画期的。 オバマ政権が秘密収容所の閉鎖を命令
オバマ政権発足直後にぜひやってほしいこととして、
私が注目していたのは、グアンタナモ基地の閉鎖とCIAの秘密収容所の閉鎖
である。就任以来、オバマ大統領の行動を注目していた。
ニュースは予想外に早く来た。
昨日のニュースによれば、オバマ新大統領は、グアンタナモ基地と
CIAが運営するテロ容疑者用の秘密収容施設をすべて、
1年以内に閉鎖する、という大統領命令を出した、という。
http://www.nytimes.com/2009/01/22/us/politics/22gitmo.html?th&emc=th
就任直後、これほど迅速に対応したので、率直に言って感心した。
いずれも、21世紀だというのに本当におどろおどろしい
話だけれど、ブッシュ政権は、9.11以後、テロリスト容疑者を捕まえて、キューバに
ある米軍グアンタナモ基地に送ったり、CIAが世界中に
設置している秘密の収容施設に送って、そこで、拷問したり
虐待していた。テロ情報を引き出すためだという。
その拷問も、両腕に手錠をかけて壁に宙づりにする、
裸にして犬をけしかける、性的虐待、眠らせない、水攻めなど
本当にひどい拷問・虐待だった。しかも、本当にアルカイダの
メンバーと目されるのは、米国防総省の認識でも数パーセントに
すぎない、ほかは、無実の人の可能性が高い、という状況
だったのだ。こういうものは、形式裁判にかけて、容疑がはっきりしなければ
無罪となり、釈放されるのが当たり前であるが、ブッシュ政権は
テロ容疑者には裁判を受ける権利など認めない、として、裁判にもかけなかった
のである。いったん捕えられたら、身の潔白を証明するチャンスも
なく、無期限で拷問され続けていたのだ。
このニュースが私にとってとりわけ感慨深いのは、私が
この人権問題に深くかかわっていたからだ。
私が2004年-2005年にアメリカの人権団体で
活動していた時に、この問題- 特にグアンタナモ基地に収容
された人々の釈放を求める「人身保護請求訴訟」の手伝いを
していたのである。報道では聞いていたものの、
現実に、あまりにも残虐なことをブッシュ政権がやっているので、
心底驚がくした。しかも、そのことが公に明らかになって、最高裁から
裁判を受ける権利を保障せよ、という判決を受けても、ブッシュ政権が
それに従わず、残虐なやり方を続けている、その姿勢にも驚いた。
2005年当時、そんな状況に絶望した、無実の被収容者が相次いで
グアンタナモ基地のなかで自殺を図った。耐えられない状況だった。
そんな許されない人権侵害が新政権下で、ようやく正されることになったのだ。
特にグアンタナモだけでなくCIAの秘密収容所を閉鎖する、というとこ
ろまで踏み込んだのが評価される。
CIAの秘密収容所にまでメスを入れる、というのは、勇気のいる決断だ。
CIAは暗部を暴かれるのがさぞかし嫌であろう。
CIAを敵に回すと、ケネディのように暗殺されるかもしれない。
だから、どの大統領もなかなか手をつけられなかったのだ。
だから勇気のいる決断だったのだ。
「水攻め」という中世の拷問(ブッシュ政権でもしばしば行われていたし、
CIAもよく使ってきたようである)も許されない、という大統領命令が
出されたという。
日本からみると、当たり前のことと思うかもしれないが、
本当に常軌を逸したことがブッシュ政権下で行われていたのだ。
そして、CIAも数々の人権侵害を世界で展開してきたのだ。
新大統領の英断は私にとってはだからとても感慨深い。
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