今年の注目
今年は何が起きるでしょうか。私がいま、注目していることはこんなことです。
1 普天間基地問題
なんといっても、これです。沖縄の人々の被害を軽減するために、アメリカと対等に交渉できるか、鳩山政権への期待はとにかくここにかかっていると私は思います。
2 民主党政権の人権改革
取調の全面可視化、人権条約の個人通報制度の実現、民法改正、政府から独立した人権擁護機関の設置、これらは千葉法務大臣が就任の際に公約したり、その後前向きな意向を示した課題ですが、今のところあまり目に見える進展がありません。
日本を人権に開かれた、近代的な国に(その意味では普通の国に)するためにずっと前にやっておくべきことぱかりですが、これくらいはやっていただかないと、と新政権に期待しています。
また、今年からはじまるビルマ難民の第三国定住にも注目。
3 名張毒ぶどう酒事件
私的には、とても優先順位が高い(心情的にはナンバーワン)問題。私の取り組んでいる死刑再審事件です。無実の死刑囚奥西さんはもう84歳です。今年、最高裁の決定が出されると予想していますが、なんとしても、再審無罪にしなければ!!! とかたときも心から離れず、思い続けて行動しています。そして今光があてられつつある冤罪被害者の経験を、冤罪の起きない制度改革につなげていきたい。
4 NPT再検討会議(5月 ニューヨーク)
NPTは、核不拡散といって非核保有国を監視するだけでなく、とにかく核保有国が核軍縮を進めなければ話になりません。そのための再検討会議です。
五年前はちょうどNY留学中で、参加していましたが、ブッシュ政権下で惨憺たるものでした。しかし、今年はオバマ政権が核軍縮に前向きですので、前進があることを期待。それと、核だけでなく、劣化ウラン兵器についても議論を進めてほしいものです。
5 ICC再検討会議(5月、ウガンダ)
戦争犯罪などを裁く国際刑事裁判所が2002年にスタートして、7年たち、その条約の内容を再検討しようという締約国会議です。知られていませんが、実はこれが重要。
まず、侵略を罪として裁くことを正式にスタートできるかどうか、そして侵略の定義をどうするか、が議論されます。これが決まれば、今後の侵略戦争を抑止する大きな力になるはず。
また、戦争犯罪に核兵器、クラスター爆弾、劣化ウランの使用を含めよう、という提案も出ています。NPTとあわせて非人道兵器の被害根絶のために注目すべき動きです。
6 派遣法改正
日本に戻りますが、これもぜひやってほしい。登録型派遣の原則禁止! 違法派遣の正規雇用義務化など。
7 中東和平
中東パレスチナ和平がどう進展するか、そして、一年前のガザ攻撃について、戦争犯罪の責任がきちんと追及されることになるのか、注目しています。
8 ビルマ総選挙
ビルマでは総選挙が行われる、と軍事政権が宣言しています。しかし、アウンサンスーチーさんはじめ、2000人もの政治囚が拘束されたまま。自由のない選挙では民主化の名に値しません。日本からNGOとして状況を監視し、真に開かれた選挙で民主化が実現するよう、ロビー活動などの支援を展開したいと思います。
9 ブッシュ路線をオバマは継承するのか? グアンタナモ基地問題、アフガン戦争、イラク検証。
オバマ政権に対する期待はかなり薄れつつある昨今。アフガニスタン増派はどうなるのか。武力行使が新たな人権侵害の犠牲を生み、報復を拡大させることになるでしょう。
テロ容疑者への拷問・無期限拘束で一躍国際的批判を浴びたグアンタナモ基地収容所は、政権公約に反して、1年で閉鎖されない見通し。仮にグアンタナモが閉鎖されて国内移転してもテロ容疑者の無期限拘束は継続されるかもしれません。
オバマ政権下では悪名高き愛国法も延長されそうな勢い。本当にブッシュ路線を転換できるのかが問われています。
他方、イラクの人々の戦争被害は忘れ去られたままです。イラク戦争の検証や、前政権の戦争犯罪に関する独立した調査・訴追も重要な課題です。日本でもイラク政策の検証を進めていきたい。
10 そして経済
事務所を訪れる方々も、経済状態が悪い方々が多く、本当に身につまされます。
しかし成長戦略などをしゃかりきに考えることはどういう方向なのか、人々をより追い詰めていくのではないか、バブル崩壊後の状況や小泉改革の状況を分析して、よく考えないといけません。鳩山首相は年頭に、経済のために人が犠牲になるのでなく、人々のために経済がある、という転換をすべきだ、と言っていて、理念は大変素晴らしいなと思いました。しかし、それを現実にするにはどうしたらよいのか。簡単に答えが出ず、私自身も考え込んでしまうテーマですが、この機会にみんなでじっくり考える必要がありそうです。
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