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2012年4月

2012年4月22日 (日)

えん罪と死刑制度


無実の死刑囚・奥西勝氏に関する私のインタビューがアムネスティの国際ニュースに掲載されています。
http://www.amnesty.org/en/news/japan-40-years-death-row-2012-03-27
私はいかに奥西死刑囚がやってもいない罪について自白をさせられ、不当な判決を受けたのかを訴えました。
奥西死刑囚は86歳です。早急に救い出さなくては、取り返しのつかないことになります。
現在私たちは名古屋高裁の決定を待っており、裁判所に一日も早い再審開始決定を求めています。
是非お力を貸してください。

もう一人の無実の死刑囚・袴田巌さんについて、DNA鑑定が異なるという鑑定結果が明らかになりました。
ついに再審無罪に近づいたのです。
弁護団は苦節何十年、本当に献身的に活動されてこられました。素晴らしいことで心から祝福したいと思いますが、袴田死刑囚にこの国はなんということをしたのか、と思うと、怒りを禁じ得ません。

一日も早く二人とも生きて釈放されること、そしてこの恐ろしい死刑事件における誤判の検証がなされることを求めたいと思います。

ところで、さきほどのニュースでは、少し驚いたことに、日本における死刑廃止という課題の困難性を私が率直に話した部分をアムネスティがコメントとして取り入れていました。
それは、地下鉄サリン事件以降日本人が治安について不安感を増すようになった、
「この事件の後、人々は非常に不安になり、犯罪への態度を硬化させた」と、「誰かを殺したのなら、それは死刑に値すると考える人が多い」というコメントでした。

これは「なぜ死刑が維持されていると分析しているのか?」というアムネスティ国際事務局からの質問に答えたところが切り取られたものです。
こんな話をしたのは、日本の人々の心に届くような死刑廃止論をどうしたら展開できるか、私自身、いつも考えているからです。

先日、死刑問題に関する国際シンポに少しだけ参加したのですが、欧米の論者の議論はやや抽象的で日本人の心に届きにくい気がします。私がパネリストとなって欧米の方と一緒に話していてもそれは感じることがあります。

ヨーロッパの人たちは死刑を廃止するのは「生命に対する権利」だと言います。
しかし、イラクに侵略して大量の住民を殺戮したり、リビアに武力行使をしてカダフィを処刑する手助けをしている国の人から、自分たちの国は生命の権利を守るために死刑を廃止した、「日本は残虐な死刑制度をよくも維持できるものだ」と言われると、ちょっと違うような気がします( 自国では死刑をなくしたと胸を張りつつ、他国に侵略して人を殺害しておいて「付随的被害は仕方ない」なんていうとしたら、偽善者ですよね)。

死刑制度を廃止したいのは私も同じですが、説得力のある議論を尽きつめたいと思っています。

死刑に対する私の意見は、
http://hrn.or.jp/activity/topic/-2-1126/

に書いていますが、死刑制度の下でのえん罪がありうる可能性がある以上、絶対に許されない、という立場です。
もう一つの理由は、国が人を殺す、という殺人行為に手を染めること自体が許されないのではないか、
人の命を奪うという絶対にやってはならないことを国が行っており、主権者である私たちがそれに手を貸している、
それはほかならぬ権力による殺人である、という構造自体に到底賛成できない、

ということです。
被害者の感情等、様々な問題について丁寧に冷静に議論する機会がこの国ではとても少ない、と思います。
廃止論者が、説得すると言うよりは「言い負かせる」ようなドグマ的な議論に終始してしまい、説得力のある国民との対話を創りだせていないのではないか、と危惧します。丁寧な国民的議論が必要だと思います。


今週末の過ごし方。

早くも今週末は、GW直前の週末ですね。
今年の冬は忙しすぎて、「春を待つ気持ち」という感じでなく、心の準備もないのに春が来ちゃった、という感じでしたけれど、それでも春というのは世界を楽しく輝かしい雰囲気で制圧しちゃう。
自然と人を春の気持ちにさせてしまいますね。
さて、今週末はアースデーです。
一番爽やかで良い季節にAnother world is possibleということで開催するイベントです。
私はアースデーがとても好き。
ヒューマンライツ・ナウも出店していますので、是非アースデーにお立ち寄りの方は訪ねてみてください。http://www.earthday-tokyo.org/

でも、21日午後に私が向かったのは本郷の東京大学(アースデーはスタッフ・ボランティアさんががんばってくれてます。明日は行きます!) 。
ウクライナ&ベラルーシからきたお医者さんの講演会@東大。とても貴重なお話でした。
日本の原発事故後の対策は両国に比べてあまりにお粗末なので、議論していても恥ずかしかった。
保養について「民間などで1,2日がほとんど」というと、信じられないという様子で「ウクライナでは30~40日毎年公費で汚染されていない地域に保養します」と言われたetc。
医師たちがデータを示して政府を説得し、制度を動かしてきたそうです。
科学者の良心を感じました。でも前提となる医学統計調査が絶対的に重要です。
HRNが連携している東大の原発災害支援フォーラム(TGF)の方々や、文献を一方的に勉強させていただいていた憧れの京大の今中教授、ひさびさに、琉球大の矢ケ崎克馬教授や岐阜の松井英介医師にもお会いできました。
また、主催者として奮闘されていたのは、東大の中東問題の専門家の長沢先生で、パレスチナの人権問題でお世話になった方。
矢ケ崎先生と松井先生は、「市民と科学者の内部被曝研究会」を立ち上げられたのですが、本当に素晴らしい献身的な活動をされています。
今後も連携していこう、ということになりました。

2012年4月21日 (土)

新しい環境、新しい毎日

法律事務所の開設にあわせて、このたび通勤経路を全面的に変えることにしました。
これまで12年間『最寄駅」としてきた駅から、実は一番近い駅を「最寄駅」にすることに。

なんといっても通勤ストレスがとても軽減されました。
通勤ストレスが大幅に軽減されるというのはなんと素晴らしいことか、と思います。
それに、車窓からの景気がとてもきれい。特に、春ですので、素晴らしいのです。
桜、そして紫陽花も素晴らしいと聞いています。
新しい「最寄駅」の自転車置き場や、バスの経路、深夜まであいている食料品の品ぞろえも確認済み。
あとはいろいろとある自転車のルートを試してみる予定です。

裁判所から事務所へのルートも斬新に変えてみました。
乗り換えで途中下車する駅も魅力的なスポットが多く、ランチなども楽しめそうです。

3年毎に新しい学校に進学したり、毎年クラス替えがある子どものころとは違い、大人になると、環境が一新することってめったにない。だからこれはなかなか新鮮で楽しいのです。

ただ、事務所周辺の「おいしいもの」の開拓はこれから。御徒町みたいに、落ち着ける穴場のお店、隠れ家的お店、お気に入りのお店がみつかるといいのですが、まだ魅力を開拓中です。

2012年4月17日 (火)

ミモザの森法律事務所のHP

4月16日、いよいよ法律事務所「ミモザの森法律事務所」をスタートしました。
と言っても、まだカタログで机を買ってみたり、という感じで、これからつくっていく感じなのです。
事務所で法律相談が不自由なくできるのは来週、それまでは弁護士会などで相談業務をさせていただきます。

でも新しい環境はとても楽しいですね。スペースも増えましたし。
この機会に最寄駅も変更して、通勤経路も変えてみて、とても新鮮です。

さて、ホームページを見切り発車ですが、作成しました。まだ検索エンジンにひっかかりませんが、是非応援してくださいませ。

http://mimosaforestlawoffice.com/works.html

2012年4月14日 (土)

ミモザの森法律事務所の開設にあたりまして。

      4月16日から、「ミモザの森法律事務所」を開設・スタートいたします。

  事務所開設のご挨拶をアップさせていただきます。是非よろしくお願いいたします。

 春爛漫の季節となりました。皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

  皆様には、オリーブの樹法律事務所において、またその以前より、多大なご厚情をいただき、心より感謝申し上げます。

  このたび、私たちは、新事務所「ミモザの森法律事務所」を開設いたしました。

これまでの活動や皆様からのご支援を礎としつつ、秋葉原に新しい地を得て、これまでより一層、市民の皆様にとって身近で親身なリーガルサービスを展開してまいりたいと存じます。

  新しいオフィスは、私たちが設立当初より関与している国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ、そしてこれまでご一緒に活動をさせていただいてきた様々なNGOのオフィスと同じビルに位置します。

  今後もこうした市民の活動と連携を深め、市民と法律家の架け橋として、人権擁護と平和・よき環境の実現のために一層旺盛に活動を展開していきたいと考えております。

  新事務所の名称となりました「ミモザ」は、真の友情、愛、堅実などを花言葉とし、

3月初旬の国際女性デーの時期には世界各地で女性たちがこの花を携えて集います。新事務所が女性をはじめ、権利の実現を求める方々が集い、支えを必要とする方々が憩える「森」となればと思います。

  新事務所は、秋葉原の新名所になると思われる「ものづくりの街」にほど近い場所にあり、若いクリエーターの方々の活気に満ちたエリアにあります。

お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください。

  今後とも皆様の変わらぬご厚情、ご指導をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

           2012年4月吉日

  事務所名 ミモザの森法律事務所

      業務開始日  2012年4月16日

   2012年7月下旬ごろにお披露目の会を予定しております。

   弁護士  伊 藤 和 子

   弁護士  田 部 知江子

 

 事務所住所  〒110-0005 

 東京都台東区上野5-3-4クリエイティブOne秋葉原ビル7階

      電 話  03-5807-3184

   FAX  03-5807-8303    

2012年4月13日 (金)

HRNオフィス移転& 新法律事務所開設

春の民族大移動、というほどではないけれど、オフィスの引っ越しが目前に迫っています。

ヒューマンライツ・ナウ(HRN)のオフィスは秋葉原にお引っ越し、来週月曜日から業務開始します。 この新しいビルはすでに日本国際ボランティアセンター等たくさんのNGOが移動完了していて、秋葉原の新しいNGOビルが誕生という様相です。これからの連携が楽しみです。

これにあわせて、私たち(私&田部知江子弁護士)も、新しい法律事務所を開設します。

その名前が、「ミモザの森法律事務所」に決まりました! 「ミモザ」といえば、女性の地位向上とか、愛、友情などが花言葉で、春先に咲く心躍るような花です。名前負けしないよう、是非がんばっていきたいと思います。

2012年4月 1日 (日)

国際シンポジウム「世界の捜査官が語る取調べの可視化」

今週、こんなシンポジウムを開催することになりました。私はアメリカの捜査官の担当をしていますが、是非一人でも多く、日本の捜査改革の議論に関わっている方々と、共有させていただきたいお話しが多いです。
是非ご参加ください。


国際シンポジウムin東京「世界の捜査官が語る取調べの可視化―可視化で捜査実務は変わったのか」
http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2012/120404.html

自白の強要によるえん罪事件が相次ぐ日本で、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)の実現が今こそ求められています。日本の捜査官たちは、取調べの可視化によって捜査が進まなくなる、被疑者が本当のことを言わなくなる、などと主張していますが、本当でしょうか?

世界各国では、日本に先立ち、取調べの可視化が広がり、既に可視化を実現した国や州、警察署の取組があります。かれらの経験は、日本の捜査官の懸念を吹き飛ばします。取調べの可視化は捜査実務をどう変えるのか、可視化のもとでの捜査はどう行われているのか、各国の犯罪捜査の第一線に立ってきた捜査のベテランたちが語ります。

皆様のご参加を期待しています。

なお、4月5日に大阪で、4月6日には広島でも、一部ゲストスピーカーをお招きしてシンポジウムを開催します。

大阪シンポジウムはこちら


広島シンポジウムはこちら
【国際シンポジウムin東京】
日時 2012年4月4日(水)13時~17時(12時30分開場)
場所 弁護士会館2階講堂クレオ(会場地図)
東京都千代田区霞が関1-1-3(地下鉄霞ヶ関駅B1-b出口直結)
参加費等 参加費無料、同時通訳あり、事前申込制(※チラシ参照)
内容(予定)
■各国からの報告
<アメリカ>
・ジョナサン・W・プリースト氏(元コロラド州デンバー警察署警察官)
・トーマス・サリバン氏(元イリノイ州連邦検察官・弁護士)※ビデオ出演
<イギリス>
・ロジャー・ミルバーン氏(元英国メトロポリタン警察)
<オーストラリア>
・デイビッド・ハドソン氏(ニューサウスウェールズ州警察)
<韓国>
・李 東熹氏(韓国国立警察大学教授)
<日本>
・青木孝之氏(駿河台大学法科大学院教授)
・小坂井 久氏(弁護士)
■パネルディスカッション
申込方法 添付のチラシの所定欄に必要事項を記入のうえ、下記宛にお申し込みください。
(FAX:03-3580-9920)
チラシ・参加申込書(PDFファイル;969KB)
問合せ先 日本弁護士連合会法制部法制第二課
TEL:03-3580-9876/ FAX:03-3580-9920
主催
日本弁護士連合会
共催
関東弁護士会連合会、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会、近畿弁護士会連合会、大阪弁護士会、中国地方弁護士会連合会、広島弁護士会

恩師のスピーチ

大学時代の恩師といえば、法社会学の渡辺洋三先生でしょうか。岩波新書の「法とは何か」を書いていらっしゃいます。
でも、大学時代は真面目に勉強しなかったため、恩師といえば、弁護士になってから留学したニューヨーク大学ロースクール時代の恩師が思い出されます。
とてもスケールの大きなすごい人たちが多く、がつーんとやられましたので、大きな影響を受けたのです。

まず、日本人留学生にとても親切なフランク・アップハム先生 Professor Frank Upham
今でもお世話になっています。

次に人権関係の先生たち、本当にとても尊敬してやまない先生方で、こうした先生たちから教えていただく機会を得て、なんと幸運だったか、と思います。

 おとひりは、留学したての頃に、国際人権法を基礎から教えてくれたのは、Oliver De Shutter教授(ベルギー)で、現在国連の「食糧に対する権利」に関する特別報告者をされていて、とっても革新的で素晴らしい活動をされています。

 そして、やはり、国際人権法を教えていただいた世界的に著名なPhillip Alston教授(オーストラリア出身)です。
国連社会権規約委員会の議長をされていて、その後、国連超法規的殺害に関する特別報告者をされていた方で、国際的な人権の世界のスターと言われる論客です。
 フィリピンの超法規的殺害に関しては、ご一緒に活動させていただいた経験もありますし、その後、アフガニスタンにおける米軍によるアフガニスタン市民に対する無差別爆撃による殺戮を国連で告発した、勇気ある方です。
  先日も、ニューヨーク出張の際に、アドバイスを求めたのですが、相変わらず颯爽としていて頭脳明晰で、また先生の姿勢に改めて大変感銘を受けてしまいました。
  任期が終わっても国連の人権機関が正しい活動をするようにいつも気にかけて配慮されていましたし、私たちのNGOの活動についても非常に気にかけて下さっていました。
  ちょうどリビアに関する国連の分厚い報告書を今から読むところだ、と言われていましたが、 「こうした文書を全て読みこなすのは私にとっても大変ですが、しかしすべて自分でやらなければならないこと。しかしあなたは母国語でないのでもっと大変でしょう」とおっしゃっていて、世界の頭脳も毎日努力しているのだ、ということがわかり、エネルギーを注入されました。

 そして、刑事裁判・死刑について徹底的に教えていただいたのがBryan Stevenson教授です。とにかくこの先生はすごい。
 本当に困難な、貧しいコミュニティ、黒人に対する刑事弁護、死刑事件弁護、冤罪事件弁護という分野で働き続ける献身性、勇気、絶望的ともいえる状況で、何度も敗北に直面し、困難を前にしてもやり続けるその信念など、本当に尊敬以外の言葉が見当たらないです。
 最近先生が出演されたテレビでのスピーチが大好評であり、スタンディング・オベーションが鳴りやまなかったそうです(この映像)。

http://www.ted.com/talks/bryan_stevenson_we_need_to_talk_about_an_injustice.html

 とても素晴らしいので、是非見てください。私も実は、ちょっとしんどい時はこの先生のスピーチを聞いて活を入れています。

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