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2011年12月 5日 (月)

原子力賠償紛争審査会に意見書

重要局面です!

ヒューマンライツ・ナウは、2011年12月1日付けで、下記要請書「いわゆる「自主避難者」への賠償責任のあり方について」を発表いたしました。

http://hrn.or.jp/activity/area/cat147/post-127/

この要請は、原子力損害賠償審査会事務局ならびに審査会の全委員向けに郵送いたしました。

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いわゆる「自主避難者」への賠償責任のあり方について


2011121

特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ


原子力損害賠償紛争審査会において、いわゆる「自主避難者」に対する賠償責任にあり方が議論されており、126日には一定の方向性を示す予定とされている。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、避難指示の有無にかかわらず、自然放射線を除く年間被ばく量が1ミリシーベルトを超えるすべての地域に住む住民への住民保護のための措置を求め、なかでも、上記地域に住むすべての人々に選択的な「避難の権利」を認めるべきと主張してきた。


自主避難者に対して賠償を認める議論はその意味で評価できるものの、問題は賠償の内実である。そこで、下記のとおり意見を述べる。




1. 対象地域について


審査会は、「自主的避難等対象区域」を設定するとするが、

賠償を認めるべき対象地域は、少なくとも自然放射線を除く年間被ばく量が

1ミリシーベルトを超えるすべての地域を包摂すべきである。


国際放射線防護委員会(ICRP)は、公衆被ばくの実効線量限度を1mSv/年[1]とし(最近では2007年勧告(Pub.103))日本は自然放射線を除外する条件で[2]ICRP基準を国内に取り入れている。こうした従前からの基準を緊急時であるからとして変更し、被害者住民にその負担と損害を押し付けることは正当ではない。


公衆被ばくの実効線量限度1mSv/年という国際基準に照らせば、これを上回る放射線汚染下において、住民が健康被害を回避するために避難することは正当であり、これらの住民の避難に基づく費用は、相当因果関係に立つ損害であって決して個人が事故の犠牲と負担を甘受すべき損害ではない。


チェルノブイリ原発事故後、旧ソ連、ロシア共和国、ウクライナ共和国などにおいて、事故による年間被ばく量が5ミリシーベルトを超える汚染地域が移住地域と指定され、年間被ばく量が1ミリシーベルトを超える地域の住民が国の援助と補償に基づく避難を受ける権利を認められ、食糧、医療、生活手段の援助がなされている。今回の事故における賠償措置が旧ソ連等の措置を下回る事は許されない。


「自主的避難等対象区域」は、自然放射線を除く年間被ばく量が1ミリシーベルトを超えるすべての地域を包摂すべきである。




2.賠償の期間について


除染等により、自然放射線を除く年間被ばく量が1ミリシーベルトを下回るまでのすべての期間の損害を対象とすべきであり、事故から一年などという区切りはすべきでない。

 

中間指針追補(案)(第17回審査会配布資料)は、避難に伴う賠償の認められる期間を「第二ステップ終了後」「事故から一年」などに限定しようとしているが、期間を限定する正当な根拠は何ら見いだせない。


自主避難に対する賠償を認める根拠は、公衆被ばくの実効線量限度1mSv/年という国際基準を超える環境において人々に取り返しのつかない健康リスクが発生する危険性があるため、住民がこうした健康被害を回避するために避難することに正当性があるからである。賠償の打ち切りによって、未だ健康被害の危険性が除去されていない地域に、住民が帰還を余儀なくされるようなことがあってはならない。


また、今後も、被曝リスクの増大と健康被害の拡大等の状況に鑑み、自主的避難をする人々が益々増えると予想され、また明らかに避難を推奨して健康被害を守るべきケースは多い。こうした中、賠償の期間を限定する議論は被害者の切り捨てにほかならない。


従って、除染等により自然放射線を除く年間被ばく量が1ミリシーベルトを下回るまでの間、避難することは正当であり、賠償は、除染等により自然放射線を除く年間被ばく量が1ミリシーベルトを下回るまでのすべての期間とすべきである。




3.賠償すべき損害額について


避難者に対しては避難指示を受けた者と同様、避難に要するすべての費用・損害の賠償が認められるべきであり、今後避難する人も同様とすべきである。滞在者に対してもその地域で暮らすことに伴う損害に対する相当の賠償がなされるべきである。


中間指針追補(案)は、「自主的避難者と滞在者の損害額は基本的に同額とすることが妥当」とする。しかし、一律に同額とすることは、損害を引き下げ、避難と相当因果関係に立つ損害のうち一部を避難者がその犠牲と負担で甘受しなければならない危険性をはらむ。


チェルノブイリ事故後のロシア法等の対応においても、避難の権利区域(追加放射線量が1ミリから5ミリシーベルトの範囲の地域)において避難を選択した者には避難に基づく全ての費用と生活費の一部を国が賠償し、避難を選択しなかった者には月額の賠償金を国が賠償するとともに安全な食糧供給や手当支給をしており、同額の賠償ではなく、被害に即したきめこまかい賠償措置が講じられていることを留意すべきである。


よって、自主的避難者に対しては避難指示を受けた者と同様、避難に要するすべての費用・損害の賠償が認められるべきである。そして、現在避難している人だけでなく今後避難する人も同様の賠償を認めるべきである。


また、滞在者に対してもその地域で暮らすことに伴う損害に対する相当の賠償がなされる必要がある。事故の深刻性と放射性物質による汚染の健康への深刻な悪影響に鑑みるならば、低額な慰謝料支払いの決定により被害を切り捨てることは許されない。


                                 以 上


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