思いは国境を越えて-ヒューマンライツ・ナウで活動をすること。
アンジェリーナ・ジョリーは「思いは国境を越えて」という手記を出し
ていますが、彼女は基本的人権の擁護を世界で実現したい、という
思いから様々な行動をしています。
私も立場は違うけれど、そんな思いで活動する者の一人です。
2006年に弁護士、研究者、ジャーナリスト、NGO関係者に呼び
掛けて、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウを発足し、今は
弁護士業をしながら、この団体の事務局長として飛び回る
生活を送っています。
これは私の昔からの夢がひとつのかたちになったもの。
人身売買、児童労働、紛争下での人権侵害、難民、
貧困、女性に対する暴力。
世界にはそんなさまざまな人権侵害があって、そんな
ニュースを聞くたびに胸がうずく。
「世界のために何か法律家として貢献できることはない
だろうか」と思い続けていました。「国境なき医師団」という
世界的に有名なNGOがあり、医師たちは国境を越えて
世界の紛争現場に駆けつけ、困っている人たちに医療支援をする。
日本でも私が一方的に尊敬する鎌田實先生のような方が献身的
な努力をされている。
では、法律の知識を持ち、人権を守るために活動するはずの
弁護士はどうして、国境を越えて世界の人権問題に取り組めない
のだろう、と思っていました。
そんな思いを強くしたのは、弁護士になって二年目、1995年、
日弁連の代表として北京で開催された世界女性会議に参加した
ときです。
内戦が終わったばかりのルワンダから二人の女性がNGO会議に
駆けつけて、そのうち一人は目の前で夫を殺され、子どもを殺され、
なんどもレイプされる、という経験をしたと語りました。
そして同じような被害にあった女性が何万、何十万人といるのだ、
ということ。私と同じくらいの年齢のその女性の話に衝撃を受け、
私は、弁護士になった以上、同じ地球に住んで同じ時代に生きて
いる、最も困難な立場にある女性たちの人権のために貢献できる
弁護士にいつかなりたい、と誓ったものでした。
しかし、そういう活動の場がないことから、いろいろな経験をし、
NGOと連携をさせてもらうようになり、留学もして、10年を経て、
「では自分でNGOを立ち上げよう」と決意して、日本で初めて、
国境を越えて世界の人権問題に取り組む人権NGOとして、
ヒューマンライツ・ナウを設立してしまったわけです。
まだまだキャパシティが少ないわけですが、同じ夢を持つ
仲間たちが集まって、現在では会員500人を超す特定非営利
活動法人になり、アジア各国を中心に、世界の人権NGOと
連携し、ビルマ、カンボジア、フィリピン、インドなどの人権問題に
取り組んで少しずつ成果をあげられるようになっています。
毎日のようにいろんな国の人権活動家たちから相談が
寄せられます。
このNGOが理想のかたちになるのはもう少し先かもしれない
けれど、世界の問題を解決するためにいま、機会をいただいて、
活動できることに何よりも感謝しています。
世界のさまざまな地域には、いまも深刻な人権侵害があり、
女性や子どもなどマイノリティが日々、犠牲になっています。
同じ地球に今、生きている日本にいる私たちには、世界の
問題を解決するために、できることがたくさんある、と
実感しています。
少し興味をもっていただけたら、
ヒューマンライツ・ナウのHP、http://www.ngo-hrn.org
を見ていただけると嬉しいです。
以下、HPより、私のインタビュー抜粋を貼り付けます。
どなたでも会員になっていただいたり、メルマガ購読をしていただけますし、
やる気のある方にはボランティア・スタッフにもなっていただけます。
今後もこの団体関連の情報をときどきお届けしていきたいと思います。
ヒューマンライツ・ナウはどんな活動をするNGOなのですか?
ヒューマンライツ・ナウは、国境を越えて、世界・特にアジア地域の人権問題の解決のために活動するNGOです。 世界の人権侵害をウォッチすること、レポートすること、そして政策提言をすることが私たちの活動の柱です。 世界を見渡すと、日本では想像できないようなひどい人権侵害によって、弱い立場の人たちが犠牲になっています。私たちは、こうした人権侵害に光をあてて、世界に発信し、改善を実現するための政策提言を行います。ヒューマンライツ・ナウのプライオリティは、もっとも深刻な人権侵害をなくす、そして女性や子どもなど、最も弱い立場にいる人たちの人権を守る、そのために最善を尽くすということです。
このような団体をつくろうと思ったきっかけは?
私は1995年に、国連の第4回世界女性会議のNGO会議に弁護士として参加し、アジア・アフリカから参加した女性たちの実情を聞いてとてもショックを受けました。インドでは持参金の金額が少ない、という理由で、1日100人近い女性たちが夫やその家族から殺されています。フィリピンやタイでは、多くの少女たちが農村から売られて、売春を強制され、エイズにかかって死んでいました。ルワンダから来た女性は、内戦によって、夫も子どもも目の前で殺された上、レイプをされた、たくさんの女性が同じ境遇にある、と証言しました。同じ地球に住んで同じ時代を生きているのに、なぜ彼らの人権はこんなにもふみにじられているのか、市民として、法律家としてできることはなにか、と思ったのがきっかけです。その後ニューヨークに留学して国際人権法などを学び、NGOの立場で国連の活動に参加するうちに、欧米には、世界の人権問題に取り組み、国際世論を動かして事態に変化をもたらしている人権NGOがたくさんあることを知りました。そして、私を含むニューヨーク留学中の日本人の若手弁護士の呼びかけで、国境を越えてグローバルな人権問題を専門に扱う日本発のNGOを立ち上げることになり、2006年夏にヒューマンライツ・ナウを発足したのです。
世界には、貧困やエイズ、紛争、難民など様々な問題がありますが、なぜ「人権」に取り組むのでしょうか?
人権は、人間らしく生きるために、すべての人にとってかけがえのないものです。紛争の過程では生きる権利、暴力を受けない権利が脅かされますし、貧困は、食べたり、学校に行ったり、家に住める、というあたりまえの権利を奪っています。私たちは人権、という視点から世界の問題に取り組むのです。
紛争や飢餓など、人道的な危機が発生したとき、ユニセフなどの国際機関やNGOが難民キャンプなどに薬や食糧を届けるなどの人道援助活動をしますね。こうした活動は本当に大切ですが、一過性のものに終わりがちです。私たちは、長期的な視点にたって、社会の仕組みを「人権」の視点で変える、ということが大切だと思います。なぜ、人道危機が起き、貧困が進むのか、その背景には人権侵害が放置される社会の仕組みがあると思います。
日本発で、どんな活動をしていくのですか?
光のあたっていない深刻な人権侵害について調査し、レポートを発表します。ヒューマンライツ・ナウのスタッフには国際人権法を専門とする法律家が多いので、法律的な勧告も行います。日本政府、日本の市民社会に影響を与え、国内でのロビー活動を行いますが、同時に、国連や現地政府への直接の働きかけを、世界の人権NGOと一緒に行います。国際的なメディア、NGO、国連の専門家にもレポートを送って、国際社会として人権侵害に苦しむ人々のために何ができるか、取り組みを促していきます。 また、アジア地域の若い人権活動家にトレーニングを行うなど、困難な中で活動している人権活動家への様々なサポートもしています。
市民はヒューマンライツ・ナウの活動に参加できるのですか?
いまは、法律家・学生が会員の多くを占めていますが、私たちは、多くの市民の方々に会員になっていただきたいと思っています。世界の問題を解決するのにも、まず自分の周り、そして日本国内で意識喚起が進むことが大切だと思います。まず1人でも多くの方に人権侵害について知ってもらい、それを周りにいろんなやり方で伝えてほしい。是非、キャンペーンを担う活動に市民の方々に参加していただければ、と思っています。
To be continued... 詳しくはHPへ!
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