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2008年10月 7日 (火)

BSドキュメンタリー 微笑と虐待 ~証言・アブグレイブ刑務所虐待事件

昨夜(日曜夜)、BSでテレビで偶然この番組を見て、日本のテレビ局がよくぞここまで取材した、と、その質の高い番組制作に感服した。

イラクのアブグレイプ刑務所は、米国が2003年のイラク占領後、テロリスト、米国とみなした者を収容し、拷問や性的虐待の限りをつくしていた悪名高き収容所である。

私は2004年、2005年の米国留学当時、アブグレイプ・グアンタナモ基地問題を扱い、実際に収容された人々の弁護を担当していた人権団体(CCR)で働いており、これら事件の異議申し立てに関与していたが、「米国とは戦争に勝つためならここまで非人道的なことをいとわずにする国なのか!」と心から憤りを感じていた。

アブグレイプ事件が被収容者虐待の性的スキャンダルとして発覚したとき、女性下士官であるイングランド上等兵をはじめ、下士官たちのみが有罪とされ、とかげのしっぽきりのように、彼女たちの私生活が大々的に暴かれ、指弾されたが、トップの責任は一切問われなかった。そのことを真剣に追求するテレビ・メディアもほとんどなかった。

この番組では、そのイングランド元上等兵へのインタビューを中心とする綿密な取材を通じて、トップの意向が働いていたこと、軍上層部や、民間軍事会社が被収容者虐待を奨励し続けていたことを告発した点が鮮やかだ。

いくつもの法的障壁が立ちはだかっているが、私はブッシュやラムズフェルドは、いつか必ずイラク・アフガニスタン戦争、グアンタナモ基地での虐待など、すべてのジュネーブ条約違反に関し、戦争犯罪に問われるべきだと思っている。

米国ではなかなか追及しきれていないテーマ、みなが忘れつつあるテーマに切り込んで、このような気骨のある、本物のドキュメンタリーを制作された方々に敬意を表させていただきたい。

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