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2012年11月

2012年11月30日 (金)

日本の右傾化がこれ以上進まないように-決めるのは主権者

総選挙の顔ぶれや政策が明らかになりつつある。
まだわけのわからない荒唐無稽・矛盾した主張をしている党もあるけれど、
なんといっても、一番心配なのは、「日本の右傾化」である。

現実離れして、本当に戦争でもしかねないような人たちは絶対選んではいけないというのが私の考え。
核武装とか、国防軍とか、今盛んに話しているような党に投票したら、それを暗黙に私たちが支持しているということになってしまう。それだけはなんとかしなくちゃならない。

私にとっては、何よりもそれが大事なこと。

つぎは、TPP。TPPに参加したら本当にとんでもないことになるのは明らかで、これまでの産業は壊滅的打撃を受けるのは必至。これも本当に深刻な脅威。

そして脱原発である。福島事故を経験した今、核の暴走を誰も止められないの這いたいほどわかった。
これは言うまでもない。

右傾化とTPPはこれまでになかった、日本に壊滅的影響をもたらすような方向性。
これだけはなんといっても×である。

これに脱原発も含めると、悲しいことに、多くの政党が選択肢から外れるという、異常な現実。
国民たちの切実な願いと政治が本当にずれて、ねじれてしまっているのだ。

ところが、なぜか世論調査では、ウルトラ望ましくない方向を志向する政党の支持率が高くて、驚いてしまう。
日本人はどうなってしまっているのでしょうか。


とはいえ、いくつかの政党が、以上のふるいにかけられて残ります。
残った政党には突っ込みどころ満載な政党も少なくありませんが、
最悪の事態を回避するために、本質を見極めて投票するしかありませんね。
ベストでなくてもベターな選択。

とても難しい時代を生き抜いているわけだけれど、本当に崖っぷちのような選挙と言う気がします。
日本が進む道を誤らないように、きちんと判断していくことが私たちに求められています。

確かに経済政策や、官僚の動かし方を知っている等、強いことを言う人間に惹かれる気持ちはわかります。景気がよくなりそうな話を聞くと心が動きますが、そういうことで、危険な政策に目をつぶって、道を誤っていいのか。

誰のせいにもできない、ここは、主権者の責任です。


2012年11月27日 (火)

今週末シンポジウム国際スタンダードでのDV法改正を求めて~女性に対する暴力をなくすために徹底討論します。

選挙がとっても気になる今日この頃、、、ですが、ちょっと別のお話&ご案内。

ヒューマンライツ・ナウでは12月1日、2日に
国連の女性機関であるUN Womenのアジア太平様地域ディレクターを招聘し、
女性に対する暴力に関する国際基準と国内における問題に関して
議論し、国内の法改正等につなげようと、下記シンポジウムを
全国女性シェルターネットと共催により、開催します。
で、日本側のスピーカーもベストな顔ぶれを揃えました。

UN Womenの関係者が日本の市民社会の主催するシンポジウムで議論をする
のは、同機関発足以来はじめてですし、是非、これを機会に議論&ネットワーキング
ができればと思います。

みなさまの御参加をお待ちしております。

*************************************************


12月1日(東京)、2日(大阪)、
UN Womenアジア太平洋地域ディレクター招聘企画
国際スタンダードに基づくDV法等の改正に向けて

女性に対する暴力は、日本でも世界でも深刻な人権侵害です。
国連は、2008年から「団結しよう、女性に対する暴力を終わらせるために」
のキャンペーンを繰り広げ、2015年までにすべての国が国際的な人権基準に
よる国内法を制定することを目標にしています。
そして国内法制定にあたっての国際スタンダードとして、「女性に対する暴力
に関する立法ハンドブック」を公表しています。
日本においてもDV法、ストーカー規制法が不十分なまま暴力の犠牲者は
後をたちません。
そこで、日本の法制と運用の問題点について国際的視点から光をあて、
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下「DV防止法」)の
第3次改正及びストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」)
の第1次改正の必要性と課題を明らかにするため、国連専門家を招聘して
国内の実務家と議論するシンポジウムを開催することになりました。
 このシンポジウムでは、2010年に発足した国連の女性に関する
新しい機関UN Womenのアジア太平洋地域ディレクター
Roberta Clarke氏を招聘し、国連の女性に対する暴力根絶の取り組み、
国連が提唱する女性に対する暴力に関する立法提言について報告を
受けるとともに、国内の第一線の専門家を交えて、国際からみた
日本の女性に対する暴力に関する実情と法律の問題点を明らかにします。
今こそ、DV防止法・ストーカー規制法の問題点を明らかにし、
国際スタンダードの観点から、改正の必要性を考えましょう。
この問題に関心を寄せる皆様の御参加を心よりお待ちしています。

日時  2012年12月1日(土)午後1時半から5時
会場  青山学院大学・青山キャンパス
     17号館5階 17512教室(300人収容)
主催  特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ
    NPO法人全国女性シェルターネット
    青山学院大学(予定)
後援  UN Women日本事務所ほか
基調講演     Roberta Clarke氏
当事者からの報告
シンポジウム   
パネリスト    雪田樹理氏(弁護士)
近藤恵子氏(全国女性シェルターネット)
        Roberta Clarke氏
コーディネーター後藤弘子千葉大学教授

日時  2012年12月2日(土)午後1時半から5時
会場  大阪大学 中之島センター 703号講義室
主催  特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ
    NPO法人全国女性シェルターネット
    青山学院大学(予定)
後援  UN Women日本事務所、日本弁護士連合会、ジェンダー法学会
基調講演     Roberta Clarke氏
シンポジウム   
パネリスト    雪田樹理氏(弁護士)
近藤恵子氏(全国女性シェルターネット)
Roberta Clarke氏
コーディネーター 後藤弘子千葉大学教授

いずれも通訳あり。
参加費(資料代) いずれも1000円
参加申し込みは、
ヒューマンライツ・ナウ事務局(info@hrn.or.jp)まで、
「12月1日シンポジウム参加」または「12月2日シンポジウム参加」と
明記のうえお願いいたします。

・UN Womenとは。
UN Womenは2010年7月に設立したジェンダー平等と女性のエンパワーメント
を目的とする国連の機関であり、それまでにあった女性に関連する国連の4つの機関が統合して誕生した。
活動の詳細は以下のウェブサイトに紹介されています。
http://www.unwomen.org/
・Roberta Clarke氏のプロフィール
UN Womenのアジア太平洋地域ディレクター
社会学及び国際人権法の博士号を持つ弁護士で、4児の母。
カリブ海地域における女性に対する暴力、人権、法律、開発や「ジェンダー主流化」に関する論文を執筆している。
国家レベル、地域レベル、国際レベルでNGOに関与。現在はUN Womenのみならず、
「女性-法-開発」組織の理事会メンバー等として活動している。
・Roberta Clarke氏が基調報告でする紹介「女性に対する暴力に関する立法ハンドブック」は国連が出版した
女性に対する暴力に関する立法の国際スタンダードの提唱です。
ヒューマンライツ・ナウで和訳・出版していますので、是非ご参照ください。
http://www.shinzansha.co.jp/110826jyoseiniktaisurubouryokunikansururipouHANDBOOK-contents.html

● 東京会場
  青山学院大学 青山キャンパス 17号館5階 17512教室
〒150-8366  東京都渋谷区渋谷4-4-25
http://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/access.html
● 大阪会場
大阪大学 中之島センター
〒530-0005大阪市北区中之島4-3-53
http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.php

【問い合わせ先】 ヒューマンライツ・ナウ東京事務所
〒110-0005
ヒューマンライツ・ナウ東京事務所
東京都台東区上野5-3-4クリエイティブOne秋葉原ビル7階
電話03-3835-2110  Fax 03-3834-1025


原発事故、健康調査の拡大求める(国連特別報告者のプレスリリース)

国連「健康に対する権利」特別報告者アナンド・グローバー氏が15日から来日、福島を中心に原発事故後の人々の健康の権利について調査をしていた。
もともと招聘をしてきた団体の一つとして、私も現地とのコーディネート等のお手伝いをして、大変忙しい時を過ごしていたが、昨日、調査が終了、離日に当たって記者会見を行った。
Ab


この時期としては異例の、踏み込んだ内容だったと思う。やはり、私も調査に同行して、改めて、福島における人々の置かれた状況にふつふつと怒りを感じた。国に見捨てられた人たち、モルモット同然の状況に置かれた子どもたち、、、そうしたあまりにも人道に悖る数々の光景や人々の訴えが心を揺り動かしたのではないだろうか。

最終的には、六月に国連人権理事会に専門的な調査報告がなされることと思うが、日本の状況のアップデート等、必要なサポートをしていこうと思う。

プレスステートメントは、以下から確認してください。

http://hrn.or.jp/activity/project/cat11/shinsai-pj/fukushima/post-176/

メディア報道は以下の通り。海外の反響も大変大きい。WHO、IAEAが支配する世界体制のなかで、人権の視点からの調査報告はとても貴重である。

国連専門家 “被災者の声反映を”
11月26日 21時8分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121126/k10013764281000.html

東日本大震災の発生後、被災者が「健康に生活する権利」を保障されているか、調査するために来日した国連人権理事会の専門家は、原発事故への対応などを巡って住民の声が十分に反映されていないとして、日本政府に改善を求める考えを示しました。

国連人権理事会が任命した専門家、アナンド・グローバー氏は、今月15日から被災地を訪れ、東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難している人たちなどが、「健康に生活する権利」を保障されているか、調査しています。

グローバー氏は、26日午後、都内で記者会見し、放射性物質の拡散を予測するSPEEDIの情報が直ちに公表されなかったことなど、政府の事故対応に問題があったことを改めて指摘しました。

そのうえでグローバー氏は、原子力発電所で廃炉作業などに当たってきた原発作業員について、継続的な健康調査が行われておらず、放射性物質を取り除く除染の進め方など政府による事故対応の決定プロセスに、妊婦やお年寄りなど社会的弱者の声が十分に反映されていないとして日本政府に改善を求める考えを示しました。

国連人権理事会は、今回の調査結果を近く日本政府に提出するとともに、来年6月に国連人権理事会の会合で最終報告を公表することにしています。

東日本大震災:福島第1原発事故 健康調査に不備 国連専門家「地域と項目が狭い」


毎日新聞 2012年11月27日 東京朝刊

http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20121127ddm012040046000c.html

 東京電力福島第1原発事故被災者の健康を巡る問題を来日調査していた国連の専門家「健康を享受する権利に関する特別報告者」アナンド・グローバー氏が26日、東京都内で記者会見し「福島県の健康管理調査は(対象地域や項目の)範囲が狭い。子どもの甲状腺検査の診断書を受け取れない親もいる」などと問題点を指摘した。日本政府の反論も踏まえ来年6月、国連人権理事会に報告書を出す。

 会見では同調査のうち、県民の外部被ばく量を推定する調査の回答率が「わずか23%」と批判。一方、内部被ばくについて研究者間でも評価が異なるとして「政府は用心深い姿勢に立ち、長期間の調査を行うべきだ」と注文を付けた。同調査検討委員会が秘密裏に開いていた準備会(秘密会)を巡っては「専門家だけではなく地域社会も関わらなければいけない」とプロセスの透明化を求めた。

 また、日本政府に対し、避難か帰宅か避難者が選べるような経済的支援や、高線量地域の除染計画の明確化などを要請するとした。

 インド出身弁護士のグローバー氏は15日来日。同県や、自主避難者が多い山形県などで被災者らに聞き取りをした。福島県郡山市の男性(54)は同氏に、市が進める除染作業で▽住民の被ばく対策が不十分▽汚染土類の保管場所がない−−と安全管理の不備を訴えた。取材に男性は「権利が侵害されている状態を第三者の立場から判断してほしい」と報告書への期待を語った。

 特別報告者は国連人権理事会に選ばれた独立専門家で、中立の立場で問題状況を調査・報告する。【日野行介、蓬田正志】

「住民参加で意思決定を」=震災後の健康問題-国連報告者

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012112600605

 東日本大震災後の日本における「健康を享受する権利」を調査するため来日した国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏は26日、都内で記者会見し、健康管理調査の策定や除染、避難所の設計など住民に影響する意思決定プロセスに「地域住民が十分に参加することが必要」だと訴えた。

 グローバー氏は会見で、東京電力福島第1原発事故後に放射能の拡散を推測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報などを政府が直ちに公表しなかったのは「残念だ」と批判。政府の健康管理調査が対象を福島県民らに限っていることについても「調査範囲が狭い」とし、「汚染区域全体で実施すべきだ」と求めた。(2012/11/26-17:01)


原発事故、健康調査の拡大求める 国連報告者
http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012112601001695.html

 記者会見する国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏=26日、東京・内幸町の日本記者クラブ


 東京電力福島第1原発事故後の日本政府による健康対策などの調査のため来日している国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏は26日、福島県が実施している健康管理調査について「対象が県民などに限られ範囲が狭い」と述べ、政府に対し、より広範囲での調査実施を求める考えを示した。東京都内で記者会見した。

 グローバー氏は15日から来日し「健康を享受する権利」の保護を目的に宮城、福島両県の被災者や政府関係者らからヒアリングを実施。来年6月、人権理事会に最終報告書を提出する。

 健康調査の拡大について、具体的な範囲は明示しなかったが「放射能汚染区域全体での実施」を要請した。(共同)


国連人権理事会 原発事故後の健康調査拡大を要請(11/27 08:02)

http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/221126048.html

福島第一原発事故後の住民らの健康管理の状況を調べるために来日した国連人権理事会の専門家は、日本政府が行っている健康調査の範囲を拡大するよう要請しました。

 国連特別報告者、アナンド・グローバー氏:「日本政府に対し、健康管理調査を放射能汚染区域全体で実施するよう要請します」

 グローバー氏は、東日本大震災に関連して日本の人々が健康に生活する権利が守られているか調査する目的で、国連人権理事会から任命され、来日しました。この中間報告でグローバー氏は、日本政府による健康管理調査の対象範囲が狭いと指摘し、包括的な調査の実施や長期的な内部被ばくのモニタリングなどを行うよう求めました。被ばくした原発作業員全員についても、継続的に調査するよう要請しています。現在、健康管理調査は福島県民などを対象に行われています。

2012年11月12日 (月)

東電OLえん罪事件が示す刑事司法改革の課題- DNA鑑定・証拠開示に関する抜本的制度改革が急務である。

東電OL事件で再審無罪判決が出された。

この事件をめぐる経緯はあまりにもひどく、検察・裁判所は猛省しなければならない。

徹底した検証と、刑事司法改革が必要であることがはっきりした。

この事件は、東京電力の女性社員が1997年に殺害された事件で、

2000年4月に一審無罪判決、2000年12月(高木俊夫裁判長)には二審の東京高裁が逆転有罪・無期懲役、2003年に最高裁もこの判断を維持した。

一審無罪判決に対する検察官上訴を理由に、いったん無罪判決を受けて釈放された被告人を再勾留するという異例の措置まで取られた。

有罪の決め手となったのは、事件現場で発見されたコンドーム内の精液である。東京高裁は、これが被告人のDNA型と一致したとし、何ら根拠もなくこれが殺害当日に遺棄されたもの、と認定、この点での弁護団の鑑定を認めないまま、有罪判決を下した。

ここまでも不当なのだけれど、ここからが驚くべき話である。

弁護団は2005年3月に再審請求を申立て、7年以上が経過した今年の6月に再審開始決定が出された。

これは、被害者の体内に残されていた精液や現場に遺留されていた陰毛等の証拠物の存在を再審請求後に検察官が明らかにし、裁判所の要求を受けて検察官がDNA型鑑定を実施したところ、別のDNA型が見つかったからである。

さらに、再審公判で、検察側は自ら無罪主張をしたが、それは、被害者の爪の付着物について、一発逆転を狙って鑑定を行ったところ、第三者のDNA型が検出されたからだというのである。

ところが、弁護団は爪の付着物について、2007年に検察側に鑑定を求めたが、当時、検察は「爪からは何も検出されていない」と付着物の存在自体を否定していたのだ。

捜査機関は、被告人の無罪につながった、第三者の精液、陰毛、爪の付着物について捜査の初期段階から既に収集し、それを被告側に一切開示せずに握りつぶしてきた。

被告人に有利な可能性がある生物学的証拠があるにもかかわらず、それを隠して、被告人と一致するDNA型鑑定だけを恣意的に選んで証拠提出し、有罪判決を得たのである。

この事件で争点とされたのは、第三者の犯行の可能性であり、別のDNA型証拠が検出されれば第三者の犯行の可能性があるとして無罪を言い渡さなければならないこととなる。そのことを知りながら、無罪立証を封じ、被告人に有利な証拠を隠して、不利な証拠だけを提出して裁判所の認定を誤らせ、有罪に持ち込む、これは犯罪的行為というほかない。

村木事件における証拠隠滅に匹敵する職権犯罪である。

単に謝罪するだけでは足りず、徹底した責任追及がなされ、検察において検証がされなければならない。

調査された事実関係次第では、関係者の証拠隠滅罪での捜査・訴追が真剣に追及されるべきである。

また、一審判決が出ながら、かくも長きにわたり無実の人をえん罪の被害者にする判断を漫然と続け、救済を怠ってきた裁判所にも厳しい検証を求めたい。

足利事件と東電OL事件、そして近年相次ぐ再審事件で明らかになったえん罪の教訓から、刑事司法改革はまったなしである。

いま議論され、少しずつ進んでいる取調べの可視化だけでは済まされない。

共通するキーワードである、検察側の証拠隠し、DNA鑑定、に関する改革が不可欠である。

私の提案は以下の通りである。

第1  被告人に有利な証拠、または有利である可能性のある証拠について、検察側が弁護側に第一審公判前に開示することを義務付けること。この義務に違反した事件は憲法違反により覆され、違反した捜査機関には刑事罰が科されるものとする。

・・被告人に有利な証拠の開示義務は、欧州では当たり前であり、米国でも連邦最高裁判例により確立している(ブレイディ・ルールと言われる)。日本の2004年刑事訴訟改正における証拠開示の規定制定の際になぜか、米国のルールのうちこの部分は導入されなかった。

証拠隠しにより有罪に持ち込むという恥ずべきやりかたをこれ以上認めないため、必ず必要である。

第2 DNA鑑定の対象となる生物学的証拠に関しては、検察側が申請する証拠に関連する証拠に限らず、捜査機関が入手・保管しているすべての証拠の存在とDNA鑑定結果を弁護側に第一審公判前に開示し、鑑定未了な証拠についても弁護側の求めがあればすべて鑑定を行うこと。

米国では多くの州でこのルールが採用されている。

第3 有罪判決を受けた被告人にDNA再鑑定の権利を保障し、未了のDNA鑑定があればこの鑑定を受ける権利を保障する。

手続が迅速になされるよう、具体的手続きを定めた規定を制定する。

そして再鑑定を保障するために、捜査機関による鑑定資料の全量消費を禁止し、故意または重過失により全量消費した捜査関係者を刑罰に処す。

これは米国で2004年にイノセンス・プロテクション・アクトとして連邦事件について制定された法律であり、多くの州が同様の規定を置いている。

日本のように2005年の再審請求後7年もかけて実施するという遅いペースで、人の人生の貴重な時間を奪うことは許されない。

第4 再審段階における証拠開示のルールを明確に定める。

再審事件には、適正手続や審理のあり方について定めた明確な規定がなく、極めて恣意的に運用されている。証拠開示のルールも一切なく、2004年の刑訴法改正で規定された通常事件の証拠開示規定も適用されない。

このように再審は無法地帯ともいうべき状況であり、明確なルールが必要である。

まず最低限、現行刑訴法上の証拠開示規定(316条以下)は再審においても適用されなければならない。

しかし、私は、再審段階においては全証拠を開示すべきだと考える。そもそも、第一審段階においてすべての検察官手持ち証拠が被告側に開示されるべきであるが、捜査機関は頑としてこれを認めない。その理由として被告人の証拠隠滅等を理由とする。

しかし、再審段階になればそのような恐れはほとんどない。この間のえん罪の教訓は、検察官が証拠を隠したまま誤った有罪判決を得て司法判断を歪め司法の公正を傷つけ、刑訴法の目的である真実発見を阻害する重大な違反を現に行っていることを示しているのであり、そうした不正を但し、誤判を正すことこそ優越した価値というべきである。

米国ノースカロライナ州では、再審段階におけるすべての証拠開示がルールとして義務付けられ、その結果、過去の死刑有罪判決において、検察側が被告人に有利な証拠を隠して有罪に持ち込んだことが次々と明らかになり、相次いでえん罪が発覚した。同州ではその後、2004年に第一審段階における全面開示を義務付けるに至ったのであるが、同州の経験は、再審段階の全証拠開示がいかにえん罪究明と真実の発見に資するかを示している。

現在、法務省法制審議会のもとで「新時代の刑事司法制度特別部会」が、刑事司法の改革を議論している。

もうこれ以上、改革を怠り、手をこまねいていることは許されない。

以上の諸改革を実施することを強く要請したい。

日弁連等も、包括的な刑事司法改革に関する具体的提案をえん罪の実態に即して十分に行っておらず、怠慢と言わざるを得ない。

知恵を絞ってこれらの改革について正式な提案をすべきである。

以下、読売新聞の社説を一部抜粋する。私も同感である。

東電OL事件 再審無罪で冤罪の検証が要る(11月8日付・読売社説)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121107-OYT1T01582.htm?from=ylist

事件から15年を経ての無罪確定である。

冤罪(えんざい)を引き起こした捜査当局と裁判所の責任は重い。

東京電力の女性社員が1997年に殺害された事件の再審で、東京高裁は無期懲役となったネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさん(46)を無罪とする判決を言い渡した。

高裁が「第三者が犯人である疑いが強い」と判断した以上、当然の結論と言える。検察は上告する権利の放棄を申し立てた。

無罪を決定付けたのは、被害者の手の爪に残っていた付着物だ。マイナリさんとは異なる人物のDNA型が検出されていた。

判決はこの鑑定結果を重視した上で、「女性が首を絞められて殺害される際、渾身(こんしん)の力で犯人の手をつかんで引き離そうとしたと想定される」と認定した。

弁護側が爪の付着物について、検察側に鑑定を求めたのは、マイナリさんが服役していた2007年1月のことだ。しかし、検察は「爪からは何も検出されていない」と付着物の存在さえ否定する回答をしていた。

その後、女性の胸などに残された体液から第三者のDNA型が見つかった。これにより、再審開始が決定し、追いつめられた検察は「存在しない」としていた爪の付着物を鑑定した結果、同じ第三者のDNA型が検出された。

ところが、あきれたことに、検察は「証拠隠しはない」と居直っている。過ちを認めず、冤罪に至った経緯の検証を一切行わない姿勢も示している。極めて問題である。

自分が不利になりそうな証拠は開示しないという姿勢をたださなければ、国民の検察不信は一段と深まるだろう。

裁判所も猛省が必要だ。1審の無罪判決を破棄し、逆転有罪とした高裁、その判断を支持した最高裁の誤判により、マイナリさんは長期間、自由を奪われた。

マイナリさんは検察や裁判所に対し、「どうして私がこんな目にあったのか、よく調べ、よく考えてください」とのコメントを出した。これに応えねばならない。

2012年11月11日 (日)

がんばらない日曜日

先週の土曜・日曜日はICUの「脱原発の平和学」というシンポジウムに参加。私も発表させていただき、またほかの発表者も第一人者で素晴らしく、とても有意義だった。
しかし、その後の一週間、ずーっと睡眠不足の毎日が続いた。
今週の土日、つまり昨日と今日は、国際人権法学会で、私も「原発事故と情報に関する権利」という発表を土曜日の朝にさせていただいたが、さらに今日は、日曜朝9時慶応大学というつらい日程。

前日から周囲に「超睡眠不足なの(ホントです)、明日来れないかも」と伝えていたのだが、やはり今朝は目覚まし時計を後目に「無理だ」と判断し、欠席。
本当は自分に関係あるトピックなんだけど、いいわ、無理は禁物。
家でだらだら過ごしていたら、体調が少し回復したので、家でだらだらする効用は偉大だ! と再確認。ここのところめっきり鈍っていた頭の回転も少し活性化することを期待したい。

だらだらを満喫した後、うちのパートナーと国会前にいき、午後3時からの脱原発の集まりに参加。
こちらも1時間ほどで「風邪ひきそうでやばい」と、退散しかけたところ(ゆるい)、都知事選に立候補を表明した弁護士の宇都宮健児先生が演説してるのに出くわす。
横には海渡雄一先生が。

ところで、本当に宇都宮先生が出馬されるというのはよかった。石原辞任と聞いた日から思ってたのだ。
リベラル、脱原発、格差是正という流れをつくるには、この人しかいない。

・・・と思って歓迎していたので、これはひとつ、応援しなくちゃ、と思い、聴衆に交じって拍手。
景気づけに宇都宮先生と握手もしたところ、海渡先生が「一緒に写真をとって、ブログに載せて広めたらいいんじゃないか」というので、うちのパートナーが突然撮影係に指名され、撮影。

しかし、あとで聞いたら撮れてなかったらしい。まったく要領が悪いんだから。
でも、写真を撮って指示を広めるのはよい作戦なので、私もまた今度機会があったら写真を撮ってもらい、ブログに掲載しよう。
しかしすごいなあ。元気そうなお二人のコンビをみて、こっちが励まされた感じだった。
是非あの調子で東京を変えてもらいたいと期待する。
かくして私のがんばらない日曜日が終わろうとしている。

2012年11月 1日 (木)

国連人権審査を終えて・ステーメントを公表しました。

昨日お伝えした、国連人権理事会の日本に対する人権審査が終了しました。

ヒューマンライツ・ナウでは、すぐにステートメントを公表しました。
ジュネーブの記者会見で公表されていることと思いますが、
朝にならないと東京のスタッフは活動しませんので、取り急ぎ、私のこちらのブログにステートメントを御紹介します。

是非国際社会が日本の人権状況をどう見たのか、注目していただけると幸いです。

Immediate Release  ヒューマンライツ・ナウ

国連人権理事会、普遍的定期的審査(Universal Periodic Review)が開催され、
各国政府が日本の人権状況について厳しく勧告。

国連人権理事会、普遍的定期的審査(Universal Periodic Review)が開催され、

各国政府が日本の人権状況について厳しく勧告。


1 10月31日、国連人権理事会作業部会は、日本の人権
状況に関する審査を行った。これは、2006年3月15日の
国連総会決議60/251(人権理事会設置決議)
に基づき始まった普遍的定期的審査(UPR)制度による
もので、2008年より、4年に1度のサイクルで国連加盟国
すべての国の人権状況を審査している。日本は2008年
度第2会期審査で初めて審査され、現在14会期にて2度
目の審査を受けている。


2 第1回UPR日本政府審査においては、日本政府に対し
26の勧告が出され、日本政府はこのうち13の勧告(国内
の人権侵害の申し立てを審理する独立機関の設置、
国際人権条約の個人通報制度の受領、男女の平等を確
保するための法整備など)を受け入れることに同意した。
しかし、勧告のこれまでの実施状況は十分とはいえず、
市民社会との協議も十分には設けられてこなかった。


国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、日本政
府がUPRの勧告を効果的に取り入れていないとして、
繰り返し問題提起を行ってきた。本日の審査においても、
多くの国連加盟国から、2008年と同様の勧告がなされた。


中でも、パリ原則に基づく独立した人権擁護機関の
設立、人権条約の個人通報制度の実現、取調べの
全面可視化や弁護人の取調べ立ち会い、起訴前勾
留制度の改革等の刑事司法改革、死刑の執行停止
と死刑の存廃に関する国内的な議論の喚起、
死刑囚処遇の国際人権基準に基づく改革、従軍慰安婦
問題に対する解決、女性に対する暴力・人身売買の根絶
のための措置と女性のエンパワーメント、民法の女性
差別規定・非嫡出子差別規定等の改正などの課題につい
ては、多くの国が繰り返し勧告を出しており、国際社会の強い懸念が示されたといえる。


また、今回の審査では、とりわけ、女性に対する差別撤廃、
障がい者、外国人、LGBTに対する差別撤廃の課題について、
日本政府のさらなる取り組みを求める勧告が相次いだ。
これら差別撤廃に向けて、確固とした方針と実効性のある政策を
とり、現実に差別を根絶していくことが求められている。


日本は国際社会の強い懸念に応え、勧告の実現に真剣に取り組む必要がある。


3 今回の審査では、公務員等に対する人権教育の
必要性、学校教育における人権教育の必要性も複数の加盟国から指摘されており、注目される。


日本政府は、現在の不十分な人権教育政策を再検討し、改善することが求められている。


4 第一回UPR以後に発生した事態として、HRNは、2011年3月11日の東日本大震災と、福島第一原子力発電所の事故に伴う周辺住民への深刻な人権侵害について情報提供を行ってきた。


 本日の審査においては、福島の人々に対する健康を保護するために必要な措置を取ること、11月に予定される「国連健康の権利に対する特別報告者」の調査に真摯に応じ、市民社会が特別報告者に会うことのできる機会を保障するよう勧告が出された。重要な勧告であり、HRNはこの勧告を真摯に実現することを日本政府に求める。


5 HRNは日本政府に対し、本日の審査で提案された上記勧告を受諾するとともに、これら勧告を現実に実施し、市民社会と積極的に連携して日本の人権状況を改善していくよう、要請するものである。


                            以上

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