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2008年11月 7日 (金)

オバマ勝利を実感。

  感激した。長いこと、米国を見てきた私にとって、今回の米国大統領選挙は本当に「やっとなるべき人が大統領になった」瞬間だった。

  私は2004年からオバマ氏を支持していたのだが、本当に今回当選できるとまでは、彼がここまでやってくれるとは。今年の初めから「もしかすると」と期待していたけれど、その時点で彼がなる、と思った人は日本には少なかったとおもう。でも彼は人々を勇気づけ、魅了し、なしとげた。

  四年前、多くのニューヨーカーが悪夢を見るようにブッシュ再選の報に接した。自分たちは全く同意できないのに、ファルージャで米軍はイラクの民間人を殺し続けた。そのことに何もすることができずに、その悔しさと罪悪感に、涙ぐんで語りかける若者たちもいた。政府の不満を持つ人々ひとりひとりのEmailまで監視の対象となった。アメリカの恐ろしい、暗黒の日々だった。

  しかし、ブッシュ時代がとんでもないと不満を持ち、声高に叫ぶ人はたくさんいたが、その望みを託せる人、というのはなかなか現れなかった。熱心にヒラリーを推すニューヨーカーの友人たちに、私は賛成できなかった。彼女は妥協をしすぎ、パワーポリティクスに染まりすぎていた。イラク戦争すら賛成票を投じていた。

 そこに現れて、変わらぬ穏やかさと力強さで、みんなに希望を与え、ひとりひとりに国を変える力があることを説得した、オバマ氏の人柄とリーダーシップがあって初めてこの変化が成し遂げられたと思う。国民はこれに応えた。懐疑的な人々、共和党を支持する人々も、一度も投票したことのない人も投票した。

  彼は「これはみなさんの成し遂げた勝利だ」と勝利を確認しあった。人々はそれを分かち合い、歓喜した。

  1950年代まで、選挙権すらなく、人種差別のなかにあった黒人が米国大統領になった、という歴史的快挙は、「月面着陸よりも偉大な歴史の進歩」だと米国で報道されている。ジェシー・ジャクソンが、オブラ・ウィンフリーが、コリン・パウエルがこの瞬間に涙ぐみ、多くの黒人の人々が喜びを爆発させ、黒人の子どもたちが微笑んでいるのをみて、彼らの道のりがここまでどれほど長く、どれほどこの日を待ちわびていたのかを気づかされた。

  彼を取り巻く課題は山ほどあり、シニカルな見方はいくらでもできる。米国は誰が大統領になっても変わらない権力構造だというのも正しいかしれない。核兵器で世界ににらみを利かせ、世界中に米軍基地を置き、CIAが世界で暗躍している、虚構の経済のうえに立つ国。著しい格差社会と不正義。

 しかし、それでも、これは言葉では語りつくせない、偉大な勝利だと思う。米国の構造と米国が経済と軍事力で支配する世界構造を少しでも変化させようとする努力を、私は、シニカルにならずに見守りたい。 

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