新刊を発表しました!
このたび、新刊、「なぜ無実の人が自白するのか DNA鑑定は告発する 」
を発表しました。私は訳で、著者は米国のスティーブン・ドリズィン、リチャード・レオです。
http://www.nippyo.co.jp/book/4117.html
出版社である日本評論社からできたばかりの本を送ってもらいましたが、青い装丁がとても素敵で、我ながら感動しました。
このブログでも何度か書いていますが、アメリカでは陪審制度のもとで冤罪が相次いでいて、その原因のひとつに捜査段階で無実の人が自白をしてしまったことについて、陪審がそれを嘘と見抜けずに有罪を評決してしまった、ということがあります。この本はそのことに関するもの。
なぜ陪審は判断を誤ったのか。その理由は「無実の人は簡単にはやってもいない罪について自白しない」という自白神話があるわけです。しかし、本書はその自白神話が間違っている、ということを、実際に重大な犯罪について短時間のうちに自白をしてしまい、人生を半ば奪われてしまった125人の人々に焦点をあてて、論証するものです。
日本は、先日、国連規約人権委員会が再び「日本の自白偏重による有罪判決に憂慮する。その有罪判決のなかに死刑判決が含まれていることを知るとき、その憂慮はさらに深まる。日本の裁判所は自白でなく科学的証拠に依拠して判断すべきである」と勧告を出している通り、自白偏重では米国よりも問題を抱えています。
裁判員制度が導入されるにあたって、市民の方々にも知っていただきたいと思い、翻訳をしました。
本日、著者のひとり、スティーブン・ドリズィン教授が来日され、13日午後には、日弁連主催のシンポジウムが東京・虎ノ門の発明会館で行われます。ぜひ多くの市民の方にご参加いただけると嬉しいです。
昨日は、人権デーでなにかと忙しく、出張法律相談、事務所で起案、ブログでもご紹介した人権デーパレード、参議院議員の今野東先生の難民寄席、打ち合わせを経て、その後、
パークハイヤットのニューヨーク・バー(ジャズの生演奏が素晴らしかった)で、ちょっとだけ出版のお祝いをしました。
« オバマは公約を忘れようとしている? | トップページ | 裁判員運用見直しへ有識者懇 最高裁 »
「刑事裁判・裁判員制度」カテゴリの記事
- 袴田事件など相次ぐ冤罪の教訓は反映されたのか。法制審・特別部会「事務当局試案」を読む。(2014.05.02)
- 袴田事件の再審開始決定、釈放へ (2014.03.28)
- 米国でえん罪に関する私の論文が発表されました。(2013.10.29)
- PC遠隔操作事件・無罪推定原則を無視した「人民裁判」的な容疑者報道が目に余る。(2013.02.15)
- 東電OLえん罪事件が示す刑事司法改革の課題- DNA鑑定・証拠開示に関する抜本的制度改革が急務である。(2012.11.12)