NGO活動と仕事と
弁護士業務は最近どんどん忙しくなる一方なのだけれど、同時にNGO活動のスケジュールが今週も目白おしだ。ゆえに結構自分としては大変。
木曜日 弁護士会で10年以上前に刊行したセクシュアル・ハラスメントの本の改訂作業。10年前の本を読むと当時はセクハラという概念もはっきりしておらず、初歩的な議論をしていたなあ、と感慨深い。日本ではいろんなことは遅々として進まない、とよく思うのだけれど、それでもいろいろと進んでいるんだな、と思う。全面改訂をすることに。
お昼は、大手外資系法律事務所へ。HRNのランチタイム・セミナーを開催してもらう。英語でプレゼン。日ごろ大企業の弁護をされている弁護士さんたちが実は人権に関心があって、みなさん興味を持って聞いてくださった。HRNのためにボランティアで活動をしてくださる、とのことで、嬉しい限り。
その後、国会でNGOによる議員さん向けのパレスチナ勉強会。ガザで人道援助をしているNGOさんたちの報告のあと、私たちの団体から、人権をめぐる取組について報告。
国連がイスラエルに戦争犯罪の捜査をきちんとやれと求めている状況を報告した。これに対して、日本政府は民主党政権になってもこの動きに消極的、ということもお話しした。「ガザの復興はもちろん大切だけれど、ガザの人たちが望むのは、虫けらのように殺されないこと。二度と建物を壊されないこと。戦争犯罪の責任を追及することがその保障になる」と訴えました。すると、与野党問わず、是非なんとかしよう、ということを言ってくださる国会議員の方が多数。心強く思いました。
出席議員のみなさん、忘れないで、ぜひ国会で質問してください!!
その後事務所で法律相談。犯罪被害者の問題である。その後、DVの保護命令に対して、相手方から即時抗告を受けていた事件で、即時抗告が棄却されたとの決定(少し審理に時間がかかっていた)が、高裁からようやく届き、ほっとする。
その後HRNに関心をもってくださる読売新聞の記者さんたちとの懇親会。
金曜日、難航していた離婚事件がやっと決着。調印にこぎつける。前日の夜まで話がまとまらず、成立が危ぶまれていたので、心からほっとする。
その後、外務省へ。日本の人権・人道団体と共同で、スリランカの人権・人道問題について外務省の西村政務官に要請。スリランカは内戦の終結に国連が関与しないため、多数民族で構成される政府軍が少数民族の反乱軍を降伏させ、その過程で大規模な残虐行為が起き、多くの少数民族が強制収容キャンプに収容され、人道危機が深刻化しているのだ。
政府の反応は、とりわけ、現場で人道危機を目撃しなから活動している人道支援団体の方々からは物足りないものだったようだ。しかし、一方で、新政権も全然知らないところに投げ出されたようなもので、慣れないのに連日いろんな要請を受けて、大変なことだとつくづく思ってしまう。あまり効果的にファンクションしていないようにも思うのだが、責めたり、要求したり、文句をいう、というのだけではなく、長い目でみてよい仕事をしていただけるように信頼関係を築いていきたいと思う。
その後、事務所で新しい離婚事件のご相談。私のアドバイスは「もうすぐDVになりそうな兆候がありあり。早く夫から逃げなさい!」
夜は、先日ご紹介したビルマ報告会。在日ビルマ人の方々が来てくれ、私たちの活動について「ビルマ人を代表して心から感謝」してくださるという思いがけない展開で感動して、思わず涙が。学生さんや、前日に卒業試験(二回試験と呼ばれる)を終えたばかりのこれから登録する新人弁護士たちも多数参加してくれ、報告会にこころを動かされて何か新しいアクションを考えてくれるという。とてもうれしかった。
土曜日、世田谷の男女共同参画の取り組みをしている「らぷらす」で「働く女性が知っておくべき法律知識」と題して講演。ちょっと前までは、女性×労働というとセクシュアル・ハラスメントの話がメインだったが、今では雇用が危ない。そこで、解雇制限や労働契約法、派遣切りなどをメインにお話しする。参加された方々のお話から、女性たちもセクハラ以外にもいろいろな脅威にさらされていることを痛感する。法律が絵に描いた餅なのである。
事務所に戻り、クライアントの女性の代理人として、労働事件で「労働条件の不利益変更には応じません」という通知を相手方に送る。
夜は無実を争う刑事事件の打ち合わせ。この事件、なんといってもかんばらなくては。
明日は埼玉と渋谷に仕事に赴こうと思ったが、クライアントさんからいずれも明日はやめておきましょう、というお話。
明日はひさしぶりに休めもかもしれない。