コンゴ 女性に対する暴力に立ち向かう
先月のジュネーブ人権理事会でも大問題になっていたコンゴ民主共和国における「紛争の武器」としてのレイプの横行。それに対して女性たちが立ち上がったという。大統領夫人が主導したということで政治的思惑もないわけではないだろうが、注目に値する動きですね。
こういう記事、ぜひもっと日本でも取り上げていってほしい。
※ なお、コンゴを含むアフリカ情勢については「ルポ 資源大陸 アフリカ(白戸圭一著)」(東洋経済新報社」が最近の私のお勧めです。
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/101023/mds1010231801002-n1.htm
年間数万人規模の女性がレイプ事件の被害者になるというアフリカ中部のコンゴ(旧ザイール)で、抑圧されてきた女性たちが自身の尊厳を求め自ら声を上げ始めた。コンゴでは今夏、反政府武装勢力による数百人規模の女性への集団レイプ事件が発生。さらに治安維持を目的に展開していた政府軍によるレイプや殺人事件までが発覚している。国連平和維持活動(PKO)のミッションも蛮行を食い止められないなか、女性たちは性暴力の停止に向け動きはじめている。(黒川信雄)
「われわれは犯罪への無関心に対し戦わなくてはならない。犯罪者には刑罰を与えなくてはならない。そして女性に再び尊厳を取り戻させるのだ」
フランス通信(AFP)によると17日、コンゴ東部の南キブ州で、1700人あまりの女性らがデモ行進を行い、長年続く女性への抑圧に反発の声をあげた。
反政府武装勢力が活発に活動を続けるコンゴ東部では、兵士による女性や子供らを狙った集団レイプ事件がたびたび発生している。今年7月30日から8月3日には、隣国ルワンダの反政府武装勢力や民兵組織の兵士らによる数百人の女性や子供に対する集団レイプ事件が発生。被害者らは村を占拠した兵士らにより、家族や隣人らの目の前でレイプされたという。
さらに同地域ではその後、住民を守るはずの政府軍により、女性へのレイプのほか略奪、殺人事件が発生していた事実が判明。国連のマーゴット・ワルストロム事務総長特別代表(紛争下の性暴力担当)は10月14日、「反政府武装勢力が事件を起こした地域で、今度は政府軍により同様の事件が引き起こされた可能性があるという事実は、想像することも、受け入れることもできない」と会見で語り、激しい怒りをあらわにした。
コンゴは2002年に内戦が終結。しかし東部では武装勢力の活動が依然として活発で、政情が不安定なままだ。
そのためPKOの国連コンゴ安定化ミッション(MONUSCO)が派遣され、50カ国以上の国々から世界最大規模の約1万8000人あまりの兵士や警官らがすでに展開されている。
2008年には、02~03年に民兵を率いて紛争に介入し、性的暴力を行ったとして人道に対する罪などの容疑でベンバ元副大統領がブリュッセルで拘束され、国際刑事裁判所(ICC)に移送された。19日、ICCはベンバ元副大統領が主張していた控訴棄却の訴えを却下し、ようやく裁判が行われることが決まり、暴力停止へ向けた国際的な取り組みも進められている。
それでも事態の悪化に一向に歯止めをかけられないのが実態で、国連も国際社会から「機能不全に陥っている」として非難を浴びている。
犯行の対象となる女性たちは家族を守るために犯行におとなしく従うことも少なくないという。拉致され、性的奴隷として従軍させられることもあるといい、国連の力が及ばないなか、兵士に狙われた女性は何の抵抗もできないのが現状だ。昨年コンゴ国内でレイプされた女性の数は1万5000人以上にのぼったとされ、コンゴは「レイプの首都」(ワルストロム氏)などと揶揄(やゆ)されている。
17日のデモ行進はコンゴのジョゼフ・カビラ大統領の妻が主導。デモ行進が犯罪に対しどこまで抑制効果があるかは不透明だが、中東のテレビ局アルジャジーラに対し、被害者の女性らの治療を行う病院の医師は「われわれは何年にもわたりこの問題にかかわってきたが、ようやく国際社会がわれわれに対し関心を持ち始めている」と期待を寄せている。
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