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2009年6月

2009年6月26日 (金)

やっぱり取調べの全面可視化しかないです

日帰りで名古屋から帰ってきました。

昨日、菅家さんのインタビューをさせていただいたと書きましたけれど、いろいろ報道していただいたので、最後に紹介します。

24日の院内集会では、菅家さんに直接インタビューさせていただいて、改めて教えられました。

13時間の逮捕前の取り調べで完全に屈服させられてしまって、その後はずーっと自白を維持していたということ、

その取調べは髪をひっぱる、足をけるということがあったけれど、中心的には「やっていない」ということを否定して「やったのだ」と決めつける、それが13時間続いて心理的に追い詰められたということ、

そしてその日のうちに「やった」と言ってしまったあと、一晩考えて、「やった」ことを前提とするストーリーを自分で考えたということ、

「そうしたらこうやって殺したことにしよう」などと、留置所のなかで必死に考えて、一生懸命ストーリーを自分でつくって説明するわけです。そうしないで、「やっぱりやっていません」というのはとても怖くてできなかったということ。

その13時間に味わった恐怖がとにかく尾をひいて、検察官の前でも弁護人の前でも、裁判官の前でも「やった」と言っていたということ

これでは、逮捕されて一日開けたところから、自白している部分だけ、ビデオを回して撮影してもだめなんですね。なんだか自発的に話をしているかのように思えてしまう。

法律家はだれも見抜けなかったのです、その自白が嘘だということを。

 最初の取調べの段階からテープを回して、どうやって屈服させられたのかをじっくり見ない限り、真相が究明できないということなのです。

 やはり冤罪を防ぐために、取調べの全面可視化、最初から最後までビデオに撮らないと意味がないわけです。

私は理論的にはずっとそう思っていましたし、現実にもそうだと思ってきましたけれど、菅家さんの生々しい、リアルなお話を聞いて改めて学びました。

虚偽自白というものについてもあらためて勉強になりました。

人はかくも弱く、苦しい取調べを逃れるためにやってもいない罪について自分から必死にストーリーを組み立てるようなことまでするのか、ということ。

菅家さんが無実を主張しはじめたのは、「あなたはやっていない」という、自分のことを信じてくれる人と出会ったのがきっかけだそうです。自分を信じてくれる人がいる、ということが彼に力を与えたのだそうです。

逆をいえば、それまでだれも彼を信じなかった、信じてもらえず、自分の真実を否定されるということがどんなに人を精神的に追い込むのか、そしてやってもいない罪を認めさせてしまうことにもなるのか、ということなのです。

取調べのテクニックとして、単に「相手の言い分を否定する」「犯人と決め付ける」ということが虚偽自白に結びつく絶大なる危険な効果があることを過小評価すべきではない。

頭ごなしに否定されるという取調べが13時間はおろか、23日間も可能だという日本の取調べ、その根本を変える必要があるのだと痛感しました。

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菅家さん、取り調べ全面可視化を訴え

http://news.tbs.co.jp/20090624/newseye/tbs_newseye4166439.html

 足利事件で再審開始が決まった菅家利和さんが、取り調べの全過程を可視化するよう求める、日本弁護士連合会が主催した集会に出席し、「取り調べは最初から録画し、第三者が見られるようにすべき」と訴えました。

 「その時は刑事のことが怖くて、『やっていない』とは言えなかった」(菅家利和さん)

 17年半前、どのように虚偽の自白に追い込まれたのかを話す菅家利和さん(62)。24日、日弁連が主催した取り調べの全過程の可視化を求める院内集会で、国会議員達に当時の取り調べの状況を語りました。

 菅家さんは、最終的に起訴されなかった別の2件の事件でも虚偽の自白をしたことを明らかにしたほか、裁判中も傍聴席に警察官がいて、どなられるかもしれないという恐怖感から、「やっていない」とは、なかなか言えなかったと述べ、取り調べ全面可視化の重要性を訴えました。

 集会に参加した国会議員が、「一日も早く取り調べの全過程を可視化して、2度と自白の強要による冤罪を生み出さない仕組みづくりが必要だ」と述べると、会場から拍手がわき起こりました。

2009年6月25日 (木)

今日は菅家さんとはじめておあいしました。

24日、参議院で「足利事件を繰り返すな」という院内集会を日弁連の主催で開催して、

足利事件の菅家さんに私から取り調べ状況をインタビューさせていただく機会がありました。120名もご参加があり、大変な盛況でした。

実は、これまで応援させていただいたり、コメントしてきたけれども、私が菅家さんにおあいするのは今回はじめて。この事件は「DNA鑑定で冤罪被害者を救おう」と主張してきた私にとって本当に感慨深いのですけれど、はじめておあいして、本当にいい方だということも伝わってきて、改めて感激しました。

菅家さんは13時間の取り調べで「やっていない」と言ってもそれを否定されてきた、そして自白をしてしまうのですが、人は数時間でも追い詰められれば自白をしてしまうのだ、ということを、今日改めてお話をうかがって、自白の怖さを改めて痛感しました。

夜は仲良くさせていただいている女性の新聞記者さんと会食。

自然と話題は「自白」「冤罪」「犯罪報道」に。

明日は名古屋で名張事件の会議です。

2009年6月24日 (水)

1Q84を読みながら

村上春樹さんの1Q84を読んでいる。

なんというか、立ち止って考えさせられるフレーズが多い。

村上さんはいったいどこにいるのだろうか。

東京で知らず知らずのうちに流されていく私たちからは

かなり離れたところから、語りかけているように思う。

加速度的に流されていく私たちに必死の警告を送って

くれているようにも思える。

ところで、1984年、私は高校三年生であった。

世界の様相はいまとはまったく違った姿に見えたことをおもう。

いつから変わったのか、何と遠くまできてしまったことか。

2009年6月21日 (日)

パレスチナ西岸調査のご報告

 5月にパレスチナにいってきました。

 現地ではあまりにも人権侵害がひどく、深く、

ショッキングなことが多くて、なかなか心の整理ができずに

報告会が遅くなっておりました。

 このたび、東京大学と日本国際ボランティアセンターさんと

ご一緒に、以下のような企画を開催し、ご報告をさせて

いただくことになりました。

 朝日新聞グローブの副編集長、石合さんにもご参加・コメント

いただきます。

 これから、現地で撮影した写真などをもとに、ひとつひとつ

整理をしていきたいと思います。また、法律的な問題の分析も。

 

 大阪でも7月19日に報告会を開催します。こちらは土井

敏邦さん、清末愛砂さんとご一緒です。またご案内しますね。

 よろしかったらぜひご参加ください。

■ □ ■ □ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

〔第三回HSPFMCセミナー〕

         人権の視点から見たパレスチナ

       ~西岸・ガザからの現地報告と和平の行方~

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ □ ■ □ ■

「見えない占領」と「壁」に分断されるパレスチナ。

そこで日常的・恒常的に行われている人権侵害を私達はどう受け止め、

どのように考えるべきなのでしょうか。

西岸地区・ガザ地区の現地を歩き、見、聞いてきた生の情報を

お届けすると共に、

取材や調査、NGO活動を通じて現地情勢に精通する三人が

各自の専門的視点から、この問題の枠組みを明らかにすることを試みます。

難民の生活状況の改善、そして和平を進めるためには何が必要なのか。

「人権」という視点から、いま改めてパレスチナを見つめてみませんか。

●スピーカー/

    伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ事務局長/弁護士)

    藤屋リカ(JVC日本国際ボランティアセンターパレスチナ事業担当)

    石合力 (朝日新聞東京本社・GLOBE副編集長)

    

●日時/ 710日(金)19002100

●会場/ 東京大学駒場キャンパス 18号館4階コラボレーションルーム3

     (京王井の頭線・駒場東大前)

http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map02_02_j.html

●参加/ 入場無料・事前予約不要

●共催/ 東京大学「人間の安全保障プログラム」・()法学館共同研究プロジェクト

    (特活)JVC日本国際ボランティアセンター

    (特活)ヒューマンライツ・ナウ

●内容/

 *西岸地区の人権状況 ~HRN現地調査報告~

 伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)

 *ガザからの声 ~JVC現地報告~

 藤屋リカ(JVC日本国際ボランティアセンター パレスチナ事業担当)

 *中東和平の妨げと今後の行方

 石合力 (朝日新聞東京本社・GLOBE副編集長)

 

 *フリーディスカッション

●スピーカー紹介

  伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ事務局長/弁護士)

早稲田大法学部卒。1994年弁護士登録。

弁護士として、女性・子どもの権利、子どもの商業的性的搾取禁止、

冤罪事件、公害事件などに取り組み、裁判員制度、刑事裁判のあり方などについて問題提起。

2004年ニューヨーク大学ロースクール客員研究員。

2005年ジュネーブ人権小委員会インターン

2006年、日本発の国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」を設立、事務局長に就任。

  藤屋リカ(JVC日本国際ボランティアセンター パレスチナ事業担当)

保健師、看護師。1990年から広島で保健師として勤務、

1995年から7年間日本のNGOの派遣員として

パレスチナでの母子保健プロジェクトに携わる。

2002年大学院在学中(国際保健学専攻)に、

JVCの派遣でパレスチナ西岸自治区での緊急人道支援に参加。

20044月より現職。

  石合力 (朝日新聞東京本社・GLOBE副編集長)

中東・アフリカ(カイロ)、ワシントン特派員としてパレスチナ紛争、

イラク、シリアなどを現地取材。2000年秋の第2次インティファーダ、

クリントン、ブッシュ両政権の米中東外交などを担当した。

外務省担当キャップ、外交国際グループ次長などを経て、現在はGLOBE副編集長。

※本セミナーはHSPFMCセミナーの第三回目として開催されます。

HSPFMCセミナーは、東京大学「人間の安全保障」プログラム(HSP)と

()法学館との共同研究「研究と実践をつなぐ難民・移民に関するデータ・ベースの開発」

の一環として行われる公開セミナーシリーズです。

どなたでもご参加いただけますのでお誘いあわせの上、お気軽にお越し下さい。

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       ◇お問い合わせ先◇

東京大学「人間の安全保障」プログラム

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(特活)JVC日本国際ボランティアセンター

E-mailtsudaka@ngo-jvc.net(担当:津高政志

(特活)ヒューマンライツ・ナウ

E-mailinfo@ngo-hrn.org(担当:浅井美絵)

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Power up the Internet with Yahoo! Toolbar.

http://pr.mail.yahoo.co.jp/toolbar/

2009年6月19日 (金)

DNA鑑定に関する昨日の米連邦最高裁判例

昨日、米国の連邦最高裁判例で、無実を求める人のDNA鑑定申請に対し、これを認めない決定がされました。

http://www.nytimes.com/2009/06/19/us/19scotus.html?pagewanted=1&hp

驚いていると、さっそく「これはどうみたらよいでしょう」といろいろ問い合わせをいただきました。

まだ判決全文は見ていないのですが、事案はこんなところ。

米国で、無実を求める被告人のDNA鑑定を受ける権利を州法で認めていない州は4つだけ。

その4つの州のひとつからの申し立てです。

そして、今回の被告人はすでに釈放されていて(別件で刑務所にいるけれども)、釈放後に

DNA証拠へのアクセスを求めた、というものでした。

DNA証拠へのアクセスが認められない事情としては、釈放済みだったこととあわせ、

この被告は、釈放されるにあたってのインタビューでは、自分がやったと犯行を認めて釈放をされている。

陪審公判で、弁護側には、捜査側の鑑定よりも進歩したDNA鑑定を受ける権利があったのにこれを行使しなかった。

などの個別事情があるようで、

被告人がこのような場合にまで刑事司法をもてあそぶことは認めなくてもよい、との考慮が働いたようです。

ですので、これは一般化できるものではないと私は思います。

この裁判を担当したイノセンス・プロジェクトのノイエフェルド弁護士は、事案が異なれば、勝てる可能性、つまり、DNA鑑定証拠へのアクセスを認めない州の措置が憲法違反と認定される可能性があるだろう、というコメントを出しています。

今後とも要注目です。

2009年6月18日 (木)

日野市・結婚&離婚について講演

今週土曜日に、離婚・結婚の問題について東京都日野市で講演をさせていただきますので、ご関心ある市民の方はぜひご参加ください。

http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/183,46692,266,html

平成21年度第1回セミナー&相談会「夫婦関係・離婚・非婚をめぐる法律知識」

今回は「夫婦関係・離婚・非婚をめぐる法律知識」と題して、弁護士の伊藤和子氏をお招きし、離婚手続きや養育費などの法律的な知識や情報の提供を中心に講演していただきます。伊藤先生のわかりやすい解説で、昨年も皆様に大変ご好評をいただいたので、今年度も引き続きお願いいたしました。参加ご希望の方は子育て課担当までご連絡ください。(当日参加も可)また、個別のご相談をご希望の方はご予約をお願いいたします。(2名まで予約先着順)

日時 平成21年6月20日(土) 午前10:00から午後13:00 参加費無料

(講演会は午後12:00まで。12:00からは個別相談です)

場所 日野市役所504会議室

保育はあります。(1歳半以上未就学児)ご希望の方は6月12日(金)までに子育て課担当までご連絡ください。

申し込み・問合せ先

日野市子ども部子育て課 母子自立支援員
電話 042-585-1111(内線2520) FAX042-583-4198
メール・アドレス jidouf@city.hino.lg.jp

2009年6月16日 (火)

難民問題の公開講座で発言をさせていただきます。

あっというまに、6月も半ばに入りましたね。

6月30日に、難民問題に関する国連大学での公開講座で発言をさせていただくことになりました。素晴らしい講師にどんなコメントができるか、ひとつの挑戦です。

ご関心のある方はぜひご参加いただければ幸いです。申込みは国連大学のウェブサイトからお願いいたします。

国連大学公開講座―地球規模課題シリーズ  第8回
Protracted Refugee Situations
長期化する難民状況

日時: 2009年6月30日(火)15:00 - 17:30
場所: 国際連合大学本部5階 エリザベス・ローズ国際会議場
スピーカー: エドワード・ニューマン バーミンガム大学上級講師
滝澤三郎 東洋英和女学院大学国際社会学部教授 国際連合大学
客員教授 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)前駐日代表
コメンテーター: 伊藤和子 弁護士 ヒューマンライツ・ナウ事務局長
言語: 日英・同時通訳
プログラム
15:00 - 15:05 本日のテーマおよび講師紹介
高橋一生 国際連合大学客員教授
15:05 - 15:45 講演: 「長期化する難民状況」
エドワード・ニューマン バーミンガム大学上級講師
15:45 – 16:15 講演: 「(再)構築される日本の難民政策 ― インドシナ難民の日本
定住に関する研究を中心に」
滝澤三郎 東洋英和女学院大学教授
16:15 - 16:30 コメント
伊藤和子 弁護士 ヒューマンライツ・ナウ事務局長
16:30 - 17:00 自由討論
17:00 - 17:30 懇親会 (コーヒー・紅茶)

以下、国連大学のウェブサイトより。

長期化する難民状況

世界各地で発生する難民のうち3分の2を超える人々は長期化する難民生活から抜け出せずにいます。治安の不安定な難民キャンプや都市部で生活する難民の数は世界で数百万に上り、その大半は長年の亡命生活を現在も続けています。こうした状況は、国際的な難民保護体制や国際社会にとってますます大きな課題となっています。

本講座では、長期化する難民状況に関するプロジェクトの結果を、『Protracted Refugee Situations: Political, Human Rights and Security Implications』(国連大学出版部刊)の共編者であるエドワード・ニューマン氏にご紹介いただき、長引く避難状況が政治・社会・安全保障に与える影響についてご講演いただきます。滝澤三郎氏には、UNHCR駐日事務所が実施した「インドシナ難民に関する研究」の結果をご紹介いただきます。同研究は、過去30年の間に日本に定住した約1万1000人のインドシナ難民(ベトナム人、カンボジア人、ラオス人)の日本での統合プロセスに焦点を当て、難民の定住が日本社会に与える影響も考察しています。その上で、滝澤氏には、難民申請者の急増の中で注目すべき進展の見られる日本の難民政策、特に来年度から試験的導入が決定されている「第三国定住制度」の評価と今後の課題についてお話いただきます。

講演の後には、弁護士でヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子氏からコメントをいただく予定となっています。

ポジティブにいきていく。

 近頃よく思うのです。

 少し私よりも上の世代の方の多い集まり、人権とか平和に関する集まりに参加すると、もちろん共感したり、教えていただくことが多い反面、ジェネレーション・ギャップを感じることも少なくありません。

 その一番の原因を考えてみると、「今の日本はがけっぷちの危ない所にある」とか「日本はどんどん悪くなっている」などと危機的な状況を強調されたり、危機感をあおったりされることに、ひいてしまう、ということがあると思います。

 ご心配はもっともです。またこれも一つのスタイルで、こういう言い方をしてみんなに檄を飛ばしているのかもしれません。

 しかし、あまり悲観的な見方ばかりされると、そんなバトンを手渡される側は、あまりうれしくないのではないでしょうか。

 日本の欠点、日々悪くなっていく現実は見つめながらも、もっとポジティブな変化、楽しい変化を求めたい、と思うのです。

 たとえば、私はアメリカに留学する前は、日本の悪いところばかりが目につき、「こんな国に生まれて本当に不幸だ」と思うことが少なくありませんでした。それは、先輩世代の影響を受けたのかもしれませんね。

 しかし、アメリカに留学して、世界各国から来られる移民の方々のお話、世界各国で困難な中で人権活動をしている、留学時代の仲間たちにあうにつけ、自分が知らないうちにどれだけ恵まれていたのかに気がつきました。

そして私が日本で困難に感じているのと、程度の差はあれ同じようなことを、どの国の人たちも悩み、それを解決しようとしていることにも気づきました。日本特有の避けられない運命、伝統、文化と思っていたことがそうでないことに気づきます。

 「日本はどん底、がけっぷち」と人々が憂慮し、私も感じていた状況も、本当に紛争や飢餓で命を奪われる人ひどが後を絶たない地域のすさまじい実情に比べれば、抽象的な悩みの域を出ない問題も少なくないようにすら思えたのでした。

 そして、日本の現状をただ憂いて、世界とのかかわりでは局地的に政府が議論する自衛隊派遣にだけ反対する(それ自体大変重要なことですが)というだけではなく、同じ地球に住む者として、私たちが世界のために何ができるかを考えるべきでは、と強く思ったのです。

 世界に出てみることで、日本が持っているポテンシャルもわかり、それを適切に活用すれば、日本からの発信で世界から貧困や紛争、人権侵害をなくすような積極的なイニシアティブも可能だし、それが現実に変化をもたらしうるのかも知れない、と気づくようにもなりました。

 「日本は海外に自衛隊を派遣すべきでない」という反対論があり、私はそれに全面的に賛成しています。同時に、それは単に日本に閉じこもっているということではないと思います。9条のある国として、もっと積極的な平和外交を展開してもよいし、そうすべきだと思います。日本にはそのポテンシャルもあると思うのです。

 私はそういう観点から、「日本は国際社会でもっと発言すべき」「平和や人権のために国際社会で貢献をすべき」と日ごろ主張しています。日本が国際社会においてもっと積極的なアクターとなれば、かつアメリカにばかり追従しないで独自のスタンスで行動すれば、大きな変化を国際社会にもたらすことができると私は思うのです。

 私はもちろん第二次大戦で起きた真実を教育することに「自虐史観」と呼び、誤った歴史認識をしようとする動きに反対していますし、早急に過去の清算をきちんと行うべきだと強く思います。しかし、一方で、過度に日本という国に対して自信を持たない、欠点ばかりを指摘する、というのもどうかと思うのです。

 私は「日本は今とんでもない状況にある」というだけでは、そして政府が行おうとするすべての対外行為が邪悪なものであるかのような宣伝をしているだけでは、若い人はこの国に悲観的になり、誇りを持てないし、未来への展望も持てないのではないかと思います。

 日本は、特に潜在的に、憲法9条を持ち、かつ第二次大戦後戦争をせずに平和を維持してきた国としての実績を持つ国として、世界の平和に大きく貢献できるポテンシャルを持っています。これは本当に得がたいことです。

 私は平和のために行動する人たちはすべて素晴らしく、尊敬すべきだと思います。

 ただ、日本の平和運動にぜひお願いしたいのですが、

 「日本はますます悪くなっていく」「○○すべきでない」「~~を断固阻止する」というだけでなく、日本が平和憲法を活用したらこんな素晴らしいこともできる、こんなに世界を変えられる、という夢をもっと語ってほしいと思うのです。

 この世界にも日本にも欠点だけ、危機だけがあるのではない。

 地球は美しく、日本にもよいところ、希望はたくさんある、だからこそ、よくしていく方法をクリエイティブに考えたい。

 ポジティブにこれからの日本と世界を変える、そんな発想を持っていきたいなと思うのです。

2009年6月13日 (土)

ついに発刊!「人権で世界を変える30の方法」

また新刊のご案内です。

「人権で世界を変える30の方法」をヒューマンライツ・ナウで出版しました!

みてください。

77260437

かわいい装丁でしょ? 知花くららさんに推薦文ももらいました❤

http://www.bk1.jp/product/03118592

 この本は、世界を人権という視点から私たちひとりひとりの市民が変えられることができるのか? というテーマに迫り、とかく敬遠されがちな人権という言葉と発想に親しみを持ってもらおうというコンセプトです。

一年以上かけてつくりましたので、とてもうれしいです。

ところが、ひとつ重大な誤植があることをまずお詫びします。

国連について書いたページで、写真のキャプションに

ニューヨークの国連本部、のはずが、どこでどう間違ったか、ジュネーブの国連本部、

となってしまい、謹んでお詫びいたします。訂正紙を入れて対応し、そして、

なんとしても重版にして完璧な校正にします。

しかし、ほかの部分は素敵にできていて、著者ひとりひとりの思いが詰まっていますので、

ぜひぜひ手にとって読んでくださいませ。

2009年6月12日 (金)

新刊のご紹介 こんなときどうする? 女性のための法律相談

「こんなときどうする? 女性のための法律相談」という本を東京弁護士会の両性の平等に関する委員会で出版しました。

昨年その委員会の委員長だった私は、委員の皆さんと一緒にとてもつらい思いをしながらまとめたのをよーく覚えてます。

年末の12月23日も寒い中、ある弁護士の事務所に休日出かけて編集会議、年明けも早々にこの編集会議だったこと、風邪ひきながら青くなりながら書いたり直したりしたことが思い出されます。

そんな産みの苦しみのせいもあり、、、というわけでもありませんが、

この間DV法改正、均等法改正、パート労働法改正、派遣をめぐる動きなど、

女性をめぐるさまざまな法改正に対応して、使いやすい、

よい本に仕上がっていると思います。

離婚やリストラ・退職勧奨、仕事と子育ての両立、セクハラ、ストーカーなど、女性が人生の岐路に迷うさまざまな場面で、法律と権利、その使い方をコンパクトのまとめましたので、ぜひ手にとって役立てていただけると嬉しいです。

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%A8%E3%81%8D%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%99%E3%82%8B-%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%BE%8B%E7%9B%B8%E8%AB%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-%E6%96%B0%E7%89%88-%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E4%BC%9A%E4%B8%A1%E6%80%A7%E3%81%AE%E5%B9%B3%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A/dp/4324085234

ヒューマンライツ・ナウ ウェブサイト・リニューアル

私が事務局長をしているNGOヒューマンライツ・ナウのウェブサイトがリニューアルされて新しくなりました!

http://hrn.or.jp/

をご覧ください。

より親しみやすく、スタイリッシュに、よりアクセスしやすく、などを心がけてリニューアルしてみましたが、いかがでしょうか。

まだまだ発展途上なところもありますが、以前は整理がおいつかず、

少しちらかった引き出しのようなところがあったのですが、今回、プロジェクトごと、国ごとの活動のウェブ上の整理がついたので、

「ヒューマンライツ・ナウってどんな活動をしているのか?」というのがウェブからわかってもらいやすくなったのでは、と思います。

ぜひアクセスしてみてください。

そして、このリニューアルにあたってはいろんな方々のご寄附、協力、無償労働などありまして、本当に感謝です。

ロースクールで講演

昨日、大宮ロースクールで講演をさせていただきました。

私の弁護士活動・人権活動を全般的に、学生に話してくれないか、

という、尊敬する久保利英明先生からの申し出を受けまして、

刑事事件から女性の権利から国境を越えた人権活動まで、

ちょっと独演会のようなことをさせていただきました。

 嬉しかったのは学生から次々と質問が出たこと、半分の時間を質問タイムに取ったのに、その時間でこたえきれないほど、手が次々とあがり、その後の二次会でも質問攻め。二次会を出たところでも「最後に質問を」と言われて、

法律家を志す学生たちの情熱や夢、志、おかしなことに接して憤り質問を発する感性と知性などを肌で感じました。

最近ロースクールの学生は司法試験が大変なので年々おとなしくなっているというのですけれど、このロースクールは違うなあ、と嬉しく思いました。

彼らみたいな学生こそ、早く司法試験に受かって、いい法律家になってね、と思います。

さて、今月は講演が多い月で、来週は早稲田のロースクールで講演、あしたもあさっても講演(このブログで紹介しました)です。

 

2009年6月10日 (水)

ビノシュのひとこと

「ちょっと恵まれた女性たちのきれいごとじゃない?」とついつい批判的にみてしまう雑誌・AERA。

最近はブーケトスが人権侵害という記事が大きく掲載されていて、「もっと取り扱うべき人権侵害があるだろうに! 」と思う私。

なぜ、あんなに雅子妃にページを割くのかも常々疑問である。「世には雅子妃よりはるかに苦しんでいる女性があまたいるのに、なぜ光をあてないのか、ジャーナリズムとして」と思うのである。

記者にエリート女性が多いからか、その生活半径を抜け出ていない記事が多いように思うが、読者もそういう人が多く、成り立っているのだろうか。

と思いつつも、なんとなく買う時もあるのですが、今週は買ってしまったところ、

ジュリエット・ビノシュのインタビュー記事を発見。そこでの言葉がよかった。

日本の婚活について「その話は驚きだわ。他人と同じ方法論で愛の絆は成就できない、他人の人生を生きるつもりなら話は別だけど」とコメント。

「いい?人は他人と同じ人生は絶対に歩けないの。けれど日本人に限らず、多くの女性は誰かが用意してくれた道を歩むことこそが最良の選択だと思い込んでいる」

「人生は個々に違う。恋愛も違う。だから、人生に勝ちたいなら、早いうちに自分だけの道を歩き始めなさい」

という。

そのあとのまとめは???だったけれど、上記発言は、さすが見事な迫力ある言いっぷりで、愛と仕事に生きるこの女優の、スクリーン上に見える、どことなくなりふりかまわぬ情熱と人生を彷彿とさせるものを感じて、この言葉にあえたことをうれしく思ったのでした。

2009年6月 9日 (火)

日経ウーマンで法律相談してます。

今週発売の日経ウーマンで、働く女性の法律相談所、ということで身近な法律相談をさせていただいてます。今回は日常トラブル編ということでご相談しています。

なぜかふたたび事務所名が間違っていまして、私の法律事務所は

「オリーブの樹法律事務所」(電話は03-5807-3101)

ですので、私へのご相談がありましたらこちらにお願いします。

でも、同誌を呼んでいますと、最近の20代のワーキング・ウーマンが大変な中頑張っている様子がなんとなく垣間見えるようで、仕事に婚活、ボディケア、投資まで・・・

そこまで全方位がんばって無理しなくてもいいのになあ、と思う反面、生きにくい世をなんとかサバイバルしてね!と思わず応援したくなります。

2009年6月 6日 (土)

薔薇と紫陽花

6月に入って、うちの小さな庭では、赤い薔薇のスカーレットと、白い紫陽花の「隅田の花火」がきれいです。薔薇がジャングル状態でちょっぴりご近所迷惑みたいですが。。

6月は誕生月なので、雨が多いけれど、好きです。

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来週の講演のお知らせ♪ その2

来週末は、こんなイベントにも参加させていただきます。

第10回 表現者はリレーする「いま、語り描き 写し歌い舞うとき」

日 時:2009年6月13日(土)
場 所:東京ウィメンズプラザ
入場料:第1部+第2部通し券 前売り1,500円/当日2,000円
    第1部または第2部  前売り1,000円/当日1,500円
    ※学生は200円引き

第1部 (開場13:30) 14:00~16:00 表現者はリレーする

 リレートーク出演

  1.横井久美子 歌とトーク  (行動するシンガーソングライター)
  2.山口さなえ  トーク    (蟹工船』エッセーコンテスト大賞受賞者)
  3.伊藤和子   トークと映像 (弁護士・人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長)
  4.周 香織   トークと映像 (在日クルド難民サポーター)
  5.上原公子   トーク    (前国立市長)
  6.yojikとwanda 歌と演奏   (ギターと歌のデュオ)
  7.沖 和子   トークと腹話術(野村證券男女差別裁判元原告)
  8.田中和子   紙芝居    (紙芝居9条の会)
  9.あいす    ダンス    (ダンスグループ)
 10.小山内美江子 トーク   (脚本家・NGO JHP・学校をつくる会代表)
 11.天木直人   トーク    (元レバノン大使)
 12.渡辺一枝   トーク    (作家・『マガジン9条』発起人)


第2部 (開場16:30) 17:00~19:00

  映画上映「にがい涙の大地から」
        監督・撮影・編集:海南友子 VHS・DVD 87分/2004年
        平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞受賞
        黒田清日本ジャーナリスト会議新人賞受賞

  トーク 海南友子×渡辺一枝  


「とどけメッセージ キッチンの窓から ガレキの戦場から」
たとえ職業としての表現手段を持たなくても、
子育ても毎日の食事作りや家事も「私は私らしく生きたい」という思いを
伝えて日々を生きている。
そう、わたしたちひとりひとりは皆、表現者。共に声をあげましょう。

来週の講演のお知らせ♪ その1

本日は、地雷廃絶キャンペーンのシンポジウムに参加させていただき、逆に勉強させていただきました。

来週も、いろんな講演&トークをさせていただきます。ロースクールなどでのクローズドもありますけれど、以下のような試みをしてみました。

公認会計士の天野さんとのコラボで、とても楽しみです。

講演でのジョイントやシンポジウムは、出会いの楽しみが大きいですね。

よろしかったらぜひご参加ください。

http://sinzenbi.net/c12768.html

社会を幸せにする働き方セミナー ~人権派弁護士と公認会計士が語る・自分を活かす方法テーマ:セミナー情報

6/12(金)、ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士と、働き方についてのコラボセミナーをします!


********** 転送歓迎 **********

「社会を幸せにする働き方」

~人権派弁護士と公認会計士が語る・自分を活かす方法~

***************************

いま、注目されている社会的起業や社会貢献活動。

「この世の中を変えたい」「自分だから出来る何かを見つけたい」
という思いは誰の胸にもあるはずです。

と同時に、こんな不況の中で?自分に何ができるの?と悩むのも事実。

そんな中、弁護士と公認会計士という手堅いイメージの職業の殻を飛び出し、
自らの思いを原動力に、幅広く活躍する2人が
夢を実現し、社会を動かす方法を語ります。

人権派弁護士として日本国内の問題にも取り組みながら
自らが仲間を募って国際人権NGOヒューマンライツ・ナウを
立ち上げた弁護士・伊藤和子と、
30万部ロングセラー『会計のことが面白いほどわかる本』や
福島正伸氏絶賛の『君を幸せにする会社』の執筆者であり、
人の幸せと企業の利益を両立をテーマに活躍中の公認会計士・天野敦之
があなたに贈る、パワー溢れるトークイベント。

もう一度、自分の生き方・働き方を考えてみませんか?


【日時】6月12日(金)19:00~21:00

【場所】T’s銀座・会議室・Room9B
東京都中央区銀座5-5-14 GINZA GATES 9階
http://www.tsrental.jp/location/ginza/map.html

【主催】公認会計士天野敦之事務所

【参加費】5000円
※参加費の一部を、(特定非営利活動法人)ヒューマンライツ・ナウへ
世界の人権問題を改善する活動のために寄付させていただきます。

【お申込み】以下の申込フォームよりお願いします。
http://my.formman.com/form/pc/jKzJ3yiQSYwlgvGw/

※プロフィール※

《《 弁護士 伊藤和子 》》

早稲田大法学部卒。1994年弁護士登録。

弁護士として、女性の権利、冤罪事件、公害訴訟などに取り組むほか、
交通事故、犯罪被害、家事・相続、不動産取引、クレジット・破産、消費者被害など
市民の相談に応じ、幅広く活動。
憲法、裁判員制度、刑事裁判のあり方などについて問題提起。

2004年ニューヨーク大学ロースクール客員研究員。

2006年、日本発の国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(http://www.ngo-hrn.org/ )

を設立、事務局長に就任。
深刻な人権侵害や女性に対する暴力の解決を求めて、国境を越えて活動中。

主著に『誤判を生まない裁判員制度への課題』(現代人文社)
『イラク「人質」事件と自己責任論』(共著、大月書店)
訳書として『なぜ無実の人が自白するのか』
(スティーヴン・A・ドリズィン+リチャード・A・レオ著、日本評論社)


《《 公認会計士 天野敦之 》》

一橋大学商学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士第二次試験に合格。
その後、同三次試験に合格し、公認会計士登録。

大学卒業後、外資系コンサルティング・ファーム勤務を経て、
証券会社の投資銀行部門でM&Aや資金調達、証券化等のアドバイザリー業務、
グローバルマーケッツ部門で地域金融機関への提言業務に従事。

その後、公認会計士天野敦之事務所を設立し、財務会計の視点から、
人の幸せと企業の利益を両立させるためのアドバイスを提供。
多くの企業の業績改善を実現している。

また、チベットサポート・チャリティセミナーの開催、
歌手やヨーガ講師など異業種とのコラボレーションセミナーの開催など、
公認会計士の枠を超えさまざまな分野で意欲的に活動中。

主著に『会計のことが面白いほどわかる本』(中経出版)
『価値を創造する会計』(PHP研究所)
『君を幸せにする会社』(日本実業出版社)


【お申込み】以下の申込フォームよりお願いします。
http://my.formman.com/form/pc/jKzJ3yiQSYwlgvGw/

2009年6月 5日 (金)

新聞にコメントが掲載されました。

足利事件に関する私のコメントを新聞に掲載していただいております。

その内容というのは、こんなこと。

日本では足利事件がはじめてのケースですが、アメリカではすでに238人の人が有罪判決を受けた後でNA鑑定によって無実とわかって救われています。

http://www.innocenceproject.org/

日本でも他人事ではありません。足利事件で初めて無実と判明したというのも、裁判所が重ーい腰をあげて、再鑑定を認めたからで、日本には再鑑定の保障もないまま、処刑されてしまった人も最近いるのです。

日本でも、誤って人を有罪にして人生を狂わせたり、死刑にしてしまうことがないように、無実を主張しているのに有罪判決を受けた人に対し、DNA鑑定を受ける権利を保障する制度をつくる必要があります。

新聞なので、どうしても短いコメントになってしまっていますが、ぜひ

以下の書籍を読んでいただけると嬉しいです。

「誤判を生まない裁判員制度への課題」(現代人文社) 著者 伊藤和子

http://www.amazon.co.jp/%E8%AA%A4%E5%88%A4%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%81%AA%E3%81%84%E8%A3%81%E5%88%A4%E5%93%A1%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%AA%B2%E9%A1%8C%E2%80%95%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%88%91%E4%BA%8B%E5%8F%B8%E6%B3%95%E6%94%B9%E9%9D%A9%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E6%8F%90%E8%A8%80-%E4%BC%8A%E8%97%A4-%E5%92%8C%E5%AD%90/dp/4877983104

「なぜ無実の人が自白するのか- DNA鑑定は告発する」(日本評論社)

著者 スティーブン・ドリズィンほか、訳 伊藤和子

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%84%A1%E5%AE%9F%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%8C%E8%87%AA%E7%99%BD%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B%E2%80%95DNA%E9%91%91%E5%AE%9A%E3%81%AF%E5%91%8A%E7%99%BA%E3%81%99%E3%82%8B-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%B3%E3%83%BB-%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%82%A3%E3%83%B3/dp/4535516642

2009年6月 4日 (木)

ガザへの国連調査ミッションによせて

6月1日から、年末年始のガザ攻撃に関する国連の人権調査団がガザに入りました。

ヒューマンライツ・ナウでは、以下のステートメントを発表しました。国連の事務総長は真相究明に消極的で、怒りを感じていますが、今回の調査団が責任を明らかにする第一歩になればと思います。

ガザへの国連人権調査団派遣を正義実現の第一歩に

6月1日、リチャード・ゴールドストーン氏を長とする国連の事実調査団が20081227日から118日までのガザ攻撃・紛争に関連した国際人権・人道法違反行為を調査するため、ガザへの調査を開始した。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、この調査団の派遣を歓迎する。昨年12月から今年1月にかけてイスラエルが行った、パレスチナ・ガザ地区への攻撃では、1400名以上の人が命を失ったとされる。にも関わらず、国際人権法・人道法違反に関する責任は何ら調査されず、責任を問われることなく今日まで経過していた。

国連人権理事会の112日付決議がこの調査団の派遣を決定してからすでに5か月近くが経過しており、調査団派遣は長く待たれていた。

国連本部は、ガザに対する攻撃の際に国連施設が破壊されたのを受けて、調査機関「Board of Inquiry」を設置、国連施設への攻撃9件のうち、6件はイスラエル軍による意図的な国連施設への攻撃であったと結論付ける報告書を今年4月に提出した。

今回の調査は、国連施設に限らず、広く国際人権・人道法違反全般をカバーするものとなる。民間人攻撃、民間施設攻撃、白リン弾ほか非人道兵器の使用などにつき、公平中立かつ徹底した調査が行われることを期待する。

ヒューマンライツ・ナウは、紛争の両当事者が調査に対し完全な協力をすることを求める。とりわけ、イスラエル政府は、ガザ地区はおろか、調査団のイスラエルへの入国を拒否して調査を難航させてきた。 今回、調査団はエジプト政府の協力を得て、ラファよりガザに入っており、また、西岸地区やイスラエル領域での調査の目処は立っていない。ヒューマンライツ・ナウは、イスラエル政府に対し、非協力的な姿勢を改めることを強く要請する。

ヒューマンライツ・ナウは、調査団の調査が速やかに国連に報告・公表され、調査団の勧告が適切にフォローアップされることを強く期待する。

この点、ガザ紛争の真相究明に関するこの間の国連事務総長の行動は失望を禁じ得ないものであった。調査機関「Board of Inquiry」の報告書の提出を今年4月に受けたバン・キムン事務総長は、報告書全文を公表せず、要約のみを国連安保理に提出し、同調査機関が求めた11の勧告のフォローアップは何ら行っていない。とりわけ重大なのは、同報告書が、国連にさらなる国際人権・人道法違反を綿密に調査するよう求めたのにも関わらず、事務総長は「国連としてはもうこれ以上調査を行う予定はない」と明言したことである。国連施設への意図的な攻撃は、ジュネーブ条約に違反する戦争犯罪である可能性が高く、その際に発生した民間人の殺害も、ジュネーブ条約違反の可能性が高い。このような国際法の重大な違反の有無が問われている事態にあって、国連が、真相究明と正義の実現から瀬を向けることは到底許されない。

国際人権法・人道法違反が調査の結果明らかにされた場合、国連は正義の実現に向けて行動をすべきである。

ヒューマンライツ・ナウは、ガザへの国連人権調査団派遣が正義実現の第一歩となり、1400人もの尊い命を奪った責任の所在が明らかにされ、責任者の訴追、処罰、被害者への補償がされるよう、国際社会の強いイニシアティブの発揮を求める。

そして今なお続くガザ地区への復興物資も含めた物資搬入の封鎖を含む人権侵害が是正されることを期待する。

ついに釈放! 足利事件

私が応援してきました、足利事件で、ついに菅家受刑者が釈放となりました。

ここのところ、メディアの取材が続いていましたが、ここまで早いのは予想外で、検察の英断だと思います。

とにかく、本当によかったと思います。無実の人が無罪になるというのは絶対的な正義です。

一日も早く、私の依頼者である奥西死刑囚も同じ喜びを味わってもらいたい、と記者会見での菅家受刑者の姿を見るうちに胸がいっぱいになりました。

足利事件でなぜ誤ったのか、なぜかくも救済が遅れたのか、最高裁にはぜひ徹底した検証を求めたいと思います。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090604/trl0906042320029-n1.htm

平成2年の足利事件で殺人罪などに問われ、無期懲役が確定した元幼稚園バス運転手、菅家利和さん(62)が4日、服役していた千葉刑務所から釈放された。菅家さんは釈放後に千葉市内で行われた会見で、「本当にありがとう」と支援者らへの感謝の言葉を繰り返す一方、事件当時、菅家さんを逮捕し、取り調べた警察や検察に対しては「絶対に許さない。人生を返してほしい」と怒りをあらわにした。記者会見の詳報は以下の通り。

 菅家さん「ありがとうございます。私は今日釈放になり、本当にうれしく思う。当時私は急に犯人にされた。自分としては全く身に覚えがない。私は無実で犯人ではない。これだけははっきり言える。刑務所内でもつらいことがあったが、今日まで一生懸命がんばってきた。これも弁護団の先生と支援者のおかげ。本当にありがとう。これからもよろしく」

 --この17年間どういう思いでがんばってきた

 「当時、私は犯人にされたが、17年間ずっと我慢してきた。刑事と検察官は私と両親、世間のみなさんに謝ってほしい。だけど、私は謝って済むとは思っていない。絶対に許すことはない。間違ったでは済まない。この17年間ずっと思ってきたのは、出所したら刑事たちと検察官に絶対謝ってもらうということ」

 --17年間で一番つらかったことは

 「刑務所内で同僚がけんかしたりして、自分にも降りかかってきたことがあった。だけど、そういうことは一切無視してきた。正月とかも一切なかったけど、今日までがんばってきた」

 --刑務所にいる間に両親が亡くなったが、どういう気持ちだった

 「警察に捕まって、おやじがショック受けて亡くなった。2年前の4月に母が亡くなった。母もつらかったと思う。検察官も両親の墓に出向いてもらって絶対に謝らせたい。私も両親の墓参りに行きたい」

明日・シンポジウム「地雷なきアジアへの課題」

こんにちは。

私の大変尊敬する、地雷廃絶キャンペーンのシンポジウムに、明日お招きいただき、お話をさせていただきます。

直前ですが、よろしかったらご参加ください。

シンポジウム
「地雷なきアジアへの課題」

JCBL事務局  2009/5/20掲載

アフガニスタン、パキスタンなど紛争の続くアジア諸国の地雷・クラスター爆弾問題に、JCBLは今後ますます力を入れて取り組んでいこうと考えています。そこで、今回はこれまでJCBLが「マイン・フリー・アジア(地雷なきアジアへ)」の活動でパートナーシップをとってきた国であり、最近、特に緊迫した状況にありながら、報道ではあまり詳しく伝えられてこないビルマ/ミャンマーと、タイとの国境で争いの続くカンボジアを取り上げ、この地域に詳しいパネリストを迎えたシンポジウムを開催することといたしました。この機会に、争いのあるところで人々が直面している現実について、また、私たちの今度について、じっくりと考える時間にしたいと願っています。どうぞご参加ください。

イベント詳細
日付2009年6月5日(金)
19:30~21:00 (開場19時)
会場文京シビックセンター26階・スカイホール
東京都文京区春日 1-16-21 (問い合わせ)03-5803-1100
会場までのアクセス【地図】
東京メトロ「後楽園」5番出口から徒歩3分
都営地下鉄「春日」連絡通路から徒歩3分
JR「水道橋」徒歩8分
パネリスト
  • 伊藤和子氏(ヒューマン・ライツ・ナウ事務局長、弁護士)
  • 七條孝司氏(JHP・学校をつくる会プノンペン事務所駐在)
司会:清水俊弘(JCBL運営委員)
申込み事務局まで、ファックスかE メールにてお名前と電話番号をお知らせください。
 FAX:03-3835-0519 E-mail: office@jcbl-ngo.org
※会員の方は「会員」とお知らせください。
主催地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)
東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル5階
(TEL) 03-3834-4340 / (Eメール) office@jcbl-ngo.org

2009年6月 1日 (月)

ほっとひといき

三月、四月、五月となんだかとても忙しく、まるで毎日が合宿のようで

桜も横目で眺め、GWもなく、季節感を忘れて仕事をしていたけれど、

ここにきてクレージーな仕事の波が少しひといきついた感じである。

そこで、久しぶりに季節を感じたり、

友人との飲み会なども設定できそうだし、

映画やコンサートにもいけるかも、洋服でも新調しようかな、

と期待がふくらむ。

今月は海外出張がなく、ずっと日本だけれど、仕事の予定

とあわせて、今月はとにかく講演が多く、あちこち呼んでいただいて

ありがとうございます。

講演を乗り切るにはパワーが必要だけれど、パワーのある異業種の友人たち

と集ったり、外から刺激を受けたりして、パワーチャージをしたいもの。

 6月に入ってアメリカのロースクールは夏休みに入ったため、

NGOヒューマンライツ・ナウのほうには、アメリカなどからインターンが集まり、

また、弁護士の卵である修習生の個別指導も今日から始まった。

いろいろな新しい出会いは嬉しいものだ。

ちょっと楽しい夏になることを期待したい。。。

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