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2010年7月22日 (木)

ふたたびハーグ条約

 昨日と今日は日弁連主催のハーグ子の奪取条約に関するセミナーで、海外からこの問題の専門家がきた。専門家の話を聞くとますます懸念が深まった。

女性の権利、DVの問題に取り組む弁護士たちが多数参加していたけれど、みんなそれぞれこのハーグ条約の運用があまりにもジェンダー配慮に欠けることに愕然とし、怒り心頭の様相で、怒りをぶちまけて、お帰りになった。

 国際結婚に破たんして子どもを連れて日本に戻ってきた女性たちがハーグ条約を批准すると「連れ去り親」とされ、夫の申し立てがあれば原則として子どもを夫の国に返還しなければならない。DVにあって命からがら逃げてきた場合もこの原則の例外とはならない。

DVの場合は返還しなくてもよいという国際的な統一解釈が確立していないのは明らかだ。そんな疑問を呈しても、

「私たち、運用で工夫をしているんですよ。DVのケースで返還されなかったときもあります。」「確かにいろいろ問題はあるし、制度は完璧じゃないけれど、この条約も発展していくので、懸念はあるかもしれないけれど思い切って批准しましょう」などという意見、「DVのケースはごく少数です」などと海外の専門家が口々に言われる。しかし、なんだか「いろいろ心配はあるのはわかるし、事実だけど、僕を信じてとにかく不安に目つぶって結婚してくれ」というような話だ。暗闇へのジャンプ、とよく言われる用心すべき局面ですね。

 はっきりしない意見に乗せられて批准したら、国際結婚に破たんした女性やその子どもたちが大変な苦境に立たされることになるので、ここは用心してかからなくては、と改めて思ったのだった。

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