カンボジア特別法廷がはじまる。
1970年代にカンボジアで起きた、ポルポト派による大虐殺の責任を裁く
「カンボジア特別法廷」が開廷しました。
私の所属するNGO ヒューマンライツ・ナウでは、2006年以降、この法廷のモニタリングと政策提言を続けてきましたが、えんえんと先延ばしにされて雲散霧消するかと一時は思われ、危ぶまれてきたこの法廷が始まったのは感慨深いです。
はじめての法廷には多くのカンボジア人が詰めかけ、正義の実現の行方を見守ったと報道されています。
◆200万人虐殺、ポル・ポト派特別法廷ついに開廷(2月17日、読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090217-OYT1T00443.htm?from=navr
◆ポル・ポト派特別法廷が初公判 大虐殺の責任問う(2月17日、共同)
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009021701000224.html
◆ポト派特別法廷が開廷=元所長初公判、大虐殺の責任追及-カンボジア(2月17日、時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009021700038
◆ポル・ポト派特別法廷で初公判 カンボジア虐殺の歴史(2月17日、朝日)
http://www.asahi.com/international/update/0217/TKY200902170054.html
ヒューマンライツ・ナウでは、カンボジアで人権が尊重される社会が実現されるために、過去の深刻な人権侵害の過去について刑事責任を問う法廷の重要性が
あることから、同法廷における被害者の参加を提言してこれが実現するなど、カンボジアNGOとともに、法廷の適切な運営のための政策提言・モニタリングを続けてきました。
今後も、法廷の監視などの活動や、同法廷最大援助国である日本政府へのロビー活動などを継続していく予定です。
また、昨年12月には、同法廷に関するシンポジウムを東京大学で開催いたしました。その報告がウェブサイトにアップされておりますが、以下から読めます。
http://www.ngo-hrn.org/active/ksr.pdf
こうした「過去の人権侵害を裁く」法廷の監視は、選挙監視などと並んで、周辺国の市民や法律家がなしうる、平和構築のための国際貢献として重要性を増しています。
この法廷は、国際スタンダードの人権保障が実現するものになるか、欧米諸国は大変懐疑的で、「カンボジアなんて徹頭徹尾腐敗した国だから、ろくな法廷ができない。つぶしてしまえ」ということをいう欧米の人たちもいました。欧米諸国はそうした理由から資金援助をしない方針を決め込んでいた国も少なくなかったわけですが、日本政府が巨額の資金援助を宣言したことから法廷は実現することになったというのが実情です。当時、ニューヨークにして、このカンボジア法廷に関する議論にかかわっていた私は、周囲の欧米人から「なんで日本は?」とよく質問を受けたものです。
しかし、欧米の刑事司法だって完ぺきではないわけで(ブッシュ政権のグアンタナモでやったことを見ましょう、また、私の著作に書いてありますが、アメリカでは冤罪が多発して深刻な問題になっています)、他人の国の司法制度が遅れているからと言って、不完全にしかできないからと言って、真実を裁く法廷をつぶしてしまえ、とか資金援助をあえてしない、というのは、いかがなものか、と私は思っていました。まあ、日本政府は逆にカンボジアに寛大に資金援助し、人権についてあまり発言しない、という逆のパターンがあり、それも問題だと思うのですが。
汚職や人権スタンダードに沿わない運用など、悪いものは悪いといいながら、カンボジアの人たちが真実を望み、過去を清算し、未来にむかっていくために、手助けしていくべきでは、と私は、思ったんですね。
そのようなわけで、2006年以降、NGOというかたちで取り組むことになったのです。
その後、諸外国の政府もこの政府への資金援助などをいろいろありながらもするようになったわけです。
これからも、さまざまな懸念されることもあるこの法廷ですが、ぜひそのゆくえを見守り、監視し、政策提言などを続けていきたいと思っています。
この法廷に対して、ヒューマンライツ・ナウがやってきた被害者に関する政策提言について、またの機会にお話したいと思います。
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