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2008年11月

2008年11月30日 (日)

These Foolish Things

私は孤独を愛するのですが、孤独になれる時間(仕事や原稿締め切りに追われている時間を除く)が最近だんだん少なくなっていて、残念です。

とても貴重なひとりの時間、冬の楽しみはあったかくして紅茶かワインを飲みながら、音楽をきくこと。

ジャズで好きな曲はたくさんあるけれど、いつも聞いているお気に入りのひとつは、

These Foolish Things

いつもはジェーン・バーキンのバージョンを聞いています。歌詞がせつなくて大好きなので、(ファンの皆さんには当たり前の語りつくされたことかもしれませんが・・でも語りつくせないと私は思う!)ご紹介します。

誰か思い出の人、心に思う人を思い出して聴くことになるでしょう。そんな人が心にいるのも素敵なこと。

These Foolish Things 

--Remind Me of You--
A cigarette that bears a lipstick's traces
An airline ticket to romantic places
And still my heart has wings
These foolish things remind me of you

A tinkling piano in the next apartment
Those stumblin' words that told you what my heart meant
A fairground's painted swings
These foolish things remind me of you

You came, you saw, you conquered me
When you did that to me
I knew somehow this had to be

The winds of March that make my heart a dancer
A telephone that rings but who's to answer?
Oh, how the ghost of you clings
These foolish things remind me of you

The scent of smouldering leaves the wail of steamers
Two lovers on the street who walk like dreamers
Oh how the ghost of you clings
These foolish things
Remind me of you

How strange, how sweet, to find you still
These things are dear to me
They seem to bring you so near to me

The sigh of midnight trains in empty stations
Silk stockings thrown aside dance invitations
Oh how the ghost of you clings
These foolish things
Remind me of you
Remind me of you

2008年11月25日 (火)

今日発売のクロワッサンに。

今日発売のクロワッサンの真ん中くらいに、私のインタビュー記事が掲載されています。

12月10日の世界人権デーにあわせたインタビューです。よかったら読んでみてください。

ところで、その世界人権デー、今年の12月10日には、渋谷で世界の人権の改善を訴えるパレードをほかのNGOのみなさん、祖国を追われて日本で暮らしている難民の人たちと企画中です♪

2008年11月23日 (日)

金曜日・「女性と派遣」シンポで触れた、熱い想い

先日、このブログでご紹介しました、

東京弁護士会の両性の平等に関する委員会主催の

「派遣労働を女性の視点から考える」シンポ、本当に会場がぎっしりの満員になり、参加者の方々の熱意が伝わってきました。

どうもご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

皆さんを会場に向かわせたのは、女性労働者をはじめ多くの派遣社員の方々の問題をなんとかしたい、という思いと、11月はじめに提出された派遣法改正案(政府案)がまったく切実な現状に応えるものになっていないことに対する怒りではないかと思います。

パネリスト( 連合の鴨さん、朝日新聞の竹信さん、研究者の川口さん)の三人のお話も本当に本質をえぐる素晴らしいものでしたが、派遣労働者の方々三人に生の派遣の実態をお聞きして、本当に改めてひどい、と怒りを感じました。その話を聞きながら、会場で涙を流されたり、涙をこらえている方々がいました。派遣であちこちを転々とし、明日も知れず、ダメ人間扱いされ、うつ病になってしまっても誰も補償してくれない、という話。

派遣先も派遣元も妊娠をいやがるので、仕方なく追い詰められて中絶する女性の派遣スタッフさんが多いということ。あまりにも人間が軽視されていて、今世紀のこととは思えない実情。

ところが、今回の派遣法改正案は、

日雇い派遣について  禁止するというが、30日程度。しかも18業務の例外が認められている。

登録型派遣について 何にも手をつけていない。

派遣対象業務について 製造業派遣がこれだけ問題になっているのに、派遣対象業務の規制強化はしない。

という大変期待はずれな内容で、しかも直接雇用については使用者側の義務を緩和する条文までこっそり入れ込まれていて、

怒りを感じました。

派遣法の抜本改正を求めて、弁護士会でも活動をしていきたい。

また、非正規の方々の権利実現のための活動を考えていきたい。

と思っています。

2008年11月21日 (金)

ビルマ・民主化運動のリーダー・僧侶への懲役65年等の刑に抗議する。

かの国では、こんなとんでもないことが。。

本日、ステートメントを発表しました。

ビルマ・民主化運動のリーダー・僧侶への懲役65年等の刑に抗議する。

           (特定非営利活動法人)

                ヒューマンライツ・ナウ

 昨年9月、ビルマで発生した民主化運動に対し、軍事政権(SPDC)は、残忍な武力弾圧と、参加者の身体拘束という重大な人権侵害行為をもって応えた。国際社会の批判にも関わらず、軍事政権は、この人権侵害について何らの是正を行わないばかりか、民主化運動に参加した者たちを刑事裁判にかけ、抑圧を継続している。

そして、本年1111日、軍事政権は、昨年の8月~9月の抗議運動を主導した主要な民主活動家少なくとも23名に懲役65年という事実上の終身刑を言い渡した。懲役65年を宣告されたのは、ミンコーナイン氏を含む、いわゆる88年世代(1988年の民主化運動に担った当時の学生)の民主化活動家であり、判決は、14名についてインセイン刑務所、そのほかの20(うち9名が懲役65年の判決)についてはそれぞれ拘束されている刑務所で、秘密裏に言い渡され、手続きは家族にも公開されなかった。また、同日、著名な労働問題活動家ススヌィ氏が126ヶ月の実刑判決を受け、さらに僧侶として昨年9月の民主化運動を導いた一人であるガンビラ師も12年の刑に処せられ、他の僧侶も懲役判決を受けたとされ、これら民主化運動参加者の弁護士まで懲役刑に処せられている。

  今回、有罪判決の対象となったのは、昨年815日に軍事政権が燃料や日用品の公定価格を一方的に引き上げたことに起因し、僧侶を含めて全土に拡大した民主化運動に伴う一連の行動である。一人当たりのGDPがわずか219ドル(1日1ドル以下)しかないビルマ市民にとって日用品等の値上げはまさに死活問題であり、彼らは市民の生活を守るために、経済的苦境の打開を求め、平和的な方法によって抗議活動を開始し、僧侶を含めて全土に民主化運動として発展したが、すべては平和的に行われた。

軍事政権は、このような民主化活動を武力弾圧したうえ、その参加者に懲役65年という、事実上の終身刑を言い渡したものであり、民主化運動に真っ向から挑戦する重大な暴挙にほかならない。

この判決が軍事政権の意向に沿ってなされた、非独立・不公平な裁判であったことは明らかである。これら有罪判決は、世界人権宣言が保障する、表現の自由(19)、平和的集会、結社の自由(20)、恣意的逮捕・抑留の禁止(9)、独立・公平な公開裁判を受ける権利(10)に示された基本的かつ普遍的な権利に対する重大な侵害である。

   国連人権理事会が選出した5人の専門家Tomas Ojea Quintana(ビルマの人権状況に関する特別報告者) Leandro Despouy(司法の独立に関する特別報告者), Frank La Rue(表現の自由に関する特別報告者), Margaret Sekaggya(人権活動家に関する特別報告者), Asma Jahangir (信仰の自由に関する特別報告者) 18日、ビルマ当局による、「良心の囚人」に対する不公正な裁判と不当な有罪判決を強く非難し、表現の自由を平和的に行使した人々に対する全ての弾圧・逮捕をただちにやめるよう求めている。

 HRNは今回の軍事政権の措置に強く抗議するとともに、日本政府を含む国際社会に対しては、軍事政権が今回の34名を含むすべての政治犯を即時かつ無条件に解放するよう、軍事政権に強く働きかけていくことを求める。

 国連人権理事会は、2007102日開催の第5特別会期に、ビルマの人権状況に関する決議を採択し、武力弾圧に強い遺憾の意を示すとともに、人権侵害行為の停止を求め、全ての表現、平和的集会、結社の自由への制限をなくすよう求め、2007年の武力弾圧で逮捕された全ての者の速やかな釈放とアウンサンスーチー氏を含む政治犯の釈放、民主化勢力との対話を勧告した。しかしながら、この勧告のひとつたりとも実施されていない。軍事政権は2010年に総選挙を行って民主化への道のりを進めるなどとしているが、これが国際社会の目を欺くものであり、真の民主化への道とは到底認められないことは、今回の事態で一層明らかになった。

  HRNは、日本政府を含むすべての人権理事国、近隣アジア諸国に対し、人権理事会その他のあらゆる機会を通じて、この由々しき人権侵害を是正するよう全力を尽くすように要請する。

                                                以 上

(今月明らかになった不当判決、不当逮捕)

1    弁護士2名への逮捕・不当判決(U Aung Thein 及びU Khin Maung Shein

1) 両弁護士は、Gambira師ほか、20079月の民主化運動などで逮捕された人々の弁護を多数引き受けた弁護士である。

2)両弁護士は、裁判官(Daw Aye MyaingHlaing Township裁判所)の指示に従い、

依頼人の主張を書面として、書面をDaw Aye Myaing裁判官に提出(116日)

3) ところが、Daw Aye Myaing裁判官は、この書面提出を理由に、両弁護士を法廷侮辱罪(section 3 of the Contempt of Courts Act, 1926)で最高裁判所へ告訴した。

4) 最高裁判所は、審理中、両弁護士からの事情聴取を一切行わなず、両弁護士に懲役4年を宣告(通常なら本件のような事件においては事情聴取のみで一週間から10日、結審までには2週間から1ヶ月ほど要する)。

5) 両弁護士は7日朝、普段どおり尋問のため裁判所へ赴いた際に同僚より事態を知らされた。117日夜、両弁護士が自宅で逮捕され、監獄への移送のため地方警察署へ連行された。

2.弁護士2名が逮捕され、懲役6か月の刑を言い渡される(Nyi Nyi Htwe 及びSaw Kyaw Kyaw Min

  

1)    Nyi Nyi HtweおよびSaw Kyaw Kyaw Minは、RangoonHlaing Thar Yar Township出身の11人の若手NLDメンバーの弁護人である。

2)    11人は、アウンサンスーチー氏の誕生日に、氏の写真がプリントされたTシャツを着て、2007619日にShwe Dargon Pagodaへと行進したかどにつき、20089月に逮捕された。

3)    家族らは裁判を傍聴することを許されていない。弁護士による接見も制限され、裁判官は検察官側の証人に対する反対尋問への十分な準備時間を与えていない。さらに公判中、警察官らによる撮影や録音が行われていることが確認された。

4)    11人の被告と両弁護士は、これら不公平な裁判手続の改善を裁判所に求めた。

5)    これに対し、裁判官(U Aung Mynt Than, Hlaingthayar Township Court)は、1023日に弁護側が、情報大臣(Information Minister)と警察庁長官(Director General of Police)3名の被告のために証人申請したことにつき、3名の被告と両弁護士を刑法228(公務執行妨害罪)に基づいて訴追することを検察官に許可し、両弁護士の逮捕状を発布した。

6)    Nyi Nyi Htwe1029日逮捕され、Saw Kyaw Kyaw Minは逃走した。

7)    Nyi Nyi Htweは判決の前になんらの抗弁も出来ず、Saw Kyaw Kyaw Min

本人不在のまま、Rangoon Northern District Courtで懲役6か月の判決が言い渡された。

3.14人の民主化活動家らに65年の実刑判決

  1)1111日、5名の女性を含む「88世代学生グループ」の14名が、Insein Prison’s Special Courtにおいて懲役65年の実刑判決を受けた。一連の手続は家族にすら非公開。

  2) 2007815日、軍事政権が燃料価格・日用品価格を大幅に引き上げたことに対して、817日夜、民主化運動団体「88世代学生グループ」は国民が直面している社会経済的な苦境を打開するよう求める声明文を発表し、翌日以降、市民数百名と供に抗議行動を行ったため、逮捕された。

Thin Thin Aye (aka) Mie Mie

Nilar Thein

Kyaw Min Yu (aka) Jimmy

Min Zaya

Zaw Zaw Min

Than Tin (aka) Kyi Than

Zaya (aka) Kalama

Ant Bwe Kyaw

Kyaw Kyaw Htwe (aka) Marky

Pannate Tun

Thet Zaw

Mar Mar Oo

Sandar Min (aka) Shwee

Thet Thet Aung.

4.ミンコーナイン氏を含む24人の民主化活動家らに65年の実刑判決

1111日、ミンコーナイン氏を含む「88世代学生グループ」の24名が、Insein Prisonに移送され、その後再びそれぞれの刑務所に移送されて、それぞれの刑務所で実刑判決を受けた。

ミンコーナイン氏ら9名は懲役65年の実刑判決を受けた。

Min Ko Naing

Ko Ko Gyi

Mya Aye

Pyone Cho

Aung Thu

Bo Bo Win Hlaingとその他7

Htay Kywe

Myo Aung Naing

Hla Myo Naung

Saw Wai

Su Su Nway

Tint San

Myat San

Win Maw

U Aung Thein( Lawyer)

U Khin Maung Shein

Nay Myo Kyaw

5.著名な労働問題活動家(Su Su New)に12年6ヶ月の実刑判決

  刑法Section 505b124 条および印刷・出版法section 17 および 20条により、懲役12年6ヶ月の実刑判決。

  Su SU Newさんは、以前、国際労働機関(ILO)に対して強制労働を告発したために拘束された経験を持つ、女性活動家である。

6.ブロガーに実刑判決(Nay Phone Latt

  刑法Section 505/b およびVideo Act 32/b 36 条などで、懲役20年6ケ月の判決を受けた。

7.詩人(Saw Wai)に対する懲役2年実刑判決

  Section 505/b of the Penal Codeにより2年の実刑判決。”February 14”というSr. Gen(軍事政権幹部)を揶揄する詩を吟じたのが理由とされている。

8Ashin Gambira師への実刑判決

  Gambira師は29歳の僧侶であり、全ビルマ僧侶戦線の創設者として、昨年9月の僧侶による大規模な民主化運動を呼びかけ、情報伝達などの役割を担ったGambira師は、1118日、インセイン刑務所で、秘密の裁判を受け、懲役12年の実刑判決を言い渡された。上記のとおり、彼の弁護人は逮捕されていたため、弁護人抜きで判決を言い渡されている。同師は、刑法Section 505 A / B、移民法Section 13/1、不法組織法 Section 17/1 などで訴追されていた。

                         

国連人権理事会の決議は、

http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrcouncil/docs/specialsession/A.HRC.RES.S.5-1.pdf

最近の情報の詳細は、ビルマ政治囚支援協会(本部タイ/英語)

政治犯http://www.aappb.org/

(元政治囚により設立された団体で、政治囚の状況を広く世界に伝えたり、ビルマ国内の政治囚の家族への支援、元政治囚のサポートなどを行っている団体。)

民主化活動リーダーに対する訴追は以下を参照してください。

http://www.aappb.org/37%20including%20Min%20Ko%20Naing%20%20-%2088%20Generation%20Students%20Leaders%20and%20Members.pdf

ガンビラ師の有罪判決は以下を参照してください。

http://www.irrawaddy.org/article.php?art_id=14652

国連特別報告者の意見表明は以下を参照してください。

http://in.reuters.com/article/southAsiaNews/idINIndia-36564320081118

2008年11月19日 (水)

アメリカ 無実の人125人が自白

先日、日弁連主催の12月13日のシンポジウムについてご紹介しました。

● シンポジウム 

なぜ、無実の人が自白するのか?

- アメリカの虚偽自白 125事例が語る真実 -

 1 日 時   平成20年12月13日(土)午後1時から5時まで

2 場 所   発明会館

  

アメリカでは、最近、DNA鑑定の発展で、死刑や終身刑を宣告された人が無実だったことがわかり、続々と釈放されています。無実の死刑囚はなんと125人にものぼります。陪審員が誤った判断をした原因はいろいろありますが、その有力な原因は捜査段階の自白が実は強制された虚偽のものだった、ということがあります。

日本でも、来年から裁判員制度が始まり、市民が刑事裁判で有罪・無罪を決めるわけですが、取調べのときに被告人が自白をした場合、それが本心からの自白だったか、それとも強要された嘘の自白だったか、大問題になります。取調べの全面的な可視化(録音・録画)が議論されていますが、まだ実現していません。

そこで、はたして無実の人がなぜ自白をするのか、日本でもそうなのか、といったことが問題になってきます。

そこで、アメリカの専門家- 明らかに嘘であることが判明した125件の虚偽自白について研究したドリズィン教授-に来日してもらい、無実の人がなぜ自白をしたのかについて話してもらいます。

実は、この教授、私は2005年と2008年におあいする機会があったのですが、私が担当している死刑えん罪事件・名張毒ぶどう酒事件に、教授の運営する誤判救済センターという機関が、最高裁宛て、意見書を書いていただいています。

一般公開イベントですので、是非興味を持っていただけた方は、ご参加ください(当日、私は司会をしています)。

以下、シンポジウムの詳細と、名張事件について提出された米国法廷意見書について、私が日弁連発行の「再審通信」というところに寄せた報告文書をご紹介します。

プログラム

第1部      講演「アメリカの虚偽自白125事例が語る真実

講師:スティーブン・ドリズィン教授

第2部      特別報告「免田事件の自白経過」 報告者:免田栄氏

第3部      報告「日本におけるDNA鑑定-再鑑定の保障の必要性」 

報告者:佐藤博史氏

第4部 パネル・ディスカッション

「自白が生む誤判・えん罪の悲劇を生まないために」

 コーディネーター:高野隆氏

 パネリスト   :スティーブン・ドリズィン教授

          桜井昌司氏

          小坂井久氏

【自白評価に関する米国専門家の法廷意見書の提出】

       弁護士 伊藤和子                                   

一、概況

名張事件第七次特別抗告審が最高裁第三小法廷に係属中である。

弁護団は、200612月に名古屋高裁刑事2部が出した、再審開始決定に対する取消決定(以下、異議審決定)の誤り、とりわけ新証拠に対する不当な認定が、科学的にみて完全に誤っていることを明らかにするため、調査、実験を重ね、新証拠に関する専門家からの意見書、新たな開栓実験報告書、調査報告書などを最高裁に提出するなどの活動を行ってきた。

      異議審決定の特徴は、科学的な照明を伴う新証拠を、非科学的な独断によって排斥する一方、捜査段階の自白を過度に評価し、有罪認定の主要な根拠としている点にある。そこで、弁護団は、新証拠の明白性に関する徹底した主張、立証と合わせて、異議審決定の自白に関する反論も重視し、浜田、脇中両鑑定人による自白に関する鑑定補充書を提出するなどしてきた。

異議審決定の自白に関する認定には、「重大事犯について特段の強制もなく自白している以上信用性がある」「無実の者があえてうその自白をするには、特別の事情があり、極刑が予想される重大事案についてはより納得できる理由がなければならない」と断定するなど、過去の幾多の冤罪事件で明らかにされた虚偽自白の教訓をまったく没却した、誤った断定を含んでいることから、上記鑑定とあわせ、米国専門家による「法廷意見書」を提出してこれに反駁した。

ここでは、米国専門家の意見書に関して紹介する。

二、法廷意見書の提出

名張弁護団は、2008425日、米国ノースウェスタン大学ロースクール誤判救済センター作成による、「奥西勝氏の自白評価に関する法廷意見書」を最高裁に提出した。

法廷意見書(米国ではアミカス・ブリーフという)とは、高度な争点を含む訴訟につき、第三者である民間の専門家が自発的に「法廷の友」としての役割を担い、専門的知見を裁判所に提出するものである。 米国連邦最高裁などには、重要な事実判断において、多数の法廷意見書が提出され、司法判断の基礎となる有力な見解として活用されている。特に米国のロースクールは、傑出した法学博士・研究者の指導のもとに、多数の法廷意見書を連邦裁判所・州裁判所に提出し、高い評価を獲得している。日本の最高裁に米国専門家による法廷意見書が提出されるのは、今回が初めてである。

本意見書は、米国ノース・ウェスタン・ロー・スクール(イリノイ州シカゴ所在)の誤判救済機関である、誤判救済センター(CWCCenter on WrongfulConvictionshttp://www.law.northwestern.edu/wrongfulconvictions/)によって作成された。同センターは、イリノイ州で多発した死刑冤罪事例の弁護に取り組んで雪冤に導き、イリノイ州の包括的な刑事司法改革を実現するきっかけをつくるのに大きく貢献した専門機関である。

本意見書を作成したのは、虚偽自白の専門家であり、2005年より同センターのリーガル・ディレクターとなった、スティーブン・ドリズィン教授である。同教授は、著名な供述心理の専門家、リチャード・レオと共同で、「DNA時代の虚偽自白の問題」(ノース・カロライナ・ロー・レビュー, 82 N.C.L.Rev. 891(2004))を発表した。この研究は、全米で、後に完全な無実が証明された事案で、125件もの虚偽自白事例が存在することを明らかにし、その詳細な分析を行ったものである。

米国では近年、DNA鑑定の普及等の影響で、120人以上の死刑囚が無実であると判明して、死刑台から生還し、相次ぐ冤罪が社会問題化している。そして少なくない冤罪事件で、虚偽自白がその要因であることが知られ、刑事司法改革が模索されている。ドリズィン教授らの研究はこのように、相次いで発覚した冤罪事件にみる虚偽自白の実態を客観的に示した、全米史上最大規模の実証的研究である

弁護団は、上記研究に注目して、異議審決定の自白・虚偽供述に関する判断につき、米国の実証的研究に照らした意見を求めた。

三、125の虚偽自白

   上記125件の米国の虚偽自白事例の研究は、従前の無罪事例での自白研究と異なり、犯行が物理的に不可能、DNA鑑定で真犯人が明らかになったなど、「完全に」無実が「証明された」事例に絞った自白研究である。そうした虚偽自白が米国で125件も存在する、ということ自体が注目に値するが、そのほとんどは、有形力の行使等ではなく、捜査官の心理的な取調べの技術により引き出されたという。

さらに注目すべきは、125件の立証された虚偽自白の実態である。

1   125件のうち、81%は、殺人事件に関するものであった。すなわち虚偽自白の多くは重大事件についてなされていた。

2   125件の被疑者が虚偽自白に至るまでの平均的取調べ時間は16.3時間であり、12時間以内に自白した者が50%12時間以上24時間以内に自白した者が39%24時間以上48時間以内に自白した者が7%であった。

3  虚偽自白を行った者のうち、65% は、18歳から40歳までの年齢であり、

精神遅滞等のない正常な判断を有する者がその大半であった。

4   虚偽自白を行い、公判審理を選択した者のうち、81%が有罪判決を下されてお

り、司法は、虚偽自白に依存し、誤判を生みやすいことが判明した。

以上は研究の骨子に過ぎないが、とくに1-3は、裁判所がこれまで信じてきた、無実の人間はよほどのことがない限り重大犯罪について自白をしない、という「神話」が事実に反することを明らかにした。

四 法廷意見書が明らかにした、異議審決定の誤り

  法廷意見書は、上記の実証的研究に照らし、動かぬ事実をもとに、異議審決定の

誤りを明らかにしている。

1 まず、意見書は、米国の125の虚偽自白事例のうち81%が、極刑の予想される殺人事件に関する自白であった、という事実をもとに、およそ人が死刑を科せられる可能性がある重大犯罪について、特段の強制もないのに虚偽の自白をするはずがない」という異議審決定の確信が誤っている、と指摘した。

2  次に、法廷意見書は、請求人の自白が5日間の連日、朝から晩までの取調べ(

計約49時間)の末になされ、自白した日は、深夜一時過ぎまで、16時間以上に及ん

だ、という事実に着目する。異議審決定は、本件の任意性は明らかで、特段の強制もないと判断したが、意見書は、125件の虚偽自白事例で、89%24時間以内に自白しており、虚偽自白に至る取調べ時間の平均が約16時間であることを紹介し、奥西氏の自白に至る取調べは全米平均をはるかに上回る、とした。意見書は、本件における取調べの長さが、虚偽自白の危険性を誘発するに足るものであると警告している。

3  法廷意見書はまた、米国でも虚偽自白事例の多くで裁判所は、自白の信用性

を肯定する幾多の誤りをおかし、その理由として、「犯人しか知りえない詳細な犯罪事

実を語っている」ということが挙げられてきたことを数々の事例で紹介し、犯人しか知り

えないと思われた事実が捜査官によってもたらされ、誘導されてきたことを示唆する。

意見書は、取調べの全過程記録されていない限り,取調官が自白をいかにして獲得したのかを知ることは不可能であり、詳細な事実が含まれていることを理由に自白の信用性を肯定すべきではない、と警告する。これは、異議審決定は、請求人の初回の自白調書が短時間で作成されたのに詳細で矛盾がない、ということを強調して信用性を肯定したことを強く批判するものである。

4 さらに、意見書は、特に警察の圧力が証明されていない事件でも人は様々な理由から虚偽自白をしてきたことを論証する。飛行家のリンドバーグ氏の息子の誘拐事件の捜査過程で200人以上の者が自白をしたこと、125の事例では、「自分は無実だから有罪判決は受けないだろう」と考えて自白したり、不貞の発覚から免れたい、子どもの親権を奪われたくないなどの理由で自白に至った例があることを紹介する。これは極刑が予想される事案では、虚偽の自白をする「特別の事情」「より納得できる理由」がなければならないとする異議審決定の独断に根拠がないことを示している。

5  異議審決定は、奥西氏が自分の妻が犯人である旨の虚偽供述をしたことを有罪認定において重視している。これに対し、法廷意見書は、米国の事例で無実の者が取調べにおいて追及され、第三者を犯人だとする虚偽供述を行い、その後に自白させられ、結果的に無実と証明されている例が事実として存在することを挙げ、こうした実例に照らせば、妻に責任を転嫁する供述をしたことが奥西勝氏の有罪を示す強力な証拠とはいえない、と主張する。

6 最後に法廷意見書は、奥西氏が、妻と愛人を同時に失った直後という状況下で長時間の取調べを受けて自白した、という状況の危険性を指摘する。意見書は、米国では、近親者を殺人事件で失った者が、その近親者の殺害について自白をさせられるケースが少なくないこと、として8つの冤罪事例を詳細に紹介、「これらの人たちが、愛する者-妻、母親と父親、姉、ボーイフレンド-の殺人について、ショックと悲しみの中で、そして全員が長い取調べの後で、自白した。これらの事件から得られる教訓は明らかである。そのような攻撃されやすい状況で被疑者が取調べを受けたとき、彼らの心理を操ることは極めて容易でありうる。その自白は非常に注意深く吟味されなければならない」と警告した。

以上の論点の検討を踏まえ、意見書は、異議審決定の誤りを明らかにし、奥西氏の自白の信用性に重大な疑いがある、として再審開始を求めた。同意見書は異議審決定の自白に関する判断が経験則に反することを明らかにしたものである。

弁護団では、意見書とあわせて、上記125件の実証的研究に関する論文を最高裁に提出した。さらに、この研究の重要性と普遍性に鑑み、ドリズィン教授の招聘・講演を企画し、実証的研究と法廷意見書の出版を予定している。

2008年11月17日 (月)

12月の世界人権デーに。

12月10日は、世界人権デーですが、それに先立って、以下の講演会を開催します。忘年会&パーティー・シーズンですが、ぜひよろしかったら、ご参加ください。

阿部浩己さんと、元アムネスティの岩井信さん(弁護士)のトークで、私もどんな話になるか、楽しみにしています。

129() ヒューマンライツ・ナウ トークショー

世界人権宣言60周年を記念して21世紀の国際人権運動を語る

- グローバリゼーションの中で問われる市民社会、そして人権-

1210日は、世界の人々に等しく人権が保障されることを宣言した、世界人権宣言から60周年にあたります。ヒューマンライツ・ナウでは、これを記念して、世界人権宣言を取り巻く世界と日本の状況と課題を考えるトークショーを開催します。

ヒューマンライツ・ナウの理事長であり、国際人権法の分野を切り開いてきた国際人権法学者でもある阿部浩己氏が、世界人権宣言60周年によせて、国際人権運動によせる熱き思いを語ります。

世界人権宣言が採択されてからの60年間で、国際人権法の分野の研究はめざましく発展し、国際人権機構が整備され、人類は、大きな進歩を遂げたかのようにも思えます。他方で、60年経った今この時も、戦争、「テロ」、難民、差別など、深刻な人権侵害が世界各地で絶えません。

今を生きる私たちは、こうした現実とどう向き合っていけばよいのでしょう。一人の市民として、あるいはNGOとして、私たちにはどのような力があるのでしょうか。 このトークショーでは、国際機構や市民運動に長く携わってきた経験をもつ阿部氏が、国際人権法とともに歩んだ半世紀をふりかえり、専門家としての視点はもちろんのこと、一人の個人の視点に立って、国際人権についての思いを、NGO職員から弁護士に転じ、まるごとの人間に寄り添い続ける気鋭の弁護士、岩井信氏とともに語ります。

●日 時/12月9日(火)18:00~2030

●会 場/環境パートナーシップオフィス・エポ会議室

      http://www.geic.or.jp/geic/intro/access.html

東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F

●参加費/無料

≪参加方法≫ 当日参加可です。人数把握のため、できる限り、メール info@ngo-hrn.org

またはFAX(03-3834-2406)にてお申し込みいただけると幸いです。

【主催】ヒューマンライツ・ナウ 〒110-0015 東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3

Tel03-3835-2110 Fax03-3834-2406 Mailinfo@ngo-hrn.org

☆会場までの行き方☆

交通/地下鉄銀座・千代田・半蔵門線

表参道駅B2出口より徒歩5

JR・東急・京王井の頭線・地下鉄各線渋谷駅より徒歩10

※国連大学ビルの右脇の通路を奥に進んで、エスカレーターを一番下のB2階(ガーデンフロア)まで下り、建物内に入って右奥です。 

2008年11月15日 (土)

お勧め・キャベツでダイエット

これは、ぜひみなさまにお勧めしたい。

実は、9月にインド出張でダウンし、なんとインドで入院してしまった私。

ちょっと気弱になり、「最近、前より疲れやすくってね」などと、日本に帰国して女性のドクターに話したところ、「とにかく痩せることよ」と厳しく言われてしまった。

年をとるにつれてちょっと太るのも仕方ないのかな、そういうことに寛容であるべきでは、なんて思っていたら、その逆で、年をとるにつれて健康のためにはセルフ・コントロールすべきなのですって。

そこで、本を読んでいて、一番よさそうだと思ったのは、キャベツ中心の食生活。夜はできるだけ、キャベツなどの野菜、キノコ、ちょっとだけベーコンを入れたポトフをつくって、それだけいっぱい食べて寝る。これらの食材は量がたくさんあるのにカロリーはものすごく少ない、しかもおいしい。だから全然苦しくないダイエットなのです。

それにキャベツもキノコもとても体にいい。

お昼は平気でステーキとかケーキを食べられます(ま、常識の範囲で)。肉は筋肉をつくるうえでも大切なので。

で、結論は、というと、一か月半で5キロ減りました。医師のいうとおり、体の調子がとてもいいです。

 なぜ、世のはやりは、バナナとかリンゴダイエットみたいですが、なんでかなー?効果あるの?と不思議ですが、一度だまされたと思ってキャベツでダイエットをやってみませんか?

苦しくないので、ずっと続けられそうなので、とてもお勧めです。

素敵な出会いとインド・ナイト!

 とっても、素敵な出会いがありました。

 インド舞踊で今、メディアでも注目度がアップしている、CNC インド舞踊団。

 漫画家の槇村さとるさんが参加してみた、と日経ウーマンにも出ていた。

 女性が美しくなるのにとてもいいダンスのようだ。

 そのCNC代表の野火杏子さんが、ヒューマンライツ・ナウの女性の権利のプロジェクト・特にインドの女性の権利の問題に共感してくださって、一緒にイベントをしてくれることに。

  9月の私たちの現地調査の報告会と、インド舞踊のワークショップ&トークショーを合体したイベントを企画することになったのです。 

 こういうことに意気に感じてくださる野火さんはとても素敵な方! お近づきになれて、嬉しいです。

 考えてみると、女性たちが中心の社会活動ってとてものびやかで楽しいし、わくわくする出会いがある。ヒューマンライツ・ナウの女性の人権チームも、雪田樹理さん、道あゆみさん、

清末愛砂さん、福島由里子さん、中村雪子さん、など、個性豊かな楽しい仲間が集まってくれて、いつも元気がでる。そして、訪問先で、出会うインドなどの女性活動家の方々がまたとても素敵なのです。

 それで、以下の企画ですが、インドに興味があるひと、ダンスに興味のあるひと、インド料理が好きな人はそれを楽しみながら人権にめぐりあい、人権や、女性問題に興味のある人は楽しいインドの世界を体験する、という、ひとつの異業種交流会にできるといいな、と思っています。

 ここでまた、たくさんの素敵な出会いがあるといい。皆様とお会いできるのを楽しみにしています。

  ご参加をお待ちしています。

 (予約制なので、お申し込みくださいね!)

   

 

インド・ナイト! Human Rights Café 

≪日時≫1129日土曜日午後4時から6

  ≪場所≫ 新宿三井ビルBFのインド・レストラン「マハラジャ・ピーナ」

MAHARAJA PINA Casual Bar Indian Food

http://r.tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13051749/dtlrvwlst/695930/

インドの女性たちについて、「人権」というところから、考えてみませんか?

ヒューマンライツ・ナウではこの秋より、身近に世界の人権問題を語り、考え、交流していただく、連続イベント「ヒューマンライツ・カフェ」を開催しています。

今回は、ヒューマンライツ・ナウによる、インドの女性の人権に関する調査報告&インド舞踊の夕べです。調査団は、少女が学校に行かずに結婚させられ、結婚後は多額のダウリー(持参金)を要求され、DVにより多くの女性の命が奪われる状況を確認してきました。

メディアなどで話題沸騰中の、インド舞踊団“コンテンポラリー・ナティヤム・カンパニー”の野火杏子さんが、全面的にご協力してくださり、インド舞踊のワークショップも開催します。めったにない機会です。ぜひお誘いあわせのうえ、ご参加ください。

◎ トークイベント ◎ ヒューマンライツ・ナウ「インド調査報告」

報 告/伊藤 和子(弁護士 ヒューマンライツ・ナウ事務局長)ほか

ヒューマンライツ・ナウ女性プロジェクトチーム・メンバー

◎ インド・ナイト ◎ “ナチ・バリエ” !

出 演/CNC インド舞踊団 野火杏子さん 

「インドのポップダンスを知って、一緒に踊りましょう!」

★ 入場料 ★ 2,000円 (おいしいインド料理付)

※事前申し込み制です。1126日(水)までにメール info@ngo-hrn.org

  電話(03-3835-2110)、または、FAX(03-3834-2406)にてお申し込みください。

【主催】ヒューマンライツ・ナウ 〒110-0015 東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3

Tel03-3835-2110 Fax03-3834-2406 Mailinfo@ngo-hrn.org

Contemporary Natyam Company

★ 野火杏子さんのご紹介 ★

http://www.cncdance.com/home.htm

インド舞踊団・教室「コンテンポラリー・ナティヤム・カンパニー」を主宰。インド公演多数を含む、テレビ、コマーシャル、舞台、イベント出演、振り付けなど多方面で活躍中。著書に「マサラムービー物語」「インド映画にゾッコン」などマサラおたくの名に恥じない活動ぶりを見せる。

心理学者としての顔も持つ。近著として、「踊るヨガ インド舞踊で体の内側から美人になる」。

★ ヒューマンライツ・ナウ(HRN)とは ★

 主にアジア地域での人権分野の国際協力・国際貢献活動、国連など国際社会における人権活動、そして国内での国際人権基準の啓発・国際人権基準の実現のための活動を行っています。法律家、研究者、ジャーナリスト、NGO関係者などの呼びかけで2006年夏に発足したばかりの日本を拠点とする新しい国際人権NGOです。(♪活動の概要が、雑誌「エココロ」最新号に紹介されています♪)

★ HRN 女性プロジェクトチームとは ★

アジア地域には今も女性の地位が極めて低い国が少なくなく、深刻な女性に対する暴力が続いています。

例えば、今回現地調査をしてきたインドでは、年間7000人以上の女性たちが、ドメスティック・バイオレンスなどの暴力で夫や夫の家族によって命を奪われています。学校に行けないまま少女のころに結婚させられ、嫁ぎ先から高額な持参金(ダウリー)を要求され、支払えないと虐待を受けたり、殺されたり、といった事態もあります。こうした女性に対する暴力はほかのアジア諸国でも同様に深刻です。同時に、こうした暴力の背景は日本における女性に対する暴力と共通する点もあり、克服にあたっての課題も共通しています。 

ヒューマンライツ・ナウ では、アジア地域の女性たちとネットワークをつくり、アジア地域から女性に対する暴力を根絶しようと「女性に対する暴力」プロジェクトを立ち上げました。

今回のトークイベントでは、今年9月の調査報告から見えてきた課題をお話しします。

2008年11月14日 (金)

Mixiを始めました。

何度も招待してもらったのに、近寄らなかったmixi。ついに始めました。

なんだか、お付き合いとか大変そうだなー、と思っていたんですけれど、

私のNGO・ヒューマンライツ・ナウのコミュがきわめて少ナミックな展開にとどまっているらしく、インターンの大学生諸氏やボランティアの方々が「これでいいんですか?」という声があがり、では、やはり自分も参加しなければ、という話になって始めたのです。

  学生スタッフさんの手助けにより、なんとか登録を済ませ、このプログもmixiでも見られるようになりました。便利!!

  私の知り合いのジャーナリストや映画監督、NGOスタッフなどの方々もmixiに登場している様子がみれて楽しい。もしかしたら、昔の同級生とかともあえるかもしれませんね。

  登録してみて、気づいたことのは、ヒューマンライツ・ナウはコア・メンバーである弁護士たちがmixiに登録して、それぞれかっこよいメッセージをプロフィールで発しているのに、ヒューマンライツ・ナウのコミュには入っていないし、mixiでそもそも何もしてない風情だということ(30代以上の弁護士には、コミュニケーションのあり方としてつらいものがある感じは確かにしますが。)

  しかし、うちの会員さんは530人以上いらっしゃるので、mixiを楽しんでいる方も結構するのでは、と思います。

 みなさま、この場を借りてヒューマンライツ・ナウのコミュに気軽に参加していただくよう、よろしくお願いします。ちなみに私のニックネームはKazukoです。

2008年11月13日 (木)

DV夫たち

仕事柄、DV(ドメスティック・バイオレンス)事件をよく扱いますが、なんと世の中にはDV夫が増えていることか、と驚いてしまいます。これも社会の病理でしょうか。

私は常に女性側のご相談にのっていますが、みなさん長い間耐えて耐えて、やっと逃げ出して離婚の交渉、という方々。

私のクライアントの女性の皆さんは、本当に聡明で素敵な女性ばかりなのに、彼女たちが受けている暴力は実に理不尽なもので、こちらまで腹立たしくなります。

みんな、優しい妻で、身勝手な夫にそれでも思いやりをもち、結婚生活を維持しようと耐えてきたのに、それでも夫が手のつけられない状態になってしまい、離婚となります。ずいぶん、忍耐づよい、優しい妻ばかりなので、たぶん夫はその優しさに溺れて甘えているのでしょう、それが妻の人権や人格を攻撃しているとも、妻が限界ぎりぎりで耐えているとも知らずに。

ところが、ついに出ていく、となったとき、夫は本当にあわてて、妻にどうしても戻ってきてほしくなる。しかし、女性は一回決心したら、たいていは戻らないものです。妻が言うことを聞いてくれないことがわかると、夫は混乱しますが、やがて、「かわいさあまって憎さ百倍」になってしまいます。すごく屈折した愛の裏返しだなあ、とか、これは未練だ、と感じることがありますが、もはや遅い。

いつまでも妻が耐えていると「どんな暴力・暴言やっても妻は自分のために献身的に尽くしてくれる」という根拠のない自信と思いあがりを持つものなのでしょうか。

どうして捨てられる前に心を改めることができなかったのでしょうか。

捨てられた夫は、とてもみじめな状況になります。多くは妻に精神的に過度に依存し、暴力をふるってきたのが、依存の対象もストレスの吐け口もすべて失うわけです。だから最後の生きがいのように異常に離婚訴訟にこだわる人もいますが、すべて決着したらみなさん、、、。自業自徳ですし、相手方のことながら、少し行く末が気になります。

暴力をふるう手前で踏みとどまり、仮に過ちを犯してしまっても深く反省して謝罪し、心を入れ替えたなら、あんなふうにすべてをなくすこともないのに。

男性の皆様、後悔さきに立たず、ということをよくわかっておいたほうがよいですね。暴力に至るまえの、黄色信号くらいのところで、早めにカウンセリングにいくことをお勧めします。

2008年11月 9日 (日)

ヒューマンライツ・ナウ通信.11.9日

寒ーい日曜の夜、いかがお過ごしですか? こういう日はあったかく過ごすに限りますね。

さて、NGOヒューマンライツ・ナウで出しているメール・マガジンをご紹介します。

もし、興味を持っていただけましたら、

入会&メルマガ購読はウェブサイトからぜひ!  http://www.ngo-hrn.org

★:''*☆:''*★:''* ヒューマンライツ・ナウ 通信★:''*☆:''*★:''*
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                 2008.11.9発行 人権NGO
ヒューマンラ イツ・ナウ(HRN)
 http://www.ngo-hrn.org/
<<目次>>
【1】ヒューマンライツ・ナウ、インド女性に対する暴力調査のご報告
【2】セミナー「60年を迎えた世界人権宣言」(国連大学)
【3】国連大学で講演をしました。
【4】 東京新聞にヒューマンライツ・ナウの活動が取り上げられています。

(事務局よりMessageと入会のお願い)

めっきり寒くなってまいりましたが、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。HRNでは、今年の秋・冬、相次いで講演会を企画しています。今回は女性プロ
ジェクトの報告会その他のニュースをお届け します。
さて、このメールマガジンは、HRNのイベントに参加をいただいた方、名刺交換をさせていただいた方、などにお送りしています。長い方では2年以上!
ご購読いただいています。

HRNの会員はおかげさまで530名を越えましたが、ぜひ1000人の仲間を目指そう! ということで、みなさまに入会をお勧めしています。

ぜひ、みな さまも、よろしかったらHRNに入会されませんか?
年会費は、個人の正会員1万円(ただし、学生は3000円、企業は10万円、弁護士法人などの団体は5万円)、賛助会員5000円となっています。
会員になっていただけると、定期的に、ニュースレターが届けられるほか、HRNで行う様々な企画(セミナー、シンポジウムなど)のご案内を随時お送り し、会員割引のある場合もあります。
また、プロジェクトへの参加やボランティアとしての活動を通じて実際にHRNの行う国際貢献活動に参加することができます。入会は、ウェブサイト http://www.ngo-hrn.org/ から簡単に行っていただくことができます。ぜひ「入会しそびれた」「入会してもよい」という方、お申 し込みいただけると嬉しいです。
また、ぜひ周囲のお友達もお誘いください。

このメールマガジンでも引き続き、情報をお伝えしていきます。
ぜひ皆様には、風邪などひかず、ご自愛くださいますよう。

【1】 ヒューマンライツ・ナウ、インド女性に対する暴力調査のご報告
  ヒューマンライツ・ナウ、女性に対する暴力チームは、今年9月、第一回調査団をインドに派遣しました(調査団は、雪田樹理、清末愛砂、森本志磨 子、 福嶋由里子、中村雪子、佐々木貴弘、伊藤和子)。
 このチームは、アジア各国で続く、ドメスティック・バイオレンス他の深刻な女性に対する暴力について、実態を調査し、現地NGOとともに改善のための政策提言・アドボカシーを行うことを目的としています。
 インドでは、2005年にDV法が施行されたものの、持参金を支払わないことを理由に年間7000人を超える女性が命を奪われるなど、深刻な暴力が 続 いています。

  農村では小学校を修了しないうちに結婚させられ、多くの少女教育の機会を奪われ、暴力にさらされやすい状況が生まれています。HRNで は、 調査結果に基づき、様々な政策提言を予定していますが、このたび、東京・大阪で、調査報告会を開催することになりました。
  東京では、11月29日、インド舞踊団コンテンポラリー・ナティヤム・カンパニー主宰、野火杏子さんに全面的なご協力いただき、「インド・ナイ ト!」として、野火さんによるトーク&ポップスダンスショー&ダンスレクチャー&ダンスタイムと一緒に開催します。

 同カンパニーは、メディアでも話題 沸 騰中で、女性に大変人気がある舞踊スクールですが、このたびは、野火杏子さんがHRNのプロジェクトの趣旨に賛同していただき、実現したものです。
  報 告会にあわせ、インド舞踊もマスターできる、めったにない機会です!
  大阪では、12月5日、ヒューマンライツ・ナウ関西の発足記念イベントにあわせて報告会を開催します。 ぜひみなさま、ふるってご参加くださ い。
東京では予約の関係がありますので、お早めに、事前申し込みをお願いします。
【東京での報告会】
Human Rights Café  インドナイト!
日時≫11月29日土曜日 午後4時から6時
  ≪場所≫ 新宿三井ビルB1Fのインド・レストラン「マハラジャ・ピーナ」
MAHARAJA PINA Casual Bar & Indian Food
http://r.tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13051749/dtlrvwlst/695930/
ヒューマンライツ・ナウではこの秋より、身近に世界の人権問題を語り、考え、交流していただく、連続イベント「ヒューマンライツ・カフェ」を開催して い ます。

今回は、ヒューマンライツ・ナウによる、インドの女性の人権に関する調査報告&インド舞踊の夕べです。調査団は、少女が学校に行かずに結婚させられ、結婚後は多額のダウリー(持参金)を要求され、DVにより多くの女性の命が奪われる状況を確認してきました。
メディアなどで話題沸騰中の、インド舞踊団“コンテンポラリー・ナティヤム・カンパニー”の野火杏子さんが、全面的にご協力してくださり、インド舞踊 の ワークショップも開催します。めったにない機会です。ぜひお誘いあわせのうえ、ご参加ください。

◎ トークイベント ◎ ヒューマンライツ・ナウ「インド調査報告」
報 告/伊藤 和子(弁護士 ヒューマンライツ・ナウ事務局長)ほか
ヒューマンライツ・ナウ女性プロジェクトチーム・メンバー
◎ インド・ナイト ◎ “ナチ・バリエ” !
出 演/CNC インド舞踊団 野火杏子さん
「インドのポップダンスを知って、一緒に踊りましょう!」
★ 入場料 ★ 2,000円 (おいしいインド料理付)
※事前申し込み制です。11月26日(水)までにメール info@ngo-hrn.org
  電話(          03-3835-2110       )、または、FAX(          03-3834-2406       )にてお申し込みください。
Contemporary Natyam Company
★ 野火杏子さんのご紹介 ★
http://www.cncdance.com/home.htm
インド舞踊団・教室「コンテンポラリー・ナティヤム・カンパニー」を主宰。インド公演多数を含む、テレビ、コマーシャル、舞台、イベント出演、振り付 け など多方面で活躍中。著書に「マサラムービー物語」「インド映画にゾッコン」などマサラおたくの名に恥じない活動ぶりを見せる。心理学者としての顔も 持 つ。近著として、「踊るヨガ インド舞踊で体の内側から美人になる」。

【大阪での報告会】
ヒューマンライツ・ナウ関西 発足記念イベント
国際人権と、インド女性に対する暴力の調査報告
【日 時】 12月5日(金) 18:30-20:30
【場 所】 大阪市立いきいきエイジングセンター 研修室1
大阪市北区菅原町10番25号 Tel.06-6311-3255 最寄り駅は南森町
【参加費】 500円
  【主 催】 特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ
 ● 記念講演「国際人権とNGOの役割」村上正直(大阪大学 法学部国際公共政策学科 教授)
 ● 国連規約人権委員会(ジュネーブ)報告
 ● ヒューマンライツ・ナウ「女性に対す暴力」プロジェクトinインドの報告
   (雪田樹理、清末愛砂、森本志磨子、福嶋由里子、佐々木貴弘、伊藤和子)。

【2】セミナー「60年を迎えた世界人権宣言」(国連大学)
  国連大学より、セミナー「60年を迎えた世界人権宣言」のご案内が来ています。
  HRNでも取組を進めているビルマの人権状況など、HRNの活動と関わり合いの深いテーマです。直近のご案内ですが、ぜひお申し込みのうえ、ご参 加 ください。
国連大学では、来る11月11日、世界人権宣言60周年を記念し、「60年を迎えた世界人権宣言」と題したセミナーを開催いたします。国連大学学長によ る開会の挨拶に引き続き、横田洋三教授とモーティン・ピーダーセン氏による講演を行います。
横田洋三教授は、1948年12月10日に採択されてから60年になる世界人権宣言の起源、歩み、成果そして問題点についてお話しいたします。人権は 引 き続き多くの国で脅かされています。人権の保護を促進する上で、国際社会が現在直面している問題と、その問題と取り組むにあたっての国連と市民社会の 役 割について考察します。
モーティン・ピーダーセン氏は、日本学術振興会JSPSポストドクトラルフェローとして国連大学で行ってきた研究の成果を発表します。今日、普遍的な 人 権概念を否定する国はほとんどないものの、人権の保護と促進自体は引き続き難しく議論に事欠きません。特にミャンマーにおける人権問題は、1988年 以 来国際社会の関心と懸念を集めているにもかかわらず状況の改善はありません。ピーダーセン氏は、過去20年にわたる情勢を分析しながら、西側諸国の経 済 制裁とアジア諸国による関与政策が共に失敗したことに焦点を当て、ミャンマーにおける問題を考えるうえでの代替案について議論します。
セミナー参加をご希望の方は、http://www.unu.edu/reg/udhrよりオンライン登録をお願いいたします。
英日同時通訳あり。
プログラム
15:00-15:10 開会の挨拶 コンラッド・オスターヴァルダー 国連大学学長
15:10-15:40 「世界人権宣言の60年」 横田洋三
15:40-16:10 「普遍的人権の促進:ミャンマーのケースより」 モーティン・ピーダーセン
16:10-16:50 質疑応答
16:50-17:00 閉会の挨拶

【3】国連大学で講演をしました。
  HRNの伊藤和子事務局長が10月28日、国連大学で「人権の保護・促進におけるNGOの役割と」題する講演を行いました。HRNでは今後とも 様々 な人権に関する講演の要請におこたえしていく予定です。

【4】 東京新聞にヒューマンライツ・ナウの活動が取り上げられています。
 11月3日の東京新聞「こちら特報部」にHRNが取り組んでいるカンボジア特別法廷の活動について紹介する記事が紹介されました。山本晋平事務局員 が インタビューに答えています。ウェブサイトにも近日アップする予定ですので、ご確認ください。

哲学しよう- ハンナ・アーレント

 仕事に圧倒されて心が消耗してしまうときに、心のエステ、と言えるもの、みなさん持ってますよね。私の場合、映画、音楽、読書。。。などだけれど、哲学書を読むのがなかなか好きです。

今の仕事(弁護士・人権NGO)は、大なり小なり、身の回りであれ世界であれ、人権侵害について調査したり、告発したり、訴訟したり、法律に基づいて解決する、ということなのだけれど、みんなが人権条約を尊重したり、法令順守をしてくれれば、普通問題はおこらない。刑事事件だって発生しないはずである。

 ところがそれはいかないので、人権侵害や紛争、刑事事件(えん罪事件も)が発生してしまう。そこには、人権侵害などを生んでしまう原因や構造があり、「法律」のみに従うのではない、「人間」「社会」と向き合わなければ解決できない。

 そんななかで、局面局面の事実だけに追われ.ると(弁護士は追われがちであるが)、時代のなかで問われていること、人間が生きていくうえで問われていること、といったことを忘れて、個々の事実に埋没し、擦り切れそうになる。

 そんな私たちに巨視的な視点を与えてくれて、現代の様々な事象をどのようにとらえるべきか、そしてこの時代に生きる人間そして個人はいかに生きていくべきか、大きな課題を思考する機会を与えてくれるのが哲学だと思う。

 私が最近好きなのは、ハンナ・アーレント。ユダヤ人として20世紀最大の人権侵害であるユダヤ人虐殺と向き合い、人間はここからどのように再生できるのか、を語り続けた。

 なぜ、ホロコーストを経験した世界で、今だに民族浄化やジェノサイドが起きてしまうのか(スーダンなど)、なぜテロとの戦いでイスラム教徒が迫害され、拷問が起きてしまうのか(グアンタナモなど)、なぜイスラエルのパレスチナ占領と人権侵害があるのか、など現代の課題について、法律とは次元の違うところで、人類はこうした問題にどう立ち向かうべきなのかを教えてくれる。

  ジェノサイドなどを裁く国際刑事法廷を考えるうえでも(何が裁かれるべきなのか)、裁判員制度のような市民参加について考えるうえでも(なぜ対等な市民の討論を彼女は大切にしたのか)、国際的なテロと、テロとの戦いについて考えるうえでも、近いところでは、日本の愛国心問題や民法改正について考えるうえでも(なぜ民族や家族の同一性・一体性に固執することが全体主義につらなるのか)、法律の細かい技術論とは対極的な、彼女はいつも彼女にしかない、大切な視点を私たちに与えてくれている。

 彼女が理想とした市民社会ポリスは奴隷制を前提としており、彼女の思想のすべてに賛成することができないこともある。

 しかし、全体主義と戦い、人間を再生しようとする彼女の試み- 全体主義の萌芽はいたるところにあり、人は知らず知らずにそれに屈しがちである-と視点はいつも大切なことを気づかせてくれる。

 私はすべての彼女の著作を読み、すべてを理解するにはまだまだであるが、ときどきこの偉大な思想家の書物を持ち歩いては読み返したりするのが好きなんですね。哲学的な厳密な思考にふれながら、ささやかながら自分が日々やっていることについて、自分なりに位置づけを考えなおしたりする。

  彼女の著作は

 ● 全体主義の起源

 ● イスラエルのアイヒマン

 ● 責任と判断

  などがあります。

2008年11月 7日 (金)

オバマ勝利を実感。

  感激した。長いこと、米国を見てきた私にとって、今回の米国大統領選挙は本当に「やっとなるべき人が大統領になった」瞬間だった。

  私は2004年からオバマ氏を支持していたのだが、本当に今回当選できるとまでは、彼がここまでやってくれるとは。今年の初めから「もしかすると」と期待していたけれど、その時点で彼がなる、と思った人は日本には少なかったとおもう。でも彼は人々を勇気づけ、魅了し、なしとげた。

  四年前、多くのニューヨーカーが悪夢を見るようにブッシュ再選の報に接した。自分たちは全く同意できないのに、ファルージャで米軍はイラクの民間人を殺し続けた。そのことに何もすることができずに、その悔しさと罪悪感に、涙ぐんで語りかける若者たちもいた。政府の不満を持つ人々ひとりひとりのEmailまで監視の対象となった。アメリカの恐ろしい、暗黒の日々だった。

  しかし、ブッシュ時代がとんでもないと不満を持ち、声高に叫ぶ人はたくさんいたが、その望みを託せる人、というのはなかなか現れなかった。熱心にヒラリーを推すニューヨーカーの友人たちに、私は賛成できなかった。彼女は妥協をしすぎ、パワーポリティクスに染まりすぎていた。イラク戦争すら賛成票を投じていた。

 そこに現れて、変わらぬ穏やかさと力強さで、みんなに希望を与え、ひとりひとりに国を変える力があることを説得した、オバマ氏の人柄とリーダーシップがあって初めてこの変化が成し遂げられたと思う。国民はこれに応えた。懐疑的な人々、共和党を支持する人々も、一度も投票したことのない人も投票した。

  彼は「これはみなさんの成し遂げた勝利だ」と勝利を確認しあった。人々はそれを分かち合い、歓喜した。

  1950年代まで、選挙権すらなく、人種差別のなかにあった黒人が米国大統領になった、という歴史的快挙は、「月面着陸よりも偉大な歴史の進歩」だと米国で報道されている。ジェシー・ジャクソンが、オブラ・ウィンフリーが、コリン・パウエルがこの瞬間に涙ぐみ、多くの黒人の人々が喜びを爆発させ、黒人の子どもたちが微笑んでいるのをみて、彼らの道のりがここまでどれほど長く、どれほどこの日を待ちわびていたのかを気づかされた。

  彼を取り巻く課題は山ほどあり、シニカルな見方はいくらでもできる。米国は誰が大統領になっても変わらない権力構造だというのも正しいかしれない。核兵器で世界ににらみを利かせ、世界中に米軍基地を置き、CIAが世界で暗躍している、虚構の経済のうえに立つ国。著しい格差社会と不正義。

 しかし、それでも、これは言葉では語りつくせない、偉大な勝利だと思う。米国の構造と米国が経済と軍事力で支配する世界構造を少しでも変化させようとする努力を、私は、シニカルにならずに見守りたい。 

2008年11月 4日 (火)

なぜ、無実の人が自白するのか?

アメリカの自白に関する専門家、スティーブン・ドリズィン氏を招へいして、12月に日弁連で以下のシンポジウムを開催することになりました。その経過、そして私がこの企画に肩入れしている理由をお話すると、とても長ーい話になるので、またご紹介することにしたいのですが、

とにかく、これから裁判員になって、被告人の自白が本当なのかどうなのか、ジャッジする立場になる、市民の方にとっても、他人事ではない話です。聞くに値するお話が聞けると思いますので、ぜひ、手帳に書いて、ご参加いただけると嬉しいです。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/081213_2.html

なぜ、無実の人が自白するのか?
-
アメリカの虚偽自白 125事例が語る真実 -

アメリカでは、近年、DNA鑑定の発展によって多くの死刑・懲役囚が実は無実だったことが明らかになりました。
その内の多くの事案で、ごく普通の市民が、取調べを受けてから短い時間でやってもいない重大な犯罪について自白をしていたことが明らかになっています。

それはなぜなのか。

アメリカの冤罪救済の第一線で活躍し、完全無罪事例の虚偽自白の実態を研究したスティーブン・ドリズィン教授をお招きして、この問題を解明したいと思います。

皆様のご来場をお待ちしております。

日時

2008年12月13日(土)13:00~17:00

場所

発明会館 会場地図
港区虎ノ門2-9-14 (地下鉄銀座線虎ノ門駅下車3番出口徒歩3分)

参加費等

申込不要・入場無料

プログラム

  • 講演「アメリカの虚偽自白125事例が語る真実」
    講師:スティーブン・ドリズィン氏(ノースウェスタン大学ロースクール教授)

  • 特別報告「免田事件の自白経過」
    報告者:免田栄氏(免田事件元請求人)

  • 報告「日本におけるDNA鑑定-再鑑定の保障の必要性」
    報告者:佐藤博史氏(弁護士)

  • パネルディスカッション
    「自白が生む誤判・えん罪の悲劇を生まないために」

パネリスト

スティーブン・ドリズィン教授
桜井昌司氏(布川事件請求人)
小坂井久氏(弁護士)

コーディネーター

高野隆氏(弁護士)

主催

日本弁護士連合会

共催

東京弁護士会 / 第一東京弁護士会 / 第二東京弁護士会 / 関東弁護士会連合会

問合せ先

日本弁護士連合会 人権部人権第一課
TEL
:03-3580-9500

2008年11月 3日 (月)

一万円で引き受けた事件のゆくえ

  今年の夏、法律相談センターで、あるご夫婦の相談にのった。サラ金の取り立てに追われ、税金も督促され、そして家賃も払えなくなったため、家主からまさに追い出されようとしているどん詰まりの状況だった。

  聞けば家賃の滞納はそれほど多くない。敷金だって預けている。家主からは契約解除の通告もないというのに、「三日後には鍵を変えるというんです。あてもないからどこにも行けない」という。夏の暑い盛りに一家全員をいくあてもなく追い出すなんて、ひどい話である。あまりにも困り果てた様子だったので、引き受けることにした。手持ちのお金で支払える弁護士費用は一万円がやっとだ、というので、すごい例外ではあるが、「この人たちを路上に放り出してはいけない。ホームレスにしてはならない」と考え、とりあえず初回着手金一万円で、明渡しと債務整理二件を受任したのだ(つまり一件5000円。とほほ)。

  まず、家主に明渡しを勝手に強制しないよう、警告。本来、明渡しには、確定判決が必要であり、家主であろうと債務名義もないのに強制的な明け渡しをするのは刑法にも抵触する。

  次に、サラ金業者に受任を通知。すると、こちらが請求を受けるどころか、二百万円以上も利息を払いすぎていることが判明した。いま返済を求めて交渉中である。

  家主はその後賃貸借契約の解除をしてきたが、やり方が拙速すぎた。「解除は無効。いつでも裁判を受けて立つ」と内容証明を送ると、突然態度が変わる。

 明渡し期限をこちらが納得できる新しい物件に引っ越すまで延長し、未払い賃料を免除し、立ち退き料まで支払うという合意ができ、最近、転居・明渡しがやっと終了した。

 というわけで、このご夫妻の事態は劇的に好転し、当然税金も支払えるわけだし、家の問題も借金もほぼ解決したわけだが(弁護士費用もいまや払えるわけだし)、痛感するのは、法律上、請求する根拠もなく、請求が正義に反するのに、人を極限まで追い詰める過酷な請求をする人々が日本には多すぎる、ということである。そして、弁護士が介入すると一転して、手のひらを返したように対応が変わるケースが多すぎるのである。

 特に昨今、不況、格差が広がる中で血も涙もない話が横行している。

 こちらが訴える側の場合もそうで、交通事故の被害者が保険会社と交渉していたら200万円しか提案されず困り果てていた事案で、私が受任してしばらくして約3000万円で和解したことがあるが、この不条理を相手方の弁護士にぶつけてみると、「やはり権利があっても行使しない人には、それなりの対応になるんですよ」という答えがかえってきたので唖然としたことがある。

  嘆かわしいことだ。

 そこで、こうした問題で困った方は、ぜひ一人で悩んだり凹んだりする前に、弁護士に相談にきていただきたいと思う。

 それに、その相手方となっている方々!  たとえ弁護士が介入しなくても、法律を知っているなら、良心があるなら、不当な請求、請求の濫用などはやめなさい、と声を大にして言いたい。

2008年11月 2日 (日)

ヒューマンライツ・ナウ通信 最新号

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウのメルマガの最新号をご案内します。

何かビビっと来るテーマ、イベント、活動などありましたら、ぜひウェブサイトにも

訪れてみてください。http://www.ngo-hrn.org/
そしてカフェやイベント、ボランティアMTG

などにも参加していただけるとうれしいです。現在、ボランティアを募集中で

いろんな職業、ジャンルの方々が集まっていただいています。

:''*:''*:''* ヒューマンライツ・ナウ 通信:''*:''*:''*
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                 2008.11.2発行 人権NGO

ヒューマンラ イツ・ナウ(HRN

 http://www.ngo-hrn.org/
<<目次>> 
1エココロ12月号のDonate Nowに、ヒューマンライツ・ナウの活動が紹介されました。

2】重要! カンボジア・シンポの日程変更について

3】自由権規約委員会、日本に対する最終所見を発表。

4】重要なイベントのお知らせ


人権デー、カンボジア、関西グループなど

【1】   エココロ12月号のDonate Nowに、ヒューマンライツ・ナウの活動が紹介されました

10月下旬に発売の雑誌「エココロ」12月号に、ヒューマンライツ・ナウが紹介されています。
http://www.ecocolo.com/editorial/modules/pukiwiki/522.html
Donate Now
というコーナーで、エココロ編集部の選んだNGO活動を紹介するとともに、この雑誌の売り上げの一部を寄付していただく仕組みになっています。表紙は滝川クリステルさん。是非ご購入ください。また、HRNの活動がとてもわかりやすく紹介されていますので、ぜひお知り合いにも紹介していただき、新たに会員/にメルマガ購読者を増やしていただけると嬉しいです。

【2】         重要! カンボジア・シンポの日程変更について

前回のメールマガジンでご紹介した、カンボジア特別法廷に関するイベントが、関係者の都合により1219日に日程変更になりましたので、お詫びをするとともに、新しい日程と会場お知らせさせていただきます(出演者、主催者等はすべて変更ありません)。すでに日程を確保いただいていただいた方、ぜひ、新しい日程でもご参加いただくようよろしくお願いいたします。

 シンポジウム  平和構築と人権「カンボジア特別法廷の挑戦」のお知らせ 
  日時/11月25日(火)18:30~20:30(開場18:00) 
  基調報告/「カンボジア特別法廷の経過と現状」18:40~ 
  野口 元郎 氏<カンボジア特別裁判所上級審判事> 
  シンポジウム/「過去の処罰」と「未来の平和」19:15~ 
  パネリスト 熊岡 路矢 氏<カンボジア市民フォーラム/東京大学客員教授> 
  野口 元郎 氏<カンボジア特別裁判所上級審判事> 
  山本 晋平 氏<弁護士/ヒューマンライツ・ナウ>他 
  ディスカスタント 長谷川 祐弘 氏<法政大学教授> 
  コーディネーター 東澤  氏<弁護士/ヒューマンライツ・ナウ理事> 
  司会(開閉会挨拶) 佐藤 安信 氏<東京大学教授> 
  会場/東京大学駒場キャンパス7号館 3742教室(東京都目黒区駒場3-8-1) 
  交通/京王井の頭線「駒場東大前駅」下車すぐ(裏面地図をご参照下さい。) 
  参加方法/参加無料・事前申込不要(直接会場へお越し下さい。) 
  主催:ヒューマンライツ・ナウ/東京大学「人間の安全保障」プログラム 
  後援:カンボジア市民フォーラム

3】自由権規約委員会、日本に対する最終所見を発表。

  1031日、国連自由権規約委員会は、自由権規約に関する日本の実施状況に関する101516日の審査を踏まえて、最終所見を発表しました。最終所見と勧告の原文は、以下からアクセスすることができます。

http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrc/hrcs94.htm 
同委員会は1998年にも審査と勧告を行っており、起訴前勾留、代用監獄、死刑、外国人差別、難民、女性差別などの問題が指摘されていましたが、指摘された諸点について、この10年間にみるべき改善はなく、今回は現状を踏まえてさらに踏み込んだ、かつ具体的な勧告が提起されています。新しく入った勧告を中心に紹介すると以下のような勧告が注目されます。

(刑事司法と死刑)起訴前取調べについては取調べの全面可視化と取調べの時間制限が勧告されており、司法は、自白よりも科学証拠に依拠すべきである、と述べています。死刑に関しては、世論調査の結果に関わらず死刑廃止を前向きに検討し、死刑廃止が望ましいことを市民に情報提供すべきである、としています。(女性の権利) 司法関係機関へのジェンダー配慮教育の徹底、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの処罰化、雇用機会均等法における間接差別禁止の範囲の拡大、DV被害者への損害賠償の増額、児童扶養手当の拡充など踏み込んだ勧告がなされています。外国人に関しては外国人研修生への最低賃金法、社会保障の適用が勧告され、外国人に対する国民年金法上の差別の撤廃、朝鮮学校への公的補助などが勧告され、難民に関しては、ノン・ルフールマン原則の法文化などが勧告されています。

一方、新たな項目として、戸別訪問禁止を含む、公職選挙法の選挙活動の自由への制限の撤廃、アイヌ・沖縄の人々を先住民として認め、特別の保護の措置を取ることを勧告しています。また、従軍慰安婦に関する加害者処罰を含む法的責任の実行が勧告されています。

また、総論としては、自由権規約選択議定書の批准、政府から独立した人権擁護機関の設置、裁判官等の国際人権教育が勧告されています。

 これらの勧告の中には、HRNが人権理事会の普遍的定期的審査の際に情報提供し、9月に改めて政府に改革を求める意見書を提出した項目が多く含まれています。

HRNとしては、1998年の勧告にも関わらず、十年経過しても改善を行わず今回の審査を迎えた人権課題に関して、とりわけ政府のこの間の対応に遺憾の意を表するとともに、政府に対し、今回の勧告を真摯に受け止め、国際人権基準と現状のギャップを埋める改善を勧告に基づいて行っていくことを求めていきます。

[4] 重要なイベントのお知らせ

 世界人権宣言から60周年記念して。ヒューマンライツ・ナウ講演会 
  阿部浩己(HRN理事長岩井信(弁護士)
  日時 129日 夕刻より
   
場所 地球環境パートナーシッププラザ エポ会議室(セミナールーム)-- 表参道から徒歩2
 ヒューマンライツ・ナウ関西グループ設立講演会/ ヒューマンライツ・ナウ女性に対する暴力チーム 
  インド現地調査報告会 
  日時  125日夕刻より。 
  場所  大阪 南森町「いきいきエイジンングセンター」 
  いよいよ、ヒューマンライツ・ナウの関西在住のメンバーが、ヒューマンライツ・ナウ関西グループを立ち上げることになりました。大阪大学の村上正直先生にご講演いただくとともに、ヒューマンライツ・ナウ女性に対する暴力チームが9月に行ったインド現地調査報告会とあわせ、立ち上げを記念した講演会を開催します。

 Human Rights Café  インド・ナイト!
11
29日土曜日午後4時から6時、新宿三井ビルのインド・レストラン 
マハラジャ・ピーナ
http://r.tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13051749/
て、 
ヒューマンライツ・ナウ女性に対する暴力チームが9月に行ったインド現地調査報告会(東京報告会) 
最近人気のインド舞踊学校、コンテンポラリー・ナティヤム・カンパニーのご協力をいただいて、 
インド舞踊の夕べと報告会、というかたちで行います。 
 http://www.cncdance.com/home.htm

ぜひ、お誘いあわせのうえ、参加してください。

ヒューマンライツ・ナウ事務局 
110-8605 東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル3F
電話 03-3835-2110 Fax 03-3834-2406
連絡先 info@ngo-hrn.org
ウェブサイトhttp://www.ngo-hrn.org/

2008年11月 1日 (土)

一刻も早く、グアンタナモ基地の閉鎖を

もうすぐアメリカ大統領選挙ですが、新政権にすぐにやってほしいことのひとつは、キューバにおけるグアンタナモ基地の閉鎖です。この基地に2001年秋のアフガニスタンへの米軍の攻撃の際にたくさんの人々(テロリズムとまったく無関係な人々を多く含む)が連れてこられ、拘束され、拷問を受けている。すでに7年近く経過している。2005年に私はアメリカの人権団体(Center for Constitutional Rights)で、テロと何の関係もないのにグアンタナモ基地に拘束された人々の人身保護請求の裁判などの手伝いをしていたが、グアンタナモ基地で行われている拷問や取扱いがあまりに残虐なので心底驚かされた。この件では、人権団体が提訴して、連邦最高裁が何度も、「軍ではなく、連邦裁判所が、グアンタナモの被収容者の拘束が正当かどうかを判断する。被収容者には裁判をうける権利があり、合衆国憲法の適用がある」と判断しているのに、ブッシュ政権が司法判断をまったく無視してグアンタナモ基地での拷問や拘束を続けている、という異常な事態であった。Al Odah事件(私も当時この件でいろいろと書面を書きましたが)という事件で、ついに2008年6月12日に、連邦最高裁が「大統領も、立法府も、グアンタナモの人々から人身保護請求の権利を奪うことはできない」という判決を出して、やっと、人身保護請求訴訟が始まった状態だ(詳しくは、http://ccrjustice.org/ourcases/current-cases/al-odah-v.-united-states)。グアンタナモ基地の経過はものすごく複雑だけれど、ロースクール生むけの雑誌に紹介した記事(ただし2007年の論文なので、2008年6月12日の最高裁判決や最近の動きはフォローしていないものですが)があるので、貼り付けます。私はグアンタナモ基地にいったことはないけれども、ひとりひとりがどんな拷問を受けたか、といったようなレポートをつくってまとめたりしていたので、一日も早く、彼らが釈放されるように! と思っています。また、グアンタナモだけではなく、世界中にアメリカ政府が秘密の収容所をつくってイスラム教徒にひどい尋問をしています。そうしたことをすべて、新政権が調査し、膿を出し切り、ジュネーブ条約違反を犯した者すべてを刑事裁判の裁きにかけるよう、勇気ある対応を求めたい。

テロリズムと国際人権法 

-  グアンタナモ基地の実情から

  9.11同時多発テロ事件以後、アメリカでは、「テロとの戦い」の名のもとに、いくつもの行き過ぎた人権侵害を伴う行動で世界を驚かせた。そのなかでも国際的に有名なのが、「テロリスト」と疑った者を世界中から、キューバのグアンタナモ基地などの収容施設に拘禁し、非人道的な取り扱いをしている問題である。今回はこの問題を例に、反テロリズム対策と人権について考えていく。

1 グアンタナモ・ベイに収容された人々 

   9.11同時多発テロ事件後の1113日、アメリカのブッシュ大統領はひとつの大統領命令を発布する。この命令は、アルカイダの構成員、米国・米国民・米国の外交軍事政策・経済政策に危害を加える活動に関与した者、それらの活動を援助・共謀した者、そのような者を匿った者を「敵戦闘員」(enemy combatant)として、世界中のどこにいても、大統領権限で無期限に身体拘束することができ、国防総省管轄の「ミリタリー・コミッション」で裁くことができるとしている。[1]

その後まもなく、キューバのグアンタナモ湾にある米軍基地(「グアンタナモ基地」という)は、大量の『テロ容疑者』を迎え入れることになる。基地に利用している土地は、アメリカが米西戦争時にキューバから「租借」し、キューバ革命以降のキューバ政府の返還要求に応じず、今日まで米軍基地として利用している。

この基地に9.11事件以後、当時戦闘のあったアフガニスタンだけでなく、他の地域から移送された者も多い。例えば、アルカイダと疑われてボスニアで逮捕された六人のアルジェリア人はボスニア最高裁で証拠不十分を理由に無罪とされたが、米政権のボスニア政権への引き渡し要求を受けて、釈放されることなくグアンタナモ基地に送られた。[2]

それから5年余、約100人以上の人々が釈放されたが、今も、約500名、40カ国以上から来た人々がグアンタナモ基地に拘束されている。彼らの多くは何の裁判も受けていない。米国政府は、安全保障(彼らが自由の身になって米国を攻撃することを防ぐ)と諜報(アルカイダの情報を聞き出す)の必要上、「テロとの闘いの終了まで」(無期限の)拘束するとしている。テロとは無関係なのに拘束された人も少なくないという。[3] 

2 非人道的な取り扱い

  では、実際にグアンタナモ基地にいる人たちはどんな取扱いを受けているのか。実は、筆者が2005年にインターンをしていたニューヨークの人権団体、Center for  Constitutional Rights(CCR) は、このグアンタナモ基地に拘束された約200人の代理人として、様々な活動を展開していた。法的手段としては連邦地裁に対する人身保護請求と米州人権委員会への人権救済申し立て、さらに国連へのロビーや世界のNGOと連携したキャンペーン活動なども行っていた。

筆者は米州人権委員会への報告書の作成を担当し、事件ファイルを通して人権侵害の実態を知った。例えば、2002年にアフガニスタンからグアンタナモに連れてこられたカナダ国籍の少年オマールは拘束された当時15歳であった。20051月、彼の弁護士がそれまで知られていなかったオマールに対する米軍の取扱いを明らかにした。彼は、頭巾をかぶせられ、両手錠をかけたまま宙釣りにされ、犬を使って脅された。さらに、米軍曹が彼の胃の上に乗り、足首と手首を彼の背中の後ろに縛り上げられ、彼がついに失禁すると軍曹は地面に油を注いで引きずりまわしたという。

ほかの被収容者たちもみな、殴る、蹴る、棒で叩く、踏むなどの暴力、冷たい室温の部屋への放置、手錠をかけての宙吊り、犬を使った脅迫、銃口をつきつけての取調べ、金属の箱に閉じ込めるなどの物理的拷問を受け、さらに、尊厳と宗教的信念を踏みにじる行為-頭巾を被せる、裸にする、女性軍曹による性的虐待、コーランを汚す、踏みつけるなどの冒涜などにさらされている。

実は、こうした行為は、「許される尋問テクニック」として、米政権上層部によって予め承認されていた。公開された政府内のメモによると、2002年1月から、グアンタナモ基地に拘束された人々に対する「尋問テクニック」はどの程度許されるか、米政権内で議論が始まる。125日、ゴンザレス大統領補佐官(当時、現司法長官)は、「この戦争は新しい戦争であり、テロリストを捕獲するために新しいアプローチが必要」とする意見書を大統領に提出、[4]2月7日に大統領は、捕虜の人道的取扱いを定めたジュネーブ第三条約の適用はタリバン・アルカイダには適用がないと判断。これを受けて国防総省内で「許される尋問テクニック」の検討が進み、「起立など、ストレスのかかる姿勢を4時間連続してとらせる/犬への恐怖などの嫌悪感を利用する/衣服を脱がせる/30日間隔離/20時間連続取調べ/照明の排除/ 環境調整(温度調整・悪臭の導入)/ 睡眠時間調整」は「許されるもの」とされた。[5] アメリカは、「拷問禁止条約」を批准しており、同条約では、拷問を「情報・自白収集、処罰、脅迫・強要等を目的として、身体的または精神的に、人に重い苦痛を故意に与える一切の行為」と定義し、国に拷問を防止する義務を課す。しかし、アメリカは、拷問とは、重い身体的・精神的苦痛を与える具体的な意図を持ってなされ、かつ精神的苦痛・症状については、長期的な精神障害を引き起こすことを具体的に意図した場合に限定される、という極めて狭い独自の定義を採用し、これに当たらない行為は「拷問」に該当しない、として、上記の尋問テクニックを承認したのである。

3 司法と米軍・議会の攻防

  2002年2月、CCRは他の人権団体に先駆けて、グアンタナモ基地の無実の被収容者の釈放を求めて、連邦地裁に人身保護請求を申立てた。20046月に連邦最高裁は、「グアンタナモの被収容者は人身保護請求手続によって、自らの拘束の適法性に関する法的審査を受ける権利を有する」という常識的な判決を下す[6]。 この決定の直後、CCRは直接コンタクト出来ない者を含めた約200人の代理人となって人身保護請求訴訟を拡大させていく。最初は、弁護士が依頼人に会いにグアンタナモ基地に行って面会することすら拒否され、また接見の全てを国防総省が録画モニターするなどの制限があったが、弁護士たちは憲法上の「弁護人選任権」の実現を求める裁判で勝ち、自由な接見が認められるようになっていった。

ところが、米政府は、最高裁決定を無視して人身保護請求手続に協力しない態度をとった。軍人を判断者とし、連邦最高裁への不服申し立てができない特別法廷を設立して[7]、グアンタナモ被収容者の身柄拘束の正当性をこの特別法廷に裁かせることにし、連邦裁判所での人身保護の審理を空転させてしまったのだ。

2005年の夏、我慢の限界に達した被収容者たちは、待遇の改善をもとめて、ハンガー・ストライキを開始し、その規模は200人規模となる。その中には少年オマールもいた。それでも待遇が一向に改善しないため、被収容者は餓死寸前の状態となったが、なかには絶望して食事をすることを止め、「餓死」を選ぶ人たちも出てきた。米軍は、餓死の危険のある者を病院に収容し、鼻にチューブを通して強制的に栄養を摂取させたりした。こうした事態は長期間家族にも弁護士にも知らされず、ある日、面会した弁護士は、変わり果てて歩くことも出来なくなった依頼人たちの痛ましい姿に衝撃を受けた。[8] 絶望した依頼人の首吊りなどの自殺未遂も起こった。

200512月には、米議会で突然、人身保護法が改正され、「米国防総省が『敵戦闘員』としてグアンタナモに収容している者に対しては、裁判所は人身保護請求の審査を行うことはできない」とする改正案が上下両院を通過してしまった(議員立法)[9] 「グアンタナモは米国領土でないから、合衆国憲法は及ばない」という理由で、司法における人権論争を封じ込めるものだった。米政府はこの法律を受けて、連邦地裁に申し立てられた全ての人権保護訴訟の棄却を求めた。

4     テロとの戦いと人権

こうしたグアンタナモ基地の事態はメディアでも毎日のように取り上げられ、「国際人権のスタンダードに反する」と世界から批判を浴びる。ここで、国際人権法に目を転じ、どんな権利が問題になるか、テロとの戦いを理由に制約できるのか、を見ていこう。

(1)   まず、そもそも「テロとの戦い」を理由に、人権を制約することは許されるのだろうか。

同時多発テロ事件直後、国連安全保障理事会は、決議1373(2001)を採択し、「テロによる国際平和と安全に対する脅威と戦うため全ての必要な手段をとる」と宣言した。[10] 国には、テロリズムによる無差別攻撃から国民の生命・安全を守る責務を負う。国は、自由権規約の規定する「生命の権利」(規約6) を保障するため、この権利を自ら侵してはならないとともに、第三者の侵害からも守る義務を負うからである。しかし、テロ対策の手段は無制限ではない。2003年に安全保障理事会が採択した決議1456は、「テロとの戦いにおいて、国際法、とりわけ国際人権法、難民法、国際人道法上の義務に従うためあらゆる手段を尽くさなければならない」と明記する宣言を出した。全ての国は、テロ対策にあたって、国際人権法上の義務に違反する措置を取ってはならないのである。

(2)   では、グアンタナモ基地での被収容者の取扱いは、アメリカの国際人権法上の義務との関係でどこが問題となるだろうか。グアンタナモ基地では様々な人権侵害が指摘されているが、ここではもっとも根本的な国際人権法上の義務との抵触を指摘する。

    身体拘束

アメリカは自由権規約を批准しており、その91項は、「すべての者は、身体の自由及び安全についての権利を有する。何人も、恣意的に逮捕され又は抑留されない。」と規定、94項は、逮捕などにより自由を奪われた者に対し、その身体拘束の合法性について裁判所で争い、司法判断を受ける権利を保障する。また、規約14条 第1項は、すべての者は「権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する(141)」とし、142項は無罪推定、143項は主に刑事事件におけるデュープロセスの保障として、防御権、弁護人選任権、黙秘権、反対尋問権や上訴の権利の保障などを定めている。

従って、グアンタナモ基地の人々は、自らの拘束の合法性について、裁判に訴えて争う権利が認められるべきであり、その裁判はデュープロセスと上訴の権利が保障されるものでなければならない。

   人道的な取扱い

拷問・非人道的な取扱いは、自由権規約と拷問禁止条約で絶対的に禁止されている。自由権規約第7条は、「何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない」とし、規約10条は 「自由を奪われたすべての者は、人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して取り扱われる」とする。拷問禁止条約は、全ての拷問の防止を締約国に義務づけており、特に「戦争状態、戦争の脅威、内政の不安定又は他の公の緊急事態であるかどうかにかかわらず、いかなる例外的な事態も拷問を正当化する根拠として援用できない。」(2条の2) として、戦争・緊急事態にあっても拷問の絶対的禁止はゆるがないことを明確にしている。グアンタナモ基地の被収容者は、たとえテロ容疑者であっても、拷問を受けてはならない。

 アメリカは、グアンタナモに拘束した人々について、上記いずれの義務にも違反しているということができる。

5 国連の動き

米国内での救済手続きが袋小路に陥っていた2006年の2月に、国連のシステムが動き出した。国連人権委員会は、特別手続の一貫として、テーマ別・国別の重要な人権問題をフォローするため、独立した専門家を「特別報告者」に任命し、人権問題の調査に携わらせている。「拷問」「恣意的拘禁」「宗教的自由」「身体的精神的健康に関する権利」「司法の独立」という5つのそれぞれのテーマで世界の人権を調査・報告するよう国連から任命された特別報告者たちは、2002年以降、それぞれ独自にグアンタナモ基地の状況をフォローしてきたが、2004年にグループとして行動することを決めた。

2005年秋、5人の特別報告者は国連総会第三委員会でグアンタナモ基地の問題への憂慮を表明、同基地への査察を強く要求した。米国はついに特別報告者たちのグアンタナモ基地への訪問することを認めるが、被収容者に対するインタビューは拒絶した。5人の特別報告者たちは、インタビューが認められないような視察は特別手続の趣旨を損なうものだとして、グアンタナモ基地への訪問を取りやめ、代わりにヨーロッパ等に在住する元被収容者や弁護士などに対する徹底した調査を行ない、5人共同での報告書作成をすることを決めた。こうして5人の特別報告者によるグアンタナモ基地に関する共同の報告書が2006216日、国連に提出した。[11] 

この報告書の概要は以下のとおりである。

1) グアンタナモ基地の事態には、国際人権法が適用される。

報告書はまず、米国の国際法上の義務(自由権規約等に保障された人権尊重義務)を明記し、米軍がコントロールを及ぼしているキューバ・グアンタナモ基地はたとえ米国領土でなくとも、米国の人権尊重義務が及ぶ、と明記する(報告書には、前回紹介したパレスティナ占領地におけるイスラエルの人権尊重義務を認めたICJ判決が引用されている)。そのうえで「国際人権法は、全ての場合に、たとえ緊急事態や武力紛争下でも適用される」とした。さらに、報告が「『テロとの戦い』は現実の「武力紛争」に該当しない」と明記したのが注目される。アメリカは、「テロとの戦い」を通じて行った全ての行動について国際人権法は適用されず、国際人道法だけが適用される、という態度を採って来たことから、この分析は重要である。

2)    米国は緊急事態を理由に人権保障義務を後退させることができない。

報告書は、自由権規約4条が規定する、国家の緊急事態における人権保障義務の後退について検討する。後退措置をとろうとする国は、国連事務総長を通じ全締約国に通知をしなければならないが(規約4条の3)、アメリカはこのような通知を行っていないことを報告書は指摘する。

そのうえで報告書は、規約4条の認める後退は「国家存亡の危機の場合に許される、一時的・例外的措置であり、他の方法で目的を達成できる場合は人権保障の後退は許されない」とする。そして、自由権規約は、生命の権利、拷問・非人道的取り扱いを受けない権利、思想・良心・宗教の自由などの権利は、戦争のような非常時であっても保障を後退させることができないと明記していること(4)を注意喚起し、さらに、同4条に関する一般的見解29が「手続き的セーフガードは、4条に明文はないが、後退措置が許されない」と規定していることを紹介し、「自由権規約9条および14条の重要な要素、即ち人身保護請求の権利、無罪推定、最低限の公正な裁判を受ける権利は、国家の緊急事態においても全面的に尊重されなければならない」とした。対テロ戦争を巡って、拷問や裁判を経ない拘禁が世界で問題になっている現在、自由権規約9条、14条の重要な権利を対テロ戦争においても後退させることができない、と報告書が確認したことは非常に重要である。

3)無期限拘束について

以上を前提に、報告書は、グアンタナモ基地の人々が、身体拘束について司法判断を受けられないことを自由権規約9条・14条違反であると指摘し、アメリカ政府に「被収容者を速やかに司法の判断に委ねるか釈放せよ」と明確に勧告した。

4)拷問、非人道的取扱い、宗教的権利 健康の権利

さらに、報告書は、国防総省が作成した「許される尋問テクニック」は組み合わせられれば拷問に該当すること、また報告されている有形力の行使およびハンガーストライカーへの強制的な栄養摂取は拷問に該当することを指摘し、さらに拘禁の長期化と、長期の独房への拘禁は、それ自体が非人道的な取扱い(自由権規約10)に該当すると判断した。報告書はまた、グアンタナモ基地での取り扱いは、宗教的自由、健康の権利に反するという点も詳細に指摘している。

以上を前提に、報告書は、米国政府は拷問に関与した全ての人間を調査し責任者を処罰すべきであり、拷問の被害者には金銭賠償が認められなければならない、と結論付ける。

5) 報告書はさらに「米国政府は、グアンタナモ基地を速やかに閉鎖すべきである」と勧告する。

国連の任命した5人の専門家がそろってグアンタナモの事態を国際人権法違反と報告したことは国際世論に大きな影響を与えた。米国政府は報告書に強く反発したが、アナン事務総長は総論において報告書を支持し、「グアンタナモ基地は早晩廃止されるべきだ」と表明した。米政権が「テロとの戦い」の名の下に行なう人権制約が世界のスタンダードから見て通用しないことが、ようやく国際法の到達点に照らして明確に示されたことは重要である。

5     相次ぐ判断

この5人の報告書提出後、国連拷問禁止委員会は20065月の報告で、「起訴もせずに無期限拘束していること自体が拷問禁止条約違反」として、グアンタナモ基地での全ての拘束をやめることをアメリカに勧告した。 20066月には米連邦最高裁が、テロリスト容疑でシカゴの空港で逮捕され、ミリタリー・コミッションに訴追されたハムダン氏のケースで、「ミリタリー・コミッションはジュネーブ条約に違反する」と判断した。グアンタナモ基地について政府が強硬な態度をとるなか、国際機関と国内裁判所は相互に良識的な決定を出しあい、「対テロ戦争のもとでも基本的人権を守らなければならない」ことを鮮明に表明している。

9.11以後のグアンタナモを含む人権侵害は大規模かつ、目を覆うばかりの深刻なものであるが、ブレーキをかけ、警鐘をならし続けているのは、国際人権法の原則に誠実に立ち戻り、主張する国連・NGOなどの法律家の活動である。 彼らは、国をあげての反テロ掃討作戦で忘れられがちな少数者の人権を果敢に問題提起し、とても重要な歯止めの役割を果している。

キーワード

 テロリズム

  テロリズムの明確な定義は存在しない。しかし、120カ国が批准した1999年締結の「テロに対する資金援助禁止条約」は、テロリズムには、「集団を恐怖に陥れて、政府や国際機関にある行為をさせ、またはさせないことを強制する目的で、市民ないし、武力紛争時に敵対行為に参加している者でない者に対し、死や深刻な身体障害の結果をもたらすことを意図して行う全ての行為」が含まれると規定する。

  ジュネーブ第三条約(捕虜条約)

 捕虜に対する取扱いを定めた1949年に締結された国際条約で、今では国際慣習法としての地位を認められている。捕虜に対し、肉体的・精神的拷問をしてはならないこと、人道的に取り扱うべきことを定め、さらに、戦闘終了後には速やかに釈放されるべきこと(87)権限ある法廷で捕虜としての認定を受ける権利を有することを定める(5)。また、捕虜と認定されない者も、殺人、拷問、虐待を禁じられている(3)

連邦人身保護請求〔ハビアス・コーパス〕   コモンローによって認められている、被拘禁者が不当な拘禁からの解放を求める訴えの手続。アメリカでは、連邦裁判所がこの人身保護請求を審査することになっており、憲法に違反する逮捕・拘禁から個人の基本的人権を守るために極めて重要な制度として機能している。

  ミリタリー・コミッション

 200111月のブッシュ大統領の命令により設置された、「アメリカの敵」を裁く機関。裁かれる罪の対象は、戦争犯罪、テロ行為のほか、アフガニスタンにおける米軍と同盟軍への敵対行為全て、「米国と同盟国の敵対者」を武器、情報、金銭等の手段で援助し匿うなどの全ての援助行為、これら行為の共謀、未遂全てである。判事、主任検察官、主任弁護人は全て軍人から任命される。 国防総省内部の再審査があるだけで司法機関への上訴の道はなく、仮に無罪判決が出ても、最終的な判断者である国防長官がこれを破棄できる。2006629日、ハムダン対ラムズフェルド事件で、連邦最高裁は、ミリタリー・コミッションはジュネーブ第三条約に違反する、と判断した。

オマール・カードル 15歳のときにアフガニスタンで米軍に拘束され、グアンタナモ基地に送られた少年。少年でありながら、グアンタナモ基地に無期限拘束され、米軍による激しい拷問を受けていたことが、弁護士を通じて明らかになり、世界の衝撃を生んだケースである。彼は今もグアンタナモ基地に拘束されている。


[1] Military order issued by the President, Nov 13,2001

[2] Human rights watch world report 2004

[3] グアンタナモの元従軍教戒師、ジェイムス・イー氏は、「ほとんどの人は、テロリスト・アルカイダと関わりがあるようには思えなかった」と公言している。ペンタゴンの文書でさえ、被拘束者のうち、米国に敵対した者は45%、アルカイダ・メンバーは8%とされる。New York Times Feb 17 2006 

[4] Memorandum for the President from AlbertRGonzales 1/25/2002

[5] Approval on the techniques outlined in William J. Haynes' November 27's memo,Secretary of Defense Memorandum for the commander, US Southern command of 16 of April 2005 on "Counter Resistance Techniques in the War on Terror"

[6] いわゆるラスル決定。Rasul v Bush June 29 2004

[7] 「戦闘員資格認定法廷」 Combatant Status Review Tribunal(CSRT) 

「年次審査機関」Annual Review Boards(ARB)

[8] 被収容者の状況に関しては、主にCCRの提起している人身保護請求訴訟の記録による。

[9] Graham Amendment 2005

[10] E/CN.4/2005/103, 7Feb 2005, Robert K. Goldman

[11] Future E/CN.4/2006/120

今日のニュースはやっぱりこれ。国連自由権規約委員会

国連自由権規約委員会が日本の人権状況について改善を求める勧告を行いました。

かなり日本の状況に踏み込んだ、内容の濃い意見(総括所見)になっていると思い、感心しました。さまざまなNGOのロビーの成果でもあると思います。

以下の日弁連のページ、特にPDFで詳しく紹介されています。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/081031_2.html

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