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2009年8月19日 (水)

とても素晴らしい体験 その1

この夏はしばらく、タイのメイソットに滞在していました。

その体験があまりに感動的だったので、少し何回かにわけてご紹介したいと思います。

タイ・ビルマ国境の町メイソット。そこから車で30分ほどいったメクという緑豊かな地域にある学校「ピースローアカデミー」。ここでは、ビルマ国内や難民キャンプからきた20歳から25歳のビルマの若者たちが法律、人権、民主主義について学んでいます。

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(のどかな学校風景です。)

彼らは将来はビルマに戻って地域のリーダーとなったり、人権を守る法律家になったり、タイ・ビルマ国境にとどまって難民を支援したり、エイズ患者などのもっとも苦境に置かれた人々を助けたり、民主化運動に加わることを希望しています。彼らにこの学校にきた理由をきくと、「ビルマでは人権がない。とてもひどい人権侵害にみんなが苦しんでいるから」と口ぐちにこたえます。「誰も自分が苦しんでいるのが人権侵害だということを知らない。だから不当なことに耐えているだけ。帰国したら私が人権についてみんなに伝えたい、不当な目にあわないように、自分たちを守るために」。そんな25人の生徒たちの、勉強に向かう目は真剣そのもの、自分だけでなく、自分の国の人々のために、知識をどこまでも貪欲に吸収しようとします。彼らの目は本当に輝いていました。

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(授業を受けている学生たちです。目がきらきら。でも、身の安全のため、あまり大きな映像にできないのです、、)

  

 

   私はこの学校で「国際人権法」の講義をしました。ビルマでは軍事政権が人権侵害の限りをつくし、人々を弾圧しています。本来なら人権を守る憲法があり、人権侵害は憲法に違反する、という議論になるでしょう。しかし、ビルマの憲法では人権は抽象的に、しかも法律の範囲内で保障されているだけです。国の中で「人権」について話し合うだけで逮捕されてしまう危険があり、「人権」について学校では教えません。そこで、国際的な人権のスタンダードである「世界人権宣言」や人権諸条約を学び、世界ではどんな人権保障が実現されているのかを知ることがとても重要なのです。

 

まず私のクラスでは、「世界人権宣言」を勉強することになりました。1948年に国連総会で採択されたこの宣言は人権のスタンダードとして世界で共有され、ビルマ政府ですら無視できない、まさに基本文書です。講義では、学生にその条文を一条一条読んでもらいます。 そして、「ビルマではこの条項に反する事態があるのか」と聞くと、どの権利についても、さまざまな発言があがります。改めて驚いたことに、ビルマでは世界人権宣言のどの条文も否定されているのです。どの条文一つとっても、まともに実現していないのです。

たとえば、民主化運動をしている人が政治犯として拘束され、民主化デモが武力鎮圧される、というニュースは私たちもしばしば聞くことです。しかし、人権侵害はもっと日常のレベルでありました。

生徒は例えばこんなことを教えてくれました。

「うちの村には軍がきていきなり家を没収した。軍にさからえないので家はとられたままだ」「内戦が続いていて、どんどん自分たちの民族が殺されている」「強制労働や少年兵にとられてしまう。断ることは許されない」「私たちは自由に歌をつくって歌う自由がない。歌をつくったら軍政に届け出て許可を得ない限り歌えない。」「学校ではビルマ語を習い、自分たちの民族の言葉を勉強できない」「小学校は無償じゃない。たくさんの教材を買わないとならず、教材を変えない人は学校に行けない。ユニセフが毎年鉛筆1本と本を三冊生徒にくれることになっているけれど、学校は『これも買わないといけない』と言い、お金を払わせられている」「政治犯の人たちにはひどい食事、汚い水しかなく、病気になっても治療もない。同じ注射針を使いまわすので、政治犯の人たちの多くがエイズに感染してしまっている」「政府が発行する身分証明書がないとほかの州に移動できない。身分証明書を持っていても、あちこちで軍に通行止めにあい、お金を払わないと移動をさせてもらえない。」

 だからこそ、これらの権利が国際的には絶対に保障されるべきなのだ、ということが大切なのだと思います。みんな、水を飲むように、ぐんぐんと私の話を吸収していきました。

 

その様子は、自分たちの村や州、民族の人々の分まで、目となり、耳となって、人権について一言も聞き洩らさないで心に刻んでいこうというひたむきな姿勢で、とても感動させられました。

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