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2008年10月31日 (金)

フランス的生活♪

 先日ご紹介した派遣のシンポにきていただく川口美貴先生(関西大学大学院法務研究科教授)と事前打ち合わせをさせていただいた。フランス法がご専門だというのだが、「フランスの人々はどんな働き方をしているのか」とみんな(弁護士)興味深々で、先生から根ほり葉ほりうかがってしまう。

まず、フランスは労働時間が35時間制であり、女も男もそれ以上働かない、残業しないのだという。

「え、でも、これから出世しよう、とうエリート社員や野心家の男性は、35時間なんて無視してどんどん働くんじゃないんですか」

 いいえ、早く帰っていますよ。長時間働いても効率が悪かったらしょがない。休みもとらないとクリエイティブでよい仕事はできません。

 「日本には労働基準法36条で、労使が協定を結べば残業はできることになっていますが、そんな規定はフランスにはないんですか」

 残業はできますが、みんなやりません。週39時間を越えて働く、という人はほとんどいない。

 「え、でも日本では、基本給が少ないので、サラリーマンは残業代で何とか生計を維持してます。残業しないと家計が苦しくならないんですか。賃金が高いんですか」

 うーん、単純に日本とフランスの賃金を比較できませんが、フランスでは子どもの教育費もほとんどかかりませんし、物価もそんなに高くない。それに、残業代を稼ぐために残業するくらいだったら、残業しないで、節約して生活するほうをフランス人は選ぶと思う。

--- これはすごく新鮮な発想! 残業するくらいなら、余暇を大切にして、節約して生活をする。いいですね。

  先生はおっしゃる。フランスでは家族と過ごす時間を大事にするし、余暇を大事にする。だから、日曜日はお店は閉まってますし、お昼も二時間くらい店が休む。それがあたりまえで、みんなが慣れている。職場の夜の飲み会もないので、みんな家に帰ります。

 「日本人とは人生観が違うので、ちょっとすぐにはフランス人みたいになれないかもしれないけれど、最低賃金をあげて、働き方も考え直したほうがいいですね。」

。。。。。

--- フランス流、にがつんとやられてしまいました。

   しかし、思えば、子どものころは、7時にはお店が閉まり、セブン・イレブンができたときも大人がみんなまゆをひそめていたけれど、今や24時間があたりまえ。昔は8時には普通の家のお父さんは家に帰っていたけれど、今はそんなことない。

 こうこうと電気をつけて、みんな昔よりも忙しく働き続けている。いつからそうなったのか、日本人全体で日本人の首を絞めているような気がします。

 そして、そんなだから、日本の場合は、女性は出産したら働き続けられず、仕事を辞めてしまう人が多い。そして、出産後復帰しようと思っても、就職口のほとんどはパートか派遣しかない。これがフランスみたいに35時間なら、多くの女性も出産・育児と両立して、働き続けられるだろうに。。。

 日本なら残業してでもお金がほしいと思うだろうに、フランスでは、社会全体が、時間・余暇のほうが大切、というコンセンサスになっているところがすごい。

 「お金がなくても平気なフランス人、お金があっても不安な日本人」という本を読んだこともあるけれど、お金がないならないで、節約して余暇を大切に暮らすという、すごい発想の転換。

 しかし、最近プチ・ベジタリアン化している私は、野菜を家で調理するだけならとっても食費が安いし健康にもよいことを発見。実は人間ってこんな感じなら本当に安く暮らせそうだな、と目覚めてしまった。

 働きすぎず、早めに家に帰って、電気を消して電気消費量を減らし、野菜を食べて、経済的に身軽になり、ゆっくりと考える時間を作っていい仕事をする、という生活が、これからの時代はいいのではないだろうか。

しかし、そのためには、労働法の規制(これまでの規制緩和の逆)と、人を使い捨てにしている今の企業のやり方を転換することが大いに求められる。

 

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