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2010年4月

2010年4月24日 (土)

イラク戦争の映像

イラク戦争の民間人攻撃の映像が公開されて、コメントを求められたので、じっくりと見てみました。

http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=kEKrja_crlA

こんなことが今も日常的に行われ、「疑わしきは即、空から射殺」ということをアメリカは他国の上空でやっているわけです。

こういうやり方が蔓延して、現に民間人が殺されているのに、何らこれを止めさせる手立てを打たないで作戦を継続しているのは米政権中枢であり、オバマ大統領自体に戦争犯罪の責任がある(最高司令官としての上官責任)があると考えます。

2010年4月21日 (水)

週末にパレスチナ問題で講演します。

今日は朝から青山学院大学で学部三年生にクラスで「NGOの国際人権活動」について講演。

これは自分でも好きな講演テーマ。人権侵害が世界で全く報道されず、歴史上抹殺されてしまうことがいかに多いか、だから人間特に人権侵害をする強者は同じことを繰り返すのだ、そこに風穴をあけるのがNGOの役割、という話。 実は昨日、国連と深夜にやりとりがあったりして午前2時くらいまで働いていたので、ふらふらしながら青学にINしましたが、興味深々で質問をぶつけてく、学生さんから元気をもらいました。

さて、週末は、以下の講演をする予定ですので、よろしければお立ち寄りください。

http://www7b.biglobe.ne.jp/~jpma/

◆■ 公開講座のご案内 ■◆ 
 ┗━━━━━━━━━━┛

当協会主催、次回の講演会は、4月25日(日)午後2時から行います

■◆公開講座「ゴールドストーン報告を読む」■◆

■講師: 伊藤和子弁護士(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)
■日時: 4月25日(日)午後2時~4時半ごろ
■場所: JICA地球ひろば セミナールーム301
   〒150-0012 東京都渋谷区広尾4-2-24
   電話番号: 03-3400-7717(代表) ファックス: 03-3400-7394
 地下鉄日比谷線「広尾」3番出口からすぐです。
(地図は以下のサイト http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html)
■主催: 日本パレスチナ医療協会(TEL 090-2167-4802)
■資料代: 800円

1年少し前、ガザ地区に対するイスラエル軍のすさまじい攻撃が、世界に衝撃を与えました。白リン弾など人道に反する多数の兵器が使われたこの作戦で、兵士を含むイスラエル側の死者13人に対し、パレスチナ人1400人以上が殺され、数千人が重軽傷、多くの住宅、病院や学校、国連施設も破壊されました。

国連人権理事会は、昨年6月、ゴールドストーン判事を団長とする調査団を現地に派遣し、9月には、この作戦中に行われた数々の戦争犯罪や国際人道法違反の疑いある事実を指摘した「ゴールドストーン報告」を公表しました。
今年2月26日、国連総会は同報告について2度目の決議で、当事者に対し、こうした事実についての責任ある徹底調査を求めています。期限は7月までです。

今回きわ立ったのが、イスラエル側の調査拒否、同国とアメリカによる、この調査報告に対する異常なまでの反発でした。

ゴールドストーン報告で指摘された戦争犯罪容疑とは、どのような事実を指すのか。イスラエルとアメリカがこうした事実の解明を嫌う理由はどこにあるのか。一部の武装パレスチナ人による手製ロケットの使用をどう考えるべきか。伊藤和子弁護士に解説をお願いします。

伊藤弁護士は、昨年11月、ゴールドストーン団長にインタビューしています。

2010年4月20日 (火)

最高裁も誤判検証?

こんなニュースを発見。「裁判における科学的証拠についての検討」にとどまらず、包括的なふみこんだ誤判検証になるか、これから注目してみていきましょう。

朝日新聞 20104161339

http://www.asahi.com/national/update/0416/TKY201004160238.html

■最高裁も誤判検証へ 足利事件教訓、4月中にも

1990年の「足利事件」で、今年3月に再審無罪が確定した菅家利和さんを有罪とした誤判の原因をめぐり、最高裁は16日、早ければ今月にもDNA型鑑定など科学的証拠の取り扱いの検討作業を始めることを明らかにした。衆院法務委員会で大口善徳委員(公明)の質問に答えた。

最高裁の植村稔刑事局長は「個別事件への具体的コメントは差し控えたいが、誠に重大なことと受け止めている」とし、「教訓を引き出すために、裁判における科学的証拠についての検討が必要だ」と述べた。現在、具体的な方法について協議を進めているといい、「なんとか今月中にめどをつけたい」と答えた。菅家さんの無期懲役を確定させた00年の最高裁決定は、全国で初めて当時のDNA型鑑定の証拠能力を認めていた。

2010年4月18日 (日)

シエスタのないスペインで

今回スペインはなんと18年ぶり。司法試験合格のご褒美にいったパッケージ旅行以来で、当時と今を比べると感慨深いものがありました。

4月の初めのスペインは、天気がよく本当に「陽光のスペイン」という言葉がぴったりでした。今回は仕事だったので、もちろんアンダルシアやバルセロナまで足を延ばすわけにいきませんでしたが、マドリードと並んで訪れた町・オビエドはなんとも美しく、とてもクラシックで大好きになりました。

ショックなことにはもはや、マドリードを中心に都市部ではシエスタの習慣はなくなった、ということ。アムネスティの人なんかは、昼はPCをみながらサンドイッチをかじるだけ、なんて日本人みたいなランチの取り方をしているようで、なんだか残念。以前スペインにきたときにすっかり感動して「日本にもシエスタがあるといいなあ」などと夢見ていましたけれど、世の中、忙しくなっているようです。

もうひとつ感じたのは、スペインをみてても、人権活動をしている人たちのなかでは女子が圧倒的に元気ということ。

著名な写真家の人に撮影してもらいましたが、この人は女性。

アムネスティで忙しく動き回るキャンぺナーの多くが女性。マドリードでも、そしてオビエドでもです。

そして私がニューヨーク大留学時代にとても親しくしていた当時フランスで大学助教授をしていた友人とマドリードで再開。この友人は、現在スペイン政府で人権とEUを担当していて、毎週ブリュッセルとマドリードを行ったり来たり大活躍しているのですが、これも若き女性です。

番外ですけれど、私と一緒に記者会見をやった、イギリスで著名なグアンタナモ基地元被収容者の事件に取り組んでいる人権弁護士も若い女性。私もニューヨーク時代にグアンタナモ基地のケースをやっていましたし、彼女が取り組んでいるイラクにおける拷問の事案にも私が関心があったので、話題はつきませんでした。

スペインののんびりした印象とは対照的に、シエスタどころか大量の仕事を軽やかに笑顔でこなす女性たちばかり。

最近日本でも同じようなトレンドになってきていますが、世の不正義に勇敢に軽やかにたくましく立ち向かう女性たちと一緒に時を過ごすのは、本当にどこにいても心地よいものです!

スペインで名張事件について報告

4月5日から10日まで、EU議長国であるスペインに冤罪名張事件に関する報告をしにいってきました。その様子は、今日まで三回ほど、中日・東京新聞に記事を掲載していただいています。

4月5日といえば、名張事件の最高裁決定が出た日。私たち弁護団が郵送された決定をあけたのは6日ですが、決定は予告なく出されたので、青天の霹靂、まったく知らずにスペインに行って、到着の翌朝に知った! ということでした。

スペインでは、アムネスティ・インターナショナルが、世界でもっとも危機にひんする人権状況にある人、として10のケースを取り上げてキャンペーンをしているのですが、なんとその10のケースのうちの1つが名張事件、ということで、10のケースを紹介するきれいなパンフレットができていて、さまざまなところに配布されていました。

スペインがEU議長国になったのにあわせて、今年の1月からこのキャンペーンを展開しているとのこと。スペインにはアムネスティ・インターナショナルの会員が60万人いる、ということで、大変影響力が大きいので、多くの人が名張事件について知っていて、私はそのことに驚きました。

マドリードもそうですが、私が講演に訪れた町、オビエドでも名張事件について活動したり署名を集めてスペインの大使に届ける運動が展開されていたのです。

スペインは、フランコ独裁があった後、死刑を廃止し、ヨーロッパの主流に倣って死刑廃止国なわけですが、特に死刑廃止について強い関心とイニシアティブを発揮していました。

まず、日本に死刑制度があること自体が信じられない、というところから彼らの理解は始まりますが、奥西勝死刑囚が35歳のときに逮捕され、いったん無罪になったのに、49年を経て未だに死刑囚であり、41年間死刑の恐怖と隣り合わせに生き、無実を叫び続けている、そして現在84歳になってしまった、ということが、文明国でありながら日本でどうしてこんなむごいことが行われているのか、ということで関心を集めているようでした。

そのようなわけで、私に対しては興味深々というところだったようで、初日から様々な取材を受け、記者会見にも多くのメディアが集まってくれました。

みなさん事件の概要は知っていても、くわしいことはしらなかったため、私が事件の経過を話すと「ひどいことがあったものだ」と一様に驚いていました。そのポイントは、

○35歳だった奥西さんが49年たっても、死刑囚のままでいること

○一審が無罪だったのに逆転死刑となって死刑囚でいること(欧米の多くの国では一審無罪の場合、被告人に不利益な不服申し立ては許されないので、それで終わりなのです)

○逆転死刑判決の決め手になったのは、科学証拠のでっちあげだったということ。

○科学証拠のでっちあげがその後わかっても、裁判のやり直しがされなかったこと。

○ そして、白ワインに混入された農薬が赤着色されていた、ということがその後の調査で判明し、ワインを飲んだ女性の誰ひとりとして白ワインが変色しているといわなかったのに、裁判所がこのことは有罪に何ら疑問を抱かせないと言っていること(ワインの国のせいか、みんな一様に苦笑い)

○再審段階でも検察側が被告人に有利な証拠を含むすべての証拠を弁護側に開示しないこと。いくら執行や獄中死の危機に瀕した死刑囚が、自分に有利な証拠の開示を求めても、検察側はこれを公開しないでも許される、つまり無罪証拠を握りつぶしたまま死刑執行まで持ち込める、ということ(このこと、みなさん大変怒っていました)

○日本の有罪率が99%で、そのほとんどが自白に依拠していること。そのことについて国連が憂慮を示しているのに、改善されていないこと。奥西氏の再審開始取り消しも、科学証拠を無視して「自白しているから犯人」という愚かな理由が中心だったこと

○第七次再審で開始決定が出たのに、それが再び取り消されて、死刑囚のままでいること、つまり二度無罪が出たに等しいのに未だに死刑の恐怖と隣合わせでいること。そして、最高裁が最近よい決定を出したけれど、それは差し戻しということで、また高裁で審理が続くが、これだけ長期化して84歳になってしまった死刑囚に、司法が即時の救済をしないでいること

など。

なんと不条理なんだ、こんなことがあってよいのか、という声が多く、「異常なケース」と表現されていました。私もこの不条理な現実に日々怒りを抱いていますけれど、国際的にみて、初めてこのケースを知る人にとって、特に証拠開示が充実し、検察官の無罪判決に対する不服申し立てが許されず、かつ死刑を廃止した、という国際スタンダードの人権を当たり前のものとしている国の人々の視点にたってみたとき、なんということを日本はいまだにしているのだ、という彼らの驚きを自分も身をもって体験しました。

私はその後、死刑問題大使にあい、また国会議員にもあい、充実したミーティングをすることができました。政府関係のみなさんからは、スペインがEUの任期中に日本の死刑問題について取り上げるのはもちろんであり、なかでも名張事件について象徴的なケースであり、かつ一刻も早く人権救済すべき事案として介入したい、という発言をいただきました。

アムネスティのこの「危機にさらされた10のケース」はすなわち、EUがすぐに対処すべき10のケース、ということなのですが、7月以降にベルギーが議長国になった後も引き続きキャンペーンが展開されるとのことでした。

こうした世論を日本の司法はどう受けとめるのでしょうか。一日も早い奥西氏の人権救済がなされるよう、今後も強く働き掛けていきたいと思います。

男女共同参画会議の提案に注目

4月15日、男女共同参画会議が答申を出しました。

ちょっと嬉しい驚きですが、これまでのリップサービスと違い、かなり踏み込んだ内容になっていて、さすが福島大臣ががんばられたのでは、と思います。「クォーター制」の提案などのポジティブ・アクションや、賃金格差是正などの実質的不平等改正のための提案がされていて、随分進んだな、という印象です。

詳細は

http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/siryo/ka34-1-1.pdf

に紹介されています。報道もいろいろ。

http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010041501000884.html

勝間和代さんのブログでは、男女共同参画会議で、クォーター制と同一価値労働同一賃金が明記された、と評価されています。

http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/

私も先月、学術会議で報告をさせていただいた際に、福島大臣や有識者の方々の前で、「ポジティブ・アクションは女性差別撤廃条約で定められた国の責務です。努力目標ではありません」と言い続けた甲斐がありました。答申がどう具体化されるか、厚生労働省は骨抜きにするのが得意な役所ですので、モニタリングを続けていきたいと思います。

2010年4月17日 (土)

雪のち晴れのアースデー

今日と明日はアースデー。今朝は雪で本当に驚きましたが、だんだん日が差してきました。

私は、今朝、風邪をひきそうだったので、招待いただいていた新宿御苑の「桜を見る会」を残念ながら欠席。。。(でも盛況に開催されたようでなによりです)、午後からヒューマンライツ・ナウが出店している代々木公園のアースデーにいきます。

よろしければアースデーでおあいしましょう。

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今週末の4月17日(土)、18日(日)、東京・代々木公園にて、
『アースデイ東京2010~地球のことを考えて行動する日』が開催されます。
アースデイとは、市民による日本最大級の地球フェスティバルです。
http://www.earthday-tokyo.org/
http://fes.earthday.jp/

昨年に続き、ヒューマンライツ・ナウも出展しますので、
ぜひ、お越しください!ブースナンバーは42番です。
会場地図:http://www.earthday-tokyo.org/2010/news/2010/04/post-50.html

★★ヒューマンライツ・ナウのブースにて★★
★★ ゲストパフォーマンス出演決定! ★★

(1)昨年のHRNクリスマスチャリティライブに出演下さった、
 ボイスパフォーマー"徳久ウィリアム幸太郎さん"
 (参考→http://william.air-nifty.com/)
 18日14時~

(2)タップダンサーの"yasco☆さん"
 (参考youtube→http://www.youtube.com/watch?v=KRXZn2XxU2M)
 18日13時~・15時~

お二人のパフォーマンスライブの他、パレスチナ、ビルマ、インドなどの人権侵害に関するパネル展示や、スタッフやボランティアによるHRNの活動紹介、好評のため先日重版されたHRN初の書籍『人権で世界を変える30の方法』(合同出版1300円)の販売や、ここでしか買えない?!HRNサポートオリジナルグッズの各種即売も行います!

アースデイのブースは各種NGO、NPO出展の他、エスニック料理のケータリングや、エコやピースに関する展示・販売、音楽イベントなどなど、全体としてとても楽しいカルチャーにあふれたフェスティバルです。

ぜひ皆さま、ご参加いただき、HRNのブースに気軽にお立ち寄りください。
皆さまとお会いできるのを楽しみにしています!


~~以下、アースデイ東京2010ウェブサイトより~~

4月22日は"地球の日"

●アースデイの誕生...1970年アメリカ

1970年、ウィスコンシン州選出のG・ネルソン上院議員が、4月22日を"地球の日"であると宣言、アースデイが誕生しました。ネルソン氏は、学生運動・市民運動がさかんなこの時代に、アースデイを通して、環境のかかえる問題に対して人びとに関心をもってもらおうと考え、それは当時全米学生自治会長をしていたデニス・ヘイズ氏による、全米への呼びかけへとつながりました。そうして、 1970年の最初のアースデイは、延べ2000万人以上の人びとが何らかの形で、地球への関心を表現するアメリカ史上最大のユニークで多彩なイベントとなりました。

●やってみた日、それがあなたのアースデイ

環境問題は、人と生物、地球、人と人のコミュニケーション問題ともいえます。そして私たちはだれも、この地球と100%関わり、家族や友人との間柄にも似た不可分の関係を持っています。

だからアースデイは、私たち一人ひとりのものなのです。
アースデイには、代表も規則もありません。民族・国籍・信条・政党・宗派をこえて、だれもが自由にその人の方法で、地球環境を守る意思表示をする国際連帯行動です。すべての人が、同じ輪の上で自由に起こせる、世界初でおそらく唯一のアクションがアースデイです。あなたもぜひ、自分と地球とそこに住むたくさんの生命との対話、アースデイ・アクションを起こしてください。そして、その活動を互いに知らせあい、大きな輪をつくりましょう。

2010年4月15日 (木)

取調べの可視化の緊急性について語る

あっという間に4月に入り、はたして通常国会で、民主党がマニフェストに掲げた人権に関する改革が実現するのか、とても心配になってきています。

そのひとつ、取調べの可視化がどんなに緊急に必要か、について、先日インタビューを受けていろいろとお話しましたので、ちょっとややこしい文書かもしれませんが、ご紹介します。

http://hrn.or.jp/activity/20100401chikyunokodomo.pdf

2010年4月13日 (火)

桜のお出迎え

日曜日の午前11時半過ぎにスペイン・マドリッドから帰国しました。

この日は名古屋で会議があったので、成田から名古屋に直行し、会議後の宴会まで参加してその日のうちに東京に戻り、月曜日から仕事に戻りました。

成田からの車窓でとても嬉しかったのは、まだ桜がきれいに咲いていて、満開の桜のお出迎えを受けたこと。3日にちょっとお花見をして「もう今年は見られないな」と思って日本を離れたのに、まだ桜が咲いていてくれたことになんだか感動。

名張事件の最高裁での破棄差し戻しのお祝いをしてもらっているみたいで嬉しかったです。日本に戻ってきてヨカッタ、と本当に思いました。

名張事件関係の新聞報道をまとめて読んだところ、どこも「我が意」と同じような報道をしていただいていて、とても心強く思いました。マドリードのニュースは中日新聞に二回掲載してもらったことがわかりました。中日の方には現地で大変お世話になりました。

スペインではみんな名張事件のことを報告するとどこでもぎょっとして、「なんて異常なことなの?」と驚かれ続け、国際社会として真剣に取り組んでいただけそうな感触を得ました。

現在さすがに少し疲れ気味(あまり無理はしちゃいけませんね(笑))なのと、締切迫る仕事がたまっているので、また改めて、スペインの報告をしたいと思います。

2010年4月 7日 (水)

名張事件 差し戻し決定

スペインについて一夜明けたら、たくさん国際電話がかかってきたので、何かと思ったらこのニュースでした。

これから意見書を出す予定だったというのに、最高裁にはもう少し待ってから、自判してほしかった。「疑わしきは被告人の利益に」の原則に従えば、最高裁が再審開始決定をすべきだったはずです。

 また、原審の自白偏重に対して、きちんと最高裁として見解を出しうる機会だったのにそれをしなかったことも最高裁としてどうだったのだろうか、と残念です。

 しかし、再審開始に向けて大きく動き出した、といえます。巨大な岩、再審の扉を、少しだけこじ開けたということができます。

 奥西さんはもう84歳、速やかに再審開始を勝ち取らなければと思います。絶対に負けられません。引き続き皆様のご支援をよろしくお願いします。

最高裁、再審判断を高裁に差し戻し 名張毒ブドウ酒事件

http://www.asahi.com/national/update/0406/TKY201004060265.html

 三重県名張市で1961年、農薬入りのブドウ酒を飲んだ女性5人が死亡した「名張毒ブドウ酒事件」の第7次再審請求で、最高裁は、殺人などの罪で死刑が確定した奥西勝死刑囚(84)の再審を認めるべきかどうかの判断を改めて名古屋高裁に差し戻す決定をした。5日付。第三小法廷(堀籠幸男裁判長)は「犯行に使われた毒物の解明について、審理が尽くされていない」と述べた。

 いったん認められた再審開始と死刑の執行停止を取り消した名古屋高裁の決定を、改めて取り消した形になる。事件発生から半世紀。最終的に再審を認めるべきかどうかは、毒物の成分をめぐる科学論争に絞って、さらに同高裁で審理が続くことになった。

 事件は61年3月、名張市の公民館で開かれた会合で、ブドウ酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が中毒症状を起こした。妻と愛人との三角関係の清算をねらい、ブドウ酒に農薬を入れて殺害したとして奥西勝死刑囚が逮捕された。一審・津地裁は64年12月に無罪としたが、二審・名古屋高裁は69年9月に一転して死刑に。72年6月に最高裁が上告を棄却し、死刑が確定した。奥西死刑囚による第6次までの再審請求はいずれも退けられたが、2002年4月の第7次請求に対し、名古屋高裁刑事1部が05年4月、初めて再審開始と死刑の執行停止を決定。しかし、同高裁刑事2部が06年12月、検察側の異議を認めて再審開始を取り消した。奥西死刑囚と弁護団は07年1月、最高裁に特別抗告していた。

 以下、弁護団の声明です。

 第7次再審請求最高裁決定についての弁護団声明

  

  最高裁判所第三小法廷は,昨日,いわゆる名張毒ぶどう酒事件第7次再審請求の特別抗告審について,2006年(平成18年)12月26日に名古屋高等裁判所刑事第2部が行った異議審決定・再審開始取消決定を取り消し,名古屋高裁に審理を差し戻す決定をおこなった。最高裁が,上記異議審決定の判断の誤りを指摘し,これを取り消したことは,再審無罪に向けた前進として評価できる。

 上記最高裁決定は,弁護団が第7次請求で提出した5つの新証拠のうち,いわゆる新証拠3として提出した毒物問題について,未だ審理が尽くされていないということを理由に審理を名古屋高裁に差し戻したものである。

しかしながら,毒物問題は,第7次請求審及び異議審を通じて重大な争点と位置付けられ,この点に関して,二度にわたり2人の専門家証人の証人尋問も実施され,十分な審理が行われてきた。このような十分な事実調べの結果を受けて,原決定に,「科学的知見に基づく検討をしたとはいえず,その推論過程に誤りがある疑いがあ」ると判断したのであるから,最高裁としては,直ちに,原決定を取り消して,再審開始を宣言すべきであった。

本件の確定有罪判決に合理的疑いがあることはすでに明白であり,また,奥西勝氏が84歳を超える高齢であることからしても一日も早く再審公判を開始しなければならない。検察官の新たな主張は再審公判において審議されるべきものである。最高裁が再審開始を確定させることなく,審理を名古屋高裁に差し戻すにとどまったことは極めて遺憾である。

 名古屋高裁は,差戻審において速やかに検察官の異議申立を棄却して再審を開始すべきである。

弁護団は,奥西勝氏の完全無罪判決に向けて,引き続き最善を尽くす所存である。

  2010年4月6日

2010年4月 3日 (土)

スペインのスケジュール詳細

既にご案内しましたが、来週月曜日より冤罪名張事件の関係でEU議長国であるスペインを訪問いたします。メディアの方々からお問い合わせをいろいろといただいており、ありがとうございます。

日程の詳細が決まりましたので、東京のプレスの方々に流しましたご案内と、日程の詳細、議会でのラウンドテーブルについて、こちらのブログにアップさせていただきます。

お問い合わせは事務所、携帯(国際対応しています)、メールいずれでも対応いたします。よろしくお願いいたします。

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Tuesday 6 April

AM                      Resting/ time off

14h45            Picked up form hotel and lunch with María del Pozo, head of Campaigns, AI Spain          

16h                     Meeting at AI Spain to prepare for press conference and session at                                 Parliament. Address:

17-19hs         Interview with Alvaro Corcuera journalist from “El Pais”, the Spanish main national newspaper, and photographer Sofia Moro.

19-19h30       Video Interview for AI death penatly campaing

Dinner               Dinner with members of human rights defenders team

Wednesday 7 April

10h30 Arriving at AI Spain office

11hs                   Press conference

Lunch                With staff members of AI Spain’s Communication Department

16hs               Departure for Ministry of Foreign Affairs

16h30            Meeting with Ambassador and National Coordinator against the death penalty Rafel Valle and his assistant Assumpta Cavallé.

19hs                   Talk at AI Spain offices for AI Spain activists. 

Evening             Dinner with members of death penalty team  in AI Spain

Thursday 8 April

AM                      Checking out of the hotel. Leaving luggage at AI Spain office

16h30-18h30 Session at Congress

pm                       Arrival at Madrid Barajas

pm                       Departing to Oviedo, Asturias

pm                      Arrival at Oviedo,

Friday 9 April

11hs-2pm     Talk with students of the University Shool of Social Work in Gijón. Journalist will be invited to attend and make questions after the talk – Diana will tell you more about this

4月6日  終日 事前打ち合わせおよび取材

4月7日  午前11      記者会見  (アムネスティ・インターナショナル スペイン事務所)

                出席者    伊藤和子(日本・弁護士)

クライブ・スミス(英国・弁護士 予定)

  午後4時半 会談 Rafel Valle(スペイン死刑問題大使)

               Meeting with Ambassador and National Coordinator against the death penalty Rafel Valle and his assistant Assumpta Cavallé.

   午後7時  アムネスティ・インターナショナルとの会議

4月8日  午後4時半から6時半

  スペイン議会におけるラウンド・テーブル・ミーティング

  「人権に関するラウンド・テーブル- スペインはEU議長国として何をすべきか」

  個別事件報告

  16:30h – 16:40h: Kazuko Ito  伊藤和子 日本の死刑囚・奥西勝氏の状況について

16:40h – 16:50h: Counsel for Binyam Mohamed  グアンタナモ基地被収容者の事案

   (詳細は別紙英文参照)

4月9日

  スペインの都市・オビエドにおいて、

  名張事件と日本の死刑制度についての講演・市民集会(予定)

410日 スペイン発、11日 東京着

Human Rights Roundtable – Spanish Presidency of the EU

Amnesty Internacional hopes that, through the organization of this roundtable discussion in the Congress of Deputies, we can create a space for dialogue with Spanish parliamentarians and evaluate the steps being taken during the first months of the Spanish presidency of the EU in terms of human rights. To this end, the idea is to allow representatives of victims, civil society organizations and the parliamentarians themselves to have a voice on the topic. Finally, as a means of concluding the roundtable, we will identify human rights issues on which the Spanish presidency should take a more active role during the second semester of its term.

Date: April 8

Time: 16:30 – 18:30   Place: TBA  Format: roundtable (30 ppl)

Agenda:

Introduction: Amnesty International

Speaker on specific cases

16:30h – 16:40h: Kazuko Ito

16:40h – 16:50h: Counsel for Binyam Mohamed

Participation by NGOs:

16:50h – 16:60h:    Alfredo Abad (General Secretary of the Spanish Commission for Aid to Refugees - CEAR)

16:60H – 17:10H:  Isidro Rodríguez (Director of the Gitano Secretariat Foundation)

Parliamentary groups: 10 minutes for each group

GPS: Alex Sáez and Juan Moscoso, and Senator Joan Sabaté

GPP: Teófilo de Luis Rodríguez

GER-IU-ICV: Joan Tardá

GMx: José Luis Perestelo and Rosa Díez

GPCIU: Senator Jordi Casas i Bedós, and Carles Campuzano

Gvasco: Senator Iñaki Anasgasti and Representative Emilio Olabarría

Concluding statements: Amnesty International

最高裁に係属中の名張毒ぶどう酒事件に関連しては、最高裁決定を前に、国際社会の関心が高まっているところですが、このたびEU(ヨーロッパ連合)議長国であるスペイン政府およびスペイン議会が国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの仲介により、EUとして緊急に対処すべき人権問題として、名張事件についての事情聴取を行うことになり、当職が弁護団を代表して来週、スペイン政府等での名張事件に関するヒアリングに出席することとなりました。

つきましては、本件について日程の詳細をお知らせするとともに、可能であれば現地ないし日本において取材・報道いただきたく、お願い・御連絡する次第です。

 EUは様々な課題を抱えていますが、人権問題とりわけ死刑問題は重要課題として取り組まれており、アムネスティ・インターナショナルなど国際人権団体は、最も危機にさらされた人々のためにEU議長国が行動すべきだ、と提案をしてきた結果、奥西勝死刑囚が最も危機にさらされた人の一人と位置づけられ、今回のヒアリング開催に至ったものと理解しています。

スペインでは、名張事件について、外務省および議会での事情聴取が予定されています(マドリッド)。議会でのヒアリングで現在予定されているのは、名張事件および米グアンタナモ基地被収容者の事件の二件です。また現地記者会見(マドリッド)、市民集会(オビエド)も予定されています。

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