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2008年10月29日 (水)

国連大学が無事に終わり。。。

 戦々恐々として迎えた、すべて英語で講演しなければならない、国連大学の講演が、なんとか滞りなく終わった。

 テーマは「人権の発展におけるNGOの役割」

 英語ボキャブラリーが貧困なので、疲れると、GoodとかBadとしか評価できなくなるなど、いろいろと問題があったが、長期間の懸念から解放され、なんとなく学生の皆さんも喜んでくれたようで、ひとまずは、よかった。準備は大変だったので、もう準備しなくてよいというだけでうれしい。

  この準備過程でよかったことといえば、学生さんに宿題として課したアメリカの文献を自分で読んでみて非常に役に立った。これは、思わぬ掘り出し物。

Henry J. Steiner & Philip Alston, Civil Society: Human Rights NGOs and Other Groups, in INTERNATIONAL HUMAN RIGHTS IN CONTECTS: LAW, POLITICS, MORALS 938-964 (2d ed., 2000).

 この文書は、現在のNGOについて、批判的思考をしているのだが、そのポイントは、国際人権NGOの中にも南北問題があるというもの。

 北(先進国)のNGOが方針を決定し、南(途上国)のNGOはそれに従って行動するだけ。国連の会議に参加できるのは、先進国の恵まれたNGOで、ニューヨークやジュネーブにいつもいる人たち。その人たちに本当にどれだけ現場で人権侵害に苦しんでいる人たちのことがわかるのか、本当に代弁できているのか、を鋭く問題提起している。実際それは、私がニューヨークやジュネーブにいたときにうすうす感じていたことであった。

 それと、NGOのなかには、人権状況を恣意的・政治的に選択してキャンペーンを張っているところも。イラク戦争前のイラクの人権状況は西側の人権NGOによって派手に非難されたのに、同じような人権侵害でもサウジアラビアやイスラエルで起こったことには口をつぐむ。アメリカの支配層に近いところから寄付をたくさん受けているNGOにその傾向が強く、「人権NGOは、その本拠とする国の政治・人権政策から自由であるべきなのに多くの場合は、そうではない」と批判されている。

 いや、ぞっとします。NGOと言っても、これでは政府の先兵ですね。人権NGOが正義の仮面をかぶりながら、堕落するとしたら、それは犯罪的です。日本を本拠に国際的な人権NGOとして活動するうえで、絶対に轍を踏んではいけないと思う。

 こうしたことについても、特に、NGOは本当に人々の願いや思いを代表しているのか、について、問題意識をお話した。

 講演のあとは、表参道で、ある新聞社の方々と懇親会。裁判員制度などがトピックでしたが、講義がようやく終わったので、少し羽を伸ばした感じに。

 昔よくおあいした女性記者の方とも旧交を温めることができました♪

 

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