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2012年9月

2012年9月30日 (日)

移動仕事術

さて、京都での講演が無事終了。
しかし、明日の鹿児島への飛行機が心配で仕方がない。航空会社は何度電話してもつながらない。問い合わせが殺到しているに違いないのである。

そこで、旅行会社に問い合わせたところ、日曜にもかかわらずラッキーにもつながった。話しているうちに、明日の東京・鹿児島便は既に決行が決定した、と教えてもらう。
そこですぐに、伊丹・鹿児島の便に変えてもらう。

東京にいる相代理人は、もう来られないでGive upとのこと。というわけで、今夜は、東京のホテルをキャンセルして京都に一泊することになり、なんとか台風を避けながら鹿児島への道をつないだのでした。
明日の鹿児島の裁判はせっかく裁判に行く事から周辺でこの裁判の解決に向けた予定も多々組んでしまっていたので、ほっとする。

こうやって移動するにあたり、極力リラックスし、その土地土地のものを食し、ストレスを溜めずに乗り切る。それが必要なことですね。

われながら、ハードなスケジュール

ジュネーブから昨夜帰国しました。ジュネーブも大変ハードなスケジュールで、大変でしたけれど、エミレーツで快適に帰国、のはずが予想外に疲れてしまっています。
しかし、今日はこれから京都で講演、明日は朝一番で鹿児島の裁判がありますので、羽田に朝七時の便で鹿児島にいく予定。
そこで今夜は品川で宿泊です(京都から関西で宿泊して関空にいくことも検討しましたけれど、東京に戻ってしまった方が移動が楽なんですよね)。
われながらスケジュールを詰め込みすぎなんですが、何も考えないで、予定を埋めてしまうとこういうことになってしまう。時差もありますからね。
ということで、できる限り体力を温存して、疲れを溜めないようにメンテナンスをしつつ、乗り切りたいと考えています。
日本を留守にしている間にはいろんなことが起きたようで、原発関係、死刑執行、自民党総裁選etc、とても気になります。はやくキャッチアップしたいと思います。

2012年9月27日 (木)

始まりました! ヤフーの個人ページ

ヤフー・ジャパンにこのたび、個人が発信する記事が掲載されることになり、私も個人のページをつくっていただき、情報発信をさせていただくことになりました。
昨日が初日とのこと。
何かと大手メディアが市民の期待に応えられない今日、こうした個人発信の情報も面白いな、と思います♪
是非応援してください。

以下が私のページです。


http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/

2012年9月25日 (火)

ジュネーブの朝

今週はスイス・ジュネーブに出張です。
ヒューマンライツ・ナウが国連協議資格をついに取得いたしましたので、人権理事会参加等の出張です。
思えば、初めてジュネーブに来た時から、国連に関わる仕事、特に人権や平和に関する国際社会の動きにNGOとして貢献したいとずっと思い続けていました。
2005年は国連のインターンとしてジュネーブにきたのですが、終了する際は、いつか帰ってこられるのだろうか、と思ったものでした。
というわけで、ようやく国連の資格を取得して、かつ自分が代表者として、国連に正式に登録をするのは感慨深いものがありました。
今年はどちらかというと日差しがまだ明るく、夏の名残を残して美しい景色の広がるジュネーブです。
レマン湖のほとりで開催される人権会合は、よく現場から乖離していると言われたりしますが、重要なことがここで決定され、国際社会の意思となりますので、しっかり参加して発言していきたいと思います。
今回はそのための登録、基礎的な知識の習得、ネットワーク形成などとともに、今後の活動にとって重要な国連機関、NGOや政府との懇談を予定しています。
来月はジュネーブで日本の人権状況に関する第二回国連審査が開催されますので、その関係のロビー、また、11月に来日が予定される国連「健康の権利」に関する特別報告者の福島調査に関する事務レベル準備ミーティングなどもする予定です。
朝ごはんはリーズナブルな今回のホテルで、たっぷりとコーヒー、クロワッサンなどを出してもらえるので、とても豊かな朝です。

論考御紹介・裁判員制度の評価と課題(法学館憲法研究所)


裁判員制度に関する評価について、法学館憲法研究所のウェブサイトに「今週の一言」ということで、
掲載させていただきました。

今回、課題としては量刑の問題にフォーカス。特に死刑と裁判員制度は大きな問題があります。
ほかにも字数は少ないのですが、いろいろと課題を指摘させていただきました。
是非読んでくださいね!

http://www.jicl.jp/index.html

2012年9月20日 (木)

原発ゼロ方針の見送りは許せません。

昨日、原発ゼロの政策の閣議決定を野田内閣は見送った。
これまでパブコメを実施し、国民に意見を問い、国民も必死でパブコメを書き、ここまで国民を巻き込んで、政策を公表した意味はどこにあったのか。
有権者に対する許されない背信行為だ。
「決められない政治の打破」などと言ってきたけれど、結局、国民の声に基づく政策は何も決められないのだ。
今回のことで、原発立地首長、アメリカ、経済界が強力なロビーを一夜にして展開したことは明らかだ。
経団連は全面的に歓迎していると一斉に報じられている。
結局この国では、国民との約束や、毎週金曜日に示された市民の想い、いてもたってもいられない母親たちの想い、炎天下で立ち続けて政策の転換を求める人々、ずっと丁寧に、世論を積み重ねて、民意を示し、民意の多数を占めたとしても、経済界が恫喝をすれば政権は一夜にして経済界に屈するということなのか。
そうであれば、何のための民主主義なのか、どちらを向いているのか
みんなで、これは本気で、怒らなければならない。
経済界が、国民の声や将来的な人々の安全、未来世代に安全な国をのこすという公共性・倫理観が著しく欠如し、「わが亡き後に洪水は来たれ」という短期的な利益追求、私利私欲のために行動していることも、本当に醜悪で許しがたい。このような経済界しかないことは国民にとって不幸である。

2012年9月18日 (火)

これじゃ未来は託せない。

嫌なものには目をそむけて、出来れば快適な暮らしを
したいけれど、目をそむけずに直視しなくちゃいけないこともある。
見よ! この人たちを。

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これだけ、国民が声をあげて、多数の意見で決められようとしている原発ゼロの方針を覆そうとしている。
この顔は「お前らみたいな素人がそんなことをいくら言っても、所詮そんな甘い話では通らないんだよ」という上から目線。
あんたたちにどんな権限があってそんなことをいうのか? と腹が立つ。
民意を反映するつもりなど、この人たちにはなさそうだ。
自民党政権にNOを突きつけられたことへの反省もない。

それと、領土問題をめぐって、きゃんきゃん叫んで危機感をあおり、すごんでみせる姿も本当にみっともない。
日本が強い態度で出るとか、そんな問題じゃない。
暴走族の縄張り争いじゃないんだから。
家に知らぬやつがきたらとにかくきゃんきゃん吠える犬みたい。

私も境界争いの事件などやったりするが、大人物は10年先、100年先を見通して、平和的な解決をはかろうとするものだ。
なんとか平和的に問題を解決できないか、ということに心を砕いてこそはじめて、尊敬される国といえるだろう。
中国の反日デモが燃え盛っているけれど、同レベルできゃんきゃん叫んでいれば、問題は燃え盛るだけで解決しない。国際社会からも、近隣諸国からも、軽蔑されるだけであろう。
昔は保守政治家でも、島国である日本の行く末を見通して、大局的な問題の解決を図っていこうとするスケールの大きな政治家が多かったが、なんとここにいる人たちは小粒で了見が狭いんだろう。

未来はこんな人たちには託すことができない。

2012年9月16日 (日)

とんでもない! 復興予算の横領

先週のNHK特集の「復興予算19兆円はどこへ」をみて怒り心頭に達した人も多いことでしょう。
被災地で、仮設住宅で、本当にひどい扱いを受けている被災者の方々をみてきた立場かられば、
無駄なところにお金が使われ、必要な人に予算が届かない実態には本当に怒りがわいています。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0909/
いくら被災者が求めても、医療支援もなければ、移動支援もないのです。
どんなに切実だとお願いしても、人の命が危険だと訴えても、冷酷に切り捨てられているのです。

ところが、今日さらに新たに東京新聞に載っていた記事にはさらに絶句。
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復興予算が原子力ムラにもぎ取られていたなんて。
人の命を考えず、原子力サイクルの利益だけを追求する姿勢が本当に明らかです。

被災者の方々の生き死にに関わる大切なお金を、あれだけの事故を起こしながら何の反省もなく、核融合研究に42億円も使うなんて、本当に人非人としかいいようがありません。42億円もあれば、取り残された仮設住宅にどれだけの希望をもたらし、人の命を救うことができるのかわからないというのに。
恥を知れ。
是非みなさん、がんがん文句をつけていただきたいです。転載歓迎です。


復興予算 原子力ムラに。もんじゅ運営独法 核融合研究、42億円流用

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012091690070712.html

政府の二〇一二年度予算の復興特別会計のうち、高速増殖原型炉「もんじゅ」などを運営する独立行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)の核融合エネルギー研究費に四十二億円が計上されていたことが分かった。文部科学省は一三年度予算の復興特別会計でも、四十八億円の研究費を概算要求している。東日本大震災の被災地復興のため、国民に新たな負担を求めた復興予算が復興とは直接関係のない「原子力ムラ」の事業に使われた。(中根政人)

 原子力機構に対し、一二年度予算の復興特別会計からは百億円超が支出された。このうち、東京電力福島第一原発事故の収束や除染に関する技術開発費などを除く四十二億円は、日本や欧州連合(EU)、米国、中国など七カ国・地域が核融合エネルギーの実用化を目指して共同で進める国際熱核融合実験炉(ITER)の研究事業に充てられた。ITERは、日本国内では、青森県六ケ所村と茨城県那珂市に研究拠点がある。

 復興とは無関係との指摘について、原子力機構は「被災地の研究拠点を通じて、復興を支える技術革新を促進できる」と強弁。文科省も「被災地の産業振興だけでなく、日本全体の復興につながる」と説明している。

 京都大原子炉実験所・小出裕章助教は「被災地の復興を最優先に考えるならば、むしろ原子力機構の不要不急な研究事業を削減して財源を確保する取り組みが不可欠だ。核融合エネルギーは、実用化のめどが立っておらず一般会計も含めて研究予算を付けること自体が無駄遣いだ」と批判している。

 政府は、東日本大震災の復興財源について、所得税や住民税の増税などで一一年度から五年間で計十九兆円を確保した。だが、津波で甚大な被害を受けた沿岸部の被災地へ十分に回っていないことや、被災地以外の公共事業などに使われていることに疑問の声が上がっており平野達男復興相は実態調査を財務省に要請している。

 原子力機構は原発推進の経済産業省や文科省の幹部らが天下りしOBが再就職した企業・団体と多額の取引を行っていることなどに批判が集まっている。

◆省庁が分捕り合戦

 災害復興予算の問題に詳しい宮入興一・愛知大名誉教授(財政学)の話 東日本大震災の復興予算は、被災地の復興に加えて「活力ある日本の再生」が編成の目的とされた。そのことで、復興を口実にした各府省の事業予算の分捕り合戦が起こり、復興とは無関係な事業にお金が回る事態に陥っている。

 原子力機構が研究費を復興特別会計から計上したのもその一例で、被災地のためではなく、予算をより多く確保したいという姿勢の表れでしかない。

<国際熱核融合実験炉(ITER)> 太陽で起きている核融合と同様の状態を人工的につくり出し、発電に使えるかどうかを実験する装置。実験炉の建設地をめぐっては、日本と欧州連合(EU)が誘致合戦を展開したが、2005年にフランス国内への建設が決定した。実験炉の運転開始は20年を予定している。

(東京新聞)


2012年9月15日 (土)

アフターファイブ無料法律相談のご案内

新しい私の法律事務所・ミモザの森法律事務所
http://mimosaforestlawoffice.com/

を4月に開設し、ようやく落ち着いてまいりました。

そこで、市民の皆様に身近な法律事務所、という理念を少しずつかたちにしていきたいと考えていますが、
まず、毎月、無料相談を開催することになりました。
クレサラ、離婚、相続、遺言、ストーカー被害、DV、交通事故、親子間や家庭の問題、刑事事件等、
是非なんでもご相談ください。
弁護士は敷居が高いと言われま
人にいえないで悩んでいる問題等もあるかと思いますが、
是非気軽にご相談いただける事務所となっていきたいと
思います。
実は、これは、ある女性センターの相談員さんとお話していて気づいたことなのですが、
相談日がこの日、と決まっていないと、突然弁護士に電話して相談にのりたい、
と依頼するのは、特に女性にとってはとてもハードルの高いことらしく、
相談日がこの日、と決まっている方が予約が取りやすいということだそうで、
なるほど、と思ったのでした。


当事務所は秋葉原からほど近いので、勤務後、帰宅前に是非お立ち寄りください。

初回は、アフターファイブ相談会  担当 伊藤和子
場所  ミモザの森法律事務所
     台東区上野5-3-4クリエイティブOne秋葉原ビル7階です。

予約は  電話 03-5807-3184にお電話して、予約をとってください。
      (原則30分、長い場合は1時間まででお願いします)。
事務所へのアクセスはこちらです。
     http://mimosaforestlawoffice.com/map.html

(事務所の案内版みたく使用している写真。ミモザです。)

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日頃、リーガル・アクセスに困難を抱えて悩んでいらっしゃる
女性の方に是非、来ていただきたいと思いますが、もちろん
男性の方、ビジネス系の方も歓迎です。

今後も毎月開催し、アフターファイブ以外にアフターヌーンも開催
しようと考えています。
また、セミナー等も開催して、みなさまが、転ばぬ先に法的な
知識を身に着けていくお手伝いができればな、と思っています♪

是非お気軽にどうぞ!

2012年9月13日 (木)

ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」を読んで。

ナオミ・クラインのショック・ドクトリンをようやく読み終えた。
アーレント、サイード、チョムスキー、ソンタグ、
などをこれまで読んできたけれど、
最近読み応えるある、混迷する世界をどう考えればよいか、
という問いに応えて鋭い分析を提示してくれる書籍が
本当に少なくなったように思う。
そんななかで本書、久しぶりに傑作を読んだ気がする。

本書は東日本大震災後の日本を警告する書籍として
話題になったが、惨事便乗という枠を超えて、
ミルトン・フリードマンに始まる新自由主義のイデオロギーと
その貫徹、国際金融機関と米国支配層(企業および
政府要人とその癒着構造)によるこの作戦遂行への
共犯関係を見事に喝破している。

私がこれまで、政治、体制移行、さらにいえば人権侵害
という視点からのみ、自分なりに相当の注意を払って
観察してきた歴史的事象について、抜けていた観点が
明らかにされた。
私が見ていたのは歴史の縦糸に過ぎず、横糸は完全に
看過してきたことに気付く。
まさにパズルのMissing Pieceがはまり、全体像が明らか
になった感がある。
表面的な事象に心奪われて、世界の裏側で進行していた
ことについて、私は適確に見抜けてこなかったんだな、
と思う。そのことを痛切に反省した。

本書に批判されているとおり、このような傾向、ショックの表面的
事象に心を奪われるという現象は、人々が陥りやすい傾向で
あり、特に人道家や人権活動家もその傾向に陥りやすいので
要注意である。

表面的なショックに心を奪われ、表面的で衝撃的な物事の
事象のみを取り上げて糾弾し、あるいは心を痛め、あるいは
心が折れてしまい、あるいは人道的・人権に即した解決を見出そうとする。

しかし、そのような表面に心を奪われている間に、肝心の支配は進行しているのだ。

例えば私はラテンアメリカの米国主導による軍事独裁政
権の卑劣な政権転覆やその後の拷問・強制失踪という
事態について研究してきた。
そして「正義」という観点から、その後の民主化と人権の
回復について論評したりしてきた。

例えば、イラクにおける米軍の軍事行動がいかに国際人道
法に違反するのか、ひとつひとつの戦争犯罪行為について
告発をしたり、グアンタナモ基地における収容者への拷問を
告発し、釈放を勝ち取るための弁護活動に携わったりした。

南アフリカやその他の「移行期」の国々を見る視点は、
Transitional Justice(移行期正義)という人権侵害を再発
させず不処罰を放置しないための取り組みだった。

しかし、その影で実は、多くの国で、あの南アフリカでも、
新自由主義が跋扈し、国の貴重な財産を民営化して
海外の資本の半ば略奪に近い買収が実現していくの
を、IMF等が恫喝的に強要し、軍産複合体が経済的侵略
を果たしてその国の人々を全面的に搾取していたのだ。

なぜ南アフリカが、アパルトヘイト後も貧富の格差が
拡大し、犯罪と貧困に満ちているのか、ようやくわかった。

「移行期」をめぐる裁きが、過去の人権侵害について詳細な
報告書のかたちとなり、自由を保障する制度が確立する
背景では、ワシントン・コンセンサスの押し付けにより、
経済的主権が投げ出され、妥協の対象となり、
将来にわたる人々の貧困化と国有財産の売却が
進行しているのかもしれない、にもかかわらず、
人権活動家は「裁判」にのみ心を奪われ、目の前の
深刻な事態の進展を見過ごしてしまうのだ。

人権侵害や意図的に作り出されたショックに
目を奪われていては、そのために誰がどのような利益
を得ようとしているのか、という真の戦略は見抜けない。

ナオミは、人権侵害の意図の背後にあるねらいを一切
捨象した人権団体の報告や活動に対して、鋭い批判の
矛先を向けていて、私にとっては大変耳が痛い思いが
した。しかしそのとおりなのである。

特に、欧米の人権団体は伝統的に政治と意図的に
距離を置こうとするため、各論の行為を列挙する点
では優れていても、事象の全体像の一面しか強調
せず、ミスリーディングな役割をしばしば果たすこと
になったり、最悪の、またはせいぜい
中途半端な解決をもたらす共犯にすらなりうる。

(なお、人権についてはチョムスキーもその一面化に対して
警戒心を隠さなかった。
アーレントは経済とは異なる角度ではあるが、アイヒマン
法廷が、収容所に人々を運ぶ個々の行為の立証に
血道をあげて、民族を皆殺しにするというホロコーストの
全体像を見失っていることに警鐘を鳴らした。)

個々の拷問の残虐さを訴え、一つ一つの戦争犯罪行為を
糾弾するだけでは、人権侵害をつくりだした大きな勢力を
免罪することになりかねない。

人権侵害行為が生まれるにあたってどのような力が働き、
誰が究極の利益を得たのか、そのことを特定し、告発して
行かない限り、世界から、一貫した経済的意図に基づく
人権侵害を根絶することはできないのだ。

本書は、IMFと決別したラテンアメリカ諸国について最終章
で述べる。
新自由主義の実験場であったラテンアメリカの現在のあり方
はナオミが表現する通り感動的で、未来のあるべき姿
を示している。
確かにワシントンコンセンサスにノーをつきつけたラテンアメリカの
闘いは鮮やかな「大きな物語」である。

しかし、私たちは70年代に抗した実験場とはならず、
苦い薬を飲まず、そのため新自由主義に対する免疫が
きかないまま、いまや新自由主義の最先端を行こうとするアジア地域にいる。

そして、欧州危機、これをどうとらえればよいのか。

ラテンアメリカと同様なかたちでの道程を歩まない悩める
大陸に対するナオミの鋭い分析を、是非読んでみたい。

ナオミのこれからの書籍を楽しみにしつつ、ナオミから受けた
視座を自分のなかに確立していかなくては、と思う。


大人の責任


Facebookでたまたま見つけた写真投稿。

この「原発をゼロにして死ぬのが、大人の責任」という
フレーズにぐっときました。

そのとおり、次世代への責任です。

日々に追われて生きていますが、私たちは将来の世代に
胸を張って何を遺せるのか。

美しい地球をそのまま引き継ぐことができるのか、
それとも核のゴミ、危険極まりない核燃料サイクルを
そのまま残すのか、問われています。

同時に、ゼロにして死ぬべきもののリストが頭に浮かびました。

ひとつは核兵器、すべての残虐兵器、軍事的・経済的侵略行為、戦争、残虐な人権侵害、、、
全てが生きている間になくせないかもしれないということに心が痛みますが、
少なくとも21世紀の生きている時代に、これらのリストのなかで、
「これだけは私たちの世代はゼロにした」というものを
ひとつでも多く積み重ねていかなくては、と思います。

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2012年9月10日 (月)

素敵な出会い・ジャズ・シンガーの鈴木重子さん


今日はジャズ・シンガーの鈴木重子さんが事務所に遊びに来てくれました。
http://www.office-giraffe.com/

仕事でものすごおくテンパっていた一日ですが、とてもゆったりして素敵な鈴木さんのオーラに心癒されてしまいました。

ジャズ、といえば、私はニューヨーク留学以来、ジャズにはまっているので、鈴木さんは憧れの人。
人生いろんなことをやりたい私は、50代過ぎたら、ジャズを歌いたい、60代になったら詩人になりたい、という何ら特段展望もなければそのための努力もしていない、ぼんやりとした夢をもっているのですが(以前はプルーストやドストエフスキーのような偉大な小説家になりたいと思っていたこともありましたが、さすがにもはや無理)、
まさに同年代のジャズ・シンガー鈴木さんはとても気になる存在。

鈴木さんにジャズを教えてもらえると嬉しいんだけどな、なんて思っていたのです。
しかし先日、その歌声を聞いて、あまりに感動し、「自分が歌うなんておこがましい」とすっかり反省していたのでした。

鈴木さんはヒューマンライツ・ナウの活動をはじめ、世界的な人権活動にとても関心があるということで、いろんなお話しをさせていただきました。
音楽・文化は人々の尊厳をつくる源であることを考えると、鈴木さんが鈴木さんならではの人権活動をしていただけたら、とても素晴らしい、と思います。
多くの国では、少数民族の伝統的な言語、文化等も消滅の危機にあり、暴力や弾圧と同じくらい、人々の心をずたずたに引き裂いているのですから。

鈴木さんは司法試験を目指していたけれど途中でやめて音楽の道に進んだ、とお聞きしていますが、私は逆。
音楽を挫折して弁護士という道をたどりました。
完全にここまでは、すれ違っていたのですが、今ここでクロスするのって素敵だなあ、と思うのです。

ヒューマンライツ・カフェを始めます。


私たちのオフィスの8階(私たちは7階)は、「ラーニング・カフェ」
という名前の、カフェスペースになっている。

実は前から、大人の集まるカフェイベントを定期的にやりたいな、と
思っていたのだけれど、この秋葉原のビルに
オフィスを構えて一気に具体化が進んだ。

9月に、事務所のビルのカフェスペースでいよいよ、
ヒューマンライツ・カフェというイベントをキックオフすることになったのだ。

初回は9月20日に、オックスファムの山田太雲さん、UNDPからGAPに移られた大崎麻子さんと、国際開発・人権アドボカシーについてトークすることに。

企画のコンセプトは基本、チャリティなんですが、人権・社会・国際問題に関するリテラシーを高める機会にして、ゆくゆくイギリスとかにあるような、大人の集まる討論カフェみたいな集まりになるといいな、と思います。

そう、イギリス、フランスにあるような。

是非御参加ください。

また、HRNのプロジェクト対象国に限らず、様々な人権問題・
国際問題、社会問題を取り上げていきたいので、今後のテーマも募集してます。


http://hrn.or.jp/activity/event/post-165/

それと、スペースを使って、いろんな分野の
アスリート、トレーナー、ミュージシャンのご協力で、
社会人が参加できるワークショップも開催していきたいな、と
思います。

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◆あの人に聞きたい!"Human Rights Cafe" トークイベント
  国際開発×人権 アドボカシーの最前線を語ろう
山田太雲(オックスファム・ジャパン)×大崎麻子(GAP)×伊藤和子(HRN)

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ヒューマンライツ・ナウでは、第一線で活躍する著名人・専門家を
ゲストにお迎えして、新聞やニュースで話題の社会問題をテーマに
語り合うトークイベント"Human Rights Cafe"をスタートします。

現場で活躍するゲストならではのリアルで迫力あるトーク、
パイオニアとして困難な道を切り開いてきた生き様など、
「世の中を変えたい!でもどうやって?」と思っているみんなが
パワーとヒントをもらえる刺激的なイベントです。


第1回目は、事務所をシェアしている国際協力NGOオックスファムさんと、
ジェンダー・アクション・プラットフォームさんとのコラボレーションが実現。
国際開発と人権について、それぞれの角度から語り合います。

NGO・国際社会が途上国の開発支援・国際協力に取り組む際に、
どんなアプローチ・視点が求められているのか。
開発支援やアドボカシーを通じて目指したい社会は何か。

貧困と開発の分野の第一線で活躍する、
山田太雲さん(オックスファム・ジャパン アドボカシーマネージャー)と
世界各地や被災地でのジェンダー問題に取り組む、
大崎麻子さん(ジェンダー・アクション・プラットフォーム アドボカシー担当)
がゲストです。

開発分野のアドボカシーの最前線で活動する山田さんには、
開発におけるライツ・ペースト・アプローチ(権利を基礎とする開発プローチ)
について、大崎さんには開発におけるジェンダー主流化の成果と課題、
そしてヒューマンライツ・ナウの伊藤は人権の視点から見た開発・援助
政策について問題提起。それぞれが、アドボカシー活動を通じて
世界の何を変えようとしているのかを語り合います。

質疑応答の時間ももうけますので、

経済成長と「開発」の違いは?
貧困問題はなくせるの?
どういうきっかけで今の仕事をするようになったの?

などなど、気になるギモンをどんどん投げかけてください。

世界中の人々がより豊かな生活を送るために必要と考えられてきた
「開発」と、広がりゆく格差と貧困問題。
何が問題で、どうすれば解決できるのか、
ぜひ、このトークから、たくさんのヒントを持ち帰ってください!

開発協力や国際人権に興味がある方、アドボカシーに興味がある方など、
是非奮ってご参加ください。


日 時≫ 2012年9月20日(木)19時~21時

場 所≫ 東京都台東区上野5-3-4
      クリエイティブOne秋葉原ビル8Fラウンジスペース
 ※HRN・Oxfamがシェアするオフィスビルの上のフロアが、ちょっとしたカフェ
   スペースになっています。こちらをイベント会場として貸切します。

スピーカー≫
山田 太雲さん(オックスファムジャパン・アドボカシーマネージャー)
大崎 麻子さん(ジェンダー・アクション・プラットフォーム アドボカシー担当)
伊藤 和子さん(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)

参加費≫ 1500円

【参加申込】
事前申込みが必要となります。
ヒューマンライツ・ナウ事務局まで、メール(info@hrn.or.jp) または
FAX(03-3834-1025)にて、「9/20カフェ参加希望」の旨と、
氏名、連絡先などを記載の上、お申し込みください。

主催:特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ


2012年9月 8日 (土)

カンボジア・ミッションを終えて

木曜日から3日間、カンボジアに行って先ほど羽田に到着。今回、カンボジア現地人権NGOの強い要請があり、大使館やメディアとのミーティング・要請のために急遽決まった出張です。カンボジアどは土地開発をめぐり多数の住民が生まれ育った家を追われ、政府に抗議したり反対運動をしただけで逮捕や軍による暴力、拘束、さらに殺害まで発生。ヒューマンライツナウで6月に調査した際に会った人たちが次々迫害されています。今回は事態がかなり緊迫したので外務省と大使館が迅速に動いていただき、大使と面談が実現。最も大きな2つの人権団体の代表に同席してもらい、よく話を聞いていただきました。現地では今でも日本の影響力があるので、とても感謝されました。ヒューマンライツナウは日本で唯一国境を越えて世界の人権問題の解決を求めて活動するNGOですが、日本の市民社会が人権擁護、紛争の平和的解決に果たしうる役割や現地の期待はとても大きいものがあります。これからも誠実に、ひとつひとつの要請に応え、信頼関係を構築し、現地が最も必要とする活動を効果的に展開していきたいと思います。

2012年9月 4日 (火)

「原発事故の影響を受けた人々に対する甲状腺等の検査体制の抜本的改善を求める。」

福島県健康管理調査に対する懸念が広まっています。
甲状腺の検査は果たしてこれでよいのか。
ヒューマンライツ・ナウは、本日2012年9月3日、
意見書「原発事故の影響を受けた人々に対する
甲状腺等の検査体制の抜本的改善を求める。」
を発表しました。

ここで書きましたけれど、個人情報保護法、
政府のガイドラインからみても違反としか思われない
事態が公然と進行しています。
 厚労省に「ガイドライン違反では? 」と問い合わせてみましたが、
厚労省は回答を拒否。どうして政府が指導しないのか、
愕然としました。
添付資料には厚労省や県とのやりとりも掲載しています。

是非、ご参照いただいて、世論を喚起していただけると
嬉しいです。一日も早くこんなことはやめさせなければ、
と思います。非人道的すぎます。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-164/

「原発事故の影響を受けた人々に対する甲状腺等の検査体制の抜本的改善を求める。」


福島第一原発事故後、放射線被ばくの影響により、子どもたちへの健康影響が深刻に懸念されている。


「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援に関する施策の推進に関する法律」第13条は「被災者の定期的な健康診断の実施その他東京電力原子力事故に係る放射線による健康への影響に関する調査について、必要な施策を講ずる」とし、子どもである間に一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者等に対する健康診断については、生涯にわたって実施されるように措置をとることを国の施策として明記している。


しかし、同法は基本法に留まっており、具体化は進んでいない。

その一方、現場では、充分な健康調査がなされず、医療を受ける権利や自己の身体について知る権利が否定される深刻な事態が進行している。


1 チェルノブイリ事故後、子どもに対する甲状腺がんが多発したことが各国の報告から認められている。過去の経験に学び、甲状腺がんの発生を防止するため、国・県が必要とされるすべての検査・医療措置を講じて早期発見と治療に努め、経過を観察していく必要がある。また、その他懸念される身体影響に対しても、定期的な健康診断等により早期に対応していくことが求められる。

この点、福島県は福島県立医大等に委託して甲状腺検査を実施している。


県によれば、平成23年3月11日時点で0歳から18歳までの福島県民に対し、平成23年10月から平成26年3月末までに、1回目の甲状腺(超音波)検査を実施し、甲状腺の状況を把握する、という。[1]

しかし、このペースでは、すべての子どもが甲状腺検査を終えるまでに、原発事故後3年以上が経過することとなる。そして、その後の本格検査は、平成26年4月以降、20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとに甲状腺(超音波)検査を行う、という。

これは、小児がんの早期発見という観点から著しく遅いペースと言わざるを得ない。

さらに、甲状腺検査は18歳以下に限られた実施に留まり、甲状腺検査と併行して実施されるべき血液検査や尿中セシウム等の尿検査については併行して実施されていない。[2] 

ホールボディカウンターによる内部被ばく検査については福島県内で未だ数万人にとどまっており[3]、かつ定期的に無料で検査できる体制は整っていない。

これでは、放射線の健康影響について長期的にモニタリングしていく検査体制が整っているとはいえない。


2  福島県は平成24年3月に、子どもに対する甲状腺検査の結果を公表した。


これによれば、県は甲状腺検査を38,114人に対して実施し、そのうち 結節や嚢胞を認めなかったもの(A1判定)が、24,468人(64.2%)、5.0㎜以下の結節や20.0㎜以下の嚢胞を認めたもの(A2判定)が13,460人(35.3%)であるという。さらに、5.1㎜以上の結節や20.1㎜以上の嚢胞を 認めたもの(B判定)が186人(0.5%)いることも明らかになったという。[4]


 ところが、このうち、A1ないしA2判定の者は、二次検査の対象とならず、次回の検査まで次回(平成26年以降)の検査まで経過観察とされている。二次検査の対象となるのはB判定以上となった者のみである。


そもそも、結節について5.1㎜以上、嚢胞について20.1㎜以上でない限り二次検査の対象としないというのは、福島県独自の基準であって、国際的に確立された基準でも独立した第三者機関によるチェックを経た基準でもない。そして、基準の「安全性」を基礎づける説得的な根拠は示されていない。


結節・嚢胞のような所見がありながら、このような独自の基準で安全と判断し、より精密な検査を受ける機会を提供しないことは極めて問題である。


子どものがんの進展は一般に大変早いものであり、予防医学的な立場からも、「早期発見・早期治療」が求められる。結節や嚢胞が認められた事案については、経過を注意深く見守り、定期的なエコー検査により進展を確認することが必要である。


甲状腺検査で異常所見が得られた子どもに関しては、少なくとも1年に1回は検査する実施体制を実現することが求められる。


3 さらに問題なのは、「県民健康管理調査」検討委員会座長を務める山下俊一福島県立医大副学長(同大学放射線医学県民健康管理センター長)らが、日本甲状腺学会所属の医師に同様の基準を徹底しようとしていることである。


山下氏は本年1月16日付で日本甲状腺学会会員の医師に対し、通知を出している。


この通知は、福島県では、「異常所見を認めなかった方だけでなく、5mm以下の結節や20mm以下の嚢胞を有する所見者は、細胞診などの精査や治療の対象とならないものと判定しています」とし、会員医師に対する個別の相談等に対し、「どうか、次回の検査を受けるまでの間に自覚症状等が出現しない限り、追加検査は必要がないことをご理解いただき、十分にご説明していただきたく存じます」としている。


こうした通知を受けて、多くの医師が、原発事故の影響を憂慮する子やその保護者の求めにも関わらず、甲状腺に関する検査を拒絶しているという事態が少なからず報告されている。このようなかたちで国民・市民の医療・検査に対するアクセスを妨害し、セカンド・オピニオンを得る機会を奪うような行為は到底容認しがたい。


エコー検査のように侵襲性を伴わない検査については頻繁な検査に伴うデメリットはなく、行政によるパターナリスティックな制約に何らの正当性もない。


4 さらに検査結果に対する情報提供のあり方にも重大な問題がある。


福島県の甲状腺検査では、甲状腺に関する異常所見が見つかったが、A2判定とされた場合、「おおむね良好」「小さな結節や嚢胞がありますが、二次検査の必要はありません」などの通知が交付されるだけであり、症例に関する詳しい説明がなされてこなかった。


HRNの問い合わせに対し、福島県は、最近になって情報提供のあり方を改善し、結節、嚢胞の大きさ、数について記載することとしたと回答した(2012年8月28日)。


しかし、カルテやエコー検査画像等については未だに本人に見せることはなく、印刷画像も開示しないという(同上)。


そして、検査に関する情報の開示は、条例に基づく情報公開手続に基づいて行わない限り認められず、かつ情報公開手続をとったとしても、エコー画像のデジタルデータの開示は行わず、静止画像がコピー用紙に印刷されたものを提供するだけだという。[5]


これでは、異常所見が見つかっても、子どもの身体の状況に関する重要な情報に子ども自身も親もアクセスすることができず、自己の身体に対する自己決定が阻害されることとなる。また、所見についてセカンド・オピニオンを求めたり、診察・治療を受ける機会が奪われ、取り返しのつかない事態にもなりかねない。


医療データは本人に帰属するものであり、検査機関のものではない。憲法で保障された知る権利、自己に関する情報をコントロールする権利(憲法13条、21条)に基づき、被験者は検査結果の開示を受ける権利がある。


検査の委託を受けた医療機関が保有データを開示する義務を負うことは、個人情報保護法25条および「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」[6]から明らかであり、また厚労省の「診療情報の提供等に関する指針」には「医療従事者等は、患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合には、原則としてこれに応じなければならない。診療記録の開示の際、患者等が補足的な説明を求めたときは、医療従事者等は、できる限り速やかにこれに応じなければならない」と明記されている。[7]


検査結果(エコー画像)を本人ないし保護者に見せて、希望があれば説明を行うとともに、本人または保護者の求めがあれば、情報公開のような手続をとることなく、すべての検査結果資料をいつでも開示できるようにすべきである。また、将来にわたる経過観察のための比較資料として長期にわたり保管するべきである。[8]


5 甲状腺検査を2年に一度しか行わないという県の方針に対し、基礎自治体のなかには、追加的な検査を実施しようとする自治体もあるが、県は、「個人情報」を理由に、基礎自治体に対しても検査データをシェアすることを拒絶している。


そして、こうした追加的検査に対する公的な資金の援助もなされていない。これでは住民の切実な要求を受けて、基礎自治体が甲状腺検査を行う事も極めて困難である。


6 いま求められているのは、健康影響に関する透明性のあるモニタリングを継続して、住民の健康被害を予防し、早期に発見して適切な治療を行うことである。

そして、検査結果を速やかに本人に提供して、身体の状況に関する情報へのアクセスを確保することである。

ところが、現在の福島県の検査体制は、こうした要請に反して、住民から医療・診察を受ける権利を奪い、自己の身体に対する情報へのアクセスを阻害している。

被ばくの影響を長期間にわたりモニタリングして早期の治療につなげていくため、検査体制の抜本的な改善が必要である。

HRNは、福島県に対し、


1 子どもに対する甲状腺検査については、「早期発見」「早期治療」のため、少なくとも1年に1回の検査を実施すること、とりわけ嚢胞、結節の所見の見られたケースについては早急にその体制を確立、実施すること


2 甲状腺検査を成人にも拡大するとともに、甲状腺検査に加えて、血液検査・尿検査も実施すること


3 甲状腺その他の県による検査結果(血液検査・甲状腺エコー画像等)を被験者本人または保護者に渡し、希望があれば説明を行うこと


4 甲状腺等の検査結果は、将来にわたる経過観察のための比較資料として長期にわたり保管し、本人または保護者の求めがあれば、情報公開のような手続をとることなく、すべての検査結果資料をいつでも開示すること。また、検査対象者が検診を受ける自治体、医療機関に対しても、データを共有できるよう措置をとること[9]

国に対し、

1 原発事故周辺住民の健康に対する権利を守る責務を負う立場から、国の責務として、住民の健康診断、検査、医療に関する方針を早急に確立すること。その際に国際的な知見やチェルノブイリ事故における当事国の医療政策のグッドプラクティスを取り入れること


2 甲状腺検査等の健康管理検査に関する検査結果を本人に開示する指針を公表し、県に指導すること


3 国として、県の健康調査に関与し、上記福島県に対する要請事項に基づいて抜本的な検査体制・是正、拡充を求めること


4 福島県内の市町村が独自に実施する甲状腺検査・内部被ばく検査等の検査体制確立に財政援助を行い、また、全国に甲状腺検査等に関する拠点病院を確保することを通じて、原発事故の影響を受けた市民が居住地の如何に関わらず、少なくとも年に1度は甲状腺検査・内部被曝検査等の必要な検査を無料で受けられるように財政援助すること


山下俊一「県民健康管理調査」検討委員会座長(福島県立医科大学副学長、同大学放射線医学県民健康管理センター長)に対し


1 日本甲状腺学会員に対する通知文書(2012年1月16日付)を公的に撤回すること

を求める。


以上はいずれも、人々の健康に対する権利(憲法25条、社会権規約)を保障するために重要な事項であり、速やかな改善・実施を求める。



以 上


                                               


[1] http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/koujyou.pdf


[2] 血液・尿検査は、現状では避難地域等限られた地域に居住する住民にしか実施されておらず、尿中セシウムの検査は実施されていない。http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/kenkousinsa.pdf


[3] そのうち、多くを占めるのは、南相馬市立総合病院と民間のひらた中央病院である。http://www.wa-dan.com/article/2012/06/post-830.php


[4] このうち、5.1㎜以上の結節を認めた者は 184人0.48% 、5.0㎜以下 は201人 ( 0.53%) 、20.1㎜以上の嚢胞を認めた者 は1人(0.003%)、 20.0㎜以下の嚢胞を認めた者は、13,384人 (35.1%)であったという。http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/koujyosen-ketuka2403.pdf


[5]毎日新聞報道http://news.livedoor.com/lite/article_detail/6890172/, HRNの福島県庁への問い合わせ(2012年8月28日)


[6]http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/170805-11a.pdf


「医療・介護関係事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示を求められたときは、本人に対し、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。」(30P)


「開示等の求めの方法は書面によることが望ましいが、患者・利用者等の自由な求めを阻害しないため、開示等の求めに係る書面に理由欄を設けることなどにより開示等を求める理由の記載を要求すること及び開示等を求める理由を尋ねることは不適切である」(35p)


[7] http://www.med.or.jp/nichikara/joho2.html、医療法1条4も参照


[8]医療記録は医師法24条により診療録(いわゆるカルテ)は5年間の保存義務が課され、また医療法21条により、診療録以外の病院日誌、処方箋、手術記録、エックス線写真等は、2年間の保存義務が課されている。今回の超音波検査(エコー検査)はエックス線写真等に属する医療記録であり2年間の保存義務がある。


[9] 個人情報保護法23条との関係については、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」において、同意を得るための措置等が詳述されている。http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/dl/170805-11a.pdf


2012年9月 2日 (日)

ここにも立ち上がる人たちがいる。カンボジア人権調査報告会(9月4日)を開催します。


6月に行ってきたカンボジア調査。土地をめぐって
深刻化する人権侵害について報告書をようやく公表しました。
そして、9月4日には、報告会も開催しますので、是非
よろしかったらいらしてくださいませ。

実はこの調査で、14歳の女の子が軍によって殺害されるという事件
の調査をしました。その際、ADHOCというカンボジアでは最も古く、
温泉で地道な仕事をしているNGOがサポートをしてくれ、現地に
一緒に行ってくれました。そしてその一緒に行ってくれた方が
この調査に行った土地紛争について、重罪犯をほう助した罪に
問われています。
土地を奪われた人たちのサポートをした人権活動家が刑事訴追
される、というのは深刻な事態です。この問題についても
私たちはステートメントを出しています。

この問題が緊迫するので、急きょ、現地からの強いリクエスト
を受けて、私も今週カンボジアに短期間出張することになりました。

事態を変えるために役割を果たせれば、と思っています。

昔から住み慣れた土地を乱暴に追い立てられる人たち、
あまりにも理不尽なことがカンボジア全土でひろがっていますが、
抵抗する人たちも増えています。不正義・権利侵害に
立ち上がる人たちが増えているのに対し、政府側は、
強権的に解決しようとしています。

でも、人々の動きはとても力強く、ちょっとしたことでは
鎮圧されそうもありません。
その姿は、アラブの春や、ビルマの民主化、日本の脱原発
の運動とも重なるような姿です。
ポルポト時代の記憶から、権力に対して強い恐怖を抱いて
口を開くことを怖れていたカンボジアの人たちが変わりつつ
あるのに感銘を受けています。
その中心に若い女性たちがいることも、とても素晴らしい
ことなのです。

是非、以下をご参照ください。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  カンボジア現地調査報告会
      「人々から奪われる土地、続く人権侵害」
                   ~カンボジア連続セミナー~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

いま、カンボジアでは、「開発」の影で、多くの人々が生まれ育った
かけがえのない土地を奪われ、行き場を失っています。

土地開発の過程で開発対象となった土地を居住・耕作していた
人々が強制的に立ち退きを迫られ、住む場所や生活の拠点を
奪われるケースは、年々増加しています。

不本意な強制立ち退きに対する不満を募らせた人々は抗議行動を
全国各地で展開、ところが、カンボジアではこうした住民の抗議に対し、
強権的な手段で応じ、不当な逮捕、拘禁や、人権活動家への脅迫、
超法規的な殺害まで報道されています。

東京を本拠とする人権NGOヒューマンライツ・ナウは、2012年6月に
このカンボジアにおける人権状況に懸念を深め、事実調査ミッションを
派遣しました。

人々はいかにして土地を奪われたのか、そしてその後に待ち受けて
いたものは何か、事実調査をもとに報告させていただきます。
そのうえで、いかなる法的な解決が実現すべきか、日本として
果たし得る役割は何かについて議論していきたいと思います。


日時:2012年9月4日(火) 午後6時半から8時

場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階
    コラボレーションルーム1

司会:佐藤安信氏(東京大学教授)

講師:伊藤和子氏(ヒューマンライツ・ナウ事務局長・弁護士)
    ほか HRNカンボジアチーム

コメント: サー・ソチア氏(宇都宮大学)

コメント:外務省・JICA関係者(予定)


≪主催≫特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ

≪共催≫東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム
       同グローバル地域研究機構持続的平和研究センター

≪後援≫東京大学持続的開発研究センター
       同 アジア地域研究センター
      難民移民寄附講座 CDR
      カンボジア市民フォーラム(予定)

≪資料代≫500円


【参加申込】
ヒューマンライツ・ナウ事務局まで、メール(info@hrn.or.jp) または
FAX(03-3834-1025)にて、「9/4 勉強会参加希望」の旨と、氏名、
連絡先などを記載の上、お申込み下さい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆カンボジア調査報告書
    「人々から土地が奪われている」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

カンボジアでは現在、「開発」の影で、多くの人々が生まれ育った
かけがえのない土地を奪われ、土地・居住権を奪われる人口が
年々増加しています。そして、土地の強制立ち退きに抗議する
住民たちに対する公権力の人権侵害も深刻化しています。

HRNは、人権侵害を調査するため、2012年6月、事実調査ミッション
をカンボジアに派遣、事実調査の結果に基づく約60ページに
わたる調査報告書を公表いたします(2012年8月22日)。

全文は以下URLよりご覧いただけます。

カンボジア調査報告書「人々から土地が奪われている」
http://hrn.or.jp/activity/topic/post-162/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆声明:カンボジア
 「人権活動家Chan Soveth氏に対する不当な訴追に抗議する」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1995年以降カンボジアで一貫して市民のために平和的な人権
活動を展開してきた人権NGO・ADHOC(The Cambodian Human
Rights and Development Association)の上級調査員である
人権活動家Chan Soveth氏が、政治的意図に基づく訴追の
対象となっています。

HRNは、人権活動に対する国家による意図的な攻撃として、
深刻な懸念を表明し、本日ステートメントを公表いたします。

全文は以下URLよりご覧いただけます。

カンボジア:人権活動家Chan Soveth氏に対する不当な訴追に抗議する。
http://hrn.or.jp/activity/topic/chan-soveth/

知らなかった! みんなは知っているらしい、健康維持のセオリー

久しぶりに出かけたエステティックサロン。
実は某Tサロン、最寄駅の駅前にあるので、
むかしからときたま顔を出すのです。

確かにマッサージよりちょっと割高ですけれど、
疲労回復や全体のリラクゼーション効果の点で
効果があります。
全身をみてもらうので、健康診断やマッサージ
より、自分の体の状況を的確に把握して
合理的にアドバイスしてくれるので、すごい。

身長、体重だけでなく、水分、筋肉、脂肪なども
はかってその推移も分析してくれるし、身体のあらゆるツボにも
直接さわるので、問題の所在をつきとめられるんですよね。
(今日唯一ほめられたのは、筋肉が去年より増えている
ことで、普通は年々筋肉が減るらしいので、自分が
老化に抗してがんばっていることがわかり、そういうのは嬉しい)。

エステサロンの担当の人と話していると、
「美」をとても大切にしているので、そうした
微妙なひとつひとつの積み重ねを無視して
美に悪いことばかりして生活している私は
ちょっと反省してしまう。

とにかく、今日は、私の体があまりに「お疲れ」で
目に余る状況だったようで(自覚症状ないのに)
たいそう心配されてしまった。そのため、
本当にいろいろと相談にのってくれたので、
新しい慧眼がありました。

まず、自覚症状がないけれど、肩がとてもこっていて、
それが全身に悪影響を及ぼしているとのこと。
そのしくみがよくわかった!

私の場合、よほどのことがないと肩こりの自覚症状が出ないので、
なんとそのことを自慢していたくらいなんだけれど、
それがけしからぬ態度だったみたい。
かえってマッサージにもいかないので解消されないし、
全身の循環を悪くしているようです。
いろいろと思い当ることが多くて、「そうだったのか!」
と思うことばかり。

でも、だからと言ってエステで肩こり解消も含むコースを
受けるのは高いので、自宅でできることを考えてみた。

以下、多くの方はご存知のことと思いますけれど、私は知らなかったので、
忘れないようにここにアップしておきたいと思います。

この5つの肩こり解消法。

http://allabout.co.jp/gm/gc/302035/

最後に出てくる肩回し
というのが一番よさそう。
それをご紹介しましょう。

1. 右ひじを曲げ、右手を右肩につけます。

2. 右肩から右手が離れないように意識したまま、右ひじで
できるだけ大きな円を描きます。
すると自然と右肩が回っていますよね。
それと同時に肩甲骨も動かすことが出来るため、
肩甲骨周囲の筋肉への血行が改善されていきます。

3. 数回ヒジを回したら、左側も行ってみましょう。


もうひとつはリンパのマッサージ。特に鎖骨リンパ
と言うのが循環の要諦だ、という仕組みを今日はじめて
知り、目からうろこ!

http://lymphmassage.web.fc2.com/

いわく 

リンパの最終出口は、鎖骨の下のリンパ節です。
体じゅうのほとんどのリンパ(右腕以外)は、左鎖骨の下で静脈に合流し、排泄されるといわれています。
体じゅうのリンパが集まるということは、とても詰まりやすいということです。

リンパマッサージを行う際には、最初にこの鎖骨の下にあるリンパ節をほぐすようにして流しておきます。これは、「鎖骨のリンパ節を空ける」という表現をします。
顔へのマッサージ、足へのマッサージ、お腹へのマッサージ、どの部位を行う時にも最初に鎖骨を空けてください。
リンパの通り道を順番にキレイにしていくイメージで行ってください。
(引用終わり)


どうも、私の場合肩こりが鎖骨リンパに悪影響を与えている
らしく、そこを解消するのが、美容と健康にはとってもよいらしい。

これまでみんなからいろんなことを断片的に聞いてきたけれど、
今日ほど目からうろこだったことはない。

それにこうしたことをきちんとやっていれば、免疫力もあがって
ガンなどの病気も予防できるのでは、と思うのだ。

最近、健康はお金では買えないとつくづく思うし、
体にはきちんと手をかけてあげるべきなんだな、と思う。

これからも美と健康を追及する方々の話に耳を傾けつつ、
エステにあまりお金を使わなくてすむやり方を賢くみつけて、
病気を防ぎ、健康を維持していきたいものです。

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