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2010年12月19日 (日)

裁判員制度下で死刑求刑・無罪判決の意義

12月10日、鹿児島夫婦強殺事件・死刑求刑に対して無罪判決が言い渡されました。

死刑か無罪かを争う究極の選択に対して、裁判員が下した判断は「疑わしきは被告人の利益に」の原則に徹した無罪判決でした。

私も以前より注目してきた事件で無罪判決になるかどうか注目してましたが、10日の朝にメディアからコメントを求められて、本当に無罪判決が出たということで驚き、そして感動しました。

裁判員制度の本当の意義は、争いのある事件で、無罪推定原則に従って、良識に従って事実を認定することにあります。私自身、裁判員には、市民として曇りのない目で、裁判官から独立して、「疑わしきは被告人の利益に」の原則を本当に貫いて、判断をしてほしい、とずっとメッセージを送ってきました。

それが、初めての無罪を争う死刑求刑事件で、現実に裁判員が無罪判決というかたちで判断を下されたことに、本当に敬意を表したいと思います。

これまで、ずさんな証拠収集でも裁判官は検察の立証を有効にチェックすることなく、そのまま追認・黙認し、有罪判決を下してきた例は枚挙にいとまがなく、それが今回の鹿児島の事件の立証でも端的に表れているわけですが、裁判員制度のもとでは、それでは通用しないことになります。

検察は、上級審で争うことなく、市民の判断に従い、市民から向けられた証拠収集活動への疑問を今後の教訓として、今後の捜査の在り方を真摯に再考すべきです。

本来巨額の税金から給与を受けている裁判官こそが憲法の番人として、無罪推定原則に従って認定をする責務を有しているのに、裁判員制度になるまではこのような事件について有効なチェックがなされなかったというのは重大な問題と言わなければなりません。

裁判官も今回の判決を教訓にする必要があるでしょう。

今回の判決は、死刑求刑の重大事件も、裁判員裁判で適切な判断がなしうることを示したリーディング・ケースとして、今後の裁判員裁判の参考として生かしていくことが大切だと思います。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101210k0000e040021000c.html

鹿児島夫婦強殺:被告に無罪判決 死刑求刑裁判員裁判で初

 鹿児島市で09年、高齢夫婦を殺害したとして、強盗殺人罪などに問われた同市の無職、白浜政広被告(71)の裁判員裁判で、鹿児島地裁(平島正道裁判長)は10日、無罪(求刑・死刑)を言い渡した。判決は「現場から見つかった指紋とDNA鑑定の一致だけでは、被告を犯人と推認するには遠く及ばない。他の状況証拠を含め、犯人と認定することは『疑わしきは被告の利益に』の原則に照らし許されない」と述べた。

 裁判員裁判の全面無罪は2件目だが、死刑を求刑された被告に対しては初めて。判決は「現場保存が完璧だったのか、真相解明の捜査が十分に行われたかも疑問」と捜査の問題を指摘した。市民感覚を反映した判決が、検察側の立証に疑問を投げかけた形で、今後の捜査や裁判に影響を与える可能性がある。

 最高裁によると、死刑求刑に対する1審での無罪判決は75年以降4件しかなく、今回は08年の水戸地裁土浦支部以来。

 被告側が全面無罪を主張し、「犯人」かどうかが最大の争点だった。検察側は、現場となった被害者宅の掃き出し窓のガラス片やたんすなどから採取した指紋と掌紋、網戸から採取した細胞片のDNA型が、いずれも白浜さんのものと一致したことを挙げ「被告が犯人でなければ合理的な説明は不可能」と主張していた。

 判決はDNAについて「鑑定は信用できるが付着場所が断定できない。過去に網戸を触った事実にとどまる」と認定。たんすの指紋については「被告が過去に触った事実は動かないが、今回の犯行時に付いたものとは認めきれない」と述べた。ガラス片の指紋も「割れた後に付いたとは断定できない」とした。

 判決は、指紋とDNAについて捏造(ねつぞう)や偽装の可能性を訴えた弁護側主張を否定。「被害者宅に行っていない」とした被告証言も「うそ」と判断したが、「その一事をもって犯人と認めることはできない」と述べた。すべての検討結果を踏まえて、「本件程度の状況証拠で犯人と認定することは許されない」と結論付けた。

 裁判は、11月1日の選任手続きから、裁判員裁判としては最長の40日間の日程が組まれた。11月17日の結審後、これも最長の14日間(予定)の評議があった。証人尋問は捜査員ら27人にのぼり、裁判員初の現場検証もあった。判決後、裁判員と補充裁判員の8人全員が地裁内で会見した。【川島紘一、黒澤敬太郎、銭場裕司】

 上級庁と協議 鹿児島地検

 鹿児島地検の江藤靖典次席検事は「内容を十分に検討し、上級庁とも協議したうえで、適切に対応したい」と述べた。

 裁判員裁判の無罪判決

 裁判員6人と裁判官3人の評議で有罪か無罪か意見が分かれた場合は、多数決で結論を決める。ただ、被告に不利な判断(有罪認定)は、裁判員だけではできず、少なくとも1人の裁判官が賛成する必要がある。無罪を言い渡した今回の判決は(1)過半数(5人以上)が無罪を支持した(2)無罪意見は過半数に達しなかったが3人の裁判官全員が無罪を支持した--の2ケースが考えられる。

 起訴内容

 白浜被告は09年6月18日午後4時半ごろから翌19日午前6時ごろまでの間、鹿児島市下福元町の蔵ノ下忠さん(当時91歳)方に侵入し=住居侵入罪、金品を奪う目的で忠さんと妻ハツエさん(同87歳)の頭や顔を金属製スコップで多数回殴り、殺害した=強盗殺人罪=とされる。

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