事実調査報告書を公表します。
1カ月以上にわたる調査にあたられた高遠さんの報告を聞き、
今後国際社会と私たちに求められる対応を議論します。

ぜひ多くの皆様のご参加をお待ちしております。


日 時/2013年4月11日(木)18:30~20:30

会 場/青山学院大学 青山キャンパス 総研ビル 9階 第16会議室
      (正門を入ってすぐ右側の建物です)
     〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25
     
     JR山手線、東急線、京王井の頭線「渋谷駅」宮益坂方面出口より徒歩約10分
     地下鉄各線「表参道駅」B1出口より徒歩5分

資料代/1000円

主 催/特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)
      青山学院大学人権研究会

≪高遠菜穂子氏≫
イラク支援ボランティア。2003年5月のイラク初入国以来、支援を継続中。
現在は隣国ヨルダンでのイラク難民サポートの他、先天性障がいの
多発するファルージャでの医療ミッションに力を入れている。
2011年3月の東日本大震災後、南相馬でのボランティアをきっかけに
定期的に福島各地を訪れている。


●参加申込
ヒューマンライツ・ナウ事務局まで、Eメール(info@hrn.or.jp)、または、
FAX(03-3834-1025)にて、「4月11日イラク報告会参加希望」の旨と、
お名前・連絡先をご記入のうえ、お申込みください。

※予約不要でご参加いただけますが、人数把握の為、なるべく事前に
お申込みいただけると助かります。


<ご寄付のお願い>
ヒューマンライツ・ナウのイラク事実調査活動に関しまして、ご寄付を
いただけますと幸いです。ぜひご協力のほどよろしくお願い致します。

お問合せ先:
特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ
メール info@hrn.or.jp/FAX 03-3834-1025/TEL 03-3835-2110

Twitterを再開します。

震災直後に始めたものの、ほとんど三日坊主だったTwitter。
140字(?)というのがほとんど俳句の世界みたいで、棚上げにして、Facebook一本になりました。
ところが最近、Facebookなどをフォローしてくださる方が増え、ありがたいのですが、Facebookは友達以外非公開なもので、フォロワーの方に申し訳ない感じがしておりました。
ということもありまして、ほそぼそと可能な限りでTwitterも再開することにしました。
パスワードも忘れたので、登録し直したところです。
でも、あまり期待しないで(笑)。
FB投稿のうち、公開してもよさそうなものだけTwitterにも流す、という芸のない方法になります。
というわけで、せっかくフォローしていただいたのに「なんだこりゃ」という方、是非Twitterをフォローしていただけますと幸いです。

    @KazukoIto_Law

https://twitter.com/KazukoIto_Law

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