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2013年3月

2013年3月31日 (日)

これ以上放置できない~反韓デモなど、野蛮な民族排撃デモ・ヘイトスピーチ

新宿・新大久保で「韓国人を叩き出せ」「殺せ」などと連呼するデモが続いている。

3月17日は、「春のザイトク祭り 不逞鮮人追放キャンペーン デモ行進 in 新大久保」なるものが開催され、「除鮮」「祖国を蝕む害虫を撃つ」「出て行け朝鮮人」「殺せ朝鮮人」など、とんでもない差別表現のプラカードが掲げられて、排撃デモが行われたという。

http://tanakaryusaku.jp/2013/03/0006827

2月に開催されたデモもひどいものであった。「韓国人を殺せ」「ガス室に遅れ」「首吊れ」「ゴキブリ」

などと言うプラカードが掲げられた。http://getnews.jp/archives/289322

このような差別表現をネットで引用すること自体、抵抗があるが、多くの人に日本で今何が起きているか、を共有してほしいと思ってあえて紹介する(とても紹介できないひどい表現ももっともっとある)。

こうした事態を受けて、有志の弁護士が29日に、「これ以上放置できない」として東京弁護士会に人権救済を申立て、警視庁にも周辺住民の安全確保を申し入れた。会見した弁護士は「在日外国人の恐怖感は高まっており、身体に危険が及ぶ可能性もある」と述べたとされる。

http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY201303290464.html?tr=pc

「殺せ」などの殺人や身体的攻撃を示唆・教唆する表現は、重大な犯罪を誘発しかねず、

正当な表現行為の範疇を著しく逸脱している。 このような状況では、民族排撃の対象となった定住外国人は、いつ危害を受けるか、不安で仕方がないであろう。

そしてそもそも、このようなあからさまな差別表現を行うこと自体、放置しえない人権問題である。

日本でも、これまでも外国人差別的意識は厳然としてあったと思うし、石原慎太郎前東京都知事が先頭に立って「三国人」などと発言をして責任を問われない、などという問題もあったが、ここまであからさまな差別表現が「デモ」というかたちで公然と行われることはなかったと思う。そのようなことを公然と発言するのは、最低限のモラルに反する恥ずかしいことである、人種差別主義者である、としてこれを容認しない社会的な風潮があったと私は考えていた。ところが目を覆うような差別表現や民族排斥が公然と行われるようになったのである。

こうした動きは新大久保だけではなく、全国に蔓延しているし、このまま放置すれば、さらにひろがる懸念もある。

凄惨な大虐殺や人権侵害は、いつも差別表現・民族排外の意識から生まれる。ナチスのホロコーストも、ユダヤ人排外の徹底したキャンペーンからスタートし、社会がこれを容認し、知らず知らずのうちに人々の意識に浸透する中で、ファシズムが完成し、ジェノサイドが起きていった。

ルワンダの大虐殺も、虐殺の前に、虐殺の対象となった民族を「ゴキブリ」「殲滅せよ」などと繰り返すラジオを中心としたメディア・キャンペーンが、ジェノサイドの土壌を整えていった。

日本においても、同じことが起こらないとは限らない。

民族差別に基づく虐殺・人権侵害を起こした国の残した教訓は、「早いうちからジェノサイドの芽を摘む」こと、人種差別の蔓延を放置しない、ということである。ヨーロッパでは、人種差別発言・反ユダヤ的表現は、表現の自由の範疇を逸脱するものとして厳しく規制・処罰されている。

国際的な人権基準のコンセンサスである国際人権規約(自由権規約)は、表現の自由を保障しつつも、20条で「1 戦争のためのいかなる宣伝も、法律で禁止する。 2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する」という規定を置いて、差別表現は禁止・規制してきた。

日本はこの条約を批准しているが、むしろ戦前に表現の自由が厳しく弾圧され、「暗黒時代」と呼ばれるなか戦争に突入した反省から、表現の自由の内容規制はできる限りしない、という考えを採用してきた。ヘイトスピーチについても、表現規制の口実にされて濫用される懸念から、慎重な姿勢を示す意見がどちらかといえば多く、そのため規制法は制定されていない。

しかし、だからと言って、ヘイトスピーチに寛容な社会であってよいはずはない。

政府もメディアも教育現場も、差別表現の蔓延が重大な人権侵害である、という認識に立って、このようなことを許さない明確な姿勢を示していくべきだ。部落差別問題に関しては、長年の運動もあり、政府・自治体・企業も対策を取り、未だ不十分ながら部落差別はあってはならないというコンセンサスがある程度社会に根付いているが、これと比較しても人種差別、在日外国人差別問題は政府・教育・メディアの取り組みもなく、ほぼ野放し状態に見える。外国人差別を禁止する法律を制定することも含め、差別を許さないという国の明確な姿勢が求められていると思う。

また、私たちひとりひとりが、レイシズムを許さない社会をつくっていく必要があると思う。レイシズムを許さず、屈せず、おかしいと言い続ける社会の環境をつくる必要がある。

そして、願わくば、デモに参加している人たちにも考え直してほしい。

デモ参加者は、北朝鮮のミサイル・核実験、拉致問題、竹島問題等を理由に日本に住む外国人を排斥したいという。

しかし、在日韓国・朝鮮人の人たちには、北朝鮮のミサイル核実験、拉致問題、竹島等の為政者の行為に対して、直接影響を与える立場にないし、何の責任もない。政府・独裁者・為政者の行為を理由に、その国の出身だという理由だけで攻撃されるのは明らかに理不尽である。彼らには政府の決定に対して何の責任も罪もない。

紛争下で、国と国がたとえ軍事衝突しても、罪のない民間人は保護されるべきであり、軍事行動の標的になってはならないというのが人権の基本ルールである。民間レベルであっても同じだ。日本と外交上の緊張関係にある国々だからと言って、民間人が標的になる差別行動・民族排撃は、私にとってどうしても見逃せない。

日本の尖閣諸島国有化の際に、中国に進出した日本企業が襲撃され、略奪されたが、国の政策決定と関係ない日本企業への攻撃に憤った人も多いであろう。何の罪もない日本人留学生が攻撃の対象となり、襲撃されたらどう思うであろうか。今新大久保で起きていることは、こうした反日デモでの日本企業襲撃と同じように(もしくは「殺せ」「ガス室」などという表現からみてさらに悪質な)、野蛮で恥ずかしい行為だと思う。

2013年3月30日 (土)

出しましょ、単著。

2年に一冊は単著かそれに近い書籍を出したいと思っているのだが、最近忙しくて出せずにいた。
で、今年は是非単著を出したいな、という話になり、スタートは順調に進んだ。
1月、2月で単著の企画が順調に通り、構想も決まった。
しかし、3月にMotivationがちょっと下がり、何も書けないままあちこち忙しく飛び回っていたところ、担当編集者が本日事務所に。。。一年はあっという間なので、このままでは今年中に本は出ない。
4月中に一人合宿と称してどこかに行き、自主的に缶詰になることを決意しました。
私はイベント好きなので、「どこで缶詰になるか」を考えるとそれなりに楽しみです。
憧れの山ノ上ホテル?
台東区にある鴎外ゆかりの宿? http://www.ohgai.co.jp/
いっそ骨休みを兼ねて箱根?

こうやってブログに書くことで公言して後に引けない状況をつくり、実現する、というのも重要です。

2013年3月29日 (金)

今夜はHRNメディア懇親会

こんにちは。東京はまだまだ桜がきれいですね。
さて、今夜は、ヒューマンライツ・ナウのメディア懇親会を開催するのです。
メディア関係者の方は是非どなたでも事前予約の上、ご参加ください。

ご案内

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウのメディア懇親会を下記の通り開催いたしますので、
ご多忙のことと存じますが、是非ご参加いただけますと幸いです。
明日は、私(事務局長 伊藤)が参加した国連人権理事会の日本審査を含む国連人権理事会報告、
アナンド・グローバー氏による次回国連人権理事会における調査報告書提出等に関する件、
被災地支援活動、福島に関わる活動、また、その他国際的な人権課題に関わる活動についてご報告
させていただきます。
特に、HRNでは、イラク戦争10周年にあたり、イラク・ファルージャに調査を行い、近く調査報告書を
公表予定ですので、この件についてもお話しをさせていただく予定です。
また、このところ、個別取材に多く対応させていただいております、インドの女性に対する暴力に関する
ご質問も、もしあるようでしたら対応させていただきます。
では、お待ちしておりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。
ヒューマンライツ・ナウ事務局長  伊藤和子


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■国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ メディア懇親会の御案内
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明日開催■国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ メディア懇親会の御案内
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メディア各位

平素より大変お世話になっております。
ヒューマンライツ・ナウ事務局・広報担当の佐藤由紀子です。

このたび、メディアの皆様を対象に、当団体の活動内容や最近の
世界情勢をお伝えするメディア懇親会を開催いたします。

過去の開催においては、多数のメディアの皆様にお集まりいただき、
有意義な意見交換をさせていただいており、誠に感謝しております。

今回のメインテーマは、震災後、現地での調査活動や法律相談等を
重ねてきた、当団体の震災プロジェクトによる活動を通してみえてきた
人権侵害の実態や今後の課題報告となります。

また、平成25年2月25日から3月22日の間に開催された第22会期
国連人権理事会に、ヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤が参加し、
討議に加わってまいりましたので、そのご報告もいたします。

「HRNが国連人権理事会で発言:福島、イラク戦争、 ビルマ/ミャンマー」
http://hrn.or.jp/activity/topic/post-189/

国連人権理事会にあてて、他の17のNGOとともに、「福島原発事故後の
女性と子どもの健康と生命に関する権利の保護のため、緊急な対処を
求めるNGO声明」を提出しました。ぜひ、ご参照ください。
http://hrn.or.jp/activity/area/post-186/

多くの皆様にぜひともメディア懇親会にご参加いただき、意見交換を
させていただければと思います。


国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、弁護士・研究者・
ジャーナリストなどが中心となり、国境を越えた人権活動を行っております。

日 時:2013年3月29日(金)19:00~20:30

場 所:クリエイティブOne秋葉原ビル7F ミモザの森法律事務所
      (110-0005 東京都台東区上野5-3-4
        隣フロアにHRN事務所がございます。)


内 容: 1/ヒューマンライツ・ナウ団体概要と最近の取り組みのご紹介
      2/震災プロジェクト活動報告「震災から見えてきたもの」
      3/国連人権理事会第22回通常会合の報告

など、他にもその段階での最新の話題をお伝えできればと検討しております。


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また終了後、周辺のお店にて20:30~懇親会を予定しております。
こちらも合わせて、ご参加くださいませ。
※参加費:実費
 (懇親会のみのご参加も可能です。お気軽にお問い合わせください)

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≪申し込み方法≫
ヒューマンライツ・ナウ事務局(info@hrn.or.jp)まで、
「3/29(金)メディア懇親会参加希望」また「3/29(金)懇親会(のみ)参加希望」
の旨と、お名前、連絡先、ご所属等をご記載のうえ、お申し込みください。

皆様のお越しをお待ちしております。

ヒューマンライツ・ナウ事務局/広報
佐藤由紀子
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2013年3月20日 (水)

イラク戦争で奪われた莫大な人命の犠牲- 総括をしないのは人類の汚点

2003年3月20日にイラク戦争が開始されてから10年がたつが未だこの戦争の過ちについて十分な総括が国際的になされていない。

イラク戦争は、国連安保理の許可を得ない武力行使であり、明らかに国連憲章違反であったし、その理由とする「大量破壊兵器」は存在しなかった。この誤った戦争により、イラクはあまりにも壊滅的な打撃を受け、人命を奪われた。

アメリカ、ジョンホプキンズ大学ブルームバーグ公共衛生大学院の研究では、2003年のイラク戦争の結果として約65万5千人のイラク人が死亡したと推定、WHOはイラクで2003年3月から2006年6月までに15万1千人が暴力によって死亡したと推定している。

米軍との戦闘で命を奪われた人だけではなく、占領後の宗派間対立の激化で多くの人が死亡したわけであるが、戦争が起きなければこれだけの犠牲がなかったことは明らかである。

しかし、これだけ人命を犠牲にしたのに、米国では誤った戦争に関する公的な謝罪や検証は全く行われていない。

特に、私が人権の観点から許せないのは、米軍・英軍が直接かかわった人権侵害行為の責任がほとんど問われていないことだ。

例えば、2004年4月と11月の米軍によるファルージャ総攻撃では、戦争犯罪に該当する「民間人攻撃」が行われたとされ、多数の民間人が殺害されたという。白リン弾や劣化ウラン弾等残虐兵器が民間人の居住地で、市民に対する危害を最小限に抑える手段を一切講ずることな大量に使われ、おびただしい死者が出た。

白リン弾使用については、イタリアのドキュメンタリーでその残虐性、極めて残酷で深刻な被害が暴露されている。アメリカ軍がアブグレイブやその他の刑務所で、拷問・非人道的取り扱いに該当する身体的虐待や侮辱などの行為をイラク人拘留者に対して行ったことは多くの証拠に裏付けられている。

こうした行為は何より戦争犯罪の可能性が高いが、きちんとした調査は行われず、ほとんど誰も責任を問われていない。訴追されるのは少数の末端の兵士だけ。意思決定に関わったトップレベルの人々、ブッシュ元大統領やラムズフェルド元国防長官、拷問を正当化した司法省、国防省関係者等の責任は全く問われていない。

超大国が大規模かつ残虐な人権侵害をして幾多の罪もない人を殺害しても誰も責任を問われない、そのようなことでは、大国の都合でおびただしい虐殺が今後も果てしなく繰り返されるだろう。罪もない多数の犠牲者のことを考えると怒りしかない。

イギリスにはイラク戦争検証委員会が設置され、調査が続いてきたが、未だに最終報告は出されておらず、検証は長引いている。アメリカに至っては全く検証・独立調査委員会設置の機運すらない。

米国連邦不法行為法は、海外で行われた不法行為、戦争行為で生じた被害については国家の賠償責任を免除するという規定を置いており、米国は海外で行った戦争行為によりいかなる被害を個人に生じさせても、賠償責任を負うことはない、という極めて不当なルールを勝手に決めているため、イラク人への国家賠償の余地もない(私自身、米国人権団体で働いていた際にイラク人の依頼を受けて様々な検討したが、国を提訴するのは困難であった)。

オバマ政権が誕生して、第一期に検証をするか、が期待された時期があったけれど、結局何もすることなく第一期が終わり、第二期に何をするかが問われている。

驚くことに国連もこれだけの人権侵害行為について、何ら包括的な調査に乗り出す気配がない。

国連人権機関はこれまでも欧米に支配される傾向がままあったが、イラクについてはひどい。国連人権理事会の前身である人権委員会には、米国の強い影響のもと、2004年まで「イラクの人権に関する特別報告者」というイラクを狙い撃ちにした監視制度があった。

ところが、2004年でこの制度は終わる。占領軍たるアメリカ、イギリスがイラクで残虐な人権侵害行為に手を染めて、国連に監視してほしくなくなったからだ。その後どれだけの血が流れたことだろう。

2004年以降、いかなる任務であれ、国連の事実調査ミッションがイラクの人権について独立調査をすることはなくなった。2002年以降、約10年、国連独立専門家によるイラクに関する報告書は全く出されなくなり、2011年に2つの報告が出されただけだ。

http://www.ohchr.org/EN/countries/MENARegion/Pages/IQIndex.aspx

UNAMIという機関が報告書を出しているが、国連人権理事会での討議には付されない。サダム政権下での特別監視制度から手のひらを返したように、占領軍による人権侵害を国連が全く監視しない体制となった。人権擁護を任務とし、人権侵害の不処罰の根絶のために活動する国連人権機関が、これほどの人権侵害を放置しているのは、あまりに無責任であり、国連の汚点、恥というしかないと思う。

今年3月、国連人権理事会が開催され、私も参加してきた。イラク戦争10周年の総括をすべき時でありながら、米国は、イラク戦争に対する責任を問うNGOや国連専門家の発言を無視して取り合わず、その一方で、シリア、マリ、スリランカ、北朝鮮などといった国において、民間人が殺害され、拷問が行われているので、責任者を処罰する強力な措置が必要だ、と声高に訴えており、自分のことを棚に上げたその姿勢に呆れた。当然、途上国等からは「自分の国のおかしたことを棚に上げて、他国を糾弾する米国のダブルスタンダード」が厳しく非難された。自分の国のことを棚に上げる米国の姿勢は、他の人権侵害国に言い訳の手段を与え、米国の人権に関する発言の道徳的権威を失わせ、結果的に国際的な人権保障メカニズムを著しく損なっていると感じる(その点、英国のほうが少しはましかもしれない)。

残念ながら、国連も大規模な調査に乗り出そうという気配もない。

イラクにおける人命の被害は決して過去のことではない。戦争後、戦争当時生まれてすらいなかった子ども、何の罪もない子どもを今も残酷に苦しめている。イラク戦争で米軍等が使った大量の有害兵器が環境汚染を引き起こし、それは特に子どもたちの生命と健康を危機にさらし続けている。

戦争後まもなく、イラク各地において先天的障がいを負った乳幼児の出生現象がみられるようになった。

イラクの医師たちは、様々なメディアを通じて、乳幼児の先天的障がいの症例が多発していることに関する重大な懸念を国際社会に対して訴えてきた。英インディペンデント紙によると、「イラクの医者たちは、2005年以来深刻な先天的障害を負った乳幼児の数の著しい増加を訴えている。先天性障害は頭が先天的に二つの頭をもった赤ちゃんから、下肢の傷害を負った赤ちゃんまで多様な症例がある。彼らは、ファルージャでのアメリカ軍と反乱軍の間の戦い後、がんの発症率が以前よりもはるかに高くなったとも話している」と述べている。

ファルージャにあるファルージャ総合病院。その関わった調査・分析によれば2003年以来ファルージャで生まれた15%の乳幼児に先天的異常があるという。同病院のサミラ・アラーン医師は、「出生性障がいをもった乳幼児が急激に増加し、ファルージャの人々の健康を損なう結果となっている。生き残った子ども達に対する治療は限界に達している」そして、「これらの障がいは近代兵器に含まれている環境汚染物質の結果に起因する可能がある」と結論付けている。実は、今年、ヒューマンライツ・ナウは、ファルージャ総合病院の許可を得て現地調査を行い、深刻な先天性出生異常が頻発している状況を目の当たりにしてきた。報告書をいずれ公表する予定だ。

こうした先天性異常の原因の一つの可能性として考えられるのは、劣化ウラン(DU)弾である。国連環境計画(UNEP)の情報公開要請にも関わらず、アメリカ政府が2003年のイラク戦争で使用されたDU弾の具体的な量や投下位置を情報公開しないため、使用料や投下位置は今も特定されていない。2003年のイラク戦争においては約1.9トンのDU弾が使用されたと公表しているが詳細は不明である。

2010年国連総会決議は、全てのDU弾使用国が、影響を受けた国の申立てのあった場合は、DU弾の量的及び位置的情報を公開するように要請しているが、イラクではこのことは機能していない。2003年のイラク戦争において用いられたDU弾の総量については、170から1700トンにも及ぶとの推測があるものの、依然として総量は不明のままだ。イラク保健省とWHOは増え続けるイラクにおける先天性障がい児の出生異常の調査を実施し、2013年の初頭に結果を公表する予定とされているが、出生異常とDU弾との関係についてはなぜか調査から除外されている。

これ以上子どもたちを苦しめないために、なぜ先天性異常が頻発しているのか、原因を特定し、原因を除去する等効果的な予防方法を打ち立て、健康を守り治療をする政策が必要であり、被害者は補償を受けるべきだ。有害物質を大量に垂れ流したまま、環境汚染の責任を全くとらず、どんな有害物質をどの程度どこに使ったかも公開しないまま、子どもたちが死んでいくのに何の責任も取らない、これは今も続く米国等の重大な人権侵害だと思う。

イラク戦争10周年にあたり、ヒューマンライツ・ナウを代表して、国連人権理事会でこの問題について発言してきた。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-189/

また、オバマ大統領、キャメロン首相あてに公開書簡も送った。

http://hrn.or.jp/activity/Open%20letter%20to%20President%20Obama.pdf

http://hrn.or.jp/activity/Open%20letter%20to%20Prime%20Minister%20David%20Cameron.pdf

特にアメリカ政府に対し、戦争・占領下において米国が関わった国際人権・人道法違反に関し、国際基準に合致した、独立・公正な調査委員会を設置し、調査、責任の所在の明確化、再発防止、全ての被害者に対する十分な補償を実現することを要請した。

また、イラクで使用したすべての有害武器の種類、武器を使用した全地域と全地点、使用回数、含まれる有害物質の要素を調査して公に情報公開することを要請し、もしアメリカ等が汚染者であると特定され、もしくは環境汚染に関わったということであれば、影響を受けたすべてのイラク人、特に子どもたちの健康・生命の権利を保護するため、補償、環境改善、十分な医療措置の提供を含めたあらゆる手段を講じるよう要請した。

国連には、独立した調査委員会を設置してイラク戦争に関わる人権侵害を全面的に調査するように求めた。

このまま、イラク戦争の被害が風化し、人々が新しい人権侵害に目を奪われ、忘れ去ることを米国等は待っているように思う。

しかし果たしてそれでよいのか。これだけの誤った戦争について、きちんと総括しないのは、国際社会、というより、人類として汚点だと思う。特に、罪もない子どもたちの被害は続いていて、幼く、声を上げることのできない子どもたちが苦しんで死んでいっているのだから。だれも一つの国を勝手に滅ぼして破滅させ、責任を問われないで済むということがあってはならないと思う。

2013年3月18日 (月)

国連機関のアドバイザーに就任

最近国連からご連絡があり、UN Women という国連の女性の地位の向上・女性の権利擁護のための主要機関の地域アドバイザーメンバーに選びました、というお知らせをいただきました。
正式にはUN Women's Regional Civil Society Advisory Group for the Asia Pacific Regional Office.のメンバーという名称です。
これまで、ヒューマンライツ・ナウを通じてこつこつとアジア地域の女性に対する暴力の問題、ビルマ女性国際法廷などの深刻な女性の人権問題を取り上げて活動してきたことや、日本の女性の権利の問題に対する活動に評価をいただいたのかもしれず、嬉しく思います。
アジア地域の女性を取り巻く状況は今も一層深刻です。
是非地域の友人たちと一緒にポジティブな変化をつくりだすために貢献できれば、と思っています。

国連人権理事会で正式発言をしてきました。

土曜日にジュネーブより帰国しました。
今回のジュネーブ出張では、国連人権理事会の第22会期国連人権理事会の討議に参加しました。
ヒューマンライツ・ナウは、2012年7月に国連特別協議資格を取得し、国連人権理事会の討議に公式に参加することが認められ、今回から会議で発言することができるようになったのです。
同時に文書発言もできることになり、書面ステートメントを送付、正式国連文書として、国連人権理事会メンバー及び全加盟国に私たちの見解が送付されました。

今回書面で提出したステートメントは以下の3文書です。


●イラク戦争10周年にあたり、占領軍等による国際人権法違反

行為のすべての行為について検証を行い、最近深刻な子どもの

先天性異常について調査を尽くし、残虐兵器の使用がもたらす

人権への影響に関する特別手続を創設することを求める意見書


http://hrn.or.jp/activity/G1311152.pdf (国連正式文書です)。
http://hrn.or.jp/eng/activity/iraq-grave-human-rights-violations-during-the-war-and-occupation-in-iraq/

●福島原発事故後の周辺住民の健康に対する権利が実現されて

いない状況の改善を求める意見書

http://hrn.or.jp/activity/G1311107.pdf  (国連正式文書です)。
http://hrn.or.jp/eng/activity/area/japan/ngos-call-for-immediate-action-to-protect-the-right-to-health-and-life-of-women-and-children-affecte-1/

●ビルマの人権状況が改善していないこと、それが欧米、日本の

企業進出や投資によりさらに深刻な影響を地域住民、特に少数

民族にもたらす危険性があることを警告し、人権理事会による

監視を今後も行うことを求める意見書

http://hrn.or.jp/activity/G1311237.pdf (国連正式文書です)。
http://hrn.or.jp/eng/activity/overseas-aid-and-investment-to-myanmar-without-principles-inhibits-democratization-and-conflict-reso/


また、国連人権理事会会合で、このステートメントに対応する口頭発言を行いました。


●3月8日福島

発言内容

http://hrn.or.jp/activity/FUKUSHIMA%20Oral%20Statement.pdf

UNウェブキャスト(ビデオ映像・67番目の発言)
http://webtv.un.org/meetings-events/human-rights-council/watch/item:3-general-debate-contd-25th-meeting-22nd-regular-session-human-rights-council/2217556087001

UNプレスリリース

http://www.unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/39ECBC4B6989640EC1257B28004F74B8?OpenDocument


●3月11日ビルマ(ミャンマー)

発言内容

http://hrn.or.jp/activity/BURMA%20Oral%20Statement.pdf

UNウェブキャスト

(ビデオ映像・33番目、この議題に関するNGOで3番目の発言:Human Rights Now, Ms. Kazuko Ito 01:36:33~)
http://webtv.un.org/meetings-events/human-rights-council/watch/id-myanmar-special-rapporteur-28th-meeting-22nd-regular-session-human-rights-council/2220097232001

UNプレスリリース

http://www.unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/0D299F1DC33D7825C1257B2B0060588B?OpenDocument

●3月12日イラク戦争

発言内容

http://hrn.or.jp/activity/IRAQ%20Oral%20Statement.pdf

UNウェブキャスト

(ビデオ映像・20番目:Human Rights Now, Ms. Kazuko Ito 00:45:08~)

http://webtv.un.org/meetings-events/human-rights-council/watch/item:4-general-debate-contd-30th-meeting-22nd-regular-session-human-rights-council/2220338624001

UNプレスリリース

http://www.unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/C91CE9CFE1E5A9B7C1257B2C003ED1BD?OpenDocument

●3月14日 日本の人権状況に関するUPR(普遍的定期的)審査

UNウェブキャスト

(ビデオ映像・22番目)
http://webtv.un.org/meetings-events/human-rights-council/regular-sessions/watch/consideration-of-japan-upr-report-37th-meeting-22nd-regular-session-human-rights-council/2226996192001

UNプレスリリース

http://www.unog.ch/unog/website/news_media.nsf/(httpNewsByYear_en)/A2B64A18D19D076AC1257B2E003F0E14?OpenDocument


このように、デビューながら、4回発言させていただきました。国連では、人権と言いながら、政治的な思惑が大きく影響していて、NGOも例外ではなく、本当に人権侵害に苦しんでいる人たちの声がとどくシステムにしていく努力が絶えず重要だと思います。今後とも、ヒューマンライツ・ナウでは、国際社会における人権をめぐる議論や行動が真に現地の人々の声を反映した公正なものとなるよう、国内外の問題について国連で発言をしていきたいと思っています。

メソットのゲストハウス

タイ・メソットに行く際に私が時々泊まるのは、Ban Thai Guest House
とても心安らぐ、とてもコストパフォーマンスのよい、極上のゲストハウスです。
そして、いつも食事をしているのは、近くのイタリアン・多国籍レストラン Casa Miaです。

Ban Thai Guest House
740 Intharakiri Rd, Mae Sot. T: (055) 531 590
Zip 63110
予約は、
email banthai_mth@hotmail.com

からできます。なぜこんなことを書いているかといえば、
いつもコンタクトをなくしてしまうので、メモ代わりなんですけれど、
みなさまにも御用の際にはお勧めしたいです。
時が止まるような美しいメイソット。

2013年3月12日 (火)

3.11から2年 福島で続く人権侵害

東日本大震災・福島原発事故から2年が経過した。

福島原発事故で、放出されたセシウムは、政府発表でも広島に投下された原爆の168倍とされる。ストロンチウム、プルトニウムについても放出され、それが広範な地域を深刻に汚染している。NGOヒューマンライツ・ナウでは、震災・原発事故後の人々の状況は「人権問題」だという観点から調査・政策提言などの活動をしてきたが、今も人権侵害、というほかない事態が続いている。

特に福島では事態は深刻である。

● 先の見えない避難生活

強制避難となった人たちの状況については、先日このブログで双葉町に関する騎西高校の実情を紹介したが、仮設住宅に住む人たちの「未来が見えない」「展望がない」も大変に深刻である。

月額の精神的賠償が東京電力から出てもローンに消え、包括的賠償が遅延しているため、将来にむけた生活の見通しが全くたたないのだ。仮設住宅でのDVや児童虐待も深刻だと報道されるが、残念ながらこのままの状況では被害は続いていくだろう。いつまで仮設住宅のような劣悪な環境に人々を置きつづけるのだろうか。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130310-00000029-jij-soci

● 避難支援がないまま、被曝にさらされる人たち

一方で、この放射線汚染は、多くの地域住民、とりわけ放射線による健康被害を受けやすい妊産婦、幼児、子ども、若い世代に深刻な影響を及ぼしている。

現在、政府は年間実効放射線量20mSvを基準として避難指示等の措置を行っているが、この基準は、国際放射線防護委員会(ICRP)による国際基準に基づいた以前の国際基準の約20倍である。

福島市、伊達市、郡山市、南相馬市・・・避難指定されなかった地域のなかには、現実に驚くほど深刻に汚染されている地域がある。最近、地元の市民団体が放射線量を測定してくれ、教えてくれたところによると、線量が以前よりあがっている地域もあるという。多くの人は低線量被曝の影響を懸念して、「避難したい」と考えている。http://www.asahi.com/national/update/0914/TKY201209140652.html

しかし、政府は年間20mSv以下の地域について、避難指定しないというだけでなく、避難を望む人に対する支援をほとんどしていない。いわゆる自主避難に対する支援スキームはほとんどなく、政府は自主避難者への新規住宅支援を昨年末に打ち切ってしまった。

そのため、今も子ども、乳幼児、妊婦、若い世代が、危険を感じながら、健康被害のリスクを防ぐ方法もなく、深刻な汚染の続く地域に住み続けることを余儀なくされている。

子どもための低線量放射線地域への学校の移動に関する措置は全く取られていない。新鮮な空気のもとでの保養システムについても公的支援が全く確立していない。

さらに、福島県は、「実効放射線量100mSv未満では身体的被害が発生する証拠はない」との立場を繰り返し、そのような立場から、すべての政策が決定・実施されている。政府は、「実効放射線量100mSv未満での身体的被害に証拠はない」という放射能副読本を子どもに配布し、リスクを適切に情報提供していない。そのため、原発事故に基づく放射線の影響に懸念を感じる人々が少数派となって孤立し、自主避難を行うことが難しい状況を作り出している。

チェルノブイリでは、自然放射線を除く年間追加線量5mSV以上の地域は強制避難地域とされ、年間追加線量1mSv以上の地域は「避難の権利」地域とされ、強制避難者、避難を望む者には完全賠償と医療支援、避難支援がされたという。1mSv以上の地域の人々は1~2カ月の汚染されていない地域への保養が国費で認められていた。それでも痛ましい健康被害が今も続いているのである。それに比べると日本の支援がいかに劣悪で非人道的か明らかだ。日本の労働規制(電離放射線障害防止規則)では、3カ月で1.3mSvを超える地域は放射線管理区域として一般人の立ち入りが禁止され、資格のある労働者であっても飲食したり寝ることは許されない。それをはるかに超える放射線量の地域で子どもたちは毎日飲食し、眠り、外で遊んでいるのだ。同規則では、妊娠した女性が腹部に2mSv以上の線量を妊娠中に浴びてはならないと規制されている。それをはるかに超える線量を福島の女性たちは浴びたまま、保護されていない。私は本当に深刻な人権問題だと思う。

http://hrn.or.jp/activity/project/cat11/shinsai-pj/fukushima/post-111/

子どもや妊婦、若い世代には一刻も早く、避難の支援とそのための財政的手当てをすべきだ。2013年予算には1mSv以上の地域に関する避難支援が全く予算計上されていないが、先送りが許される問題ではない。

● 健康に対する権利

20ミリ以下の地域に住む人たちに対する、健康への悪影響を未然に防ぐ医療措置も十分ではない。

山下俊一教授が中心になって進めている福島県の県民健康管理検査は隠ぺい体質であり、低線量被曝を過小評価し、批判が高まっている。

福島県がこの検査を通してやっているほとんど唯一の実質的な検査は、子どもに対する甲状腺検査であるが、福島県は、甲状腺検査を18歳未満の生徒・児童に限定し、福島県のすべての子どもの「予備検査」を終えるのに3年かかるとしている。しかも、甲状腺検査について、福島県は、5.0mm以下の甲状腺結節や20.0mm以下の甲状腺嚢胞は安全である(A2判定)とする独自の基準を恣意的に設定し、「安全」と判断された子どもは2年後にしか次回検査を受けられず、検査の画像データも開示されない(個人情報なのに行政の情報開示請求手続きをとれ、という)。

チェルノブイリ事故を見ても関係する症例は心臓病、先天性異常、白内障、免疫不全、糖尿病、白血病等さまざまであるのに、甲状腺がんのみにフォーカスし、エコー検査のみを行っており、尿、血液の検査を並行して行ったりしていない。内部被ばく検査も県の健康管理調査では実施されていない。

チェルノブイリ事故後、例えばベラルーシにおいては、1年に2度、子どもだけでなく大人も含め、甲状腺、血液、尿、目、歯、内科・内部被ばく検査等の包括的な検査が無料で実施されていることと比較すれば、現在の健康調査は明らかに不十分である。

子ども・大人を問わず、周辺地域に住むすべての人に、放射線に関連するすべての項目について、無料で、包括的な健康診断を少なくとも毎年1回行う健康管理システムが確立すべきだ。そのためには、人材も機材も限界があり、また福島以外の地域に住む人々が必要な検査を受けられるようにするために、県ではなく国が責任を持ち、透明性の高い、低線量被曝の危険性を正当に評価する専門家が関与した調査が実現すべきだ。

こうした状況は、昨年11月に来日した国連特別報告者アナンド・グローバー氏も強い懸念を示し、抜本的な改革を求めていた。原子力規制庁のなかに、住民の健康管理のあり方に関する検討チームができ、そのなかでも福島県医師会の副会長がグローバー氏の勧告に沿う改革を求めていた。

私たち市民団体は共同のステートメントをだし、こうした状況に対する抜本的な改革を求めてきた。

http://hrn.or.jp/product/post-1/

しかし、規制庁の検討委員会が出している総括案は極めて不誠実なものだ。福島県医師会の示した懸念などは顧みられないまま、

「WHO ならびにUNSCEAR の報告(WHO:2006,UNSCEAR:2008)では、チェルノブイリ事故では小児甲状腺がん以外の放射線被ばくによる健康影響のエビデンスはないと結論付けている」ことを前提に、現状の健康管理を追認した総括案が出されている。

http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/kenko_kanri/data/0005_01.pdf

こうしたなか、甲状腺検査の結果、二次検査に進んだ子どもについてがんが発見された。福島県は2月13日に、東京電力福島第一原発事故の発生当時に18歳以下だった3人が甲状腺がんと診断され、7人に疑いがあると発表した。しかし、県はそれでも「総合的に判断して被曝の影響は考えにくい」と説明しているという。このような低線量被曝の過小評価は何のためなのか。危険がある以上、最悪の事態を想定してそれに備えるべきであり、もっと包括的な検査をすべきなのに、なぜ低線量被曝の危険性を頭から否定するのだろうか。

子どもたちをモルモットのようにしているとしか思えない。

最近、震災から2年を機に、自民党・公明党が、「復興加速化のための緊急提言」を出した。

http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/120212.html

この中には、一般的な方針としては評価できるものもあるが、放置できないのは、放射能に関するリスクコミュニケーションについて「学術団体やNPO等の協力を得て、安全性・安心感を醸成するためのリスクコミュニケーションを強化すること」としていることだ。安全性・安心感を醸成するキャンペーンで人々を追い詰める政策は絶対にやめてほしい。

未来を担う子どもたちのために、命や健康を守る施策することが国の責務ではないか。

日本の中に深刻な人権侵害が継続している。このまま漫然とこのことを許してはならないと思う。

2013年3月10日 (日)

モントルーでお休み

ジュネーブで怒涛の一週間を過ごし、本当にくたくた。
ちょっと何があったということは言えないのですが、国連を舞台に、外交・アドボカシーの渦巻くジュネーブでは、いろいろと非常に忙しく、ハードワークなのです。。。
で、本当は早朝にパリに向けて出発し、パリで開催される脱原発のプロテストに行こうかと思っていたけれど、ちょっと無理。
今回泊めていただいている方のお取り計らいで、週末くらいはリラックス、ということで、モントルーに小旅行に連れ出していただきました。
モントルーはローザンヌを越えていったところにある、ジャズ・フェスティバルで有名なレマン湖のほとりの街ですけれど、本当に信じられないくらい景色が素晴らしい。
モントルーの美しい景色、広がるレマン湖と、そびえたつ山々、その得も言われぬコントラストににうっとり。
とても開放的で陽気な街です。
ずっとジュネーブにいると行き詰ってしまいますけれど、モントルーの景色を見ていると、人生っていろんなご褒美に満ちている、生きてるって素晴らしいことだな、って、まあ単純ですけれど、そう思います。
たまにはこういう瞬間が必要です。

国連人権理事会で福島の人権状況について発言

金曜日のジュネーブ人権理事会で、福島の人権状況について発言する機会がありましたので、発言をしてきました。
ヒューマンライツ・ナウは国連特別協議資格を取得しましたので、正式に発言の権利を認められ、初めて発言することになりました。
私自身、ニューヨークの国連女性の地位委員会等で日弁連として発言をしたことがありましたが、ヒューマンライツ・ナウとして発言するのは初めてで、ちょっと緊張。
発言時間は2分と制限されていますので、そんなにいろいろと話せないのが残念でしたけれど、原発事故、という話題は人権理事会ではほとんどされませんので、みんなが驚いたり、注目している様子がわかりました。

恥ずかしいですが、こちらのUNウェブキャスト、というところで、発言の模様全てがビデオ撮影されています。

http://webtv.un.org/watch/item:3-general-debate-contd-24th-meeting-22nd-regular-session-human-rights-council/2212973447001/

私がこの日最後の発言者でしたので、一番最後のほうに移っています。

発言内容は英語ですが、以下の通りです。


Human Rights Now
Oral statement on General Debate under agenda item 3
UN Human Rights Council 22nd Session,
Geneva, 25 Febrruary-22 March 2013

Human rights situation of the people affected by nuclear hazard.

Thank you President,

Human Rights Now expresses grave concern over the human rights situation of the people affected by nuclear disaster.
After the Chernobyl disaster, significant number of children got disease and died, however the magnitude of the problem has been underestimated by the international community.

Two years ago, another nuclear accident happened in Fukushima, Japan.
Despite huge amount of radioactive material contaminated East Japan, the response of the Japanese government has been insufficient to protect people’s right to health and life.
Many people in Fukushima, including pregnant women and children still live in highly contaminated areas, because the government limits evacuation zones based on 20 millisieverts per year exposure standard, which is indeed 20 times greater than the international protection standard.
Without any support for relocation, many people have no choice but to stay in contaminated areas.
The medical check provided by the government is slow and insufficient despite cancer appears among affected children.

It is urgently required to provide sufficient compensation and support for relocation to people living in all contaminated areas. Affected people must be provided comprehensive medical check and care.

In this regard, we welcome the work of UN Special Rapporteur on Rights to Health. He investigated above situation in Japan and will submit his report to the next Council session.
Mr. President, nuclear hazard is universal problem in the current world.
We ask the Human Rights Council to act on this important matter, protection of the rights to health and life of people, especially children affected by nuclear hazards.
Thank you.

2013年3月 3日 (日)

ジュネーブ国連人権理事会に出張です。

成田空港のカウンターでブログを更新しています。
これから10日間程、ジュネーブ出張で、16日に帰国予定です。
今回は、ジュネーブの欧州国連本部で開催されている、第22会期の国連人権理事会に、
国際人権NGOヒューマンライツ・ナウを代表して、出席する予定です。
クライアントの方々にはご迷惑をおかけいたしますが、ネット環境がありますので随時フォローアップして参りますので、よろしくお願いいたします。

今回はヒューマンライツ・ナウが2012年に国連特別協議資格を取得して以降初めて、本格的に活動を開始する人権理事会です。
今回、私たちは、以下の三本の意見書

●イラク戦争10周年にあたり、占領軍等による国際人権法違反行為のすべての行為について検証を行い、最近深刻な子どもの先天性異常について調査を尽くし、残虐兵器の使用がもたらす人権への影響に関する特別手続を創設することを求める意見書
http://hrn.or.jp/eng/activity/iraq-grave-human-rights-violations-during-the-war-and-occupation-in-iraq/


●福島原発事故後の周辺住民の健康に対する権利が実現されていない状況の改善を求める意見書
http://hrn.or.jp/eng/activity/area/japan/ngos-call-for-immediate-action-to-protect-the-right-to-health-and-life-of-women-and-children-affecte-1/

●ビルマの人権状況が改善していないこと、それが欧米、日本の企業進出や投資によりさらに深刻な影響を地域住民、特に少数民族にもたらす危険性があることを警告し、人権理事会による監視を今後も行うことを求める意見書
http://hrn.or.jp/eng/activity/overseas-aid-and-investment-to-myanmar-without-principles-inhibits-democratization-and-conflict-reso/

を提出しています。これらの意見書は、国連全加盟国、とりわけ人権理事国に配布される予定です。

本会議において、発言も申込んでいますので、これらすべての問題について発言できるといいのですが。


イラク戦争から10周年なのに、全くこれについて人権理事会が論議しないというのは許されることではないので、是非この問題は提起したいと思います。
福島については、今後とも取り組んでまいります。

国連機関はどうしても欧米のNGOが中心に様々な活動をしていますが、共感する活動ももちろんあり、一緒に活動していますけれど、違和感を覚えることもしばしばあります。
イラク戦争の重大人権侵害について沈黙していることなどはその最たるもので、西側諸国が、途上国の人権侵害を指弾する、という構造は、「果たしてだれの責任で人権侵害が起きているのか」を見誤らせる危険性があります。
ですので、私たちとしては、欧米の国際人権NGOとは異なる役割を国際社会においてしっかり果たしていきたいと思っています。
是非、ご指導・ご支援をよろしくお願いします。
今回はなんと、支援をしてくださる市民の方々が、リレー形式で次々と私を泊めてくださるそう。
新しい出会いを楽しみにしています。
風邪が治らないので、お医者さんにはたくさん薬を出していただき、悪化しないように、と思っています。
ではでは。
皆様、よい週末&よき一週間を!

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