特捜取調べ全過程可視化へ!
嬉しいニュースです。
検察のあり方検討会議は残念な結果でしたけれど、そこから江田法務大臣がイニシアティブを発揮してくれました。
日本の刑事司法にとって大きな前進だと思います。特捜という分野が可視化されれば、他の案件についても可視化ができないわけはありません。
朝日新聞 2011年4月9日3時0分
http://www.asahi.com/national/update/0408/TKY201104080306.html
■特捜取り調べ「全過程」可視化試行へ 「1カ月以内に」
大阪地検特捜部の不祥事を受けた検察改革の一環として、江田五月法相は8日、東京、大阪、名古屋の各地検特捜部による容疑者の取り調べの録音・録画(可視化)を「全過程」でも試行するよう笠間治雄検事総長に指示した。これを受け、笠間総長は指示通りに、「一部」の試行に加えて、事件によっては全過程でも試行に踏み切ることを明らかにした。
最高検はこれまで、一部だけの可視化を試行する方針だった。しかし、法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」が3月末、試行は「全過程を含めて検討の対象とする」ことを提言していた。
江田法相は総長への指示後の記者会見で「『検討中』でやらない、というのではいけない。まず実現して下さいと言った。提言の一番きついところについて(検察に)球を投げた」と述べた。総長には、試行の準備を1カ月以内に整えて速やかに実施し、1年後をめどに有効性や問題点を検証するよう求めたという。
この後、笠間総長も記者会見を開き、「提言を受けて当然やらなくてはいけないと認識していた」と指示を受け入れることを表明。「全過程を録音・録画すると、どの程度、捜査に影響があるのかも検証しなければならない」と語った。
全過程の可視化をめぐっては捜査現場から「供述が得られず、真相の解明ができなくなる」という懸念が強いが、笠間総長は「積極的に取り組んでもらう」と語った。ただ、特捜部のすべての事件を対象にするのではなく、どの事件で全過程の可視化を試行するかは「ケース・バイ・ケース」と述べるにとどめた。
江田法相はまた、横浜、神戸、福岡などの地検にある特別刑事部が手がける独自捜査事件や、知的障害のある容疑者への取り調べでも、全過程を含む録音・録画の試行を3カ月以内に始めるよう期限を区切った。
検察庁法14条は、法相は個別の事件で検事総長を指揮できるほか、「検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督できる」と定めている。江田法相は、今回はこの「一般的な指揮」にあたるとしている。
江田法相はまた、公的諮問機関である法制審議会に諮問する形で、捜査・公判の在り方の抜本的な見直しを検討する場を今月中にも立ち上げる方針を明らかにした。(河原田慎一、小松隆次郎)
« 被災女性のための電話相談 | トップページ | シンシナティにて、伝説の人々とおあいして »
「刑事裁判・裁判員制度」カテゴリの記事
- 袴田事件など相次ぐ冤罪の教訓は反映されたのか。法制審・特別部会「事務当局試案」を読む。(2014.05.02)
- 袴田事件の再審開始決定、釈放へ (2014.03.28)
- 米国でえん罪に関する私の論文が発表されました。(2013.10.29)
- PC遠隔操作事件・無罪推定原則を無視した「人民裁判」的な容疑者報道が目に余る。(2013.02.15)
- 東電OLえん罪事件が示す刑事司法改革の課題- DNA鑑定・証拠開示に関する抜本的制度改革が急務である。(2012.11.12)