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2009年9月

2009年9月27日 (日)

HRNメルマガ 千葉法相会見を受けて

民主党政権ができて、いろんなことが動いていますが、

私が運営に参加しているNGOヒューマンライツ・ナウの

最新ニュースでは、日本の人権課題について取り上げてみました。

ご紹介させていただきます。

政権が交代し、新しく法務大臣となった千葉法相は、記者会見で以下の公約の実現をしていく姿勢を表明しました。
■ 国内人権救済機関の設置(政府から独立した人権救済機関の設置)
■ 主要人権条約の個人通報制度の受諾(個人通報は、条約違反の人権侵害があると考える個人が直接国連に救済申し立てをする制度。自由権規約、女性差別撤廃条約、拷問禁止条約など主要な人権条約に基づくシステムで、これら人権条約の選択議定書の批准により実現します)。
■ 取調べの可視化(被疑者の取り調べの全過程を録音・録画する制度の導入)

これらはすべて長らく待たれていた、日本の人権状況の改善に最低限必要な重要な改革です。
ヒューマンライツ・ナウは法務大臣による姿勢表明をあらためて歓迎するとともに、これらの速やかな実現にむけて、必要な協力、提言、貢献をしていく予定です。

ヒューマンライツ・ナウは7月の総会の際に、国内の人権状況の改善について、より積極的な取組をしていくことを確認しました。今後その状況も報告をさせていただきますが、ぜひ私たちの足元の人権課題に対する取り組みについてもご協力・ご支援をよろしくお願いいたします。
さて、ヒューマンライツ・ナウ阿部理事長が、千葉法相の会見を受けてコメントを発表しています。
ほかのウェブサイトからの転載ですが、千葉法相の会見内容とあわせてご紹介させていただきます。

今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。

      ヒューマンライツ・ナウ事務局長 伊藤和子

http://wan.or.jp/modules/articles0/index.php?page=article&storyid=143

この沈黙はなんなのか~閣僚就任会見・断想       阿部浩己

 9月16日に発足した鳩山内閣の閣僚就任会見は、歴史的な政権交代の興奮に支えられてか、この種の会見には珍しく、存外多くの人々の関心を惹きつけたようである。なかでも千葉法務大臣の発言は、国際人権法に携わる私のような者にとってひときわ興趣をそそるものとなった。

 新政権下で取り組むべき課題として法相は、人権救済機関の設置、個人通報制度の受諾、取調べの可視化という3つの事柄に言及したのだが、これらはいずれも国際人権機関からの再三の勧告にもかかわらず、旧政権下ではようとして実現の見込みが立たなかったものである。

 とくに、人権侵害の被害を人権条約機関に訴え出て権利の回復をはかる個人通報制度については、国際人権保障の要としてその存在意義がいやますなかにあって、法務省(法務官僚)が頑として受け入れを拒んできたものであった。「司法権の独立」を損ないかねない、という形式論理をかかげてのことだが、この理由をもって個人通報制度を受け入れられないと言明している国は日本以外世界に1つもない。ちなみに「司法権の独立」を持ち出した張本人が当の司法府でないことは、2002年10月3日の参議院決算委員会における最高裁事務総局総務局長の答弁で確認ずみのことである。

 個人通報制度を備えた普遍的な人権条約には、女性差別撤廃条約のほかにも、自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)、社会権規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)、人種差別撤廃条約、拷問等禁止条約、移住労働者権利保護条約、障害者権利条約、強制失踪条約がある。現時点で主要人権条約は合計9つと数えるのが通例だが、そのうちの8つに個人通報制度が備わっているわけである。(唯一備わっていない子どもの権利条約にもこの制度を付置しようとする動きが始まっている。)

 条約によっては(たとえば自由権規約や女性差別撤廃条約など)本体の条約とは別に選択議定書という別個の条約を用意し、それに入らないと個人通報を利用できないという仕組みになっているものもあるが、人種差別撤廃条約や拷問禁止条約などのように、条約本体のなかに個人通報制度に関する条項がおかれ、その条項を受諾することでこの制度が利用できるようになっているものもある。日本政府は、選択議定書を1つも締結しておらず、受諾宣言を1つも行っていない。要は、すべての個人通報制度を拒絶しているというわけである。(障害者・強制失踪条約については署名を終えて批准待ちの状態ではあるものの、個人通報制度を受け入れる意思は表明されていない。移住労働者条約は署名もしていない。)

 先進工業国のなかで個人通報制度をまったく利用できない国は日本だけといってよい。独自の路線を突き進むことが絶えない米国にしても、アメリカ大陸・カリブ海にまたがる米州機構内に設置された米州人権委員会への個人申立てができるようになっており、現に米国を相手取って、DV事案を含む数多くの申立てがなされている。アジアの近隣でも韓国やフィリピンをはじめ個人通報制度を利用できるところがふえている。

 個人通報制度の受諾は人権コミュニティにとって積年の悲願というべきものだったが、それを就任早々に法相が颯爽と口にしてのける情景は、政権交代という劇的な事態の進展なくしておよそありえなかったことといって過言でなかろう。

 もっとも、微醺を帯びた感慨にひたりながら深夜の会見の映像を追っていた身には、その場に居合わせた記者たちからの質問が法相の提示した政策課題に一片も触れずに終わったのはとんだ艶消しであった。死刑についての質問が出たのは毎度の儀式とはいえまだしも救いではあったが、記者たちには、法相の政策課題のどこにいかなる意味があるのかについての初歩的な理解が欠けているようにしか見受けられなかった。そうでなくては、意想外に踏み込んだ法相の発言に集団的無反応というあまりにも浮薄な態度を決め込むことなどできなかったのではないか。

 翌日以降の報道をみても、全国紙・地方紙のレベルでは、取調べの可視化について触れるものはあっても、個人通報制度に言及したことの意味合いを論じたものはなかなか見つけられない(9月18日現在)。マスコミにおけるこの沈黙はいったいなにを物語るものなのか。単なる無知あるいは蒙昧といって切り捨ててしまうこともできるのかもしれないが、ただそうだとしても、なぜそこまで無知であり得るのかについては別途考究せねばならぬことではあろう。

 とくに女性差別撤廃条約選択議定書については、本年7月の女性差別撤廃委員会における日本政府定期報告審査にあわせて市民運動がその締結を強くはたらきかけたにもかかわらず、自民党内での猛烈な反発にもあって後退を強いられてしまったという直近の背景事情がある。これはきわめて限定された集団のみが占有する特殊な情報なのではなく、いくばくかの情報アンテナさえもちあわせていれば、ましてや自民党・民主党、法務省、外務省などに日常的に出入りしている人々には、簡単に知り得ることではなかったのか。

 個人通報制度を受諾すると、日本の国内で対処しきれぬ人権問題が国際的な場に持ち出されてしまうことを恐れる向きがあることは承知している。そのどこが悪いのか、とも思うが、そうした思いを嚥下して議論を続けるなら、この制度が利用可能になることにより、制度に忠実な日本では、行政機関と司法機関の人権条約に対する向き合い方が少なからず変わっていくと思う。とりわけ日本きっての「エリート」層を構成する裁判官たちが人権条約に正対する姿勢を見せていくのではないか。

 個人通報制度は、国内で裁判手続きを尽くしてなお救済されぬ事案を国際的な場(人権条約機関)で審査するものである。そこでは当然に国内裁判所における条約解釈のあり方も俎上にのぼる。となれば、エリートの沽券にかけて、条約解釈の過ちを指摘されるような失態を犯すことは避けなくてはなるまい。

 そうとすれば、人権問題は、国際的な場に持ち出すまでもなく、日本の国内(裁判所)で解決される可能性がかえって広がっていくことにはなるまいか。逆説的ではあるが、個人通報制度を受諾することにより、日本の人権問題は日本の国内で国際基準に照らして対処されるケースがふえていくことになるかもしれない。

 それは、内向きの論理に閉ざされがちな日本の司法や行政を外に「ひらいていく」契機ともなる。そしてひいては、裁判員として裁定を下す「日本国民」の思考をグローバルにひらいていくことにもつながっていこう。

 ことほどさように、個人通報制度を受諾することの含意は思念を重ねるほどに広がりを見せていく。新法相の果敢な発言にまるで申し合わせたかのように沈黙を保ったマスコミの人々にも、ぜひその含意を汲み取る作業に従事してもらいたいものである。ほんの少しでいいから、「国際」というものへの関心をもちあわせてもらえないものかと念願する。むろん「国際」とは米国の謂いなどではない。国内の公的機関(行政官僚)にぶら下がって得られる他律的情報に思考を閉ざすのではなく、市民社会や国際社会において台頭する様々な潮流の意義を精確に掴み取る知的センスが報道に携わる人々には欠かせまい。そう期待するのはけっして過大なことではないと思うのだが。

【資料】新閣僚記者会見より(http://www.nikkei.co.jp/senkyo/2009shuin/elecnews/20090916AS3K1602B16092009.html

 このたび法相を拝命した千葉景子です。このたびの新しい政権は多くの国民の皆さんがつくられた政権だろうと思っている。それに込められた国民の皆さんの思いをしっかりと法相という立場で実現をさせていただきたい思いだ。

 具体的に言うと、やはり国民の皆さんと約束をしたマニフェスト(政権公約)を1つずつしっかりと実現していくことに尽きるのではないかと思っている。特に首相からは、国民に身近な充実した司法の確立、そして人権が尊重される、安心して暮らせる社会、こういう大きな理念のもとにマニフェストの具体化を、という指示を頂いた。その実現に向けて取り組んでいきたい。

 1つは人権侵害救済機関の設置の問題だ。これは国際的にみても当たり前の機関ということにもなっている。ぜひ、これの実現に向けて早急に取り組んでいきたい。ただ、これは常々私も考えてきたが、内閣府の外局に設置をするということを考えているので、いずれ設置法の改正や内閣府との協議等々も含めて進めていきたいと思う。

 個人通報制度を含めた選択議定書の批准も進めていきたい課題だ。人権条約、あるいは女子差別撤廃条約に選択議定書、個人通報制度が盛り込まれている。これはいろいろな司法との関連等々が指摘されているが、これも国際的な基準に基づいて、ぜひ、国際的にも日本がたいへん積極的だという発信をしていけたらと思う。条約なので、外相と様々な連携を図り実現に向けていきたい。

 これまでマニフェストでたいへん大きなテーマになっている取り調べの可視化についても、マニフェストの実現ということできちんと進めていく。ぜひ、皆さんにご理解をいただきたい。その他のさまざまな諸課題があるが、マニフェストで約束したことを早急に取り組んでいくのがまず最優先課題だろうと思うので、そこからさまざまな課題を1つ1つ取り組みを進めていきたい。

2009年9月21日 (月)

パレスチ問題が今国連で大問題!

日本ではあまり報道されていないかもしれませんが、私たち国際人権NGOの間ではビッグ・ニュースだったのが、このニュース。

2009915日、リチャード・ゴールドストーン氏を団長とする国連独立調査団が、200812月以降のガザ紛争に関する調査報告書を発表したのです。ニューヨークで記者会見が行われ、それをウェブキャストできいていた私たちは快哉を叫びました。久しぶりに胸のすくようなニュースです。

574ページにわたる報告書は、イスラエルの軍事行動について国際人権法・人道法に対する重大な違反が証明された、とし、戦争犯罪に該当する軍事行動が行われた、と結論付けています。同時に報告書は、パレスチナ武装組織の行動に関しても、戦争犯罪に該当すると結論づけました。

この調査団は、200812月以降のガザ紛争直後に採択された国連人権理事会決議を受けて任命され、南アフリカ憲法裁判所判事、旧ユーゴ戦犯法廷検察官の経歴を持つゴールドストーンさんをはじめ、国際的に権威のある専門家からなっています。

ところで、何がすごいか、というとこの報告書が出した思い切った勧告です。

最も注目すべきは安保理に対する以下の勧告です。

1        安保理は、国連憲章40条に基づき、イスラエルに対し

1)      本調査報告書に指摘された国際人権・人道法違反に関し、国際基準に立脚した、独立性のある調査を三か月の期間内に実施すること、

2)      さらに三か月以内に、いかなる調査および訴追が行われたかを報告すること

2        国連安保理内に、イスラエルによる国際人権・人道法違反の調査状況を監視する専門家の独立委員会を設置して監視を行うこと

3        上記6か月以内に、誠実な調査・訴追がなされない場合は、国連憲章7章に基づき、ガザ紛争に関する一連の事案につき、国際刑事裁判所(ICC)に付託すること

報告書はさらに、国連人権理事会に対して

1        本調査団の勧告を支持し、勧告の実施に必要な行動をとり、勧告の実施状況を監視すること

2        国連事務総長に対し、本報告書を安全保障理事会に提出するよう求めること

3        国連総会および国際刑事裁判所検察官に本報告書を提出すること

を求めています。

 国連総会に対しては、ガザにおける軍事行動における本調査報告書などが指摘する国際人権・人道法違反行為に対する責任追及のために国連安保理がいかなる措置を取ったかの報告を求めるよう勧告しています。さらに、国連総会には、「平和への結集」(国連総会決議377(V))などに基づき、安保理の措置に付加して取るべき行動を検討することもできるだろう、と示唆しているのも面白いところです。

安保理が動かないなら国連総会が動こう、というところでしょう。

  1400人余の尊い人命が犠牲になったのに、ガザ攻撃に関してイスラエルは何の責任もとっていないわけですので、きちんと国内調査をしないのであれば、国際刑事裁判所に訴追、というのは本当に道理にかなっています。でも、誰も不可能だと思っていいださなかった。それを勇気をもって最も権威のある調査団が言ってくれたのはすごいことです。  

 929日には、国連人権理事会がガザ問題に関する特別セッションを実施するのです。

そこで、私は今、ジュネーブで、すべての理事国に対し、調査団の報告書とともに、調査団の勧告を支持する決議を採択するように働きかけているところです。

  実は、1月の人権理事会で、日本はEUと一緒に棄権しています。カナダなどは、決議に反対しています。それと、いつもイスラエルをかばうアメリカも今回人権理事国になっています。

 日本も、アメリカも、ブッシュ政権&麻生政権時代からの外交政策の変化を示す試金石として、正義の実現のために賛成票を投ずるべきだと私は思います。

 人権とか、法の支配とかいつも言っている国が、どんな投票行動をするのか、みなさんもぜひチェックしてください。

ジュネーブ国連人権理事会にて

実は先週より、ジュネーブに滞在し、国連人権理事会に参加をしています。

ジュネーブは本当に秋の気配。シックな秋を満喫しています。休日を利用してパリにいこうかとも思いましたが、仕事で今日はこもっています。

今回は、ビルマ、パレスチナ、カンボジアなどの問題で各国政府に働きかけをするために来ました。ヒューマンライツ・ウォッチさんや、アジア人権委員会、南米のNGOなどと一緒に行動しています。それと、アムネスティ・インターナショナルさんも非常に親切にいろいろと教えてくれますね。アムネスティは日本の死刑について発言してくれましたし。多謝。

しばしばみなさんと飲みに行って交流を深めています。そうそう日本のNGOも今回は結構たくさんいらっしゃっています。

どの国も、どのNGOも日本の政権が変わるので、投票行動も変わるのではないかと興味深々、いろんなことを聞かれました。

しかし! ジュネーブに駐在する人が変わりませんので、あまり変わり映えがしない感じなのです。

だいたい新政権の方々は人権理事会があることを知っていらっしゃるのでしょうか、という感じすらあります。引き継ぎというのは大変なものなのでは。。。

投票は来週以降なので、キャッチアップしていただくべく私たちも努力しないといけません。

いつも思うことなのですが、パレスチナ問題をはじめ、いろんな論点について、日本は国連で、どちらかというと他人事、というんでしょうか、「いろんな国の意見も聞いて自分たちの投票行動を決めたい」という雰囲気があるのですが、日本には、イニシアティブをとって流れをつくるくらいの役割を人権理事会で果たしてほしい、というのが私の考えです。

その点、EUやアメリカがひとつのグループ、中東や途上国がもう一方のグループをつくってますが、面白い動きをしているのは、ノルウェー、スイス、メキシコ、コスタリカなどと言った国でしょうか。90年代はミドル・パワー・イニシアティブと言われましたが、中堅国なんだが、イニシアティブを発揮して世界のための善をなす、そんな国に私は期待をしていて、積極的にお話をしたりするのですが、日本もぜひそういう国になってほしいですね。

というのも、国連人権理事会では、途上国と先進国の対立があまりにも激しく、手続きが政治的になっています。宗教対立も背景にありますので、イスラム教ともユダヤ教とも、キリスト教とも、またユダヤ人迫害の歴史ともあまり縁のない日本や南米のような国が間に入って解決すべきポジションにいるはずだ、と私は思うのです。

法務大臣に期待

千葉景子法務大臣の会見。

私はリアルタイムで見られていませんけれど、とても受け答えに好感を持ちました。

法務大臣が、人権尊重、というとてもまっとうなことを言ってくれる、そして議論しながらそれを具体化しようとしている、そんなことに日本もなるのだ、というのが嬉しいです。

死刑についても、これからの国民的議論をどうつくっていくのか、に期待したいと思います。

(9/16)千葉景子法相、死刑執行のサイン「職責踏まえて慎重に考える」

【冒頭発言】

 このたび法相を拝命した千葉景子です。このたびの新しい政権は多くの国民の皆さんがつくられた政権だろうと思っている。それに込められた国民の皆さんの思いをしっかりと法相という立場で実現をさせていただきたい思いだ。

 具体的に言うと、やはり国民の皆さんと約束をしたマニフェスト(政権公約)を1つずつしっかりと実現していくことに尽きるのではないかと思っている。特に首相からは、国民に身近な充実した司法の確立、そして人権が尊重される、安心して暮らせる社会、こういう大きな理念のもとにマニフェストの具体化を、という指示を頂いた。その実現に向けて取り組んでいきたい。

 1つは人権侵害救済機関の設置の問題だ。これは国際的にみても当たり前の機関ということにもなっている。ぜひ、これの実現に向けて早急に取り組んでいきたい。ただ、これは常々私も考えてきたが、内閣府の外局に設置をするということを考えているので、いずれ設置法の改正や内閣府との協議等々も含めて進めていきたいと思う。

 個人通報制度を含めた選択議定書の批准も進めていきたい課題だ。人権条約、あるいは女子差別撤廃条約に選択議定書、個人通報制度が盛り込まれている。これはいろいろな司法との関連等々が指摘されているが、これも国際的な基準に基づいて、ぜひ、国際的にも日本がたいへん積極的だという発信をしていけたらと思う。条約なので、外相と様々な連携を図り実現に向けていきたい。

 これまでマニフェストでたいへん大きなテーマになっている取り調べの可視化についても、マニフェストの実現ということできちんと進めていく。ぜひ、皆さんにご理解をいただきたい。その他のさまざまな諸課題があるが、マニフェストで約束したことを早急に取り組んでいくのがまず最優先課題だろうと思うので、そこからさまざまな課題を1つ1つ取り組みを進めていきたい。

【質疑応答】

 ――法相は死刑廃止議連のメンバーか。死刑執行の命令書にサインするか。

 「私は議連のメンバーだ。死刑の問題はやはり人の命ということになるので慎重に取り扱っていきたいと思う。法相という職責を踏まえながら、慎重に考えていきたい。ただ、死刑の存置、廃止等については議論がある。それに代わる終身刑導入はどうかという議論もある。そういう意味では、裁判員制度も導入され多くの皆さんが死刑という問題にたいへん深い関心と、いろいろな意味での思いを抱いていると思うので、ぜひこれはできれば広い国民的な議論を踏まえて、これから私たちが行く道を見いだしていきたい」

 ――冤罪(えんざい)の可能性が全くなければやむを得ないか。

 「慎重に考えていく」

 ――小沢一郎幹事長の秘書が絡む西松献金事件の捜査や鳩山由紀夫首相の「故人献金」問題にどう対応していくか。

 「これは特別なことではない。適正な判断をしていきたい」

 ――指揮権の発動についてはどのような見解を持っているか。

 「検察というのも行政の1つだから、それに対して法相が一般的に指揮権を持っているということは認識している。ただ、個別の事件についてどのような権限があるかと言えば、1つは恣意(しい)的な、党派的なそういうものを排除する(権限だ)。しかし、国民の視点に立って検察の暴走をチェックするという点からきちんと指揮権というのを踏まえて対処していくべきだと考えている」

2009年9月17日 (木)

「未知との遭遇」 新政権

海外出張中のため、新政権発足のニュースはネットでみています。

新しい内閣の顔ぶれには期待ができるところも多く、とくに同じ女性弁護士の大先輩である、千葉景子さん、福島みずほさんの入閣がとてもうれしく、頼もしい。

私は外交と人権、女性にかかわる政策の実現を特にチェックして、意見を表明していきたいと思っています。

千葉さんは、取調の全面可視化、人権条約の選択議定書の批准、独立した国内人権機関の設置という公約を実現するといわれたとのこと、これらは人権問題にかかわってきた人々-私も含め-の長年の願い-悲願ともいえる-であり、本当に実現の検討に入るのかと思うととても感慨深い。。。

報道によると、

鳩山新首相は政権運営にあたり、「国民参加」の重要性を強調する一方、政治主導の確立や国民主権を「未知との遭遇」とも表現。「色々な試行錯誤の中で、失敗することもあると思う。辛抱強く、新しい政権をお育て願えれば、幸いに思っている」と理解を求めた。

未知との遭遇とは言いえて妙。国民主権が未知との遭遇というのは実に嘆かわしいことなのだが、日本にもそんな状況を変える新しい風がいよいよ吹くのだろうか、などと観測するだけではなく、ポジティブな変化を後押ししたいと思います。

2009年9月14日 (月)

ロンドン到着

いま出張でロンドンにいます。

とにかくびっくりするくらい、寒い。。。

ヨーロッパ、とくにイギリスの夏は本当に短いものですね。

2009年9月12日 (土)

今週末のご案内

激動の日本を横目で見ながら、台湾、ジュネーブと海外出張が続く今日この頃ですが、

NGOヒューマンライツ・ナウのほうでは、そんな事務局長(私)の予定はおかまいなく、

いろいろとイベントを企画しております。

今週末は以下のようなラインアップですので、ぜひよろしかったらご参加くださいませ。

明日は成田から駆けつけます。

・・・・・ご案内・・・・・

HRN子どもの権利プロジェクト学習会
「アジアにおける人身売買の現状と私たちにできること」

HRN子どもの権利プロジェクトでは、
アジアにおける人身売買をなくすための
取り組みをはじめていますが、
アジアにおける人身売買の現状と、
日本における人身売買の防止に向けた取り組みについて
理解を深めるため
下記の学習会を企画いたしました。

ぜひ、みなさまにも一緒に学んでいただけましたら幸いです。

【日時】 2009年9月12日(土) 15:30~18:00

【主催】 (特活)ヒューマンライツ・ナウ

【会場】 青山学院大学 総研ビル3階10会議室
   JR山手線、東急線、京王井の頭線「渋谷駅」宮益坂方面の出口より徒歩約10分

    地下鉄「表参道駅」B1出口より徒歩約5分
         http://www.aoyama.ac.jp/other/access/aoyama.html
    一階には「青山学院大学人権研究会」の表示が出ます。

【講師】
        森田明彦さん 「人身売買法の制定への課題」
   橋本直子さん 「日本とアジア地域における人身売買の現状と防止に向けた取り組み」

【資料代】 500円

【講師紹介】
□森田明彦(もりたあきひこ)さん
外務省、国際連合開発計画、財団法人日本ユニセフ協会広報室長等を経て、2006 年4月より東京工業大学特任教授。そのかたわら、国際的な子どもの権利NGOであ るセーブザチルドレン・ジャパンのシニア・アドバイザー、フリーザチルドレン ・ジャパン理事等を務める。

□橋本直子(はしもとなおこ)さん
日本政府外務省在ニューヨーク国連代表部・人権人道問題専門調査員、 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)北部スリランカ(ワウニヤ)事務 所・准法務官などを経て、07年8月より、国際移住機関(IOM)駐日事務所にて プログラム・マネージャー として勤務。日本における人身取引被害者など脆弱な立場にある移民の保護・支 援を行う傍ら、日本の移民政策に関するアドバイス等を行なう。

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今年もこの季節がやってまいりました。
9月13日、東上野の丸幸ビル(通称NGOビル)に事務所を構える10団体が集結し、
「NGOまつりin上野2009」を開催します!!
http://ngomatsuri2009.blog88.fc2.com/

今年のテーマは『アナタが気付けば セカイが動く~』
ヒューマンライツ・ナウも、団体企画、全体企画と多数のイベントを
皆様にお届けいたします。

【ヒューマンライツ・ナウ企画】
(丸幸ビル3F、HRN事務所内にて行います)

11:00-12:00 在日ビルマ難民の方のお話
 スピーカー:チョチョアイさん(ビルマ女性連盟)
 軍事政権化のビルマの実情を、ご自身の体験から語っていただきます。

14:00-15:00 「若手弁護士とボランティアが語るHRN」
 団体立ち上げから関わる鈴木麻子弁護士と、活動に積極的に関わる インターン・ボランティアスタッフがヒューマンライツ・ナウの活動や、 自分たちの想いを語ります。

16:00-17:00 在日ビルマ難民の方のお話
 スピーカー:チョチョアイさん(ビルマ女性連盟)
 軍事政権化のビルマの実情を、ご自身の体験から語っていただきます。

17:10-18:00 みらいの法律家学校「ピースローアカデミー」を尋ねて
 HRNが支援をしている、タイ・ビルマ国境にある法律学校訪問の報告会を行います。
 ビルマ国内では学べない「人権」「国際法」を、国の未来のために学ぶ若者達のことをぜひ聞きにきてください。

※当日HRNでは、ビルマのお茶と揚げ春巻きの販売をします!

 【NGO祭り全体企画】
15:30-17:00 アナタが気付けばセカイが動く~セカイを動かす小さなヒント~
 様々なバックグラウンドを持つ3人のNGO職員が、 私たちの身近にある国際協力について語ります。(丸幸ビル5階)

日本国際ボランティアセンター(JVC) ラオス事務所スタッフ グレンハント
アフリカ日本協議会(AJF) 斉藤龍一郎事務局長
ヒューマン・ライツナウ(HRN) 鈴木麻子弁護士

18:00~19:30 キャンドルナイト(丸幸ビル屋上)

・NGOに聞きたいこんなこと!(展示)

他にも各フロアーでいろんなイベントが目白押しです。
ぜひ、足をお運びください。

日経ウーマンにコメントが掲載されました。

最新号の日経ウーマンの、出産・妊娠に関する特集がありますが、法律面で私がコメントをさせていただいています。

最近、産休・育休を理由に解雇される事例が問題になっていますが、私の感覚では今に始まったことではない、とにかく、「産休がないので、妊娠したらやめるしかない、ほかに前例がないんです」という女性が全国の職場でとても多いのです。

ウーマン誌上でも書きましたけれど、産休取得や、妊娠・出産として解雇したり、不利益に取り扱ったら、明らかに均等法違反ですし、育休切りも法律違反です。

一回仕事をやめたら、今のご時世、いつ仕事につけるかわかりません。また、正社員の人が出産を機に仕事をやめたら、正社員復帰はなかなか難しく、パートや派遣になってしまうのが今の厳しい状況です。それ自体問題なのですけれど、まずは、やめないことが大事だと思います。出産して、いろいろとつらくても、法律は女性の味方ですので、法律を賢く楯にして、絶対に仕事をやめないでがんばってほしいものです。

2009年9月11日 (金)

台湾の馬総統におあいして

国際会議に招待されて、現在台湾にいます。

台湾ははじめてですが、究極のトンボ帰りで、観光はまったくできないのが残念です。

会議の関係で、台湾の馬総統におあいする機会がありました。

あちらも新政権発足で大変忙しいだろうに、

http://mainichi.jp/select/world/news/20090911k0000m030103000c.html

一時間も時間をとってくれ、台湾を中心とするアジア地域の人権問題について話し合いました。

私は台湾の政治のことはまったく知りませんでしたが、リーダーがあれほど人権問題や刑事司法改革について詳しい知識を持ち、人権尊重をひとつの任務として熱意を持って取り組んでいることに感銘を受けました。人権尊重の姿勢が「弱腰」と批判されているそうですが、批判されてもやりぬくのだとおっしゃっていました。

日本の新しいリーダーにもかくあってほしいものだ、と思いました。

新政権への総合的政策提言発表

日本の新政権が来週には誕生しますね。

私が所属しておりますNGOのヒューマンライツ・ナウでは、

新政権発足にあたって、

以下のリリースを出しましたので、アップさせていただきます。

また活動近況もあわせてアップさせていただきます。

詳細は、

http://hrn.or.jp/  もご確認ください。

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このたびヒューマンライツ・ナウでは、

新しく民主党を中心とする政権が発足するのを前に、

人権を中心とする外交への転換および国内の人権課題の改善に関する総合的な

提言をとりまとめ、公表いたしました。

http://hrn.or.jp/activity/advocacy.jpgobt2009.pdf

(これをクリックしてください)

提言では、今後の国際貢献・外交の中心として、人権促進を位置づけ、

アジア地域での人権機構の設立へのイニシアティブや、援助政策に

おける人権・ジェンダーの主流化などを進めることを求めています。

また、国内人権政策については、政府から独立した人権擁護機関の設置、

冤罪を生まない刑事司法の改革、人権条約の選択議定書の批准により

個人が人権条約機関に救済申し立てをできるようにすること、従軍慰安婦

など戦後補償の解決などを求め、今後も政策提言や人権政策の前進にHRN

として貢献していく姿勢を述べています。

これまでも、折にふれてHRNとしての政策提言をしてまいりましたが、

今回これまでの提言をとりまとめ、HRNとしての総合的な提案として公表した

ものです。今後その実現にむけて鋭意取り組む予定です。

HRNでは、国際的な人権課題に多く取り組んできましたが、日本における

人権政策の大きな転換の実現に貢献するため、今後、提言書に重要課題として

あげた日本の人権課題についても、活動を強化する予定です。

なお、ヒューマンライツ・ナウでは、914日の人権理事会の12会期開催にあたり、

カンボジアの人権特別報告者の再任

パレスチナ、ガザ攻撃に関する真相究明

3 ビルマにおける人権状況の改善

を求めて現地でロビー活動を展開する予定でおります。

カンボジアに関連して以下の要請書を日本政府におくり申し入れを行いました。

http://hrn.or.jp/activity/topic/surya-prasad-subedi/

ビルマに関しては、以下の声明を発表しています。

http://hrn.or.jp/activity/product/statement/post-38/

パレスチナに関しては、国連の独立調査団の報告発表を受けて意見表明をする

予定でいます。ガザの国連施設に対する国連調査団の報告書を入手し

和訳して公表いたしましたので、ご活用いただければ幸いです。

http://hrn.or.jp/activity/area/cat69/200812272009119/

ヒューマンライツ・ナウでは、ガザ地区に対する攻撃が国際人権・人道法に対する

重大な違反がある可能性が極めて高いと考え、今後も国連調査の動向を

フォローアップしていく予定です。

今後の政権交代で様々な政策課題の実現に、HRNとしても提言やアドボカシーを続けていく予定ですので、

今後とも、なにとぞよろしくお願いいたします。

ヒューマンライツ・ナウ事務局長 伊藤和子

2009年9月 7日 (月)

大人のサロン

先日、敷田みほさんのお勧めで、彼女が通っている表参道の美容院へご一緒しました。

敷田さんは、女性社長をしているんですけれど、裁判員制度に関する市民団体「市民の裁判員制度・つくろう会」(先日解散してリニューアルしたようですが)の事務局長もしているパリキャリ。しかし、いつも華麗なたたずまいで、髪型も上品にくるんくるんしていて、とても女性社長らしい。感銘を受けた私が美容院を紹介してもらったわけです。

それで、行ってみると、「こんなに居心地のいいところあるかしら」と思うような落ち着ける美容室で、観葉植物がたくさん置かれていて、リゾート気分。

モーリシャスのグラビアなどを見ながらパーマをかけている最中に寝てしまい、起きた後はアロマ・マッサージの施術後を思わせる心地よさでした。

最近は国連大学や青山学院大学にしか用のない表参道ですが、やはりこんな落ち着ける、素晴らしい大人のサロンが、と改めて思いました。

パーマも実によかったけれど、とにかくすぐに落ちてしまうので、「今回はどれだけもつかなー、もってほしいなー」というところです。

 そのあとはこちらも女性社長の大先輩の城所さんらと合流し(彼女はかぐや姫っぽい)、ご飯。

 城所さんと敷田さんの共通点は、女性で会社を経営しながら、今の司法を改革する、などの市民としての活動を積極的に展開していることです。

 女性で会社を起こして成功させているだけでもすごいのに、NPO活動、しかも女性が敬遠しがちな司法、刑事裁判という分野で一目置かれる活動をしているのはすごい。

しかも涼しい顔してやってる。

 経済的基盤を確立し、さらに社会を構成する市民として社会に問題提起を続けていく、それだけのパワフルな人は、そうはいってもなかなかいないものです。 

 私も少し遅ればせながら、法律事務所を経営し、司法改革について問題提起をいろいろさせていただきつつ、ライフワークとしてNPOを立ち上げ、事務局長をしているので、結構ライフスタイルが似ている。

 こうやって時々(美容院にいくタイミングで)みんなで会って、互いの奮闘をたたえ、互いのパワーを吸収しあって、さらにパワーを高めていこうと考えてます。

2009年9月 2日 (水)

政権交代劇のあと。

日曜の夜から月曜の朝にかけて興奮やすがすがしさを味わった方々も多いことでしょう。

なんといっても、日本で長らく実現しなかった政権交代が実現したのは素晴らしいことだと私は思います。

民意により、政権が交代する可能性があってこその民主主義、それが日本ではずーっとなかったわけですから、かなり新陳代謝の悪い不健全な社会だったのではないかと思います。私たちも「やれば変化をつくれる」という経験をするのは市民のパワーを再確認するという意味でも非常によい体験です。

ただ、私としては、政権交代が実現する選挙制度であるべきとは思いますが、それが小選挙区制か、というと疑問です。小選挙区では自民か民主かという二つのチョイスしか、事実上ないわけですから、まさに二者択一・黒か白かを迫られるわけで、市民の多様な価値観・意見がきちんと代表されていないと思うのです。私は中選挙区とか比例代表で、小政党、たとえば環境政党など細かく存在して、みんながチョイスでき、その代表がきちんと議論して合意に至るのが理想的な民主主義形態だと思います。

さて、以前のこのブログでも以前書いたのですけれど、政権交代をしたあとに民主党の公約がちゃんと実現されるのか、はたして公約はすべてよいのか、きちんと監視・チェックしないといけないのでは、と思っています。

私がとりわけ注目しているのは人権政策と安全保障政策、雇用対策などなど。

人権政策についてはとにかくマニフェストに掲げた公約や、これまで法案として自ら提案してきたことは、躊躇せずに実現してほしい。そのために、いろんなチャンネルで働きかけたいと思います。報道によると、

官僚早くも「民主党詣で」…資料の山、名刺配り

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090901-OYT1T00591.htm?from=main2

ということですが、公約を実現してほしいと思う、市民社会もどんどんロビーをしないといけないとと思うのです(NGOのなかには民主党政権、期待できない、とシニカルな人もちらほらいるんですが、それじゃ、変わるものも変わらない)

一方、安全保障政策は、あまりにも隔たりがありすぎ、誰が主導権を握るのかで天と地ほどの差がありそうで、要注意です。

もうひとつまったく別の観点から。

小泉チルドレンと小沢チルドレンをみていると、女性の議員が使い捨てのコマにされているような気がして仕方がありません。猪口邦子さんみたいなキャリアを積んだ人が学者をやめて議員になられて一期で使い捨てなのを見ると、ますますその感を強くして、その意味でも小選挙区中心はどうなのだろうか、と思ってしまうのです。

日本における女性の政治参加の進展は、そういう弱肉強食の死屍累々を乗り越えないと実現しないものなのでしょうか、、、と複雑な思いになりました。

では、今日はこのへんで。

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