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2009年2月

2009年2月27日 (金)

ヒラリーの人権外交

最近メディアの方から、ヒラリー・クリントンのアジア歴訪について何度か質問を受けました。

特に、中国にヒラリーが行った際に人権問題について公式な会談では十分に議論をしなかったことについて、世界の人権団体は一斉に批判していますが、どう思いますか、という質問でした。

私は、強い姿勢で発言することは手段であり、一番大事なのは、とにかく結果を出すことだ、ということだと思いますので、ただちに批判する気はしません。

前ブッシュ政権は、世界を善悪にわけて分断し、自らの価値観についていけないものは、容赦なく制裁したり、強く批判したり、ひいては侵略したりしたものです。世界はその後遺症が残り、アメリカ不信がひろがりました。その意味では、まず、そのような敵か味方かの二分論に立たずに、対話と信頼醸成による外交を進める態度を鮮明にすることは、必要なことだと思います。

単に強く批判すれば、そして制裁すれば、人権は改善するというものではなく、さまざまな努力が必要とされます。その意味で、その時々の断片的な発言で、どんな強い口調を選んだか、というレベルより、戦略的にどのように人権改善という結果を出すか、その戦略を持っていることこそが必要だと思うのです。その意味でまだヒラリーの人権外交を評価するのは早計だと私は思います。

 たとえば非公式行事だとしてヒラリーが教会を訪れたり、中国の女性活動家や人権活動家を励ましたことなどは、人権のために戦っている人たちを支援するという意味で注目に値すると思いました。

 軍事力以外のソフトな手段を駆使して外交で世界を変えようとするスマート・パワー、その現実への適用が、結果を出せるかを注目していきたいと思います。

 また、そもそも、アメリカが取り組むべき人権侵害は、同盟国でない中国などにどう強く人権の踏み絵をつきつけるか、よりもまず、自国が世界で展開している人権侵害をやめ、同盟国-イスラエルなど-の人権侵害に対する軍事援助や外交的援助をやめることが鍵ですので、そちらのほうこそよく見ていく必要があると思います。

 一方、ヒラリーのアジア歴訪を評価して、「日本も価値の外交をやめるべき」という議論をしている文書を読みましたが、それも違うと思うのです。

 外交の目的を考えると、ひとつには戦争をせずに平和を維持すること、もうひとつは国益だといえるかとは思いますが、単に仲良くするということだけを越え、国益を越えて、普遍的な価値を実現することを目的にする、特に 人類の基本的価値である人権の尊重を外交の目的に掲げるのは大切なことだと思います。

 仮にそれが普遍的価値という衣をかぶった中国封じ込めという国益目的であれば、それは全然問題外でしょう。しかし、単にどの国とも仲良くというだけでなく、ひとつのプリンシプルのうえに外交をすすめ、基本的人権に基礎を置くのは当然のことだと思います。

 要はその手段を達成するために、長い目で見てどういう結果を出していくか、ということでしょう。あれだけ、あちこちの国を言葉を尽くして批判しまくったブッシュ政権は世界の人権状況を悪くしたことはあれ、批判したどの国においても人権状況の改善はもたらされていないです。

2009年2月17日 (火)

カンボジア特別法廷がはじまる。

1970年代にカンボジアで起きた、ポルポト派による大虐殺の責任を裁く

「カンボジア特別法廷」が開廷しました。

私の所属するNGO ヒューマンライツ・ナウでは、2006年以降、この法廷のモニタリングと政策提言を続けてきましたが、えんえんと先延ばしにされて雲散霧消するかと一時は思われ、危ぶまれてきたこの法廷が始まったのは感慨深いです。

はじめての法廷には多くのカンボジア人が詰めかけ、正義の実現の行方を見守ったと報道されています。

◆200万人虐殺、ポル・ポト派特別法廷ついに開廷(2月17日、読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090217-OYT1T00443.htm?from=navr


◆ポル・ポト派特別法廷が初公判 大虐殺の責任問う(2月17日、共同)
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009021701000224.html

◆ポト派特別法廷が開廷=元所長初公判、大虐殺の責任追及-カンボジア(2月17日、時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009021700038

◆ポル・ポト派特別法廷で初公判 カンボジア虐殺の歴史(2月17日、朝日)
http://www.asahi.com/international/update/0217/TKY200902170054.html

ヒューマンライツ・ナウでは、カンボジアで人権が尊重される社会が実現されるために、過去の深刻な人権侵害の過去について刑事責任を問う法廷の重要性が
あることから、同法廷における被害者の参加を提言してこれが実現するなど、カンボジアNGOとともに、法廷の適切な運営のための政策提言・モニタリングを続けてきました。
今後も、法廷の監視などの活動や、同法廷最大援助国である日本政府へのロビー活動などを継続していく予定です。

また、昨年12月には、同法廷に関するシンポジウムを東京大学で開催いたしました。その報告がウェブサイトにアップされておりますが、以下から読めます。

http://www.ngo-hrn.org/active/ksr.pdf

 こうした「過去の人権侵害を裁く」法廷の監視は、選挙監視などと並んで、周辺国の市民や法律家がなしうる、平和構築のための国際貢献として重要性を増しています。

 この法廷は、国際スタンダードの人権保障が実現するものになるか、欧米諸国は大変懐疑的で、「カンボジアなんて徹頭徹尾腐敗した国だから、ろくな法廷ができない。つぶしてしまえ」ということをいう欧米の人たちもいました。欧米諸国はそうした理由から資金援助をしない方針を決め込んでいた国も少なくなかったわけですが、日本政府が巨額の資金援助を宣言したことから法廷は実現することになったというのが実情です。当時、ニューヨークにして、このカンボジア法廷に関する議論にかかわっていた私は、周囲の欧米人から「なんで日本は?」とよく質問を受けたものです。

しかし、欧米の刑事司法だって完ぺきではないわけで(ブッシュ政権のグアンタナモでやったことを見ましょう、また、私の著作に書いてありますが、アメリカでは冤罪が多発して深刻な問題になっています)、他人の国の司法制度が遅れているからと言って、不完全にしかできないからと言って、真実を裁く法廷をつぶしてしまえ、とか資金援助をあえてしない、というのは、いかがなものか、と私は思っていました。まあ、日本政府は逆にカンボジアに寛大に資金援助し、人権についてあまり発言しない、という逆のパターンがあり、それも問題だと思うのですが。

汚職や人権スタンダードに沿わない運用など、悪いものは悪いといいながら、カンボジアの人たちが真実を望み、過去を清算し、未来にむかっていくために、手助けしていくべきでは、と私は、思ったんですね。

そのようなわけで、2006年以降、NGOというかたちで取り組むことになったのです。

その後、諸外国の政府もこの政府への資金援助などをいろいろありながらもするようになったわけです。

これからも、さまざまな懸念されることもあるこの法廷ですが、ぜひそのゆくえを見守り、監視し、政策提言などを続けていきたいと思っています。

この法廷に対して、ヒューマンライツ・ナウがやってきた被害者に関する政策提言について、またの機会にお話したいと思います。

マンマ・ミーアで、元気になれる

マンマ・ミーア。。お勧めです。ちょっと、こんなに映画で感動したのも久しぶり。

本当に素晴らしかったです。

メリル・ストリープ演ずるドナがなんといってもかわいく、魅力的なのです。

人生の悲喜劇、悔しさや荒波を味わってきた感じが歌に出ているわけですが

(お金の歌とかあって、たくさんの請求書に支払をしなきゃいけない、という歌詞など身につまされますし、失恋の歌も内に秘めた悔しさが表に出た、という感じで、とてもいい)、

それが大人の女というもの、そしてそんな大人の女だって、

恋もできるし、踊れるんだ、つまりまだまだ人生を楽しみつくす

ことができるのだ、というのがメッセージなのです。

 島の女性たちがみんなダンシング・クイーンを歌いながら

踊りだしてしまうシーンは、なぜか涙がとまらないくらい--感動してしまいました。

 アバのダンシング・クイーンは、17歳の女の子が、ディスコで踊れるか躊躇しているときに「もう17歳よ、You can Dance」と背中を押す、という歌詞ですが、

 マンマ・ミーアでは、ダンスに心をときめかすなんて諦めていた大人の女性に「You can Dance」と呼びかけたところが素敵なんだと思います。

 男性陣も、なかなか負けていなくて、まず、愛に乾杯し、喜び合おう、金のことはそれから心配しよう、という台詞など、なかなかかっこよかったです。

 映画では、メリルはじめ三人の女性たちがダンスを謳歌して、まだまだやるわよ、という感じなんですが、私もそういうユニットを組んでいたことが。

 マンマ・ミーアがNYではやっていた2004~5年ころ、ニューヨークに留学していた私は同世代のフランス人、トルコ人と三人で、週末になるとあらゆるパーティーに顔を出して踊っていたのですが、三人とも、ダンシング・クイーンが大好きで一緒によく踊っていたのです。

 ほかに、イラン、スペイン、ドイツ、中国、パレスチナなどから来たLadyたちとよく遊んでいましたが、なかでも一番気の合うその三人でよくでかけては、踊ったなあ、笑ったなあ、と思いだします。

 ああ、久しぶりにみんなに連絡をとってみよう! と思いました。

 話を戻すと、この映画は毎日がんばっている大人の女性たちに本当にお勧めです。

 ギリシャの美しい景色といい、ブロスナンといい、メリルの美しさといい、素晴らしい。

 DVDが発売されたら、購入して、ときどき見ると、すごい元気をもらえそうです。

 もちろん主人公たちは私よりずいぶん年上、ちょっと世代が上で共感できない、

 と思うかもしれませんが、そんなことはない。

 Sex and the Cityが好きな世代でも十分に感動可能です。

 経済の関係もあり、厳しい時代ですけれど、この映画を見て思いきり元気を出しましょう!

2009年2月14日 (土)

MySpaceで世界にお友達♪

Myspaceにヒューマンライツ・ナウのページがあります。

ボランティアさんがつくってくれたもので、時々に出したステートメントで、英語に翻訳したものをアップしているのですが、世界からのメッセージ、コメント、バナーをみてるととても楽しいし、美しいので、是非お立ち寄りください。

http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewprofile&friendID=1002104520

ひとつ思うのは、Myspaceでフレンド登録してくれているのがほとんど日本以外の人であること。英語ベースであるからかもしれませんけれど。

もうひとつは、海外からくるメッセージ、人権に関心をもって行動したりしている人たちがとてもおしゃれで楽しいセンスを持っていること。

そして、海を越えて友達をつくったりネットワークをつくったりするのに、とても積極的なこと。

いまは経済的にも大変な日本ですけれど、ゆくゆく、日本の人権カルチャーもそんなふうに変わっていってほしいなあ、と思います。

2009年2月13日 (金)

2月24日に、ガザ緊急報告会を開催します。

みなさま

ヒューマンライツ・ナウでは、ガザ緊急報告会を224日に開催いたします。

現地ガザから帰国したばかりのジャーナリスト志葉さんと、

パレスチナ支援を続けているJVCの藤屋さんからお話をいただきます。

是非ご参加いただきますようお願いします。

~ 転送歓迎~

昨年末から始まった、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への軍事攻撃。

国際世界の非難を浴びながらも、3週間にわたって無差別攻撃は続けられ、

1300人以上の死者を出す大惨事となりました。

なぜ、この時期にイスラエル軍はガザを攻撃したのか。

実際にガザで起こっていたことはなんだったのか。

1月末に現地入りし、28日に帰国したばかりのジャーナリスト・志葉玲さんと、

長年パレスチナ支援に携わっているJVC日本国際ボランティアセンターの

藤屋リカさんをお招きして、これまでに伝えられてこなかった現地ガザの状況を

お届けいたします。 お誘いあわせの上、是非お越し下さい。

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ガザ緊急報告会ガザ攻撃から1ヶ月、いま現地からの声を聞く 

●スピーカー/ 志葉玲(フリージャーナリスト) ×   

         藤屋リカ(JVC日本国際ボランティアセンターパレスチナ事業担当)

●日時/ 224日(火)18302030

●会場/ 東京ウィメンズプラザ 第二会議室

JR:渋谷駅下車徒歩12

   地下鉄:表参道駅下車徒歩7分都バス(88系統)

  :渋谷駅からバス4分青山学院前バス停下車徒歩2 

●参加/ 入場料500円 ※HRN/JVC会員は無料人数把握のため、

できる限り、事前のご予約をお願いいたします。

(連絡先)ヒューマンライツ・ナウ事務局メール < info@ngo-hrn.org >またはFAX<03-3834-2406 

●主催/(特活)ヒューマンライツ・ナウ & (特活)JVC日本国際ボランティアセンター

●内容*なぜ、ガザは攻撃されたのか 

~今回の軍事攻撃の背景と状況~藤屋リカ(JVC日本国際ボランティアセンター パレスチナ事業担当)

*ガザ緊急報告会 ~住民の受けた戦争被害と非人道兵器の使用~志葉玲(フリージャーナリスト)

*ガザからの声 ~JVC現地報告~藤屋リカ(JVC日本国際ボランティアセンター パレスチナ事業担当)

*パネルトーク/ 会場からのQ& A

コーディネーター:伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ事務局長) 

●スピーカー紹介

志葉玲(フリージャーナリスト)

2002年春から、環境、平和、人権をテーマにフリーランスジャーナリストとしての

活動を開始する。イラク、レバノン、インドネシアなどを取材。

今年1月下旬より、パレスチナ入りしガザを取材。

現地人脈を活かし、新聞や雑誌、ブログ等で情報を発信し続けている。

著書: 『たたかう!ジャーナリスト宣言―ボクの観た本当の戦争』(社会批評社)

藤屋リカ(JVC日本国際ボランティアセンター パレスチナ事業担当)

保健師、看護師。1990年から広島で保健師として勤務、

1995年から7年間日本のNGOの派遣員としてパレスチナでの母子保健プロジェクトに携わる。

2002年大学院在学中(国際保健学専攻)に、JVCの派遣でパレスチナ西岸自治区での

緊急人道支援に参加。20044月より現職。 

* ヒューマンライツ・ナウ *

110-0015 東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル3F

Tel 03-3835-2110 Fax 03-3834-2406http://www.ngo-hrn.org/

2009年2月12日 (木)

女性と貧困ネットワークにいってきました。

以前からとても気になっていたこのネットワーク。

いつもいろいろと有益な情報をいただいている、シングルマザーズ・フォーラムの赤石さんに紹介してもらって、茶話会に参加してきました

私の同僚・田部弁護士に「いくんだ」と話したら私も是非いきたいということで、二人で出掛けたのでした。

それは、ちょっと未知との遭遇!  在日ケニア人女性の半生について共感したり、はじめてホームレスの女性とお話ししたり。大変な経験をされたからか、どこかつきぬけていて、とても心の豊かな方たちなので、なんというか、大変すがすがして気持ちがしましたね。

しかもそれが「女どうし」という関係性であって、依頼人や相談者と弁護士の関係じゃない、というのが心地よかったです。

これは、それぞれがスピークアウトをして、ネットワークをつくることを主な目的とする会のようでした。

  「弁護士・弁護士会は何をしたらいいんでしょう」とすぐ結論に進みたい私ですが、ひとつとても明らかになったことは、NGOも法律家も、これまで女性の貧困の実態と問題をあまりに知らなさすぎたこと。その間に事態は思わぬところまで発展しているわけで、そこで、まず、皆さんの状況をよくよくお聞きして、提言を考えていく、ゆっくり進んでいく、というスタンスのように見えました。

 ここで課された宿題は、もっと実態を知りなさい、ということだったように思います。朝五時に駅を追い出されて、行く場所はマックしかないホームレス女性の実情など、もっと知らなくては。

タイにある、小さなみらいの学校の再開に乾杯!

タイのバンコクから車で八時間、ビルマ国境にある町、メイソット。そこにある、ひとつの学校をずっと応援してきました。

資金難になって、学校が閉鎖されることになったとき、日本の人々に寄付を呼びかけて再開を応援しました。いろんな方々が頭をひねってくださったり、アドバイスをしてくださったり、そして、お金を寄付してくださったり。

その学校が、本当にうれしいことに、やっと再開することになりました。。。そして、明日は入学式。

 これは、まだまだ「遠い夜明け」を求めて今日もたゆまぬ歩みを続けている、ビルマの民主化を求める心ある若者たちに「人権」「自由」「法律」などについて勉強してもらう学校です。

ビルマは軍事政権に支配されているので、突然軍事政権から強制労働をさせられたり、子どもなのに兵士に取られたり、レイプをされたりします。権利が奪われたのに、誰を責めることができず、自分の運命だと諦めるだけです。

ほかの国ではどんな自由や人権があるのか、知らないで育つ若者たちが増えていきます。そこで、未来のリーダーになる少数民族の若者たちに、人権や民主主義、法律などを教える学校をつくろうということになって、ビルマの民主化を求める法律家たちが学校をはじめました。ところが、資金難になって閉鎖に追い込まれました。

それをなんとか再開できたのも、日本で支援をしてくださったみなさまのおかげです。心からお礼を申し上げます。

明日の入学式は残念ながら日本からは参加できないのですが、本当にわくわくして嬉しいのです。

この嬉しいニュースをお伝えする、ヒューマンライツ・ナウの最新ニュースをご紹介します。

日本から再開を祝って乾杯!!

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みなさま

ヒューマンライツ・ナウでは、ビルマにおける人権尊重・民主化の実現を応援し、 タイ・ビルマ国境メイソットに未来に担うビルマの青年たちを集めて人権と法について教える
未来の法律学校 ピースローアカデミーの再開を支援してまいりましたが、このたび、
ついに、この学校が再開することが決まりました!
 2月12日に、新しい学生たちを集めて、入学式が行われ、学校が再開いたします。
 これもみなさまからの「みらいの法律家基金」へのご寄附のおかげです。
心より感謝いたします。
 この開校にあたり、現地に基金を送金することになり、大変感謝されました。

HRNでは、今後も教育内容への支援を継続し、現地への講師派遣やインターネットを使った 通信講座なども開催していく予定です。
険しい道のりが続くビルマでの自由の実現、そんななかでも、次代を担う若者たちに 人権の種をまこう、という想いで、ビルマの民主化を願う法律家たちと一緒にこの 教育事業にかかわっていく予定です。

以下に、学校の詳細を改めて説明させていただきます。
HRNでは、講師になってくださる実務家、研究者の方を常時募集しており、また引き続き募金 もお願いしたいと存じます。
是非今後ともよろしくお願いいたします。

   

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はじめに
2007 年、ビルマ(ミャンマー)で僧侶が連日デモ行進を繰り返し、これをビルマ軍事政権が武力によって弾圧するという衝撃的なシーンが大きく報じら
れ、ビルマの軍事政権の姿が国際的にも露わになりました。
このたび、このような状況下の若者の教育を支援しようと、NGOヒューマンライツ・ナウ(以下、「HRN」)はみらいの法律家基金を立ち上げることにな
りました。

▼ピース・ロー・アカデミー
 デモ行進が高揚した2007年9月、HRNの代表団は、ビルマでの人権侵害状況の視察と「ビルマ法律家協会」との交流のためにビルマ国境を訪問しまし
た。
(ビルマ国境の街で-タイ・メソッド訪問報告【活動報告】)
  HRNとビルマ法律家協会の出会いは、2007年3月にビルマ法律家協会の事務局長アウン・トゥー氏が来日し、この協会が主催している「ピース・
ロー・アカデミー」というロースクールを紹介されてその支援をHRNに要請されたのがきっかけです。

 ピース・ロー・アカデミーは、ロースクールと言っても、日本のように資格を取る前段階となる学校ではなく、 2年コースで国際人権法、比較憲法、民主
主義の理念等の教育を行っている機関です。そこでは、長年つづいている軍事政権下でまともに人権教育や民主主義教育を受けてこられなかった少数民族出身
の若者たちが勉強しています。
 彼らの多くは、「法律」という言葉も「人権」という言葉もそこへ来るまでほとんど聞いたことがないというのです。

▼「民主的なビルマをつくりたい―」
 私たちは、今回の訪問で実際の授業風景も見てきましたが、学生たちは「民主的なビルマをつくりたい」という強い想いをもっており、授業を受ける一人一
人の眼差しにはきらきら輝くものがありました。
  彼らは、ここを卒業すれば人権活動家として、ビルマの民主化、新憲法の起草などに関わっていくまさにビルマの希望です。現状ではこの機関が同時期に
受け入れられる生徒の数にもかなり限界があるため、多数の希望者の中からわずかな人数を選んで入学させている状態ですが、今後学生たちの数も教育内容も
充実化することが求められていると思います。HRNは、今後も現地訪問をし、さらに支援策を具体化し教育者の派遣等も予定しています。

▼教育の継続を!
  このピース・ロー・アカデミーは、これまでデンマーク政府やアメリカの大学教授からの資金援助を受けて運営をしてきましたが、資金援助が止まり、学
校は閉鎖されてしまいました。
 日本国政府は、デンマークの約20倍の資金をビルマに送り込んでいますが、この資金が彼らのために流れることはありません。
 そこでHRNは、同じアジアの人権法律家としてその再開を支援したいと「ビルマ・みらいの法律家基金」を設立しました。ビルマの民主化を本当に実現し
ていくためには、将来を担う若者たちが一人でも多くまともな人権教育を受け、人権や民主主義の理解を深めて、法律家や民主化のための活動家に成長してい
くことが必要です。日本の人権法律家がビルマのみらいの人権法律家の育成に寄与することが求められているのです。
 ここにご寄付いただいた資金は、ピース・ロー・アカデミーの家賃・光熱費等の運営費及び支援の具体化のためにHRNスタッフが現地調査に行く活動費の
みあてられます。

みなさまにこの事態にご理解を頂き、一人でも多くのサポートを頂きたいと願っております。

「 ビルマ・みらいの法律家基金 」への寄付の方法
■お近くの郵便局よりお振込みください。(新しく専用口座を開設しました)

★みらいの法律家基金専用口座
===============
口座番号 00160-1-429367
口座名称(漢字)ヒューマンライツ・ナウ みらいの法律家
口座名称(カナ)ヒューマンライツ ナウ ミライノホウリツカ
(※スペースは無視されます)

銀行等からの受取口座は以下です。

銀行名 ゆうちょ銀行
金融機関コード 0099
店番 019
店名 〇一九店
店名(カナ)ゼロイチキユウ店
預金種目 当座
口座番号 0429367
口座名称 ヒューマンライツ ナウ ミライノホウリツカ
===============

2009年2月 8日 (日)

素敵な女性の先輩・坪井節子先生と対談♪

昨日2月6日に、弁護士の坪井節子さんと対談させていただきました。

坪井先生といえば、子どもの人権一筋の情熱的な弁護士さんで、

子どもの人権の状況について訴えるお芝居を弁護士会ではじめ、

そのお芝居のなかで出てきた、子どものためのシェルターを現実の

ものにした「カリヨン子どもセンター」を立ち上げて大成長させたこと

で知られるすごい人、そして素敵な女性です。

 このたび、NGOヒューマンライツ・ナウの新人歓迎イベントとして、

二人でトークショーをさせていただいたのです。

 実は、坪井先生とは以前、一緒に海外の子どもの人権の活動を

させていただいていました。映画「闇の子どもたち」で知られる

ようになった、子どもの商業的性的搾取の問題に一緒に取り

組ませていたのです。当時は日本中だれもそんなことに関心を

持っていなくて、まさに闇のなかを切り開いていったという

状況でした。

 この活動は私にとって弁護士としての原点ともいえるもので、

この話をすると一晩かけても語りつくせないのですが、当時の

状況とこれからの課題を1時間でトークしました。

 とにかく、坪井先生のパワーと情熱に改めて、敬服!

  私もNPO法人を立ち上げて「無」から「有」を創りだし、かつ、弁護士らしくない活動をしている、とか言われたりするのですが、

 坪井先生はその先達者、そして凛々と、わき目もふらず、前進していらっしゃる。

 とても薫陶と刺激を受けて元気になった日でした。

 また、時間のあるときに中身(説明するととても長くなりそうですが)

を書ければと思います。

 

2009年2月 4日 (水)

難民の第三国定住に関する意見

 今日は、赤十字国際委員会(ICRC)の日本事務所が開設されるというのでレセプションにご招待いただき、参加してきました。

 緒方貞子さん、明石康さんはじめ、各界からすごい方々が参加され、なんというか、参加者の密度の濃いレセプションで、いろいろと貴重なお話をうかがうことができました。

 世界で起きている人道危機や紛争の最前線で活躍しているICRCですが、紹介されたビデオを見るにつけ心が痛み、こんな紛争や人道危機のない世界に一日も早くならないものか、と思い、心を新たにします。

 さて、紛争と人道危機といえば、難民ですが、最も身近な国際貢献である難民の受け入れについて、ヒューマンライツ・ナウでは、以下のような見解を発表しました。これは日本に住む私たちひとりひとりの問題でもありますので、ぜひ議論が深まるといいな、と期待しています。

難民の第三国定住実施にあたっての見解     

              

特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ

1  第三国定住をひろく導入、定着を

日本政府は、20081216日、第三国定住による難民受入れに関するパイロット・ケースの実施を閣議了解した。その内容は、タイ国メーラ難民キャンプ内におけるビルマ難民を、2010年度より、年に1回のペースで、1回につき約30人(家族単位)を3年連続して受け入れ、3年間で合計約90人をパイロット・ケースとして受け入れる、というものである。閣議了解は、「第三国定住による難民の受入れは、難民の自発的帰還及び第一次庇護国への定住と並ぶ難民問題の恒久的解決策の一つとして位置付けられており、難民問題に関する負担を国際社会において適正に分担するという観点からも重視されている。このような国際的動向を踏まえつつ、我が国においても、アジア地域で発生している難民に関する諸問題に対処するため」としている。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(以下、HRNする)は日本政府に難民の第三国定住を実現するよう求めてきた立場から、この閣議了解を日本における第三国定住のための最初の第一歩として歓迎する。

紛争、人道危機が後を絶たない現在、難民の受け入れは、人権を尊重すべき国として最初に行うべき国際貢献である。アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、スゥエーデン、二ュ―ジーランド、フィンランド、デンマーク、オランダ、スイスなどの伝統的受け入れ国と並んで、近年では、アルゼンチン、ブラジル、チリ、アイスランド、アイルランド、スペイン、イギリスなどが第三国定住の受け入れ国となっている。

今回、パイロット・ケースとはいえ、受け入れ人数は極めて少ないものであり、現在世界が直面する課題に応える数字とは到底いえない。このパイロット・ケースを成功させ、3年後にはこれを抜本的に拡大し、ビルマに限らず、世界中で迫害を受けた人々を広く受け入れるべきである。

2  難民の選定について-最も危機に瀕した人々の保護を

日本政府の閣議了解は、受け入れる難民について、

      国連難民高等弁務官事務所(以下、「UNHCR」という。)が国際的な保護の必要な者と認め、我が国に対してその保護を推薦する者、

②日本社会への適応能力がある者であって、生活を営むに足りる職に就くことが見込まれるもの及びその配偶者又は子であるとし、具体的な選考は、UNHCRから候補者リストの提供を受け、書類選考・面接調査により、約30人を決定するとしている。

  難民条約が、もっとも人権侵害の危機に瀕している人々を保護するという目的に立脚していることに照らして、HRNは、日本政府に対し、難民の選別基準をもっとも弱く、もっとも危機に瀕した人々を助けるという理念に基づいて行うことを求める。

すなわち、政府はまずUNHCRが緊急を要すると判断した人々を優先させるべきである。そして次に、政府はUNHCRが第三国定住の切迫した必要を認めると判断した人々、特に法的または身体的保護を要する人、危機に晒されている女性、親から引き離された子ども、そして暴力や拷問の被害者などを優先させるべきであるUNHCR Resettlement Handbook Department of International Protection (Revised), November 2004, p. IV-3 (63); UNHCR The Heightened Risk Identification Tool User Guide, June 2008, p. 3)

最も危機的な状況にある人々を優先するような運営をするために、HRNは日本が難民申請者の面接においてUNCHRHeightened Risk Identification Tool(http://www.unhcr.org/cgi-bin/texis/vtx/refworld/rwmain?page=search&docid=46f7c0cd2 を参照)を用いることを提言する 

  すなわち、日本政府は、UNHCRの要請を原則として尊重すべきであり、日本への適用能力の審査にいたずらに拘泥し、最も保護されるべき人々の受け入れを拒否するようなことがあってはならない。

そして、差別なく人権を保護するという1951年条約の目的に合致すべく、日本は病歴による差別なく難民を受け入れるべきである。

 また、将来的には、難民条約の範囲を超え、国内避難民(IDP)に対する保護に門戸を開くよう要請する。

3 

除外事由について

閣議決定は、 上陸拒否事由該当者のほか、テロリスト等我が国の治安維持上好ましくない者」を除外者とする

この点、HRNは、実施において除外の理由として認められるのは、難民の地位に関する難民条約第1F項(a)から(cの該当事由に限るべきであると考える。即ち、

(a)平和に対する犯罪、戦争犯罪及び人道に対する犯罪に関して規定する国際文書の定めるこれらの犯罪を行ったこと。
(b)
難民として避難国に入国することが許可される前に避難国の外で重大な犯罪(政治犯罪を除く)を行ったこと。
(c)
国際連合の目的及び原則に反する行為を行ったこと。 

という、難民条約が定める除外事由に限定し、これ以外の場合排除を行うべきでない。

 この点、日本政府が指摘する除外対象である「テロリスト」が問題となる。「テロリスト」概念は近年の「テロとの戦い」のなかで各国政府によって濫用的に拡大解釈され、多くの人権・人道上の問題を引き起こしてきたことに鑑みれば、国際人権法上と法の支配の観点から厳密な解釈によるべきである。国連人権理事会・テロと人権に関する特別報告者マーティン・シャイニン氏が2006年に定立した三つの要件

(1) 故意による殺人、傷害、人質にとる行為を行い、

(2) 国家を挑発し、人々を威嚇し、または政府ないし国際機関に行為を強要したり、やめさせることを目的とし、

(3) テロに関する国際条約と議定書に定められた犯罪を犯した、

の全てを満たす者に限られるべきである(E/CN.4/2006/98, December 28, 2005)

そして、単なる資金提供や、違法拘束命令下の行為者や庇護者、テロリスト行為に巻き込まれた者は「テロリスト」から厳密に区別されなければならない。

また、犯罪歴について、政治犯罪を犯罪歴から除外すべきは当然であるが、さらに抑圧国家の権限濫用による冤罪の危険性に配慮することが相当である。

4

 再定住政策について

日本政府は、受け入れた難民が日本社会において、差別なく、尊厳を持って自立的に生活できるよう、受け入れ態勢を整備すべきである。

  政府は、インドシナ難民、中国残留日本人孤児として受け入れた人々が未だ差別のなかで困難な生活を強いられていることの反省にたち、その教訓を踏まえ、適切な言語、職業訓練・職業紹介、住居、教育、ヘルスケア等の充実した受け入れ体制を確立すべきである。綿密な政策設計と実行、ならびに平等と非差別の理念に対する社会的コンセンサスの醸成も不可欠である。

  定住地の選択にあたっては、受け入れた難民の自由意思を尊重し、希望する職業を考慮して決定すべきである。

5 条約難民に対する受け入れ政策の転換を

第三国定住の受け入れ、保護と並んで、条約難民の地位を抜本的に見直すことも迫られている。条約難民に対しては、長期の審査手続中在留資格もなく、就業や医療へのアクセスに多大な困難を余儀なくされ、認定された後も職業紹介などの何らのケアも存在しない。条約難民と再定住者の間に格差をつくるべきでなく、条約難民にも再定住者と同等の受け入れサービスを提供すべきである。そして、これを機に条約難民の認定基準を抜本的に改めるべきである。

6

 開かれた難民受け入れに関する政策審議の場の確立を

今後の具体的な難民受け入れ政策の策定にあたっては、受け入れ団体となる民間団体、自治体等との連携が欠かせない。

また、今後の第三国定住政策の本格的実施にあたり、広く国民的な開かれた議論により政策を決定していくことが期待される。政府は、難民対策連絡調整会議(平成1487日付け閣議了解)という極めて閉ざされた範囲で難民受け入れ政策の協議・策定を行っているが、難民の受け入れが広く21世紀の我が国のあり方に関わる重要問題であることに鑑みれば、広く透明性のある国民的議論がなされるべきである。

HRNは、政府に対し、広く市民社会、国際機関、サービス提供者となる自治体、NGOも参加した、難民受け入れ政策に関する政策審議の場を早急に確立することを求める。                                                  

                   以上

   2に引用した文献

The Heightened Risk Identification Tool (and User Guide)

Un High Commissioner for Refugees, June 2008

は、以下を参照。

http://www.unhcr.org/cgi-bin/texis/vtx/refworld/rwmain?page=search&docid=46f7c0cd2 

2009年2月 2日 (月)

エレジー

お勧めです。

今日、シャンテ・シネで観てきました。ぺネロぺがことのほか美しく、

すべての出演者の演技が素晴らしい(私はとくにデニス・ホッパーがよかった)。

ラストのほうではどちらかというと男性が主人公と一緒になって泣いてましたので、とてもぐっとくるものがあったのではないでしょうか。

2009年2月 1日 (日)

六本木ヒルズでのトーク

六本木ヒルズでのトークを1月14日にさせていただきましたが、

その際の様子をアカデミーヒルズのサイトにご紹介いただきました。

こちらでも紹介させていただきます。

http://academyhills.cocolog-nifty.com/topic/

今回のゲスト、伊藤和子さん(国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長)は、2006年にNGOヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、アジアを中心とした人権問題の改善を目指し活動なさっています。伊藤さんが活動を始めたきっかけや活動に対する想いとは、いったいどのようなものなのでしょうか。国際的な人権問題とともに、お話いただきました。

伊藤さんは、1994年から弁護士として主に国内の人権問題に取り組んでいらっしゃいました。そのなかで、1995年の北京で行われた「世界女性会議」に参加し、同じ年代の女性が人権侵害にあっていることを目の当たりにしたそうです。

当時内戦が繰り返されていたルワンダから参加した女性が「虐殺や性的暴力、子どもの性の売買から受けた心と体の傷を抱えながらも、この事実を伝えるために生きていく」と話すのを聞き、……

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長、伊藤和子さん 大変心を打たれたと言います。「同年代の女性がこのような状況にある。私は日本の問題だけを考えていていいのだろうか? いつかこの人たちのために、何かできる人間になりたい!」と強く決心したそうです。

国際的な人権問題に目を向けた時、日本のODA(政府開発援助)がもたらす人権侵害や日本企業が関与する児童労働や労働搾取の問題、海外における日本人の児童買春など、直接的・間接的に人権問題に日本が関与しているという事実があります。

一つひとつの問題に対し、一時的な支援や関心ではなく長期的に関与し関心を持ち続けなくてはいけないと感じ、NGOヒューマンライツ・ナウを立ち上げたそうです。

戦争や災害で発生した人権侵害に対し、緊急の支援や援助だけではなく、大切なのは継続して援助することです。事実を知るだけでなく、背後にある仕組みを知ったうえで、解決策を議論しなくてはいけない。これは人権問題に関わらず、今世界で起きている全ての事象に当てはまることではないでしょうか。

伊藤さんは、「世界の中には、強制労働や暴力を受けること、人種差別されることを“生まれながらの運命”だと思っている人たちがいます。この発想を変え、“人権について考える”ということを伝えていきたい」と訴えていらっしゃいました。

参加したメンバーからは次のような感想をいただきました。

  • 日本にいると見えない視点を与えてもらいました。経済活動が人権を無視しているケースもあると思われるので、人々の“気づき”の啓蒙が必要だと感じました。
  • 解決すべき問題は多いと思うが、優先順位をどのようにつけて取り組むのか興味を持った。
  • 知らないことが沢山ありました。間接的に加害者になりえることを、もっと知らなければいけないと思いました。知らないってこわいことですね。
  • 世界の人権についてあまりにも無知でした。これからは無関心ではいられないと思いました。

原稿を書くのも日進月歩しよう

おかげさまで、いろいろな原稿の依頼をいただくのですが、

悩みの種は、私が日頃主張したり考えていることに関する原稿依頼ですと、同じ内容になってしまいがち、ということです。

でもコピペでは申し訳なく、少しずつ変えたりしていますが、それでもちょっと視点を変えた原稿依頼をいただくと、自分も勉強になるので、歓迎です。

たとえば、来週締め切りの原稿は、オバマ政権とアメリカの人権政策、国連政策、という原稿で、以前プログにも掲載したヒューマンライツ・ナウの見解をみて依頼をいただいたのですが、オバマさんは大統領になって早くもこちらが注文をつけたことのうち、ふたつみっつを「やる!」と宣言しています。そこで、その大統領命令をチェックしたり、CNNをみたりしてアップデートが必要になる。

 また、これも来週締め切りの原稿で、陪審制と裁判員制度の違いについて詳しく教えてください、というのがあり、これを機会に「アメリカ人弁護士がみた裁判員制度」という本を勉強してみようかと思っています。

 同じことの繰り返しをアウトプットしているとこちらも擦り切れますし、読んでいただく方にも申し訳ない。できるだけ、新しいことを学んでインプットをして、それを消化して、みなさんにお伝えしていきたいと思います。

裁判員制度・国会はなにしてるの?

私は昨年の8月に「裁判員制度の現時点での見直しを」という論考を

発表して、当プログの前身プログなどで掲載したところ

(10月11日付のこちらのブログにも転載しましたのでぜひ

ご覧ください)、最初は賛成派からも反対派からも

変な目で見られたり、批判されたりしてました。

ところが、拾う神もあるわけで、読んで「いい考えだ」とあちこちに

配ってくれる方、転送してくださる方が続出、わざわざある弁護士会

の「元弁護士会長さん」が面識もない私に電話をしてきて、

「先生の意見を知り合いみんなに配りますがよいですか?」

と言ってくれたり、業界誌への投稿を相次いで依頼されて

ほとんどコピペみたいな投稿(ごめんなさい)を

私自身あちこちに送ったり、講演したりしているうちに、

今や私の提唱する内容にかなり近い「見直し論」が

ほぼ、弁護士会の多数意見になってきたようです(^^)

あまり、ロビー活動は展開せず、筆一本でがんばってきた

のですが、同じ考えを持つ方々、私の意見に共鳴して

下さった方がたくさんいらっしゃって声をあげてくださったからです。

それは、無罪推定原則を徹底すべき、という問題だったり、

死刑を含む量刑には裁判員は参加しないことにする、という

ことだったり(事実認定だけをする、ただこれは弁護士会の多数意見になっているかは微妙)

拙速に3日で判断する、ということは絶対やめさせる、

というような内容で、私はどれもいまだからやらなくてはと

思うことばかりです。

これらの問題は、法律家でなくてもセンスのよい、賢い方々は重要だ

とお感じになるらしく、弁護士会以外の雑誌などでも、原稿依頼を

してくださる方などがいます。

「必ずしも専門の分野でもないこの問題を、よく考えられて

勉強されて、私に原稿依頼をしてくれて、すごいなあ」と頭が下がりますので、

だいたい断ることなくお引受けしているのです。

しかし、そんなこと- 特に弁護士会の動き-で喜んでいる場合ではまったくありません。

国会では何らの動きもないし、全然見直す気配もないまま、

着々と裁判員制度が実施される五月になりそうです。

裁判員になる市民の方々がこれだけ不安を募らせている

というのに、そして5月にはスタートしてしまうというのに、

国会はいったい何をしているのか?

一度も集中審理をやってないし、担当委員会である法務委員会は

回転休業状態だというではありませんか! いろいろほかにも懸案が

あるにせよ、派遣問題と裁判員制度は待ったなしで国会が動いて

議論をしないと、何のために税金を払っているのやら、と思ってしまいます。

このままでは通常国会で何も措置が取られずに裁判員制度を

現状のまま実施することになりかねません。

法曹界が 口角泡を飛ばして議論し、言論界でもこれだけ特集を組んで考えようとしている問題にほとんど何の審議もしようとしない国会。

でももともと、この制度は国会で法律としてつくられたものなんです。

それを今どうするか、も国会の仕事、国会の責任。

国会議員の皆さんにはしっかりやってもらいたいものです。

せめて、 国民の間で懸念の広がっている「死刑判決への市民の量刑関与」を一時見直す、凍結する、ということくらい、超党派で話し合って合意すればいいてはないですか。

たぶん、死刑か無期かの量刑判断に市民をなにがなんでも参加させなければならない、という強い意見と信念を持っている国会議員なんて誰もいないとおもいます。それなのに、強い世論の拒否反応にも関わらず、ただ、決まったことはしゅくしゅくとやりましょう、という政治は実に無気力、機能不全、とてもおかしい。

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