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2010年3月

2010年3月31日 (水)

「片親引き離し症候群」のうそ

ハーグ条約にも関連しますが、最近DV事件で夫側がよく主張する「片親引き離し症候群」。ハーグ条約を批准せよという欧米の外圧の際にもしばしば引用されています。

これについて昔のブログに書いたものがお引っ越ししていなかったようで、問い合わせも多いのでこちらにアップしておきます。

この症候群の危険性を指摘し、その信用性を否定する論文やステートメントの主要なものは以下のとおりです。

まず、アメリカの家裁裁判官協会がこの症候群の考え方を否定した、というもの。

http://www.stopfamilyviolence.org/info/custody-abuse/parental-alienation/national-council-of-juvenile-and-family-court-judges-rejects-pas

アメリカ心理学会がこの症候群について公式に支持しない見解を表明したもの

http://www.apa.org/news/press/releases/2008/01/pas-syndrome.aspx

全米法曹協会(ABA)の機関紙に掲載された、この症候群が科学、法律、政策のいずれの面からも明白に認められないとする論文

http://www.jfcadvocacy.org/amicus-briefs/PAS-ABA.pdf

関連する論文

http://fact.on.ca/Info/pas/wood94.htm

です。

以下、過去のブログから~~~

片親引き離し症候群、ってご存知ですか。
DV事件でDVをした夫が子どもに執着して面接を求めるのですが、子どもはDVの影響で精神的に安定せず、とてもあわせられる状況ではない。
そんな状況でも面接を求めてくるわけですが、その際「子どもの精神状態がおかしいのはDVのせいじゃない。そもそもDVなどしていない。子どもの精神状態は「片親引き離し症候群」という精神状態だ。問題は父親と引き離されていることになる。それは父親にあえば
なおるのだ!」という主張なのです。
 このような主張をされて、この論理に耳を傾ける裁判所まで出てきてしまい、苦労している離婚の当事者の方は少なくありません。
 なんでもアメリカのなんとか弁護士会が提唱しているとか、、、それを翻訳した論文などが証拠として提出されるのです。

 でも、それがまったく間違っていることがはっきりしました。
 私は「この話、絶対怪しい。アメリカで通用しているといっても一部で通用しているだけじゃないか?」と思い、英語名をグーグル検索してみたところ、2006年くらいまでは確かにアメリカではこの論理に裁判所も振り回されていたけれど、今では、それがまったく信用に堪えないえせ科学であることが明らかになった、という結論を出しているのです。全国の家庭裁判所の協会やアメリカ法曹協会の雑誌にもこの症候群を批判する論文が掲載されています。
 法律も心理学ももはやこの理論を採用しない、というのがアメリカではコンセンサスになったのです。しかし、それまでの間、裁判所がこの論理を使って虐待親やDV夫を子どもと面接させたり、親権行使を認めたりして、その結果、子どもが殺害されたり、子どもが自殺するなどの被害がでてしまった、というのです。

恐ろしいことです。いまの時点で発見してよかった。

 私と一緒に事件をやってくれている弁護士さんと、インターンががんばってこうした最新の文献を翻訳してくれ、一件の裁判に提出したりしました。

 今後、この論文をこの問題に悩む全国のみなさんにも活用していただく方法はないか、
考えているところです。

 でも、よくあるんですよね、アメリカの理論だ、とか紹介されてとんでもない間違いが引用されていることが。そういうのにだまされちゃいけないし、海外の法制度や慣行は、専門家が自分の都合のよいところだけ引用するのでなく、本当に誠実に紹介していく責務を持っていると痛感します。

ハーグ条約 批准にちょっと待った。

子の奪取に関するハーグ条約を日本でも批准すべきではないか、という動きが出てきた。欧米諸国が強く日本の批准を求めていて、日本は「外圧」にさらされているのだが、そんな昨今、政府が「いいんじゃないの」と安易に批准してしまうのでは、と強く心配している。

国際人権基準についてはインターナショナル・スタンダードの重要性を私はいつも強調しているのだけれど、子の奪取に関するハーグ条約は主要人権条約ではないので同列には扱えない。

そして何といっても、自分の母国でない国で結婚生活を送り、DV被害にあうなどして、夫のもとにいられなくなった女性たちとその子どもの権利に大変過酷な法律である、と思う。

そういう女性たちが子どもとともに母国に帰る、ということを、「子の奪取」だとして犯罪視して、夫の住む国に子どもを強制的に送還するというのだから。

ハーグ条約には子にとって有害な場合は例外的に送還されない、という規定がある。しかし私が諸外国の運用を調べてみたところ(アメリカ、イギリス、オーストラリア)、この例外規定が形骸化していて、DV被害者の事例でも許してもらえていないのだという。仮にハーグ条約の条文通りだとしても、妻はDVの明確な証拠を握っていて、それを裁判所に提出しない限り、子どもの送還をまぬがれない、ということになるだろう。

しかし命からがら逃げ出すような事例であればあるほど、DVを立証するのはそんなに簡単ではない。

DVは被害者から時に正常な思考を奪うが、「裁判のために証拠を取っておきましょう」という冷静で賢い現実的な考え方がなかなかできにくくなる。みんな最後の最後まで弱音も吐かずに我慢し続け、身内にもDVの事実を隠し続けているのだ。

そして、どうしても耐えられなくなったら、法的手続に訴えるよりも何よりも、命からがら安全な実家などに子どもとともに身を寄せるのが人情である。

日本に住む日本人DV被害者だって大変ですが、慣れない外国ではもっと、DVの法的手続をすることや証拠の保全は大変で、なにはともあれ実家に身を寄せて安心したいはず。

そもそも、外国に住んで夫のDV被害にあっている女性たちが、DVについて証拠を残したり、法的手続きに訴えて保護命令を取ったりすることがどんなに大変なことか、全然理解していない法体系ではないか、と思う。

かくて、証拠が十分にない事例では、子どもは送還され、妻も子どもを追ってやむなく夫の住む国に戻るが、語学の壁、弁護士費用などなどにより、子どもの親権は夫の手に渡るという結果になることが多いという。

アメリカなど、離婚に費やす弁護士費用は並大抵ではない。それに親権を取るのは外国人には圧倒的に不利。子どもを追いかけて夫の住む国に戻っても、夫と別居したら誰も保証人になってくれず住むところも探せないし、仕事をみつけるのだって大変。

DVから逃れて子どもともども自分の母国に戻って落ち着きたい、という女性たちにとって、ハーグ条約による子どもの送還は実に過酷な仕打ちなのである。

そうかといって、子どもだけが送還されるとすれば、、、DV夫のもとに送還される子どもたちは虐待に合いかねず心配である。

これは日本人女性が結婚して海外に行った場合にも、外国から日本に嫁いで子どもを産んだ女性たちにとっても深刻な影響をもたらすこととなろう。

だから私は拙速な批准に反対である。

2010年3月29日 (月)

表現の自由について重要な判決

 最近問題になっていた、表現の自由に対する処罰について注目の判決が出ました。

 先日最高裁で同種事件についてがっかりするような表現の自由軽視の判断が出ていて、怒ったのですが、今後流れが変わることが期待されます。

 ・・・・・私たち法学部生だった者は憲法の講義で、表現の自由、とりわけ政治的表現の自由は民主主義的価値を支えるという点で最も重視しなければならない権利(その抑圧は民主主義プロセスそのものを破壊するので)、と教えられ、表現の自由はほかの権利よりも優越的地位を保障されるという「二重基準」を勉強したものですが、それが実務では全然そうなっていない(極めて抽象的な「住居の平穏」が表現の自由より重要、であるなど)、昨今の有罪判決ラッシュでした。

 今回は「適用違憲」ということですが、司法の良識を感じさせる判断です。

 今後も裁判所は同種事件において、憲法の砦にふさわしい判断をしてほしい、と思います。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100329-00000030-jij-soci

元社保庁職員に逆転無罪=「処罰は違憲」-共産党機関紙配布

・東京高裁

3291013分配信 時事通信

 2003年の衆院選で共産党の機関紙を配ったとして、国家公務

員法違反(政治的行為の制限)罪に問われ、一審で罰金10万円

、執行猶予2年とされた元社会保険庁職員堀越明男被告(56

の控訴審判決が29日、東京高裁であり、中山隆夫裁判長は「被

告の機関紙配布行為を罰することは、表現の自由を保障した憲

法に違反する」として、逆転無罪を言い渡した。

 執行猶予を不服とした検察側と、政治活動の制限は憲法違反

で、捜査も違法だったとして、無罪や公訴棄却を求めた弁護側

の双方が控訴していた。

 中山裁判長は、国家公務員法の政治活動への罰則規定そのも

のは合憲と判断。その上で、被告が行った機関紙配布行為につ

いて、「国の行政の中立的運営や国民の信頼の確保を侵害する

とは考えられない」と指摘。「被告を処罰することは、国家公

務員の政治活動の自由にやむを得ない限度を超えた制約を加え

るもので、憲法21条などに違反する」と判断した。 

花冷えの現地調査

土日は、名張事件の現地調査に。

名張事件は昨日で事件発生から実に49年が経過した。その間、一審無罪判決を受け、再審開始決定も出されたのに、いまだに奥西さんは釈放されない、本当に異常な事態である。

今年は最高裁がいよいよ大詰めということで、約150人が全国から集まられ、メディアも東海のみならず東京からも駆け付けていた。

桜が少しほころびかけ、菜の花が咲いていて、いつの間にか春が近づきつつあるのを感じたが(東京で仕事ばかりしているとわからないが)、とても寒い。

春まではまだもう少しありそうだ、と思う。

スペインには4月5日に出発するけれど、その前にできれば満開の桜を見たいと思う。

2010年3月25日 (木)

EU議長国と会合-冤罪名張事件

4月初旬、急きょスペインにいくことになりました。

カンボジアから帰国し、たまった仕事に必死で取り組んでおり、ゾンビのような状態なのですけれど、アムネスティ・インターナショナルの招待で、EU議長国であるスペイン政府が取り組む死刑問題について、最も重要なトピックとして、私が弁護をしている冤罪名張事件の死刑囚・奥西勝さんに関する情報提供を求められたので、何よりも優先してスペインに出発することになりました。

オフィシャルな日程の一部は以下のようなところです。

スペインの高官や議会でも発言を求められ、大々的な記者会見も開催されるようです。

また、9日には、ウッディ・アレン監督の「それでも恋するバルセロナ」の舞台にもなった美しい都市オビエドで、アムネスティが市民集会を開催してくださるそうで、そちらでも講演する予定です。

世界の死刑問題に熱心取り組むEUが名張事件に注目してくださるのは大変素晴らしいことですので、弁護団を代表してがんばって活動してこようと思っております。

Wednesday 7 April

10h30 Arriving at AI Spain office

11hs                   Press conference

Lunch                With staff members of AI Spain’s Communication Department

16hs               Departure for Ministry of Foreign Affairs

16h30            Meeting with Ambassador and National Coordinator against the death penalty Rafel Valle and his assistant Assumpta Cavallé.

19hs                   Talk at AI Spain offices for AI Spain activists. 

Evening             Dinner with members of death penalty team  in AI Spain

Thursday 8 April

AM                     

16h30-18h30 Session at Congress

2010年3月21日 (日)

新刊 「裁判員と死刑制度」

私がアムネスティの寺中誠さんと共著で出した新刊「裁判員と死刑制度」が刊行された模様です(カンボジアにいるので詳しくはわからないのですが、周辺情報によるとそうらしい)。

書籍の紹介はこんな感じ。

http://www.shinsensha.com/detail_html/04shakai/1006-2.html

タイトルからはいろんなことを想像しますけれど、最先端の高度な話というよりは、どちらかというと学生さん向けの入門書、というところでしょうか。

私のパートでは、間違って死刑判決とか出さないで、人の命はとても尊いので、冤罪の被害を生まないでほしい、ということを個人体験から語っています。私の司法改革(刑事裁判への市民参加)への執念の原体験などもご紹介しています。本当は裁判官にこそ読んでいただきたい、ということかもしれません。

一方、寺中さんは冤罪であろうとなかろうと、死刑執行はどうなのか、を問う、死刑廃止論を貫く議論を展開されています。

ゆえに、私たちの議論はちょっと視点が違い、かみあっているようなかみあっていないようなところがあり面白いですが、研究者の先生方がうまくまとめていただきましたので、ご興味ありましたらご一読いただけると嬉しいです。

カンボジアにて。

カンボジアに滞在している。とても暑い。女性の権利に関する調査をしているが、次々と人権団体や法曹関係者にあって一週間が終わった。正式なフィードバックはしばらくしてから行うことになると思いますが、ここでは雑感。

カンボジアは援助漬け、開発の巨大な実験場という感を強くした。国際社会がみんなでカンボジアを支援したがり、開発のセオリーをあてはめてトレーニングを村村で行う。

そして三年くらいのサイクルでプロジェクトが行われては終わり、結局援助の残骸が残る、ということも少なくないように思われる。そういうことを通じて何かが進んでいる、という見方もあるかもしれないが、ドナーの都合で振り回されている、という厳しい批判もある。

カンボジアでは、日本が支援をして、民法・民事訴訟法ができた。また改正人身売買法も日本の関係者がかかわっている。

これらの法律については法整備はされたものの、施行がきちんとできておらず、民法は発布されたのに施行されていないという。しかし、現地NGOと話した限りでは、民法に関する誤解もあるし、現実の民法の使い勝手の悪さを指摘する人々もいる。新しい民訴法のためにやりにくくなったという声(あるいは誤解?)もある。

今後も現地からのフィードバックを受けて息の長い支援今後も続くのか、が問われているといえるだろう。

そんななかで、日本から派遣された専門家の方々ががんばっている姿には頭が下がる。カンボジアの司法は汚職や能力不足など、いろいろな問題が指摘されるものの、確実に若い世代の中には、優秀な人たちも育ちつつある。こうした芽が今後も育っていくことを願いたい。

ところで、カンボジアにいても、日本のクライアントの方々もそうであるが、ビルマ、インドなどからも次々とメールでの相談が届く。特にビルマは今年の総選挙をめぐって緊迫した状況が続いているので、深刻さの度合がけた外れである。

カンボジアは固有の深刻な問題を抱えるものの、日々命が奪われ、自由を求める人々の声が圧殺されて政治犯収容所に入れられるビルマに比べて希望があるように思い、人々が生活を楽しんでいる様子がとても感慨深く私の目に映った。しかし、この人たちも、1970年代の壮絶な時代を経て、生き抜いて今を生きているのだ、今の生活を得たのだ、としみじみと思う。

2010年3月14日 (日)

ビルマ 国連専門家が戦争犯罪の調査を求める。

現在開催されている、国連人権理事会で、ビルマの人権に関する特別報告者が、ビルマの軍政による戦争犯罪の調査を求める報告書を提出していました。

これは結構画期的なニュースですね。

彼の力量についてはこれまで謎も多かったのですが、今回は、なかなか大したものだということを証明しました。

http://www.dvb.no/news/burma-war-crimes-probe-gets-un-backing/

Burma War Crimes Probe get UN backing

Burma war crimes probe gets UN backing thumbnail
UN rapporteur Tomas Ojea Quintana (Reuters)
By FRANCIS WADE
Published: 11 March 2010

The Burmese government should be investigated for war crimes and crimes against humanity, a leading UN rights expert has urged.

It is one of the highest endorsements of a probe into state-sanctioned human rights abuses in Burma, and follows similar calls last year by British MPs and a raft of rights groups.

UN special rapporteur for Burma, Tomas Ojea Quintana, published his recommendations in a 30-page report submitted yesterday to the UN Human Rights Council.

The report states that some actions of the ruling junta “may entail categories of crimes against humanity or war crimes under the terms of the Statute of the International Criminal Court”.

He added that the lack of accountability surrounding the “gross and systematic” nature of abuses indicated “a state policy that involves authorities in the executive, military and judiciary at all levels”.

Rights abuses include violations of “the right to life, right to liberty…due process of law, protection of civilians and internally displaced communities [and] prohibition against discrimination”.

The report was hailed by rights groups who have regularly complained that the UN has been impotent when it comes to tackling the crisis in Burma.

Zoya Phan, international coordinator at Burma Campaign UK, said that Quintana’s comments were “a major step forward”.

“Burma’s generals are criminals; the evidence is everywhere to see. It is now time for their crimes to be investigated,” she said, adding that the British government should “publicly state that they support this recommendation”.

In December last year, 440 MPs from around the world urged UN chief Ban Ki-moon to investigate war crimes in Burma.

Both a leading Thai aid group, the Thailand Burma Border Consortium (TBBC), and a panel of leading international jurists, who released the Crimes in Burma report in May last year, have said the situation in eastern Burma is comparable to Darfur.

カンボジアにいってきます。

土曜日は、日本学術会議のジェンダーに関するシンポジウムに報告者として出席。

http://hrn.or.jp/activity/event/313/

福島瑞穂さん、上野千鶴子さん、大沢真理さん、竹信三恵子さんなど、大変高名で実績のある第一人者の方々と並んで発言をすることになり、かつ報告者のトップバッターだったので、とっても緊張。しかも前夜に準備したプレゼン資料がすべてPCの突然のシャットダウンで消えてしばらく途方に暮れていましたっけ。

しかし、なんとか無事に終えられて、ほっとしています。そして、このような機会をいただいたことに感謝しました。

さて、明日から10日間ほど、ヒューマンライツ・ナウの関係でカンボジアに行ってまいります。

クライアントのみなさまはじめ、関係各方面にご不便おかけしますが、なにとぞよろしくお願いします。携帯もメールも通じます。

今回は、おもに女性の権利に取り組むNGO・法律家とのネットワーク構築のためにいくのですが、なんとかよい成果につなげたいと思います。一般的な人権状況もよく聞いて必要なアドボカシーの協力をしたいと思います。日本はカンボジアの最大ドナーですが、人権の面では大変評判が悪いのであります。

2010年3月 9日 (火)

生きているうちに救いたい

生きているうちにどうしても救いたい。84歳の死刑囚・私の依頼者である奥西さんの事件をアピールするために、日曜日に支援者の方々と有楽町でリレートークをしました。

足利事件の菅家さんがわざわざ足利から、寒い雨の中を最後まで参加してくださいました。ぜひみなさんに知ってもらいたいです。

名張事件の支援集会で訴え 足利事件の菅家さんら

http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030701000404.html

 1961年に三重県名張市で女性5人が殺害された名張毒ぶどう酒事件で再審開始決定の取り消しを不服として特別抗告中の奥西勝元被告(84)の支援集会が7日、東京・有楽町で開かれた。90年に栃木県足利市で女児が殺害された足利事件で再審無罪が確実の菅家利和さん(63)らが街頭に立ち、奥西さんへの支援や冤罪の根絶を訴えた。

 菅家さんは「刑事に何度も『やってません』と言っても信じてもらえず、どうにもならなくなって『やりました』と言ってしまい、17年半もの間、犯人とされた」と体験談を披露。名張事件でも争点となっている「自白の強要」の危険性を訴えて「同じように苦しんでいる奥西さん(への支援)をよろしくお願いします」と声を張り上げた。

 茨城県で67年に男性が殺害された布川事件で再審開始が決定した元被告桜井昌司さん(63)も同様に虚偽の自白を迫られたとして「冤罪を訴える仲間の声に耳を傾けて助けてほしい」と述べた。 

2010年3月 7日 (日)

保守派はつまり怖がり

夫婦別姓法案に反対したり、取調の可視化に反対したりする人たち。ボルテージはあがる一方である。

夫婦別姓が実現すると「家族の絆が失われる」という。取調室にビデオが入ると「被疑者との信頼関係が失われる」「治安が悪化する」などという。

でも前者について、フランス人などにそんな話をしたら「けっ」とバカにされるに違いない。姓、というような形式的なもので縛り付けておかないと家族の絆が壊れてしまう、そんなふけば飛ぶような家族の絆しかないのか、そんなことで壊れると心配するくらい家族の絆に自信がもてないのか。これは「何事にも自信がもてない日本人」「制度に依存しないと人間関係すら築けない日本人」というように日本人を自ら卑下しているとしか思えない。

もしくは、保守派の論客の人々は、自分はたくましいけれど、庶民は馬鹿であるという愚民思想をもっていて、愚民には制度で縛り付けておかないと家族の絆など築けない、管理・統制がしにくい、という「上から目線」での発言なのだろうか。そうだとしたら、庶民はそれに同調しないで怒るべきですね。それに、そんなに自分の国の人々が信頼できない人間に限って「愛国心」とか「誇り」とかいうので不思議だ。

ひとりひとりが自立して、違う個性を持つ個人として独立していること。そのうえで家族が助け合ったり、人々が連帯し合う、お上がつくった制度なんかに依存しない、そんな社会を前向きに目指すべきではないか、と思う。そんな社会、日本にはつくれない、という要するに臆病な発想なんじゃないか。

取調の可視化で治安が悪化する、というのも、アメリカで大学教授に話したら「まさか本気でそんな議論日本でしているのか」とあきれられてしまった。

そもそも、この場合、ビデオがなくても被疑者と刑事に信頼関係などない。それに米国はビデオがあっても刑事は真犯人からきちんと自供を取っている。捜査テクニックに自信があるなら、導入に反対する理由はない。

いずれにしても、怖がりの低レベルな議論で、「なにをそんなに恐れているの」といいたくなるし、日本の議論のレベルが悲しい。

2010年3月 4日 (木)

ガザ 日本の国連での投票行動を歓迎

先週金曜日、ガザ問題について、また国連総会の決議が採択されました。

今回はこれまで棄権したり反対していた日本とヨーロッパ諸国がともに賛成に回ったので、大変よかったと思います。

私もこの件について、国連独立調査団長のゴールドストーン判事にインタビューしたかいがありました。。

http://hrn.or.jp/activity/topic/hrn-2/

とはいえ、ガザの人たちの状況が変わったわけではなく、いまだに誰も1400人もの殺りくについて責任を問われてすらいません。

ということで、NGOヒューマンライツ・ナウで、ガザ紛争:2月26日国連総会決議を受けてのステートメント

[日本とヨーロッパ諸国の賛成を歓迎する一方、国際社会のより積極的な行動が今後不可欠]を公表しました。

是非ご参照ください。

http://hrn.or.jp/activity/topic/226/

         

あの方が来日・・

今日は話題がうって変わりますが(以下、真面目な弁護士系サイトには転載しないでください)、私が大ファンのヒュー・グラント氏が新作とともに来日され、あえるわけではないけれど、嬉しくなりました。

私はヒュー・グラントがジョージ・クルーニーと並んで好きなのですが、

ジョージ・クルーニーが好きだというと、知り合いの男性はみな理解を示すのに、ヒュー・グラントが好きだというと、何故か途端に呆れて口も聞いてくれません。

イギリス在住の友人たちもみな同じ反応ですが(ヒューの前科のせいでしょう)、あんなにも上手な俳優、なかなかいないと思うのです。

パニック症候群で引退では、と心配されていた(人知れぬ苦労があるのでしょう)だけに、よかったですが、最後の来日になってほしくない。

http://www.cinematoday.jp/page/N0021303?g_ref=twitter

なにも、ジョージ・クルーニーのように、シリアスな役をこなす一方でダルフールに行ったり貧困撲滅の活動をしなくてもよい、彼はマイペースで、ちょっとダメな感じの彼の持ち味で演じ続けて、私たちを楽しませてほしい。ブリジット・ジョーンズの日記3がみたいし、SATCなどにもゆくゆく出てほしい。

ところで、今回ばかりは失礼ながら鳩山幸夫人に「どうしてあなたがここに?」と思ったのでした。

2010年3月 2日 (火)

高校無償化にあたっての朝鮮学校除外に関する見解

高校授業料無償化について、朝鮮学校を除外することに反対するステートメントを国際人権NGOヒューマンライツ・ナウで公表しました。

作成には第一線の専門家が多数携わっていただきました。

内容は特定の学校のみの排除は、社会権規約の定める無差別原則、人種差別撤廃条約、自由権規約、子どもの権利条約などに明らかに反する、というもの。

これはイデオロギーの問題ではなく、明らかに日本が批准した人権条約に反している、という、とっても基本的でシンプルな法律論です。

最後のウェブをクリックしていただけると、全文出てきますので、是非ご活用くださいますよう。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-53/

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