ポジティブにいきていく。
近頃よく思うのです。
少し私よりも上の世代の方の多い集まり、人権とか平和に関する集まりに参加すると、もちろん共感したり、教えていただくことが多い反面、ジェネレーション・ギャップを感じることも少なくありません。
その一番の原因を考えてみると、「今の日本はがけっぷちの危ない所にある」とか「日本はどんどん悪くなっている」などと危機的な状況を強調されたり、危機感をあおったりされることに、ひいてしまう、ということがあると思います。
ご心配はもっともです。またこれも一つのスタイルで、こういう言い方をしてみんなに檄を飛ばしているのかもしれません。
しかし、あまり悲観的な見方ばかりされると、そんなバトンを手渡される側は、あまりうれしくないのではないでしょうか。
日本の欠点、日々悪くなっていく現実は見つめながらも、もっとポジティブな変化、楽しい変化を求めたい、と思うのです。
たとえば、私はアメリカに留学する前は、日本の悪いところばかりが目につき、「こんな国に生まれて本当に不幸だ」と思うことが少なくありませんでした。それは、先輩世代の影響を受けたのかもしれませんね。
しかし、アメリカに留学して、世界各国から来られる移民の方々のお話、世界各国で困難な中で人権活動をしている、留学時代の仲間たちにあうにつけ、自分が知らないうちにどれだけ恵まれていたのかに気がつきました。
そして私が日本で困難に感じているのと、程度の差はあれ同じようなことを、どの国の人たちも悩み、それを解決しようとしていることにも気づきました。日本特有の避けられない運命、伝統、文化と思っていたことがそうでないことに気づきます。
「日本はどん底、がけっぷち」と人々が憂慮し、私も感じていた状況も、本当に紛争や飢餓で命を奪われる人ひどが後を絶たない地域のすさまじい実情に比べれば、抽象的な悩みの域を出ない問題も少なくないようにすら思えたのでした。
そして、日本の現状をただ憂いて、世界とのかかわりでは局地的に政府が議論する自衛隊派遣にだけ反対する(それ自体大変重要なことですが)というだけではなく、同じ地球に住む者として、私たちが世界のために何ができるかを考えるべきでは、と強く思ったのです。
世界に出てみることで、日本が持っているポテンシャルもわかり、それを適切に活用すれば、日本からの発信で世界から貧困や紛争、人権侵害をなくすような積極的なイニシアティブも可能だし、それが現実に変化をもたらしうるのかも知れない、と気づくようにもなりました。
「日本は海外に自衛隊を派遣すべきでない」という反対論があり、私はそれに全面的に賛成しています。同時に、それは単に日本に閉じこもっているということではないと思います。9条のある国として、もっと積極的な平和外交を展開してもよいし、そうすべきだと思います。日本にはそのポテンシャルもあると思うのです。
私はそういう観点から、「日本は国際社会でもっと発言すべき」「平和や人権のために国際社会で貢献をすべき」と日ごろ主張しています。日本が国際社会においてもっと積極的なアクターとなれば、かつアメリカにばかり追従しないで独自のスタンスで行動すれば、大きな変化を国際社会にもたらすことができると私は思うのです。
私はもちろん第二次大戦で起きた真実を教育することに「自虐史観」と呼び、誤った歴史認識をしようとする動きに反対していますし、早急に過去の清算をきちんと行うべきだと強く思います。しかし、一方で、過度に日本という国に対して自信を持たない、欠点ばかりを指摘する、というのもどうかと思うのです。
私は「日本は今とんでもない状況にある」というだけでは、そして政府が行おうとするすべての対外行為が邪悪なものであるかのような宣伝をしているだけでは、若い人はこの国に悲観的になり、誇りを持てないし、未来への展望も持てないのではないかと思います。
日本は、特に潜在的に、憲法9条を持ち、かつ第二次大戦後戦争をせずに平和を維持してきた国としての実績を持つ国として、世界の平和に大きく貢献できるポテンシャルを持っています。これは本当に得がたいことです。
私は平和のために行動する人たちはすべて素晴らしく、尊敬すべきだと思います。
ただ、日本の平和運動にぜひお願いしたいのですが、
「日本はますます悪くなっていく」「○○すべきでない」「~~を断固阻止する」というだけでなく、日本が平和憲法を活用したらこんな素晴らしいこともできる、こんなに世界を変えられる、という夢をもっと語ってほしいと思うのです。
この世界にも日本にも欠点だけ、危機だけがあるのではない。
地球は美しく、日本にもよいところ、希望はたくさんある、だからこそ、よくしていく方法をクリエイティブに考えたい。
ポジティブにこれからの日本と世界を変える、そんな発想を持っていきたいなと思うのです。
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