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2012年10月21日 (日)

PC遠隔操作で改めて明らかになった、捜査機関がつくりだすえん罪

ウイルスに感染したパソコン(PC)などから犯罪予告が書き込まれ4人が逮捕された事件で、警察・検察当局は、神奈川県警に逮捕され保護観察処分を受けた男性(19)の処分取り消しに向けた検討を始め、検察当局は、ほかの3人についても、不起訴あるいは起訴の取り消しを検討しているという。片桐裕警察庁長官は、18日の記者会見で、誤認逮捕の「可能性が高い」と言及、警視庁など関係都府県警は関係者への謝罪を検討しているという。

http://mainichi.jp/select/news/20121019k0000m040128000c.html

私が注目したのは、この事件において、いったんは否認していた少年が、最終的には犯行を認めたことだ、つまり嘘の自白をさせられたのである。

この事件を通じて、例えば足利事件のような大事件のように大々的に報道されないけれど、隠れたところで、虚偽の自白とえん罪が横行していることが改めて明るみに出たといえる。

そうなのだ、比較的軽微な事件、社会的にさほど注目されていない事件でも、犯罪の容疑をひとたび警察からかけられた人が、やむをえず罪を認めて処罰・処分に服すことはいたるところにある、というのが弁護士としての実感である。

日本の有罪率は、なんと99.9パーセントの有罪率。被告人側からみれば、ほとんど勝てないゲームなのだ。

警察が目をつけた事件、特に逮捕された事件は、否認したままで無罪判決を勝ち取る可能性がとても低い、だから、仕方なく、大きな権力に逆らっても仕方がないと、諦めて自白をする人は、たくさんいる。

逮捕されている人は、はやく認めて自白しないと、早期釈放されない、これを「人質司法」という。

それに、反省してないということで重い判決を受ける可能性も高いのだ(こういう件を結構見てきた。涙)。

そんなことにならないように、自白しない不利益を考えて、人知れず屈辱的な妥協を余儀なくされ、屈服させられている人達がいるのだ。

プライドのある普通の人間なら誰しも、やってないことはやっていないと言おう、と思って抵抗するはずだ。

しかし、取調べの過程で追い詰められ、屈服させられる。捜査官の脅し文句や利益誘導があることは想像に難くない。

しかし、そういう人たちの姿は明るみに出ない。だって、言っても仕方のないことだ、ただ誰にも知られず、自分も忘れたいのだ。逮捕されたことも、屈してしまったことも、、、

今回の事件はこうして日常的につくりだされているえん罪事件があること、誰もが巻き込まれかねないことを改めて示した。

警察は過去にさかのぼって誤りがなかったか、調べる方針だという。

是非やってほしい。罪もないのに、罪を認めさせられた人がたくさん出てくるのではないか、と私は予測する。

警察としては誤りがあったか否かを調査するだけでは足りない。なぜ誤りが起きたのか、なぜ無実の人が自白をさせられたのか、きちんと調べて結果を公表してほしい。

こうした誤りをなくすには、警察がいまだに頑強に抵抗している取調べ過程の全面可視化しかない。

そして、被疑者が否認するといつも被疑者が嘘をついていると疑ってかかり、無実の可能性を真剣に検討しようとしない警察・検察の姿勢も改めるべきだ。

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