記者懇談会を開催してます。
私が事務局長をしている人権NGOヒューマンライツ・ナウ( Human Rights Now) は、ニューヨークを本拠とする国際人権NGOヒューマンライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)と共同で、不定期に記者懇談会を開催しています。
ヒューマンライツ・ウォッチさんは世界的に展開する大きな人権NGOですが、日本では展開し始めたばかりであること、国境を越えて世界の人権問題を扱うNGOであるという点でヒューマンライツ・ナウと共通性があること、ヒューマンライツ・ウォッチの日本ディレクターの土井香苗弁護士はヒューマンライツ・ナウの創設メンバーで理事でもあり、親しいことから、一緒に記者レクをしているわけです。
先週も金曜日に記者レクを開催させていただきましたが、20人近い記者の方々にお忙しいなか集まっていただきました。感謝です。
ところで、ヒューマンライツ・ナウは、国際人権団体である、ヒューマンライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルとどう違うのか? とよく聞かれます。ヒューマンライツ・ナウは確かに、国境を越えて世界の人権について取り組む、という点でこれらの団体に似ています。
違いは、といえば、、まず、うちは、2006年に設立した新しいNGOであり、日本を本拠として、日本人が中心に活動している、というところが違います。
また、ロンドンやニューヨークなどに本拠があって、そこで決められる方針に従ってキャンペーンをする、というのではなく、日本にいるメンバーや会員が自分たちで考えて、活動を決めているという点で大きく違います。いわば「手作り感」があるというか。
また、欧米のNGOのコピーでなく、アジアにある日本発、ということを大切にしています。時々、欧米からの人権の押し付けに、途上国が反発することがありますが、途上国の立場に立ってみると私個人としては、「反発するのもわかるな」と思ってしまうこともあります。自分だけが正しいという確信に基づいて高みから押し付けるようなやり方だったりするからです。
私個人としては、欧米でなく、アジアに位置する、という視点から複眼的に物事をとらえて、アジアを中心に現地の人権NGOとフラットなパートナーとして一緒に活動していこう、というところにこだわっています。
ぜひそんなところを応援していただけると嬉しいです。
(先日ご紹介しましたが、10月下旬発売の「エココロ」12月号(表紙は、滝川クリステルさん)にヒューマンライツ・ナウの活動が紹介されています。一冊まるごととても興味深いのでぜひご購読ください。http://www.ecocolo.com/editorial/modules/pukiwiki/522.html)
さて、先週の記者懇談会で、ヒューマンライツ・ナウでは、カンボジアの1970年代のジェノサイド(ポルポト派による)を裁く、カンボジア特別法廷に対するこれまでの取り組みと最近の情勢、見方などをふくめ、カンボジアでの活動を中心に紹介させていただきました。
日本でこの法廷に関して活動をしているNGOはうちの団体だけですが、おもに、人権侵害や虐殺の被害者が法廷に主体的に参加できる枠組みをつくるために働きかけをしてきました。
日本でも犯罪被害者の刑事手続への参加が導入されようとしていますが、ジェノサイドのような大規模な人権侵害事案では、人権侵害を再発させない社会をつくっていくため、被害者が参加し、被害者の声が反映されることがとりわけ大切だと考え、カンボジアやフランスのNGOとともに提言を続けたところ、それが実現しました。国際的な大規模人権侵害を裁く刑事法廷では初めての画期的・歴史的なことです。
こうした仕組みが作られ、来年には法廷がいよいよ始まろうとしているので、注目とモニタリングを続けていきたいと思っています。この法廷、実は日本が巨額の資金援助をして支えています。この法廷の裁判官のなかには日本人も含まれています。そうした人的・資金的貢献が、カンボジアの社会の再建にとって無駄なことではなく、有効なかたちで使われるように、私たちはカンボジアの人権NGOと連携しながらウォッチを続けていく予定です。
カンボジアには、本当に様々な問題があり、日本からもさまざまなNGOが活動していますが、私たちはこういう「過去の人権侵害と向き合い、責任者を裁き、人権侵害とそれを克服するために何が必要か、についての市民社会の対話を促進する」という活動を通じて「仕組み」を変えることに貢献できれば、と思っています。
今後、興味を持っていただけるメディアの方、市民の方には、ぜひ、ホームページ
からアクセスして、メールをいただいたり、メールマガジン登録をしていただければ、と思います。
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