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2009年4月 4日 (土)

少数意見を言い続ける勇気

最近、早尾貴紀さんの「ユダヤとイスラエルのあいだ」を読んでいる。

もう多くの人はとっくに注目されていたので、誠に遅ればせであるが。

デリダ、サイード、アーレント、ガンジーなどがイスラエル国家建国とその後の状況にどのような意見を表明してきたか、イスラエルと日本の国家と私たちの意識の在り方などが掘り下げられていて、

とにかくすごい。

ところでこの本のなかで紹介されていることだが、ハンナ・アーレントは、イスラエル建国に際して、異を唱え、二民族共存の一国家論を提唱しているのが大変興味深い。

1947年に国連による分割決議が採択され、イスラエルがまさに建国されようとしている1948年に、アーレントは「ユダヤ人の郷土を救うために-まだ時間はある」を発表し、具体的な政策提言を行っている。

この意見は多数意見とはならず、歴史的に敗れ去り、イスラエルが建国された。

しかし、アーレントの指摘は無駄ではまったくなかった。今日を生きる私たちが中東問題を考えるうえで立ち返るべき重要な示唆を与えている。

そのときどき、歴史的に敗れる可能性が高い見解であっても、あえてそれを表明すること、それは勇気がいることである。しかし、孤立を恐れずに、負けに直面しても、発言し続けることは時に重要である。少数意見であっても歴史に耐えうる論を展開しようとすることは、知識人の責務でもあろう。

最近日本のどんな場にいても、負けを覚悟で少数意見を毅然と主張し、議論をする人々が少なくなっているように思う。テレビのコメンテーターの議論をみていても、弁護士会のなかでもときどきそう思うのだ。

多数派に寄り添うのがそんなに甘い蜜なのか、負けたり排除されたり、メインストリームをはずれるのが格好悪い、得策でないと考えているのか。。

しかし、少数意見を信念を持って言い続ける人がいない限り、社会は発展しない。

パレスチナ問題から少し離れるが、幾多の批判にさらされつつも孤立をおそれず信じたことについて微動だにせずに信じることについて発言を続けたアーレントの姿勢と勇気には、立場を越えて感服させられる。

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